(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】環境価値付与システム、トークン管理装置、トークン管理プログラム、及び環境価値付与方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241210BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020128231
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】520282557
【氏名又は名称】株式会社アルカナムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】工藤 武彦
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-348624(JP,A)
【文献】特開2004-331912(JP,A)
【文献】特開2009-217565(JP,A)
【文献】特開2008-146306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油化拠点において廃プラスチックを分解して油を生成する油化装置と、
前記拠点において前記油化装置に通信可能に接続され前記油化装置から前記油の生成量を取得する拠点制御装置と、
前記拠点制御装置に対して通信可能に接続され前記油の生成量
を前記拠点制御装置から取得して該取得した油の生成量に対して予め定められた割合で所有者不在の環境価値トークンを発行して管理
し前記油及び前記油から発生したエネルギーの最終消費者に前記環境価値トークンの所有権を発生可能とするトークン管理装置を備え
た、
環境価値付与システム。
【請求項2】
請求項1記載の環境価値付与システムであって、
前記トークン管理装置に対して通信可能に接続され前記油又は前記エネルギーを取引可能とする前記最終消費者のユーザー端末を備え、
前記トークン管理装置は、
前記ユーザー端末での前記油又は前記エネルギーの取引量を
前記ユーザー端末から取得し、前記取引量に応じて前記環境価値トークンの所有権を前記ユーザー端末の前記最終消費者に発生させる、
環境価値付与システム。
【請求項3】
請求項1
記載の環境価値付与システムであって、
前記トークン管理装置に対して通信可能に接続され前記油又は前記エネルギーを取引可能とする前記最終消費者のユーザー端末と、
前記油の取引先に対して
それぞれ油化装置が備えられる複数の油化拠点の中から最も近い油化拠点から前記油を送るように管理する油管理装置
と、を備える、
環境付加価値システム。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の環境価値付与システムであって、
前記油化装置が備えられている油化拠点に、前記生成した油を消費して
前記エネルギーを発生させる
装置を備えた、
環境価値付与システム。
【請求項5】
請求項
2記載の環境価値付与システムであって、
前記トークン管理装置から受け取った前記油
又は前記エネルギーの取引内容を示す情報である取引情報と前記環境価値トークンの情報とをブロック化し、該ブロックを用いてブロックチェーンを形成するノードを備え、
前記トークン管理装置は、前記ブロックチェーンに基づいて前記最終消費者に前記環境価値トークンの所有権を発生させる、
環境価値付与システム。
【請求項6】
油化拠点において廃プラスチックを分解して油を生成する油化装置での前記油の生成量に応じて環境価値トークンを発行して管理するトークン管理装置であって、
前記油化拠点において前記油化装置に通信可能に接続された拠点制御装置と通信可能とする通信インターフェースと、
プロセッサー及びメモリーデバイスとを備え、
前記プロセッサーが前記メモリーデバイス内のプログラムを実行することで、取引情報取得
部及び所有権発生部を備え、
前記取引情報取得部は、前記拠点制御装置から前記生成された油の生成量を取得し、
前記所有権発生部は、前記取得した油の生成量に対して予め定められた割合で所有者不在の前記環境価値トークンを発行して管理し前記油及び前記油から発生したエネルギーの最終消費者に前記環境価値トークンの所有権を発生可能とする、
トークン管理装置。
【請求項7】
油化拠点において廃プラスチックを分解して油を生成する油化装置での前記油の生成量に応じて環境価値トークンを発行して管理するトークン管理プログラムであって、
コンピューターに、
前記油化拠点において前記油化装置に通信可能に接続された拠点制御装置と通信インターフェースを介して通信可能とする通信機能と、
前記拠点制御装置から前記生成された油
の生成量を取得する取引情報取得機能と、
前記取得した
油の生成量に対して予め定められた割合で所有者不在の前記環境価値トークン
を発行して管理し前記油及び前記油から発生したエネルギーの最終消費者に前記環境価値トークンの所有権を発生
可能とする所有権発生機能と、
を実現させる、トークン管理プログラム。
【請求項8】
油化拠点において、油化装置が、廃プラスチックを分解して油を生成し、
前記拠点において前記油化装置に通信可能に接続された拠点制御装置が、前記油化装置から前記油の生成量を取得し、
前記拠点制御装置に対して通信可能に接続されたトークン管理装置が、前記油の生成量
を前記拠点制御装置から取得して該取得した油の生成量に対して予め定められた割合で所有者不在の環境価値トークンを発行し
て管理し、
前記油又は前記油から発生したエネルギーの最終消費者に
前記環境価値トークン
の所有権を発生可能とする、
環境価値付与方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチックの油化に基づく環境価値を付与する環境価値付与システム、トークン管理装置、トークン管理プログラム、及び環境価値付与方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、使用後に廃棄されるプラスチック製品、いわゆる廃プラスチックの環境への影響が世界的な問題となっている。これに対する取り組みとして、プラスチック製品の使用量の削減等の他、廃プラスチックの処理量を増加することも行われている。
【0003】
廃プラスチックを処理する方法としては、資源の有効活用の観点から廃プラスチックを分解して油を生成する油化技術が注目されている(特許文献1参照)。
【0004】
この油化技術では、二酸化炭素排出量を大幅に削減できながら廃プラスチックを減らすことができる。しかも、生成された油は、電力や動力等のエネルギーを生成するための燃料として再利用することができる。
【0005】
従って、廃プラスチックの油化及びこれに由来するエネルギーの生成並びにその消費も含めて環境価値が極めて高いものとなっている。
【0006】
しかし、この環境価値が高い油やエネルギーに関し、環境価値を客観的に評価して付与する手法が確立されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする問題点は、廃プラスチックの油化に基づく環境価値を客観的に付与する手法が確立されていなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、油化拠点において廃プラスチックを分解して油を生成する油化装置と、前記拠点において前記油化装置に通信可能に接続され前記油化装置から前記油の生成量を取得する拠点制御装置と、前記拠点制御装置に対して通信可能に接続され前記油の生成量を前記拠点制御装置から取得して該取得した油の生成量に対して予め定められた割合で所有者不在の環境価値トークンを発行して管理し前記油及び前記油から発生したエネルギーの最終消費者に前記環境価値トークンの所有権を発生可能とするトークン管理装置を備えた、環境価値付与システムを提供する。
【0010】
