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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 23/00 20150101AFI20241210BHJP
   F21S 8/08 20060101ALI20241210BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241210BHJP
【FI】
F21V23/00 160
F21S8/08 100
F21Y115:10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021032325
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133572
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河上 亮大
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-077330(JP,A)
【文献】特開2017-016805(JP,A)
【文献】特開2012-119071(JP,A)
【文献】登録実用新案第3182434(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0265766(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00-99/00
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子の発光によって被照明部を照明する照明器具であって、
下面に開口部が形成された内部空間を有し、後部に柱状の支持体に設置される取付部を有し、後部から先端側に向けて長い形状に形成された本体と、基板の下側面に発光素子が配置され前記開口部に沿って配置される発光部と、前記内部空間に配置され前記本体の後部壁を貫通する電線により外部電力が供給される電源回路を有する電気回路ユニットと、前記本体の開口部を覆うように前記本体に取り付けた透光性カバーを備え、
前記本体の天井壁と一体形成にて前記内部空間へ突出する少なくとも3か所の電線当接部が前記本体の前後方向に間隔を存して配置され前記電線の途中が前記電線当接部に当接して山状に屈曲する電線配置通路が、前記本体の天井壁と前記電気回路ユニットとの共同にて形成され、
前記電線配置通路からの前記電線の下方への離脱を防止するように、前記電気回路ユニットが前記電線当接部の下部に当接又は近接し前記電線配置通路を下方から覆い、
前記電線が外方に向けて引っ張られたとき、前記電線が前記電線当接部に圧接し、前記電線の移動が抑止されることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
発光素子の発光によって被照明部を照明する照明器具であって、
本体内の内部空間に配置され電線により外部電力が供給される電源回路を備え、
少なくとも3か所の電線当接部が間隔を存して配置され前記電線の途中が前記電線当接部に当接して山状に屈曲する電線配置通路が、前記本体の前記内部空間側に形成され、
前記電線当接部は、前記内部空間に突出するボス、リブ、突起又はこれらの組み合わせにより構成され、
3か所の前記電線当接部は、復元力を有する合成樹脂により形成されるとともに、それぞれ向い合う先端部に所定の電線挿入間隔を存して向かい合う係止片が一体形成され、
前記電線挿入間隔は、電線の直径よりも若干短い寸法となっていることにより、前記電線が前記電線挿入間隔を押し広げつつ前記電線配置通路に押し込まれて収容されるよう構成されており、
前記電線が外方に向けて引っ張られたとき、前記電線が前記電線当接部に圧接し、前記電線の移動が抑止されることを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)等の発光部の発光によって被照明部を照明する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
防犯灯や道路灯等の照明器具として、上面部および周囲の側面部を有し下面に開口部が形成され、後部の基端側に電柱やポールなどに設置される取付部を有し、この基端側から先端側にかけて長い形状に形成された筐体と、基板の前側の下側面に実装された発光素子を有し前記筐体の開口部側に沿って配置された光源ユニットと、前記基板の後側の上側面で前記筐体内の空間領域に配置された電源回路と、前記筐体の開口部を覆うように前記筐体に取り付けた透光性カバーを備え、電源回路へは、前記筐体の後壁に取り付けたブッシングを貫通する電線によって交流電源が供給されるものがある(特許文献1)。
