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特許7601287異常検知システム及びエレベーターシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】異常検知システム及びエレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/14 20060101AFI20241210BHJP
   B66B 5/02 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B66B13/14 K
B66B13/14 J
B66B5/02 X
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024522852
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 JP2022021643
(87)【国際公開番号】W WO2023228385
(87)【国際公開日】2023-11-30
【審査請求日】2024-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福永 寛
(72)【発明者】
【氏名】志賀 諭
(72)【発明者】
【氏名】平井 敬秀
(72)【発明者】
【氏名】小林 翔一
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-121695(JP,A)
【文献】特開2014-091594(JP,A)
【文献】特開2020-196550(JP,A)
【文献】特開2019-167179(JP,A)
【文献】特開2019-189445(JP,A)
【文献】特開2019-210086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/14
B66B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
かごを備え、
前記かごは、第一ドアモーターと、第一かごドアと、を備え、
前記かごは、前記第一ドアモーターによって開閉する前記第一かごドアが設置された
エレベーターに使用される異常検知システムであって、
前記第一かごドアの開閉動作に応じた第一信号を出力する第一信号装置と、
前記第一ドアモーターの回転動作に応じた第二信号を出力する第二信号装置と、
異常検知装置と、
を備え、
前記異常検知装置は、
前記第一信号の変化及び前記第二信号の変化に基づいて前記エレベーターに異常があるか否かを判定する判定部と、
前記判定部で判定された結果を前記エレベーターを監視する監視装置に送信する送信部と、
を備え
前記エレベーターは、前記第一ドアモーターによって駆動し前記第一かごドアを開閉させる連動機構を備え、
前記判定部は、前記第一信号の変化及び前記第二信号の変化に基づいて、前記連動機構に異常があるか否かを判定するための異常判定を行うものであり、
前記判定部は、前記異常判定において、
前記第二信号の変化に基づいて、前記第一ドアモーターに前記第一かごドアを開閉させるための回転動作があるか否かを判定し、
前記第一ドアモーターに前記第一かごドアを開閉させるための回転動作があると判定された場合に、前記第一信号の変化に基づいて、前記第一かごドアに前記第一ドアモーターの回転動作に連動した開閉動作があるか否かを判定し、
前記第一かごドアに前記第一ドアモーターの回転動作に連動した開閉動作が無いと判定された場合に、前記連動機構に異常があると判定する異常検知システム。
【請求項2】
前記かごの走行動作に応じた第三信号を出力する第三信号装置を更に備え、
前記判定部は、前記第三信号の変化、前記第一信号の変化、及び前記第二信号の変化に基づいて前記異常判定を行う請求項に記載の異常検知システム。
【請求項3】
前記異常判定において、
前記判定部は、
前記第三信号の変化に基づいて、前記かごが走行し、走行後に停止したか否かを判定し、
前記かごが走行後に停止したと判定された場合に、前記第二信号の変化に基づいて、前記第一ドアモーターに前記第一かごドアを開閉させるための回転動作があるか否かを判定し、
前記第一ドアモーターに前記第一かごドアを開閉させるための回転動作があると判定された場合に、前記第一信号の変化に基づいて、前記第一かごドアに前記第一ドアモーターの回転動作に連動した開閉動作があるか否かを判定し、
前記第一かごドアに前記第一ドアモーターの回転動作に連動した開閉動作が無いと判定された場合に、前記連動機構に異常があると判定する請求項に記載の異常検知システム。
【請求項4】
前記第一信号装置は、前記第一かごドアを案内するかごドアレールに設置可能な請求項1から請求項の何れか一項に記載の異常検知システム。
【請求項5】
前記第一信号装置は、前記第一かごドアの下部に設置可能な請求項1から請求項の何れか一項に記載の異常検知システム。
【請求項6】
前記第一信号装置は、複数備えられ、前記第一かごドアの下部と前記第一かごドアを案内するかごドアレールとの両方に設置可能な請求項1から請求項の何れか一項に記載の異常検知システム。
【請求項7】
前記エレベーターは、第二ドアモーターを更に備え、
前記かごは、前記第二ドアモーターによって開閉する第二かごドアが設置され、
前記第二かごドアの開閉動作に応じた第四信号を出力する第四信号装置と、
前記第二ドアモーターの回転動作に応じた第五信号を出力する第五信号装置と、
を更に備え、
前記判定部は、前記第四信号の変化及び前記第五信号の変化に基づいて前記エレベーターに異常があるか否かを判定する請求項1から請求項の何れか一項に記載の異常検知システム。
【請求項8】
前記異常検知装置は、前記エレベーターと通信を行わない請求項1から請求項の何れか一項に記載の異常検知システム。
【請求項9】
第一ドアモーターによって開閉する第一かごドアが設置されたかごを備えたエレベーターと、
異常検知システムと、
を備え、
前記異常検知システムは、
第一信号装置と、
第二信号装置と、
異常検知装置と、
を備え、
前記第一信号装置は、前記第一かごドアの開閉動作に応じた第一信号を出力し、
前記第二信号装置は、前記第一ドアモーターの回転動作に応じた第二信号を出力し、
前記異常検知装置は、
前記第一信号の変化及び前記第二信号の変化に基づいて前記エレベーターに異常があるか否かを判定する判定部と、
