(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】頭部装着ディスプレイデバイス用の光学システム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20241210BHJP
G02B 25/00 20060101ALI20241210BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B25/00
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2022520206
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(86)【国際出願番号】 US2020058831
(87)【国際公開番号】W WO2021091975
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-09-28
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517160525
【氏名又は名称】バルブ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハッドマン、ジョシュア マーク
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-261556(JP,A)
【文献】国際公開第2018/158347(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/147811(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/213010(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090514(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0041644(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0171023(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/02
G02B 27/01
G02B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部装着ディスプレイデバイスであって、
空洞を含むフレームと、
前記フレームに結合され、視覚的コンテンツをユーザに知覚させるための虚像光を生成するように構成された虚像ディスプレイデバイスと、
前記フレーム
の前記空洞に選択的に取り外し可能に挿入可能であり、前記空洞に挿入されたとき、前記虚像光の光線の光路に沿って位置付けられ
る光学システム
と
を備え、
前記光学システムが、
左側光学サブシステムおよび右側光学サブシステムを有する第1の矯正部分
と、
前記光学システムの外側表面に露出される1または複数の電気接点と
を有し、
前記第1の矯正部分の前記左側光学サブシステムおよび前記右側光学サブシステムのそれぞれが、
1または複数のアクチュエータと、
前記光路に沿った第1の位置に配置された、視覚状態の第1のセットを矯正する第1の光学特性を有するレンズの第1のセット
と
を含んでおり、
前記レンズの第1のセットのうちの第1のレンズおよび第2のレンズのうちの少なくとも一方のレンズが、前記第1の光学特性を修正するように、前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの他方のレンズに対して、前記光路に対して横断方向にある第1の軸線に沿って
、前記1または複数のアクチュエータによって選択的に調整可能であ
り、
前記1または複数の電気接点は、前記フレームの前記空洞内の対応する電気接点と係合して電気接続を確立するようにサイズ設定および形状設定されており、この電気接続を通して信号および電力が前記光学システムの前記1または複数のアクチュエータに伝送され得る、
頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記視覚状態の第1のセットが、近視または遠視の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記1または複数のアクチュエータが、前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの少なくとも一方のレンズに動作可能に結合されていて、前記第2のレンズに対する前記第1のレンズの、前記第1の軸線に沿った相対位置を選択的に調整するように構成されてい
る、請求項1または2に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記第1の光学特性を修正するように、前記第1のレンズが、前記第1の軸線に沿って前記第2のレンズに対して選択的に調整可能であり、前記第2のレンズが、前記光路に対して横断方向にある第2の軸線に沿って、前記第1のレンズに対して選択的に調整可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記第1の矯正部分の前記左側光学サブシステムおよび前記右側光学サブシステムのそれぞれが、前記光路に沿った第2の位置に配置された、視覚状態の第2のセットを矯正する第2の光学特性を有するレンズの第2のセットをさらに含んでおり、前記レンズの第2のセットのうちの第1のレンズおよび第2のレンズのうちの少なくとも一方のレンズが、前記第2の光学特性を修正するように、前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの他方のレンズに対して、前記第1の軸線に対して横断方向にある第2の軸線を中心として
、前記1または複数のアクチュエータによって選択的に回転可能である、請求項1から4のいずれか一項に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記視覚状態の第2のセットが、乱視を含む、請求項5に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記1または複数のアクチュエータが、
前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの少なくとも一方のレンズに動作可能に結合されていて、前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの前記少なくとも一方のレンズの、前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの他方のレンズに対する、前記第1の軸線に沿った相対位置を選択的に調整するように構成された第1のアクチュエータと、
前記レンズの第2のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの前記少なくとも一方のレンズに結合されていて、前記レンズの第2のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの前記少なくとも一方のレンズの、前記レンズの第2のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの他方のレンズに対する、前記第2の軸線を中心とした角度位置を選択的に調整するように構成されている第2のアクチュエータと
を備える、請求項5に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項8】
ユーザ入力を受信するように構成された通信インターフェースと、
前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータに電気的に結合されていて、前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの前記少なくとも一方のレンズの
前記相対位置、および前記レンズの第2のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの前記少なくとも一方のレンズの前記角度位置を、前記ユーザ入力に基づきそれぞれ調整するように、前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータを制御するように構成されたコントローラと