本発明の第2の態様は、油化拠点において廃プラスチックを分解して油を生成する油化装置での前記油の生成量に応じて環境価値トークンを発行して管理するトークン管理装置であって、前記油化拠点において前記油化装置に通信可能に接続された拠点制御装置と通信可能とする通信インターフェースと、プロセッサー及びメモリーデバイスとを備え、前記プロセッサーが前記メモリーデバイス内のプログラムを実行することで、取引情報取得部及び所有権発生部を備え、前記取引情報取得部は、前記拠点制御装置から前記生成された油の生成量を取得し、前記所有権発生部は、前記取得した油の生成量に対して予め定められた割合で所有者不在の前記環境価値トークンを発行して管理し前記油及び前記油から発生したエネルギーの最終消費者に前記環境価値トークンの所有権を発生可能とする、トークン管理装置を提供する。
【0011】
本発明の第3の態様は、油化拠点において廃プラスチックを分解して油を生成する油化装置での前記油の生成量に応じて環境価値トークンを発行して管理するトークン管理プログラムであって、コンピューターに、前記油化拠点において前記油化装置に通信可能に接続された拠点制御装置と通信インターフェースを介して通信可能とする通信機能と、前記拠点制御装置から前記生成された油の生成量を取得する取引情報取得機能と、前記取得した油の生成量に対して予め定められた割合で所有者不在の前記環境価値トークンを発行して管理し前記油及び前記油から発生したエネルギーの最終消費者に前記環境価値トークンの所有権を発生可能とする所有権発生機能と、を実現させるトークン管理プログラムを提供する。
【0012】
本発明の第4の態様は、油化拠点において、油化装置が、廃プラスチックを分解して油を生成し、前記拠点において前記油化装置に通信可能に接続された拠点制御装置が、前記油化装置から前記油の生成量を取得し、前記拠点制御装置に対して通信可能に接続されたトークン管理装置が、前記油の生成量を前記拠点制御装置から取得して該取得した油の生成量に対して予め定められた割合で所有者不在の環境価値トークンを発行して管理し、前記油又は前記油から発生したエネルギーの最終消費者に前記環境価値トークンの所有権を発生可能とする、環境価値付与方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、廃プラスチックの油化に基づく環境価値を客観的に評価して付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例1に係る環境価値付与システムの概略構成を示す全体図である。
【
図2】
図1の環境価値付与システムの油化拠点システムの拠点制御装置を示すブロック図である。
【
図3】
図1の環境価値付与システムの管理システムの管理装置を示すブロック図である。
【
図4】
図1の環境価値付与システムのユーザー端末を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る環境価値付与システムによる油化処理を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施例1に係る環境価値付与システムによる発電処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施例1に係るトークン発行処理を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施例1に係る油の自家消費時のトークン所有権発生処理を示すフローチャートである。
【
図9】本発明の実施例1に係る油の売買時のトークン所有権発生処理を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施例1に係る電力の自家消費時のトークン所有権発生処理を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施例1に係る電力の売買時のトークン所有権発生処理を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施例1に係る情報の保存処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
廃プラスチックの油化に基づく環境価値を客観的に付与すること可能にするという目的を、廃プラスチックの油化に応じて環境価値トークンを発行し、その所有権を取引情報に応じた油又は油から発生したエネルギーの最終消費者に発生させることにより実現した。
【0016】
すなわち、環境価値付与システム(1)は、油化装置(9)と、トークン管理装置(23)とを備える。油化装置(9)は、廃プラスチックを分解して油を生成する。トークン管理装置(23)は、油の生成量に応じて環境価値トークンを発行して管理する。このトークン管理装置(23)は、生成された油に関する取引情報を取得し、取得した取引情報に応じた油又は油から発生したエネルギーの最終消費者に油又はエネルギーの消費量に応じて環境価値トークンの所有権を発生させる。
【0017】
また、環境価値付与システム(1)は、油又はエネルギーを取引可能とする最終消費者のユーザー端末(7)を備えてもよい。この場合、トークン管理装置(23)は、油に関する取引情報としてユーザー端末(7)での油又はエネルギーの取引量を取得し、取引量に応じて環境価値トークンの所有権をユーザー端末(7)のユーザーである最終消費者に発生させる。
【0018】
油化装置(9)は、複数の油化拠点にそれぞれ備えられる構成としてもよい。この場合、トークン管理装置(23)は、油の取引先に対して最も近い油化拠点から油を送るように管理する。
【0019】
環境価値付与システム(1)は、生成した油を消費して電力を発生させる発電装置(11)を備えてもよい。この場合、トークン管理装置(23)は、油に関する取引情報として電力の取引情報を取得し、電力の消費者に消費量に応じて環境価値トークンの所有権を発生させる。
【0020】
発電装置(11)は、油化装置(9)が備えられている油化拠点に備えられる構成としてもよい。
【0021】
環境価値付与システム(1)は、油に関する取引情報と環境価値トークンの情報とをブロック化し、このブロックを用いてブロックチェーンを形成するノードを備えてもよい。この場合、トークン管理装置(23)は、ブロックチェーンに基づいて最終消費者に環境価値トークンの所有権を発生させてもよい。
【0022】
トークン管理装置(23)は、取引情報取得部(37)と、所有権発生部(45)とを有する構成としてもよい。取引情報取得部(37)は、生成された油に関する取引情報を取得する。所有権発生部(45)は、取引情報に応じた油又は油から発生したエネルギーの最終消費者に油又はエネルギーの消費量に応じて環境価値トークンの所有権を発生させる。
【0023】
トークン管理プログラムは、コンピューターに、取引情報取得機能、所有権発生機能とを実現させる。これら機能は、トークン管理装置(23)の取引情報取得部(37)の機能と、所有権発生部(45)の機能とに対応する。
【0024】
環境価値付与方法は、油化装置(9)が、廃プラスチックを分解して油を生成し、トークン管理装置(23)が、油の生成量に応じて環境価値トークンを発行して管理し、生成された油に関する取引情報を取得して、取得した取引情報に応じた油又は油から発生したエネルギーの最終消費者に油又はエネルギーの消費量に応じて環境価値トークンを発生させる。
【実施例1】
【0025】
[環境価値付与システム]
図1は、本発明の実施例1に係る環境価値付与システムの概略構成を示す全体図である。
【0026】
環境価値付与システム1は、廃プラスチックの油化に基づく環境価値を客観的に付与するものであり、廃プラスチックの油化に応じて環境価値トークンを発行し、その環境価値トークンの所有権を油化による油又はこの油から発生したエネルギーの最終消費者に発生させるものである。
