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特許7601288多層基板、多層基板モジュール及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】多層基板、多層基板モジュール及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20241210BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20241210BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H05K3/46 U
H05K3/46 N
H05K1/02 Q
H01L23/12 J
H01L23/12 301J
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2024528398
(86)(22)【出願日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2023018517
(87)【国際公開番号】W WO2023248657
(87)【国際公開日】2023-12-28
【審査請求日】2024-10-18
(31)【優先権主張番号】P 2022101858
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池本 伸郎
(72)【発明者】
【氏名】高田 英一
(72)【発明者】
【氏名】山地 和裕
(72)【発明者】
【氏名】上田 英樹
【審査官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/080333(WO,A1)
【文献】特開2010-123830(JP,A)
【文献】国際公開第2017/086095(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/00- 3/46
H01L 23/12-23/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Z軸の正方向に位置する正主面及び前記Z軸の負方向に位置する負主面を有する複数の絶縁体層がZ軸方向に積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられている複数の導体層であって、前記複数の絶縁体層の内のZ軸の最も正方向に位置する絶縁体層の正主面に位置する実装電極を有している第1導体層を含んでいる複数の導体層と、
前記複数の絶縁体層の内の1つである第1絶縁体層を前記Z軸方向に貫通し、かつ、前記第1絶縁体層の前記正主面及び前記負主面に位置する2つの前記導体層を接続する1以上の第1層間接続導体と、
前記複数の絶縁体層の内の1つを前記Z軸方向に貫通する第2層間接続導体と、
を備えており、
前記1以上の第1層間接続導体のそれぞれは、
第1領域と、
前記第1領域の熱伝達率より低い熱伝達率を有している第2領域であって、前記第1領域より前記Z軸の負方向に位置する第2領域と、
を含んでおり、
前記Z軸方向に見て、前記1以上の第1層間接続導体の内の少なくとも1つである大面積第1層間接続導体の面積は、前記第2層間接続導体の面積より大きい、
多層基板。
【請求項2】
1以上の前記大面積第1層間接続導体は、前記第1導体層と導体を介して接続されている、又は、前記第1導体層と直接に接続されている、
請求項1に記載の多層基板。
【請求項3】
前記積層体の前記Z軸方向の中央に位置し、かつ、前記Z軸方向に直交する面を中間面とし、
前記1以上の大面積第1層間接続導体は、前記中間面より前記Z軸の正方向に位置している、
請求項1又は請求項2に記載の多層基板。
【請求項4】
前記積層体の前記Z軸方向の中央に位置し、かつ、前記Z軸方向に直交する面を中間面とし、
前記多層基板は、
前記複数の絶縁体層の内の1つを前記Z軸方向に貫通する1以上の第3層間接続導体であって、前記中間面より前記Z軸の負方向に位置する1以上の第3層間接続導体を、
更に備えており、
前記1以上の第3層間接続導体は、前記第1領域の熱伝達率より低い熱伝達率を有している、
請求項1又は請求項に記載の多層基板。
【請求項5】
前記積層体を前記Z軸方向に3等分して得られる領域を正領域、中間領域及び負領域とし、
前記正領域、前記中間領域及び前記負領域は、前記Z軸の負方向に向かってこの順に並んでおり、
前記1以上の大面積第1層間接続導体は、前記正領域に位置している、
請求項1に記載の多層基板。
【請求項6】
前記多層基板は、
前記複数の絶縁体層の内の1つを前記Z軸方向に貫通する1以上の第4層間接続導体であって、前記中間領域に位置する1以上の第4層間接続導体を、
更に備えており、
前記1以上の第4層間接続導体は、前記第1領域の熱伝達率より低い熱伝達率を有しており、
請求項5に記載の多層基板。
【請求項7】
前記多層基板は、
前記複数の絶縁体層の内の1つを前記Z軸方向に貫通する1以上の第5層間接続導体であって、前記負領域に位置する1以上の第5層間接続導体を、
更に備えており、
前記1以上の第5層間接続導体は、前記第2領域の熱伝達率より高い熱伝達率を有している、
請求項6に記載の多層基板。
【請求項8】
前記1以上の大面積第1層間接続導体に接続されている導体層の少なくとも1つは、アンテナを有している、
請求項1又は請求項に記載の多層基板。
【請求項9】
前記積層体は、可撓性を有している、
請求項1又は請求項に記載の多層基板。
【請求項10】
前記複数の導体層は、アンテナ導体層を含んでおり、
前記負主面から前記アンテナ導体層までの距離は、前記正主面から前記アンテナ導体層までの距離より短い、
請求項1又は請求項に記載の多層基板。
【請求項11】
前記1以上の大面積第1層間接続導体の少なくとも1つは、前記第1導体層に直接に接続されている、
請求項1又は請求項に記載の多層基板。
【請求項12】
前記1以上の大面積第1層間接続導体には、電源電圧又はグランド電位が接続される、
請求項1又は請求項に記載の多層基板。
【請求項13】
請求項1又は請求項に記載の前記多層基板と、