前記判定部で判定された結果を前記エレベーターを監視する監視装置に送信する送信部と、
を備え
前記エレベーターは、前記第一ドアモーターによって駆動し前記第一かごドアを開閉させる連動機構を備え、
前記判定部は、前記第一信号の変化及び前記第二信号の変化に基づいて、前記連動機構に異常があるか否かを判定するための異常判定を行うものであり、
前記判定部は、前記異常判定において、
前記第二信号の変化に基づいて、前記第一ドアモーターに前記第一かごドアを開閉させるための回転動作があるか否かを判定し、
前記第一ドアモーターに前記第一かごドアを開閉させるための回転動作があると判定された場合に、前記第一信号の変化に基づいて、前記第一かごドアに前記第一ドアモーターの回転動作に連動した開閉動作があるか否かを判定し、
前記第一かごドアに前記第一ドアモーターの回転動作に連動した開閉動作が無いと判定された場合に、前記連動機構に異常があると判定するエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、異常検知システム及びエレベーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの動作状態診断システムを開示する。特許文献1に記載のエレベーターの動作状態診断システムは、加速度センサと、電流センサと、エレベーター動作状態診断装置とを備える。当該加速度センサは、乗りかごの走行動作を検出する。当該電流センサは、かごドアを開閉させるドアモーターに流れる電流を検出する。エレベーター動作状態診断装置は、乗りかごの走行動作と、ドアモーターの回転動作に基づいてエレベーターの動作状態を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開2020-147424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のエレベーターの動作状態診断システムは、ドアモーターに流れる電流に基づいてかごドアの状態を判定する。かごドアがドアモーターの回転動作に連動して開閉動作をしないことで起こるエレベーターの異常を検知できない。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされた。本開示の目的は、かごドアがドアモーターの回転動作に連動して開閉動作をしないことで起こるエレベーターの異常を検知できる異常検知システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る異常検知システムは、かごを備え、かごは、第一ドアモーターと、第一かごドアと、を備え、かごは、第一ドアモーターによって開閉する第一かごドアが設置されたエレベーターに使用される異常検知システムである。異常検知システムは、第一かごドアの開閉動作に応じた第一信号を出力する第一信号装置と、第一ドアモーターの回転動作に応じた第二信号を出力する第二信号装置と、異常検知装置と、を備える。異常検知装置は、第一信号の変化及び第二信号の変化に基づいてエレベーターに異常があるか否かを判定する判定部と、判定部で判定された結果をエレベーターを監視する監視装置に送信する送信部と、を備える。エレベーターは、第一ドアモーターによって駆動し第一かごドアを開閉させる連動機構を備える。判定部は、第一信号の変化及び第二信号の変化に基づいて、連動機構に異常があるか否かを判定するための異常判定を行うものである。判定部は、異常判定において、第二信号の変化に基づいて、第一ドアモーターに第一かごドアを開閉させるための回転動作があるか否かを判定し、第一ドアモーターに第一かごドアを開閉させるための回転動作があると判定された場合に、第一信号の変化に基づいて、第一かごドアに第一ドアモーターの回転動作に連動した開閉動作があるか否かを判定し、第一かごドアに第一ドアモーターの回転動作に連動した開閉動作が無いと判定された場合に、連動機構に異常があると判定する。
【0007】
また、本開示に係るエレベーターシステムは、第一ドアモーターによって開閉する第一かごドアが設置されたかごを備えたエレベーターと、異常検知システムと、を備える。異常検知システムは、第一信号装置と、第二信号装置と、異常検知装置と、を備える。第一信号装置は、第一かごドアの開閉動作に応じた第一信号を出力する。第二信号装置は、第一ドアモーターの回転動作に応じた第二信号を出力する。異常検知装置は、第一信号の変化及び第二信号の変化に基づいてエレベーターに異常があるか否かを判定する判定部と、判定部で判定された結果をエレベーターを監視する監視装置に送信する送信部と、を備える。エレベーターは、第一ドアモーターによって駆動し第一かごドアを開閉させる連動機構を備える。判定部は、第一信号の変化及び第二信号の変化に基づいて、連動機構に異常があるか否かを判定するための異常判定を行うものである。判定部は、異常判定において、第二信号の変化に基づいて、第一ドアモーターに第一かごドアを開閉させるための回転動作があるか否かを判定し、第一ドアモーターに第一かごドアを開閉させるための回転動作があると判定された場合に、第一信号の変化に基づいて、第一かごドアに第一ドアモーターの回転動作に連動した開閉動作があるか否かを判定し、第一かごドアに第一ドアモーターの回転動作に連動した開閉動作が無いと判定された場合に、連動機構に異常があると判定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、異常検知システムは、かごドアの開閉動作に応じた第一信号を出力する第一信号装置と第一ドアモーターの回転動作に応じた第二信号を出力する第二信号装置と、第一信号の変化及び第二信号の変化に基づいてエレベーターに異常があるか否かを判定する判定部を備えた異常検知装置とを備える。このため、かごドアがドアモーターの回転動作に連動して開閉動作をしないことで起こるエレベーターの異常を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における異常検知システムが適用される建築物の一例を示す図である。
図2】実施の形態1における異常検知システムが設置されたかごの正面図である。
図3】実施の形態1における異常検知システムの機能を説明するための図である。
図4】実施の形態1における異常検知システムのハードウェア構成図である。
図5】実施の形態2における異常検知システムの動作の概要を説明するためのフローチャートである。