【0027】
本実施例の環境価値付与システム1は、油化拠点システム3と、管理システム5と、ユーザー端末7とで構成されている。
【0028】
[油化拠点システム]
油化拠点システム3は、複数の油化拠点にそれぞれ構築されており、油化装置9と、発電装置11と、売電装置13と、拠点制御装置15とを備える。なお、油化拠点は、油化装置9が設置されている拠点又は場所をいい、油化プラント、ごみ処理プラント、船舶等がある。また、図において、油化拠点は、理解容易のために、2つのみ示しているが、3つ以上の多数の油化拠点を備えることができる。また、図では、2つの油化拠点のうち、一方についてのみ詳細を示し、他方についての詳細を省略してある。
【0029】
本実施例において、油化拠点には、油化装置9に加えて発電装置11も備えられている。これにより、本実施例では、油化による油又は油から発生したエネルギーとしての電力を最終消費者が消費可能とする。ただし、発電装置11は、全ての油化拠点が備える必要はない。例えば、油化装置9で生成した油をそのまま消費するプラントや船舶等においては、発電装置11は不要である。また、全ての油化拠点が発電装置11を備えない構成とすることも可能である。
【0030】
なお、油から発生するエネルギーとしては、電力以外にも動力、熱、光等がある。動力は、内燃機関等での油の燃焼により発生可能であり、熱や光は、ランプやコンロ等での油の燃焼によって発生可能である。
【0031】
油化装置9は、投入された廃プラスチックを分解して油を生成する装置である。廃プラスチックは、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等がある。廃プラスチックの投入量は、事前に測定され、又は油化装置9で測定される。油化装置9で測定する場合は、ロードセル等を用いればよい。ただし、廃プラスチックの投入量の測定手法は問わない。油化装置9で生成される油は、重質油、中質油、軽質油等である。かかる油化装置9としては、廃プラスチックを熱分解し、発生したガスを冷却して油を得る一般的な油化装置を採用すればよい。ただし、油化装置9の油化手法は問わない。
【0032】
発電装置11は、油化装置9で生成された油を消費して電力を発生させる装置である。この発電装置11は、ガスタービンやレシプロエンジンを用いた内燃力発電や蒸気タービンを用いた火力発電等を行う一般的な発電装置を採用すればよい。ただし、発電装置11の発電手法は問わない。
【0033】
発電装置11への油の供給は、発電装置11の給油タンク等に油化装置9から直接送り、或いは一度油化装置9から貯蔵タンク等に貯蔵したものを適宜発電装置11の給油タンクに送ること等によって行えばよい。なお、貯蔵タンク等に貯蔵する場合は、生成した油の一部のみを給油タンクに送ることも可能である。油の一部のみを給油タンクに送る場合は、残りの油を油化拠点で自家消費するか販売する。
【0034】
売電装置13は、売電メーター等であり、発電装置11で発生した電力を、電力量を測定しながら電力会社14に送信するものである。この売電装置13としては、周知の売電メーター等の売電装置を採用すればよい。売電装置13から電気会社へ送信される電力は、発電装置11で発生した電力の一部又は全部である。一部の電力を送信する場合は、残りの電力を油化拠点で自家消費することになる。
【0035】
【0036】
拠点制御装置15は、油化拠点内の油化装置9及び発電装置11を制御、監視する情報処理装置である。なお、情報処理装置とは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーと、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のメモリーデバイス、及び通信インターフェースを備えたコンピューターを意味する(以下、同じ)。すなわち、拠点制御装置15は、プロセッサー14と、メモリーデバイス16と、通信インターフェース18とを備えて構成されている。
【0037】
なお、通信インターフェースは、LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、インターネット、電話回線網等のネットワークを介して他の情報処理装置やデバイスとの間で情報の送受信を可能とする通信デバイスをいう。
【0038】
この拠点制御装置15は、油化装置9、発電装置11、及び売電装置13に対してLAN(Local Area Network)やBluetooth(登録商標)等によって相互通信可能に接続されている。また、拠点制御装置15は、インターネットや電話回線網等のネットワーク17を介して、管理システム5に相互通信可能に接続されている。
【0039】
かかる拠点制御装置15は、メモリーデバイス16内のプログラムをプロセッサー14で実行することにより、制御監視部19と、情報送信部21とを備える。
【0040】
制御監視部19は、制御監視機能を実現し、油化装置9及び発電装置11を制御し、それらの稼働状況を監視する。これにより、拠点制御装置15は、油化装置9及び発電装置11に適切な油化及び発電をそれぞれ行わせる。なお、本実施例の拠点制御装置15は、売電装置13の監視も行う。
【0041】
拠点制御装置15は、油化装置9及び発電装置11を制御する制御機能と、油化装置9及び発電装置11を監視する監視機能とを行う別々の情報処理装置で構成してもよい。また、拠点制御装置15は、油化装置9及び発電装置11に対してそれぞれ設けた情報処理装置で構成してもよい。この場合、情報処理装置を油化装置9及び発電装置11に一体に構成することも可能である。
【0042】
本実施例の制御監視部19は、油化装置9、発電装置11、売電装置13の監視により、生成された油の量(生成量)、発電装置11への生成された油の給油量、発電装置11によって発電された電力量(発電量)、並びに売電された電力量(売電量)を取得する。また、拠点制御装置15は、廃プラスチックの油化装置9への投入量も取得する。この取得は、油化装置9で測定したものを取得したり、或いは事前に測定機器で測定されたものを取得する。
【0043】
情報送信部21は、情報送信機能を実現し、これら取得した投入量、生成量及び給油量を投入情報(油の取引情報)、生成情報(油の取引情報)、及び給油情報(油の取引情報)として、発電量及び売電量をそれぞれ発電情報(電力の取引情報)及び売電情報(電力の取引情報)として、管理システム5に送信する。なお、投入情報も管理システム5に送信することで、廃プラスチックの油化と生成された油や発生した電力とを関連付けることができる。
【0044】
送信のタイミングは、例えば、所定サイクル(1又は複数サイクル)、所定時間(1又は数時間)、所定日数(1又は数日等)の所定期間が経過したときとすることができる。1サイクルは、1又は所定回の油化、給油、発電、売電等である。なお、1回の油化は、所定量の廃プラスチックを油化することであり、1回の給油は、所定量までの給油等であり、1回の発電は、所定量の給油に対する発電等であり、1回の売電は、所定量までの売電等である。
【0045】
なお、生成量は、例えば油化装置9に設けた流量計や重量計等のセンサーからの信号によって取得できる。給油量は、発電装置11の給油タンクに設けたセンサーからの信号によって取得できる。発電量は、いわゆるスマートメーター等の計測装置から取得できる。売電量は、売電装置13で計測されたものを取得できる。
【0046】
[管理システム]
本実施例の管理システム5は、
図1のように、トークン管理装置及び油管理装置としての管理装置23と、複数のノード25とをP2Pによる管理ネットワークで接続されて構成されている。なお、トークン管理装置と油管理装置は、別々に設けてもよい。また、ノード25は、理解容易のために2つのみ示しているが、数に制限はない。
【0047】
図3は、管理システムの管理装置を示すブロック図である。
【0048】