【0003】
この照明器具は、電源回路が交流電力を直流電力に変換し、照度センサが検出する照明器具周囲の明るさが所定の暗さ状態において、前記直流電力が前記発光素子に供給されて点灯し、所定の明るさ状態において前記発光素子への前記直流電力の供給を停止して前記発光素子が消灯するよう動作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019―212646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のものは、特に電線が後方へ引っ張られた時の電線の抜け止め対策が開示されていない。
一般に、電線は電源回路へ着脱可能なコネクタによって接続されているため、照明器具をポールや電柱等へ取り付ける作業中に外側へ引っ張られた場合や、照明器具をポールや電柱等へ取り付けた状態で電線が強風や積雪にて外側へ引っ張られる作用力が働いて、電線が筐体の後方へ引っ張られた場合、そのコネクタが外れ照明器具への電力供給が絶たれる状態となる。
【0006】
このようなことを防止するために、従来は、結束バンドによって筐体内で電線をループ状等に束ね、筐体から抜けないようにすることや、筐体内に電線を特別な張力止め部品に取り付け、これによって電線の抜け止めを行っている。
この場合、結束バンドによる結束作業や、張力止め部品への電線の取り付けや筐体への張力止め部品の取付作業等が必要となり、作業工数の増加やコストアップとなる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑み、結束バンドや特別な張力止め部品を必要とせずに、少しの工夫を筐体に行うことにより、電線が引っ張られた時の抜け止めを達成するものである。
そのため、筐体の内面に、筐体(本体)と電気回路ユニットとの共同によって、電線が屈曲状態の配置となる電線配置通路を形成する。その一つの手段として、筐体の内面に電線が屈曲状態の配置となる係止部を一体形成し、電線が引っ張られることにより、この係止部の側面の圧接部に電線が圧接されて引張り方向抵抗が増大し、それによって電線の引張りによる移動を抑止できるようにする。
また、この電線配置通路に配置した電線の保持に、結束バンドや特別な張力止め部品を追加することなく行える構成を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明の照明器具は、
発光素子の発光によって被照明部を照明する照明器具であって、
本体内の内部空間に配置され電線により外部電力が供給される電源回路を備え、
少なくとも3か所の電線当接部が間隔を存して配置され前記電線の途中が前記電線当接部に当接して山状に屈曲する電線配置通路が、前記本体の前記内部空間側に形成され、
前記電線が外方に向けて引っ張られたとき、前記電線が前記電線当接部に圧接し、前記電線の移動が抑止されることを特徴とする。
【0009】
第2の本発明の照明器具は、
発光素子の発光によって被照明部を照明する照明器具であって、
本体内の内部空間に配置され電線により外部電力が供給される電源回路を有する電気回路ユニットを備え、
少なくとも3か所の電線当接部が間隔を存して配置され前記電線の途中が前記電線当接部に当接して山状に屈曲する電線配置通路が、前記本体と前記電気回路ユニットとの共同によって形成され、
前記電線が外方に向けて引っ張られたとき、前記電線が前記電線当接部に圧接し、前記電線の移動が抑止されることを特徴とする。
【0010】
第3の本発明の照明器具は、
下面に開口部が形成された内部空間を有し、後部に電柱やポール等の支持体に設置される取付部を有し、後部から先端側に向けて長い形状に形成された本体と、基板の下側面に発光素子が配置され前記開口部に沿って配置される発光部と、前記内部空間に配置され前記本体の後部壁を貫通する電線により外部電力が供給される電源回路を有する電気回路ユニットと、前記本体の開口部を覆うように前記本体に取り付けた透光性カバーを備え、
少なくとも3か所の電線当接部が間隔を存して配置され前記電線の途中が前記電線当接部に当接して山状に屈曲する電線配置通路が、前記本体の天井壁と前記電気回路ユニットとの間に形成され、
前記電線当接部が前記本体に形成され、前記電気回路ユニットが前記電線当接部の下部に当接又は近接し前記電線配置通路を覆うことを特徴とする。
【0011】
第4の本発明の照明器具は、
発光素子の発光によって被照明部を照明する照明器具であって、
