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特許7601355合金ナノ粒子、合金ナノ粒子の形成方法、及び合金ナノ粒子を含む合金ナノ触媒
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】合金ナノ粒子、合金ナノ粒子の形成方法、及び合金ナノ粒子を含む合金ナノ触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/45 20240101AFI20241210BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20241210BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20241210BHJP
   B01J 27/24 20060101ALI20241210BHJP
   B01J 33/00 20060101ALI20241210BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20241210BHJP
   B22F 1/16 20220101ALI20241210BHJP
   B22F 9/30 20060101ALI20241210BHJP
   C22C 5/04 20060101ALI20241210BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20241210BHJP
   C22C 19/00 20060101ALI20241210BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20241210BHJP
   H01M 4/90 20060101ALI20241210BHJP
   B22F 1/054 20220101ALI20241210BHJP
   B22F 1/14 20220101ALI20241210BHJP
【FI】
B01J35/45
B01J37/04 102
B01J37/08
B01J27/24 M
B01J33/00 C
B22F1/00 K
B22F1/00 M
B22F1/00 T
B22F1/16
B22F9/30 Z
C22C5/04
C22C38/00 302Z
C22C19/00 Z
H01M4/88 K
H01M4/90 M
B22F1/054
B22F1/14 400
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022567631
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 KR2021005704
(87)【国際公開番号】W WO2021225395
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0054195
(32)【優先日】2020-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509329800
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(73)【特許権者】
【識別番号】515312760
【氏名又は名称】インスティチュート フォー ベーシック サイエンス
【氏名又は名称原語表記】INSTITUTE FOR BASIC SCIENCE
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン,テクァン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ユンウン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,テヨン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ジムン
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06232264(US,B1)
【文献】特開2016-154135(JP,A)
【文献】特開2017-014578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/24
B22F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属を含む第1金属錯体と第2金属を含む第2金属錯体とを混合して多金属化合物を形成するステップ;
前記多金属化合物を支持体に吸着させるステップ;及び
前記多金属化合物を熱処理して合金化合物を形成するステップを含み、
前記第1金属及び前記第2金属は遷移金属を含み、
前記第1金属錯体はピリジン系リガンドを含み、
前記熱処理により前記合金化合物の表面にNを含む炭素シェルが形成されることを特徴とする合金ナノ粒子の形成方法であって、
前記第1金属錯体はM (PY) a+ (M は第1金属を表し、PYはピリジン系リガンドを表し、mは6以下の整数を表す)を含み、
前記第2金属錯体はM a- (M は第2金属を表し、Xはハロゲン元素を表し、nは6以下の整数を表す)を含むことを特徴とする、合金ナノ粒子の形成方法
【請求項2】
第1金属を含む第1金属錯体と第2金属を含む第2金属錯体とを混合して多金属化合物を形成するステップ;
前記多金属化合物を支持体に吸着させるステップ;及び
前記多金属化合物を熱処理して合金化合物を形成するステップを含み、
前記第1金属及び前記第2金属は遷移金属を含み、
前記第1金属錯体はピリジン系リガンドを含み、
前記熱処理により前記合金化合物の表面にNを含む炭素シェルが形成されることを特徴とする合金ナノ粒子の形成方法であって、
前記第1金属錯体は[M1A(PY)[M1B(PY)1-x a+(M1A及びM1Bは互いに異なる第1金属を表し、PYはピリジン系リガンドを表し、mは6以下の整数を表す)を含み、