管理装置23は、情報処理装置であり、油化装置9、発電装置11、及び売電装置13に対してネットワーク17を介して相互通信可能に接続される。この管理装置23は、トークン管理装置として、油化装置9での油の生成量に応じて環境価値トークンを発行して管理する。本実施例の管理装置23は、油管理装置として、生成された油の管理も行う。
【0049】
環境価値トークンは、廃プラスチックを処分した(廃プラスチックから油を生成した)という環境価値を客観的に示すものであり、例えば環境価値を数値で示すポイントの他、電子マネーや暗号資産等の財産的価値を有するものとすることも可能である。本実施例では、環境価値トークンがポイントである場合を例に説明する。なお、環境価値トークンは、ポイントであっても、環境への貢献度を示す指標となるため、二酸化炭素の排出取引のような環境価値取引の確立に資することが可能である。また、本実施例のポイントである環境価値トークンは、後述するように消却により油又はエネルギーである電力を取引可能とする。
【0050】
かかる管理装置23は、メモリーデバイス29内のプログラムをプロセッサー31で実行することにより、管理機能部33と、ノード機能部35とを備える。なお、管理機能部33及びノード機能部35は、それぞれ別々の情報処理装置、例えばサーバー及びノード、或いは別々のプロセッサーによって構成することも可能である。
【0051】
管理機能部33は、管理機能を実現し、油とトークンの管理を行う。なお、電力の管理は、電力会社14で行えばよいが、管理機能部33で行ってもよい。また、油の管理は、電力と同様、別途行うことも可能である。かかる管理機能部33は、取引情報取得部37と、取引管理部39と、トークン管理部41とを備える。管理機能部33の各部は、専用のプロセッサーによって構成してもよい。
【0052】
取引情報取得部37は、取引情報取得機能を実現し、油化拠点で生成された油に関する取引情報を取得する。この取引情報取得部37は、取得した情報をメモリーデバイス29内の管理機能部33用の記憶領域29a(管理機能記憶領域29a)に記憶すると共にノード機能部35に渡す。
【0053】
油に関する取引情報は、油の取引情報及び電力の取引情報を含む。油の取引情報は、投入情報、生成情報、給油情報、販売情報等である。投入情報は、廃プラスチックの投入日、場所(油化拠点や油化装置9)、及び投入量である。生成情報は、油の生成日時、場所(油化拠点や油化装置9)、及び生成量等である。給油情報は、油の給油日時、場所(油化拠点や発電装置11)、及び給油量等である。これらは、油化拠点から送信された情報を管理装置23で受信することで取得される。油の販売情報は、販売日時、販売先、及び販売量(取引量)等である。これらは、後述する取引管理部39での油の販売成立により取得される。
【0054】
電力の取引情報は、発電情報、売電情報、販売情報等である。発電情報は、電力の発電日時、場所(油化拠点や発電装置11)、及び発電量等である。売電情報は、売電日時、場所(油化拠点や発電装置11)、及び売電量等である。これらは、油化拠点から送信された情報を管理装置23で受信することで取得される。電力の販売情報は、販売日時、販売先、及び販売量(取引量)等である。この電力の販売情報は、電力会社14から送信された情報を管理装置23で受信することで取得される。
【0055】
取引管理部39は、取引管理機能を実現し、油化拠点で生成された油の取引管理及び電力の取引管理を行う。本実施例では、取引情報取得部37で取得した取引情報に基づいて、油の自家消費及び販売に関する情報並びに電力の自家消費及び販売に関する情報を管理する。
【0056】
管理される油の自家消費に関する情報である油自家消費情報は、油の自家消費の場所(油化拠点)、量(自家消費量)であり、販売に関する情報は、油の販売情報及び販売成立を示す情報である。一方、電力の自家消費に関する情報である電力自家消費情報は、電力の自家消費の場所(油化拠点)、量(自家消費量)であり、販売に関する情報は、電力の販売情報及び販売成立を示す情報である。
【0057】
油の自家消費量は、生成した油の生成量から給油量を減じ、さらに油の販売量を減じることで得られる。油の販売が行われていない場合は、生成量から給油量を減じることで自家消費量を得ることができる。給油及び販売がない場合は、生成量がそのまま自家消費量となる。電力の自家消費量は、電力の発電量から売電量を減じることで得られる。電力の販売が行われていない場合は、発電量がそのまま自家消費量となる。
【0058】
拠点での油の販売量は、油化拠点で生成された油のうち、所望量を販売用としてプールした量とすればよい。油のプール処理は、油化拠点の拠点制御装置15により行うことが可能である。例えば、油のプール量を拠点制御装置15により指定させればよい。このプール量は、プール情報(油の取引情報)として拠点制御装置15から管理システム5側へ送信される。プールされた油は、油化拠点で保管する。
【0059】
油の販売は、後述するユーザー端末7から受信した購入情報に基づいて行われる。油の販売成立は、プールされた油の総量が購入情報の購入量よりも多く、且つ決済が実行された場合になされる。なお、電力の販売は、電力会社14とユーザーとの間で行われる。
【0060】
油を販売した際は、取引管理部39が、購入情報に含まれる購入先(販売先)、購入量(販売量)に基づき、プールされた油の総量から購入量を減じ、購入先に対して最も近い油化拠点から油を送るように指示を実行する。この指示は、取引管理部39から油化拠点の拠点制御装置15にダイアログメッセージや、電子メール、ファクシミリ等によって行えばよい。
【0061】
なお、購入情報には、購入先、購入量の他、決済方法(環境トークンの消却数を含む)、ユーザーの識別情報(ユーザーID)等が含まれている。
【0062】
これら油の自家消費量やプール量等の油の管理情報は、メモリーデバイス29内の管理機能記憶領域29aに記憶されると共にノード機能部35に渡される。
【0063】
トークン管理部41は、トークン管理機能を実現し、油化拠点での廃プラスチックの油化によって生成された油の生成量に応じて環境価値トークンを発行して管理する。このトークン管理部41は、トークン発行部43と、所有権発生部45と、トークン消却部47と、トークン移転部49とを備える。
【0064】
トークン発行部43は、トークン発行機能を実現し、環境価値トークンを発行するものである。すなわち、トークン発行部43は、取引情報取得部37が取得した情報が油の生成情報である場合、生成情報に含まれる油の生成量に応じて、所有者不在の環境価値トークンを発行する。
【0065】
環境価値トークンの発行は、予め定められた油に対する割合で発行される。例えば、油200リットルに対して、1ポイントの環境価値トークンが発行される。
【0066】
発行された環境価値トークンの情報(トークン情報)は、トークン発行部43により、管理機能記憶領域29aに記憶されると共にノード機能部35に渡される。
【0067】
所有権発生部45は、所有権発生機能を実現し、取引情報取得部37で取得した取引情報に応じた油又は油から発生した電力の最終消費者に、油又はエネルギーの消費量に応じて環境価値トークンの所有権を発生させる。消費量とは、自家消費量又は販売量である。
【0068】
最終消費者は、油やエネルギーである電力を最終的に消費する者である。油の生成者や電力の発生者が自家消費する場合は、それらの生成者や発生者が最終消費者になる。また、油及び電力を購入した購入者は、そのまま最終消費者となる。
【0069】
ただし、油の取引の場合は、購入者が油を小分けにしてランプやコンロ等の燃料として更に販売することがある。この場合、燃料の購入者である最終消費者を特定できないことがあるため、燃料を販売する油の購入者を最終消費者とするのがよい。ただし、燃料の購入者を特定できれば、その燃料の購入者を最終消費者としてもよい。
【0070】
