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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】パウチ成形装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 47/00 20060101AFI20241210BHJP
   B29C 43/36 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B65B47/00
B29C43/36
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023566630
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 KR2022016342
(87)【国際公開番号】W WO2023075359
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2023-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0145041
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、シン チュル
(72)【発明者】
【氏名】パク、スン チュル
(72)【発明者】
【氏名】コ、ビュン クワン
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-87902(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0118929(KR,A)
【文献】特表2015-508048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C33/00-33/76、39/26-39/36、41/38-41/44、43/36-43/42、43/50、45/26-45/44、45/64-45/68、45/73、49/48-49/56、49/70、51/30-51/40、51/44
B65B43/00-43/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にパウチフィルムが載置されるように平板状に形成され、上下面を貫通する形態のカップ部成形孔が形成されるダイプレートと、
前記ダイプレートの上部から前記パウチフィルムを加圧固定し、前記カップ部成形孔に対応する位置に上下面を貫通する形態のパンチ孔が形成される第1ストリッパと、
前記第1ストリッパの前記パンチ孔および前記ダイプレートの前記カップ部成形孔に引き込みおよび引き出されて前記パウチフィルムを成形するパンチ部と、
前記第1ストリッパの下部面から突出するように備えられ、前記パンチ孔の周縁に沿って備えられて前記パウチフィルムを加圧固定する第2ストリッパと、
を含み、
前記第1ストリッパは、
前記パンチ孔の周縁に沿って形成され、下部から上部に湾入した形態の挿入溝が形成され、
前記挿入溝は、
前記第2ストリッパの水平方向の断面と対応する形状の水平方向の断面を有するように形成され、
前記第2ストリッパは、
前記第1ストリッパの下部面から突出するように備えられ、前記挿入溝の内部に引き込みまたは引き出されて上下方向に移動可能に備えられる、
パウチ成形装置。
【請求項2】
前記第2ストリッパは、
内周縁および外周縁を有する環状に形成され、
前記内周縁が前記パンチ孔の周縁よりも大きく形成される、請求項1に記載のパウチ成形装置。
【請求項3】
前記第2ストリッパは、
前記ダイプレートと互いに対向する面に摩擦コーティング層が形成される、請求項1に記載のパウチ成形装置。
【請求項4】
前記摩擦コーティング層は、
シリコーンを含む、請求項3に記載のパウチ成形装置。
【請求項5】
上部にパウチフィルムが載置されるように平板状に形成され、上下面を貫通する形態のカップ部成形孔が形成されるダイプレートと、
前記ダイプレートの上部から前記パウチフィルムを加圧固定し、前記カップ部成形孔に対応する位置に上下面を貫通する形態のパンチ孔が形成される第1ストリッパと、
前記第1ストリッパの前記パンチ孔および前記ダイプレートの前記カップ部成形孔に引き込みおよび引き出されて前記パウチフィルムを成形するパンチ部と、
前記第1ストリッパの下部面から突出するように備えられ、前記パンチ孔の周縁に沿って備えられて前記パウチフィルムを加圧固定する第2ストリッパと、
を含み、
前記第1ストリッパの上部に備えられる上部プレートと、
前記ダイプレートの下部に備えられる下部プレートと、をさらに含み、
前記上部プレートと前記下部プレートは、
縁部において上下方向に長さを有する結合部材により互いに結合され
前記第1ストリッパと前記上部プレートとの間に備えられ、前記第1ストリッパまたは前記第2ストリッパのうち少なくとも1つを固定するストリッパバックプレートと、
