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特許76014193次元印刷用のカメラベース監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】3次元印刷用のカメラベース監視システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20241210BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241210BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20241210BHJP
   B29C 64/147 20170101ALI20241210BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20241210BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20241210BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20241210BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20241210BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
G06T7/00 610C
B33Y50/02
B29C64/147
B33Y10/00
B33Y30/00
B41J29/393 105
B29C64/393
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022544409
(86)(22)【出願日】2021-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-16
(86)【国際出願番号】 US2021014822
(87)【国際公開番号】W WO2021151047
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】62/965,096
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519337156
【氏名又は名称】インポッシブル オブジェクツ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】シュバルツ・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ワンガー・レン
(72)【発明者】
【氏名】ベイルドン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ソルツマン・ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ピント・チャック
(72)【発明者】
【氏名】ゴア・ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】バイズナイス・ジンタラス
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー・ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンソン・アーロン
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-505416(JP,A)
【文献】特開2005-170649(JP,A)
【文献】特開平04-276481(JP,A)
【文献】特開2019-052039(JP,A)
【文献】特表2019-525856(JP,A)
【文献】国際公開第2019/197521(WO,A1)
【文献】特開2019-073032(JP,A)
【文献】国際公開第2018/170268(WO,A1)
【文献】特開2018-158457(JP,A)
【文献】特開2002-091835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
B29C 64/00 - B29C 64/40
B41J 29/00 - B41J 29/70
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 50/00 - B33Y 50/02