なお、最終消費者は、廃プラスチックの油化に由来する油又は電力の購入者であればよく、生成した油と関連付けられる必要はない。
【0071】
環境価値トークンの所有権の発生は、取引情報に基づいて最終消費者が特定されたときに行われる。つまり、本実施例では、最終消費者が油又は電力を購入したときである。所有権発生部45は、油に関する取引情報として油又は電力の取引量である販売量を取得し、販売量に応じて環境価値トークンの所有権を購入者に発生される。本実施例の購入者は、後述するユーザー端末7のユーザーとなる。
【0072】
発生した環境価値トークンの所有権の情報(所有権情報)は、所有数及び最終消費者であるユーザーのユーザーIDである。この所有権情報は、メモリーデバイス29内の管理機能記憶領域29aに記憶されると共にノード機能部35に渡される。
【0073】
トークン消却部47は、トークン消却機能を実現し、環境価値トークンを消却するものである。すなわち、本実施例の環境価値トークンは、その消却により油又は電力を購入可能であるため、トークン消却部47は、環境価値トークンによって油又は電力の購入がなされた場合、その分の環境価値トークンを消却する。
【0074】
環境価値トークンの消却は、後述するユーザー端末7から受信した環境価値トークンの消却情報に基づいて行われる。本実施例の消却情報は、購入情報に付加され、環境価値トークンの消却数及び対応する油又は電力の購入量である。なお、消却情報は、後述のユーザー端末7から購入情報とは別に送信することも可能である。
【0075】
本実施例のトークン消却部47は、購入情報のユーザーIDに関連付けられている所有数から消却数を減ずることで環境価値トークンを消却する。この消却後の環境価値トークンの情報(消却後情報)は、購入情報と共に管理機能記憶領域29aに記憶されると共にノード機能部35に渡される。
【0076】
トークン移転部49は、トークン移転機能を実現し、環境価値トークンの移転を行うものである。環境価値トークンは、上記のように油又は電力を購入可能であり、また環境価値取引の対象となり得るから、移転する実益がある。本実施例では、ユーザーが移転を希望する場合、トークン移転部49が環境価値トークンの所有権を移転させる。
【0077】
環境価値トークンの移転は、後述するユーザー端末7から受信した環境価値トークンの移転情報に基づいて行われる。移転情報は、環境価値トークンの移転数、移転元及び移転先のユーザーID、移転に対する対価である。なお、対価は任意である。トークン移転部49は、この移転情報の移転元ユーザーIDに関連付けられている所有数から移転数を減ずると共に移転先ユーザーIDに関連付けられている所有数に移転数を加算することで移転を実行する。
【0078】
この移転後の環境価値トークンの情報(移転後情報)は、移転情報と共に管理機能記憶領域29aに記憶されると共にノード機能部35に渡される。
【0079】
ノード機能部35は、情報記憶部51と、ブロック生成部53と、チェーン作成部55と、ブロードキャスト部57とを備える。
【0080】
情報記憶部51は、情報記憶機能を実現し、管理機能部33から受け取った情報をメモリーデバイス29内のノード機能部35用の記憶領域29b(ノード機能記憶領域29b)に記憶する。本実施例において、記憶される情報は、油に関する取引情報及び環境価値トークンの情報である。油に関する取引情報は、上記のとおりであり、環境価値トークンの情報は、トークン情報、所有権情報、消却情報(購入情報)、消却後情報、移転情報、移転後情報を含む。
【0081】
ブロック生成部53は、ブロック生成機能を実現し、ノード機能記憶領域29b内の油に関する取引情報と環境価値トークンの情報とを所定のタイミングでブロック化する。なお、ブロック生成部53は、管理機能記憶領域29a内の油に関する取引情報と環境価値トークンの情報とをブロック化してもよい。この場合、ノード機能部35の情報記憶部51は不要となり、処理の迅速化や記憶容量の削減になる。或いは、管理機能記憶領域29aを省略することも可能である。この場合も、処理の迅速化や記憶容量の削減になる。
【0082】
ブロック化は、一般的なブロックチェーン技術を用いて行えばよい。すなわち、ブロック生成部53は、前のブロックのハッシュ値、Nonce、取引情報等を1つのブロックに格納した形態のブロックデータを生成する。
【0083】
チェーン作成部55は、チェーン作成機能を実現し、ブロック生成部53で生成されたブロックデータを時系列につないだデータ構造のブロックチェーンデータを生成する。生成されたブロックチェーンは、ノード機能記憶領域29bに記憶される。
【0084】
ブロードキャスト部57は、ブロードキャスト機能を実現し、生成されたブロックチェーンを複数のノード25にブロードキャストして保持させる。
【0085】
複数のノード25は、情報処理装置であり、ブロードキャストされたブロックチェーンをメモリーデバイス29内に記憶、保持する。これにより、ブロックチェーンがトークン管理装置23と複数のノード25で共有して改ざん不能な分散台帳を構成する。
【0086】
なお、本実施例のブロックチェーンの形成は、管理装置23でのみ行い、ノード25は、単にブロックチェーンを共有するだけである。ただし、管理装置23及びノード25の何れか一つでブロックチェーンを形成し、その他に形成したブロックチェーンを共有させる構成としてもよい。
【0087】
[ユーザー端末]
図4は、ユーザー端末を示すブロック図である。
【0088】
ユーザー端末7は、油や電力の購入を可能とすると共にユーザー所有の環境価値トークンの処分を可能とする。処分とは、本実施例において譲渡を意味するが、放棄等を含めることも可能である。なお、
図1において、ユーザー端末7は、1つのみ示しているが、ユーザーの数だけ存在する。本実施例のユーザーは、油又は電力を購入して最終消費者となることができる者をいう。
【0089】
ユーザー端末7は、多機能携帯電話機、タブレット端末、パーソナルコンピューター、その他の情報処理装置で構成することができる。ユーザー端末7は、プロセッサー59、メモリーデバイス61、通信インターフェース63に加え、ユーザーインターフェース65を備えている。
【0090】
ユーザーインターフェース(UI)65は、タッチパネル式のディスプレイ等の入出力装置の他、ディスプレイ等の出力装置及びマウスパッドやキーボード等の入力装置で構成することができる。
【0091】
かかるユーザー端末7は、メモリーデバイス61内のプログラムを実行することにより、購入部67、トークン取引部69とを備える。
【0092】
購入部67は、購入機能を実現し、ユーザー端末7のUI65上に購入画面を表示して油又は電力を購入可能とする。購入の際は、UI65上で油又は電力の区分、購入量、決済方法を指定することにより行われる。決済方法としては、通貨等による一般的な決済の他、環境価値トークンを選択可能とする。環境価値トークンが選択された場合は、環境価値トークンの消却数を選択させ、この消却数に対応する油又は電力を購入し或いは併せて超過分を通貨等で決済することで購入する。この購入情報は、ユーザー端末7のユーザーのユーザーIDを含めて管理システム5に送信される。
【0093】
トークン取引部69は、トークン取引機能を実現し、環境価値トークンの有償又は無償の譲渡を行う。トークン取引きの際は、UI65上で環境価値トークンの移転数、移転先のユーザーID、移転に対する対価を指定することにより行われる。この移転情報は、ユーザー端末7のユーザーのユーザーIDを含めて管理システム5に送信される。また、トークン取引部69は、UI65上で所有している環境価値トークンの数や相場を確認可能としてもよい。
【0094】
[油化処理]
図5は、本実施例の環境価値付与システムによる油化処理を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、油化拠点システム3の拠点制御装置15により行実行される。