前記下部プレートと前記ダイプレートとの間に備えられ、前記ダイプレートを下部から支持するダイバックプレートと、をさらに含み、
前記第1ストリッパは、
前記パンチ孔の周縁に沿って形成され、上下面を貫通する貫通孔が形成され、
前記第2ストリッパは、
前記貫通孔を貫通して備えられる固定部材により前記ストリッパバックプレートに固定される、
ウチ成形装置。
【請求項6】
前記固定部材は、
長さが変動し、既に設定された長さ以下または既に設定された長さ以上には変動せずに固定されるストッパ方式である、請求項に記載のパウチ成形装置。
【請求項7】
前記第2ストリッパは、
前記貫通孔を貫通して備えられる加圧力調節部材によりパウチフィルム加圧力が調節される、請求項に記載のパウチ成形装置。
【請求項8】
前記加圧力調節部材は、
長さ方向に弾性を有するスプリングを含む、請求項に記載のパウチ成形装置。
【請求項9】
前記加圧力調節部材は、
一側が前記第2ストリッパに接するように備えられ、
他側が前記ストリッパバックプレートに結合されるように備えられる、請求項に記載のパウチ成形装置。
【請求項10】
前記加圧力調節部材は、
一側が前記第2ストリッパに接するように備えられ、
他側が前記上部プレートに結合されるように備えられる、請求項に記載のパウチ成形装置。
【請求項11】
前記パンチ部は、
パンチボディと、
前記パンチボディの下部に備えられ、前記パウチフィルムを加圧する加圧面が形成されるパンチと、を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載のパウチ成形装置。
【請求項12】
上部にパウチフィルムが載置されるように平板状に形成され、上下面を貫通する形態のカップ部成形孔が形成されるダイプレートと、
前記ダイプレートの上部から前記パウチフィルムを加圧固定し、前記カップ部成形孔に対応する位置に上下面を貫通する形態のパンチ孔が形成される第1ストリッパと、
前記第1ストリッパの前記パンチ孔および前記ダイプレートの前記カップ部成形孔に引き込みおよび引き出されて前記パウチフィルムを成形するパンチ部と、
前記第1ストリッパの下部面から突出するように備えられ、前記パンチ孔の周縁に沿って備えられて前記パウチフィルムを加圧固定する第2ストリッパと、
を含み、
前記第1ストリッパの上部に備えられる上部プレートと、
前記ダイプレートの下部に備えられる下部プレートと、をさらに含み、
前記上部プレートと前記下部プレートは、
縁部において上下方向に長さを有する結合部材により互いに結合され、
前記第1ストリッパは、
前記パンチ孔の周縁に沿って形成され、上下面を貫通する貫通孔が形成され、
前記第2ストリッパは、
前記貫通孔を貫通して備えられる固定部材により前記上部プレートに固定されるパウチ成形装置。
【請求項13】
前記第2ストリッパは、
前記貫通孔を貫通して備えられる加圧力調節部材によりパウチフィルム加圧力が調節され、
前記加圧力調節部材は、
一側が前記第2ストリッパに接するように備えられ、
他側が前記上部プレートに結合されるように備えられる、請求項1に記載のパウチ成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月27日付けの韓国特許出願第10-2021-0145041号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、パウチ成形装置に関し、第2ストリッパがパウチフィルムのカップ部成形位置の周辺でパウチフィルムを均一かつ強く加圧することで、カップ部周辺のシワの発生を最小化し、シワにより発生し得るクラックや破断を予防することができ、成形品質を改善してカップ部の空間効率化を達成し、エネルギー密度を極大化させることができるパウチ成形装置に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、充電が不可能な一次電池とは異なり、充放電が可能な電池を意味し、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、およびリチウムイオンポリマー電池などが挙げられる。このような二次電池は、デジタルカメラ、ノートブック型コンピュータ、携帯電話、PDA(登録商標)、およびE-バイク(E-bike)などの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力が求められる大型製品と、余剰の発電電力や再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置と、バックアップ用電力貯蔵装置にも適用されて用いられている。
【0004】
このような二次電池は、電極組立体を収容する電池ケースの材質に応じて、パウチ型(Pouch Type)および缶型(Can Type)などに分類される。パウチ型(Pouch Type)は、形状が一定でない柔軟なポリマー材質で製造されたパウチに電極組立体を収容する。そして、缶型(Can Type)は、形状が一定な金属またはプラスチックなどの材質で製造されたケースに電極組立体を収容する。
【0005】