図6】実施の形態3における異常検知システムの動作の概要を説明するためのフローチャートである。
図7】実施の形態4におけるかごの走行動作とかごドアの開閉動作による乗車判定の概要を説明するためのフローチャートである。
図8】実施の形態4における振動検知による乗車判定の概要を説明するためのフローチャートである。
図9】実施の形態5における異常検知システムが設置されたかごの正面図である。
図10】実施の形態6における異常検知システムが適用される建築物の一例を示す図である。
図11】実施の形態6における異常検知システムが設置されたかごの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における異常検知システムが適用される建築物の一例を示す図である。
【0012】
エレベーターは、かご1と、巻上機2と、メインロープ3と、釣合おもり4と、制御装置5とを備える。昇降路6は、建築物の各階を貫く。機械室7は、昇降路6の上に設けられる。乗場8は、建築物の各階に設けられる。
【0013】
かご1は、メインロープ3の一側に吊るされる。メインロープ3は、巻上機2に巻き掛けられる。巻上機2は、メインロープ3を長手の方向に移動させる。これにより、かご1は、昇降路6の内部を昇降する。釣合おもり4は、メインロープ3の他側に吊るされる。釣合おもり4は、かご1と相反する方向に昇降する。
【0014】
巻上機2と制御装置5とは、機械室7に設置される。制御装置5は、巻上機2と電気的に接続される。制御装置5は、かご1の機器と電気的に接続される。制御装置5は、エレベーター全体的に制御する。巻上機2は、制御装置5によって制御される。
【0015】
かご1は、直方体形状である。かご1には、出入口が形成される。かご1は、一対のかごドア9を備える。かごドア9は、かご1の出入口に設置される。各階の乗場8には、乗場ドア10が設置される。かごドア9は、乗場ドア10に対向する。
【0016】
なお、かご1は、機械室7のないエレベーターに適用されてもよい。その場合は、巻上機2と制御装置5とが昇降路6の下部または上部に設けられる。
【0017】
次に、図2を用いて、実施の形態1における異常検知システムの構成を説明する。
図2は、実施の形態1における異常検知システムが設置されたかご1の正面図である。図2は、かご1を乗場8側から見た図である。
【0018】
異常検知システム50は、エレベーターで使用される。
【0019】
図2に示されるように、かご1は、かごドアレール11と、敷居12と、ドアモーター13と、かごドア連動機構14と、かご天井15とを更に備える。かごドア9は、かご1の出入口を開閉する。
【0020】
一対のかごドア9は、両開き式である。一対のかごドア9の一方は、かご1の出入口の一側に設けられる。一対のかごドア9の他方は、かご1の出入口の他側に設けられる。図1においては、一対のかごドア9は、全閉している。一対のかごドア9は、連結部16をそれぞれ備える。連結部16は、一対に設置される。連結部16は、かごドア9の上部に設置される。
【0021】
かごドアレール11は、かご1の出入口の上方に設けられる。かごドアレール11は、水平に設けられる。かごドア9は、かごドアレール11に吊り下げられる。かごドア9の上部の移動は、かごドアレール11に案内される。かご天井15は、かご1の上部に設置される。かご天井15の下面は、かご1の天井面を形成する。
【0022】
敷居12は、かご1の出入口の下方に設けられる。かごドア9の下部の移動は、敷居12に案内される。かごドア9は、かごドアレール11と敷居12に沿って開閉する。
【0023】
ドアモーター13は、かご天井15の上に設置される。ドアモーター13は、かごドアレール11の一端部の上に設けられてもよい。ドアモーター13は、制御装置5と電気的に接続される。ドアモーター13は、制御装置5によって制御される。ドアモーター13は、制御装置5の制御によって、回転軸が回転する回転動作を行う。ドアモーター13は、回転動作によりかごドア9を開閉させる駆動力を発生させる。かごドア9は、ドアモーター13の回転動作によって開閉する。
【0024】
かごドア連動機構14は、ドアモーター13と連結する。かごドア連動機構14は、連結部16と連結する。かごドア連動機構14は、ドアモーター13によって駆動することでかごドア9を開閉させる。
【0025】
かごドア連動機構14は、例えば、一対のプーリ17と、ベルト18を備えてもよい。一対のプーリ17の一方は、かごドアレール11の一端部の上方に設けられる。一対のプーリ17の他方は、かごドアレール11の他端部の上方に設けられる。ベルト18は、一対のプーリ17に巻き回される。ベルト18は、一対の連結部16に連結される。
【0026】
一対のプーリ17の一方は、ドアモーター13の回転軸の回転に追従して回転する。ベルト18は、一対のプーリ17の一方の回転に追従して循環移動する。一対の連結部16は、ベルト18の循環移動に追従して移動する。これにより、かごドア9は、ドアモーター13によって開閉動作を行う。
【0027】
異常検知システム50は、信号装置19と、信号装置20と、信号装置21と、異常検知装置22とを備える。
【0028】
信号装置19は、異常検知装置22に接続される。信号装置19は、かご1の走行動作に応じた信号Aを出力する。信号装置19は、かご1の上昇、下降、及び停止などの走行動作を検知する。信号装置19は、検知したかご1の走行動作を、信号Aとして出力する。信号装置19は、信号Aを異常検知装置22に送信する。信号装置19は、加速度計であってもよい。信号Aは、かご1の加速度を示す信号であってもよい。信号Aは、かご1の位置を示す信号であってもよい。信号装置19は、かご1の加速度に相当する情報を取得できればよい。よって、信号装置19は、かご1の走行速度を検出してもよい。その場合、かご1の走行速度を微分することで、かご1の加速度を取得できる。
【0029】
信号装置19は、かご天井15の上に設置されてもよい。信号装置19は、かご1の走行動作を取得できればよく、どこに設置されてもよい。
【0030】
信号装置20は、異常検知装置22に接続される。信号装置20は、かごドア9の開閉動作に応じた信号Bを出力する。信号装置20は、かごドア9の戸開動作、戸閉動作、及び停止などの開閉動作を検知する。信号装置20は、検知したかごドア9の開閉動作を、信号Bとして出力する。信号装置20は、信号Bを異常検知装置22に送信する。信号装置20は、加速度計であってもよい。信号Bは、かごドア9の加速度を示す信号であってもよい。信号Aは、かご1の位置を示す信号であってもよい。信号装置20は、かごドア9の加速度に相当する情報を取得できればよい。よって、信号装置20は、かごドア9の開閉速度を検出してもよい。その場合、かごドア9の開閉速度を微分することで、かごドア9の加速度を取得できる。
