(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/35 20060101AFI20241210BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20241210BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20241210BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61K8/35
A61K8/34
A61K8/44
A61Q11/00
(21)【出願番号】P 2020216090
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】391066490
【氏名又は名称】日本ゼトック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】坂口 梨沙子
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 みずき
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-119636(JP,A)
【文献】特開2005-343834(JP,A)
【文献】特表2016-507534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61P 1/00-43/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンフルと、
フェノール系抗菌剤と、
ベタイン系界面活性剤と、を含み、
前記カンフルの含有量が、0.05~5質量%であり、
前記フェノール系抗菌剤の含有量が、0.0005~2質量%であり、
前記ベタイン系界面活性剤の含有量が、0.01~20質量%であ
り、
前記フェノール系抗菌剤がイソプロピルメチルフェノールである口腔用組成物。
【請求項2】
前記カンフルの含有量を1質量部としたとき、前記フェノール系抗菌剤の含有量が、1/10000質量部以上40質量部以下である請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
前記カンフルの含有量を1質量部としたとき、前記ベタイン系界面活性剤の含有量が、1/500質量部以上400質量部以下である請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
前記ベタイン系界面活性剤がコカミドプロピルベタインである請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
バイオフィルム抑制剤である請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
う蝕や歯周病をもたらす原因の一つにバイオフィルムがある。バイオフィルムは、菌膜とも呼ばれ、細菌などの微生物により形成される構造体である。バイオフィルムとは、一般に、菌体外多糖からなるグリコカリックスに覆われた細菌の凝集塊が物質表面にフィルム上に付着したものである。バイオフィルムは、表面にバリア機能を有するため、抗菌剤がバイオフィルムの深部に浸透しづらく、従来の抗菌剤だけではバイオフィルムの中の細菌まで殺菌することは困難であった。
【0003】
そこで、バイオフィルムへの高い浸透効果を発揮する口腔用組成物の開発が種々行われている(例えば、特許文献1~3参照)。
特許文献1~3には、バイオフィルムの殺菌成分のひとつとして、イソプロピルメチルフェノールを用いた製剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-098919号公報
【文献】特開2012-131769号公報
【文献】特開2013-245187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の口腔用組成物では、バイオフィルムに対する浸透殺菌作用の向上はいまだ十分とはいえず、高い浸透殺菌作用を備える口腔用組成物が求められている。
【0006】
そこで、本発明では、バイオフィルムに対して、高い浸透殺菌作用を備える口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る口腔用組成物は、カンフルと、
フェノール系抗菌剤と、
ベタイン系界面活性剤と、を含み、
前記カンフルの含有量が、0.05~5質量%であり、
前記フェノール系抗菌剤の含有量が、0.0005~2質量%であり、
前記ベタイン系界面活性剤の含有量が、0.01~20質量%であり、
前記フェノール系抗菌剤がイソプロピルメチルフェノールである。
【0008】
また、本発明に係る口腔用組成物では、前記カンフルの含有量を1質量部としたとき、前記フェノール系抗菌剤の含有量が、1/10000質量部以上40質量部以下であることが好ましい。
また、本発明に係る口腔用組成物では、前記カンフルの含有量を1質量部としたとき、前記ベタイン系界面活性剤の含有量が、1/500質量部以上400質量部以下であることが好ましい。
【0009】
また、本発明に係る口腔用組成物では、前記ベタイン系界面活性剤がコカミドプロピルベタインであることが好ましい。
また、本発明に係る口腔用組成物では、バイオフィルム抑制剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バイオフィルムに対して、高い浸透殺菌作用を備える口腔用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の口腔用組成物の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る口腔用組成物は、カンフルと、フェノール系抗菌剤と、ベタイン系界面活性剤と、を含んでなるものである。
また、本発明に係る口腔用組成物は、カンフルの含有量が、0.05~5質量%であり、フェノール系抗菌剤の含有量が、0.0005~2質量%であり、ベタイン系界面活性剤の含有量が、0.01~20質量%である点に特徴を有している。
上記各成分が上記所定量含有することにより、バイオフィルム内への浸透性が向上し、効果的にバイオフィルムを殺菌除去することができる。
【0012】
なお、本明細書中における口腔用組成物は、練歯磨剤、粉歯磨剤、液状歯磨剤、液体歯磨剤などの歯磨剤類、トローチ剤、錠剤、クリーム剤、軟膏剤、貼付剤、洗口剤、及びチューインガム等を含むものである。
【0013】
<カンフル>
本発明に係る口腔用組成物には、カンフルが含まれている。
カンフルは、血行促進作用、鎮痛作用、消炎作用などの作用を有する成分である。