パウチ型二次電池のケースであるパウチは、柔軟性を有するパウチフィルムにプレス加工を行い、カップ部を形成することで製造される。そして、カップ部が形成されると、前記カップ部の収容空間に電極組立体を収納しサイドをシールして二次電池を製造する。
【0006】
このようなプレス加工中のドロー(Drawing)成形は、プレス装置のような成形装置にパウチフィルムを挿入し、パンチでパウチフィルムに圧力を印加し、パウチフィルムを延伸させることで行われる。パウチ成形装置は、パウチを固定するストリッパ(stripper)領域とパンチ領域に区分することができるが、理想的には、ストリッパ領域で均一な面圧を印加してパウチを固定した後、パンチでパウチフィルムに圧力を印加して成形することになる。しかし、ストリッパ領域で加圧面の平坦が不均一であるか、または広い加圧面を介して面圧を加えることになるため、パウチフィルムの延伸が発生するカップ部周辺でパウチフィルムを強くホールドすることができなくなる。
【0007】
図1は、従来のパウチにシワまたはクラックが発生した様子を示した図である。図2は、従来のパウチのカップ部にシワが集中形成される様子を示した図である。つまり、図1および図2に示されたように、カップ部周辺にパウチフィルムの流入が不均一に発生し、そのため、図1の(a)および(b)に示されたように、パウチ成形部周辺にシワ(W)が発生するという問題があった。
【0008】
特に、図2を参照すると、パウチフィルムの延伸が集中するパウチのカップ部のコーナーにシワが集中形成され、このようなシワは、物流移動中に衝撃によりクラック(C)が発生する恐れがあり(図1(c)参照)、これは、電池の性能および安全性の問題につながることになる。そこで、上述した問題を解決するためのパウチ成形装置の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するために導き出されたものであり、本発明の課題は、第2ストリッパがパウチフィルムのカップ部成形位置の周辺でパウチフィルムを均一かつ強く加圧することで、カップ部周辺のシワの発生を最小化し、シワにより発生し得るクラックや破断を予防することができ、成形品質を改善してカップ部の空間効率化を達成し、エネルギー密度を極大化させることができるパウチ成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るパウチ成形装置は、上部にパウチフィルムが載置されるように平板状に形成され、上下面を貫通する形態のカップ部成形孔が形成されるダイプレートと、ダイプレートの上部からパウチフィルムを加圧固定し、カップ部成形孔に対応する位置に上下面を貫通する形態のパンチ孔が形成される第1ストリッパと、第1ストリッパのパンチ孔およびダイプレートのカップ部成形孔に引き込みおよび引き出されてパウチフィルムを成形するパンチ部と、第1ストリッパの下部面から突出するように備えられ、パンチ孔の周縁に沿って備えられてパウチフィルムを加圧固定する第2ストリッパと、を含む。
【0011】
第2ストリッパは、内周縁および外周縁を有する環状に形成され、内周縁がパンチ孔の周縁よりも大きく形成されることができる。
【0012】
第2ストリッパは、ダイプレートと互いに対向する面に摩擦コーティング層が形成されることができる。
【0013】
摩擦コーティング層は、シリコーンを含むことができる。
【0014】
第1ストリッパは、パンチ孔の周縁に沿って形成され、下部から上部に湾入した形態の挿入溝が形成されることができる。
【0015】
挿入溝は、第2ストリッパの水平方向の断面と対応する形状の水平方向の断面を有するように形成され、第2ストリッパは、第1ストリッパの下部面から突出するように備えられ、挿入溝の内部に引き込みまたは引き出されて上下方向に移動可能に備えられることができる。
【0016】
第1ストリッパの上部に備えられる上部プレートと、ダイプレートの下部に備えられる下部プレートと、をさらに含み、上部プレートと下部プレートは、縁部において上下方向に長さを有する結合部材により互いに結合されることができる。
【0017】
第1ストリッパと上部プレートとの間に備えられ、第1ストリッパまたは第2ストリッパのうち少なくとも1つを固定するストリッパバックプレートと、下部プレートとダイプレートとの間に備えられ、ダイプレートを下部から支持するダイバックプレートと、をさらに含むことができる。
【0018】
第1ストリッパは、パンチ孔の周縁に沿って形成され、上下面を貫通する貫通孔が形成され、第2ストリッパは、貫通孔を貫通して備えられる固定部材によりストリッパバックプレートに固定されることができる。
【0019】
固定部材は、長さが変動し、既に設定された長さ以下または既に設定された長さ以上には変動せずに固定されるストッパ方式であってもよい。
【0020】
第2ストリッパは、貫通孔を貫通して備えられる加圧力調節部材によりパウチフィルム加圧力が調節されることができる。
【0021】
加圧力調節部材は、長さ方向に弾性を有するスプリングを含むことができる。
【0022】
