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特許7601342冷却流体の流入部及び排出部が形成された伝熱部材を含む電池パック
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  • 特許-冷却流体の流入部及び排出部が形成された伝熱部材を含む電池パック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】冷却流体の流入部及び排出部が形成された伝熱部材を含む電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20241210BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241210BHJP
   H01M 10/6552 20140101ALI20241210BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20241210BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20241210BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20241210BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/6552
H01M10/658
H01M10/6555
H01M10/651
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023527109
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 KR2022020269
(87)【国際公開番号】W WO2023121116
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2021-0183490
(32)【優先日】2021-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ソ・パク
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-176784(JP,A)
【文献】中国実用新案第207149666(CN,U)
【文献】特開平09-120835(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2021-0020413(KR,A)
【文献】特表2016-506021(JP,A)
【文献】特開2015-041418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6556
H01M 10/613
H01M 10/6552
H01M 10/658
H01M 10/6555
H01M 10/651
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを含む電池セルスタックと、
前記電池セルスタックを冷却するための冷却部材と、
前記複数の電池セルの熱を前記冷却部材に排出するための伝熱部材と、
前記電池セルスタック、前記冷却部材、及び前記伝熱部材を内部に収容するパックケースと、
を含み、
前記伝熱部材には冷却流体の流入部及び排出部が形成され、
前記伝熱部材は、ヒートパイプであり、
前記伝熱部材の前記流入部及び前記排出部には、前記冷却流体の流入及び排出を制御するためのバルブが装着され、
温度が一定のレベル以上に上昇した電池セルに隣接して配置された前記伝熱部材のバルブのみが開放する、電池パック。
【請求項2】
前記伝熱部材は内部に冷媒を含み、
前記冷媒が前記電池セルの熱によって蒸発し、前記冷却部材によって凝縮する相転移が起こり、
前記冷媒の相転移によって前記複数の電池セルから前記冷却部材に熱伝逹される、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記伝熱部材は、
前記電池セルスタックと前記冷却部材との間に配置される第1伝熱部材と、
前記複数の電池セルの間に介在される第2伝熱部材と、
を含む、請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記バルブは、前記電池セルの温度が危険温度範囲に上昇すれば、前記冷却流体が前記伝熱部材の内部を通過するように開放する、請求項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1伝熱部材及び前記第2伝熱部材は平板状の形態を有する、請求項3に記載の電池パック。
【請求項6】
前記危険温度範囲は150℃以上である、請求項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記電池セルの温度を測定する温度センサー、及び前記温度センサーで測定した温度によって前記バルブの開閉を制御する制御部をさらに含む、請求項に記載の電池パック。
【請求項8】
前記伝熱部材の前記流入部及び前記排出部は反復的に開放及び閉鎖することができ、
前記伝熱部材の内部に少量の冷媒が残存する状態で前記流入部及び前記排出部が閉鎖する、請求項1に記載の電池パック。
【請求項9】