【0031】
信号装置20は、一対のかごドア9の一方または他方に設置されてもよい。
【0032】
信号装置21は、異常検知装置22に接続される。信号装置21は、ドアモーター13の回転動作に応じた信号Cを出力する。信号装置21は、ドアモーター13の回転動作を検知する。信号装置21は、検知したドアモーター13の回転動作を、信号Cとして出力する。信号装置21は、信号Cを異常検知装置22に送信する。信号装置21は、電流計であってもよい。信号Cは、ドアモーター13のモーター電流を示す信号であってもよい。信号装置21は、制御装置5からのモーター電流指令を測定するものであってもよい。
【0033】
信号装置21は、ドアモーター13に設置されてもよい。信号装置21は、制御装置5に接続されているケーブルに設置されてもよい。
【0034】
異常検知装置22は、かご天井15の上に設置されてもよい。異常検知装置22は、どこに設置されてもよい。異常検知装置22は、信号A、信号B、及び信号Cを処理する機器である。異常検知装置22は、異常判定ができる専用ソフトウェアがインストールされたPCであってもよい。異常検知装置22に搭載させる専用ソフトウェアには、様々な異常判定を行う際の判定条件が組み込まれる。
【0035】
図3は、実施の形態1における異常検知システム50の機能を説明するための図である。
【0036】
異常検知装置22は、受信部23と、判定部24と、送信部25を備える。
【0037】
受信部23は、信号装置19から、信号Aを受信する。受信部23は、信号装置20から、信号Bを受信する。受信部23は、信号装置21から、信号Cを受信する。
【0038】
判定部24は、信号Aの変化に基づいて、かご1の走行動作に異常があるか否かを判定してもよい。判定部24は、信号Bの変化と信号Cの変化に基づいて、エレベーターに異常があるか否かを判定する。判定部24は、信号Bの変化と信号Cの変化に基づいて、かごドア9の開閉動作に異常があるか否かを判定してもよい。
【0039】
かごドア9は、ドアモーター13に連動して開閉する。よって、信号Cの変化は、信号Bの変化に連動する。判定部24は、信号Cの変化が、信号Bの変化に連動しているかを判定してもよい。判定部24は、信号Cの変化が、信号Bの変化に連動していない場合に、異常があると判定する。判定部24は、信号Aの変化、信号Bの変化、及び信号Cの変化に基づいて、エレベーターに異常があるか否かを判定してもよい。
【0040】
送信部25は、判定部24が判定した結果を、異常検知システム50が適用されたエレベーターを監視する監視装置26に送信する。監視装置26は、サポートセンターでもよい。監視装置26は、異常検知システム50が設置された建築物の管理室に設置されてもよい。送信部25は、判定部24が異常があると判定した場合のみ、判定した結果を監視装置26に送信してもよい。
【0041】
異常検知システム50は、制御装置5等のエレベーターの各装置との通信を行わない。
【0042】
なお、エレベーターの異常を検知するために、エレベーターシステムを用いてもよい。エレベーターシステムは、ドアモーター13によって開閉するかごドア9が設置されたかご1を備えたエレベーターと、異常検知システム50とを備える。
【0043】
以上で説明した実施の形態1によれば、異常検知システム50は、信号装置20と、信号装置21と、異常検知装置22とを備える。異常検知システム50は、ドアモーター13の回転動作とかごドア9の開閉動作を検知する。異常検知装置22の判定部24は、信号Cの変化が、信号Bの変化に連動しているか否かを判定する。これにより、ドアモーター13がかごドア9を開閉させるための回転動作をしているのに、かごドア9がドアモーター13の回転動作に連動した開閉動作を行わないといった異常を検知できる。よって、かごドア9がドアモーター13の回転動作に連動して開閉動作をしないことで起こるエレベーターの異常を検知できる。
【0044】
また、一般的には、かごドア9の開閉動作のみからエレベーターの異常を判定するシステムは、ドアモーター13の回転動作があるかを判定できない。よって、特許文献1と同様に、かごドア9がドアモーター13の回転動作に連動して開閉動作をしないことで起こるエレベーターの異常を検知できない。異常検知システム50は、信号Bの変化と信号Cの変化に基づいた判定をすることで、かごドア9がドアモーター13の回転動作に連動して開閉動作をしないことで起こるエレベーターの異常を検知できる。
【0045】
また、異常検知システム50は、信号装置19を更に備える。これにより、かご1の走行動作に基づいたエレベーターの異常も判定できる。また、信号Aの変化、信号Bの変化、及び信号Cの変化に基づいて、エレベーターの異常を判定できる。
【0046】
また、異常検知装置22の送信部25は、判定部24が判定した結果を、監視装置26に送信する。よって、エレベーターで起きた異常を通報することができる。
【0047】
また、一般的には、かごに人が閉じ込められるなど、エレベーターが使用できない状態になった場合、エレベーターに設置された監視システムが異常状態を検知する。監視システムは、サポートセンターに異常を通報する。これによって、技術者が派遣され、技術者によって、エレベーターを復旧する仕組みが成立している。エレベーターを監視するため、エレベーターとの接続を要する各メーカー専用の監視システムが必要である。管理装置は、各機種に対応した構成である。異常検知システム50は、制御装置5等のエレベーターの各装置との通信を行わない。異常検知システム50と制御装置5等のエレベーターの各装置との直接の通信は不要である。よって、異常検知システム50は、エレベーターから独立した構成で実現可能である。これにより、エレベーターのメーカー及び機種によらず、共通のプラットフォームでエレベーターを監視することができる。
【0048】
また、異常検知システム50は、ドアモーター13と、ドアモーター13によって開閉するかごドア9が設置されたかご1とを備えたエレベーターであれば、そのエレベーター状態を監視することができる。よって、人が乗車するエレベーターだけでなく、小荷物専用の昇降機に設置されてもよい。
