(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電池セルおよびこれを含む電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/581 20210101AFI20241210BHJP
H01M 50/583 20210101ALI20241210BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20241210BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20241210BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20241210BHJP
H01M 50/566 20210101ALI20241210BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20241210BHJP
【FI】
H01M50/581
H01M50/583
H01M50/54
H01M50/55 301
H01M50/536
H01M50/566
H01M50/178
(21)【出願番号】P 2022567407
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(86)【国際出願番号】 KR2021015243
(87)【国際公開番号】W WO2022108163
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】10-2020-0157743
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0143813
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サンドゥク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・シク・オ
(72)【発明者】
【氏名】ガ・ヨン・ベク
(72)【発明者】
【氏名】シン・ジン
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-050920(JP,A)
【文献】特開昭63-119125(JP,A)
【文献】特表2018-511155(JP,A)
【文献】特開2013-222594(JP,A)
【文献】特開2009-181899(JP,A)
【文献】特開平10-214614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50 - 50/598
H01M 50/00 - 50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離膜を介在させて積層された複数の電極板を含む電極組立体;および
前記電極組立体が収納部に装着される電池ケースを含み、
前記電極組立体は前記複数の電極板からそれぞれ延長されて形成された複数の電極タップを含み、
前記複数の電極タップは同一極性同士が同一線上に互いに配列されて電極タップ配列体を形成し、
前記複数の電極タップの端部に
それぞれ保護部材が接合されており、
前記電極タップ配列体と電気的に連結され、前記電池ケースの外側方向に突出している電極リードをさらに含み、
前記電極リードは第1電極リード部および第2電極リード部を含み、
前記第1電極リード部は前記電極タップ配列体の
配列方向に沿って延長さ
れ、前記複数の電極タップの端部にそれぞれ接合されている前記保護部材の端部と互いに接合されており、
前記第2電極リード部は前記第1電極リード部から前記電池ケースの外側方向に突出しており、
前記保護部材は、ショート現象が発生した電極板の電極タップを前記第1電極リード部から切り離すように構成されている、電池セル。
【請求項2】
前記複数の電極タップの端部のうちの一部
に一つの前記保護部材が接合されており、
前記複数の電極タップの端部のうちの残り一部
に他の一つの前記保護部材が接合されている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記保護部材は、第1温度以上の熱が加えられると切れる、請求項1
または2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記第1温度は、前記電極板に第1電流以上の電流が流れる時に発生する抵抗熱の温度である、請求項
3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記第1電流は10C以上の電流である、請求項
4に記載の電池セル。
【請求項6】
前記保護部材はPb-Sn(鉛-錫)合金を含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記保護部材は、30重量%~45重量%の鉛(Pb)および55重量%~70重量%の錫(Sn)を含む合金からなる、請求項
6に記載の電池セル。
【請求項8】
前記電池ケースは外周辺が熱融着によって密封された構造のシーリング部を含み、
前記電極リードの上部および下部のうちの少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムを含む、請求項1に記載の電池セル。
【請求項9】
前記リードフィルムは、前記第2電極リード部に位置する、請求項
8に記載の電池セル。
【請求項10】