前記第2金属錯体はM a-(Mは第2金属を表し、Xはハロゲン元素を表し、nは6以下の整数を表す)を含むことを特徴とする、合金ナノ粒子の形成方法。
【請求項3】
第1金属を含む第1金属錯体と第2金属を含む第2金属錯体とを混合して多金属化合物を形成するステップ;
前記多金属化合物を支持体に吸着させるステップ;及び
前記多金属化合物を熱処理して合金化合物を形成するステップを含み、
前記第1金属及び前記第2金属は遷移金属を含み、
前記第1金属錯体はピリジン系リガンドを含み、
前記熱処理により前記合金化合物の表面にNを含む炭素シェルが形成されることを特徴とする合金ナノ粒子の形成方法であって、
前記第1金属錯体と前記第2金属錯体とは静電気的引力を介して互いに結合することを特徴とする、合金ナノ粒子の形成方法。
【請求項4】
前記第2金属錯体はハロゲン元素を含むことを特徴とする、請求項に記載の合金ナノ粒子の形成方法。
【請求項5】
前記ピリジン系リガンドはピリジンリガンド及びポリピリジンリガンドのうち少なくとも1つを含み、
前記ピリジンリガンドはピリジン及び前記ピリジンで誘導された誘導体を含み、
前記ポリピリジンリガンドはポリピリジン及び前記ポリピリジンで誘導された誘導体を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の合金ナノ粒子の形成方法。
【請求項6】
前記第1金属はFe、Co、及びNiのうち少なくとも1つを含み、
前記第2金属はPtを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の合金ナノ粒子の形成方法。
【請求項7】
前記合金化合物に対して熱エッチングを行うステップをさらに含み、
前記熱エッチングにより前記シェルの少なくとも一部が除去されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の合金ナノ粒子の形成方法。
【請求項8】
前記多金属化合物は前記熱処理により前記支持体にウェッティングが行われ、前記合金化合物に分解されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の合金ナノ粒子の形成方法。
【請求項9】
前記熱処理前に前記多金属化合物が吸着された前記支持体を凍結乾燥するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の合金ナノ粒子の形成方法。
【請求項10】
前記支持体は炭素支持体を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の合金ナノ粒子の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合金ナノ粒子、前記合金ナノ粒子の形成方法、及び前記合金ナノ粒子を含む合金ナノ触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
合金ナノ粒子は、固有の電子および幾何学的構造を有するので、単一の金属ナノ粒子と区別される新しい特性を示す。特に、単一金属系触媒に比べて向上した活性および安定性を示すため、燃料電池電気触媒として活発に研究されている。
【0003】
コロイド合成は、サイズ、組成および形状を容易に制御することができるので、合金ナノ粒子に広く使用されてきた。しかしながら、コロイド法は、毒性及び高価な界面活性剤及び還元剤を必要とする。さらに、支持体上に合金ナノ粒子をロードし、保護リガンドを除去するなどのさらなる工程が必要とされる。
【0004】
このように、合金ナノ粒子はサイズ、組成、および形状を制御することが困難であり、製造工程が複雑であるだけでなく製造コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、優れた性能を有する合金ナノ粒子を提供する。
本発明は、前記合金ナノ粒子の形成方法を提供する。
本発明は、優れた性能を有する合金ナノ触媒を提供する。
本発明の他の目的は以降の詳細な説明及び添付図面から明確になるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施例による合金ナノ粒子は、第1金属を含む第1金属錯体と第2金属を含む第2金属錯体とを混合して多金属化合物を形成するステップ及び前記多金属化合物を熱処理して合金化合物を形成するステップを含む方法により形成される。前記第1金属及び前記第2金属は遷移金属を含み、前記第1金属錯体はピリジン系リガンドを含み、前記熱処理により前記合金化合物の表面にNを含む炭素シェルが形成される。
【0007】
前記ピリジン系リガンドはピリジンリガンド及びポリピリジンリガンドのうち少なくとも1つを含み、前記ピリジンリガンドはピリジン及び前記ピリジンで誘導された誘導体を含み、前記ポリピリジンリガンドはポリピリジン及び前記ポリピリジンで誘導された誘導体を含む。
【0008】
前記第2金属錯体はハロゲン元素を含む。
【0009】
前記第1金属はFe、Co、及びNiのうち少なくとも1つを含み、前記第2金属はPtを含む。
【0010】
前記第1金属錯体はM1(PY)m a+(M1は第1金属を表し、PYはピリジン系リガンドを表し、mは6以下の整数を表す)を含み、前記第2金属錯体はM2n a-(M2は第2金属を表し、Xはハロゲン元素を表し、nは6以下の整数を表す)を含む。
【0011】
前記第1金属錯体は[M1A(PY)mx[M1B(PY)m1-x a+(M1A及びM1Bは互いに異なる第1金属を表し、PYはピリジン系リガンドを表し、mは6以下の整数を表す)を含み、前記第2金属錯体はM2n a-(M2は第2金属を表し、Xはハロゲン元素を表し、nは6以下の整数を表す)を含む。
【0012】
前記方法は前記合金化合物に対して熱エッチングを行うステップをさらに含み、前記熱エッチングにより前記シェルの少なくとも一部が除去される。
【0013】
前記熱処理は前記多金属化合物を炭素支持体に吸着させた後に行われる。
【0014】