【0049】
また、エレベーターの異常を検知するために、エレベーターシステムを用いてもよい。エレベーターシステムは、ドアモーター13によって開閉するかごドア9が設置されたかご1を備えたエレベーターと、異常検知システム50とを備える。この場合も、かごドア9がドアモーター13の回転動作に連動して開閉動作をしないことで起こるエレベーターの異常を検知できる。
【0050】
また、異常検知システム50は、信号装置19と、信号装置20と、信号装置21と、異常検知装置22とを備える。信号装置19は、かご天井15の上に設置されてもよい。信号装置20は、一対のかごドア9の一方または他方に設置されてもよい。信号装置21は、ドアモーター13に設置されてもよい。異常検知装置22は、かご天井15の上に設置されてもよい。これにより、複雑な構成を必要とせず、施工が容易に行える。
【0051】
次に、図4を用いて、異常検知システム50を構成するハードウェアの例を説明する。
図4は、実施の形態1における異常検知システム50のハードウェア構成図である。
【0052】
異常検知システム50は、ハードウェア資源として、プロセッサ100aとメモリ100bとを含む処理回路100を備える。処理回路100に複数のプロセッサ100aが含まれても良い。処理回路100に複数のメモリ100bが含まれても良い。処理回路100は、専用のハードウェア200を備えてもよい。処理回路100に複数の専用のハードウェア200が含まれてもよい。
【0053】
例えば、異常検知システム50の各機能は、それぞれ処理回路100で実現される。例えば、異常検知システム50の各機能は、まとめて処理回路100で実現される。処理回路100は、プロセッサ100aとメモリ100bとを備えるが、専用のハードウェア200を備えなくてもよい。
【0054】
処理回路100がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、異常検知システム50の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアは、プログラムとして記述される。ソフトウェアおよびファームウェアは、メモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、異常検知システム50の各機能を実現する。
【0055】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。例えば、メモリ100bは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
【0056】
処理回路100が専用のハードウェア200を備える場合、処理回路100は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらの組み合わせで実現される。
【0057】
異常検知システム50の各機能について、一部を専用のハードウェア200で実現し、他部をソフトウェア又はファームウェアで実現してもよい。例えば、判定結果を監視装置26へ送信する機能については専用のハードウェア200としての処理回路100で実現し、判定結果を監視装置26へ送信する機能以外の機能についてはプロセッサ100aがメモリ100bに格納されたプログラムを読み出して実行することにより実現してもよい。
【0058】
このように、処理回路100は、ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせで異常検知システム50の各機能を実現する。
【0059】
実施の形態2.
次に図5を用いて、実施の形態2における異常検知システム50の動作の概要を説明する。図5は、実施の形態2における異常検知システム50の動作の概要を説明するためのフローチャートである。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0060】
異常検知システム50は、かごドア連動機構14に異常があるか否かの異常判定をしてもよい。図5は、かごドア連動機構14の異常判定を行う際の異常検知システム50の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0061】
S101で、受信部23は、信号装置19から信号Aを受信する。次に、S102で、判定部24は、受信部23で受信した信号Aの変化に基づいて、かご1に昇降または下降をする走行動作があるか否かを判定する。かご1に昇降または下降をする走行動作があると判定された場合、判定部24は、S102でYESと判定する。かご1に昇降または下降をする走行動作がないと判定された場合、判定部24は、S102でNOと判定する。S102でNOと判定された場合は、S101で受信部23が信号装置19から信号Aを受信する。
【0062】
S102でYESと判定された場合、S103で、受信部23は、信号装置19から信号Aを受信する。次に、S104で、判定部24は、受信部23で受信した信号Aの変化に基づいて、かご1が停止したか否かを判定する。かご1が停止したと判定された場合、判定部24は、S104でYESと判定する。かご1が停止していないと判定された場合、判定部24は、S104でNOと判定する。S104でNOと判定された場合は、S103で受信部23が信号装置19から信号Aを受信する。
【0063】
S104でYESと判定された場合、S105で、受信部23は、信号装置21から信号Cを受信する。次に、S106で、判定部24は、受信部23で受信した信号Cの変化に基づいて、ドアモーター13にかごドア9を開閉させるための回転動作があるか否かを判定する。ドアモーター13にかごドア9を開閉させるための回転動作があると判定された場合、判定部24は、S106でYESと判定する。ドアモーター13にかごドア9を開閉させるための回転動作がないと判定された場合は、判定部24は、S106でNOと判定する。
【0064】
S106でNOと判定された場合、S107で、判定部24は、かご1が走行して停止した後に、かごドア9が開閉動作を行わなかったと判定する。また、S107では、閉じ込めが発生したと判定してもよい。次に、S112で、送信部25は、判定部24がS107で判定した結果を監視装置26に送信する。
【0065】