前記実装電極に実装されている電子部品と、
を備えている、
多層基板モジュール。
【請求項14】
前記1以上の大面積第1層間接続導体の少なくとも1つは、前記Z軸方向に見て、前記電子部品と重なっている重複部分及び前記電子部品と重なっていない非重複部分を有している、
請求項13に記載の多層基板モジュール。
【請求項15】
前記電子部品は、RFICである、
請求項13に記載の多層基板モジュール。
【請求項16】
請求項13に記載の前記多層基板モジュールを、
備えている、
電子機器。
【請求項17】
前記電子機器は、
前記多層基板モジュールを収容している筐体を、
更に備えており、
前記筐体から前記負主面までの距離は、前記筐体から前記正主面までの距離より短い、
請求項16に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層間接続導体を備える多層基板、多層基板モジュール及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多層基板に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載のパワーアンプモジュールが知られている。このパワーアンプモジュールは、積層基板及び電子部品を備えている。積層基板は、コア基板及び基板構成基材が上下方向に積層された構造を有している。積層基板は、上主面及び下主面を有する板形状を有している。積層基板は、コア基板及び基板構成基材を上下方向に貫通する複数の放熱ビアを備えている。電子部品は、積層基板の上主面に実装されている。これにより、電子部品が発生した熱は、複数の放熱ビアを介して積層基板の下主面へと伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-191435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のパワーアンプモジュールの分野において、積層基板の下面に熱を伝達させたくない場合がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、放熱性能が低下することを抑制しつつ、積層体の下面に熱が伝達することを抑制できる多層基板、多層基板モジュール及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る多層基板は、
Z軸の正方向に位置する正主面及び前記Z軸の負方向に位置する負主面を有する複数の絶縁体層がZ軸方向に積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられている複数の導体層であって、前記複数の絶縁体層の内のZ軸の最も正方向に位置する絶縁体層の正主面に位置する実装電極を有している第1導体層を含んでいる複数の導体層と、
前記複数の絶縁体層の内の1つである第1絶縁体層を前記Z軸方向に貫通し、かつ、前記第1絶縁体層の前記正主面及び前記負主面に位置する2つの前記導体層を接続する1以上の第1層間接続導体と、
前記複数の絶縁体層の内の1つを前記Z軸方向に貫通する第2層間接続導体と、
を備えており、
前記1以上の第1層間接続導体のそれぞれは、
第1領域と、
前記第1領域の熱伝達率より低い熱伝達率を有している第2領域であって、前記第1領域より前記Z軸の負方向に位置する第2領域と、
を含んでおり、
前記Z軸方向に見て、前記1以上の第1層間接続導体の内の少なくとも1つである大面積第1層間接続導体の面積は、前記第2層間接続導体の面積より大きい。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る多層基板によれば、放熱性能が低下することを抑制しつつ、積層体の下面に熱が伝達することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、電子機器1の断面図である。
図2図2は、多層基板11及び電子部品100の上面図である。
図3図3は、多層基板モジュール10aの断面図である。
図4図4は、多層基板モジュール10bの断面図である。
図5図5は、多層基板モジュール10cの断面図である。
図6図6は、多層基板モジュール10dの断面図である。
図7図7は、多層基板モジュール10eの断面図である。
図8図8は、多層基板モジュール10fの断面図である。
図9図9は、多層基板モジュール10gの断面図である。
図10図10は、多層基板モジュール10hの断面図である。
図11図11は、多層基板モジュール10iの断面図である。
図12図12は、多層基板モジュール10jの断面図である。
図13図13は、多層基板モジュール10kの断面図である。
図14図14は、多層基板モジュール10lの断面図である。
図15図15は、多層基板11lの上面図である。
図16図16は、多層基板11mの上面図である。
図17図17は、電子機器1nの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
[電子機器の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る電子機器1の構造について図面を参照しながら説明する。図1は、電子機器1の断面図である。図2は、多層基板11及び電子部品100の上面図である。図2では、保護層16を省略した。
【0010】
本明細書において、方向を以下のように定義する。多層基板11の積層体12の積層方向を上下方向と定義する。また、上下方向は、Z軸方向と一致する。上方向は、Z軸の正方向である。下方向は、Z軸の負方向である。また、上下方向と直交する方向を左右方向及び前後方向と定義する。左右方向は、前後方向と直交している。なお、上下方向の上方向と下方向とが入れ替わってもよいし、左右方向の左方向と右方向とが入れ替わってもよいし、前後方向の前方向と後方向とが入れ替わってもよい。
【0011】
電子機器1は、例えば、スマートフォン等の無線通信端末である。電子機器1は、多層基板モジュール10及び筐体120を備えている。多層基板モジュール10は、多層基板11及び電子部品100を備えている。筐体120は、多層基板モジュール10を収容している。