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 3/60
G06T 5/00 - G06T 5/50
G06T 7/00 - G06T 7/90
G06T 9/00 - G06T 9/40
G06V 10/00 - G06V 10/98
G06V 20/00 - G06V 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料ベース積層造形(CBAM)プロセス用のカメラ監視サブシステムであって、
CBAMプリントプラテン上のシートのページ配置を観察するように構成され、a)プリントプラテン上に単一ページであるか否か、b)前記単一ページの位置及び角度が許容範囲内にあるか否か、c)前記単一ページの位置決め穴の形状及び位置が適切か否か、及びd)パンチされた位置合わせ穴からチャドが適切に除去されているか否か、の内の少なくとも1つを判定するための第1のカメラシステムを備えるプリントプラテンモニタと、
CBAMパウダーリングシステムからの単一ページを分析するように構成され、a)印刷画像が前記単一ページにおけるパンチ穴の許容範囲内に配置されているか否か、b)前記印刷画像に印刷上の問題があるか否か、c)パンチ穴が適切な位置にあるか否か、d)パンチ穴の形状が適切であるか否か、e)パンチ穴のチャドが適切に除去されているか否か、及びf)前記単一ページへの粉末の堆積が許容範囲内であるか否かの内の少なくとも1つを判定するための第2のカメラシステムを備えるリアコンベアモニタと、
CBAMスタッカーに配置される第3のカメラを備え、前記単一ページが位置合わせピンに適切に積層されているか否かを判定し、適切でないと判定される場合、どのピンが欠損しているかを特定するように構成されるスタッカーモニタと、
前記プリントプラテンモニタ、前記リアコンベアモニタ及び前記スタッカーモニタを使用して、画像を取得して、前記画像の遠近補正を行い、遠近補正を行った画像と、理想画像との二乗平均平方根(RMS)の差を用いて、前記単一ページが許容範囲内であるか否かを自動判定し、
前記単一ページが許容範囲内にないと判断される場合は、
(1)前記CBAMプロセスに対して自動修正が可能であるか否かを判定し、自動修正が不可能な場合は、印刷ジョブを一時停止し、オペレーターに通知して、前記オペレーターから問題が解決した旨が指示されるまで待機することと、
(2)自動修正が可能な場合は、自動修正を実行し、問題が修正されたか否かを確認するためのテストを実行し、前記単一ページを取り除き、印刷を再開することと、
を含む修正処理を実行する制御システムと、
を備える、複合材料ベース積層造形(CBAM)プロセス用のカメラ監視サブシステム。
【請求項2】
前記リアコンベアモニタは、粉末堆積レベル、粉末堆積の分布、粉末凝集、及び残留粉末レベルを判定する、請求項1に記載のカメラ監視システム。
【請求項3】
前記リアコンベアモニタは、コンベヤに引っ掛かった前記単一ページ、及びコンベヤベルト上の前記単一ページの向きを検出する、請求項1に記載のカメラ監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願番号62/965,096に関連しており、優先権を主張している。本出願は、出願62/965,096及び次の米国特許9,393,770;9,776,376;9,827,754;9,833,949;10,046,552;10,252,487;10,377,080;10,377,106;10,384,437;10,597,249に記載された全ての記載内容を援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、3次元(3D)印刷に関し、具体的には、3Dプロセス中のカメラによるエラーの監視に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複合材料ベース積層造形技術(Composite-Based Additive Manufacturing、CBAM)は、インクジェットプリンターまたはリソグラフィー技術を使用して、3次元オブジェクトの複数の断面を基板シート(炭素繊維など)に断面ごとに印刷するプロセスである。印刷は通常、水性インク溶液を使用するが、ある実施形態では、他の溶液またはインクを使用される。次に、基板に、熱可塑性材料、熱硬化性樹脂、金属、または他の粉末などを敷設する。粉末は、基板の濡れた(印刷された)部分にのみ付着する。余分な粉末をシートから取り除き、シートを積層する。積層物は通常、圧縮及び加熱され、粉末層が融合して3Dオブジェクトを形成する。次に、余分な固形物を、研磨、サンドブラスト、化学的手段、または他の除去技術によって除去することができる。