【0095】
ステップS1では、油化拠点での油化が開始されたか否かを監視する。この監視では、例えば、拠点制御装置15の制御監視部19が油化装置9や拠点制御装置15での油化開始ボタンの操作の有無を監視すればよい。油化装置9での油化が開始されない限りステップS1の処理が繰り返される。
【0096】
ステップS2では、油化拠点での油化が終了したか否かを監視する。この監視では、例えば、油化装置9から生成される油の有無や拠点制御装置15での油化制御の終了を監視すればよい。生成される油の有無は、流量計や重量計等のセンサーからの信号によって判断可能である。その他、油化装置9や拠点制御装置15での油化終了ボタンの操作の有無を監視してもよい。油化装置9での油化が終了しない限りステップS2の処理が繰り返される。
【0097】
ステップS3では、油化拠点の油の生成量を管理システム5に通知する。すなわち、拠点制御装置15の情報送信部21が、油化拠点での生成量を含む生成情報を管理システム5に送信する。この送信は、油化の所定サイクルの終了時、所定時間経過時、又は油化装置9の稼働終了時等に行う。生成量の取得は、上記のように油化装置9に設けたセンサーからの信号によって行えばよい。
【0098】
ステップS4では、生成された油が発電装置11に給油されたか否かを監視する。この監視は、油化と同時期に行われ、次の所定サイクル開始、次の所定時間開始、次の油化装置9の稼働開始までの間に給油の有無を判断する。同時期とは、油の生成量の取得に関連するタイミングであり、例えば油の生成量の取得と同時か次の油の生成量の取得開始までの間である。
【0099】
給油の有無の判断は、拠点制御装置15の制御監視部19が、発電装置11の給油タンクに設けられたセンサーからの信号を受信したか否かによって行うことができる。給油があった場合は、処理がステップS5へ移行し、給油がない場合は、処理がステップS7へ移行する。
【0100】
ステップS5では、生成された油の発電装置11への給油量を管理システム5に通知する。すなわち、拠点制御装置15の情報送信部21が、発電装置11に対する給油量を含む給油情報を管理システム5に送信する。なお、給油量の取得は、上記発電装置11の給油タンクからの信号によって行えばよい。
【0101】
ステップS6では、油化拠点での油の生成量と発電装置11への給油量とが一致するか否かを拠点制御装置の制御監視部19が判断する。生成量と給油量とが一致する場合は、油のプール又は自家消費がないもと判断され、油化処理が終了する。一方、生成量と給油量とが一致しない場合は、ステップS7へ移行する。
【0102】
ステップS7では、油化拠点での油のプールの有無を判断する。すなわち、拠点制御装置15の制御監視部19は、油のプール量が入力されたか否かを判断する。この判断も、生成量の取得と同時期に行われ、プール量の入力を監視する。
【0103】
油のプールがあった場合は、ステップS8へ移行し、油のプールがない場合は、油化処理が終了する。油のプールがない場合は、生成量と給油量とから油の自家消費量を求め、この自家消費量を油自家消費情報として管理システム5に送信してもよい。
【0104】
ステップS8では、油化拠点での油のプール量を管理システム5へ通知して、油化処理が終了する。かかる通知は、拠点制御装置15の情報送信部21が、油のプール量を含むプール情報を管理システム5に送信することで行われる。
【0105】
このとき、拠点制御装置15が油の自家消費量を判断してもよい。この場合、生成量及び給油量の差(ステップ4から移行した場合は給油量をゼロとする)とプール量とが一致するか否かを判断する。
【0106】
生成量及び給油量の差とプール量とが一致する場合は、油の自家消費がないものと判断され、一致しない場合は、生成量及び給油量の差とプール量との差が油の自家消費量と判断される。この油の自家消費量も、油自家消費情報として油のプール量と共に、或いは単独で管理システム5へ送信してもよい。
【0107】
[発電処理]
図6は、本実施例の環境価値付与システムによる発電処理を示すフローチャートである。
図6のフローチャートは、油化拠点システム3の拠点制御装置15により実行される。
【0108】
ステップS101では、油化拠点で発電が開始されたか否かを監視する。この監視では、拠点制御装置15の制御監視部19が、発電装置11や拠点制御装置15での発電開始ボタンの操作の有無を監視すればよい。その他、給油をトリガーに発電装置11で自動的に発電させるような場合、給油を監視してもよい。発電装置11での発電が開始されない限りステップS101の処理が繰り返される。
【0109】
ステップS102では、発電が終了したか否かを監視する。この監視では、拠点制御装置15の制御監視部19が、スマートメーター等の計測装置での電力値の有無や拠点制御装置15での発電制御の終了を監視すればよい。その他、発電装置11や拠点制御装置15での発電終了ボタンの操作の有無を監視してもよい。発電装置11での発電が終了しない限りステップS102の処理が繰り返される。
【0110】
ステップS103では、油化拠点の発電量を管理システム5に通知する。すなわち、拠点制御装置15の情報送信部21が、発電量を含む発電情報を管理システム5に送信する。この送信は、発電の所定サイクルの終了時、所定時間経過時、又は発電装置11の稼働終了時等に行う。発電量の取得は、上記のように計測装置から行えばよい。
【0111】
ステップS104では、油化拠点での売電の有無を判断する。売電の有無は、拠点制御装置15の制御監視部19が、売電装置13で計測された売電量に基づいて行う。この判断は、発電と同時期に行うことができる。ここでの同時期とは、発電量の取得と関連するタイミングであり、例えば、次の所定サイクル開始、次の所定時間開始、次の発電装置11の稼働開始までの間である。売電があった場合は、処理がステップS105へ移行し、売電がない場合は、発電処理が終了する。
【0112】
ステップS105では、売電量を管理システム5へ通知して、発電処理が終了する。かかる通知は、拠点制御装置15の情報送信部21が売電量を含む売電情報を管理システム5に送信することで行われる。
【0113】
このとき、拠点制御装置15が電力の自家消費量を判断してもよい。自家消費量は、発電量及び売電量の差により求め、電力自家消費情報として売電量と共に、或いは単独で管理システム5へ送信してもよい。
【0114】
[トークン発行処理]
図7は、本実施例のトークン発行処理を示すフローチャートである。
図7のフローチャートは、管理システム5の管理装置23の管理機能部33で実行される。
【0115】
ステップS201では、油化拠点で廃プラスチックから生成された油の生成量を取得する。すなわち、管理機能部33の取引情報取得部37が、油化拠点から送信された生成情報を受信すると、管理機能部33の取引管理部39が、受信した生成情報に基づいて油の生成量を取得する。
【0116】
ステップS202では、環境価値トークンを発行する。すなわち、管理機能部33のトークン発行部43が、取得した油の生成量に応じ、テーブル等の参照により予め定められた割合で所有権のない環境価値トークンを発行する。
【0117】
ステップS203では、発行された環境価値トークンの保管が行われる。すなわち、管理装置23のトークン発行部43が、発行した環境価値トークンのトークン情報を管理機能記憶領域29aに記憶すると共にノード機能部35に渡す。ノード機能部35では、後述する保存処理が行われる。こうして保管がなされると、環境価値トークンがトークン管理部41による管理下に置かれ、トークン発行処理が終了する。
【0118】
[トークン所有権発生処理]
(油の自家消費時)
図8は、本実施例の油の自家消費時のトークン所有権発生処理を示すフローチャートである。
図8のフローチャートは、管理装置23の管理機能部33で油の生成量を取得することでトークン発行処理と並行して実行される。
【0119】