をさらに備える、請求項7に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記ユーザ入力が、前記ユーザの光学処方を特定する、請求項8に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記第1のアクチュエータおよび前記第2のアクチュエータのうちの少なくとも一方のアクチュエータの状態をそれぞれ示すエントリのセットを記憶するデータを記憶しているメモリをさらに含んでおり、前記コントローラが、前記ユーザ入力を受信したことに応答して、前記ユーザ入力において特定された情報に基づき前記エントリのセットのうちのエントリにアクセスし、前記エントリに示された前記状態に応じて、前記第1のアクチュエータまたは前記第2のアクチュエータを制御するようにさらに構成されている、請求項8に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記レンズの第2のセットのうちの前記第1のレンズが、前記レンズの第2のセットのうちの前記第2のレンズに対して選択的に回転可能であり、前記レンズの第2のセットのうちの前記第2のレンズが、前記レンズの第2のセットのうちの前記第1のレンズに対して選択的に回転可能である、請求項5に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの前記少なくとも一方のレンズの位置を、前記第1の軸線に沿って選択的に調整するためにユーザにより操作可能な、前記フレームの外部に配設された第1のユーザ入力デバイスと、
前記レンズの第2のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの前記少なくとも一方のレンズの角度位置を、前記第2の軸線を中心として選択的に調整するために前記ユーザにより操作可能な、前記フレームの前記外部に配設された第2のユーザ入力デバイスと
をさらに備える、請求項5に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記光学システムが、
前記1または複数のアクチュエータに制御信号を送信するように動作可能なコントローラを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項14】
前記レンズの第1のセットが、1つまたは複数のアルバレスレンズを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の頭部装着ディスプレイデバイス。
【請求項15】
光学システムであって、
対応する頭部装着ディスプレイデバイス
の空洞に、選択的に取り外し可能に組み込まれるようにサイズ設定および形状設定されたフレームであって、頭部装着ディスプレイ
デバイスに前記フレームを組み込むために、前記頭部装着ディスプレイ
デバイスの対応する部分と選択的に係合する取り付け部分を含むフレームと、
前記頭部装着ディスプレイ
デバイスに組み込まれたときに虚像光を受信する受信部分、修正された虚像光を前記光学システムから放出する放出部分、および前記受信部分と前記放出部分との間で前記虚像光の光路に位置付けられた視覚矯正部分を有する
、前記フレームによって保持された光学サブシステムであって、前記視覚矯正部分が、ユーザの視覚状態を矯正するために前記虚像光を修正するように構成されており、左側光学サブシステムおよび右側光学サブシステムを含む第1の矯正部分を有しており、前記左側光学サブシステムおよび前記右側光学サブシステムのそれぞれが、
1または複数のアクチュエータと、
前記光路に沿った第1の位置に配置された、視覚状態の第1のセットを矯正する第1の光学特性を有するレンズの第1のセット
とを含んでおり、前記レンズの第1のセットのうちの第1のレンズおよび第2のレンズのうちの少なくとも一方のレンズが、前記第1の光学特性を修正するように、前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの他方のレンズに対して、前記光路に対して横断方向にある第1の軸線に沿って
、前記1または複数のアクチュエータによって選択的に調整可能である、光学サブシステムと
、
前記フレームの外側表面に露出しており、前記対応する頭部装着ディスプレイデバイスの前記空洞内の対応する電気接点と係合して電気接続を確立するようにサイズ設定および形状設定されており、この電気接続を通して信号および電力が前記光学サブシステムの前記1または複数のアクチュエータに伝送され得る、1または複数の電気接点と、
を備える光学システム。
【請求項16】
前記視覚状態の第1のセットが、近視または遠視の少なくとも1つを含む、請求項15に記載の光学システム。
【請求項17】
前記第1の光学特性を修正するために、前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの前記少なくとも一方のレンズの位置を、前記第1の軸線に沿って選択的に調整するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項15
または16に記載の光学システム。
【請求項18】
前記コントローラが、ユーザ入力を受信したことに応答して、前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの前記少なくとも一方のレンズの前記位置を、前記第1の軸線に沿って選択的に調整するように構成されている、請求項
17に記載の光学システム。
【請求項19】
ユーザ入力に対応した入力信号を受信するために前記頭部装着ディスプレイ
デバイスの対応するインターフェースに係合するように構成された、前記フレームの外部に設けられた入力インターフェースであって、前記コントローラに電気的に結合された入力インターフェースをさらに備えており、前記コントローラが、前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの前記少なくとも一方のレンズの前記位置を、受信した前記入力信号に基づき、選択的に調整するように構成されている、請求項
18に記載の光学システム。
【請求項20】
前記左側光学サブシステムおよび前記右側光学サブシステムのそれぞれが、前記光路に沿った第2の位置に配置された、視覚状態の第2のセットを矯正する第2の光学特性を有するレンズの第2のセットであって、前記レンズの第2のセットのうちの第1のレンズおよび第2のレンズのうちの少なくとも一方のレンズが、前記第2の光学特性を修正するように、前記レンズの第2のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの他方のレンズに対して、前記第1の軸線に対して横断方向にある第2の軸線を中心として選択的に回転可能である、レンズの第2のセットをさらに含む、請求項15から
19のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項21】
前記レンズの第1のセットのうちの前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの前記少なくとも一方のレンズの位置を、前記第1の軸線に沿って選択的に調整するためにユーザにより操作可能な、前記フレームの外部に配設された第1のユーザ入力デバイスをさらに備える、請求項15から
20のいずれか一項に記載の光学システム。
【請求項22】
前記第1のレンズおよび前記第2のレンズのうちの少なくとも一方が、アルバレスレンズである、請求項15から
21のいずれか一項に記載の光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、頭部装着ディスプレイデバイス用の光学システムに関する。
【背景技術】
【0002】
頭部装着ディスプレイデバイス(HMD)は、ユーザの頭部に装着されるディスプレイデバイスであり、視覚的コンテンツをユーザに提示するための1つまたは複数のディスプレイユニットを有している。HMDは、仮想現実(VR)もしくは拡張現実(AR)の体験を提供するため、またはゲームもしくは視聴覚媒体の提示を容易にするために普及してきている。ディスプレイユニットは、典型的には小型化されており、たとえばCRT、LCD、液晶オンシリコン(LCos)、またはOLEDの技術を含んでいてよい。一部のHMDは双眼であり、それぞれの目に異なる画像を表示できる可能性を有している。この機能は、立体画像を表示して、より没入感の高いユーザ体験を提示するために使用される。
既存のHMDは、ユーザの視力不良または視力不足を考慮していない。たとえば、乱視、近視、または遠視(老眼としても知られている)のある人は、これらの状態のうちの1つまたは複数を矯正するために眼鏡を着用することがある。しかし、以前に実装されたHMDは、これらの状態を矯正するように虚像光を適合させることなく、ユーザに対して視覚的コンテンツを表示する。少なくともいくつかのHMDは、ユーザの目の前またはその周りに、視覚矯正眼鏡とHMDとをユーザが着用できるようにする十分な空間を有していない。その結果、視力不良または視力不足を抱えた眼鏡を着用するユーザにとって、視覚的コンテンツは、焦点が合っていないか不明瞭に見えることがあり、全体的なユーザ体験を損ねるおそれがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