前記排出部は、前記少量の冷媒を除いた前記伝熱部材の内部空間が真空状態になるように圧力を低めるための減圧弁を備える、請求項に記載の電池パック。
【請求項10】
前記電池セルと前記電池セルとの間には前記第2伝熱部材または断熱材が配置される、請求項3に記載の電池パック。
【請求項11】
前記断熱材は、弾性素材からなる、請求項10に記載の電池パック。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の電池パックをエネルギー源として含む、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年12月21日付の韓国特許出願第10-2021-0183490号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は冷却流体の流入部及び排出部が形成された伝熱部材を含む電池パックに関するものである。具体的には、密着して配列された電池セルのうち高温の電池セルを早く冷却させるように冷却流体の出入が可能な伝熱部材を含む電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0003】
リチウム二次電池は、多機能小型製品である無線モバイル機器(wireless mobile device)または身体に着用するウェアラブル機器(wearable device)のエネルギー源として使われているだけでなく、大気汚染を引き起こす既存のガソリン車両及びディーゼル車両に対する代案として提示される電気自動車やハイブリッド電気自動車などのエネルギー源または電力貯蔵装置としても使われている。
【0004】
このように、前記リチウム二次電池が大容量及び高出力のエネルギー源として使われるのに伴い、前記リチウム二次電池の安全性を確保する問題が重要な関心対象となっている。
【0005】
リチウム二次電池は、充電及び放電過程で温度が増加することになり、電池セルの高温化現象は電池セルの性能を低下させる原因になる。よって、電池セルの温度が危険温度以上に上昇することを防止するために、電池パック内に熱伝導度の高い素材からなる伝熱部材を備え、電池セルの熱エネルギーが前記伝熱部材を介して排出されるようにする。
【0006】
しかし、エネルギー密度の高い電池パックを製造するために、電池セルが密着するように配置される場合、前記伝熱部材を介して熱エネルギーが排出されるよりは、隣接した電池セルへの熱伝播が発生しやすい。
【0007】
また、前記伝熱部材がむしろ電池セル間の熱伝逹通路として機能すれば、電池セル間の熱伝播速度が急激に増加することになることがある。
【0008】
したがって、複数の電池セルが密着して配列され、特定の電池セルの温度が急激に上昇する場合、他の電池セルに熱伝逹されることを防止するための技術が必要である。
【0009】
特許文献1はバッテリーセル、冷却プレート及び吸熱部材を含むバッテリーモジュールを開示しており、前記冷却プレートは、内部にヒートパイプが挿入されている。よって、前記ヒートパイプはバッテリーセルと広い接触面積を確保しているので、前記ヒートパイプを介してバッテリーセルの熱を冷却プレートに排出することができる。
【0010】
特許文献2は、多数のバッテリーセルのそれぞれの間にヒートパイプが配置され、前記ヒートパイプはT字形断面を有し、前記ヒートパイプの下端には冷却ラインが配列されるバッテリーパックを開示する。
【0011】
しかし、特許文献1及び特許文献2は、電池セルの温度がヒートパイプ内の作動流体の気化温度以上になる場合には電池セルの熱暴走を防止しにくい構造である。
【0012】
したがって、複数の電池セルが密着するように配列された電池パックにおいて、特定の電池セルで熱暴走現象が発生する場合、前記熱暴走が発生した電池セルを急速に冷却させることで、熱暴走が拡散することを防止することができる技術が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0041407号公報
【文献】韓国公開特許第10-2020-0104616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、電池パック内で電池セルの熱暴走が拡散することを防止することができるように冷却流体の流入及び排出が可能な伝熱部材を含む電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するための本発明による電池パックは、複数の電池セルを含む電池セルスタックと、前記電池セルスタックを冷却するための冷却部材と、前記複数の電池セルの熱を前記冷却部材に排出するための伝熱部材と、前記電池セルスタック、前記冷却部材、及び前記伝熱部材を内部に収容するパックケースとを含み、前記伝熱部材には冷却流体の流入部及び排出部が形成されている。
【0016】
前記伝熱部材は内部に冷媒を含み、前記冷媒が前記電池セルの熱によって蒸発し、前記冷却部材によって凝縮する相転移が起こり、前記冷媒の相転移によって前記複数の電池セルから前記冷却部材に熱伝逹されることができる。
【0017】
前記伝熱部材は、前記電池セルスタックと前記冷却部材との間に配置される第1伝熱部材と、前記複数の電池セルの間に介在される第2伝熱部材とを含むことができる。
【0018】
前記伝熱部材の前記流入部及び前記排出部には、前記冷却流体の流入及び排出を制御するためのバルブが装着されることができる。
【0019】