本発明の実施例による合金ナノ粒子の形成方法は、第1金属を含む第1金属錯体と第2金属を含む第2金属錯体とを混合して多金属化合物を形成するステップ、前記多金属化合物を支持体に吸着させるステップ、及び前記多金属化合物を熱処理して合金化合物を形成するステップを含む。前記第1金属及び前記第2金属は遷移金属を含み、前記第1金属錯体はピリジン系リガンドを含み、前記熱処理により前記合金化合物の表面にNを含む炭素シェルが形成される。
【0015】
前記ピリジン系リガンドはピリジンリガンド及びポリピリジンリガンドのうち少なくとも1つを含み、前記ピリジンリガンドはピリジン及び前記ピリジンで誘導された誘導体を含み、前記ポリピリジンリガンドはポリピリジン及び前記ポリピリジンで誘導された誘導体を含む。
【0016】
前記第2金属錯体はハロゲン元素を含む。 前記第1金属はFe、Co、及びNiのうち少なくとも1つを含み、前記第2金属はPtを含む。
【0017】
前記第1金属錯体はM1(PY)m a+(M1は第1金属を表し、PYはピリジン系リガンドを表し、mは6以下の整数を表す)を含み、前記第2金属錯体はM2n a-(M2は第2金属を表し、Xはハロゲン元素を表し、nは6以下の整数を表す)を含む。
【0018】
前記第1金属錯体は[M1A(PY)mx[M1B(PY)m1-x a+(M1A及びM1Bは互いに異なる第1金属を表し、PYはピリジン系リガンドを表し、mは6以下の整数を表す)を含み、前記第2金属錯体はM2n a-(M2は第2金属を表し、Xはハロゲン元素を表し、nは6以下の整数を表す)を含む。
【0019】
前記合金ナノ粒子の形成方法は前記合金化合物に対して熱エッチングを行うステップをさらに含み、前記熱エッチングにより前記シェルの少なくとも一部が除去される。
【0020】
前記第1金属錯体と前記第2金属錯体とは静電気的引力を介して互いに結合する。
【0021】
前記多金属化合物は、前記熱処理により前記支持体にウェッティングが行われ、前記合金化合物に分解される。
【0022】
前記合金ナノ粒子の形成方法は前記熱処理前に前記多金属化合物が吸着された前記支持体を凍結乾燥するステップをさらに含む。
【0023】
前記支持体は炭素支持体を含む。
【0024】
本発明の実施例による合金ナノ触媒は前記合金ナノ粒子を含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施例による合金ナノ粒子及び合金ナノ触媒は優れた性能を有することができる。例えば、前記合金ナノ粒子及び前記合金ナノ触媒は優れた活性及び安定性を有することができる。前記合金ナノ粒子及び前記合金ナノ触媒は、簡単な工程で容易に形成されることができる。前記合金ナノ触媒は優れたORR(oxygen reduction reaction)活性を有し、電気触媒として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】還元された酸化グラフェン(rGO)によって支持され、Nを含む炭素シェルを有する整列したFePt合金ナノ粒子の形成方法を概略的に示す。
図2図1に[Fe(bpy)3][PtCl6]/GOのTEMイメージを示す。
図3図1に中間体(Intermediate)のTEMイメージを示す。
図4図1にFePt/rGOのTEMイメージを示す。
図5】[Fe(bpy)3][PtCl6]/GO、中間体、及びFePt/rGOのパウダーXRD分析結果を示す。
図6】[Fe(bpy)3][PtCl6]/GO、中間体、及びFePt/rGOのFT-IR分析結果を示す。
図7】中間体におけるC、Pt、Fe原子の均一な分布を示すSTEM-EDSマッピングイメージを示す。
図8】37wt%FePt/rGOのXRDパターンを示す。
図9】37wt%FePt/rGOの磁気ヒステリシスループを表す。
図10】37wt%FePt/rGOのHAADF-STEMイメージと拡大イメージ及びL10-FePtナノ結晶のシミュレーションイメージを示す。
図11】単一のFePtナノ粒子(上部)及び37wt%FePt/rGOの高倍率領域(下部)の STEM-EDSイメージを示す。
図12】24wt%-FePt/rGOのTEMイメージを示し、挿入図はFePtナノ粒子のサイズ分布を示す。
図13】37wt%-FePt/rGOのTEMイメージを示し、挿入図はFePtナノ粒子のサイズ分布を示す。
図14】FePt/rGO触媒及びPt/C触媒のORR分極曲線を示す。
図15】FePt/rGO触媒及びPt/C触媒のターフェルプロットを示す。
図16】FePt/rGO触媒及びPt/C触媒のECSAを示す。
図17】FePt/rGO触媒及びPt/C触媒の単位重量当たりの活性及び単位面積当たりの活性を示す。
図18】ADT(20,000サイクル)前後のFePt/rGO触媒及びPt/C触媒のORR分極曲線を示す。
図19】ADT(20,000サイクル)前後のFePt/rGO触媒及びPt/C触媒のターフェルプロットを示す。
図20】ADT(20,000サイクル)前後のFePt/rGO触媒及びPt/C触媒のECSAを示す。
図21】ADT(20,000サイクル)前後のFePt/rGO触媒及びPt/C触媒の単位重量当たりの活性及び単位面積当たりの活性を示す。
図22】NiPt/rGO(46wt%)のTEMイメージを示す。
図23】NiPt/rGO(46wt%)のSTEM-EDSイメージを示す。
図24】CoPt/rGO(22wt%)のTEMイメージを示す。
図25】CoPt/rGO(22wt%)のSTEM-EDSイメージを示す。
図26】NiPt/rGO及びCoPt/rGOのパウダーXRDパターンを示す。
図27】NiPt/rGO及びCoPt/rGOのORR分極曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明の目的、特徴、利点は以下の実施例から容易に理解できるであろう。本発明は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化されることもできる。ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底的で完全なものとなるように、かつ本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。よって、以下の実施例により本発明が限定されてはならない。