頭部装着ディスプレイは、虚像ディスプレイユニットと、受信した虚像光を修正してユーザの1つまたは複数の視覚状態を矯正するための光学システムとを含むものとして、要約されてよい。
光学システムは、左側光学サブシステムと右側光学サブシステムとを含んでおり、これらのサブシステムは、左目および右目の視覚状態を矯正するために、虚像ディスプレイから受信した虚像光を修正するようにそれぞれ動作可能である。左側光学サブシステムおよび右側光学サブシステムのそれぞれは、第1の矯正部分および第2の矯正部分を含んでいる。第1の矯正部分および第2の矯正部分は、1つまたは複数の視覚状態を矯正するように、独立して選択的に調整可能である。第1の矯正部分は、視覚状態の第1のセットを矯正するように選択的に調整可能であり、第2の矯正部分は、視覚状態の第2のセットを矯正するように選択的に調整可能である。
【0004】
光学システムは、ユーザの目の近視、遠視、および乱視を矯正するために、虚像光を修正するように動作可能である。
第1の矯正部分および第2の矯正部分のうちの一方は、虚像光の光路に沿って順番に配置されたレンズの第1のセットを含んでいる。アクチュエータが、レンズの第1のセットのうちの個々のレンズにそれぞれ物理的に結合されており、光路に対して横断方向にある第1の軸線に沿って個々のレンズを動かすように構成されている。レンズの第1のセットは、近視および遠視を含む視覚状態の第1のセットを矯正するために、1つまたは複数のアクチュエータによって選択的に調整可能である。第1の矯正部分および第2の矯正部分のうちの他方は、虚像光の光路に沿って順番に配置されたレンズの第2のセットを含んでいる。アクチュエータが、レンズの第2のセットのうちの個々のレンズにそれぞれ物理的に結合されており、第1の軸線に対して横断方向にある第2の軸線を中心として個々のレンズを回転させるように構成されている。レンズの第2のセットは、乱視を含む視覚状態の第2のセットを矯正するために、1つまたは複数のアクチュエータによって選択的に調整可能である。
【0005】
いくつかの実施形態において、光学システムは、一体型の取り外し不可能な、HMDの一部分である。いくつかの実施形態において、光学システムは、HMDの本体に選択的に組み込み可能で、取り外し可能である。HMDは、光学システムを選択的に受けるための空洞を含んでいてよい。HMDは、ユーザ入力を、HMD自体の入力デバイスを介して受信してもよいし、HMDの通信インターフェースを介して受信してもよい。いくつかの実施形態において、HMDまたは光学システムのコントローラは、レンズの第1のセットに結合されたアクチュエータおよび/またはレンズの第2のセットに結合されたアクチュエータに制御信号を送信して、ユーザの視覚状態を矯正するための所望に位置にレンズを動かすまたは回転させることをアクチュエータに行わせる。いくつかの実施形態において、HMDの機械的入力デバイスを介したユーザ入力は、レンズを動かすまたは回転させることをアクチュエータに行わせる機械的な力を適用してよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】1つまたは複数の実装形態による、光学システムを有する頭部装着ディスプレイを示す頭上平面図である。
【0007】
【
図2】
図1の頭部装着ディスプレイの光学システムの光学サブシステムを示す図である。
【0008】
【
図3】
図2の光学サブシステムのレンズの第1のセットを示す頭上平面図である。
【0009】
【
図4A】一実施形態による光学サブシステムのレンズの第2のセットを示す頭上平面図である。
【
図4B】レンズの第2のセットのうちの1つのレンズを示す前方平面図である。
【0010】
【
図5A】一実施形態による光学サブシステムのレンズの第2のセットを示す頭上平面図である。
【
図5B】
図5Aのレンズの第2のセットを示す前方平面図である。
【0011】
【
図6】
図1の頭部装着ディスプレイの外部を示す頭上斜視図である。
【
図7】頭部装着ディスプレイの概略ブロック図である。
【0012】
【
図8】1つまたは複数の実施形態による、選択的に組み込み可能な光学システムを有する頭部装着ディスプレイの下部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明では、開示される様々な実装形態の完全な理解を実現するために、特定の具体的な詳細事項が記載される。しかし、これらの具体的な詳細事項のうちの1つもしくは複数がなくても、または他の方法、構成要素、材料などを用いても、実装形態を実施できることを、当業者は認識するであろう。他の例において、コンピュータシステム、サーバコンピュータ、および/または通信ネットワークに関連したよく知られた構造は、実装形態の説明を不必要に曖昧にするのを回避するために、詳細に図示または説明されていない。
【0014】
文脈上他の解釈が必要な場合を除き、本明細書および以下の特許請求の範囲の全体を通して、「備える」という語は「含む」の同義語であり、包括的またはオープンエンドである(すなわち、付加的な、記載されていない要素または方法の行為を除外しない)。本明細書において使用する「セット」という用語(たとえば、「品目のセット」)という用語は、別段の記載のない限り、または文脈上矛盾しない限り、1つまたは複数の部材もしくはインスタンスを備える空でない集合と解釈される。
【0015】
本明細書全体を通して「一実装形態」または「実装形態」への言及は、実装形態に関して説明した特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実装形態に含まれることを意味している。したがって、本明細書の全体を通して様々な場所に「一実装形態において」または「実装形態において」という言い回しが出現するが、必ずしも全てが同じ実装形態を参照しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実装形態において、任意の好適な方法で組み合わされてよい。
【0016】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈により別段の明確な規定のない限り、複数の指示対象を含む。「または」という用語は、文脈により別段の明確な規定のない限り、「および/または」を含むその意味で全体的に使用されることにも留意すべきである。
【0017】
本明細書に提示する見出しおよび要約書は、単に便宜上のものであり、実装形態の範囲または意味を解釈するものではない。
【0018】
図1は、1つまたは複数の実施形態による、頭部装着ディスプレイデバイス(HMD)100の頭上平面図を示している。HMD100は、1秒当たり30フレーム(もしくは画像)または1秒当たり90フレームなどの表示速度で提示される対応する動画などを介して、ユーザ104に仮想現実(VR)を提示するように構成されており、その一方で同様のシステムの他の実施形態は、ユーザ104に拡張現実の表示を提示してもよい。HMD100は、ユーザ104の左目105lおよび右目105rに、矯正された虚像光102を提供する。HMD100は、フレーム108に取り付けられているかその中にある1つまたは複数の虚像ディスプレイユニット106を含んでいる。虚像ディスプレイユニット106は、ユーザに視覚的コンテンツを知覚させるための虚像光102を生成する。HMD100は、虚像ディスプレイユニット106の放出側に設けられた左側および右側のレンズのセット107lおよび107rをさらに含んでいてよい。左側および右側のレンズのセット107lおよび107rは、虚像ディスプレイユニット106から虚像光102が放出された後に、それを焦点合わせ、コリメート、または別の態様で修正してよい。左側および右側のレンズのセット107lおよび107rは、たとえば、虚像光102を屈折させるかコリメートするフレネルレンズを含んでいてよい。
【0019】
HMD100は光学システム112も含んでおり、この光学システム112は、ユーザの1つまたは複数の視覚状態を矯正するように選択的に変更可能な光学特性を有している。たとえば、光学システム112は、近視、遠視、および乱視のうちの1つまたは複数を矯正するように選択的に調整可能である。虚像ディスプレイユニット106から放出された虚像光102は、光路126に沿って光学システム112を通過して進み、この光学システム112は、光学システム112の光学特性に応じて虚像光102を修正し、矯正された虚像光114をユーザのそれぞれ左側および右側の目105lおよび105rに放出する。
【0020】
フレーム108は、ユーザ104の頭部でHMD100を支持するための装着構造体である。フレーム108は本体116を含んでおり、本体116は、前部分118と、生成された視覚的コンテンツを見るためにユーザの目105lおよび105rの前に配置される、前部分118の反対側の視認部分120とを有している。HMD100は、ユーザの頭部にHMD100を選択的に装着するための1つまたは複数の支持構造体を含んでいる。たとえば、