前記バルブは、前記電池セルの温度が危険温度範囲に上昇すれば、前記冷却流体が前記伝熱部材の内部を通過するように開放することができる。
【0020】
温度が一定のレベル以上に上昇した電池セルに隣接して配置された前記伝熱部材のバルブのみが開放することができる。
【0021】
前記第1伝熱部材及び前記第2伝熱部材は平板状の形態を有することができる。
【0022】
前記危険温度範囲は150℃以上であってもよい。
【0023】
前記電池セルの温度を測定する温度センサー、及び前記温度センサーで測定した温度によって前記バルブの開閉を制御する制御部をさらに含むことができる。
【0024】
前記伝熱部材は、ヒートパイプであってもよい。
【0025】
前記伝熱部材の流入部及び排出部は反復的に開放及び閉鎖することができ、前記伝熱部材の内部に少量の冷媒が残存する状態で前記流入部及び排出部が閉鎖することができる。
【0026】
前記排出部は、前記少量の冷媒を除いた前記伝熱部材の内部空間が真空状態になるように圧力を低めるための減圧弁を備えることができる。
【0027】
前記電池セルと前記電池セルとの間には前記第2伝熱部材または断熱材が配置されることができる。
【0028】
前記断熱材は、弾性素材からなることができる。
【0029】
本発明は、前記電池パックをエネルギー源として含むデバイスを提供する。
【0030】
また、本発明は、前記課題の解決手段を多様に組み合わせた形態としても提供することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上で説明したように、本発明による電池パックは、複数の電池セルの熱を冷却部材に排出するための伝熱部材を含むので、電池セルの温度が急激に増加することを防止することができる。
【0032】
また、電池セルの温度が危ないレベルに上昇する場合、伝熱部材に冷却流体が注入されることによって前記電池セルを急速に冷却することができるので、効果的に熱暴走を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による電池パックの斜視図である。
図2】第1実施例による電池パックの一部の斜視図である。
図3図2のA-A’についての断面図である。
図4】伝熱部材の流入部及び排出部の開放の前後の状態を示す垂直断面図である。
図5】第2実施例による電池パックの一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただし、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0035】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0036】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0037】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0038】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、またはA及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0039】
本発明を図面に基づいて詳細な実施例と一緒に説明する。
【0040】
図1は本発明による電池パックの斜視図である。
【0041】
図1を参照すると、本発明による電池パックは、複数の電池セル110を含む電池セルスタック100、電池セルスタック100を冷却するための冷却部材200、複数の電池セル110の熱を冷却部材200に排出するための伝熱部材300、及び電池セルスタック100、冷却部材200、及び伝熱部材300を内部に収容するパックケース400を含み、伝熱部材300には冷却流体の流入部321及び排出部322が形成されている。
【0042】
伝熱部材300は、電池セルスタック100と冷却部材200との間に配置される第1伝熱部材310、及び複数の電池セル110の間に介在される第2伝熱部材320を含む。
【0043】
伝熱部材300は内部に冷媒を含んでおり、前記冷媒を収容するケースは熱伝導性に優れた素材から構成される。よって、伝熱部材300を介して電池セルの冷却及び電池セル間の熱移動が起こることができるので、第1伝熱部材310を介して電池セル間の温度偏差の発生を防止することができ、電池セル110で発生する熱は第1伝熱部材310を介して冷却部材200に排出されることができる。
【0044】
具体的には、複数の電池セル110を含む電池セルスタック100の下部には電池セル110を冷却させるための冷却部材200が配置され、電池セルスタック100と冷却部材200との間には第1伝熱部材310が配置される。よって、第1伝熱部材310を介して電池セルスタック100の熱が冷却部材200に排出されることができる。よって、電池セル110の温度を一定の範囲に維持することができる。
【0045】
パックケース400内に、電池セルスタック100、伝熱部材300、及び冷却部材200を収容した後、トッププレート410でパックケース400の開放上面を覆って密封することで、電池パックを組み立てることができる。
【0046】
しかし、図1に示すものとは違い、パックケース400は、電極端子が突出した方向にエンドプレートが組み立てられるモノフレーム、またはU形フレームの形態を有することができ、パックケースの形態によって電池パックの密封方法が変わることができる。
【0047】