加圧力調節部材は、一側が第2ストリッパに接するように備えられ、他側がストリッパバックプレートに結合されるように備えられることができる。
【0023】
加圧力調節部材は、一側が第2ストリッパに接するように備えられ、他側が上部プレートに結合されるように備えられることができる。
【0024】
パンチ部は、パンチボディと、パンチボディの下部に備えられ、パウチフィルムを加圧する加圧面が形成されるパンチと、を含むことができる。
【0025】
第1ストリッパは、パンチ孔の周縁に沿って形成され、上下面を貫通する貫通孔が形成され、第2ストリッパは、貫通孔を貫通して備えられる固定部材により上部プレートに固定されることができる。
【0026】
第2ストリッパは、貫通孔を貫通して備えられる加圧力調節部材によりパウチフィルム加圧力が調節され、加圧力調節部材は、一側が第2ストリッパに接するように備えられ、他側が上部プレートに結合されるように備えられることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るパウチ成形装置は、上部にパウチフィルムが載置されるように平板状に形成され、上下面を貫通する形態のカップ部成形孔が形成されるダイプレートと、ダイプレートの上部からパウチフィルムを加圧固定し、カップ部成形孔に対応する位置に上下面を貫通する形態のパンチ孔が形成される第1ストリッパと、第1ストリッパのパンチ孔およびダイプレートのカップ部成形孔に引き込みおよび引き出されてパウチフィルムを成形するパンチ部と、第1ストリッパの下部面から突出するように備えられ、パンチ孔の周縁に沿って備えられてパウチフィルムを加圧固定する第2ストリッパと、を含む。これにより、第2ストリッパがパウチフィルムのカップ部成形位置の周辺でパウチフィルムを均一かつ強く加圧することで、カップ部周辺のシワの発生を最小化し、シワにより発生し得るクラックや破断を予防することができ、成形品質を改善してカップ部の空間効率化を達成し、エネルギー密度を極大化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来のパウチにシワまたはクラックが発生した様子を示した図である。
図2】従来のパウチのカップ部にシワが集中形成される様子を示した図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置を示した斜視図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置を示した側面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置の一部の構成を分解して示した分解斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置の第1ストリッパを底面から示した底面斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置の第1ストリッパおよび第2ストリッパを示した底面斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置の第1ストリッパおよびストリッパバックプレートを透明に示した側面図である。
図9】本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置の一部の構成のうち第1ストリッパおよびストリッパバックプレートを透明に示した斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態に係るパウチ成形装置の第1ストリッパおよびストリッパバックプレートを透明に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、種々の異なる形態で実現されてもよく、以下の実施形態により制限または限定されるものではない。
【0030】
本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分または本発明の要旨を不要に濁す恐れがある関連の公知技術に関する詳細な説明は省略し、本明細書において各図面の構成要素に参照符号を付するに際しては、明細書の全体をわたって同一または類似の構成要素に対しては同一または類似の参照符号を付するようにする。
【0031】
また、本明細書および特許請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0032】
第1実施形態