カンフルとしては、d-カンフル、dl-カンフルが挙げられ、これら単独、または、その混合物を用いることができる。
【0014】
カンフルの含有量は、0.05~5質量%であるが、0.1~2質量%であることが好ましく、0.3~1質量%であることがより好ましい。これにより、バイオフィルムに対する浸透殺菌作用をより効果的に発揮させることができる。
【0015】
<フェノール系抗菌剤>
本発明に係る口腔用組成物には、フェノール系抗菌剤が含まれている。
フェノール系抗菌剤は、バイオフィルムに対して抗菌・殺菌作用を有する成分である。
フェノール系抗菌剤としては、例えば、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ヒノキチオール、チモール等が挙げられ、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、バイオフィルムに対する殺菌性が特に高いことから、イソプロピルメチルフェノールを用いることが好ましい。
【0016】
フェノール系抗菌剤の含有量は、0.0005~2質量%であるが、0.01~1質量%であることが好ましく、0.02~0.1質量%であることがより好ましい。これにより、バイオフィルムに対する浸透殺菌作用をより効果的に発揮させることができる。
【0017】
また、上述したカンフルの含有量を1質量部としたとき、フェノール系抗菌剤の含有量は、1/10000質量部以上40質量部以下であるのが好ましく、1/200質量部以上10質量部以下であるのがより好ましく、1/50質量部以上1/3質量部以下であるのがさらに好ましい。カンフルとの含有量の比率が上記範囲であると、フェノール系抗菌剤(特にイソプロピルメチルフェノール)のバイオフィルムへの浸透性が増すとともに、バイオフィルムへの殺菌性もさらに高いものとすることができる。
【0018】
<ベタイン系界面活性剤>
本発明に係る口腔用組成物には、さらに、ベタイン系界面活性剤が含まれている。
ベタイン系界面活性剤は、両性界面活性剤の一種である。
ベタイン系界面活性剤としては、例えば、コカミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N-ラウリルジアミノエチルグリシン、N-ミリスチルジアミノエチルグリシン、N-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウム等が挙げられ、これらの内の1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、コカミドプロピルベタインを用いることが好ましい。これにより、バイオフィルムに対する殺菌性をさらに向上させることができる。
【0019】
ベタイン系界面活性剤の含有量は、0.01~20質量%であるが、0.1~10質量%であることが好ましく、0.4~5質量%であることがより好ましい。これにより、バイオフィルムに対する浸透殺菌作用をより効果的に発揮させることができる。
【0020】
また、上述したカンフルの含有量を1質量部としたとき、ベタイン系界面活性剤の含有量は、1/500質量部以上400質量部以下であるのが好ましく、1/20質量部以上100質量部以下であるのがより好ましく、2/5質量部以上50/3質量部以下であるのがさらに好ましい。カンフルとの含有量の比率が上記範囲であると、バイオフィルムへの殺菌性をさらに高いものとすることができる。
【0021】
<その他の成分>
本発明の口腔用組成物には、その剤型等に応じて、種々の成分を配合してもよい。例えば、本発明の口腔用組成物を練歯磨剤に適用した場合、研磨剤、湿潤剤、粘結剤、発泡剤、甘味剤、防腐剤、香料成分、薬用成分等を配合することができる。
研磨剤としてシリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ゼオライト、アルミノシリケート、ジルコノシリケート等のシリカ系研磨剤、結晶セルロース、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、合成樹脂研磨剤等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
研磨剤の配合量は、特に限定されないが、3~60質量%が好ましく、10~45質量%であるのがより好ましい。
【0022】
湿潤剤として、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、マルチトール、還元水あめ、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、キシロース、トレハロース、グルコース、ラクトース、マンノース、マルトース、フルクトース、イノシトール、ペンタエリスリトール、マルトトリオース、澱粉分解糖、澱粉分解糖還元アルコール等の多価アルコール等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
湿潤剤の配合量は、特に限定されないが、1~60質量%が好ましく、5~50質量%であるのがより好ましい。
【0023】
粘結剤として、カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウムなどアルギン酸及びその誘導体、キサンタンガム、グァーガム、ゼラチン、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
粘結剤の配合量は、特に限定されないが、0.1~5.0質量%が好ましく、0.5~3.0質量%であるのがより好ましい。
【0024】
発泡剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、N-アシルグルタメートなどのN-アシルアミノ酸塩、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
発泡剤の配合量は、特に限定されないが、0.1~10.0質量%が好ましく、0.5~5.0質量%であるのがより好ましい。
【0025】
甘味剤として、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、トレハロース、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
甘味剤の配合量は、特に限定されないが、0.005~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%であるのがより好ましい。
【0026】
防腐剤として、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなどのパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。