【0004】
CBAMプロセスにおいて、一つの層に欠陥があると造形全体を台無しにする可能性がある。このプロセスは、造形中の欠陥層を修正する独自の機能がある。例えば、不良ページをリジェクトして再印刷し、修正したページをオブジェクトに挿入する機能がある。
【0005】
しかしながら、従来の方法では、欠陥層をリアルタイムに検出することができなかった。
【0006】
従来の積層造形システムは、造形中のオブジェクトを観察するために手動で監視する必要がある。従来のシステムでは、造形プロセスの動画を配信する複数のカメラが設けられ、離れた場所から手動で監視する。あるダイレクトメタルプリンティングシステムでは、メルトプールを検査するためのカメラが設置され、状況に応じて、造形中のオブジェクトに影響を与えるプロセスパラメータを変更する。現在、許容範囲外のオブジェクトの造形を停止することや、不良層を修正して造形中のオブジェクトを補修することが可能な技術が未だにない。
【0007】
不良ページをリアルタイムで検出し、造形を中断せずに補修プロセスを開始できるシステムや方法があれば、非常に有利であろう。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、CBAMシステムに設置して、自律的に各層の完全性を検査し、問題をリアルタイムに補修可能なカメラベースの監視サブシステムに関する。複数のカメラは、プロセス全体に渡って異なる場所に配置される。モデルとの比較に基づいて、得られる画像を分析することで、処理されたページが許容範囲内にあるか否かを確認する。印刷プラテン、粉末ページをスタッカーに運ぶリアコンベヤ、及びスタッカーに、それぞれカメラを配置することで、ページが適切に積層され、整列されていることを確認できる。本発明は、層レベルで造形プロセスを確認するための品質保証及び品質管理(QA/QC)を提供する。これにより、QA/QCを実行するための造形後の作業が削減され、内部のパーツまでのデータを示すため、必要な破壊テストが大幅に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下、本発明の特徴を示す図を説明する。
【0010】
図1】本発明のカメラ位置を含む一般的なCBAMプロセスの一部を示す図である。
図2】プラテンカメラと照明を示す図である。
図3】リアコンベヤカメラと照明を示す図である。
図4】スタッカーカメラと照明を示す図である。
図5】プリントプラテンカメラを用いて実行される一般的な修正印刷プロセスのフローチャートである。
図6】粉末堆積後の分類プロセスのフローチャートである。
図7】修正プロセスのフローチャートである。
【0011】
これらの図は、本発明を理解するためのものであり、本発明の範囲は、図に示されているものに限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、CBAMシステムに設置して、各層の完全性を自律的に検査し、問題をリアルタイムに修正可能なカメラベースの監視サブシステムに関する。これらの監視システムは、CBAM印刷プロセスにおいて複数の目的に使用される。
【0013】
1)検査:システム内の各モニタは、印刷パイプラインにおける各ステージのパラメータを検査し、理想プロセス状態と比較する。その2つの差が所定の許容範囲内にある層は、検査が合格となる。その2つの差が所定の許容範囲内にない層は、検査が不合格となり、システムは修正処理を行う。修正処理は下記の工程が含まれる。
【0014】
・プロセスパラメータの調整:問題を修正する(例えば、真空レベルを調整してページ上の粉末堆積のレベルを最適化する)。
・不適切なページのリジェクトと再印刷:リジェクトされたページは自動または手動で取り除かれ、差替えページを再印刷する。
・印刷プロセスの一時停止:突発故障が発生した場合、印刷ジョブを一時停止し、オペレーターにその状況を通知する。
【0015】
2)記録:検査データを、ファイル、データベース、またはウェブ(または、クラウド)サービスに記録する。記録されたデータには、スキャンされた全画像、低解像度の画像、補助的算出データ(例えば、測定値が許容範囲からどの程度離れているか)、及び積層の分析に基づくメタデータが含まれる。ログデータは下記の目的で使用される。