下面に開口部が形成された内部空間を有し、後部に電柱やポール等の支持体に設置される取付部を有し、後部から先端側に向けて長い形状に形成された本体と、基板の下側面に発光素子が配置され前記開口部に沿って配置される発光部と、下側に電源回路が取り付けられた電源取付体と、前記本体の後部壁を貫通して前記電源回路へ外部電力を供給する電線と、前記本体の開口部を覆うように前記本体に取り付けた透光性カバーを備え、
少なくとも3か所の電線当接部が間隔を存して配置され前記電線の途中が前記電線当接部に当接して山状に屈曲する電線配置通路が、前記本体の天井壁と前記電源取付体との間に形成され、
前記電線当接部が前記本体に形成され、前記電源取付体が前記電線当接部の下端部に当接又は近接し前記電線配置通路を覆うことを特徴とする。
【0012】
第5の本発明の照明器具は、
下面に開口部が形成された内部空間を有し、後部に電柱やポール等の支持体に設置される取付部を有し、後部から先端側に向けて長い形状に形成された本体と、基板の下側面に発光素子が配置され前記開口部に沿って配置される発光部と、前記内部空間に配置され前記本体の後部壁を貫通する電線により外部電力が供給される電源回路を有する電気回路ユニットと、前記本体の開口部を覆うように前記本体に取り付けた透光性カバーを備え、
少なくとも3か所の電線当接部が間隔を存して配置され前記電線の途中が前記電線当接部に当接して山状に屈曲する電線配置通路が、前記本体の天井壁と前記電気回路ユニットとの間に形成され、
前記電線当接部は、前記本体の天井壁と前記電気回路ユニットの上面とに形成された電線当接部の組み合わせで形成されたことを特徴とする。
【0013】
第6の本発明の照明器具は、前記第1乃至第5発明のいずれかにおいて、
前記電線当接部は、前記内部空間に突出するボス、リブ、突起又はこれらの組み合わせであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、電線の途中が電線当接部に当接して山状に屈曲する電線配置通路が本体と電気回路ユニットとの間に形成されるため、電気回路ユニットを利用した新規な電線配置通路の形成ができると共に、電線配置通路に配置された電線が引っ張られたとき、その電線が電線当接部に圧接されて引張り方向抵抗が増大し、それによって電線の引張りが抑止できるようになり、電源回路への電力供給状態を安定的に維持できるものとなる。
【0015】
本発明では、本体と電気回路ユニットとの共同によって形成される電線配置通路は、その中に収容された電線の離脱が本体へ組み合わされる電気回路ユニットによって防止される構成であるため、電線配置通路からの電線の離脱防止部材を特別に取り付ける等の必要がない。
このように、電線当接部により電線の引張りが抑制と共に、電線配置通路からの電線の離脱が電気回路ユニットによって達成できるため、特別に結束バンドや特別な張力止め部品を用いる必要がない。また、電線配置通路が取り付け部外にあるため、電線当接部への電線の配置作業がし易い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る照明器具の一つとして防犯灯や道路灯と称する照明器具の分解斜視図である。
図2図1の照明器具の本体、電気回路ユニット、発光部及び透光性カバーの組み合わせ状態を説明する部分断面による分解側面図である。
図3図1の照明器具の下面図である。
図4図3のA―A矢視断面図である。
図5図3のB―B矢視断面図である。
図6図1の照明器具の組み立て状態において透光性カバーを外した状態の本体部分の側面図である。
図7図6のC―C矢視断面図である。
図8図1の照明器具における電線配置通路と電気回路ユニットの関係を説明するための縦断側面図である。
図9図1に示す照明器具の一つである防犯灯の外観斜視図である。
図10】本発明に係る電線配置通路の他の形態を示す説明図である。
図11】本発明に係る電線配置通路の更に他の形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の照明器具は、発光素子の発光によって被照明部を照明する照明器具であって、本体内の内部空間に配置され電線により外部電力が供給される電源回路を備え、少なくとも3か所(三つ)の電線当接部が間隔を存して配置され前記電線の途中が前記電線当接部に当接して山状に屈曲する電線配置通路が、前記本体の前記内部空間側に形成され、前記電線が外方に向けて引っ張られたとき、前記電線が前記電線当接部に圧接し、前記電線の移動が抑止されるものである。
その一つとして、本体内の内部空間に配置され電線により外部電力が供給される電源回路を有する電気回路ユニットと前記本体との共同によって、前記電線が外方に向けて引っ張られたときその引張りによる電線の移動が抑止される電線配置通路が形成されるものであり、前記電線配置通路は、少なくとも3か所(三つ)の電線当接部が前後方向に間隔を存して配置され、前記電線の途中が前記電線当接部に当接して山状に屈曲する形態である。