電極板から延長されて形成された電極タップに
それぞれ保護部材を接合するプリ溶接段階;
前記保護部材が接合された複数の電極板の間に分離膜を介在させて電極組立体を製造する電極組立体製造段階;および
前記電極組立体に含まれている複数の前記電極タップは同一極性同士が互いに積層されて電極タップ配列体を形成し、前記電極タップ配列体の端部と電極リードを互いに接するようにする溶接段階を含み、
前記電極リードは第1電極リード部および第2電極リード部を含み、
前記第1電極リード部は前記電極タップ配列体の
配列方向に沿って延長さ
れ、複数の前記電極タップにそれぞれ接合されている前記保護部材の端部と互いに接合されており、
前記第2電極リード部は前記第1電極リード部から電池ケースの外側方向に突出しており、
前記保護部材は、ショート現象が発生した電極板の電極タップを前記第1電極リード部から切り離すように構成されている、電池セル製造方法。
【請求項11】
前記電極リードと電気的に連結された前記電極組立体を電池ケースの収納部に装着するパッケージング段階をさらに含む、請求項
10に記載の電池セル製造方法。
【請求項12】
請求項1から
9のいずれか一項に記載の電池セルを含む電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2020年11月23日付韓国特許出願第10-2020-0157743号および2021年10月26日付韓国特許出願第10-2021-0143813号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は電池セルおよびこれを含む電池モジュールに関するものであって、より具体的には安全性が向上した電池セルおよびこれを含む電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれてエネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。特に、二次電池は、携帯電話機、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心を得ている。
【0004】
このような二次電池は、電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒形または角形の金属缶に内装されている円筒形電池および角形電池と、電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内装されているパウチ型電池に分類される。ここで、電池ケースに内蔵される電極組立体は正極、負極、および前記正極と前記負極の間に介された分離膜構造からなって充放電の可能な発電素子であって、活物質が塗布された長いシート型の正極と負極の間に分離膜を介在させて巻き取られたジェリーロール型と、複数の正極と負極を分離膜が介された状態で順次に積層したスタック型に分類される。
【0005】
この中でも、特にスタック型またはスタック/フォールディング型電極組立体をアルミニウムラミネートシートのパウチ型電池ケースに内蔵した構造のパウチ型電池が、低い製造費用、小さな重量、容易な変形形態などを理由に使用量が次第に増加している。
【0006】
図1は、従来の電池セルの分解斜視図である。
図2は、
図1の電池セルに含まれている電極組立体の端部を拡大した斜視図である。
【0007】
図1および
図2を参照すれば、従来の電池セル10は、電池ケース20内部に正極33、負極34およびこれらの間に介される分離膜35からなる電極組立体30および電解液を含む。ここで、二次電池10は、電極組立体30の正極タップ31および負極タップ32と電気的に連結される二つの電極リード40、41が他部に露出されるように密封されている構造からなる。
【0008】
ここで、従来の電池セル10のようなパウチ形態の電池セルは、使用中の発火、爆発などの安全性をテストするために、緩衝状態のバッテリーに外力を加える衝突あるいは鋭い金属異物を貫通させるショート現象の発生および発火の有無を確認するようになる。
【0009】
この時、電池セル10内一部電極でショート現象が発生する場合、ショート現象が発生しない電極で電極タップ31、32の溶接面を通じてショート現象が発生した電極に電流が移動する過電流現象が発生するようになる。これにより、ショート現象が発生した電極は過電流現象によって発熱し、その後熱暴走状態に到達して発火が発生する問題がある。即ち、電池セル内一部電極でショート現象が発生しても、他の電極による過電流を抑制して安全性を確保することができる電池セルを開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は、電池セル内の複数の電極板の間で発生し得る過電流を抑制して、安全性が向上した電池セルおよびこれを含む電池モジュールを提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとする課題が上述の課題に制限されるわけではなく、言及されていない課題は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による電池セルは、分離膜を介在させて積層された複数の電極板を含む電極組立体;および前記電極組立体が収納部に装着される電池ケースを含み、前記電極組立体は前記複数の電極板からそれぞれ延長されて形成された複数の電極タップを含み、前記複数の電極タップは同一極性同士が同一線上に互いに配列されて電極タップ配列体を形成し、前記複数の電極タップの端部に少なくとも一つの保護部材が接合されている。
