(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】段差解消スロープ
(51)【国際特許分類】
E04F 11/00 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
E04F11/00 100
(21)【出願番号】P 2020173783
(22)【出願日】2020-10-15
【審査請求日】2023-08-23
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 シンエイテクノ株式会社が発行した、2020年9月23日発行のシンエイテクノカタログ「ダイヤスロープ10+(テンプラス)」および2020年10月14日発行のシンエイテクノカタログ「ダイヤスロープ10+(テンプラス)」にて、シンエイテクノ株式会社が公開した。シンエイテクノ株式会社が、2020年10月1日に、株式会社ウェルファンに卸販売した。
(73)【特許権者】
【識別番号】500084108
【氏名又は名称】シンエイテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082429
【氏名又は名称】森 義明
(74)【代理人】
【識別番号】100162754
【氏名又は名称】市川 真樹
(72)【発明者】
【氏名】南條 潤二
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-120001(JP,A)
【文献】特開2017-101524(JP,A)
【文献】実開平04-009185(JP,U)
【文献】特開平07-102747(JP,A)
【文献】特開平11-044084(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0007787(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00
E04F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略楔形に形成され、建物の段差部分にその段差解消のためにその対向側面同士が接するように並べて配置される複数のスロープ分割体で構成された段差解消スロープであって、
第1のスロープ分割体の
対向側面と、該第1のスロープ分割体の
対向側面に対向する第2のスロープ分割体の対向側面とのいずれか一方に、係止凸部が形成され、
対向する他方に、前記係止凸部が挿入されて係合し、前記第2のスロープ分割体の対向側面と底面とに開口する係止凹溝が形成され、
前記係止凸部は、先端に行く程、その前後方向の幅が大となるよう
な略台形状に形成され、
前記係止凹溝は、前記係止凸部に合わせて奥端に行く程、その前後方向の内寸が大となるよう
な前記係止凸部と同じ形状の略台形状に形成され
、
前記係止凸部が形成されている前記対向側面は、前記底面に立てた垂線に対して前記係止凸部の突出方向とは逆の方に傾斜角度を以って傾斜した傾斜面であり、
前記係止凸部が形成されている前記対向側面に接する、前記係止凹溝が形成されている前記対向側面は、前記係止凸部が設けられた前記対向側面と合致する傾斜面であり、
前記係止凸部の先端部分の外面およびその両脇の外面は、前記係止凸部の上面側が底面側より小さい面積となるよう前記底面に立てた垂線に対して傾斜角度を以って内側に傾斜した傾斜面であり、
前記係止凹溝の奥端の内面およびその両脇の内面は、前記係止凸部の先端部分の外面およびその両脇の外面と合致する傾斜面であり、
前記係止凸部の上面と前記係止凹溝の天井面とが、前記スロープ分割体の登り口側に向って下り傾斜していることを特徴とする段差解消スロープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関の上り框や部屋の出入口といった建物の段差部分に設置してこれら段差を解消し、車椅子や介護用歩行器での段差部分の乗り越えを容易にする段差解消スロープの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関の上り框や部屋の出入口といった建物の段差部分に段差解消スロープと呼ばれる楔形の部材を設置して段差を解消し、車椅子や介護用歩行器(以下、「車椅子等」という。)での段差部分の乗り越えを容易にすることが一般に行われている。このような段差解消スロープの一例としては、例えば、特許文献1に示すようなものが知られている。