【0018】
更にひとつの形態として、本体内の内部空間に配置されるよう電源取付体に取り付けられ電線により外部電力が供給される電源回路を備え、前記電線が外方に向けて引っ張られたとき前記電線が圧接する3か所以上の電線当接部が、前記本体の上壁から前記内部空間に延び前後方向に間隔を存して前記電線当接部相互間が一連の屈曲状の電線配置通路をなし、前記電源取付体は、前記照明器具内へ取り付けられた状態で、前記電線当接部の下端部へ当接又は近接し、前記電線配置通路の下側面を覆う。
これにより、前記電線配置通路から前記電線が抜け落ちることが前記電気回路ユニットまたは前記電源取付体によって防止され、且つ前記電線が外方へ引っ張られたとき前記電線が前記電線当接部に圧接され、その引張りによる電線の移動が抑制される。
本発明の実施形態として、防犯灯または道路灯と称する照明器具1の構成について、図面を参照して以下に説明する。
【0019】
本発明に係る照明器具1は、図1図9等に示すように、全体形状が前後方向に所定の長さを有する前後方向に長い形態をなし、発光部6は、下方の道路等の被照明部を所定の明るさで照明する部分であり、複数の照明用発光ダイオードのLED素子7を含み、このLED素子7が放射する光を所定の配光にて出射し被照明部を照明する。照明器具1は道路の側部に設置された状態で、道路に略直交状態になる取り付け状態であり、発光部6の出射光、すなわちLED素子7の出射光が道路の長手方向に配光されるよう、主として左右方向に長く広がる配光特性を有する。
【0020】
具体的には、照明器具1は、不透光性の金属製または樹脂製の照明器具本体2(以下、本体2という)と、本体2に取り付けられ照明器具1の下方領域を照明する発光部6と、電気回路ユニット40と、発光部6を下方から覆い後述の開口2Aを覆うように本体2に密着状態に取り付けられる透光性カバー23を有する。
本体2は、天井壁である上壁2Tと上壁2Tから下降する周囲壁2Sを有し、周囲壁2Sで囲まれた下側に開口する開口2Aを形成した内部空間4を有するアルミニウムのダイキャスト製等の金属製熱良導材、またはASAの射出成形品等の耐候性材で形成され、前後方向に長い形態に構成されている。
本体2は、本体2の後部にポールや電柱等の所定の支持部へ取り付ける取付部10を備える。この取付部10は、本体2が金属製である場合は本体2と一体成型か別個の金属製の取付部材を本体2に取り付ける。また、本体2が樹脂製である場合は、別個の金属製の取付部材を取り付ける。
【0021】
内部空間4の下部で開口2Aに並行状態に臨むように発光部6が本体2に取り付けられる。発光部6を下方から覆って開口2Aを塞ぐように本体2に取り外し可能または開閉可能に透光性カバー23が取り付けられる。
透光性カバー23は、上面開口の容器形態をなすように平板状の底板部の周縁部に上方へ突出する環状周壁が形成された皿状または盆状であり、本体2の開口2Aの周縁部にパッキンを介して水密状態に取り付けられる。
【0022】
発光部6は、照明用LED素子(発光ダイオード)7が放射する光を所定の配光にて出射する部分であり、矩形状の平板状のLED取り付け回路基板5の下側面に複数の照明用LED素子7が下方へ僅かに突出状態で配置され、各LED素子7は、LED素子7の発光を所定配光にて下方へ照射するためのレンズ機能を持つ配光ユニット8で覆われた構成である。配光ユニット8は各LED素子7に対応するレンズ部8Rを有する。
LED取り付け回路基板5と配光ユニット8は、共にネジNJによりアルミニウム等の金属製の発光部取付板9の下側面に取り付けられる構成である。この発光部取付板9は、発光部6が本体2の開口部2Aに沿って配置されるように、下側面にLED取り付け回路基板5が取り付けられ、本体2の取り付けボスへネジ9Nによって固定される。
これによって、本体2が金属製である場合は、LED素子7の発光時の熱は、発光部取付板9を介して本体2へ伝達され、本体2から拡散される。また、本体2が樹脂製である場合は、LED素子7の発光時の熱は、一部は本体2から拡散されるが、主として、金属製の発光部取付板9から後述の金属製の電源取付体44を介して金属製の取付部10へ伝達され、取付部10から拡散される。このため、発光部取付板9は発光部6の放熱板9と称される。
【0023】
LED素子7の発光光が照明器具1の左右方向へ長い配光をなすように、配光ユニット8は、アクリルやポリカーボネートの透明樹脂製であり、レンズ部8Rは左右方向に長い半俵状・反円弧状等の形状をなす。これによって、LED素子7の発光光は、楕円形状・長円形状等の左右方向に長い配光特性をなす。