【0012】
多層基板11は、高周波信号を伝送する。多層基板11は、図1及び図2に示すように、積層体12、保護層16、導体層18a~18h,19a~19f、第1層間接続導体V1,v1a,v1b、第2層間接続導体v2a~v2fを備えている。
【0013】
図1に示すように、積層体12は、上主面及び下主面を有する板形状を有している。積層体12は、上下方向に見て、長方形状を有している。積層体12は、上主面(Z軸の正方向に位置する正主面)及び下主面(Z軸の負方向に位置する負主面)を有する絶縁体層14a~14cが上下方向(Z軸方向)に積層された構造を有している。絶縁体層14a~14cは、上から下へとこの順に並んでいる。絶縁体層14a~14cは、上下方向に見て、長方形状を有している。絶縁体層14a~14cの材料は、樹脂である。絶縁体層14a~14cの材料は、例えば、熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂は、例えば、液晶ポリマである。これにより、積層体12は、可撓性を有している。積層体12の上下方向(Z軸方向)の中央に位置し、かつ、上下方向(Z軸方向)に直交する面を中間面Sとする。
【0014】
図1及び図2に示すように、導体層18a~18h,19a~19fは、積層体12に設けられている。導体層18a~18hは、絶縁体層14aの上主面に位置している。図2に示すように、導体層18a~18hは、実装電極E1~E9を有している。実装電極E1~E9は、絶縁体層14a~14cの内の最も上(Z軸の最も正方向)に位置する絶縁体層14aの上主面(正主面)に位置している。実装電極E1~E9は、後述する保護層16から導体層18a~18hが露出している部分である。実装電極E1~E9は、上下方向に見て、3×3の行列状に配列されている。実装電極E1~E9は、上下方向に見て、長方形状を有している。
【0015】
図2に示すように、導体層18a~18cは、左から右へとこの順に並んでいる。導体層18aは、左右方向に延びている。実装電極E1,E4は、導体層18aの右端部において前から後へとこの順に並んでいる。導体層18bは、正方形状を有している。実装電極E5は、導体層18bの中央に位置している。導体層18cは、左右方向に延びている。実装電極E6は、導体層18cの左端部に位置している。
【0016】
図1に示すように、導体層19a~19cは、絶縁体層14bの上主面に位置している。導体層19a~19cは、左から右へとこの順に並んでいる。導体層19a~19cは、左右方向に延びている。
【0017】
図1に示すように、導体層19d~19fは、絶縁体層14cの下主面に位置している。導体層19d~19fは、左から右へとこの順に並んでいる。導体層19d~19fは、上下方向に見て、長方形状を有している。導体層19d~19fは、例えば、外部電極である。
【0018】
以上のような導体層18a~18c,19a~19fは、絶縁体層14a,14bの上主面及び絶縁体層14cの下主面に張り付けられた金属箔をパターニングすることにより形成される。金属箔は、例えば、銅箔である。
【0019】
図1に示すように、保護層16は、絶縁体層14aの上主面の略全面を覆っている。これにより、保護層16は、導体層18a~18hを保護している。ただし、実装電極E1~E9は、保護層16により覆われていない。また、保護層16は、積層体12の一部分ではない。保護層16の上主面には、導体層が設けられない。以上のような保護層16は、例えば、レジスト層である。
【0020】
第1層間接続導体V1,v1a,v1bは、絶縁体層14a~14cの内の1つである絶縁体層14a(第1絶縁体層)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)及び第1層間接続導体v1a,v1bは、中間面Sより上(Z軸の正方向)に位置している。第1層間接続導体V1,v1a,v1bは、下から上へと行くにしたがって上下方向に直交する断面の面積が小さくなる形状を有している。具体的には、第1層間接続導体V1は、四角錘台形状を有している。第1層間接続導体v1a,v1bは、円錐台形状を有している。そして、第1層間接続導体V1,v1a,v1bの上端の面積は、第1層間接続導体V1,v1a,v1bの下端の面積より小さい。
【0021】
第1層間接続導体V1は、絶縁体層14a(第1絶縁体層)の上主面(正主面)及び下主面(負主面)に位置する導体層18aと導体層19aと(2つの導体層)を接続している。第1層間接続導体v1aは、絶縁体層14a(第1絶縁体層)の上主面(正主面)及び下主面(負主面)に位置する導体層18bと導体層19bと(2つの導体層)を接続している。第1層間接続導体v1bは、絶縁体層14a(第1絶縁体層)の上主面(正主面)及び下主面(負主面)に位置する導体層18cと導体層19cと(2つの導体層)を接続している。
【0022】
第1層間接続導体V1,v1a,v1bのそれぞれは、第1領域A1及び第2領域A2を含んでいる。第1領域A1及び第2領域A2は、上から下へとこの順に並んでいる。第2領域A2は、第1領域A1より下(Z軸の負方向)に位置している。第2領域A2は、第1領域A1の熱伝達率より低い熱伝達率を有している。このような第1領域A1の材料は、導体層18a~18cの材料と同じである。従って、第1領域A1の材料は、例えば、銅である。第2領域A2の材料は、例えば、錫及び銅の合金や、錫及び銀の合金である。第2領域A2は、金属粉末と樹脂との混合物である導電性ペーストが焼結されることにより形成される。
【0023】
第2層間接続導体v2a~v2cは、絶縁体層14b(複数の絶縁体層の内の1つ)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。第2層間接続導体v2a~v2cは、下から上へと行くにしたがって上下方向に直交する断面の面積が小さくなる形状を有している。具体的には、第2層間接続導体v2a~v2cは、円錐台形状を有している。そして、第2層間接続導体v2a~v2cの上端の面積は、第2層間接続導体v2a~v2cの下端の面積より小さい。
【0024】