図1のHMD100は、ユーザ104の左側および右側の耳124lおよび124rにそれぞれ掛けるための左側および右側のテンプル122lおよび122rを含んでいる。いくつかの実施形態において、HMD100は、本体116に接続されたストラップなど、ユーザ104の後頭部の周りに巻き付ける別の支持構造体を含んでいてもよい。HMD100の鼻組立体(図示せず)は、ユーザ104の鼻で本体116を支持してよい。フレーム108は、ユーザの目105lおよび105rのうちの片方の目の前に光学システム112を配置するように形状設定およびサイズ設定されてよい。フレーム108は、説明を目的として眼鏡と同様に簡略化して示してあるが、実際には、より高性能な構造(たとえば、ゴーグル、一体型ヘッドバンド、ヘルメット、ストラップなど)を使用して、HMD100をユーザ104の頭部で支持しその頭部に配置してもよいことが理解されるべきである。
【0021】
虚像ディスプレイユニット106は虚像光102を生成し、この虚像光102は、光学システム112を通過しこの光学システム112によって選択的に修正される。虚像ディスプレイユニット106は、左目105lに提示する画像光を生成するための左側ディスプレイユニット106lと、右目105rに提示する画像光を生成するための右側ディスプレイユニット106rとを含んでいる。虚像ディスプレイユニット106は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、陰極線管(CRT)、液晶オンシリコン(LCos)、または虚像光102を生成する他の発光技術を含んでいてよい。
図1に示す実施形態の虚像ディスプレイユニット106は、HMD100の前部分に位置付けられており、ユーザ104の目に向かって後方向に光を放出する。いくつかの実施形態において、ユーザ104が視覚的コンテンツを知覚するために、虚像ディスプレイユニット106の発光素子が目105lおよび105rのすぐ前になくてもよいように、虚像ディスプレイユニット106は、虚像光102を目105lまたは105rに向けて導く(たとえば、反射、屈折させる)導波路を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、ユーザ104が外部のコンテンツを知覚して拡張現実体験が実現されるように、本体116の前部分118は、少なくとも部分的に透明であってよい。ここでは図示していないが、HMD100のいくつかの実施形態は、それぞれの目105lおよび105rに対して別々に瞳孔追跡を実施するため、(たとえば、頭部追跡の一部として)頭部の位置および向きを追跡するため、ユーザの身体の様々な他の種類の動きおよび姿勢を追跡するため、(たとえば環境の)外部画像を記録するためのカメラなど、様々な付加的な内部および/または外部のセンサを含んでいてよい。
【0022】
説明した技術は、いくつかの実施形態において、
図1に示してあるディスプレイシステムと同様のディスプレイシステムとともに使用されてよいが、他の実施形態においては、単一の光学レンズおよびディスプレイデバイス、または多数のそのような光学レンズおよびディスプレイデバイスを有するものを含め、他の種類のディスプレイシステムが使用されてもよい。そのような他のデバイスの排他的でない例には、カメラ、望遠鏡、顕微鏡、双眼鏡、スポッティングスコープ、測量スコープなどが含まれる。さらに、説明した技術は、光を放出して画像を形成する多様なディスプレイパネルまたは他のディスプレイデバイスとともに使用されてよく、これらの画像を1人または複数人のユーザが1つまたは複数の光学レンズを通して視認してよい。他の実施形態において、別の光源からの光の一部または全部を反射する表面において作成された画像など、ディスプレイパネルを介する方法以外の方法で作成された1つまたは複数の画像を、ユーザは1つまたは複数の光学レンズを通して視認してもよい。
【0023】
虚像光102は、複数の光線を含んでいてよく、これらの光線は、虚像ディスプレイユニット106のそれぞれから、光路126に沿って光学システム112を通って視認部分120に向かって進む。光学システム112は、複数の光線のうちの一部または全部を修正して、矯正された虚像光114を提供する。光学システム112は、複数の光学サブシステム130を含んでおり、複数の光学サブシステム130は、左目105l用の虚像光102を修正するための左側光学サブシステム130lと、右目105r用の虚像光102を修正するための右側光学サブシステム130rとを含んでいる。左側および右側の光学サブシステム130lおよび130rのそれぞれは、左目105lおよび右目105rの視力不良または視力不足をそれぞれ矯正するように、独立して調整可能であってよい。
【0024】
図2は、1つまたは複数の実施形態による、
図1の光学サブシステム130(たとえば、光学サブシステム130lまたは130r)の図、200を示している。光学サブシステム130は、片目用の虚像光102に対応した初期虚像光204を受信するための受信部分202と、矯正された虚像光114を放出するための放出部分206とを含んでいる。光学サブシステム130は、複数の光線204の光路126(
図1)に沿って第1の位置に位置付けられた第1の矯正部分210と、光路126に沿って第1の位置の下流の第2の位置に位置付けられた第2の矯正部分212とをさらに備えている。第1の矯正部分210および第2の矯正部分212はそれぞれ、レンズのセットを備えており、ユーザ104の視力不足または視力不良を矯正するように動作可能である。第1の矯正部分210は、第2の矯正部分212とは異なる視覚状態のセットを矯正してよい。たとえば、第1の矯正部分210および第2の矯正部分212のうちの一方は、近視または遠視を矯正してよく、その一方で、第1の矯正部分210および第2の矯正部分212のうちの他方は、乱視を矯正する。第1の矯正部分210および/または第2の矯正部分212の光学特性は、電子信号または機械的な力の適用などの刺激を受けた結果として調整されてもよく、これについては以下でさらに詳細に説明する。
図2に関して2つの矯正部分210および212が説明されているが、光学システム112は、いくつかの実施形態において単一の矯正部分を含んでいてもよい。たとえば、光学システム112は、第1の矯正部分210および第2の矯正部分212のうちの一方を、近視および/または遠視を矯正するために含んでいてよく、第1の矯正部分210および第2の矯正部分212のうちの他方は省かれていてもよい。別の例として、光学システム112は、第1の矯正部分210および第2の矯正部分212のうちの一方を、乱視を矯正するために含んでいてよく、第1の矯正部分210および第2の矯正部分212のうちの他方は省かれていてもよい。
【0025】
第1の矯正部分210は、ユーザ104の視覚状態の第1のセットを矯正するために、初期虚像光204に第1の矯正を適用するよう動作可能である。初期虚像光204は、複数の光線205を含んでおり、これらの複数の光線205は、視覚的コンテンツをユーザ104に知覚させるための属性の特定のセット(たとえば、色、方向、輝度)をそれぞれが有している。動作時、第1の矯正部分210は第1の刺激214を受信してよく、この第1の刺激214は、視覚状態の第1のセットに対する矯正として、第1の矯正部分210の第1の光学特性に初期画像光204を変更または修正させる。次いで、第1の矯正部分210は、中間虚像光216を放出してよく、この中間虚像光216が第2の矯正部分212によって受信される。中間虚像光216は、複数の光線205に少なくとも一部が対応している複数の光線217を含んでいる。ユーザが視覚状態の第1のセットを有していない場合には、中間虚像光216は、初期虚像光204から実質的に修正されなくてよい。つまり、ユーザが視覚状態の第1のセットに対する矯正を必要としていないという理由で、初期虚像光を実質的な修正なしに第1の矯正部分210に通過させる第1の刺激214を、第1の矯正部分210が受信する場合には、中間虚像光216は、受信した初期虚像光204と同じ属性を有していてよい。
【0026】
第2の矯正部分212は、ユーザ104の視覚状態の第2のセットを矯正するために、中間虚像光216に(または第1の矯正部分210が存在していない実装形態においては初期虚像光204に)、第2の矯正を適用するよう動作可能である。第2の矯正部分212は、第2の刺激218を受信してよく、この第2の刺激218は、視覚状態の第1のセットとは別個であってよい視覚状態の第2のセットに対する矯正として、第2の矯正部分212の第2の光学特性に中間虚像光216を変更して修正させる。次いで、第2の矯正部分212は、矯正された虚像光208を放出してよく、この矯正された虚像光208は、光線216に少なくとも一部が対応している複数の光線を含んでいる。第1の矯正部分210と同様に、ユーザ104が視覚状態の第2のセットのうちのいずれも抱えていない場合には、矯正された虚像光114は、中間虚像光216から実質的に修正されなくてよい。つまり、視覚状態の第2のセットのうちのいずれか1つまたは複数を、第2の刺激218が第2の矯正部分に矯正させない場合には、第2の矯正部分212は、中間虚像光216を修正しなくてよい。