このため、照明器具1が、左右方向に延びる道路に対して略直行状態の配置となるように、取付部10にて所定の支持部Pへ取り付けられた正規の状態で、配光ユニット8によって、LED素子7の出射光が、照明器具1の前後方向への配光が抑制されて道路の長手方向に向かう配光となるよう、主として左右方向に長い配光となる配光特性である。
【0024】
電気回路ユニット40が内部空間4に配置される。電気回路ユニット40は、電線30により照明器具1の外部から外部電力である商用交流電力が供給される電源回路41を有する。電源回路41は、前記商用交流電力をLED素子7の発光に必要な直流電力に変換するAC/DC変換回路を構成する電子部品を電源基板43の下側面に備える。
電気回路ユニット40は電源回路41を有するものであり、後述のように、電線30が離脱しないように電線配置通路82を覆う状態で照明器具1内に取り付けられればよく、照明器具1内に取り付ける手段は如何なるものでもよい。実施例では、電源回路41が下側面に取り付けられた電源取付体44を備えた構成である。電源取付体44は板状、箱状、その他の形状の如何なる形態であってもよい。
LED素子7の発光に必要な直流電力はリード線70によって供給される。
【0025】
電気回路ユニット40は、電源回路41と共に、LED素子7の点灯・消灯を制御する発光制御回路42が電源取付体44の下側面に取り付けられた構成でもよい。発光制御回路42は、照明器具1の周囲の照度を検出する照度センサ50の照度検出に基づく検出電力を出力する照度センサ回路と、照度センサ回路の出力に基づきLED素子7の点灯・消灯を制御する点灯制御回路等を含む。
【0026】
電源取付体44は、その一つの形態として、図1等に示すように、平板状の金属板の折り曲げによって、電源回路41、または発光制御回路42と電源回路41が下側面に取り付けられる平板状の回路取り付け部44Aと、回路取り付け部44Aの前後及び左右端部が略直角状に下方へ折り曲げられた下面に開口する箱状の形態をなし、回路取り付け部44Aの前後両端部が略直角状に下方へ折り曲げられた固定用取り付け部44Bを形成している。
電源取付体44の他の形態として、箱状の形態ではなく、平板状の金属板の折り曲げによって、電源回路41、または発光制御回路42と電源回路41が下側面に取り付けられる平板状の回路取り付け部44Aと、回路取り付け部44Aの前後両端部が略直角状に下方へ折り曲げられた固定用取り付け部44Bを形成するものでもよい。
【0027】
電線30は、電気を通す導線が絶縁被覆された一般的なものであり、照明器具1の外側後部から周囲壁2Sのうちの後壁に取り付けられた防水ブッシング33を貫通して本体2内の内部空間4へ導入され、コネクタ30Cによって電源回路41へ接続される。
【0028】
照明器具1の取付部10をポールや電柱等へ取り付ける作業中に、電線30が後外側へ引っ張られる場合や、照明器具の取付部10をポールや電柱等へ取り付けた状態において電線30が強風や積雪、その他により外側へ引っ張られる作用力が働いて、電線30が照明器具1の後方へ引っ張られた場合、コネクタ30Cが外れ照明器具1への電力供給が絶たれる状態となる。
【0029】
本発明は、これを防止するために、照明器具1内に電線30の保持部80を設ける。
保持部80は、本体2と電気回路ユニット40との共同によって形成される電線配置通路82を有し、電線配置通路82は、取付部10の前部10Aの側方で本体2の上壁2Tの下側面に、前部10Aに並行状態の配置であり、電線配置通路82に収容された電線30の離脱が、本体2へ組み合わされる電気回路ユニット40によって防止される構成である。電線配置通路82は、少なくとも3か所の電線当接部81によって電線30の途中が山状に屈曲する屈曲部を形成する。
3か所の電線当接部81は、間隔を存して前後方向に配置され、電線30の途中が電線当接部81に当接して山状に屈曲することにより、電線30に対して照明器具1の後方への引張り力が働いたとき、電線30が3か所の電線当接部81の側面に圧接して後方へ移動することが抑止される。
【0030】
その一つの実施例は、図1乃至図9に示すように、本体2の上壁2Tから内部空間4に垂下する3か所以上のボスで形成する電線当接部81が間隔を存し前後方向に直線状またはジグザグ状の配置にて、電線30の途中が電線当接部81によって山状に屈曲する電線配置通路82を形成する。各電線当接部81は、電線30が引っ張られたとき電線30が圧接する電線圧接部81Sを有する。
電源回路41が内部空間4に配置されるよう電源取付体44が照明器具1内へ取り付けられた状態で、電源取付体44の上面が電線当接部81の下端部へ当接又は近接する構成である。
【0031】