【0003】
この従来の段差解消スロープは、略楔形に形成されたゴム製の部材で、段差に隣接して配置される背面の上端から床面に接する前端に向かってなだらかに下り傾斜する踏面の上を車椅子等が通過することにより、段差を容易に乗り越えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案第3177598号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
段差解消スロープを使用する場所としては、上記のような玄関の上がり框、部屋の出入り口の敷居などに用いられる。処が、上がり框の幅や部屋の出入り口の開口幅には大小さまざまなものがある。
【0006】
このように広狭様々な段差場所に対応するには、これに応じた長さの段差解消スロープが必要であり、これに対応しようとすると製品数が大幅に増えてしまうという問題がある。そこで、1組の段差解消スロープで、複数の場所に対応できるような長さ調節可能な段差解消スロープの登場を待ち望むユーザーの声が多数あった。
【0007】
また、比較的重量のあるゴムを用いて大型の段差解消スロープを製造すると、持ち運びが出来ないほどの大重量となり、実用に適さないという問題もあった。
【0008】
このような対応として、段差解消スロープを複数に分割し、これらを適数個繋ぎ合わせて使用することが考えられるが、繋ぎ合わせた段差解消スロープ上を重い車椅子等が移動することもある。このような場合、その踏面が一枚物と同等の平面度を持ち、且つ、繋ぎ部分を車椅子等の車輪が移動しても繋ぎ合わせた部分が外れたり、変形したりしないだけの強度が要求されることから、今までこのような繋ぎ合わせ式の段差解消スロープは実用化されてこなかった。
【0009】
本発明は、かかる従来例の問題に鑑みてなされたもので、長短様々な幅の段差部分に対応でき、仮に長尺化してもコンパクトで持ち運びやすく、特に、繋ぎ部分の上を移動している車椅子等の荷重にも耐えることの出来る繋ぎ合わせ式の段差解消スロープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載した段差解消スロープ10は、複数のスロープ分割体を繋ぎ合わせて構成されたものである(
図10~
図12)。即ち、
略楔形に形成され、建物の段差部分Xにその段差解消のために、その対向側面12同士が接するように並べて配置される複数のスロープ分割体10a~10cで構成された段差解消スロープ10であって、
第1のスロープ分割体の
対向側面12と、該第1のスロープ分割体の
対向側面12に対向する第2のスロープ分割体の対向側面12とのいずれか一方に、係止凸部20が形成され、
対向する他方に、前記係止凸部20が挿入されて係合し、前記第2のスロープ分割体の対向側面12と底面13とに開口する係止凹溝30が形成され、
前記係止凸部20は、先端21に行く程、その前後方向の幅Wが大となるよう
な略台形状に形成され、
前記係止凹溝30は、前記係止凸部20に合わせて奥端31に行く程、その前後方向の内寸Wが大となるよう
な係止凸部20と同じ形状の略台形状に形成され
、
係止凸部20が形成されている前記対向側面12は、底面13に立てた垂線Sに対して係止凸部20の突出方向とは逆の方に傾斜角度αを以って傾斜した傾斜面であり、
係止凸部20が形成されている前記対向側面12に接する、係止凹溝30が形成されている前記対向側面12は、係止凸部20が設けられた前記対向側面12と合致する傾斜面であり、
係止凸部20の先端21部分の外面23およびその両脇の外面24は、係止凸部20の上面側が底面13側より小さい面積となるよう底面13に立てた垂線Sに対して傾斜角度α,βを以って内側に傾斜した傾斜面であり、
係止凹溝30の奥端31の内面33およびその両脇の内面34は、係止凸部20の先端21部分の外面23およびその両脇の外面24と合致する傾斜面であり、
係止凸部20の上面25と係止凹溝30の天井面35とが、スロープ分割体の登り口17側に向って下り傾斜していることを特徴とする。
【0011】
これにより、第1・第2のスロープ分割体を接続すると、係止凹溝30の天井面35である踏面側は踏面11で閉塞されているので、繋ぎ合わせた第1・第2のスロープ分割体の踏面11全体は、平坦な面となる。