冷却部材200はケースの内部に冷媒が流動する構成を有することができ、冷却部材200には前記冷媒の流出入のための流入部及び排出部が形成されることができ、パックケース400の外部から冷媒が供給され、パックケース400の外部に冷媒が排出されることができる。
【0048】
電池セルは金属層及び樹脂層を含むラミネートシートからなるパウチ型電池ケースに電極組立体が収容されたパウチ型電池セルであり得るか、または金属の角形缶または円筒形缶に電極組立体が収納された角型電池セルまたは円筒型電池セルであり得る。
【0049】
また、図1は正極リード111及び負極リード112が互いに反対方向に突出した両方向パウチ型電池セルを示しているが、これとは違い、正極リード111及び負極リード112が同一方向に突出した単方向パウチ型電池セルを適用することができるというのは言うまでもない。
【0050】
図2は第1実施例による電池パックの一部の斜視図であり、図3図2のA-A’についての断面図であり、図3に示すバルブ326は図2では省略した。
【0051】
図2及び図3を参照すると、図1からパックケース及び冷却部材が省略された状態を示している。
【0052】
第1伝熱部材310及び第2伝熱部材320は板状の形態を有する。
【0053】
第2伝熱部材320のy方向の長さ及びz方向の長さはこれらに対応する電池セル110のy方向の長さ及びz方向の長さより長いか同じ長さを有するように形成されることができる。よって、電池セル110と第2伝熱部材320との間の接触面を最大にして早い熱交換をなすことができる。
【0054】
第2伝熱部材320の流入部321及び排出部322はy方向に沿って上部及び下部にそれぞれ形成される。電池セルスタック及び第2伝熱部材320が上部に配置される第1伝熱部材310のz方向の長さは電池セル110及び第2伝熱部材320が密着した構造体のz方向の長さと同じにまたはそれより短く形成されることができる。しかし、第1伝熱部材310のx方向の長さは電池セル110と第2伝熱部材320とが密着した構造体のx方向の長さと同じ程度に形成されることができる。よって、第1伝熱部材310は電池セル110及び第2伝熱部材320と冷却部材との間に熱交換される面積が可能な範囲内で最大になるように形成されることができる。
【0055】
一方、第1伝熱部材310の流入部及び排出部はx方向に平行にまたはz方向に平行に突出した形態に構成されることができる。
【0056】
一具体例で、電池セルの発熱による熱暴走現象が発生し得る温度を約150℃とするとき、電池セルの温度が150℃未満の状態を安全温度範囲とし、150℃以上の状態を危険温度範囲とするとき、安全温度範囲で第1伝熱部材310及び第2伝熱部材320は平板形になり、電池セルとの接触面積が最大になる状態を維持するので、電池セルが円滑に冷却されることで過熱を防止することができる。
【0057】
図4は伝熱部材の流入部及び流出部の開放の前後の状態を示す垂直断面図である。
【0058】
図4は伝熱部材のうちの第2伝熱部材320の垂直断面図であり、以下で説明する第2伝熱部材についての説明は第1伝熱部材にも同様に適用することができる。
【0059】
第2伝熱部材320は内部に冷媒325を含み、冷媒325を除いた残りの部分が空間である真空状態に構成されることができる。前記真空状態の空間で冷媒325が熱によって蒸発し、冷却部材200によって凝縮する相転移が起こることができる。このような冷媒の相転移によって複数の電池セル110の熱が第2伝熱部材320及び第1伝熱部材310を介して冷却部材200に伝達されることができる。
【0060】
図4で、冷媒がある第2伝熱部材320の下部は第1伝熱部材310と接触し、第1伝熱部材310は冷却部材と接触するように配置されるので、第1伝熱部材310の温度は第2伝熱部材320の温度より低い状態になる。
【0061】
したがって、第2伝熱部材320の内部において、第1伝熱部材と接触して相対的に温度が低い下部で冷媒が凝縮し、相対的に温度が高い上部で蒸発が起こる過程が循環することができる。
【0062】
第1伝熱部材310も上下方向を基準に第2伝熱部材320と同じ方式の相転移が起こることができる。
【0063】
例えば、前記第1伝熱部材及び第2伝熱部材はヒートパイプからなることができ、公知のヒートパイプの種類に関係なく本発明の伝熱部材に適用可能である。
【0064】
一具体例で、電池セルの温度が150℃以上になって危険温度範囲まで上昇する場合、電池セルの熱暴走現象を抑制し、隣接した電池セルに火炎が伝達されることを防止するために、伝熱部材に冷却流体を注入することで、電池セルを急速冷却させることができる。
【0065】
詳細には、伝熱部材の流入部321及び排出部322のそれぞれには冷却流体327の流入及び排出を制御するためのバルブ326が装着されることができる。電池セルの温度が危険温度範囲に上昇すれば、冷却流体327が伝熱部材300の内部を通過するようにバルブ326が開放する。
【0066】
流入部321にあるバルブ326及び排出部322にあるバルブ326が開放し、冷却流体が伝熱部材を通過して流れるように連続的に供給すれば、冷却流体が流れる第2伝熱部材320と接触している電池セルを急速冷却させることができる。
【0067】
バルブ326の形態及び位置は特に限定されず、冷却流体の流入及び排出を調節することができる形態であれば、当該技術分野で公知の形態のバルブを適用することができる。
【0068】