図示の実施例では、電線当接部81となる四角柱状の3か所のボス81A、81B、81Cが本体2の上壁2Tと一体形成にて内部空間4に向けて略同じレベルまで突出する。ボス81A、81B、81Cは、前後方向に所定間隔を存して直線状配置またはジグザグ状配置をなし、ボス81A、81B、81C相互間が、電線30の途中が山状に屈曲する電線配置通路82を形成する。
【0032】
実施形態では、ボス81A、81B、81Cは、その四角柱状の角部が電線圧接部81Sとなる部分であり、柱状ボス81Aの一つの角部が第1電線圧接部81Sであり、ボス81Bの隣り合う二つの角部が第2及び第3電線圧接部81Sであり、ボス81Cの一つの角部が第4電線圧接部81Sであり、これらによって電線圧接部81Sを4か所構成する形態である。
なお、ボス81Bの電線圧接部81Sが一つとなるように、先端に丸みを有して尖った電線圧接部81Sをボス81Bの側方に(図7では下側に)形成し、全体として前後方向に離間した3か所の電線圧接部81Sを有する構成でもよい。
【0033】
即ち、中間のボス81Bが山の頂上部を司る作用をし、前後のボス81Aと81Cが山の裾野部を司る作用をすることにより、電線配置通路82へ収容された電線30は、前後方向へ延びる電線30の途中が、3か所のボス81A、81B、81Cにおいて図7のように山状に屈曲する状態(V字状屈曲)となる。このため、電線30が外方(図7で右方向である後方)に向けて引っ張られたとき、電線30が各電線当接部に圧接し、電線30の移動が抑止される。
四角柱状の角部である電線圧接部81Sは、先鋭形状であれば圧接する電線30の絶縁被覆が破損するため、それを防止するために、電線30の圧接効果を保持する範囲において、前記角部は若干のR面、即ち弧状面を形成する。
【0034】
照明器具1の組み立て構成について説明する。
本体2は、本体2の上壁2Tの下側に内部空間4に臨む前後2か所に、取付部10を支持するL字状支持部11を有する。取付部10の前部10Aが本体2の後方から内部空間4へ挿入され、取付部10の前部10Aは、その先端が位置決め部91に当接する状態において、支持部11によって上壁2Tの下側に支持され、この状態において、ネジ92によって本体2の上壁2Tに固定される。
この状態で、図9等に示すように、取付部10は、その後部10Bが照明器具1の後方へ延出し、ポールや電柱等の所定の支持部へ取り付け可能状態となる。
【0035】
この状態において、本体2の上壁2Tと取付部10の前部10Aとに形成した採光孔が合致し、上面に外光を取り入れるレンズ部を形成した中空の第1採光部材51がこの採光孔に取り付けられる。
【0036】
本体2が開口2Aを上にした状態において、電線30は、本体2の後壁に取り付けられた防水ブッシング33を貫通して本体2内の内部空間4へ導入され、図7に示すように、中間部がボス81A、81B、81Cによって山状に屈曲する状態に収容され、先端部が内部空間4内に前方へ向けた状態に置かれる。
【0037】
電源回路41を備える電気回路ユニット40は、平板状の回路取り付け部44Aの後部領域を貫通して、照度センサ50に対応する中空の第2採光部材52が取り付けられている。
電源取付体44の前後両端部に形成された固定用取り付け部44Bの上端部に形成した固定フランジ部45が、ネジ46によって取付部10の前部10Aに固定され、電気回路ユニット40が内部空間4に配置される。
この状態で、電気回路ユニット40の上面をなす電源取付体44の平板状の回路取り付け部44Aの上面が、ボス81A、81B、81Cの下端部へ当接又は近接する状態となり、電源取付体44の平板状の回路取り付け部44Aが電線配置通路82の下側壁を形成する関係にて、電線配置通路82が形成される。このため、電線配置通路82は、本体2の上壁2Tと電源取付体44の平板状の回路取り付け部44Aとの共同によって前後方向の形態となり、電線配置通路82内に収容された電線30は、電源取付体44によって電線配置通路82から下方へ離脱することが防止される。
この状態で、電気回路ユニット40の前方から電線30の先端部に取り付けた電線側端子を電源回路41側端子に接続することにより、コネクタ30C部分で電線30と電源回路41が電気的に接続される。
【0038】
LED取り付け回路基板5がネジNJにより下側面に取り付けられた状態の発光部取付板9は、箱状電源取付体44の下側開口を塞ぐように箱状電源取付体44の下側に配置した状態で、電源取付体44の前後の固定用取り付け部44Bの下端部に形成した前側固定フランジ部47Aと後側固定フランジ部47Bが、それぞれ発光部取付板9の裏側(上面)に当接する。