【0013】
前記複数の電極タップの端部のうちの一部に前記少なくとも一つの保護部材のうちの一つの前記保護部材が接合されており、前記複数の電極タップの端部のうちの残り一部に前記少なくとも一つの保護部材のうちの他の一つの前記保護部材が接合されていてもよい。
【0014】
前記複数の電極タップの端部にそれぞれ前記保護部材が接合されていてもよい。
【0015】
前記保護部材は、第1温度以上の熱が加えられると切れることになる。
【0016】
前記第1温度は、前記電極板に第1電流以上の電流が流れる時に発生する抵抗熱の温度であってもよい。
【0017】
前記第1電流は10C以上の電流であってもよい。
【0018】
前記保護部材は、Pb-Sn(鉛-錫)合金を含むことができる。
【0019】
前記保護部材は、30重量%~45重量%の鉛(Pb)および55重量%~70重量%の錫(Sn)を含む合金から形成することができる。
【0020】
前記電極タップ配列体と電気的に連結され、前記電池ケースの外側方向に突出している電極リードをさらに含むことができる。
【0021】
前記電極タップ配列体の端部が前記電極リードと接していてもよい。
【0022】
前記保護部材の端部が前記電極リードと接していてもよい。
【0023】
前記電池ケースは外周辺が熱融着によって密封された構造のシーリング部を含み、前記電極リードの上部および下部のうちの少なくとも一方において、前記シーリング部に対応する部分に位置するリードフィルムを含むことができる。
【0024】
前記電極リードは第1電極リード部および第2電極リード部を含み、前記第1電極リード部は前記電極タップ配列体の端部に沿って延長されており、前記第2電極リード部は前記第1電極リード部から前記電池ケースの外側方向に突出していてもよい。
【0025】
前記リードフィルムは、前記第2電極リード部に配置することができる。
【0026】
本発明の一実施形態による電池セル製造方法は、電極板から延長されて形成された電極タップに保護部材を接合するプリ溶接段階;前記保護部材が接合された複数の電極板の間に分離膜を介在させて電極組立体を製造する電極組立体製造段階;および前記電極組立体に含まれている前記複数の電極タップは同一極性同士が互いに積層されて電極タップ配列体を形成し、前記電極タップ配列体の端部と電極リードを互いに接するようにする溶接段階を含む。
【0027】
前記電極リードと電気的に連結された前記電極組立体を電池ケースの収納部に装着するパッケージング段階をさらに含むことができる。
【0028】
本発明の他の一実施形態による電池モジュールは、前述の電池セルを含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
実施形態によれば、本発明は電極タップの端部に保護部材が接合されている複数の電極板を含む電池セルおよびこれを含む電池モジュールを提供して、電池セル内の複数の電極板の間で発生し得る過電流を抑制し、安全性を向上することができる。
【0030】
本発明の効果が上述の効果に制限されるわけではなく、言及されていない効果は本明細書および添付した図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】
図1の電池セルに含まれている電極組立体の端部を拡大した斜視図である。
【
図3】本実施形態による電池セルの分解斜視図である。
【
図4】
図3の電池セルに含まれている電極組立体の端部を拡大した斜視図である。
【
図5】
図3の電極組立体に含まれている電極板の端部を拡大した斜視図である。
【
図6】
図3の電池セルの電極組立体のうちの一部でショート現象が発生した時の、電極組立体の端部を拡大した斜視図である。
【
図7】本実施形態による電池セルの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0033】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。
【0034】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示のところに限定されない。図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張して示した。
【0035】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0036】
また、明細書全体で、“平面図”という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、“断面図”という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0037】
図3は、本実施形態による電池セルの分解斜視図である。
図4は、
図3の電池セルに含まれている電極組立体の端部を拡大した斜視図である。
【0038】
図3および
図4を参照すれば、本実施形態による電池セル100は、分離膜(図示せず)を介在させて積層された複数の電極板330、340を含む電極組立体300、および電極組立体300が収納部230に装着される電池ケース200を含む。ここで、電池セル100は、電池ケース200内部に電極組立体300と共に電解液を含むことができる。ここで、電極組立体300の複数の電極板330、340から延長されている複数の電極タップ310、320と電気的に連結されている二つの電極リード400、410が他部に露出されるように密封されている構造に形成できる。
【0039】