【0016】
監視:ログデータは、実行中の印刷ジョブのリアルタイムな監視に使用される。オペレーターは、リアルタイムに送信されるデータを使用して、ディスプレイ、プリンター、またはリモートからシステムを監視できる。
品質管理(QC):ログデータを使用して、造形条件が所定の許容範囲内にあることを確認できる。
事後検証:ログデータは、造形プロセスの事後検証に使用できる。例えば、積層データは、部品故障の分析に有用な情報を提供できる。
メンテナンス:記録されたデータは、メンテナンス目的でシステムの動作状態を監視することに有用である。
【0017】
造形中に問題を検出すれば、時間と費用を大幅に節約できる。廃棄される部品の完成させる時間を削減させるだけでなく、廃棄材料の量も抑えられる。また、造形中に失敗すると、層間剥離などの重大な部品障害が発生する可能性がある。それに対し、造形プロセスを監視することで、不良部品のサプライチェーンへの流入リスクが軽減される。
【0018】
CBAMプリンターのビルドチャンバー内に複数のカメラベース監視システムが取り付けられる。各モニタは、プリンターの特定の領域に注目し、検査ソフトウェアを実行することにより、印刷パイプラインの特定の部分の状態を検査する。複数の監視プロセスは、メインプロセッサに直接取り付けることができ、或いは、独立のユニット(個別プロセス)として、メインプロセッサまたは専用プロセッサ上で実行することもできる。モニタとは、プロセス間通信、ファイル、またはネットワークを介して通信可能である。
【0019】
図1は、一般的なCBAMプロセスの一部を示す様式図である。基板シートは、3Dオブジェクトの各断面を描いて、その断面のパターンに流体で印刷するプリンタプラテン106に供給される。全体を示すために、インクスピットン122及びインクヘッドワイパーブレード112が示されている。続いて、印刷されたシートは、粉末を敷設するパウダーリングユニット104に搬送される。粉末は印刷された領域にのみ付着する。第1のカメラCl 102aは、印刷プロセスを監視する。粉末が敷設されたページは、余分な粉末が除去された後、リバースフローゲート124によってリアコンベヤ103に搬送され、リアコンベヤ103により積層ユニット116に搬送されて、他のシートの上に積層される。第2のカメラC2 102bはリアコンベヤを監視し、第3のカメラC3 102cはスタッカーを監視する。3つのカメラは共に、プロセッサ114に映像を送信する。リジェクトページビン110は、リジェクトされたページを収容する。リジェクトされたページは破棄されるか、手動で分析される。
【0020】
各カメラ監視システムは、プロセッサ104に登録されている。印刷プロセス中にページが送信されると、プロセッサは、各監視プロセスに、直接またはブロードキャストを介して、ページが転送中である旨を通知する。メッセージには、理想プロセス情報(モデル)と層の許容可能な許容間隔が含まれている。次に、モニタは、監視している目の前をページが通るときにページのセンサーデータ(例えば、カメラ画像)を取得し、分類アルゴリズムを用いて、取得されたデータが所定の許容条件を満たしているか否かを測定する。そして、監視プロセスは、分類結果と分析に基づく関連データをメインプロセッサに通知する。メインプロセッサはデータを記録し、必要な修正処理を行う。
【0021】
各モニタ内で使用される分類アルゴリズムは、検査対象の印刷ステージに必要な分析によって異なる。ページが許容範囲条件を満たしている場合、GOOD_PAGE分類がメインプロセスに送信される。ページが所定の許容範囲を満たしていない場合、BAD_PAGE分類が送信される。監視プロセスは、いずれの場合においても、センサーデータ、及び測定値や計算値などの関連データも提供する。表Iは、本発明のシステムが監視する様々なエラー、許容範囲、及びパラメータの非限定的な例を示している。
【0022】
【表I】
【0023】
分類器は、できる限り問題のより詳細な分類を送信する。メインプロセスは、分類の詳細に基づいて後続の処理(例えば、修正処理)を行う。図1に示されていないが、詳細情報はページが良好であると分類されるか否かに関係なく、送信されてもよい。例えば、取得された画像から粉末堆積の速度が推定され得る。堆積速度が低い場合、許容範囲内であるか否かに関わらず、分類器は、粉末の堆積速度を上げるよう、データをメインプロセスに送信する。このデータは、分類とともに提供されるデータに同梱される。
【0024】