【0028】
本明細書では、第1、第2などの用語が様々な要素を説明するために使用されているが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、これらの要素を互いに区別するために使用される。
【0029】
本発明の実施例による合金ナノ粒子は、第1金属を含む第1金属錯体と第2金属を含む第2金属錯体とを混合して多金属化合物を形成するステップ及び前記多金属化合物を熱処理して合金化合物を形成するステップを含む方法により形成される。前記第1金属及び前記第2金属は遷移金属を含み、前記第1金属錯体はピリジン系リガンドを含み、前記熱処理により前記合金化合物の表面にNを含む炭素シェルが形成される。
【0030】
前記ピリジン系リガンドはピリジンリガンド及びポリピリジンリガンドのうち少なくとも1つを含み、前記ピリジンリガンドはピリジン及び前記ピリジンで誘導された誘導体を含み、前記ポリピリジンリガンドはポリピリジン及び前記ポリピリジンで誘導された誘導体を含む。前記ポリピリジンは、ビピリジン(bipyridine)、フェナントロリン(phenanthroline)、ターピリジン(terpyridine)、クォータピリジン(quaterpyridine)などを含むことができる。
【0031】
前記第2金属錯体はハロゲン元素を含む。
【0032】
前記第1金属はFe、Co、及びNiのうち少なくとも1つを含み、前記第2金属はPtを含む。
【0033】
前記第1金属錯体はM1(PY)m a+(M1は第1金属を表し、PYはピリジン系リガンドを表し、mは6以下の整数を表す)を含み、前記第2金属錯体はM2n a-(M2は第2金属を表し、Xはハロゲン元素を表し、nは6以下の整数を表す)を含む。
【0034】
前記第1金属錯体は[M1A(PY)mx[M1B(PY)m1-x a+(M1A及びM1Bは互いに異なる第1金属を表し、PYはピリジン系リガンドを表し、mは6以下の整数を表す)を含み、前記第2金属錯体はM2n a-(M2は第2金属を表し、Xはハロゲン元素を表し、nは6以下の整数を表す)を含む。前記第1金属錯体が互いに異なる2つ以上の第1金属を含むように拡張されるように、第2金属錯体もM2n a-に限定されず、互いに異なる2つ以上の第2金属を含むように拡張することができる。
【0035】
前記方法は前記合金化合物に対して熱エッチングを行うステップをさらに含み、前記熱エッチングにより前記シェルの少なくとも一部が除去される。
【0036】
前記熱処理は前記多金属化合物を炭素支持体に吸着させた後に行われる。前記炭素支持体は酸化グラフェンなどを含むことができる。
【0037】
本発明の実施例による合金ナノ粒子の形成方法は、第1金属を含む第1金属錯体と第2金属を含む第2金属錯体とを混合して多金属化合物を形成するステップ、前記多金属化合物を支持体に吸着させるステップ、及び前記多金属化合物を熱処理して合金化合物を形成するステップを含む。前記第1金属及び前記第2金属は遷移金属を含み、前記第1金属錯体はピリジン系リガンドを含み、前記熱処理により前記合金化合物の表面にNを含む炭素シェルが形成される。
【0038】
前記ピリジン系リガンドはピリジンリガンド及びポリピリジンリガンドのうち少なくとも1つを含み、前記ピリジンリガンドはピリジン及び前記ピリジンで誘導された誘導体を含み、前記ポリピリジンリガンドはポリピリジン及び前記ポリピリジンで誘導された誘導体を含む。前記ポリピリジンは、ビピリジン、フェナントロリン、ターピリジン、クォータピリジンなどを含むことができる。
【0039】
前記第2金属錯体はハロゲン元素を含む。
【0040】
前記第1金属はFe、Co、及びNiのうち少なくとも1つを含み、前記第2金属はPtを含む。
【0041】
前記第1金属錯体はM1(PY)m a+(M1は第1金属を表し、PYはピリジン系リガンドを表し、mは6以下の整数を表す)を含み、前記第2金属錯体はM2n a-(M2は第2金属を表し、Xはハロゲン元素を表し、nは6以下の整数を表す)を含む。
【0042】
前記第1金属錯体は[M1A(PY)mx[M1B(PY)m1-x a+(M1A及びM1Bは互いに異なる第1金属を表し、PYはピリジン系リガンドを表し、mは6以下の整数を表す)を含み、前記第2金属錯体はM2n a-(M2は第2金属を表し、Xはハロゲン元素を表し、nは6以下の整数を表す)を含む。前記第1金属錯体が互いに異なる2つ以上の第1金属を含むように拡張されるように、第2金属錯体もM2n a-に限定されず、互いに異なる2つ以上の第2金属を含むように拡張することができる。
【0043】
前記合金ナノ粒子の形成方法は前記合金化合物に対して熱エッチングを行うステップをさらに含み、前記熱エッチングにより前記シェルの少なくとも一部が除去される。
【0044】
前記第1金属錯体と前記第2金属錯体とは静電気的引力を介して互いに結合する。
【0045】
前記多金属化合物は、前記熱処理により前記支持体にウェッティングが行われ、前記合金化合物に分解される。
【0046】
前記合金ナノ粒子の形成方法は前記熱処理前に前記多金属化合物が吸着された前記支持体を凍結乾燥するステップをさらに含む。
【0047】
前記支持体は炭素支持体を含む。前記炭素支持体は酸化グラフェンなどを含むことができる。
【0048】
本発明の実施例による合金ナノ触媒は前記合金ナノ粒子を含む。
【0049】
図1は、還元された酸化グラフェン(rGO)によって支持され、Nを含む炭素シェルを有する整列したFePt合金ナノ粒子の形成方法を概略的に示し、図2は、図1に[Fe(bpy)3][PtCl6]/GOのTEMイメージを示し、図3は、図1に中間体(Intermediate)のTEMイメージを示し、図4は、図1にFePt/rGOのTEMイメージを示す。
【0050】