【0027】
図3は、1つまたは複数の実施形態による、矯正部分のレンズのセット302の頭上平面図を示す図、300である。特に、レンズのセット302は、
図2の第1の矯正部分210および第2の矯正部分212のうちの一方の矯正部分のレンズである。レンズのセット302は、虚像光102の光路126に沿って連続して配置された第1のレンズ304および第2のレンズ306を含んでいる。レンズのセット302のそれぞれは、厚さTよりも長い幅Wを有していてよい。いくつかの実施形態において、レンズ302は、たとえば光路126に沿った視点から見たとき、実質的に矩形の形状を有していてよい。光路126に沿って進む虚像光102の光線308は、第1のレンズ304の少なくとも一部分および第2のレンズ306の少なくとも一部分に入射し、それらを通過して進む。第1のレンズ304および第2のレンズ306のうちの少なくとも一方は、光線308の属性を修正するために、光路126に対して横断方向に選択的に調整可能である。たとえば、レンズのセット302は、ユーザ104の視力不足または視力不良を矯正するために、光学システム112の屈折力または焦点を設定するように調整可能であってよい。第1のレンズ304は、光路126に対して横断方向にある軸線310に沿って選択的に可動であってよく、第2のレンズも、光路126に対して横断方向にありかつ第1の軸線310から光路126に沿って間隔を置いた軸線312に沿って、選択的に可動である。いくつかの実施形態において、第1のレンズ304および第2のレンズ306のうちの単一の一方のレンズは、第1のレンズ304および第2のレンズ306のうちの他方のレンズに対して可動であってよい。いくつかの実施形態において、第1のレンズ304および第2のレンズ306のそれぞれが、第1のレンズ304および第2のレンズ306のうちの他方のレンズに対して可動である。
【0028】
第1のレンズ304および第2のレンズ306は、第1の軸線310および第2の軸線312に沿って延在するそれぞれの幅Wを有している。第1のレンズ304は、第1のレンズ304の幅Wに沿った異なる部分において異なる特性を有していてよい。第1のレンズ304の第1の部分304aは、第2の部分304bの厚さおよび/または曲率とは異なる厚さおよび表面曲率を有していてよい。たとえば第1の部分304aは、凸レンズ表面を有し、厚さ方向Tにおいて第1の厚さを有していてよく、その一方で第2の部分304bは、凹レンズ表面を有し、第1の厚さとは異なる第2の厚さを有していてよい。第1のレンズ304の第1の表面314は、第1のレンズ304の第2の表面316とは異なる形状を有していてよく、たとえば第1の表面314は幅Wに沿って平坦であってよく、その一方で第2の表面316は、幅Wに沿って湾曲していてもよい(たとえば、凸状、凹状、蛇状)。いくつかの実施形態において、第1のレンズ304は、その全長に沿って湾曲した表面を有していてよい。いくつかの実施形態において、第1のレンズ304は、一部分において湾曲しているが別の部分においては平坦な表面を有していてよい。平坦な部分は、視覚状態を矯正するために虚像光102を修正しない非矯正部分として使用されてよい。
【0029】
第2のレンズ306も、第2のレンズ306の幅Wに沿った異なる部分において異なる特性を有していてよい。第2のレンズ306の第1の部分306aは、第2の部分306bの厚さおよび/または曲率とは異なる厚さおよび表面曲率を有していてよい。たとえば第1の部分306aは、凸レンズ表面を有し、厚さ方向Tにおいて第1の厚さを有していてよく、その一方で第2の部分306bは、凹レンズ表面を有し、第1の厚さとは異なる第2の厚さを有していてよい。第2のレンズ306の第1の部分306aは、第1のレンズ304の第1の部分304aとは異なる特性を有していてよい。第2のレンズ306の第1の表面318は、第2のレンズ306の第2の表面320とは異なる形状を有していてよく、たとえば第1の表面320は幅Wに沿って湾曲していてよく、その一方で第2の表面322は、幅Wに沿って平坦であってもよい。いくつかの実施形態において、第2のレンズ306は、その全長に沿って湾曲した表面を有していてよい。いくつかの実施形態において、第2のレンズ306は、一部分において湾曲しているが別の部分においては平坦な表面を有していてよい。平坦な部分は、視覚状態を矯正するために虚像光102を修正しない非矯正部分として使用されてよい。いくつかの実施形態において、第1のレンズ304および第2のレンズ306は、向かい合う相補的な(たとえば、3次関数のプロファイルをもつ)屈折表面と反対に向く平面とを有するアルバレスレンズ(Alvarez lenses)またはローマンレンズ(Lohmann lenses)であってよい。たとえば、第1のレンズ304および第2のレンズ306の反対の表面(互いに離れる方を向く表面)は、実質的に平面を有していてよく、その一方で、第1のレンズ304および第2のレンズ306の向かい合う表面(互いに面する表面)は、互いに逆の、相補的な曲線プロファイルを有していてよい。
【0030】
第1のレンズ304および/または第2のレンズ306は、近視および遠視を含むことがある視覚状態の第1のセットを矯正するために、それぞれ軸線310および312に沿って選択的に動かされてよい。レンズのセット302は、第1のアクチュエータ322を含んでいてよく、この第1のアクチュエータ322は、第1のレンズ304に物理的に結合されていて、軸線310に沿って第1のレンズ304を動かすように構成されている。第1のアクチュエータ322は、
図2に関して上で説明した第1の刺激214を受けた結果動かされてよく、たとえばダイヤル、ボタン、つまみなどに機械的な力が適用された結果、または第1のアクチュエータ322を動かすための電子信号を光学システム112が受信した結果、動かされてよい。レンズのセット302は、第2のアクチュエータ324も含んでいてよく、この第2のアクチュエータ324は、第2のレンズ306に物理的に結合されていて、軸線312に沿って第2のレンズ306を動かすように構成されている。第2のアクチュエータ324は、第1のアクチュエータ322と第1の刺激214との関係と同様に、刺激を受けた結果動かされてよい。第1のアクチュエータ322および第2のアクチュエータ324は、互いに独立して動かされてよい。したがって、第1のアクチュエータ322は、第2のレンズ306に対して第1のレンズ304を動かしてよく、第2のアクチュエータ324は、第1のレンズ304に対して第2のレンズ306を動かしてよい。第1のレンズ304および第2のレンズ306は、視覚状態を矯正する光学特性を提供するように、互いに対して動かされてよい。いくつかの実施形態において、第1のレンズ304および第2のレンズ306のうちの一方のレンズは固定されていてよく、第1のレンズ304および第2のレンズ306のうちの他方のレンズは、固定されたレンズに対して調整可能である。
【0031】
第1のレンズ304と第2のレンズ306は、虚像光102の光路126に沿って位置合わせされて、視覚状態の第1のセットのうちの1つまたは複数を矯正してよい。たとえば、第1のレンズ304の第1の部分304aは、第2のレンズ306の第1の部分306aに位置合わせされて、近視を矯正してよい。別の例として、第1のレンズ304の第2の部分304bは、第2のレンズ306の第2の部分306bに位置合わせされて、遠視を矯正してよい。いくつかの実施形態において、第1のレンズ304および第2のレンズ306の他の部分同士が位置合わせされて、レンズのセット302を非矯正状態に移行してよい。いくつかの例において、第1のレンズ304および第2のレンズ306の一部分同士が、ユーザ104の光学処方に適合するように光路126に沿って位置合わせされてよい。たとえば、第1のレンズ304および第2のレンズは、レンズのセット302の屈折力(すなわち、ジオプトリ)を調整するように、互いに対して配置されてよい。いくつかの実施形態において、レンズのセット302は、光学処方の「球面」または屈折の部分に対応した矯正を実現してよい。レンズのセット302を構成するものとして2つのレンズしか図示および説明されていないが、レンズのセット302は、本開示の範囲から逸脱することなく、付加的なレンズを含んでもよい。
【0032】
図4Aは、1つまたは複数の実施形態による、矯正部分のレンズのセット402の構成400を示している。特に、レンズのセット402は、第1の矯正部分210および第2の矯正部分212のうちの、レンズのセット302以外の他方の矯正部分のレンズである。レンズのセット402は、第1のレンズ404および第2のレンズ406を含んでおり、これらのレンズは、レンズのセット302の前か後ろのいずれかに、虚像光102の光路126に沿って連続して配置されている。第1のレンズ404および第2のレンズ406は、たとえば光路126に対して平行な方向から見たとき、実質的に円形の形状を有していてよい。光路126に沿って進む虚像光102の光線408は、第1のレンズ404および第2のレンズ406の少なくとも一部分に入射し、それらを通過して進む。