S106でYESと判定された場合、S108で受信部23は、信号装置20から信号Bを受信する。次に、S109で、判定部24は、受信部23で受信した信号Bの変化に基づいて、ドアモーター13の回転動作に連動した開閉動作がかごドア9にあるか否かを判定する。ドアモーター13の回転動作に連動した開閉動作がかごドア9にあると判定された場合、判定部24は、S109でYESと判定する。ドアモーター13の回転動作に連動した開閉動作がかごドア9にないと判定された場合、判定部24は、S109でNOと判定する。
【0066】
S109でNOと判定された場合、判定部24は、S110でかごドア連動機構14に異常があると判定する。次に、S112で、送信部25は、判定部24がS110で判定した結果を監視装置26に送信する。
【0067】
S109でYESと判定された場合、判定部24は、S111でエレベーターが正常に動作したと判定する。次に、S112で、送信部25は、判定部24がS111で判定した結果を監視装置26に送信する。
【0068】
なお、異常検知システム50は、S111の動作を行った場合、必ずしもS112の動作を行わなくてもよい。この場合、送信部25は、S110及びS107の判定結果のみを監視装置26に送信してもよい。
【0069】
なお、S101からS104の動作について、判定部24は、かご1が走行して停止するといった一連の動作を示す信号Aの変化があるか否かを判定してもよい。
【0070】
なお、異常検知システム50は、S101からS104の動作を行わなくてもよい。この場合、異常検知システム50は、S105からS112の動作を行うことで、かごドア連動機構14に異常があるか否かの異常判定をしてもよい。
【0071】
以上で説明した実施の形態2によれば、判定部24は、信号Cの変化に基づいて、ドアモーター13にかごドア9を開閉させるための回転動作があるか否かを判定する。ドアモーター13にかごドア9を開閉させるための回転動作がある場合、判定部24は、信号Bの変化に基づいて、かごドア9に開閉動作があるか否かを判定する。ドアモーター13の回転動作に連動した開閉動作がかごドア9にない場合、かごドア連動機構14に異常があると判定する。これによりかごドア連動機構14の異常判定が行える。
【0072】
また、異常検知システム50は、S111の動作を行った場合、必ずしもS112の動作を行わなくてもよい。この場合、送信部25は、S110及びS107の判定結果のみを監視装置26に送信してもよい。これにより、エレベーターに異常がある場合のみに監視装置26に通報することができる。
【0073】
また、異常検知システム50は、S101からS104の動作を行わなくてもよい。この場合、異常検知システム50は、S105からS112の動作を行うことで、かごドア連動機構14に異常があるか否かの異常判定をしてもよい。これにより、判定部24は、信号Bと信号Cの2つの信号の変化に基づいて、かごドア連動機構14に異常があるか否かを判定できる。
【0074】
また、異常検知システム50は、信号Aの変化、信号Bの変化、及び信号Cの変化に基づいて、かごドア連動機構14の異常判定を行う。3つの信号で異常判定ができるため、複雑な処理が必要ない。
【0075】
実施の形態3.
次に図6を用いて、実施の形態3における異常検知システム50の動作の概要を説明する。図6は、実施の形態3における異常検知システム50の動作の概要を説明するためのフローチャートである。なお、実施の形態1及び実施の形態2の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0076】
異常検知システム50は、かご1内で閉じ込めが発生しているか否かの閉じ込め判定をしてもよい。図6は、かご1の閉じ込め判定を行う際の異常検知システム50の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0077】
S201からS206までの動作は、実施の形態2で説明したS101からS106までの動作と同様である。S206でNOと判定された場合、S207で判定部24は、かご1に閉じ込めが発生したと判定する。次に、S212で、送信部25は、判定部24がS207で判定した結果を監視装置26に送信する。
【0078】
S206でYESと判定された場合、S208からS209までの動作を行う。S208からS209までの動作は、実施の形態2で説明したS108からS109までの動作と同様である。S209でNOと判定された場合、S210で判定部24は、かご1に閉じ込めが発生したと判定する。次に、S212で、送信部25は、判定部24がS210で判定した結果を監視装置26に送信する。
【0079】
S209でYESと判定された場合、判定部24は、S211でエレベーターが正常に動作したと判定する。次に、S212で、送信部25は、判定部24がS211で判定した結果を監視装置26に送信する。
【0080】
なお、異常検知システム50は、S211の動作を行った場合、必ずしもS212の動作を行わなくてもよい。この場合、送信部25は、S210及びS207の判定結果のみを監視装置26に送信してもよい。
【0081】
以上で説明した実施の形態3によれば、判定部24は、信号Aの変化に基づいて、かご1が走行して停止したか否かを判定する。判定部24は、信号Cの変化に基づいて、ドアモーター13にかごドア9を開閉させるための回転動作があるか否かを判定する。ドアモーター13にかごドア9を開閉させるための回転動作がない場合、判定部24は、かご1に閉じ込めが発生したと判定する。ドアモーター13にかごドア9を開閉させるための回転動作がある場合、判定部24は、信号Bの変化に基づいて、かごドア9に開閉動作があるか否かを判定する。ドアモーター13の回転動作に連動した開閉動作がかごドア9にない場合、判定部24は、かご1に閉じ込めが発生したと判定する。これにより、閉じ込め判定が行える。よって。ドアモーター13の回転動作に連動した開閉動作がかごドア9になかった場合でも、閉じ込めが発生したことを検知できる。
【0082】
また、異常検知システム50は、S211の動作を行った場合、必ずしもS212の動作を行わなくてもよい。これにより、エレベーターに異常がある場合のみに監視装置26に通報することができる。
【0083】
また、異常検知システム50は、信号Aの変化、信号Bの変化、及び信号Cの変化に基づいて、閉じ込め判定を行う。3つの信号で閉じ込め判定ができるため、複雑な処理が必要ない。
【0084】
実施の形態4.