図3は、本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置を示した斜視図である。図4は、本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置を示した側面図である。図5は、本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置の一部の構成を分解して示した分解斜視図である。図6は、本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置の第1ストリッパを底面から示した底面斜視図である。図7は、本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置の第1ストリッパおよび第2ストリッパを示した底面斜視図である。図8は、本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置の第1ストリッパおよびストリッパバックプレートを透明に示した側面図である。図9は、本発明の第1実施形態に係るパウチ成形装置の一部の構成のうち第1ストリッパおよびストリッパバックプレートを透明に示した斜視図である。
【0033】
図3図5を参照すると、本発明に係るパウチ成形装置10は、ダイプレート100、第1ストリッパ200、パンチ部300、および第2ストリッパ400を含む。
【0034】
先ず、ダイプレート100は、上部にパウチフィルムが載置されるように平板状に形成され、上下面を貫通する形態のカップ部成形孔100aが形成される。すなわち、上部にパウチフィルムが載置された状態で、後述するパンチ部300がカップ部成形孔100aを通過することで、パウチのカップ部が成形される。したがって、ダイプレート100は、パウチフィルムを下部から支持または固定する役割を行う。一方、ダイプレート100は、ダイプレート100に載置されるパウチフィルムに均一な面圧が印加されるように平板状に形成され、パウチフィルムを支持または固定することができる。
【0035】
第1ストリッパ200は、ダイプレート100の上部からパウチフィルムを加圧固定し、カップ部成形孔100aに対応する位置に上下面を貫通する形態のパンチ孔200aが形成される。すなわち、パウチフィルムは、下部からダイプレート100により支持され、上部から第1ストリッパ200により加圧固定されることができる。一方、ダイプレート100の上部にパウチフィルムが載置され、ダイプレート100の上部から第1ストリッパ200がパウチフィルムを加圧固定することに必ずしも制限されるものではなく、その逆に、第1ストリッパ200の上部にパウチフィルムが載置され、第1ストリッパ200の上部からダイプレート100がパウチフィルムを加圧固定してもよい。
【0036】
パンチ部300は、第1ストリッパ200のパンチ孔200aおよび前記ダイプレート100のカップ部成形孔100aに引き込みおよび引き出されてパウチフィルムを成形する。この際、パンチ部300は、第1ストリッパ200のパンチ孔200aに先に引き込まれた後、ダイプレート100のカップ部成形孔100aに引き込まれてパウチフィルムを加圧することでカップ部を成形することができ、カップ部成形が完了した場合、ダイプレート100のカップ部成形孔100aから引き出された後、第1ストリッパ200のパンチ孔200aから引き出されることができる。
【0037】
第2ストリッパ400は、第1ストリッパ200の下部面から突出するように備えられ、パンチ孔200aの周縁に沿って備えられてパウチフィルムを加圧固定する。これにより、第2ストリッパ400がパウチフィルムのカップ部成形位置の周辺でパウチフィルムを均一かつ強く加圧することで、カップ部周辺のシワの発生を最小化し、シワにより発生し得るクラックや破断を予防することができ、成形品質を改善してカップ部の空間効率化を達成し、エネルギー密度を極大化させることができる。
【0038】
以下、本発明に係るパウチ成形装置10の各構成についてより詳細に説明することにする。
【0039】
図5および図7を参照すると、第2ストリッパ400は、内周縁および外周縁を有する環状に形成されることができ、内周縁がパンチ孔200aの周縁よりも大きく形成されることができる。第2ストリッパ400はパンチ孔200aの周縁に沿って備えられるものであるため、内周縁がパンチ孔200aの周縁よりも小さく形成される場合には、第2ストリッパ400が第1ストリッパ200のパンチ孔200aを通過するパンチ部300を干渉することになり、そのため、第2ストリッパ400の動きが発生するか、またはパンチ部300のパンチングが適切に行われないため、パウチのカップ部の成形品質が低下し得る。したがって、第2ストリッパ400の内周縁がパンチ孔200aの周縁よりも大きく形成されることで、第2ストリッパ400がパンチ部300を干渉せず、パウチフィルムを均一かつ効果的に加圧できるようになる。
【0040】
第2ストリッパ400は、ダイプレート100と互いに対向する面に摩擦コーティング層が形成されることができる。ダイプレート100にはパウチフィルムが載置されるため、第2ストリッパ400においてダイプレート100と互いに対向する面とは、第2ストリッパ400がパウチフィルムを加圧する加圧面と同一に理解することができる。このように第2ストリッパ400にダイプレート100と互いに対向する面に摩擦コーティング層が形成されることで、第2ストリッパ400とパウチフィルムとの間に摩擦力が増加することになり、その結果、第2ストリッパ400がパウチフィルムをさらに均一かつ強く加圧できるようになるため、カップ部成形位置の周辺でのシワの発生を抑制することができる。