一般に、モニタ分類モデルは、標準の画像処理技術を使用して、特定の印刷アーチファクトを示す画像の特徴を探す。レビュー中の特定のページ印刷の印刷データは、実際の印刷と比較される理想として、この分類で(任意に)使用されてもよい。例えば、粉末のない細い横線はインクジェットノズルの目詰まりを示し、印刷物における楕円形の欠落領域は、プリンタヘッドに気泡があることを示す。クラスタリング、回帰、ニューラルネットワーク分類モデルなどの様々なマシンモデルのトレーニング用に、良好なページと様々な異常状態の例の両方を示すサンプルデータのライブラリが保持される。
【0025】
ある実施形態に係るシステムは、図1に示すように、3つのカメラベースモニタを備える。これらは、カメラモジュールシールド(即ち、ドーターボード)を備えたRaspberry Pi(TM)コンピューターを個別に実行する。Raspberry Piは、密閉されたケースに取り付けられ(粉末や繊維の侵入を防ぐため)、レンズと焦点を調整するための調節ネジとを備え、イーサネットインターフェイスを有し、Raspberry Piに接続され、Raspberry Piにより制御されるLED照明に電力を供給する。モニタリングソフトウェアはPython言語で記述されており、PIL/Pillow、OpenCV(画像処理用)、NumPy、SciKit、SciKit-Learnなどのいくつかのライブラリを使用する。カメラに加えて、高解像度の画像データを取得するためのラインスキャナーまたは他の撮像デバイスを使用してもよい。
【0026】
ページの粉末領域と非粉末領域のコントラストは、非可視光スペクトルで発光する光(例えば、UV光)で画像を照らし、及び/または特定の照明条件下で蛍光を発するようにインクまたは粉末を変更することによって高めてもよい。特に、ガラス布上のナイロン(PA12)ポリマー粉末などの低コントラストの組み合わせを撮像する場合に有用である。
【0027】
図1に示す3つの監視システムは次の通りである。
【0028】
1)プリントプラテンモニタCl 102a
該モニタは、プリントプラテンにおけるページの配置を監視する。プラテンに単一のページがあるか否か、ページの位置と角度が許容範囲内にあるか否か、位置決め穴の形状及び位置が正しいか否か、パンチ穴からチャドが適切に除去されているか否かを判定できる。
【0029】
カメラ102aは、プラテン上にページがいつ、どのぐらいあるかを検出する。そして、その画像が取得され、線検出アルゴリズムを使用して角の位置が特定される。
【0030】
所望のページの配置(モデル)と、配置されたシート(画像)との位置及び向きの差が算出される。インスペクターは、それらの差が所定の許容範囲内にある場合、ページが良好である旨をメインプロセスに通知し、ページが続行する。一方、それらの差が許容範囲内にない場合、ページの配置が不適切である旨をメインプロセスに通知し、取得された画像と、測定された位置及び向きとを提供する。同様に、印刷とパンチングの後、別の画像を取得し、円検出アルゴリズムを使用して、パンチ穴が正しい位置に適切に形成され、チャドが除去されていることを確認する。
【0031】
メインプロセスは、修正処理が必要であると判定した場合、まず、パウダーリングページ検出器をオフにして(不良ページの無駄な粉末の堆積を防ぐ)、不良ページをパウダーリングシステムに搬送することによって、プラテンにおける不良ページを取り除く。ページがパウダーリングシステムを通過してリアコンベアに堆積されると、シートがリジェクトページビン110に収容されるようにリバースフローゲートによりリアコンベアの方向を逆転する。その後、コンベアの方向が戻り、現在のページを再印刷するようにページカウンターが戻る。この時、ページの印刷プロセスが再開される。メインプロセスは、ページの連続した誤配置を検出した場合、モーター制御パラメータを調整して配置位置を修正(例えば、Y方向に若干移動させる)してもよく、オペレーターに修正を行うよう通知してもよい。
【0032】
2)リアコンベヤモニタC2 102b
該モニタは、パウダーリングシステムからのページを分析する。画像がパンチ穴の許容範囲内に配置されているか否か、印刷問題があるか否か(例えば、インクが少量または空である、粉末の堆積レベルが低い、印刷スワスの欠落、インクジェットノズルの目詰まり、インクジェットヘッドの漏れなど)、パンチ穴が適切な位置にあるか否か、パンチ穴の形状が適切か否か、及びパンチ穴のチャドが適切に取り除かれているか否かを判定できる。また、該モニタは、粉末の堆積レベル、粉末の堆積の分布(即ち、被覆の均一性)、粉末の凝集、及び残留粉末レベル(即ち、ページの未印刷領域における残留粉末量)を判定するために、粉末の堆積を分析する。更に、該モニタは、コンベヤに引っ掛かったページ及びベルト上のページの向きも検出できる。