次に図7図8を用いて、実施の形態4における乗車判定の動作の概要を説明する。なお、実施の形態1から実施の形態3の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0085】
人がかご1から乗り降りした後など、かご1に人が乗車していない場合に、かご1は、自動で規定階に移動することがある。実施の形態3で説明した閉じ込め判定は、人がかご1に乗車している場合に実施すればよい。よって、異常検知システム50は、乗車判定を行い、人がかご1に乗車していると判定された場合に閉じ込め判定を開始してもよい。
【0086】
乗車判定の動作は、信号A、信号B、及び信号Cを用いて行ってもよい。図7は、実施の形態4におけるかご1の走行動作とかごドア9の開閉動作による乗車判定の概要を説明するためのフローチャートである。
【0087】
S301からS306までの動作は、実施の形態2で説明したS101からS106までの動作と同様である。S306でNOと判定された場合、S307で判定部24は、かご1は規定階に移動したと判定する。S307の後、異常検知システム50は、動作を終了してもよい。
【0088】
S306でYESと判定された場合、S308からS309までの動作を行う。S308からS309までの動作は、実施の形態2で説明したS108からS109までの動作と同様である。S309でNOと判定された場合、判定部24は、S310でかごドア連動機構14に異常があると判定する。次に、S313で、送信部25は、判定部24がS310で判定した結果を監視装置26に送信する。
【0089】
S309でYESと判定された場合、判定部24は、S311でかご1に人が乗車していると判定する。次に、S312で、異常検知システム50は、閉じ込め判定を開始する。
【0090】
また、乗車判定の動作は、信号Aを用いて行ってもよい。信号装置19は、かご1に人が乗車してきた際のかご1の振動を検知してもよい。信号装置19は、かご1の加速度から、かご1の振動を検知してもよい。この場合、信号Aは、加速度を示す信号である。図8は、実施の形態4における振動検知による乗車判定の概要を説明するためのフローチャートである。
【0091】
S401の動作は、実施の形態2で説明したS101の動作と同様である。S401の次に、S402で、判定部24は、受信部23で受信した信号Aの変化に基づいて、かご1に人が乗ってきた振動があるか否かを判定する。かご1に人が乗ってきた振動があると判定された場合、判定部24は、S402でYESと判定する。かご1に人が乗ってきた振動がないと判定された場合、判定部24は、S402でNOと判定する。S402でNOと判定された場合は、S401で受信部23が信号装置19から信号Aを受信する。
【0092】
S402でYESと判定された場合、判定部24は、S403でかご1に人が乗車していると判定する。次に、S404で、異常検知システム50は、閉じ込め判定を開始する。
【0093】
以上で説明した実施の形態4によれば、判定部24は、かご1が走行して停止した後にかごドア9が開閉動作を行った場合に、人が乗車していると判定する。また、判定部24は、かご1に人が乗車してくる振動がある場合に、人が乗車していると判定する。これにより、人が乗っているか否かを判定できる。よって、人がかご1に乗車していない状態でかご1が規定階に移動した場合にかごドア9が開かないと判定し、閉じ込めが起きたと誤検知することを防止できる。したがって、正確に閉じ込め判定を開始できる。
【0094】
実施の形態5.
次に図9を用いて、実施の形態5における信号装置20の取り付け位置について説明する。図9は、実施の形態5における異常検知システム50が設置されたかご1の正面図である。なお、実施の形態1から実施の形態4の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0095】
信号装置20は、一対のかごドア9のどの位置に設置されてもよい。信号装置20は、一対の連結部16の一方に設置されてもよい。信号装置20は、かごドア9の開閉動作を正確に検知するために、かごドア9に設置させることが望ましい。
【0096】
信号装置20は、かごドア9の下部に設置されてもよい。信号装置20は、かごドアレール11に設置されてもよい。信号装置20は、複数備えられてもよい。その場合、信号装置20は、かごドア9の下部とかごドアレール11の両方に設置されてもよい。
【0097】
以上で説明した実施の形態5によれば、信号装置20は、一対のかごドア9のどの位置に設置されてもよい。これにより、信号装置20を簡単に設置できる。
【0098】
また、信号装置20は、かごドア9の下部に設置可能である。これにより、敷居12に異物が詰まった場合など、かごドア9の開閉動作に異常をきたす状態の検出精度を向上させることができる。
【0099】
また、信号装置20は、かごドアレール11に設置可能である。これにより、かごドアレール11に異物が付着した場合など、かごドア9の開閉動作に異常をきたす状態の検出精度を向上させることができる。
【0100】
また、信号装置20は、複数備えられてもよい。その場合、信号装置20は、かごドア9の下部とかごドアレール11の両方に設置可能である。これにより、敷居12の異常とかごドアレール11の異常との両方を同時に監視できる。
【0101】
実施の形態6.