【0041】
摩擦コーティング層は、第2ストリッパ400とパウチフィルムとの間で摩擦力を増加可能な素材を含むことができ、好ましくは、シリコーンを含むことができる。ただし、必ずしもシリコーンに制限されるものではなく、パウチフィルムと物理化学的に反応する心配がなく、第2ストリッパ400よりも大きい摩擦係数を有する素材を選択することができる。一方、特定の素材を含んで大きい摩擦係数を有するようにする他にも、表面の形状や粗さを多様にして摩擦係数を増加させてもよい。
【0042】
図5および図6を参照すると、第1ストリッパ200は、パンチ孔200aの周縁に沿って形成され、下部から上部に湾入した形態の挿入溝200bが形成されることができる。下部から上部に湾入した形態とは、厚さを有する第1ストリッパ200の一面から他面方向に湾入した形態と同一に理解することができる。ただし、ここで、一面とは、第2ストリッパ400が備えられる第1ストリッパ200の面であってもよく、他面とは、第1ストリッパ200の一面の反対に位置する面であってもよい。このように第1ストリッパ200に挿入溝200bが形成されることで、後述するように、第2ストリッパ400が挿入溝200bの内部に引き込みまたは引き出されることができ、これにより、第2ストリッパ400の加圧力が適宜調節されることができる。
【0043】
引続き図6図8を参照すると、挿入溝200bは、第2ストリッパ400の水平方向の断面と対応する形状の水平方向の断面を有するように形成されることができ、第2ストリッパ400は、第1ストリッパ200の下部面から突出するように備えられ、前記挿入溝200bの内部に引き込みまたは引き出されて上下方向に移動可能に備えられることができる。挿入溝200bは、第2ストリッパ400が第1ストリッパ200の内部に引き込みまたは引き出されることができる空間を提供し、このために、第2ストリッパ400の水平方向の断面と対応する形状を有するように形成されるのである。ここで、挿入溝200bが第2ストリッパ400の水平方向の断面と対応する形状を有するとは、挿入溝200bの大きさが、第2ストリッパ400の水平方向の断面と同一の形状を有するが、オフセットの大きさだけ幅が大きいことを意味し得る。仮に挿入溝200bの幅の大きさが第2ストリッパ400の幅の大きさと同一であれば、第2ストリッパ400が挿入溝200bに挿入されないか、または挿入されても挿入溝200bにより干渉されて移動が円滑でなく、そのため、適切な加圧力を加えることができなくなる。その逆に、挿入溝200bの幅の大きさが第2ストリッパ400の幅の大きさよりも過度に大きければ、第2ストリッパ400が挿入溝200bに挿入されつつパウチフィルムを加圧する過程で、側面方向に揺れが発生することになり、そのため、やはり適切な加圧力を加えることができなくなる。したがって、オフセットの大きさは、挿入溝200bに第2ストリッパ400が容易に挿入され、かつ、挿入後に挿入溝200bの内部で第2ストリッパ400の揺れが発生しない適した幅を有することが好ましい。実際にオフセットの大きさは、作製される第2ストリッパ400の幅に応じて実験的に決められることができる。
【0044】
このように、第2ストリッパ400は、第1ストリッパ200の下部面から突出した状態で備えられ、第2ストリッパ400がパウチフィルムを加圧するにつれて挿入溝200bの内部に一部挿入されることができ、これにより、パウチフィルムを適切に加圧してシワの発生を抑制することができるとともに、カップ部成形位置の周辺に第2ストリッパ400の形状が残らないようにして成形品質を向上させることができる。
【0045】
図8を参照すると、本発明に係るパウチ成形装置10は、上部プレート700および下部プレート800をさらに含むことができる。上部プレート700は、第1ストリッパ200の上部に備えられ、下部プレート800は、前記ダイプレート100の下部に備えられることができる。この際、上部プレート700と下部プレート800は、縁部において上下方向に長さを有する結合部材900により互いに結合されることができる。すなわち、上部プレート700は、パウチ成形装置10の上端に備えられ、パンチ部300と後述するストリッパバックプレート500構成が結合して固定されることができる。下部プレート800は、パウチ成形装置10の下端に備えられ、パウチ成形装置10全体を下部から支持する役割をすることができる。
【0046】
また、パウチ成形装置10は、ストリッパバックプレート500およびダイバックプレート600をさらに含むことができる。ストリッパバックプレート500は、第1ストリッパ200と上部プレート700との間に備えられ、第1ストリッパ200または前記第2ストリッパ400のうち少なくとも1つを固定することができる。ダイバックプレート600は、下部プレート800とダイプレート100との間に備えられ、前記ダイプレート100を下部から支持することができる。このように、第1ストリッパ200、第2ストリッパ400、およびダイプレート100は、パウチフィルムと直接的に接触してパウチフィルムを加圧する役割をし、ストリッパバックプレート500およびダイバックプレート600は、上述したストリッパおよびダイプレート100の上部または下部に備えられ、第1、第2ストリッパおよびダイプレート100がパウチ成形装置10に安定的に固定できるようにする。