図1乃至図4を参照すると、FePt合金ナノ粒子は、2つの主要なステップを通じて形成することができる。第1段階で、カチオン性Fe(bpy)3 2+錯体と等モルのアニオン性PtCl6 2-錯体との間の静電気的引力により、バイメタル[Fe(bpy)3][PtCl6]化合物(FePt化合物で表される)が形成される。第2段階で、酸化グラフェン上に吸着されたFePt化合物は、700℃でアニールすることによってバイメタル合金ナノ粒子に直接変換することができる。
【0051】
淡黄色の水性FeSO4は、Fe(bpy)3 2+錯体の形成のために2,2’-ビピリジン(bpy)を添加するとすぐに暗赤色に変化する。Fe(bpy)3SO4塩は結晶性が高く、Fe(bpy)3 2+に由来するUV-vis(ultraviolet-visible)光吸収特性を有する。
【0052】
Fe(bpy)3SO4溶液にエタノール性H2PtCl6を添加すると、FePt化合物が急速に沈殿し、遠心分離後に粉砕され、微粉末で容易に得られる。FeとPtの原子比は5つの互いに異なる部位で1:1に近く、STEM(scanning transmission electron microscopy)-EDS(energy-disperse X-ray spectroscopy)により明確に確認することができる。
【0053】
パウダーXRD分析結果によれば、FePt化合物は、Fe(bpy)3SO4塩とは全く異なる結晶構造で結晶性が高い。また、水性FePt化合物のUV-vis吸収スペクトルに基づいて、Fe(bpy)3 2+及びPtCl6 2-錯体の存在及びそれらの間の静電気的引力を分析した。両方の錯体の吸収特性は、アニオン性及びカチオン性錯体の存在を確認するが、524nmピークの538nmへのかなりの赤ずれは、それらの間の静電気的引力を示す。逆に、FePt化合物の逐次希釈は、538nmから524nmへのピーク移動を引き起こし、FeとPt錯体との間の静電気的引力が弱まることを示す。
【0054】
前記FePt化合物を脱イオン水でGO表面に吸着させた後、凍結乾燥してGO層がひどく堆積するのを防止することができる。この混合物は700℃まで加熱され、この過程でFePt化合物がGOに完全なウェッティング(wetting)および分解が行われ、バイメタル合金ナノ粒子が形成される。
【0055】
[FePt化合物の合成例]
1)第1合成例
0.5mmolのFeSO4・7H2Oを15mLの脱イオン水(DI)(または15mLエタノール)に溶解し、1.5mmolの2,2’-ビピリジンを15mLのエタノール(99.9%)に別々に溶解する。両方の溶液を混合して[Fe(bpy)3]SO4(bpyは2,2’-ビピリジンを表す)を形成し、室温で撹拌する。この溶液に、0.5mmolのH2PtCl6・6H2Oを溶解した30mLのエタノール溶液を一度に添加し、5時間撹拌する。生成物は10,000rpmの遠心分離(10分)によって容易に分離される。前記生成物をエタノールで数回洗浄し、遠心分離した後、40℃のオーブンで乾燥する。乾燥した生成物を粉砕して微粉末を得る。これにより、FePt化合物([Fe(bpy)3][PtCl6])が形成される。
【0056】
2) 第2合成例
0.5mmolのFeSO4・7H2Oを15mLの脱イオン水(DI)(または15mLエタノール)に溶解し、1.5mmolのフェナントロリンを15mLのエタノール(99.9%)に別々に溶解する。両方の溶液を混合して[Fe(phen)3]SO4(phenはフェナントロリンを表す)を形成し、室温で撹拌する。この溶液に、0.5mmolのH2PtCl6・6H2Oを溶解した30mLのエタノール溶液を一度に添加し、5時間撹拌する。生成物は10,000rpmの遠心分離(10分)によって容易に分離される。前記生成物をエタノールで数回洗浄し、遠心分離した後、40℃のオーブンで乾燥する。乾燥した生成物を粉砕して微粉末を得る。これにより、FePt化合物([Fe(phen)3][PtCl6])が形成される。
【0057】
3)第3合成例
0.5mmolのFeSO4・7H2Oを15mLの脱イオン水(DI)(または15mLエタノール)に溶解し、1.0mmolのターピリジンを15mLのエタノール(99.9%)に別々に溶解する。両方の溶液を混合して[Fe(terpy)2]SO4(terpyはターピリジンを表す)を形成し、室温で撹拌する。この溶液に、0.5mmolのH2PtCl6・6H2Oを溶解した30mLのエタノール溶液を一度に添加し、5時間撹拌する。生成物は10,000rpmの遠心分離(10分)によって容易に分離される。前記生成物をエタノールで数回洗浄し、遠心分離した後、40℃のオーブンで乾燥する。乾燥した生成物を粉砕して微粉末を得る。これにより、FePt化合物([Fe(terpy)2][PtCl6])が形成される。
【0058】
[FePt/rGOの合成例]
FePt化合物(約24wt%及び37wt%のFePtロードのための36mgおよび144mgのFePt化合物)を80mLの脱イオン水に分散させる。前記FePt化合物が分散した混合物を10分間超音波処理し、2時間撹拌した後、10mLのGO水溶液(4mg/mL)を滴下する。GO水溶液を滴下した混合物を2時間撹拌した後、凍結乾燥してFePt化合物をGOに吸着させる。GOフォーム上にFePt化合物グレインを含有する混合物を100sccmのアルゴン流中で、6時間700℃で熱処理し、熱処理中にFePt化合物のウェッティング及び分解がGO表面で起こり、rGO上に原子整列したFePt合金ナノ粒子(FePt/rGO)が形成される。
【0059】
[他の炭素支持体上でのFePtナノ粒子の合成例]
カーボンナノチューブ(CNT、水中7~8wt%)上でのFePtナノ粒子の合成は、GO溶液の代わりにCNT水溶液が滴下されることを除いて、FePt/rGOと同様の方法で行われる。
【0060】
ケッチェンブラック(Ketjen Black、KB)及びバルカン(Vulcan) XC(VC)上のFePtナノ粒子の合成は、以下の方法で行われる。特定量のFePt化合物を80mLのイソプロパノール(またはエタノール)に分散させた後、溶液を10分間超音波処理し、2時間撹拌する。50mgのKBまたはVC粉末を、FePt化合物を含む溶液に添加し、この混合物を10分間超音波処理した後、2時間撹拌する。炭素支持体上にFePt化合物グレインを含有する混合物を回転蒸発によって得て、40℃のオーブンで乾燥する。乾燥した粉末を粉砕した後、アルゴン雰囲気下で、700℃で熱処理する。