一例として、電池ケース200はパウチ型電池ケースであって、電極組立体300が安着され電解液を含むことができる凹み形状の収納部230を含むケース本体210と前記ケース本体210に一体として連結されているカバー220から形成できる。また、電池ケース200は、ケース本体210とカバー220の外周部が融着されてシーリング部を構成して内部空間が密閉されることになる。但し、本発明の実施形態が前述の構造に限定されるのではなく、一般的な構造の二次電池の電池ケースで代替できる。
【0040】
一例として、前記電解液は、液体状態の電解質を意味し、正極と負極の間でイオンが移動可能であり、このような正極と負極の間のイオン交換を通じて二次電池は充放電を行うことができる。本発明で使用される電解液としてはリチウム二次電池製造時使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるのではない。
【0041】
以下、電池セル100において電池ケース200を除いた残りの構成要素を中心に説明する。
【0042】
図3および
図4を参照すれば、本実施形態による電池セル100で、電極組立体300はスタック形電極組立体あるいはスタック/フォールディング型電極組立体であってもよい。但し、
図4で電極組立体300内に含まれている分離膜(図示せず)の表現が省略されており、本実施形態による電池セル100において、分離膜(図示せず)が電極組立体300の形態によって電極組立体300内の正極板330と負極板340の間に介されていてもよい。
【0043】
また、電極組立体300は複数の電極板330、340からそれぞれ延長されて形成される複数の電極タップ310、320を含み、複数の電極タップ310、320は同一極性同士が同一線上に互いに配列されて電極タップ配列体を形成することができる。
【0044】
一例として、電極組立体300は複数の正極板330から延長されて形成される複数の正極タップ310が互いに配列されて正極タップ配列体を形成することができ、複数の負極板340から延長されて形成される複数の負極タップ320が互いに配列される負極タップ配列体を形成することができる。
【0045】
図5は、
図3の電極組立体に含まれている電極板の端部を拡大した斜視図である。
図5(a)はショート現象が発生しない電極板の端部を拡大した斜視図であり、
図5(b)はショート現象が発生した電極板の端部を拡大した斜視図である。
【0046】
図3~
図5(a)を参照すれば、電極組立体300で、各電極板330、340は電極タップ310、320が延長されて形成されており、電極タップ310、320の端部に少なくとも一つの保護部材315、325が接合されていてもよい。
【0047】
より具体的に、電極組立体300で、複数の電極タップ310、320の端部のうちの一部に少なくとも一つの保護部材315、325のうちの一つの保護部材315、325が接合されており、複数の電極タップ310、320の端部のうちの残り一部に少なくとも一つの保護部材315、325のうちの他の一つの保護部材315、325が接合されていてもよい。
【0048】
一例として、電極組立体300は二つの保護部材315、325を含み、複数の電極タップ310、320の端部のうちの一部に二つの保護部材315、325のうちの一つが接合されており、複数の電極タップ310、320の端部のうちの残り一部に二つの保護部材315、325のうちの他の一つが接合されていてもよい。但し、これに限定されるのではなく、二つ以上の保護部材315、325を含む場合であって、各保護部材315、325に複数の電極タップ310、320の端部のうちの一部が接合されている場合も本実施形態に含まれる。
【0049】
また、電極組立体300で、複数の電極タップ310、320の端部にそれぞれ保護部材315、325が接合されていてもよい。
【0050】
一例として、電極組立体300は、
図4のように、複数の保護部材315、325を含み、複数の電極タップ310、320の端部にそれぞれ保護部材315、325が接合されている。より具体的に、電極組立体300で、電極タップ310、320は電極タップ部311、321と保護部材315、325を含み、電極タップ部311、321の端部と保護部材315、325は互いに接合されていてもよい。より具体的に、正極タップ部311の端部にそれぞれ第1保護部材315が接合されていてもよく、負極タップ部321の端部にそれぞれ第2保護部材325が接合されていてもよい。
【0051】
図5(b)を参照すれば、保護部材315、325は、第1温度以上の熱が加えられると切れる素材から形成できる。ここで、前記第1温度は、電極板330、340にショート現象が発生して過電流が流れるなどの異常現象が発生した時の温度であってもよい。より具体的に、電極板330、340に第1電流以上の電流が流れる時に発生する抵抗熱の温度であってもよい。ここで、前記第1電流は10C(シーレート)であってもよい。即ち、保護部材315、325は10C以上の電流が流れることにより切れることになる。また、前記第1温度は摂氏100度以上の温度であってもよい。即ち、保護部材315、325は摂氏100度以上の温度の熱が伝達されることによって切れることになる。
【0052】
これにより、複数の電極板330、340のうちの一部で10C(シーレート)以上の電流が流れる場合および/または摂氏100度以上の温度の熱が伝達される場合、保護部材315、325は切れることになる。即ち、複数の電極板330、340のうちの一部電極板でショート現象が発生しても、ショート現象が発生した電極板330、340の保護部材315、325が切れて、ショート現象が発生した電極板330、340とショート現象が発生しない電極板330、340の間の電子移動を制限することができる。即ち、ショート現象が発生した電極板330、340の過電流現象を防止して、安定性が向上できる。