【0033】
第1のレンズ404および第2のレンズ406は、光路126に平行な軸線を中心として、選択的に回転可能である。第1のレンズ404は、軸線310および軸線312に対して横断方向にある第1の軸線410を中心として回転可能である。第2のレンズ406も、軸線310および軸線312に対して横断方向にある第2の軸線412を中心として回転可能である。この実施形態において、第1の軸線410は、第2の軸線412と同軸である。いくつかの実施形態において、第1のレンズ404および第2のレンズ406のうちの単一の一方のレンズは、第1のレンズ404および第2のレンズ406のうちの他方のレンズに対して回転可能であってよい。そのような例では、第1のレンズ404および第2のレンズ406のうちの他方は、回転不可能であってよい。いくつかの実施形態において、第1のレンズ404および第2のレンズ406のそれぞれが、互いに対して回転可能である。
【0034】
第1のアクチュエータ414が、第1のレンズ404に物理的に結合されていて、第1の軸線410を中心として第1のレンズ404を選択的に回転させるように動作可能である。第2のアクチュエータ416が、第2のレンズ406に物理的に結合されていて、第2の軸線412を中心として第2のレンズ406を選択的に回転させるように動作可能である。例として、第1および第2のアクチュエータ414および416は、第1のレンズ404および第2のレンズ406に関連付けられたギヤまたは歯にそれぞれ結合されて、アクチュエータにより力が適用されたことに応答してレンズを回転させてよい。第1および第2のアクチュエータ414および416は、第1および第2のレンズ404および406の特定の部分を光路126内にそれぞれ配置させて、光線408の属性を修正してよい。たとえば、レンズのセット402は、乱視などの、ユーザ104の視覚の光学収差を矯正するように、選択的に調整可能である。レンズのセット402は、光学処方の「円柱」および「軸」の部分の矯正を提供するように調整可能であってよい。しかし、いくつかの実装形態では、レンズ402のセットは、光学処方の「球面」または屈折の部分の矯正を提供するように調整可能であってよい。
【0035】
第1のレンズ404および第2のレンズ406は、アルバレスレンズまたはローマンレンズであってよい(アルバレスローマンレンズとして知られていることもある)。いくつかの実施形態において、アルバレスレンズまたはローマンレンズは、その光学表面から見たとき円形の形状を有している。いくつかの実施形態において、アルバレスレンズは、その光学表面から見たとき、矩形の形状を有している。本明細書に記載のコントローラは、本明細書において説明するように、第1のレンズ404および第2のレンズ406の一部分を光路126に配置して光線408の属性を修正するよう、第1および第2のアクチュエータ414および416を動作させる。たとえば、第1のレンズお404および第2のレンズ406のうちの一方または両方がアルバレスレンズである実施形態において、第1のレンズ404と第2のレンズ406の相対位置は、ユーザ104の視覚状態を矯正する位相変化を光線408に生じさせるプロファイル(たとえば、円形プロファイル、円柱プロファイル、楕円プロファイル)を提供するように調整されてよい。
【0036】
図4Bは、
図4Aの線A-Aに沿った第1のレンズ404の前方平面図を示している。第1のレンズ404は、第1の軸線410を中心とした異なる角度位置または角度領域に異なる特性を有していてよい。第1のレンズ404の第2の表面418は、湾曲表面を形成するように第1のレンズ404の幅Wに沿って変化して、軸線410を中心とした異なる角度位置において異なる光学収差矯正を提供してよい。たとえば、第2の表面418は、軸線410を中心とした異なる角度位置に沿って、非対称であってよい。
図4Bに示してあるように、たとえば第1のレンズ404は、複数の領域420を有していてよく、これらの領域420のそれぞれの中央は、軸線410を中心とした異なる角度位置θにある。それぞれの領域420は、ユーザ104の目または視覚の光学収差に対して、乱視の矯正などの異なる矯正を適用するための異なる光学特性を有していてよい。たとえば、第1の領域420aの中央は、角度位置θ
1であり、第2の領域420bの中央は、角度位置θ
2であるなど、最大N個の領域がある。それぞれの領域420は、他の領域420と混在しないものとして
図4Bに示されているが、これは単に説明を目的としており、限定を意図するものではない。領域420a、420b、420c・・・420Nは、少なくともいくつかの実施形態において、互いに重なってもよい。
【0037】
図4Bにおいて、第1のレンズ404の角度位置はθ
1であり、それにより虚像光の光線408の光路126は、第2の領域420bを通る。したがって、光線408の属性は、少なくとも部分的に、第2の領域420bの光学収差矯正特性に応じて修正される。第1のアクチュエータ414は、第2の領域420bとは異なる領域を光線408の光路126が通るように第1のレンズ404を選択的に回転させて、異なる光学収差矯正を提供してよい。それぞれの領域420は、他の領域420において光線408が屈折する角度とは異なる角度で、虚像光102の光線408を屈折させてよい。第1のレンズ404の、第2の表面418と反対の第1の表面422は、第2の表面418とは異なる形状を有していてよく、たとえば、第1の表面422は平坦または平面であってよく、それにより第1のレンズ404に入った光線408は屈折されない。
【0038】
第2のレンズ406は、第1のレンズ404と同様または同一の円形の形状で、光路126に対して平行な方向から見たとき円形の形状を有していてよい。第2のレンズ406は、第1のレンズ404から放出された光線408を受信する第1の表面424と、光線408を放出する第2の表面426とを有していてよい。第1の表面424は、第1のレンズ404の第2の表面418と同様または同じであってよい。つまり、第1の表面424は、湾曲表面を形成するように第2のレンズ406の幅Wに沿って変化していて、軸線412を中心とした異なる角度位置において異なる光学収差矯正を提供して、第1のレンズ404に関して説明したのと同様に、虚像光102の光線408を屈折させてよい。いくつかの実施形態において、第2のレンズ406の第1の表面424は、第2の表面418に対して相補的であってよく、それにより第2の表面418および第1の表面424は、間に空間が存在しない状態で互いに接触して配置されてよい。いくつかの実施形態において、第2のレンズ406の第2の表面426は、そこに入射した虚像光102の光線408を屈折させない平坦または平面の形状を有していてよい。第1のレンズ404に関して上で説明したように、第2のアクチュエータ416は、ユーザ104の視覚の光学収差を矯正するための特定の角度位置に対応した第1の表面424の領域に光学軸126を位置合わせさせるように、第2のレンズ406を選択的に回転させてよい。
【0039】
第1のアクチュエータ414および第2のアクチュエータ416は、ユーザ104の視覚に対する所望の光学収差矯正を達成するために、第1のレンズ404および第2のレンズ406を互いに協調させてそれぞれ回転させてよい。第1のレンズ404の角度位置θおよび第2のレンズ406の角度位置θは、ユーザ104の視覚の乱視を補償する光学矯正を虚像光102に提供するように調整されてよい。光学矯正は、ユーザ104の目の球面屈折力、円柱屈折力、および軸を示す光学処方に対応していてよい。第1のレンズ404および第2のレンズ406は、乱視の矯正以外の光学矯正の他の指標に適合するように、協調して動作してよい。さらに、第1のレンズ404および第2のレンズ406の角度位置θは、乱視などの視覚状態に対してレンズのセット402が光学矯正を提供しないように、調整されてよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、レンズのセット402は、3つ以上のレンズを含んでいてよい。たとえば、レンズのセットは、第1のレンズ404と第2のレンズ406との間に配置された1つまたは複数の付加的レンズを含んでいてよい。1つまたは複数の付加的レンズはそれぞれ、レンズの幅Wに沿って変化した曲率を有する光学表面を、片面または両面に有していてよい。別の例として、第1および第2のレンズ404および406と同様または同一のレンズの対が、光路126に沿ってレンズ404および406の前または後に提供されてよい。1つまたは複数の付加的レンズは、レンズを選択的に回転させて光路が通って延びるレンズの領域を調整するための、それらのレンズに関連付けられたアクチュエータを有していてよい。
【0041】
図5Aおよび