【0061】
[rGO上でのCoPtナノ粒子及びNiPtナノ粒子の合成例]
FeSO4・7H2Oの代わりにCoSO4・7H2O及びNiSO4・6H2Oを用いたことを除いては、FePt化合物の合成と同様の方法でCoPt化合物(例えば、[Co(bpy)3][PtCl6]、[Co(phen)3][PtCl6]、[Co(terpy)2][PtCl6])及びNiPt化合物(例えば、[Ni(bpy)3][PtCl6]、[Ni(phen)3][PtCl6]、[Ni(terpy)2][PtCl6])を形成することができる。CoPt/rGO及びNiPt/rGOの合成のための以降の工程は、FePt/rGOの合成と同じである。
【0062】
[FeCoPt化合物の合成例]
1) 第1合成例
0.25mmolのFeSO4・7H2Oを7.5mLの脱イオン水(DI)(または7.5mLエタノール)に溶解し、0.75mmolの2,2’-ビピリジンを7.5mLのエタノール(99.9%)に別々に溶解する。両方の溶液を混合して[Fe(bpy)3]SO4(bpyは2,2’-ビピリジンを表す)を形成し、室温で撹拌する。0.25mmolのCoSO4・7H2Oを7.5mLの脱イオン水(DI)(または7.5mLエタノール)に溶解し、0.75mmolの2,2’-ビピリジンを7.5mLのエタノール(99.9%)に別々に溶解する。両方の溶液を混合して[Co(bpy)3]SO4を形成し、室温で撹拌する。
【0063】
[Fe(bpy)3]SO4溶液と[Co(bpy)3]SO4溶液を混合し、この溶液に、0.5mmolのH2PtCl6・6H2Oを溶解した30mLのエタノール溶液を一度に添加し、5時間撹拌する。生成物は10,000rpmの遠心分離(10分)によって容易に分離される。前記生成物をエタノールで数回洗浄し、遠心分離した後、40℃のオーブンで乾燥する。乾燥した生成物を粉砕して微粉末を得る。これにより、FeCoPt化合物([Fe(bpy)3x[Co(bpy)31-x[PtCl6])が形成される。
【0064】
2)第2合成例
0.25mmolのFeSO4・7H2Oを7.5mLの脱イオン水(DI)(または7.5mLエタノール)に溶解し、0.75mmolのフェナントロリンを7.5mLのエタノール(99.9%)に別々に溶解する。両方の溶液を混合して[Fe(phen)3]SO4(phenはフェナントロリンを表す)を形成し、室温で撹拌する。0.25mmolのCoSO4・7H2Oを7.5mLの脱イオン水(DI)(または7.5mLエタノール)に溶解し、0.75mmolのフェナントロリンを7.5mLのエタノール(99.9%)に別々に溶解する。両方の溶液を混合して[Co(phen)3]SO4を形成し、室温で撹拌する。
【0065】
[Fe(phen)3]SO4溶液と[Co(phen)3]SO4溶液を混合し、この溶液に、0.5mmolのH2PtCl6・6H2Oを溶解した30mLのエタノール溶液を一度に添加し、5時間撹拌する。生成物は10,000rpmの遠心分離(10分)によって容易に分離される。前記生成物をエタノールで数回洗浄し、遠心分離した後、40℃のオーブンで乾燥する。乾燥した生成物を粉砕して微粉末を得る。これにより、FeCoPt化合物([Fe(phen)3x[Co(phen)31-x[PtCl6])が形成される。
【0066】
3) 第3合成例
0.25mmolのFeSO4・7H2Oを7.5mLの脱イオン水(DI)(または7.5mLエタノール)に溶解し、0.5mmolのターピリジンを7.5mLのエタノール(99.9%)に別々に溶解する。両方の溶液を混合して[Fe(terpy)2]SO4(terpyはターピリジンを表す)を形成し、室温で撹拌する。0.25mmolのCoSO4・7H2Oを7.5mLの脱イオン水(DI)(または7.5mLエタノール)に溶解し、0.5mmolのターピリジンを7.5mLのエタノール(99.9%)に別々に溶解する。両方の溶液を混合して[Co(terpy)2]SO4を形成し、室温で撹拌する。
【0067】
[Fe(terpy)2]SO4溶液と[Co(terpy)2]SO4溶液を混合し、この溶液に、0.5mmolのH2PtCl6・6H2Oを溶解した30mLのエタノール溶液を一度に添加し、5時間撹拌する。生成物は10,000rpmの遠心分離(10分)によって容易に分離される。前記生成物をエタノールで数回洗浄し、遠心分離した後、40℃のオーブンで乾燥する。乾燥した生成物を粉砕して微粉末を得る。これにより、FeCoPt化合物([Fe(terpy)2x[Co(terpy)21-x[PtCl6])が形成される。
【0068】
上記第1~第3の合成例とは異なり、脱イオン水(またはエタノール)にFeSO4・7H2Oと CoSO4・7H2Oを溶解させた後、この溶液にピリジン系化合物を含む溶液を添加することができる。例えば、15mLの脱イオン水(または15mLエタノール)に、0.25mmolのFeSO4・7H2Oと0.25mmolのCoSO4・7H2Oを溶解し、1.5mmolの2,2’-ビピリジン(または1.5mmolのフェナントロリン、1.0mmolのターピリジン)を15mLのエタノールに別々に溶解した後、2つの溶液を混合することができる。以降の工程は上記第1~第3の合成例と同様である。
【0069】
[FeCoPt/rGOの合成例]
FeCoPt化合物を80mLの脱イオン水に分散させる。前記FeCoPt化合物が分散した混合物を10分間超音波処理し、2時間撹拌した後、10mLのGO水溶液(4mg/mL)を滴下する。GO水溶液を滴下した混合物を2時間撹拌した後、凍結乾燥してFeCoPt化合物をGOに吸着させる。GOフォーム上にFeCoPt化合物グレインを含む混合物を100sccmのアルゴン流中で、6時間700℃で熱処理し、熱処理中にFeCoPt化合物のウェッティング及び分解がGO表面で起こり、rGO上に原子整列したFeCoPt合金ナノ粒子(FeCoPt/rGO)が形成される。