そして、係止凹溝30と係止凸部20の係合は、係止凸部20では先端21に行く程、その前後方向の幅Wが大となるように形成され、係止凹溝30では係止凸部20に合わせて奥端31に行く程、その前後方向の内寸Wが大となるように形成されていること、及び、係止凸部20の係合は係止凹溝30の底面開口36から行われるので、この接合部分に車椅子等の荷重G力が加わったとしても脱落することがなく、これらの移動の妨げにならない。
【0014】
また、係止凸部20と係止凹溝30との係合は楔形となって係合力を強めることが出来、係合部分に上から荷重Gが掛っても外れることがない。
【発明の効果】
【0015】
これらの発明によれば、複数のスロープ分割体を接合するので、長短様々な長さの段差部分に対応でき、仮に長尺化してもコンパクトで持ち運びやすいという利点がある。しかもその接合は楔形を利用したものであるから、その上を移動している車椅子等の荷重にも耐えることの出来るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の1実施形態に係る段差解消スロープを示す斜視図である。
【
図5】本発明の2つのスロープ分割体を使用した場合の分解底面図である。
【
図6】本発明の2つのスロープ分割体を使用した場合の他の分解底面図である。
【
図7】本発明の2つのスロープ分割体を使用した場合の更に他の分解底面図である。
【
図9】本発明の係止凸部と係止凹溝の拡大平面図である。
【
図10】本発明の係止凸部と係止凹溝の係合前の部分拡大斜視図である。
【
図11】本発明の係止凸部と係止凹溝の係合時の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図示実施例に従って説明する。本段差解消スロープ10は、複数のスロープ分割体10a~10cで1組として構成され、その中から接続可能な2つ以上を選択して接続し、使用箇所の段差部分Xの長さに適合した長さとして使用する。
図1~
図3の実施例では、3つのスロープ分割体10a~10cが1組として示されているが、3つに限られるものではなく、
図5~
図7に示すように2つでも良いし、図示しないが4つ以上でも良い。
【0018】
また、
図4から分かるように、1組のスロープ分割体10a~10cでは、その端部に配置されるものと、内側に配置されるものがあるが、内側に配置されるものを第1のスロープ分割体10a、その右側に配置されるものを第2のスロープ分割体10b、その左側に配置されるものを第3のスロープ分割体10cとする。
【0019】
1組のスロープ分割体10a~10cから選択されるスロープ分割体は、係止凸部20と係止凹溝30とが雌雄一対として接続可能なものとなる。スロープ分割体同士の接合は、それぞれの対向する対向側面12にそれぞれ設けられた係止凸部20と係止凹溝30との係合によって行われる。
【0020】
1組のスロープ分割体10a~10cが3つの場合(
図1~
図4)を例に取ると、中央に配置される第1のスロープ分割体10aは横長で、一方の側面12には係止凸部20が設けられ、他方の側面12には係止凹溝30が設けられている。
【0021】
右端に設けられる第2のスロープ分割体10bは、横方向の長さが第1のスロープ分割体10aの横方向の長さよりも短く、第1のスロープ分割体10aの対向側面12に対向する対向側面12に係止凸部20が設けられ、他方の側面は平坦面に仕上げられている。
【0022】
左端に設けられる第3のスロープ分割体10cは、横方向の長さが第2のスロープ分割体10bの横方向の長さより更に短く、その一方の側面は平坦面に仕上げられ、第1のスロープ分割体10aの対向側面12に対向する対向側面12に係止凹溝30が設けられている。図では、中央に配置される第1のスロープ分割体10aは1つであるが、2以上としてもよい。
【0023】
スロープ分割体10a~10cの側面形状は、上記のように楔状で、スロープ分割体10a~10cの勾配θ(踏面11と底面13とが成す角。
図1参照)は、車椅子等での乗り越えやすい角度(例えば、10~15度の範囲)に設定され、本実施例では14度に設定されている。そして、前面14と底面13との成す角度は直角に近い鋭角に形成され、段差部分Xに接して配置された場合、前面14の踏面11側がこれに接し、底面13側がこれから僅かに離れることになる。
【0024】
なお、踏面11には、それぞれダイヤ柄の凹凸11dがその全面にわたって形成され(
図1の円内参照)、且つ長手方向全長に亙って浅い溝16が複数本(ここでは4本)、所定間隔で刻設されている。