この状態で、発光部取付板9は、前部二か所と後部一か所でそれぞれ本体2の取り付けボス2Bへ下方からネジ9Nによって固定され、同時に電源取付体44の後側固定フランジ部47Bが発光部取付板9の裏側(上面)に固定される。また、発光部取付板9の中間部には、下方からネジ9NAによって電源取付体44の前側固定フランジ部47Aが、発光部取付板9の裏側(上面)に固定される。
【0039】
これによって、発光部取付板9が本体2の開口部2Aを略覆う状態となり、発光部6が本体2の開口部2Aに沿って配置される状態となる。
また、電気回路ユニット40が発光部取付板9の裏側である上面に配置状態となり、電源取付体44の前後両端部に形成された固定用取り付け部44Bが、ネジ9Nとネジ9NAによって発光部取付板9の裏側へ固定されるため、電気回路ユニット40の発熱は電源取付体44及び発光部取付板9を介して、上記の経路で放散される。
【0040】
このような組み立て状態において、発光部6を下方から覆い内部空間4を覆うように本体2の開口2Aに密着状態に透光性カバー23が取り付けられる。透光性カバー23は、本体2の前端部に回動可能に回動電線当接部23Aが係止された状態で、後端部がネジ23Nにより後側固定フランジ部47Bへネジ止めされる。透光性カバー23は、開口2Aとの間が密閉状態となるようにパッキンを介して本体2と一体化され、ネジ23Nを取り外した状態で、本体2に対して回動電線当接部23Aの電線当接部分を軸として下方へ開くことができる。
【0041】
図示のボス81A、81B、81Cは前後方向に直線状配置であるが、ボス81A、81B、81Cは、前後方向に所定間隔を存してジグザグ状配置をなす形態でもよい。この場合も、ボス81A、81B、81C相互間が一連の屈曲状の電線配置通路82を形成し、電線配置通路82には、電線30がボス81A、81B、81Cの角部の電線圧接部81Sに当接状態で屈曲状に収容される形態でもよい。
【0042】
上記のように、電線配置通路82に電線30が収容された状態で、電線30が照明器具1の外後方へ引っ張られた場合、電線30はその絶縁被覆がボス81A、81B、81Cの側面の角部である電線圧接部81Sに強く圧接状態となり、外後方への引っ張り力に抗する抵抗が生じ、外後方への電線30の移動が抑制され、コネクタ30C部での電線30の外れが防止される。
【0043】
電線当接部81は、電線30が引っ張られたとき、電線当接部81の側面の電線圧接部81Sに圧接されて引張り力に抗する構成であればよいため、上記のように四角柱状のボス81A、81B、81Cの形態に代わって、ボス81A、81B、81Cは、三角柱状、多角形柱状によってその角部を電線圧接部81Sとすることとするものであってもよい。
また、ボス81A、81B、81Cのうち、ボス81Bに代わって本体2の周囲壁2Sからボス81Bの位置まで延出するリブ状突起を設け、このリブ状突起の延出先端部の側面角部を電線圧接部81Sとし、この電線圧接部81Sに電線30が当接し、ボス81Bと同様の作用が達成できる構成でもよい。
【0044】
また、本発明の他の実施形態として、電源取付体44の上壁である回路取り付け部44Aと本体2の上壁2Tとの間に形成される電線配置通路82は、本体2の上壁2Tの下面に、下方に開口し屈曲する溝状通路を前後方向に形成し、この溝状通路の屈曲部は、前後に離間した少なくとも3か所の電線当接部81によって形成される。本体2に組み合わされる電源取付体44の上面が、溝状通路の下面開口を塞ぐようにこの電線当接部81の下端に当接または近接して正規の電線配置通路82が形成され、電線配置通路82からの電線30の離脱が防止される構成となる。
これによって、電線30が後方へ引っ張られたとき、この電線当接部81の先端に当接して外後方への電線30の移動が抑制され、コネクタ30C部での電線30の外れが防止される。
【0045】
また、本発明の他の実施形態を図10に示す。図10において、電源取付体44の上壁である回路取り付け部44Aに対向する本体2の上壁2Tの部分には、前後に離間した一対のリブ状の電線当接部81Pと81Rを内部空間4に向けて上壁2Tと一体に突出形成し、電線当接部81Pと81Rの中間部に向けて上方に突出する電線当接部81Qを回路取り付け部44Aの一部に屈曲形成する。
本体2に電気回路ユニット40が組み合わされることにより、電線当接部81P、81Q、81Rによって電線30の途中が山状に上方へ屈曲する電線配置通路82を形成する。
これによって、電線配置通路82に収容された電線30は、図10に示すように、電線当接部81P、81Q、81Rのそれぞれの電線圧接部81Sに当接する配置状態となる。これによって、電線30が後方へ引っ張られても、電線当接部81P、81Q、81Rのそれぞれの電線圧接部81Sに当接して外後方への電線30の移動が抑止され、コネクタ30C部での電線30の外れが防止される。