【0070】
[他の炭素支持体上でのFeCoPtナノ粒子の合成例]
カーボンナノチューブ(CNT、水中7~8wt%)上でのFeCoPtナノ粒子の合成は、GO溶液の代わりにCNT水溶液が滴下されることを除いて、FeCoPt/rGOと同様の方法で行われる。
【0071】
ケッチェンブラック(Ketjen Black、KB)及びバルカン(Vulcan) XC(VC)上のFeCoPtナノ粒子の合成は、以下の方法で行われる。特定量のFeCoPt化合物を80mLのイソプロパノール(またはエタノール)に分散させた後、溶液を10分間超音波処理し、2時間撹拌する。50mgのKBまたはVC粉末を、FeCoPt化合物を含む溶液に添加し、この混合物を10分間超音波処理した後、2時間撹拌する。炭素支持体上にFeCoPt化合物グレインを含有する混合物を回転蒸発によって得て、40℃のオーブンで乾燥する。乾燥した粉末を粉砕した後、アルゴン雰囲気下で、700℃で熱処理する。
【0072】
[rGO上でのFeCoPtナノ粒子及びCoNiPtナノ粒子の合成例]
FeSO4・7H2O及びCoSO4・7H2Oの代わりにFeSO4・7H2O及びNiSO4・6H2Oを用いるか、CoSO4・7H2O及びNiSO4・6H2Oを用いたことを除いては、FeCoPt化合物の合成と同様の方法でFeNiPt化合物(例えば、[Fe(bpy)3x[Ni(bpy)31-x[PtCl6],[Fe(phen)3x[Ni(phen)31-x[PtCl6],[Fe(terpy)2x[Ni(terpy)21-x[PtCl6])及びCoNiPt化合物(例えば、[Co(bpy)3x[Ni(bpy)31-x[PtCl6]、[Co(phen)3x[Ni(phen)31-x[PtCl6]、[Co(terpy)2x[Ni(terpy)21-x[PtCl6])を形成することができる。FeNiPt/rGO及びCoNiPt/rGOの合成のための以降の工程は、FeCoPt/rGOの合成と同じである。
【0073】
図5は、[Fe(bpy)3][PtCl6]/GO、中間体、及びFePt/rGOのパウダーXRD分析結果を示し、図6は、[Fe(bpy)3][PtCl6]/GO、中間体、及びFePt/rGOのFT-IR分析結果を示し、図7は、中間体におけるC、Pt、Fe原子の均一な分布を示すSTEM-EDSマッピングイメージを示す。
【0074】
図5を参照すると、約500℃で得られた中間体は、XRDパターンにおけるFePt化合物の結晶質の特徴がない滑らかな表面を示す。
【0075】
図6を参照すると、FT-IR(Fourier transform infrared spectroscopy)は、C-O及びC=C官能基の進化と共に、ビピリジンリガンドの分解を示す中間体のさらなる構造情報を提供する。
【0076】
図7を参照すると、STEM-EDSマッピングは、GOにおけるFePt化合物の均一な分解を明確に示す。TEM及びSEM(scanning electron microscopy)イメージによって確認されたように、有意な凝集なしに均一なサイズの合金ナノ粒子が観察される。ナノ粒子表面のNを含む炭素シェルは、高解像度STEM及びTEMイメージによって識別される。前記炭素シェルはビピリジンリガンドから誘導することができ、保護シェルとして機能し、700℃での熱処理中の合金ナノ粒子の均一かつ安定した成長に寄与する。
【0077】
図8は、37wt%FePt/rGOのXRDパターンを示し、図9は、37wt%FePt/rGOの磁気ヒステリシスループを表し、図10は、37wt%FePt/rGOのHAADF-STEMイメージと拡大イメージ及びL10-FePtナノ結晶のシミュレーションイメージを示し、図11は、単一のFePtナノ粒子(上部)及び37wt%FePt/rGOの高倍率領域(下部)のSTEM-EDSイメージを示す。
【0078】
図8及び図9を参照すると、パウダーXRD分析と磁気分析を通じてFePtナノ粒子の結晶構造を評価することができる。FePtナノ粒子のXRDピークは、L10-FePt上のXRDピークとよく一致し、Fe、Pt、L12-Fe3Pt及びL12-FePt3などの他の相とは明らかに異なる。また、L10-FePt上で強磁性は室温で22.5kOeの高い保磁力で識別される。
【0079】
図10を参照すると、L10-FePtナノ粒子の(001)面に沿った層別原子配置は、FeとPt原子との間の大きな差で明確に区別される。原子イメージのFFT(fast Fourier transform)パターンはまた、L10-FePt上に面中心正方晶結晶構造が明らかであることを示す。
【0080】
図11を参照すると、FePtナノ粒子におけるFe及びPt原子の均一な分布は、EDS単一粒子マッピングによって明らかにされる。また、拡大されたEDSマッピングは、Fe及びPt原子の層別分布を示す。
【0081】
したがって、FePt化合物の均一な1:1のFe対Pt原子比は、XRD、磁氣測定、HAADF-STEMイメージング、及びEDSマッピングによって実証されるように、rGO上に合金ナノ粒子を形成した後に原子的に整列した方法で維持される。
【0082】
図12は、24wt%-FePt/rGOのTEMイメージを示し、図13は、37wt%-FePt/rGOのTEMイメージを示す。図12及び図13に挿入図はFePtナノ粒子のサイズ分布を示す。
【0083】
図14は、FePt/rGO触媒及びPt/C触媒のORR分極曲線を示し、図15は、FePt/rGO触媒及びPt/C触媒のターフェルプロットを示す。
【0084】
図14及び図15を参照すると、FePt/rGO触媒は優れたORR活性を示し、Koutechy-Levich方程式から計算された反応電流密度はターフェルプロットで比較される。全ての領域において、FePt/rGOのL10-FePt合金ナノ粒子は、Pt/Cより高い反応電流密度を示す。
【0085】
図16は、FePt/rGO触媒及びPt/C触媒のECSAを示し、図17は、FePt/rGO触媒及びPt/C触媒の単位重量当たりの活性及び単位面積当たりの活性を示す。