第2層間接続導体v2aの上端は、導体層19aの左端部に接続されている。第2層間接続導体v2bの上端は、導体層19bの右端部に接続されている。第2層間接続導体v2cの上端は、導体層19cの右端部に接続されている。
【0025】
第2層間接続導体v2a~v2cのそれぞれは、第1領域A1及び第2領域A2を含んでいる。第1領域A1及び第2領域A2は、上から下へとこの順に並んでいる。
【0026】
第2層間接続導体v2d~v2fは、絶縁体層14c(複数の絶縁体層の内の1つ)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。第2層間接続導体v2d~v2fは、中間面Sより下(Z軸の負方向)に位置している。第2層間接続導体v2d~v2fは、上から下へと行くにしたがって上下方向に直交する断面の面積が小さくなる形状を有している。具体的には、第2層間接続導体v2d~v2fは、円錐台形状を有している。そして、第2層間接続導体v2d~v2fの上端の面積は、第2層間接続導体v2d~v2fの下端の面積より大きい
【0027】
第2層間接続導体v2dは、第2層間接続導体v2aと導体層19dとを接続している。第2層間接続導体v2eは、第2層間接続導体v2bと導体層19eとを接続している。第2層間接続導体v2fは、第2層間接続導体v2cと導体層19fとを接続している。
【0028】
第2層間接続導体v2d~v2fのそれぞれは、第1領域A1及び第2領域A2を含んでいる。第1領域A1及び第2領域A2は、下から上へとこの順に並んでいる。
【0029】
以上のような第1領域A1は、絶縁体層14a~14cを上下方向に貫通する貫通孔に金属のメッキが施されることにより形成される。金属は、例えば、銅である。第2領域A2は、金属のメッキが施された貫通孔に導電性ペーストが充填され、導電性ペーストが焼成されることにより形成される。
【0030】
電子部品100は、多層基板11の実装電極E1~E9に実装されている。電子部品100は、動作時に熱を発する素子である。電子部品100は、例えば、IC(Integrated Circuit)である。電子部品100は、例えば、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)、CPU(Central Processing Unit)、電源ICである。電子部品100は、部品本体102及び外部電極B1~B9を備えている。部品本体102は、直方体形状を有している。外部電極B1~B9は、部品本体102の下面に位置している。外部電極B1~B9は、3×3の行列状に配列されている。外部電極B1~B9のそれぞれは、実装電極E1~E9に接続されている。外部電極B1~B9は、電源電圧又はグランド電位が接続される電極、又は、高周波信号が入出力する電極である。本実施形態では、外部電極B4は、電源電圧又はグランド電位が接続される電極である。
【0031】
ここで、第1層間接続導体V1は、大面積第1層間接続導体である。上下方向(Z軸方向)に見て、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)の面積は、第1層間接続導体v1a,v1b、第2層間接続導体v2a~v2fの面積より大きい。そして、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、導体層18a(第1導体層)と直接に接続されている。従って、第1層間接続導体V1の上端は、導体層18aに接触している。そして、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、上下方向(Z軸方向)に見て、電子部品100と重なっている重複部分P1及び電子部品100と重なっていない非重複部分P2を有している。
【0032】
また、第1層間接続導体V1は、導体層18aを介して外部電極B4に電気的に接続されている。外部電極B4は、電源電圧又はグランド電位が接続される電極である。そのため、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)には、電源電圧又はグランド電位が接続される。
【0033】
[効果]
(a)多層基板11によれば、放熱性能が低下することを抑制しつつ、積層体12の下面に熱が伝達することを抑制できる。より詳細には、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、導体層18a(第1導体層)と直接に接続されている。これにより、電子部品100が発生した熱は、導体層18aを介して第1層間接続導体V1へと伝達される。ここで、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、第1領域A1と、第1領域A1の熱伝達率より低い熱伝達率を有している第2領域A2であって、第1領域A1より下に位置する第2領域A2と、を含んでいる。これにより、第1層間接続導体V1に伝達された熱が、第1領域A1から第2領域A2へと伝達されることが抑制される。そのため、電子部品100が発生した熱は、積層体12の下面に伝達されることが抑制される。
【0034】
更に、上下方向に見て、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)の面積は、第2層間接続導体v2a~v2cの面積より大きい。これにより、電子部品100が発生した熱が第1層間接続導体V1に伝達されたときに、熱が第1領域A1において前後方向及び左右方向に伝達される。これにより、多層基板11において、放熱性能が低下することが抑制される。
【0035】
(b)多層基板11では、第2層間接続導体v2a~v2fの面積は、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)の面積より小さい。このように小さな第2層間接続導体v2a~v2fが用いられることにより、多層基板11内の配線密度を高くすることができる。
【0036】
(c)多層基板11は、可撓性を有している。これにより、多層基板11を屈曲させて、電子機器1内の部材に沿って配置させることができる。これにより、電子部品100が発生した熱は、多層基板11から電子機器1内の部材に伝達される。その結果、多層基板11の放熱性が向上する。