なお、電線当接部81P、81Q、81Rへの電線30の当接状態は、電線30の硬さや絶縁被覆の硬さによって異なる。
【0046】
このように、電線配置通路82は、電線30が屈曲状配置において、照明器具1の外方へ引っ張られた場合、電線30の絶縁被覆が強く圧接状態となる電線圧接部81Sを形成した構成であればよく、上記実施例に限らず種々の形態で達成できる。
電線当接部81は、前後方向に離間する3か所以上であれば、電線30が引っ張られたときの移動が抑制されるため、4か所でも5か所でもよい。しかし電線圧接部81Sを形成する電線当接部81を4か所、5か所と多くすれば、電線30の山状屈曲部が多くなり、電線30の引張りに対する抑止効果は増大するが、多くすれば照明器具1が大きくなる懸念があり、小型化のためには電線当接部81が3か所で以って電線30に一か所の山状屈曲部が形成され、本発明の目的を達成することができる。
【0047】
図11は、電線配置通路82に配置される交流電力用2本の電線30が、電気回路ユニット40等による支えを必要としない構成の電線当接部81の構成を示す。
即ち、本体2が合成樹脂製である場合、その上壁2Tの内部空間4側の面に一体成形される3か所の電線当接部81P、81Q、81Rが、内部空間4へ突出する状態に形成され、その電線当接部81P、81Q、81Rが前後方向に所定間隔を存する配置によって、電線30が山状に屈曲配置される電線配置通路82を形成する。
3か所の電線当接部81P、81Q、81Rは、それぞれ向かい合う下端先端部に所定の電線挿入間隔Kを存して向かい合う係止片81Yを一体形成している。電線挿入間隔Kは、2本の電線30の1本の直径よりも若干小さい寸法である。
【0048】
これによって、2本の電線30は1本ずつ、この電線挿入間隔Kを押し広げつつ電線当接部81P、81Q、81R相互間が形成する電線配置通路82へ押し込み収容される。このため、電線当接部81P、81Q、81Rは合成樹脂自体が有する復元力(弾性)を有する。
このようにして電線配置通路82へ収容された電線30は、通常位置へ復帰した係止片81Y相互によって下方への落下が抑止され、電線配置通路82に安定的に収容保持される。
電線配置通路82へ収容された電線30は、中間の電線当接部81Qが山の頂上部を司る作用をし、前後の電線当接部81Pと81Rが山の裾野部を司る作用をすることにより、山状に屈曲する状態となり、電線30が外方(図11で右方向)に向けて引っ張られたとき、電線30が各電線当接部に圧接し、電線30の移動が抑止される。
【0049】
上記実施形態では、電気回路ユニット40及び電線配置通路82の位置は、内部空間4のうちの後領域に配置され、図8に示すように、電線30は、照明器具1の外側後部から内部空間4へ導入され、電線配置通路82に収容された状態で電気回路ユニット40の前方から電源回路41へ向かうように配線され、電源回路41にコネクタ30C部で接続される。
電気回路ユニット40及び電線配置通路82の位置は、上内部空間4のうちの中間領域や前領域に配置される形態でもよい。この場合も上記同様に、電線30は照明器具1の外側後部から内部空間4へ導入され、電線配置通路82に収容された状態で電気回路ユニット40の前方または後方から電源回路41へ向かうように配線され、電源回路41にコネクタ30C部で接続される構成とすることができる。
【0050】
本発明は、上記実施形態に限定されず、周囲壁2Sのうち内部空間4の側壁をなす壁の内側に電線配置通路82を形成し、上記同様に電気回路ユニットでその電線配置通路82を覆う形態をも含むものであり、電線当接部は、ボス、リブ、突起等何れの形態であってもよく、本発明の技術思想の範囲内で変更可能な技術範囲を包含するものである。
【符号の説明】
【0051】
1・・・・・照明器具
2・・・・・照明器具本体(本体)
2A・・・・開口
2B・・・・取り付けボス
2S・・・・周囲壁
2T・・・・上壁
23・・・・透光性カバー
4・・・・・内部空間
5・・・・・LED取り付け回路基板
6・・・・・発光部
7・・・・・LED素子
8・・・・・配光ユニット
8A・・・・レンズ部
9・・・・・発光部取付板(放熱板)
10・・・・取付部
23・・・・透光性カバー
30・・・・電線
30C・・・コネクタ
40・・・・電気回路ユニット
41・・・・電源回路
42・・・・発光制御回路
43・・・・電源基板
44・・・・電源取付体
50・・・・照度センサ
80・・・・電線の保持部
81・・・・電線当接部
81A、81B、81C・・・・ボス
81P、81Q、81R・・・・電線当接部
81Y・・・・係止片
81S・・・電線圧接部
82・・・・電線配置通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11