【0047】
以下、図6図8、および図9を参照して、第2ストリッパ400が固定される方式について詳しく説明する。
【0048】
先ず、図6に示されたように、第1ストリッパ200には、パンチ孔200aの周縁に沿って形成され、上下面を貫通する貫通孔200cが形成されることができる。この際、第2ストリッパ400は、図8および図9に示されたように、貫通孔200cを貫通する固定部材410によりストリッパバックプレート500に固定されることができる。このように第2ストリッパ400が第1ストリッパ200の下部または第1ストリッパ200の挿入溝200bの内部に備えられても、第1ストリッパ200と直接的に結合されるものではなく、ストリッパバックプレート500に固定されることで、第1ストリッパ200とは独立して上下方向の移動が可能であり、そのため、パウチフィルムに適切な加圧力を加えることができるようになる。この際、貫通孔200cは、複数形成されてもよく、固定部材410も、複数形成されてもよいが、貫通孔200cの個数と同一であるかまたは貫通孔200cの個数よりも少なく備えられ、第2ストリッパ400を固定することができる。
【0049】
固定部材410は、長さが変動し、既に設定された長さ以下または既に設定された長さ以上には変動せずに固定されるストッパ方式であってもよい。ここで、既に設定された長さ以上に変動せずに固定されるとは、第2ストリッパ400が第1ストリッパ200の下部面に突出するように第2ストリッパ400を固定するが、ダイプレート100と第1ストリッパ200との間にパウチフィルムが載置できない程度に第2ストリッパ400が突出して固定される長さ以上には変動しないことを意味し得る。また、既に設定された長さ以下に変動せずに固定されるとは、第2ストリッパ400が第1ストリッパ200に形成された挿入溝200bに挿入されるが、挿入溝200bの内部に完全に挿入され、側面から見たとき、第2ストリッパ400が突出しない程度の長さ以下には変動しないことを意味し得る。
【0050】
一方、第2ストリッパ400は、上述した固定部材410の他にも、貫通孔200cを貫通して備えられる加圧力調節部材420によりパウチフィルムを加圧する加圧力が調節されることができる。加圧力調節部材420は、固定部材410とは別に備えられるものであり、第2ストリッパ400が第1ストリッパ200の挿入溝200bの内部に挿入される方向の反対方向に力を加え、第2ストリッパ400がパウチフィルムを加圧できるように加圧力を提供する。したがって、加圧力調節部材420は、第2ストリッパ400が挿入溝200bの内部に挿入されるほど、第2ストリッパ400の加圧力が連続的に大きくなることができる。加圧力調節部材420は、一側が第2ストリッパ400に接するように備えられ、他側がストリッパバックプレート500に結合されるように備えられることができる。加圧力調節部材420も複数形成されてもよく、これにより、位置別に加圧力を調節することができる。
【0051】
加圧力調節部材420は、長さ方向に弾性を有するスプリングを含むことができる。スプリングは圧縮されるほど弾性力が大きくなるため、加圧力調節部材420としてスプリングを選択する場合、第2ストリッパ400が挿入溝200bの内部に挿入されるほど、第2ストリッパ400の加圧力が連続的に大きくなることができる。一方、加圧力調節部材420は、スプリングの他にも、ストリッパバックプレート500にスプリングの他側を固定するスプリング固定部材をさらに含むことができる。
【0052】
次に、パンチ部300は、パンチボディ320と、パンチボディ320の下部に備えられ、パウチフィルムを加圧する加圧面が形成されるパンチ310と、を含むことができる。パンチボディ320は、パンチ部300をパウチ成形装置10に固定する構成であってもよく、加圧面が形成されたパンチ310は、パウチフィルムを直接的に加圧する構成であり、成形しようとするカップ部の形状および大きさに対応することができる。
【0053】
一方、パンチボディ320がパウチ成形装置10において固定されて動かず、ダイプレート100と第1ストリッパ200との間にパウチフィルムを介在した状態で上下に移動する場合、パンチ部300のパンチボディ320およびパンチ310がパンチ孔200aおよびカップ部成形孔100aを通過しつつ、パウチフィルムにカップ部が成形されることができる。ただし、その逆に、ダイプレート100と第1ストリッパ200がパウチフィルムを介在した状態で固定されており、パンチ部300が移動してカップ部を成形してもよい。
【0054】
第2実施形態