【0053】
ここで、複数の電極板330、340のうちの一部で10C(シーレート)未満の電流が流れる場合および/または摂氏100度未満の温度の熱が伝達される場合、保護部材315、325は切れないことになる。これは、複数の電極板330、340のうちの一部が単純発熱した状態であって、発熱量が熱放出量を超過しないので電池セル100の発火モードに到達しないためである。
【0054】
これとは異なり、もし10C(シーレート)未満の電流が流れる場合および/または摂氏100度未満の温度の熱が伝達される場合に保護部材315、325が切れるようになると、電極板330、340で異常現象が発生しない単純発熱の電極板であるにもかかわらず電流が遮断されることがある問題がある。
【0055】
保護部材315、325は、亜鉛、錫、鉛を主体にするか、あるいはこれらを主成分とする合金から形成することができる。一例として、保護部材315、325はPb-Sn(鉛-錫)合金を含むことができる。但し、保護部材315、325は前述の物質に限定されて形成されるのではなく、通常のヒューズ(fuse)に含まれる構成物質も含むことができる。
【0056】
保護部材315、325がPb-Sn(鉛-錫)合金を含む場合、保護部材315、325は30重量%~45重量%の鉛(Pb)および55重量%~70重量%の錫(Sn)を含む合金から形成できる。より具体的に、保護部材315、325は33重量%~43重量%の鉛(Pb)および57重量%~67重量%の錫(Sn)を含む合金から形成できる。一例として、保護部材315、325は35重量%~40重量%の鉛(Pb)および60重量%~65重量%の錫(Sn)を含む合金から形成できる。
【0057】
このように、保護部材315、325は前述の範囲の比率でPb-Sn(鉛-錫)合金を含むことで、ショート現象が発生した電極板330、340から発生される発熱温度によって固体から液体に相変化が行われることができる。即ち、保護部材315、325の相変化によってショート現象が発生した電極板330、340の保護部材315、325が切れることになり、ショート現象が発生した電極板330、340へ流れる電子移動を制限することができる。即ち、ショート現象が発生した電極板330、340の過電流現象を防止して、安定性が向上できる。
【0058】
図3および
図4を参照すれば、本実施形態による電池セル100は、前記電極タップ配列体と電気的に連結され、電池ケース200の外側方向に突出している電極リード400、410を含む。また、電池ケース200は外周辺が熱融着によって密封された構造のシーリング部240を含み、電極リード400、410の上部および下部のうちの少なくとも一方において、シーリング部240に対応する部分に位置するリードフィルム500を含むことができる。
【0059】
より具体的に、複数の正極タップ310が互いに配列されて形成された前記正極タップ配列体は正極リード400と電気的に連結されていてもよく、複数の負極タップ320が互いに配列されて形成された前記負極タップ配列体は負極リード410と電気的に連結されていてもよい。
【0060】
ここで、前記電極タップ配列体の端部が電極リード400、410と互いに接合されていてもよい。より具体的に、複数の正極タップ310が互いに配列されて形成された前記正極タップ配列体は正極リード400と互いに接合されていてもよく、複数の負極タップ320が互いに配列されて形成された前記負極タップ配列体は負極リード410と互いに接合されていてもよい。一例として、前記電極タップ配列体の端部と電極リード400、410は溶接あるいは熱融着されて互いに接合できる。
【0061】
また、前記電極タップ配列体の端部で、複数の電極タップ310、320に接合されている保護部材315、325の端部が電極リード400、410と互いに接合されていてもよい。より具体的に、複数の正極タップ310の各端部に接合されている第1保護部材315の端部が正極リード400と互いに接合されていてもよく、複数の負極タップ320の各端部に接合されている第2保護部材325の端部が負極リード410と互いに接合されていてもよい。一例として、保護部材315、325の端部と電極リード400、410は溶接あるいは熱融着されて互いに接合できる。
【0062】
また、
図3および
図4を参照すれば、本実施形態による電池セル100で、電極リード400、410は第1電極リード部と第2電極リード部を含むことができる。ここで、前記第1電極リード部は複数の電極タップ310、320が互いに配列されている前記電極タップ配列体の端部に沿って延長されており、前記第2電極リード部は前記第1電極リード部から電池ケース200の外側方向に突出していてもよい。
【0063】
ここで、前記電極タップ配列体の端部が電極リード400、410の前記第1電極リード部と互いに接合されていてもよい。より具体的に、複数の正極タップ310が互いに配列されて形成された前記正極タップ配列体は正極リード400の前記第1電極リード部と互いに接合されていてもよく、複数の負極タップ320が互いに配列されて形成された前記負極タップ配列体は負極リード410の前記第1電極リード部と互いに接合されていてもよい。一例として、前記電極タップ配列体の端部と電極リード400、410の前記第1電極リード部は溶接あるいは熱融着されて互いに接合できる。