【0025】
段差解消スロープ10の高さH(
図1)は、上記のように段差Xの高さと同じか或いはやや低めに設定され、本実施例では3cmに設定されている。段差解消スロープ10の底面13(
図3)には、肉盗みの凹穴15が多数縦横に多行多列で形成されている。
【0026】
選択されるスロープ分割体が3個の場合を
図1~
図4に示し、2個の場合を
図5~
図7に示す。選択されるスロープ分割体が3個の場合、一方の対向側面12に係止凸部20、反対側の対向側面12に係止凹溝30が設けられている第1のスロープ分割体10aと、一方の対向側面12に係止凸部20が設けられている第2のスロープ分割体10b、及び一方の対向側面12に係止凹溝30が設けられている第3のスロープ分割体10cを選択する。そして、第1のスロープ分割体10aの係止凹溝30に第2のスロープ分割体10bの係止凸部20を嵌め込み、続いて第1のスロープ分割体10aの係止凸部20を第3のスロープ分割体10cの係止凹溝30に嵌め込み、最長の1本の段差解消スロープ10とする。
【0027】
選択されるスロープ分割体が2個の場合で、
図5に示す組合せは、第1のスロープ分割体10aと第2のスロープ分割体10bとが選択され、第2のスロープ分割体10bの係止凸部20が第1のスロープ分割体10aの係止凹溝30に嵌め込まれ、2番目の長さの段差解消スロープ10となる。第1のスロープ分割体10aの係止凸部20は用いられないので、必要に応じて切除される。切除ラインをLで示す。
【0028】
図6の場合は、第1のスロープ分割体10aと第3のスロープ分割体10cとが選択され、第1のスロープ分割体10aの係止凸部20が第3のスロープ分割体10bの係止凹溝30に嵌め込まれ、3番目の長さの段差解消スロープ10となる。
【0029】
図7の場合は、第2のスロープ分割体10bと第3のスロープ分割体10cとが選択され、第2のスロープ分割体10aの係止凸部20が第3のスロープ分割体10bの係止凹溝30に嵌め込まれ、最も短い長さの段差解消スロープ10となる。
【0030】
図8~
図12に従って、スロープ分割体に設けられる係止凸部20と係止凹溝30に付いて説明する。係止凸部20は、スロープ分割体の対向側面12に本実施例では複数(ここでは3箇所)に凸設されている。
図8から分かるように、楔形のスロープ分割体の前面14側は肉が厚く、後端の登り口17側は薄いので、これに合わせてスロープ分割体の前面14側の係止凸部20は大きくて厚肉に作られ、登り口17側に向かって順次小さく且つ薄肉に作られる。ただし、側面12からの突出長さTは同じ長さに作られている。係止凸部20の上面25は踏面1と平行に形成されているので、各上面25は底面13に対して登り口17側に向かって下り傾斜している。
【0031】
係止凸部20の平面形状は、
図9に示すように台形状で、対向側面12に接する基部22が細く、先端21に向かう程幅広になる台形状に形成されている。
【0032】
係止凸部20が形成されている対向側面12は、
図12から分かるように、底面13に立てた垂線Sに対して係止凸部20の突出方向とは逆の方に傾斜角度αで傾斜した斜面となっている。そして、係止凸部20の先端21部分の外面23も、上記傾斜角度αで傾斜した斜面(係止凸部20が形成されている傾斜した対向側面12)に平行な斜面となっている。
【0033】
係止凸部20の両脇の外面24も底面13に立てた垂線Sに対して傾斜角度βで内側に傾斜している。換言すれば、底面13より上面25の前後方向の幅Wが狭くなるように内側に傾斜している。傾斜角度βは傾斜角度αと等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0034】
また、係止凸部20の上面25は、踏面11より段状に低く形成されている。この段差をDで表す。係止凸部20の底面は、スロープ分割体の底面13と面一に形成されている。
【0035】
係止凹溝30は、上記係止凸部20と同じ間隔、同じ位置且つ同じ形状で複数(ここでは3箇所)に凹設されている。
図8から分かるように、スロープ分割体の肉が厚い前面14側は大きくて深く作られ、登り口17側に向かって順次小さく且つ浅くに作られる。ただし、対向側面12からの掘り込み深さは係止凸部20と同じに作られている。係止凹溝30が開口している対向側面12は、上記係止凸部20が設けられた
対向側面12と合致する傾斜面とされている。