【0037】
(d)多層基板11によれば、以下の理由によっても、多層基板11の放熱性が向上する。より詳細には、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、上下方向に見て、電子部品100と重なっている重複部分P1及び電子部品100と重なっていない非重複部分P2を有している。これにより、第1層間接続導体V1に伝達された熱は、上下方向に見て、積層体12において電子部品100と重ならない部分に伝達される。よって、積層体12から大気中に熱が放射されることが、電子部品100により妨げられにくくなる。
【0038】
(e)多層基板11では、第1層間接続導体V1には、例えば、電源電圧又はグランド電位が接続される。第1層間接続導体V1の抵抗値が低いので、第1層間接続導体V1の発熱を抑制できる。また、電源電圧又はグランド電位が接続される導体では、特性インピーダンスを所望の特性インピーダンス(例えば50Ω)に一致させる必要がない。そのため、大きな面積を有する第1層間接続導体V1を電源電圧又はグランド電位が接続される導体に適用することが容易である。
【0039】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係る多層基板11aについて図面を参照しながら説明する。図3は、多層基板モジュール10aの断面図である。
【0040】
多層基板11aは、以下の点において多層基板11と相違する。
・第2層間接続導体v2a~v2cは、第1領域A1の熱伝導率より低い熱伝導率を有している。
・多層基板11aは、第2層間接続導体v2d~v2の代わりに第3層間接続導体v3a~v3cを備えている。第3層間接続導体v3a~v3cは、第1領域A1の熱伝達率より低い熱伝達率を有している。
【0041】
第2層間接続導体v2a~v2cの材料及び第3層間接続導体v3a~v3cの材料は、例えば、錫及び銅の合金や、錫及び銀の合金である。第2層間接続導体v2a~v2c及び第3層間接続導体v3a~v3cは、貫通孔に導電性ペーストが充填され、導電性ペーストが焼成されることにより形成される。多層基板11aのその他の構造は、多層基板11と同じであるので説明を省略する。多層基板11aは、(a)~(e)の効果を奏することができる。
【0042】
(f)多層基板11aによれば、積層体12の下面に熱が伝達することを抑制できる。より詳細には、第3層間接続導体v3a~v3cは、中間面Sより下(Z軸の負方向)に位置している。そして、第3層間接続導体v3a~v3cは、第1領域A1の熱伝達率より低い熱伝達率を有している。これにより、熱は、第3層間接続導体v3a~v3cを介して積層体12の下面に伝達されにくくなる。
【0043】
(第2変形例)
以下に、第2変形例に係る多層基板11bについて図面を参照しながら説明する。図4は、多層基板モジュール10bの断面図である。
【0044】
多層基板11bは、第1層間接続導体v1a,v1bの代わりに第2層間接続導体v2g,v2hを備えている点において多層基板11aと相違する。第2層間接続導体v2g,v2hの熱伝導率は、第1層間接続導体v1a,v1bの熱伝導率と異なる。具体的には、第2層間接続導体v2g,v2hは、第1領域A1の熱伝達率より低い熱伝達率を有している。第2層間接続導体v2g,v2hの材料は、例えば、錫及び銅の合金や、錫及び銀の合金である。第2層間接続導体v2g,v2hは、貫通孔に導電性ペーストが充填され、導電性ペーストが焼成されることにより形成される。多層基板11bのその他の構造は、多層基板11aと同じであるので説明を省略する。多層基板11は、(a)~(f)の効果を奏することができる。
【0045】
(第3変形例)
以下に、第3変形例に係る多層基板11cについて図面を参照しながら説明する。図5は、多層基板モジュール10cの断面図である。
【0046】
多層基板11cは、以下の点において多層基板11と相違する。
・多層基板11cは、第2層間接続導体v2a~v2fの代わりに第4層間接続導体v4a~v4fを備えている。
・積層体12は、絶縁体層14cの下に位置する絶縁体層14dを更に備えている。
・多層基板11cは、第5層間接続導体v5a~v5cを更に備えている。
【0047】
ここで、積層体12を上下方向(Z軸方向)に3等分して得られる領域を正領域A11、中間領域A12及び負領域A13とする。正領域A11、中間領域A12及び負領域A13は、下方向(Z軸の負方向)に向かってこの順に並んでいる。第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、正領域A11に位置している。より正確には、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)の全体は、正領域A11に位置している。
【0048】
第4層間接続導体v4a~v4cは、絶縁体層14b(複数の絶縁体層の内の1つ)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。第4層間接続導体v4d~v4fは、絶縁体層14c(複数の絶縁体層の内の1つ)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。第4層間接続導体v4a~v4fは、中間領域A12に位置している。より正確には、第4層間接続導体v4a~v4fの一部分は、中間領域A12に位置している。第4層間接続導体v4a~v4fは、第1領域A1の熱伝達率より低い熱伝達率を有している。
【0049】
第5層間接続導体v5a~v5cは、絶縁体層14d(複数の絶縁体層の内の1つ)を上下方向(Z軸方向)に貫通している。第5層間接続導体v5a~v5cは、負領域A13に位置している。より正確には、第5層間接続導体v5a~v5cの全体は、負領域A13に位置している。第5層間接続導体v5a~v5cは、第2領域A2の熱伝達率より高い熱伝達率を有している。第5層間接続導体v5a~v5cのそれぞれは、第1領域A1及び第2領域A2を含んでいる。多層基板11cのその他の構造は、多層基板11と同じであるので説明を省略する。多層基板11cは、(a)~(f)の効果を奏することができる。