ステップS301では、油化拠点からの生成された油の給油情報の取得の有無を判断する。ここでの給油情報は、
図8のフローチャートのトリガーとなった生成情報に関連する給油情報である。管理機能部33の取引情報取得部37が給油情報を受信により取得した場合は、ステップS302へ移行し、取得しない場合は、ステップS305へ移行する。給油情報を取得しないとは、生成情報と同時期に送信される給油情報を取得しないことをいう。同時期は、上記のとおりである。
【0120】
ステップS302では、油化拠点からの生成された油のプール情報の取得の有無を判断する。ここでのプール情報は、
図8のフローチャートのトリガーとなった生成情報に関連するプール情報である。
【0121】
管理機能部33の取引情報取得部37がプール情報を受信により取得した場合は、ステップS303へ移行し、取得しない場合は、ステップS307へ移行する。なお、プール情報を取得しないとは、生成情報と同時期に送信されるプール情報を取得しないことをいう。同時期は、上記のとおりである。
【0122】
ステップS303では、油化拠点から生成された油の生成情報、給油情報、及びプール情報を受信したことに応じ、管理機能部33の取引管理部39により生成された油が自家消費されたか否かが判断される。この判断では、取引管理部39が、取得した情報の生成量、給油量、プール量より自家消費量を求める。
【0123】
生成された油が自家消費された場合は、ステップS304へ移行し、そうでない場合は、トークン所有権発生処理が終了する。
【0124】
ステップS304では、油を生成した油化拠点のユーザーに対し環境価値トークンの所有権を発生させる。すなわち、管理機能部33の所有権発生部45は、取引管理39で求めた油の自家消費量に応じ、テーブル等を参照して環境価値トークンの所有権を発生させる。この所有権に関する所有権情報は、管理機能記憶領域29aに記憶されると共にノード機能部35に渡される。
【0125】
一方、ステップS305では、ステップS302と同様に、プール情報の受信の有無を判断する。、プール情報を取得した場合は、ステップS306へ移行し、取得しない場合は、ステップS307へ移行する。
【0126】
ステップS306では、油の生成情報及びプール情報を受信したことに応じ、管理機能部33の取引管理部39が取得した情報の生成量及びプール量より自家消費量を求め、生成された油が自家消費されたか否かが判断される。
【0127】
生成された油が自家消費された場合は、ステップS304へ移行して上記同様に所有権の付与が行われる。そうでない場合は、トークン所有権発生処理が終了する。
【0128】
ステップS307では、油の生成情報を受信したことに応じ、管理機能部33の取引管理部39が生成された油が全て自家消費されたと判断して取得した情報の生成量を自家消費量とする。これにより、処理がステップS304へ移行して上記同様に所有権の付与が行われる。
【0129】
ステップS308では、管理装置23の取引情報取得部37が油の生成情報及び給油情報を受信したことに応じ、管理装置23の取引管理部39が取得した情報の生成量及び給油量より自家消費量を求め、生成された油が自家消費されたか否かが判断される。
【0130】
生成された油が自家消費された場合は、ステップS304へ移行して上記同様に所有権の付与が行われる。そうでない場合は、トークン所有権発生処理が終了する。
【0131】
(油の売買時)
図9は、本実施例の油の売買時のトークン所有権発生処理を示すフローチャートである。
図9のフローチャートは、管理装置23の管理機能部33により実行される。
【0132】
ステップS401では、油化拠点で生成された油の購入情報の取得が行われる。すなわち、管理装置23の取引情報取得部37が、ユーザー端末7から送信された油の購入情報を受信により取得する。
【0133】
ステップS402では、油の販売成立か否かを判断する。すなわち、管理機能部33の取引管理部39が、油の購入情報の購入量がプールされている油の総量よりも多く且つ決済が行われた場合に販売成立と判断する。販売成立の場合は、ステップS403へ移行し、売買不成立の場合は、トークン所有権発生処理が終了する。
【0134】
ステップS403では、油販売時の決済に環境価値トークンが使用されたか否かを判断する。すなわち、管理機能部33の取引管理部39が、油の購入情報に環境価値トークンの消却情報が含まれていたか否かを判断する。消却情報が含まれていない場合、決済に環境価値トークンが使用されなかったと判断されて、ステップS404へ移行する。一方、消却情報が含まれていた場合、決済に環境価値トークンが使用されたと判断され、環境価値トークンの所有権は生じず、トークン所有権発生処理が終了する。
【0135】
ステップS404では、油を購入したユーザー端末7のユーザーに対し環境価値トークンの所有権を発生させる。すなわち、管理機能部33の所有権発生部45は、取引管理39での油の販売量に応じ、テーブル等を参照して環境価値トークンの所有権を発生させる。この所有権に関する所有権情報は、管理機能記憶領域29aに記憶されると共にノード機能部35に渡される。なお、環境価値トークン以外の決済方法で決済した部分については、ステップS404において環境価値トークンを発生させてもよい。
【0136】
(電力の自家消費時)
図10は、本実施例の電力の自家消費時のトークン所有権発生処理を示すフローチャートである。
図10のフローチャートは、管理装置23の管理機能部33により実行される。
【0137】
ステップS501では、油化拠点で生成された油による発電情報の取得が行われる。すなわち、管理装置23の取引情報取得部37が、油化拠点から送信された発電情報を受信により取得する。
【0138】
ステップS502では、油化拠点からの売電情報の受信の有無を判断する。すなわち、管理機能部33の取引情報取得部37が、発電情報に関連する売電情報を受信により取得したか否かを判断する。売電情報を取得した場合は、ステップS503へ移行し、取得しない場合は、ステップS504へ移行する。売電情報を取得しないとは、発電情報と同時期に送信された売電情報を取得しないことをいう。同時期は、上記のとおりである。
【0139】
ステップS503では、油化拠点からの発電情報及び売電情報を受信したことに応じ、管理機能部33の取引管理部39が、発電による電力が自家消費されたか否かを判断する。すなわち、管理機能部33の取引管理部39が、取得した情報の発電量及び売電量より自家消費量を求める。
【0140】
発電された電力が自家消費された場合は、ステップS504へ移行し、そうでない場合は、トークン所有権発生処理が終了する。
【0141】
ステップS504では、発電が行われた油化拠点のユーザーに対し環境価値トークンの所有権を発生させる。すなわち、管理機能部33の所有権発生部45は、取引管理39で求めた電力の自家消費量に応じ、テーブル等を参照して環境価値トークンの所有権を発生させる。この所有権に関する所有権情報は、管理機能記憶領域29aに記憶されると共にノード機能部35に渡される。
【0142】
(電力の売買時)
図11は、本実施例の電力の売買時のトークン所有権発生処理を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、管理システム5の管理機能部33により実行される。
【0143】
ステップS601では、電力会社による電力の販売情報の取得が行われる。すなわち、管理機能部33の取引情報取得部37が、電力会社14から送信された電力の販売情報を受信により取得する。
【0144】
ステップS602では、決済に環境価値トークンが使用されたか否かを判断する。すなわち、管理装置23の取引管理部39が、販売情報に環境価値トークンの消却情報が含まれていたか否かを判断する。消却情報が含まれていなかった場合、決済に環境価値トークンが使用されなかったと判断され、ステップS603へ移行する。一方、消却情報が含まれていた場合、決済に環境価値トークンが使用されたものと判断され、環境価値トークンの所有権は生じず、トークン所有権発生処理が終了する。