【0036】
係止凹溝30の形状は、上記のように係止凸部20と同一に作られ、その平面形状は、
図9に示すように台形状で、側面12の開口部分32が細く、奥端31に向かう程幅広になるように形成されている。そして、その奥端31の内面33は、係止凸部20に合わせて底面13側から踏面11側に向けて内側に若干傾斜するように形成されている。係止凹溝30の天井面35は踏面11で閉塞されており、この部分(閉塞踏面部分)の厚さをDで表す。踏面閉塞部分の厚さDと係止凸部20の段差Dとは同じ大きさである。係止凹溝30の底面は、スロープ分割体の底面13に開口している。この部分を底面開口36とする。
【0037】
係止凸部20と係止凹溝30は上記のような形状であるから、係止凹溝30の底面開口36から係止凸部20が挿入され、一体的に係合する。係止凹溝30に係止凸部20が一体的に係合されると、係合された両スロープ分割体の踏面11、底面13、前面14、登り口17は面一で一致し、その対向側面12は隙間なく接触する。
【0038】
以上のように構成された段差解消スロープ10を使用する際は、
図1に示すように、段差解消スロープ10の前面14を段差部分Xの垂直面に押し当てるようにして段差解消スロープ10を段差部分Xのコーナー部分に配置する。
【0039】
床面Cに僅かな凹凸があるなどの理由で段差解消スロープ10の底面13と床面Cとの間に隙間が生じることがあるが、段差解消スロープ10が弾性を有するゴム材でできているので、段差解消スロープ10の底面13が床面Cの形状に沿うことで隙間が埋まり、ガタツキが解消される。また、踏面11にはダイヤ柄の凹凸11dがその全面にわたって形成され、浅い溝16が全長に亙って刻設されているので、高い滑り止め効果を得ることができる。
【0040】
敷設された段差解消スロープ10上を重量のある車椅子が移動した場合、車輪が係合箇所の上を通る場合がある。この場合、車輪は大きな荷重Gを係合箇所に与える。係止凸部20は、その上面25側が底面13側より小さい面積となるように、外面23・24を傾斜面とし、係止凹溝30の内面33・34もこれに合致する傾斜面としてあるので、この荷重Gによって係止凹溝30に係止凸部20があたかも楔様に押し込まれ、両者の係合をより強固にする。
【0041】
また、係止凸部20と係止凹溝30とが係合している対向側面12も垂線Sに対して傾斜しているので、一方の対向側面12に対してその上から被さっている対向側面12側のスロープ分割体に上記荷重Gが加わった場合、一方の対向側面12に対してその上から被さっている対向側面12が僅かに下方にずれ、
図12に示すように、係止凹溝30側が係止凸部20側を押圧して係止凸部20を係止凹溝30内に押し込むようになる。
【0042】
逆に、一方の対向側面12のスロープ分割体に上記荷重Gが加わった場合、上から被さっている対向側面12に対して上記一方の側面12が僅かに下方にずれ、上から被さっている側面12に対して僅かに離間する方向に変形するが、これによって係止凸部20を係止凹溝30から引き抜く方向に力が掛かるが、係止凸部20と係止凹溝30が台形の形であるから、係止凸部20が狭い側面開口32に押し付けられ、上記同様、両者の結合を高める。
【0043】
加えて、係止凸部20の上面25と係止凹溝30の天井面35が、スロープ分割体の登り口17方向に傾斜しているので、荷重Gの加わったスロープ分割体の係止凹溝30(係止凸部20)は、隣り合うスロープ分割体の係止凸部20(係止凹溝30)に対して登り口17方向に僅かに変形しようとし、前面14(登り口17)側の脇側外面24同士が押圧され、上記同様、両者の結合を高める。
【0044】
これにより、設置場所に合わせて複数のスロープ分割体を接合し、1つの段差解消スロープ10と使用しても接合部での弱点が克服され、実用化できた。
【符号の説明】
【0045】
10:段差解消スロープ、10a・10b・10c:スロープ分割体、11:踏面、11d:ダイヤ柄の凹凸、12:(対向)側面、13:底面、14:前面、15:凹穴、16:浅い溝、17:登り口、20:係止凸部、21:先端、22:基部、23:先端の外面、24:脇の外面、25:上面、30:係止凹溝、31:奥端、32:側面の開口部、33:奥端の内面、34:脇の内面、35:天井面、36:底面開口、C:床面、D:段差(厚さ)、G:荷重、H:高さ、L:切除ライン、S:垂線、T突出長さ、W:前後方向の幅(内寸)、X:段差部分、α・β:傾斜角度、θ:勾配