【0033】
該モニタは、カメラC2 102bを使用して、パウダーリング完了後のページの画像を取得する。まず、画像をフィルタリングして空間補正(例えば、遠近補正)と照明補正を行い、画像を同じ解像度にスケーリングする。遠近補正だけでなく、当分野における従来または将来知られる任意の計算レンズ補正を使用して、分類アルゴリズム用の光学システムの前処理及び/または調整を行ってもよい。そして、取得した画像(即ち、実際のページ)とモデル画像とを比較する。許容可能なページであるか否かを判定するために複数の方法が用いられる。まず、取得した画像を分析して、モデル画像から大幅に逸脱しているか否かを判定する。二乗平均平方根の差は、偏差の全体的なレベルを示す。ライン検出またはニューラルネットワークにより特定のアーチファクトを検出することで、画像が適切に形成されているか否かを判定する。また、異常位置から、プリントヘッドやノズルまで遡って問題を特定することもできる。
【0034】
印刷領域と未印刷領域のコントラスト、及び領域検出(及び粉末分布の均一性の指標)を使用して、粉末堆積の品質を計算する。また、円検出を用いて、画像と印刷された画像との距離を確認する。
【0035】
印刷されたページが不良であると判定された場合(即ち、許容範囲内外である場合)、不良ページをリアコンベアに搬送し、リジェクトページビン110に収容するよう搬送方向を転向させることで、印刷パイプライン内の不良ページを取り除く。不良ページが取り除かれると、メインプロセスは、ヘッドの洗浄と拭き取り、インクまたは粉末の追加、パウダーリングパラメータの変更による粉末と残留粉末のレベルの調整などの修正処理を行う。完了すると、現在のページが再印刷されるよう、ページカウンターが戻され、ページの印刷プロセスが再開される。
【0036】
3)スタッカーモニタC3 102c
該モニタは、ページが4つの全ての位置合わせピンに適切に積層されているか否かを検出する。ページがスタッカーに入ると、スタッカーは、既に積層されたページに触れないように、ページをカメラの視野にある位置合わせピンの設定位置まで押し付ける。そして、監視プロセスは(メインプロセスから)信号を受信し、積層されたページの画像を取得する。
【0037】
そして、各ピンの可視量を測定し、積層エリアをはみ出す角があるか否かを検出して、画像分析を行うことで、ページが4つの全ての位置合わせピンに適切に配置されているか否かを判定し、適切に配置されていなければ、どのピンが適切に配置されていないのかを判定する。誤って積層されたシートを自動的に取り除く方法がこれまでになかったため、オペレーターがシートを手動で取り除き、またはシートを再積層するために、印刷ジョブが一時停止される。シートが取り除かれると、ページカウンターがリセットされ、印刷ジョブが再開される。
【0038】
メインプロセスは、更に、モニタから提供された分類と補助データに基づいて、必要な修正処理を判定する。層が良好なページとして分類された場合(即ち、許容範囲基準を満たしている場合)、この層は印刷プロセスの次のステップに進む。また、必要に応じて、1つ以上の修復ステップが実行される。
【0039】
一方、ページが不良ページとして分類された場合、まず、印刷パイプラインにおける全ての不良ページが取り除かれる。これは、機械を一時停止して手動でシートを取り除くようにオペレーターに指示してもよい、或いは、ページをリジェクトページビン110に収容するよう、自動でページをリアコンベアに搬送し、リバースフローゲートによりリアコンベアの方向を逆転してもよい(その後、コンベヤの方向がページ流れの方向に戻る)。印刷パイプラインにおけるすべての不良ページが取り除かれるまで、上記の動作が繰り返される。ページが取り除かれた後、下記の補修ステップの適切な組み合わせが実行される。
【0040】
・印刷ジョブを一時停止し、インクを補充することで、インク不足状態を解消する。インクが十分なレベルに達すると、印刷ジョブが再開される。
【0041】
・インクジェットの異常は、プリントヘッドをインクスピットン上に移動させ、インクヘッドを洗浄した後、プリントヘッドをワイパーブレード上で移動させて異常なプリントヘッドを拭くことで解消される。
【0042】
・粉末不足状態は、粉末補充動作を開始することによって解消される。