【0050】
(g)多層基板11cによれば、多層基板11cの下主面に熱源が接している場合に、熱は、第5層間接続導体v5a~v5cにより多層基板11c内に拡散される。これにより、多層基板11cの放熱性が向上する。
【0051】
(h)多層基板11cによれば、第5層間接続導体v5a~v5cは、第1層間接続導体v1a,v1bと上下対称な構造を有している。これにより、多層基板11cの全体の構造が上下対称な構造に近づく。その結果、多層基板11cに反りが発生することが抑制される。
【0052】
(第4変形例)
以下に、第4変形例に係る多層基板11dについて図面を参照しながら説明する。図6は、多層基板モジュール10dの断面図である。
【0053】
多層基板11dは、積層体12、保護層16第1層間接続導体V1,v1a,v1b及び第2層間接続導体V2,v2a,v2bを備えている。積層体12は、絶縁体層14a,14bが上下方向に積層された構造を有している。第1層間接続導体V1,v1a,v1bは、絶縁体層14aを上下方向に貫通している。
【0054】
第2層間接続導体V2,v2a,v2bは、絶縁体層14bを上下方向に貫通している。第2層間接続導体V2,v2a,v2bは、第1層間接続導体V1,v1a,v1bと上下対称な構造を有している。第2層間接続導体V2,v2a,v2bのそれぞれは、第1層間接続導体V1,v1a,v1bと電気的に接続されている。
【0055】
以上のような多層基板11dは、(a)~(e)の効果を奏することができる。また、多層基板11dは、多層基板11cよりも少ない層数により(g)、(h)の効果を奏することができる。
【0056】
(第5変形例)
以下に、第5変形例に係る多層基板11eについて図面を参照しながら説明する。図7は、多層基板モジュール10eの断面図である。
【0057】
多層基板11eは、以下の点において多層基板11aと相違する。
・多層基板11eは、第2層間接続導体v2aの代わりに第2層間接続導体V2を備えている。
・第2層間接続導体v2b,v2cの熱伝導率が第2領域A2の熱伝導率より高い。
第2層間接続導体V2は、第1層間接続導体V1と同じ構造を備えている。従って、第2層間接続導体V2は、第1領域A1及び第2領域A2を含んでいる。第2層間接続導体V2の上端は、導体層19aに接続されている。第2層間接続導体V2は、上下方向に見て第1層間接続導体V1と重なる部分、及び、上下方向に見て第1層間接続導体V1と重ならない部分を備えている。
【0058】
第2層間接続導体v2b,v2cのそれぞれは、第1領域A1及び第2領域A2を含んでいる。多層基板11eのその他の構造は、多層基板11aと同じであるので説明を省略する。多層基板11eは、(a)~(f)の効果を奏することができる。
【0059】
また、多層基板11eは、上下方向に見て、大きな面積を有する第2層間接続導体V2を備えているので、多層基板11eの放熱性が向上する。また、多層基板11eでは、第2層間接続導体V2は、上下方向に見て第1層間接続導体V1と重なる部分、及び、上下方向に見て第1層間接続導体V1と重ならない部分を備えている。これにより、熱は、第1層間接続導体V1から第2層間接続導体V2において上下方向に見て第1層間接続導体V1と重なる部分へと伝達される。更に、熱は、第2層間接続導体V2において上下方向に見て第1層間接続導体V1と重なる部分から第2層間接続導体V2において上下方向に見て第1層間接続導体V1と重ならない部分へと伝達される。すなわち、熱は、積層体12において左右方向及び前後方向に伝達される。これにより、多層基板11eの放熱性が向上する。
【0060】
(第6変形例)
以下に、第6変形例に係る多層基板11fについて図面を参照しながら説明する。図8は、多層基板モジュール10fの断面図である。
【0061】
多層基板11fは、第2層間接続導体V2の全体が上下方向に見て第1層間接続導体V1の全体と重なっている点において多層基板11eと相違する。多層基板11fのその他の構造は、多層基板11と同じであるので説明を省略する。多層基板11fは、(a)~(f)の効果を奏することができる。また、多層基板11fは、上下方向に見て、大きな面積を有する第2層間接続導体V2を備えているので、多層基板11fの放熱性が向上する。
【0062】
(第7変形例)
以下に、第7変形例に係る多層基板11gについて図面を参照しながら説明する。図9は、多層基板モジュール10gの断面図である。
【0063】
多層基板11gのように、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)の全体は、上下方向に見て、電子部品100と重なっていてもよい。このような多層基板11gは、(a)~(f)の効果を奏することができる。
【0064】
(第8変形例)
以下に、第8変形例に係る多層基板11hについて図面を参照しながら説明する。図10は、多層基板モジュール10hの断面図である。
【0065】
多層基板11hのように、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、導体層18b(第1導体層)と直接に接続されていなくてもよい。従って、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、導体層18b(第1導体層)と導体を介して接続されてもよい。導体は、導体層19及び層間接続導体v0a,v0bである。層間接続導体v0a,v0bは、絶縁体層14aを上下方向に貫通し、かつ、導体層18bと導体層19とを接続している。このような多層基板11hは、(a)~(f)の効果を奏することができる。
【0066】
(第9変形例)
以下に、第変形例に係る多層基板11について図面を参照しながら説明する。図11は、多層基板モジュール10iの断面図である。
【0067】
多層基板11iのように、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、上下方向に見て、電子部品100と重なっていなくてもよい。これにより、熱は、第1層間接続導体V1により電子部品100から離れた位置に拡散される。その結果、多層基板11iの放熱性が向上する。また、多層基板11iは、(a)~(f)の効果を奏することができる。