防腐剤の配合量は、その種類等によって異なるが、0.005~5.0質量%であるのが好ましく、0.01~3.0質量%であるのがより好ましい。
【0027】
香料成分として、l-メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、シンナミックアルデヒド、トランス-2-ヘキセナールなどの中から1種又は2種以上を併用することができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油などを用いてもよい。
また、上記香料成分に加えて、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトンなどの香料成分、精油を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。上記香料の配合量は、0.02~2質量%の範囲が一般的である。
【0028】
また、本発明の口腔用組成物には、上記のほか、更なる有効成分を配合してもよい。そのような有効成分として塩化リゾチーム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼオライト、アスコルビン酸、アスコルビン酸塩類、クロルヘキシジン塩類、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化デカリニウム、ビサボロール、アスコルビン酸および/またはその誘導体、酢酸トコフェロール、ε-アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アルミニウムヒドロキシルアラントイン、乳酸アルミニウム、硝酸カリウム、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、塩酸ピリドキシン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を配合することができる。
【0029】
また、上述した成分の他にも、例えば、青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、エデト酸塩等のキレート剤、チャエキス、チャ乾留液等の矯味剤等を含んでいてもよい。
【0030】
また、本発明の口腔用組成物には、上記のほか、生薬抽出物を配合してもよい。
生薬抽出物としては、例えば、生薬エキスの例として、カミツレエキス、カノコソウエキス、ナツメエキス、ホップエキス、ラメンダーエキス、リンデンエキス、カリンエキス、キンギンカエキス、クマザサエキス、グミエキス、チョウジエキス、デンシチニンジンエキス、サルビアエキス、ムクロジエキス、キキョウエキス、ジオウエキス、シャクヤクエキス、サンザシエキス、トウキエキス、チャエキス、ウラジロガシエキス、オオバクエキス、シラカバエキス、ニンジンエキス、アセンヤクエキス、ウコンエキス、ローズマリーエキス等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上述した成分の他にも、例えば、青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、チャ乾留液、グルタミン酸ナトリウム等の矯味剤等を含んでいてもよい。
【0031】
本発明の口腔用組成物は、常法に準じて製造することができ、その製法は特に限定されるものではない。
また、得られた練歯磨剤等の組成物は、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、ガラス蒸着チューブ、プラスチックチューブ、プラスチックボトル、エアゾール容器等に充填して使用することができる。
【0032】
以上、本発明の口腔用組成物について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の口腔用組成物には、前述した成分の他に、任意の機能を有する成分を配合することができる。
【実施例】
【0033】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.口腔用組成物の製造
(実施例1~4、比較例1~8)
表1に示す成分を表1に示す配合量となるように調製し、液状の口腔用組成物を常法に準じて製造した。
【0034】
各実施例及び各比較例の配合成分、配合量等を表1に示す。
なお、表中、イソプロピルメチルフェノールをIMP、塩化セチルピリジニウムをCPC、コカミドプロピルベタインをCPBと示した。
【0035】
【0036】
2.バイオフィルム浸透殺菌試験
[バイオフィルムの作製]
ストレプトコッカス ミュータンス(Streptococcus mutans JCM5705)をSCD培地にて、24時間32.5℃で前培養し前培養菌液を得た。得られた前培養菌液を、菌数が107CFU/mLとなるように1%スクロース含有SCD培地に添加して培養菌液を得て、当該培養菌液を24ウェルプレートに2mLずつ播種した。播種した培養杵機を48時間37℃で嫌気培養し、バイオフィルムを得た。
【0037】
[バイオフィルム浸透殺菌試験]
作製したバイオフィルムを0.01mL/Lリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄し、浮遊菌を取り除いた。各実施例及び各比較例の口腔用組成物2mLを24ウェルプレートのバイオフィルムに添加後、10分間放置し、上清液を全て吸い取って除去した後、残渣にLP希釈液を2mL添加し、超音波ホモジナイザーにかけてウェルプレートからバイオフィルムを剥離した。剥離したバイオフィルムを含む菌液1mLをLP希釈液9mLにて段階希釈し、得られた菌液の希釈液1mLをTSA培地に塗抹し、混釈培養法にて生菌数を求めた。ここで、混釈培養法は、試料液と寒天培地とをシャーレの中で混和凝固させ、32.5℃、好気条件下で培養し、培養後発生したコロニー数を目視により測定し、乗数をかけて生菌数とした。
【0038】
試験結果を表1に合わせて示した。
表1の比較例1~4の試験結果から解るように、より、コカミドプロピルベタイン単独、およびコカミドプロピルベタインとdl-カンフルまたはイソプロピルメチルフェノールとの2種では、浸透殺菌効果が認められなかった。
一方、実施例1~4及び比較例5~8の試験結果から解るように、dl-カンフル・イソプロピルメチルフェノール・コカミドプロピルベタインの3種類を本願規定の量で添加することで、浸透殺菌作用が発揮されることが認められた。
また、比較例8の試験結果から解るように、イソプロピルメチルフェノールの代わりにカチオン系殺菌剤である塩化セチルピリジニウムを用いた場合には、浸透殺菌効果は認められなかった。