【0086】
図16を参照すると、CO分子の酸化電荷に基づいて計算された電気化学表面積(electrochemical surface area,ECSA)値をHupdに基づく値と比較した。ECSACO値は、24wt%-FePt/rGO及び37wt%-FePt/rGOに対して53.4及び45.7m2/gPtであり、粒子サイズが大きいため、Pt/Cよりそれぞれ32及び41%低い。
【0087】
図17を参照すると、0.9Vで24wt%-FePt/rGO及び37wt%-FePt/rGOの単位重量当たりの活性は1.18及び1.96A/mgPtと計算され、これは商用Pt/Cよりそれぞれ6.9倍及び11.5倍高い。15%低いECSA値にもかかわらず、37wt%-FePt/rGOの単位重量当たりの活性は、24wt%-FePt/rGOの単位重量当たりの活性より66%高い。これは、37wt%-FePt/rGOでより高いレベルのFe-Pt原子整列に起因する可能性がある。Pt合金表面に対する改善されたORR活性は、Ptと遷移金属原子との間の強化された電子相互作用に起因する。
【0088】
37wt%-FePt/rGOで、高レベルの原子整列はPtとFeの間のリガンド効果を最大にし、ORR単位面積当たりの活性をはるかに高めることができる。0.9Vにおける24wt%-FePt/rGO及び37wt%-FePt/rGOの単位面積当たりの活性は2.21及び4.1mA/cmPt 2であり、これは商用Pt/Cよりそれぞれ10.2倍及び18.8倍高い。
【0089】
図18は、ADT(20,000サイクル)前後のFePt/rGO触媒及びPt/C触媒のORR分極曲線を示し、図19は、ADT(20,000サイクル)前後のFePt/rGO触媒及びPt/C触媒のターフェルプロットを示し、図20は、ADT(20,000サイクル)前後のFePt/rGO触媒及びPt/C触媒のECSAを示し、図21は、ADT(20,000サイクル)前後のFePt/rGO触媒及びPt/C触媒の単位重量当たりの活性及び単位面積当たりの活性を示す。
【0090】
図18乃至図21を参照すると、FePt/rGOの長期安定性を評価するために、Ar飽和条件下で20,000サイクルの間、0.6と1.0Vの間で電極をサイクルすることによってADT(accelerated degradation test)を行った。ADT後、FePt/rGOはCV曲線にほとんど変化を示さず、Pt/CのHupd領域は大幅に減少する。Pt/Cと比較してFePt/rGOの強い安定性は、ORR分極曲線とターフェルプロットによっても確認できる。ADT後、Pt/CのECSAは30%減少したが、FePt/rGOサンプルのECSAは4~7%わずかに増加した。単位重量当たりの活性及び単位面積当たりの活性に関して、Pt/Cは、ADT後にそれぞれ60%及び44%の深刻な低下を示す。しかしながら、FePt/rGOの単位重量当たりの活性はわずかに増加するが、単位面積当たりの活性はADT後にほとんど変化がない。3つの異なる部位に対するTEM分析及びEDSマッピングから、粒子-粒子凝集およびFe-溶解を引き起こす過酷なADT条件下でのFePtナノ粒子の安定性をさらに確認することができた。従って、Nを含有する炭素シェルとFePtナノ粒子内部の高度の原子間配列が本発明の実施例により合成されたFePt/rGOナノ触媒の安定性に寄与する主要要素となる。
【0091】
図22は、NiPt/rGO(46wt%)のTEMイメージを示し、図23は、NiPt/rGO(46wt%)のSTEM-EDSイメージを示す。図24は、CoPt/rGO(22wt%)のTEMイメージを示し、図25は、CoPt/rGO(22wt%)のSTEM-EDSイメージを示す。図26は、NiPt/rGO及びCoPt/rGOのパウダーXRDパターンを示し、図27は、NiPt/rGO及びCoPt/rGOのORR分極曲線を示す。
【0092】
図22乃至図27を参照すると、[Fe(bpy)32+の代わりに[Ni(bpy)32+又は[Co(bpy)32+を用いて他の白金合金ナノ粒子を形成することができる。
【0093】
NiPt化合物及びCoPt化合物は、FePt化合物と同じアニーリング条件でrGO上でNiPt及びCoPtナノ粒子にそれぞれ熱分解される。NiPt/rGO及びCoPt/rGOのTEM及びSTEM-EDSイメージにおいて、FePt/rGOの場合と同様に、NiPt及びCoPt合金ナノ結晶がrGOに均一に形成される。バイメタル合金構造はXRDパターンによって確認され、NiPt/rGO(46wt%)及びCoPt/rGO(22wt%)のORR活性は優れていると測定された。
【0094】
以上、本発明の具体的な実施例について考察した。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形した形態で具現できることを理解することができるであろう。したがって、開示された実施例は限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されるべきである。本発明の範囲は前述した説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等の範囲内にあるすべての差異点は本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の実施例による合金ナノ粒子及び合金ナノ触媒は優れた性能を有することができる。例えば、前記合金ナノ粒子及び前記合金ナノ触媒は優れた活性及び安定性を有することができる。前記合金ナノ粒子及び前記合金ナノ触媒は、簡単な工程で容易に形成されることができる。前記合金ナノ触媒は優れたORR(oxygen reduction reaction)活性を有し、電気触媒として使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図16
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