【0068】
(第10変形例)
以下に、第10変形例に係る多層基板11jについて図面を参照しながら説明する。図12は、多層基板モジュール10jの断面図である。
【0069】
多層基板11jのように、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、導体層18a(第1導体層)と直接に接続されていなくてもよい。従って、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、導体層18a(第1導体層)と導体を介して接続されてもよい。導体は、導体層19a及び層間接続導体v0aである。層間接続導体v0aは、絶縁体層14aを上下方向に貫通し、かつ、第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)と導体層19aとを接続している。このような多層基板11hは、(a)~(f)の効果を奏することができる。
【0070】
(第11変形例)
以下に、第11変形例に係る多層基板11kについて図面を参照しながら説明する。図13は、多層基板モジュール10kの断面図である。
【0071】
多層基板11kは、層間接続導体v0a~v0cの熱伝導率が第2領域A2の熱伝導率より高い点において多層基板11jと相違する。層間接続導体v0a~v0cの材料は、例えば、銅である。これにより、電子部品100が発生した熱は、層間接続導体v0a~v0cを介して第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)へと効率的に伝達される。このような多層基板11kは、(a)~(f)の効果を奏することができる。
【0072】
(第12変形例)
以下に、第12変形例に係る多層基板11lについて図面を参照しながら説明する。図14は、多層基板モジュール10lの断面図である。図15は、多層基板11lの上面図である。
【0073】
多層基板11lのように、導体層18aは、アンテナANTを有していてもよい。第1層間接続導体V1(大面積第1層間接続導体)は、導体層18aに接続されている。第1層間接続導体V1は、電子部品100とアンテナANTとの間の電流経路に位置している。そのため、電子部品100とアンテナANTとの間の電流経路の抵抗値が低下する。その結果、電子部品100とアンテナANTとの間の電流経路における発熱が抑制される。このような多層基板11lは、(a)~(f)の効果を奏することができる。
【0074】
また、アンテナANTの面積が大きいので、アンテナANTから熱が効率よく放射される。
【0075】
(第13変形例)
以下に、第13変形例に係る多層基板11mについて図面を参照しながら説明する。図16は、多層基板モジュール10mの上面図である。
【0076】
多層基板11mは、第1層間接続導体V1の形状において多層基板11lと相違する。より詳細には、多層基板11lでは、第1層間接続導体V1は、上下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。一方、多層基板11mでは、第1層間接続導体V1は、上下方向に見て、複数の円が左右方向に一列に連なった形状を有している。このような第1層間接続導体V1は、ドリルやレーザビームの照射により円形状の複数の孔が形成されることにより、形成される。多層基板11mは、多層基板11lと同じ作用効果を奏することができる。
【0077】
(第14変形例)
以下に、第14変形例に係る多層基板11nについて図面を参照しながら説明する。図17は、電子機器1nの断面図である。
【0078】
多層基板11nは、複数の導体層がアンテナ導体層50a,50bを含んでいる点において多層基板11と相違する。積層体12の下主面(負主面)からアンテナ導体層50a,50bまでの距離は、積層体12の上主面(正主面)からアンテナ導体層50a,50bまでの距離より短い。そして、積層体12の下主面から筐体120までの距離は、積層体12の上主面から筐体120までの距離より短い
【0079】
更に、筐体120から積層体12の下主面(負主面)までの距離は、筐体120から積層体12の上主面(正主面)までの距離より短い。これにより、電子部品100が発生した熱が筐体120に伝わることが抑制される。
【0080】
(その他の実施形態)
本発明に係る多層基板は、多層基板11,11a~11nに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。また、多層基板11,11a~11nの構造が任意に組み合わされてもよい。
【0081】
なお、多層基板は、1つの大面積第1層間接続導体を備えている。しかしながら、多層基板は、複数の大面積第1層間接続導体を備えていてもよい。この場合、複数の大面積第1層間接続導体が正領域A11に位置していてもよい。また、複数の大面積第1層間接続導体の全てが第1導体層に接続されていてもよいし、複数の大面積第1層間接続導体の内の1以上が第1導体層に接続されていてもよい。
【0082】
なお、多層基板は、3つの第3層間接続導体を備えている。しかしながら、多層基板は、1つ以上の第3層間接続導体を備えていてもよい。
【0083】
なお、多層基板は、6つの第4層間接続導体を備えている。しかしながら、多層基板は、1つ以上の第4層間接続導体を備えていてもよい。
【0084】
なお、多層基板は、3つの第5層間接続導体を備えている。しかしながら、多層基板は、1つ以上の第5層間接続導体を備えていてもよい。
【0085】
なお、複数の導体層がアンテナを有していてもよい。
【0086】
なお、図2の第1層間接続導体V1のように、第1層間接続導体V1は、上下方向に見て、長方形状を有している。しかしながら、第1層間接続導体V1は、上下方向に見て、長方形状以外の形状でもよい。第1層間接続導体V1は、上下方向に見て、例えば、多角形状や円形等であってもよし、外縁に凹凸を有する形状であってもよい。
【0087】
なお、アンテナANTは、パッチアンテナであってもよいし、ダイポールアンテナであってもよいし、モノポールアンテナであってもよいし、スロットアンテナであってもよい。
【0088】