【0145】
ステップS603では、電力を購入したユーザー端末7のユーザーに対し環境価値トークンの所有権を発生させる。すなわち、管理機能部33の所有権発生部45は、電力の販売量に応じ、テーブル等を参照して環境価値トークンの所有権を発生させる。この所有権に関する所有権情報は、管理機能記憶領域29aに記憶されると共にノード機能部35に渡される。なお、環境価値トークン以外の決済方法で決済した部分については、ステップS603において環境価値トークンを発生させてもよい。
【0146】
[保存処理]
図12は、本実施例の情報の保存処理を示すフローチャートである。
図12のフローチャートは、管理システム5のノード機能部35により実行される。
【0147】
ステップS701では、情報の取得が行われる。ここで取得される情報は、ノード機能部35の情報記憶部51が、管理機能部33から情報を取得し、ノード機能部35の情報記憶部51が、管理機能部33から受け取った情報である。情報記憶部51は、受け取った情報をノード機能記憶領域29bに記憶する。なお、ステップS701は、ノード機能部35が管理機能部33から情報を受け取るたびに行われる。
【0148】
ステップS702では、情報のブロック化が行われる。すなわち、ノード機能部35のブロック生成部53が、所定のタイミングでノード機能記憶領域29bに記憶されている情報を集約してブロック化する。
【0149】
ステップS703では、ブロックチェーンの作成が行われる。すなわち、ノード機能部35のチェーン作成部55が、ブロック化されたデータを時系列につないだブロックチェーンデータを生成する。
【0150】
ステップS704では、ノード機能部35のブロードキャスト部57が、ブロックチェーンを複数のノード25にブロードキャストして保存させると共に、自身のノード機能記憶領域に記憶する。これにより、ブロックチェーンがトークン管理装置23と複数のノード25で共有される。
【0151】
[実施例1の効果]
以上説明したように、本実施例の環境価値付与システム1は、廃プラスチックを分解して油を生成する油化装置9と、油の生成量に応じて環境価値トークンを発行して管理するトークン管理装置である管理装置23を備え、管理装置23は、生成された油に関する取引情報を取得し、取得した取引情報に応じた油及び油から発生したエネルギーである電力の最終消費者に油又は電力の消費量に応じて環境価値トークンの所有権を発生させる。
【0152】
従って、最終消費者が、廃プラスチックの油化による油を消費した者及び油から発生した電力を消費した者の何れであっても、確実に油化に基づく環境価値トークンの所有権を与えることができる。結果として、廃プラスチックの油化に基づく環境価値を客観的に評価して付与することができる。
【0153】
また、本実施例の環境価値付与システム1は、油又は電力を取引可能とする最終消費者のユーザー端末7を備え、管理装置23は、油に関する取引情報としてユーザー端末7での油又は電力の取引量である販売量を取得し、販売量に応じて環境価値トークンの所有権をユーザー端末7の最終消費者に発生させる。
【0154】
従って、油又は電力を購入した最終消費者に対して確実に環境価値トークンの所有権を与えることができる。
【0155】
油化装置9が、複数の油化拠点にそれぞれ備えられ、環境価値付与システム1が、油の取引先に対して最も近い油化拠点から油を送るように管理する油管理装置としての管理装置23を備える。
【0156】
従って、本実施例では、グローバルな油販売網を容易に構築することができる。
【0157】
また、環境価値付与システム1は、油化装置9が備えられている油化拠点に備えられ、生成した油を消費して電力を発生させる発電装置11を備えている。
【0158】
従って、本実施例では、それぞれの油化拠点において廃プラスチックの油化から発生までを行わせることができ、油を得るか電力を得るかを適宜選択することで、資源の有効活用を図ることができる。
【0159】
本実施例のトークン管理装置としての管理装置23は、生成された油に関する取引情報を取得する取引情報取得部37と、取得した取引情報に応じた油又は電力の最終消費者に油又は電力の消費量に応じて環境価値トークンの所有権を発生させる所有権発生部45とを備える。
【0160】
従って、管理装置23は、廃プラスチックの油化に基づく環境価値を客観的に評価して付与することを容易に実現できる。
【0161】
トークン管理プログラムは、コンピューターに、生成された油に関する取引情報を取得する取引情報取得機能と、取得した取引情報に応じた油又は電力の最終消費者に油又は電力の消費量に応じて環境価値トークンの所有権を発生させる所有権発生機能と、を実現させる。
【0162】
従って、トークン管理プログラムは、汎用コンピューターを用いて、廃プラスチックの油化に基づく環境価値を客観的に評価して付与することを容易に実現できる。
【0163】
本実施例の環境価値付与方法は、油化装置9が、廃プラスチックを分解して油を生成し、トークン管理装置である管理装置23が、油の生成量に応じて環境価値トークンを発行し、生成された油に関する取引情報を取得して、取得した取引情報に応じた油又は電力の最終消費者に油又は電力の消費量に応じて環境価値トークンを発生させる。
【0164】
従って、環境価値付与方法は、油化装置9と管理装置23とを用い、廃プラスチックの油化に基づく環境価値を客観的に評価して付与することができる。
【0165】
[変形例]
実施例1では、管理装置23が取得した油に関する取引情報をそのまま用いて環境価値トークンの発生及び所有権の発生を行っていたが、ブロックチェーンを用いて環境価値トークンの発生及び所有権の付与を行ってもよい。
【0166】
すなわち、本変形例では、ノード機能部35がブロックチェーンを作成してブロードキャストする際に、管理機能部33にもブロックチェーンを渡す。
【0167】
管理機能部33は、ブロックチェーンを受け取ると、ブロックチェーン内の油に関する取引情報に基づいて環境価値トークンの発行及び所有権の発生を行わせる。また、ブロックチェーン内の環境価値トークンに関する情報に基づいて、環境価値トークンの移転や消却を行う。これらのブロックチェーンに対する処理の結果生じた情報は、管理機能部33からノード機能部35に渡される。なお、ブロックチェーンの処理が終わっているブロックは管理機能記憶領域29aに記憶しておく。
【0168】
このように本実施例では、ブロックチェーンの作成のタイミングで油に関する取引情報及び環境価値トークンに関する情報に基づく処理を行わせることができ、処理の簡素化を図ることができる。
【0169】
なお、本変形例では、管理機能部33が情報を管理機能記憶領域29aに記憶する場合と記憶しない場合(処理が終わっているブロックは記憶する)の双方に対応することができる。管理機能部33が情報を記憶しない場合は、記憶容量の圧迫を抑制することができる。
【0170】
このように、本変形例の環境価値付与システム1は、油に関する取引情報と環境価値トークンの情報とをブロック化し、このブロックを用いてブロックチェーンを形成するノードとしての管理装置23を備え、トークン管理装置としての管理装置23は、ブロックチェーンに基づいて最終消費者に環境価値トークンの所有権を発生させる。
【0171】
従って、本変形例では、処理の簡素化を図り、記憶容量の圧迫を抑制することができる。加えて、本変形例でも、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0172】
1 環境価値付与システム
7 ユーザー端末
9 油化装置
11 発電装置
23 管理装置(トークン管理装置、油管理装置、ノード)
25 ノード
37 取引情報取得部
45 所有権発生部