本発明の第2実施形態においては、第1実施形態の加圧力調節部材420が、一側は第2ストリッパ400に接するように備えられ、他側は上部プレート700に結合されるように備えられる点で、第1実施形態とは差がある。第1実施形態と共通した内容はできるだけ省略し、相違点を中心に第2実施形態について説明することにする。すなわち、第2実施形態において説明していない内容が必要である場合、第1実施形態の内容と見なされることは明らかである。
【0055】
図10は、本発明の第2実施形態に係るパウチ成形装置の第1ストリッパおよびストリッパバックプレートを透明に示した側面図である。
【0056】
本発明の第2実施形態に係るパウチ成形装置10は、ダイプレート100、第1ストリッパ200、パンチ部300、および第2ストリッパ400を含む。また、ストリッパバックプレート500、ダイバックプレート600、上部プレート700、および下部プレート800をさらに含むことができる。
【0057】
第1ストリッパ200は、パンチ孔200aの周縁に沿って形成され、上下面を貫通する貫通孔200cが形成され、第2ストリッパ400は、貫通孔200cを貫通して備えられる固定部材410により前記ストリッパバックプレート500に固定されることができる。
【0058】
また、第2ストリッパ400は、貫通孔200cを貫通して備えられる加圧力調節部材420によりパウチフィルム加圧力が調節されることができ、この際、本発明の第2実施形態に係るパウチ成形装置10の加圧力調節部材420は、一側が第2ストリッパ400に接するように備えられ、他側が上部プレート700に結合されるように備えられることができる。
【0059】
このように加圧力調節部材420の他側が上部プレート700に結合されることで、ストリッパバックプレート500に結合される場合に比べてさらに安定的に加圧力を提供することができ、加圧力調節部材420がスプリングを含む場合、スプリングの長さを長く形成することができるため、より多様な大きさの加圧力を提供できるようになる。一方、加圧力調節部材420は、スプリングの他にも、ストリッパバックプレート500にスプリングの他側を固定するスプリング固定部材をさらに含むことができる。
【0060】
第3実施形態
本発明の第3実施形態においては、第1実施形態および第2実施形態の第2ストリッパ400が固定部材410により固定されるが、ストリッパバックプレート500ではなく上部プレート700に固定される点で、第1実施形態および第2実施形態とは差がある。第1実施形態および第2実施形態と共通した内容はできるだけ省略し、相違点を中心に第3実施形態について説明することにする。すなわち、第3実施形態において説明していない内容が必要である場合、第1実施形態および第2実施形態の内容と見なされることは明らかである。
【0061】
したがって、本発明の第3実施形態に係るパウチ成形装置10は、ダイプレート100、第1ストリッパ200、パンチ部300、および第2ストリッパ400を含む。また、ダイバックプレート600、上部プレート700、および下部プレート800をさらに含むことができる。
【0062】
本発明の第3実施形態に係るパウチ成形装置10において、第1ストリッパ200は、パンチ孔200aの周縁に沿って形成され、上下面を貫通する貫通孔200cが形成され、第2ストリッパ400は、貫通孔を貫通して備えられる固定部材410により前記上部プレート700に固定されることができる。これにより、パウチの成形品質は維持した状態で、パウチ成形装置の構造を単純化できるようになる。
【0063】
固定部材410は、長さが変動し、既に設定された長さ以下または既に設定された長さ以上には変動せずに固定されるストッパ方式であってもよい。また、第2ストリッパ400は、貫通孔200cを貫通して備えられる加圧力調節部材420によりパウチフィルム加圧力が調節されることができる。ここで、固定部材410および加圧力調節部材420に関する詳細な構成およびそれによる効果は、第1実施形態と同一に理解することができる。
【0064】
また、第2ストリッパ400は、貫通孔200cを貫通して備えられる加圧力調節部材420によりパウチフィルム加圧力が調節され、加圧力調節部材420は、一側が第2ストリッパ400に接するように備えられ、他側が上部プレート700に結合されるように備えられることができる。
【0065】
以上、限定された実施形態および図面により本発明を説明したが、本発明は、これにより限定されるものではなく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により、本発明の技術思想および後述の特許請求の範囲と均等な範囲内で多様な実施が可能である。
【符号の説明】
【0066】
10:パウチ成形装置
100:ダイプレート
100a:カップ部成形孔
200:第1ストリッパ
200a:パンチ孔
200b:挿入溝
200c:貫通孔
300:パンチ部
310:パンチ
320:パンチボディ
400:第2ストリッパ
410:固定部材
420:加圧力調節部材
500:ストリッパバックプレート
600:ダイバックプレート
700:上部プレート
800:下部プレート
900:結合部材
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10