なお、第2層間接続導体は、第1層間接続導体が設けられている第1絶縁体層に設けられていてもよい。
【0089】
なお、多層基板は、積層体12の下主面を覆う保護層を更に備えていてもよい。
【0090】
(1)
Z軸の正方向に位置する正主面及び前記Z軸の負方向に位置する負主面を有する複数の絶縁体層がZ軸方向に積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられている複数の導体層であって、前記複数の絶縁体層の内のZ軸の最も正方向に位置する絶縁体層の正主面に位置する実装電極を有している第1導体層を含んでいる複数の導体層と、
前記複数の絶縁体層の内の1つである第1絶縁体層を前記Z軸方向に貫通し、かつ、前記第1絶縁体層の前記正主面及び前記負主面に位置する2つの前記導体層を接続する1以上の第1層間接続導体と、
前記複数の絶縁体層の内の1つを前記Z軸方向に貫通する第2層間接続導体と、
を備えており、
前記1以上の第1層間接続導体のそれぞれは、
第1領域と、
前記第1領域の熱伝達率より低い熱伝達率を有している第2領域であって、前記第1領域より前記Z軸の負方向に位置する第2領域と、
を含んでおり、
前記Z軸方向に見て、前記1以上の第1層間接続導体の内の少なくとも1つである大面積第1層間接続導体の面積は、前記第2層間接続導体の面積より大きい、
多層基板。
【0091】
(2)
1以上の前記大面積第1層間接続導体は、前記第1導体層と導体を介して接続されている、又は、前記第1導体層と直接に接続されている、
(1)に記載の多層基板。
【0092】
(3)
前記積層体の前記Z軸方向の中央に位置し、かつ、前記Z軸方向に直交する面を中間面とし、
前記1以上の大面積第1層間接続導体は、前記中間面より前記Z軸の正方向に位置している、
(1)又は(2)に記載の多層基板。
【0093】
(4)
前記積層体の前記Z軸方向の中央に位置し、かつ、前記Z軸方向に直交する面を中間面とし、
前記多層基板は、
前記複数の絶縁体層の内の1つを前記Z軸方向に貫通する1以上の第3層間接続導体であって、前記中間面より前記Z軸の負方向に位置する1以上の第3層間接続導体を、
更に備えており、
前記1以上の第3層間接続導体は、前記第1領域の熱伝達率より低い熱伝達率を有している、
(1)ないし(3)のいずれかに記載の多層基板。
【0094】
(5)
前記積層体を前記Z軸方向に3等分して得られる領域を正領域、中間領域及び負領域とし、
前記正領域、前記中間領域及び前記負領域は、前記Z軸の負方向に向かってこの順に並んでおり、
前記1以上の大面積第1層間接続導体は、前記正領域に位置している、
(1)に記載の多層基板。
【0095】
(6)
前記多層基板は、
前記複数の絶縁体層の内の1つを前記Z軸方向に貫通する1以上の第4層間接続導体であって、前記中間領域に位置する1以上の第4層間接続導体を、
更に備えており、
前記1以上の第4層間接続導体は、前記第1領域の熱伝達率より低い熱伝達率を有しており、
(5)に記載の多層基板。
【0096】
(7)
前記多層基板は、
前記複数の絶縁体層の内の1つを前記Z軸方向に貫通する1以上の第5層間接続導体であって、前記負領域に位置する1以上の第5層間接続導体を、
更に備えており、
前記1以上の第5層間接続導体は、前記第2領域の熱伝達率より高い熱伝達率を有している、
(6)に記載の多層基板。
【0097】
(8)
前記1以上の大面積第1層間接続導体に接続されている導体層の少なくとも1つは、アンテナを有している、
(1)ないし(7)のいずれかに記載の多層基板。
【0098】
(9)
前記積層体は、可撓性を有している、
(1)ないし(8)のいずれかに記載の多層基板。
【0099】
(10)
前記複数の導体層は、アンテナ導体層を含んでおり、
前記負主面から前記アンテナ導体層までの距離は、前記正主面から前記アンテナ導体層までの距離より短い、
(1)ないし(7)及び(9)のいずれかに記載の多層基板。
【0100】
(11)
前記1以上の大面積第1層間接続導体の少なくとも1つは、前記第1導体層に直接に接続されている、
(1)ないし(10)のいずれかに記載の多層基板。
【0101】
(12)
前記1以上の大面積第1層間接続導体には、電源電圧又はグランド電位が接続される、
(1)ないし(11)のいずれかに記載の多層基板。
【0102】
(13)
(1)ないし(12)のいずれかに記載の前記多層基板と、
前記実装電極に実装されている電子部品と、
を備えている、
多層基板モジュール。
【0103】
(14)
前記1以上の大面積第1層間接続導体の少なくとも1つは、前記Z軸方向に見て、前記電子部品と重なっている重複部分及び前記電子部品と重なっていない非重複部分を有している、
(13)に記載の多層基板モジュール。
【0104】
(15)
前記電子部品は、RFICである、
(13)又は(14)に記載の多層基板モジュール。
【0105】
(16)
(13)ないし(15)に記載の前記多層基板モジュールを、
備えている、
電子機器。
【0106】
(17)
前記電子機器は、
前記多層基板モジュールを収容している筐体を、
更に備えており、
前記筐体から前記負主面までの距離は、前記筐体から前記正主面までの距離より短い、
(16)に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0107】
1,1n:電子機器
10,10a~10n:多層基板モジュール
11,11a~11n:多層基板
12:積層体
14a~14d:絶縁体層
16:保護層
18a~18h,19a~19f:導体層
50a,50b:アンテナ導体層
100:電子部品
102:部品本体
120:筐体
A1:第1領域
A11:正領域
A12:中間領域
A13:負領域
A2:第2領域
ANT:アンテナ
B1~B9:外部電極
E1~E9:実装電極
P1:重複部分
P2:非重複部分
S:中間面
V1,v1a,v1b:第1層間接続導体
V2,v2a~v2f:第2層間接続導体
v3a:第3層間接続導体
v4a,v4d:第4層間接続導体
v5a:第5層間接続導体
図1
図2
図3
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