一方、電池セルスタックを構成する複数の電池セルのうち、特定の電池セルのみが危険温度範囲に温度が上昇することがある。流入部321及び排出部322のバルブは前記特定の電池セルに隣接した第2伝熱部材320でのみ開放することができる。すなわち、伝熱部材のバルブは個別的に開閉調節可能な形態を有することができる。
【0069】
ここで、電池セルスタック及び第2伝熱部材の下部に配置された第1伝熱部材310は第2伝熱部材320のような流入部及び排出部を含むことができるが、垂直方向に冷却流体が流れる第2伝熱部材320とは違い、水平方向に冷却流体が流れるように流入部及び排出部が配置されることができる。
【0070】
例えば、平面上で長方形構造を有する第1伝熱部材において2個の外周辺が直角に交わるコーナー部のうちのいずれか一つに流入部が形成され、前記流入部が形成されたコーナー部を除いた残りの3個のコーナー部のうちのいずれか一つに排出部が形成されることができる。
【0071】
このように、本発明による電池パックは、電池セルの温度に応じてバルブが開閉するので、電池セルの温度を測定する温度センサー、及び前記温度センサーで測定した温度に応じて前記バルブの開閉を制御する制御部をさらに含むことができる。
【0072】
例えば、前記温度センサーによって電池セルと伝熱部材とが交わる接触面が減ることを防止するために、前記温度センサーは第2伝熱部材と対面する電池セルスタックの外面の反対側外面上に付着されることができる。すなわち、電池セルスタックの下面と第2伝熱部材とが対面する場合、電池セルスタックの上面上に温度センサーが配置されることができる。
【0073】
本発明による電池パックは、電池セルが過熱して熱暴走が起こって火災の危険が発生する場合、伝熱部材を開放して冷却流体を供給することで、過熱した電池セルを急速冷却させて安全性を確保することができる。
【0074】
電池パックの正常使用過程で、伝熱部材は真空状態で少量の冷媒を含み、前記冷媒の相転移過程によって電池セルの温度を一定のレベルに維持することができる。
【0075】
しかし、電池セルの熱暴走が起こる場合、伝熱部材に冷却流体を供給すれば、伝熱部材の真空状態が解除される。
【0076】
このような場合、伝熱部材の機能を喪失して、伝熱部材の交替が必要になる。
【0077】
よって、本発明は、伝熱部材を再使用するために、流入部及び排出部はバルブが反復的に開放及び閉鎖するようにし、開放した伝熱部材が閉鎖するときは、伝熱部材の内部に冷媒として少量の冷却流体が残存する状態で流入部及び排出部を閉鎖し、排出部に減圧弁を備えることで、少量の冷媒を除いた伝熱部材の内部空間が真空状態になるようにすることができる。
【0078】
冷媒325は膨張変形に必要な温度を考慮して選択することができ、例えば、メタノール、エタノール及び水からなる群から選択することができる。
【0079】
冷却流体327は、危険温度範囲に加熱された電池セルを急速冷却させることができるものであれば、その素材を特に限定せず、冷媒325と同じ物質を使うことができる。例えば、メタノール、エタノール及び水からなる群から選択されることができる。
【0080】
図5は第2実施例による電池パックの一部の斜視図である。
【0081】
図5を参照すると、本発明による電池パックからパックケース及び冷却部材が省略された状態を示している。
【0082】
電池セル110の下部には第1伝熱部材310が配置され、電池セル110の間には第2伝熱部材320または断熱材330が配置される。
【0083】
すなわち、一の電池セル110と他の一の電池セル110との間には第2伝熱部材320及び断熱材330のうちのいずれか一つが配置され、すべての電池セルは少なくとも一側外面で第2伝熱部材320と接触している。
【0084】
したがって、断熱材330を介して隣り合う電池セル間の熱交換を遮断することができ、伝熱部材を介して電池セルの熱を外部に排出することができる。
【0085】
一方、電池セルは反復的な充放電過程で体積の膨張及び収縮が起こるリチウム二次電池であるので、電池パックの使用過程で電池セルの体積変化が発生することがある。しかし、電池セルスタックの体積は電池パック内に備えられた一定の空間を超えないことが好ましいので、断熱材330として弾性素材からなる断熱材を配置することで、電池セルスタックの体積増加を緩衝することができる。
【0086】
本発明による電池パックをエネルギー源として含むデバイスを提供することができる。前記デバイスは、例えば、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、ESS、電気カート、電気二輪車などが相当することができる。
【0087】
このように、本発明による電池パックを高容量及び高出力の必要なデバイスに適用しても、電池セルの急激な温度上昇を防止し、電池セル間の熱伝導を遮断することができるので、安全性が向上した電池パックを提供することができる。
【0088】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用及び変形をなすことが可能であろう。
【符号の説明】
【0089】
100 電池セルスタック
110 電池セル
111 正極リード
112 負極リード
200 冷却部材
300 伝熱部材
310 第1伝熱部材
320 第2伝熱部材
321 流入部
322 排出部
325 冷媒
326 バルブ
327 冷却流体
330 断熱材
400 パックケース
410 トッププレート
図1
図2
図3
図4
図5