図5Bは、1つまたは複数の実施形態による、第1のレンズ404および第2のレンズ406の構成500を示している。構成500の第1のレンズ404および第2のレンズ406は、第1のレンズ404の軸線410が、第2のレンズ406の軸線412と同軸ではないことを除き、構成400と同じサイズおよび形状を有している。いくつかの実施形態において、光学収差矯正の属性を調整するために、第1のレンズ404および第2のレンズ406のうちの片方または両方が、光路126に対して横断方向の軸線に沿って可動であってよい。
【0042】
図6は、1つまたは複数の実施形態による、HMD100の外部600を示している。
HMD100は、本体116に取り付けられたストラップのセット602を含んでいる。ストラップのセット602は、ユーザ104の頭部にHMD100を選択的かつ確実に取り付けて視覚的コンテンツを視認するために使用可能である。本体116は、HMD100の様々な態様を制御するための制御パネル604を含んでいてよい。制御パネル604は、ユーザ104の視覚状態(たとえば、近視、遠視、乱視)向けに視覚的コンテンツを矯正するために、光学システム112の光学特性を制御するための1つまたは複数の入力デバイスを含んでいてよい。入力デバイスは、第1および第2のアクチュエータ322および324に結合されて、第1の軸線310および第2の軸線312に沿った第1のレンズ304および第2のレンズ306の位置をそれぞれ制御してよい。入力デバイスは、第1のアクチュエータ414および第2のアクチュエータ416に結合されて、第1の軸線410および第2の軸線412を中心とした第1のレンズ404および第2のレンズ406の角度位置をそれぞれ制御してよい。
【0043】
入力デバイスは、対応するレンズに機械的に結合され、それらを制御するように構成された機械的デバイスであってよい。たとえば、入力デバイスは、対応するレンズのアクチュエータに、たとえばギヤまたはシャフトを介して機械的にリンクされたつまみまたはダイヤルであってよい。ユーザ104による機械的入力デバイスとの相互作用により、対応するアクチュエータに機械的な力が適用されて、レンズの位置が調整されてよい。入力デバイスは、対応するレンズに電気的に結合され、それらを制御するように構成された電気デバイスであってよい。例として、入力デバイスは、ユーザ104による相互作用に応答して、コントローラ宛てに電気信号を送信させてよく、コントローラがそれに応答して、対応するアクチュエータに制御信号を送信して、レンズの位置が調整されてよい。制御パネル604の電気的入力デバイスの非限定的な例は、英数字入力を提供するかメニューをナビゲートするためのキーのセットを有するキーパッド、または1つもしくは複数のアクチュエータを動作させるコントローラに電気的に結合されたダイヤルもしくはつまみを含む。外部600は、光学システム112の現在の光学設定など、HMD100に関する情報を表示するためのディスプレイ606を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、ディスプレイ606は、光学システム112を制御するためにユーザ104が相互作用できるタッチスクリーン入力デバイスであってよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、ユーザは、虚像ディスプレイユニット106によって提示された視覚的コンテンツに関して、光学システム112の光学設定を調整してよい。たとえば、HMD100を着用しているユーザは、虚像ディスプレイユニット106によって表示されたメニューまたは他の視覚的コンテンツに応じて、制御パネル604または他の入力デバイス(たとえば、手持ち式コントローラ、マウス、キーボード)と相互作用して、光学設定を調整してよい。一例として、ユーザは、制御パネル604または他の入力デバイスを介してメニューをナビゲートし、ユーザ入力を提供してよく、それに応答して、そのユーザ入力により、光学システム112の光学設定が変更されてよい。別の例として、HMD100は、ユーザ104により知覚された視覚的コンテンツに関するユーザ入力にリアルタイムに応答して、光学システム112の光学設定を調整してよい。テストパターンなどの視覚的コンテンツを虚像ディスプレイユニット106に表示させ、視覚的コンテンツの明瞭性に関する入力を提供するようユーザを促す視覚的テストを、ユーザはHMD100において開始してよい。入力を受信した結果、HMD100は、視覚的コンテンツの明瞭性を改善してユーザ104の体験を向上させるように、光学システム112の光学設定を自動的に調整してよい。
【0045】
図7は、1つまたは複数の実施形態による、HMD100の様々な部分の相互接続を示すブロック
図700である。HMD100は、1つまたは複数のプロセッサ704とメモリ706とを備えるコントローラ702を含んでおり、メモリ706は、1つまたは複数のプロセッサ704によって実行された結果、本明細書に記載の1つまたは複数の動作をHMD100に実行させる命令のセットを記憶している。非限定的な説明例として、メモリ706は、リードオンリメモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでいてよく、ソリッドステートメモリまたはハードディスクドライブの形態であってよい。また、HMD100は、コントローラ702に電気的に結合された、外部デバイスとの通信を送信および受信するための通信インターフェース708を含んでいる。通信インターフェース708は、ネットワークルータまたはコンピューティングデバイス(たとえば、ラップトップ、デスクトップ、タブレット、モバイルデバイス)などの外部デバイスに、およびそれらの外部デバイスから、通信を無線で送信および受信するWi-Fi(登録商標)トランシーバ、セルラートランシーバ、Bluetooth(登録商標)トランシーバなどの1つまたは複数の無線トランシーバを含んでいてよい。通信インターフェース708は、外部デバイスとの有線通信のために、ユニバーサルシリアルバスポート、ネットワークインターフェースポートなどの有線通信ポートを含んでいてもよい。
【0046】
HMD100は、コントローラ702に電気的に結合された、HMD100にユーザ入力を提供するための入力デバイスのセット710を含んでいてよい。入力デバイスのセット710のうちの1つまたは複数は、HMD100の外部600に、たとえば制御パネル604の一部として提供されてよい。コントローラ702は、虚像ディスプレイユニット106および/または含まれている場合にはディスプレイ606にも電気的に結合され、それらを制御するように構成されていてよい。いくつかの実施形態において、コントローラ702は、虚像ディスプレイユニット106を介して虚像光102を生成するための、1つまたは複数のグラフィックスプロセッシングユニットを含んでいてよい。
【0047】
コントローラ702は、光学システム112に電気的に結合されており、本明細書に記載したように、光学システム112を制御してその光学特性を調整するように構成されている。特に、コントローラ702は、左側光学サブシステム130lの第1の矯正部分712、左側光学サブシステム130lの第2の矯正部分714、右側光学サブシステム130rの第1の矯正部分716、および右側光学サブシステム130rの第2の矯正部分718に電気的に結合されており、これらを制御するように構成されている。第1の矯正部分712および716は、レンズのセット302およびレンズのセット402のうちの一方を含んでおり、第2の矯正部分714および718は、レンズのセット302およびレンズのセット402のうちの他方を含んでいる。
【0048】
コントローラ702は、矯正部分712、714、716、および718のアクチュエータ720に電気的に結合されて、光学システム112のレンズ722の位置を制御する。具体的には、コントローラ702は、アクチュエータ720に信号(たとえば、制御信号)を送信して、それに結合されたレンズ722の移動または回転をアクチュエータ720に行わせる。上に記載したように、レンズ722の位置(たとえば、横方向のオフセット、角度位置θ)は、第1の矯正部分712および716ならびに/または第2の矯正部分714および718の光学特性を修正するように制御されてよい。コントローラ702は、入力を受信したことに応答して、光学サブシステム112を制御するための信号を送信してよい。たとえば、コントローラ702は、入力デバイス710を介して提供された入力を受信したことに応答して、光学システム112の光学特性を調整してよい。別の例として、コントローラ702は、通信インターフェース708を介して入力を受信したことに応答して、光学システム112の光学特性を調整してもよい。
【0049】
コントローラ702によって受信された入力は、特定の形式を有していてよい。入力は、右目用の処方および/または左目用の処方を示してよい。それぞれの目ごとに、入力は、屈折力または球面力(SPHまたはSとして示されることもある)、円柱力(CYLまたはCとして示されることもある)、および/または軸(通常は0~180)を示してよい。入力は、左側光学サブシステム130lおよび右側光学サブシステム130rのための入力を含んでもよい。