【0064】
また、前記電極タップ配列体の端部で、複数の電極タップ310、320に接合されている保護部材315、325の端部が電極リード400、410と互いに接合されていてもよい。より具体的に、複数の正極タップ310の各端部に接合されている第1保護部材315の端部が正極リード400の前記第1電極リード部と互いに接合されていてもよく、複数の負極タップ320の各端部に接合されている第2保護部材325の端部が負極リード410の前記第1電極リード部と互いに接合されていてもよい。一例として、保護部材315、325の端部と電極リード400、410の前記第1電極リード部は溶接あるいは熱融着されて互いに接合できる。
【0065】
ここで、リードフィルム500は前記第2電極リード部に配置することができる。より具体的に、リードフィルム500は前記第2電極リード部でシーリング部240と対応する部分に配置することができる。
【0066】
図6は、
図3の電池セルの電極組立体のうちの一部でショート現象が発生した時の、電極組立体の端部を拡大した斜視図である。
【0067】
図3~
図6を参照すれば、本実施形態による電池セル100は複数の電極板330、340のうちの一部の電極板でショート現象が発生する場合、当該電極板330、340の電極タップ310、320に連結されている保護部材315、325が切れることになる。ここで、複数の電極板330、340のうちの一部の電極板でショート現象が発生しない電極板の場合、保護部材315、325は切れず維持される。
【0068】
このように、ショート現象が発生した電極板330、340は保護部材315、325が切れることによって、ショート現象が発生しない電極板330、340からの電子移動が制限され過電流現象および熱暴走現象を防止することができる。これと共に、ショート現象が発生しない電極板330、340は、ショート現象が発生した電極板330、340と異なり、正常にバッテリー機能を果たすことができて、電池セル100を含むデバイスの急のシャットダウン(shut-down)を防止することができる。
【0069】
図7は、本実施形態による電池セルの製造方法を示すフローチャートである。
【0070】
図7を参照すれば、本発明の一実施形態による電池セル製造方法は、プリ溶接段階(S10);電極組立体製造段階(S20);および溶接段階(S30)を含む。
【0071】
図5および
図7を参照すれば、プリ溶接段階(S10)は各電極板330、340から延長されて形成される電極タップ部311、321の端部に保護部材315、325をそれぞれ接合する段階であってもよい。一例として、電極タップ部311、321の端部と保護部材315、325は溶接あるいは熱融着されて互いに接合できる。
【0072】
図3、
図4および
図7を参照すれば、電極組立体製造段階(S230)は保護部材315、325が接合された複数の電極板330、340の間に分離膜(図示せず)を介在させて電極組立体300を製造することができる。この時、電極組立体300はスタック型またはスタック/フォールディング型組立方式によって製造することができる。
【0073】
図3、
図4および
図7を参照すれば、溶接段階(S30)は電極組立体300に含まれている複数の電極タップ310、320を同一極性同士が互いに積層された電極タップ配列体を形成し、電極タップ配列体の端部と電極リード400、410を互いに接合する段階であってもよい。一例として、前記電極タップ配列体の端部と電極リード400、410は溶接あるいは熱融着されて互いに接合できる。この時、前記電極リード400、410と接合する前記電極タップ配列体の端部は保護部材315、325の端部であってもよい。
【0074】
また、本実施形態による電池セル製造方法は、前記電極リードと電気的に連結された前記電極組立体を電池ケースの収納部に装着するパッケージング段階(S40)をさらに含むことができる。
【0075】
これにより、本実施形態による電池セル製造方法は、保護部材315、325を含む複数の電極板330、340を含む電池セル100を製造することによって、各電極板330、340のうちのショート現象が発生した電極板に対して電子移動を個別的に制限することができる。即ち、ショート現象が発生した電極板に対する過電流現象および熱暴走現象を防止することができ、安定性を向上させることができる。これと共に、ショート現象が発生しない電極板330、340は正常にバッテリー機能を果たすことができて、電池セル100を含むデバイスの急のシャットダウン(shut-down)を防止することができる。
【0076】
本発明の他の一実施形態による電池モジュールは前述の電池セルを含む。一方、本実施形態による電池モジュールは、一つまたはそれ以上がパックケース内にパッケージングされて電池パックを形成することもできる。
【0077】
前述の電池モジュールおよびこれを含む電池パックは多様なデバイスに適用することができる。このようなデバイスには、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド自動車などの運送手段に適用することができるが、本発明はこれに制限されず、電池モジュールおよびこれを含む電池パックを使用することができる多様なデバイスに適用可能であり、これも本発明の権利範囲に属する。
【0078】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0079】
100:電池セル
200:電池ケース
300:電極組立体
311、315:保護部材
400、410:電極リード
500:リードフィルム