次に図10図11を用いて、実施の形態6における信号装置20及び信号装置21の設置について説明する。図10は、実施の形態6における異常検知システム50が適用される建築物の一例を示す図である。図11は、実施の形態6における異常検知システム50が設置されたかご1の背面図である。なお、実施の形態1から実施の形態5の部分と同一又は相当部分には同一符号が付される。当該部分の説明は省略される。
【0102】
異常検知システム50は、二方向ドアのエレベーターに適用されてもよい。かご1のかごドア9が設置された面側を正面側とする。また、かご1のかごドア9が設置された面に平行な面側を背面側とする。以下において、正面側に設置されるかご1の構成要素には、符号の後に英字aを付して、各要素を特定する。背面側に設置されるかご1の構成要素には、符号の後に英字bを付して、各要素を特定する。
【0103】
異常検知システム50が設置されたかご1の正面側は図2と同様に構成される。かご1の背面側には、正面側と同様に出入口が形成される。かご1は、かごドア9bを更に備える。かご1の背面側の出入口には、正面側と同様にかごドア9bが設置される。
【0104】
複数ある乗場8のうち少なくとも1つは、正面側に設置される。複数ある乗場のうち少なくとも1つは、背面側に設置される。背面側に設置された乗場8にも乗場ドア10が設置される。かごドア9bは、背面側の乗場ドア10に対向する。
【0105】
かご1は、かごドアレール11bと、敷居12bと、ドアモーター27と、かごドア連動機構14bと更に備える。かご1の背面側には、正面側と同様に、かごドアレール11bと、敷居12bと、かごドア連動機構14bとが設置される。かごドア9bは、かごドアレール11bと敷居12bに沿って開閉する。
【0106】
ドアモーター27は、かご天井15の上に設置されてもよい。ドアモーター27の機能は、正面側のドアモーター13と同様である。ドアモーター27は、回転動作によりかごドア9bを開閉させる駆動力を発生させる。かごドア9bは、ドアモーター27の回転動作によって開閉する。
【0107】
かごドア連動機構14bは、ドアモーター27と連結する。かごドア連動機構14は、ドアモーター27で発生した駆動力によってかごドア9bを開閉させる。かごドア連動機構14bは、ドアモーター27によって駆動することでかごドア9bを開閉させる。
【0108】
信号装置20は、かごドア9bに設置されてもよい。信号装置20が複数備えられた場合、信号装置20は、かごドア9aとかごドア9bの両方に設置されてもよい。かごドア9aに設置された信号装置20は、かごドア9aの戸開動作、戸閉動作、及び停止などの開閉動作を検知する。かごドア9bに設置された信号装置20は、かごドア9bの戸開動作、戸閉動作、及び停止などの開閉動作を検知する。
【0109】
信号Bについて、かごドア9bに設置された信号装置20が出力するものを信号Bbとする。かごドア9bに設置された信号装置20は、正面側と同様に、かごドア9bのどの位置に設置されてもよい。かごドア9bに設置された信号装置20は、かごドア9bの開閉動作に応じた信号Bbを出力する。
【0110】
信号装置21は、ドアモーター27に設置されてもよい。信号装置21は、2つ備えられてもよい。その場合、2つの信号装置21のうち一方は、ドアモーター13に設置されてもよい。2つの信号装置21のうち他方は、ドアモーター27に設置されてもよい。ドアモーター13に設置された信号装置21は、ドアモーター13の回転動作を検知する。ドアモーター27に設置された信号装置21は、ドアモーター27の回転動作を検知する。信号Cについて、ドアモーター27に設置された信号装置21が出力するものをCbとする。ドアモーター27に設置された信号装置21は、ドアモーター27の回転動作に応じた信号Cbを出力する。
【0111】
判定部24は、信号Bbの変化と信号Cbの変化に基づいて、エレベーターに異常があるか否かを判定する。判定部24は、信号Bbの変化と信号Cbの変化に基づいて、かごドア9bの開閉動作に異常があるか否かを判定してもよい。
【0112】
以上で説明した実施の形態6によれば、信号装置20は、背面側のかごドア9bに設置されてもよい。信号装置20は、かごドア9aとかごドア9bの両方に設置されてもよい。信号装置21は、ドアモーター27に設置されてもよい。信号装置21は、2つ備えられてもよい。その場合、2つの信号装置21のうち一方は、ドアモーター13に設置されてもよい。2つの信号装置21のうち他方は、ドアモーター27に設置されてもよい。これにより、正面側と同様に、背面側も含めた二方向ドアのエレベーターの異常を検知できない。よって、二方向ドアのエレベーターの監視ができる。
【0113】
判定部24は、信号Bbの変化と信号Cbの変化に基づいて、エレベーターに異常があるか否かを判定する。判定部24は、信号Bbの変化と信号Cbの変化に基づいて、かごドア9bの開閉動作に異常があるか否かを判定してもよい。これにより、異常検知システム50は、かごドア9bがドアモーター27の回転動作に連動して開閉動作をしないことで起こるエレベーターの異常を検知できる。
【産業上の利用可能性】
【0114】
以上のように、本開示に係る異常検知システム及びエレベーターシステムは、エレベーターの異常検知に利用できる。
【符号の説明】
【0115】
1 かご、 2 巻上機、 3 メインロープ、 4 釣合おもり、 5 制御装置、 6 昇降路、 7 機械室、 8 乗場、 9 かごドア、 10 乗場ドア、 11 かごドアレール、 12 敷居、 13 ドアモーター、 14 かごドア連動機構、 15 かご天井、 16 連結部、 17 プーリ、 18 ベルト、 19 信号装置、 20 信号装置、 21 信号装置、 22 異常検知装置、 23 受信部、 24 判定部、 25 送信部、 26 監視装置、 27 ドアモーター、 50 異常検知システム、 100 処理回路、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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