【0050】
光学サブシステム112の光学設定の調整は、ユーザ104により提供されるフィードバックを通してリアルタイムで調整されてよい。コントローラ702は、光学システム112の光学設定に対して実施すべき調整を決定するためのテストを開始してよい。テストは、テストパターンまたは詳細な視像などの特定の視覚的コンテンツを、虚像ディスプレイユニット106に表示させること、および入力デバイス710または制御パネル604を介したフィードバックを提供するようユーザを促すことを含んでよい。ユーザ104は、視覚的コンテンツの外観(たとえば、テキスト、画像)が不明瞭に見えることを示すフィードバックを提供してよい。コントローラ702は、光学システム112の光学設定を調整し、視覚的コンテンツの外観の明瞭性が調整により改善されたかどうかをユーザ104に質問してよい。この工程は、視覚的コンテンツの明瞭性にユーザ104が満足するまで繰り返されてよい。テストは、入力デバイス710または制御パネル604を介してユーザ104からユーザ入力を受信したことに応答して、実施されてよい。
【0051】
通信インターフェース708を介した入力は、ユーザ相互作用の結果としてデバイス(たとえば、ラップトップ、デスクトップ、モバイルデバイス、コントローラ)によって提供されてよい。虚像光102を修正してユーザ104の視覚状態を矯正するための光学特性を示すかそれを表す情報を含む通信を、コンピューティングデバイスに送信させるために、ユーザが相互作用することが可能な命令のセット(たとえば、アプリケーション、プログラム)を、コンピューティングデバイスは含んでいてよい。上に記載したように、ユーザは、医療従事者によって提供された、所定の形式を有していることがある処方としての入力を、入力デバイス710またはコンピューティングデバイスに入力してよい。
【0052】
コントローラ702は、入力デバイス710または通信インターフェース708から入力を受信したことに応答して、アクチュエータ720に送信する信号を決定してよい。プロセッサ704のうちの1つまたは複数は、たとえばメモリ706に記憶された、対応するアクチュエータ720に送信すべき制御信号を示すデータ構造にアクセスしてよい。データ構造は、特定のアクチュエータ720に送信すべき対応する出力(すなわち制御信号)に入力データが関連付けられているアレイ、ルックアップテーブル、または他の参照構造であってよい。いくつかの実装形態において、コントローラ702は、光学システム112の現在の状態(たとえば、アクチュエータ720の現在の状態)を示す情報をメモリ706に記憶してよく、これらの情報から、コントローラ702は、受信した入力に適合するようにアクチュエータ720に対する調整を行うことを決定してよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、HMD100は、ユーザの目105lおよび105rの視覚状態を検出し、検出の結果、光学システム112を自動的に調整するように構成されてよい。そのような実施形態では、HMD100は1つまたは複数のセンサ724を含んでいてよく、これらのセンサは、ユーザの目105lおよび105rに関する情報を検出して測定値をコントローラ702に提供し、コントローラ702は、それに応じて光学システム112を調整する。HMD100は、情報を取得するためにセンサ724に関連して使用するための、コントローラ702に結合された1つまたは複数の発光要素726も含んでいてよい。発光要素726は、センサ724により光が反射されかつ受信されるように、ある角度の、特定の特性(たとえば、周波数、強度)を有する光を放出してよい。センサ724は、ユーザの目から検出した光に基づき、ユーザの目についての情報を決定してよい。ユーザ104の目に関する情報が決定された結果、コントローラ702は、それに応じて光学システム112の光学特性を調整してよい。そのような情報は、角膜のトポロジを示す情報を含んでよく、この情報をコントローラ702が処理して、光学システム112を調整するためにアクチュエータ720に送信すべき制御信号が決定され、それにより、ユーザ104は虚像光102を視覚的コンテンツとして解像できるようになる。
【0054】
図8は、HMD800に選択的に組み込み可能で取り外し可能な光学サブシステム802を有するHMD800の実施形態を示している。特に、HMD800は空洞804を有しており、この空洞804は、前部分806と視認部分808との間に設けられており、光学サブシステム802を受けるようにサイズ設定および形状設定されている。光学システム802は、空洞804にぴったり嵌まるようにサイズ設定および形状設定された本体810を有している。光学システム802は、左側および右側の光学サブシステム130lおよび130r(
図1)を収容しており、それぞれの光学サブシステムが、本明細書に記載の第1の矯正部分210および第2の矯正部分212の一方または両方を備えている。HMD800は、その中に本体810が挿入されると、光学システム802を確実かつ選択的に保持するように構成されている。本体810は、空洞804に挿入されると、たとえば空洞804内の対応する特徴部に係合して光学サブシステム112を保持する固定具または他の特徴部812を有していてよい。HMD800は、いくつかの実装形態において、ドアのセット814を有していてよく、このドアのセット814は、光学システム804の挿入を可能にするように開くが、そうでない場合には閉じた状態に維持されて、埃および破片がHMD800に入るのを防止する。
【0055】
本体810の前側816は、上で説明したように、虚像ディスプレイユニット106から虚像光102を受信するための受信部分202を含んでいる。本体810の後ろ側818は、ユーザ104による視認のために、矯正された虚像光114を放出するための左側および右側の放出部分206lおよび206rを含んでいる。光学サブシステム812は、外部表面に露出した1つまたは複数の電気接点820を有していてよく、この電気接点820は、空洞804内の対応する電気接点と係合して電気接続を確立するようにサイズ設定および形状設定されており、この電気接続を通して、信号および電力が光学システム802のアクチュエータに伝送される。
【0056】
いくつかの実施形態において、光学システム802は、コントローラ702から独立した、アクチュエータ720に制御信号を送信するためのコントローラを含んでいてよい。光学システム802の独立コントローラは、コントローラ702または通信インターフェース708から信号または情報を受信し、受信したその信号または情報に応じて、左側および右側の光学サブシステム130lおよび130rの光学特性を調整してよい。いくつかの例において、制御パネル604に関して上で説明したように、ユーザ104は、HMD800の外部に設けられた入力デバイス822と相互作用して、光学特性を調整してよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、電気接点820の代わりにまたは電気接点820に加えて、光学サブシステム812は、左側および右側の光学サブシステム130lおよび130rの光学設定を選択的に調整するための機械的インターフェース(たとえば、ダイヤル、つまみ)を含んでいてよい。機械的インターフェースは、光学設定を調整するためにユーザによって操作可能であってよい。いくつかの実施形態において、機械的インターフェースは、空洞804内の対応する機械的インターフェースと連動してよい。ユーザは、制御パネル604と相互作用してよく、この制御パネル604は、空洞内の対応する機械的インターフェースを光学システム802の機械的インターフェースと相互作用させて、光学設定を調整してよい。
【0058】
上で説明した様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書において言及しかつ/または出願データシートに列挙した米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許文献は全て、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの様々な特許、出願、および出版物の概念を使用してさらなる実施形態を提供するために、必要であれば実施形態の態様は修正されてもよい。
【0059】
上記の詳細な説明に鑑み、上記その他の変更が実施形態に加えられてもよい。全体的に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、本明細書および特許請求の範囲において開示された特定の実施形態に特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲に権利付与される等価物の全範囲とともに、あらゆる可能な実施形態を含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。