【0043】
・許容範囲を超える粉末の堆積など、他の粉末に関する問題は、真空レベル、粉末トラフの開口、エアナイフの圧力、ベルト速度などのパウダーリングのパラメータを変更することで解決される。
【0044】
可能であれば、自動テストを実行して、問題が修正されたか否かをテストする。この場合、センサー値(粉末レベルなど)を読み取り、または診断画像を印刷する(その後、テストページはリジェクトページビンに搬送される)必要がある。自律修正を適用できない場合、或いは、修正処理により問題が解決されない場合、印刷ジョブは一時停止され、問題を手動で修正するようにオペレーターに通知する。最後に、印刷ジョブが再開されると、ページカウンターがリセットされ、中断したところから印刷が再開される。
【0045】
ある実施形態では、システムは、監視及び分類を支援するために特定の慣例を行ってもよい。表IIは、そのような慣例がどのように展開されるかについての非限定的な例を示している。
【0046】
【表II】
【0047】
図2から図4は、装置及び監視システムの実施形態の詳細な概略図である。図2から分かるように、プリントプラテンカメラCl 102aは図の上部に示され、カメラの照明203も、プラテン209の上にあり、シート205は、プラテン上に載置されている。
【0048】
図3は、リアコンベヤカメラC2 102bを示している。リアコンベヤカメラの照明303がカメラの付近に位置する。
【0049】
図4は、スタッカーカメラC3 102c、4つの位置合わせピン407a、b、c、d、及び位置が不適切なページ409を示している。
【0050】
図5は、プリントプラテンカメラCl 102aを使用して実行される一般的な修正印刷プロセスのフローチャートである。印刷開始502において、メインプロセスは、到着するページをカメラユニットに通知する504。カメラにより分析用画像がメインプロセッサ(またはイメージプロセッサ)に送信され、画像分類が実行される506。そして、メインプロセッサはページ分類を受信し508、ページが良好であるか否か、または修正処理が必要であるか否か(少なくとも1つの必要なページパラメータが許容範囲外である)を判定する510。ページが良好である場合、印刷サイクルを終了する516。ページが不良である場合、修正処理を行う512。すべての場合において、各ステップにおけるデータは記録される514。
【0051】
図6は、粉末堆積後の分類プロセスのフローチャートである。ページが印刷され、リアコンベア上にある時、メインプロセスからのページ搬送中のメッセージが受信される602。システムは、カメラC2 102bを使用して、ページがカメラビューに入るのを待つ604。タイムアウト時間内にページが検出されない場合、「ページが見当たらない」というメッセージが送信される624。ページが検出された場合、カメラがページ画像を取得する608。遠近感及び照明状態について補正が行われる609(前述のように、遠近補正だけでなく、当分野における従来または将来知られる任意の計算レンズ補正を使用して、分類アルゴリズム用の光学システムの前処理及び/または較正を行ってもよい)。次に、修正されたスキャン画像と保存された1つ以上のモデル画像とを比較する610。スキャン画像とモデルとの二乗平均平方根(RMS)の差を算出し612、スキャン画像とモデルとのRMS誤差について判断する614。粉末堆積したページが許容範囲内にある場合、良好なページ分類が送信される616。RMS誤差が大きすぎる場合、特定の不良ページ分類が判定される618。不良ページ分類及び特定の関連分類データを送信する620。いずれの場合も、分類結果はメインプロセスに送信される622。
【0052】
二乗平均平方根(RMS)の差の使用は、使用可能な技術の一つであり、例として図に示されている。いずれの個別監視及び関連の分類システムは、RMSに限定されず、ニューラルネットワーク分類、及びその他の形式の人工知能分類など、あらゆる画像分析技術を使用してもよい。実際、許容範囲内または許容範囲外、誤差及びパラメータの分析は、当分野における従来または将来知られる分類器または画像分析システムを使用して実現可能である。分類の目的は、ページが、一般的に多く適用される個別パラメータの許容範囲内にあるか、または特殊の造形に固有であるかを判断することである。
【0053】
図7は修正処理のフローチャートである。いずれかの監視位置で不良ページが検出されると、修正処理が開始される702。不良ページ分類の場合704、パイプラインでシートが取り除かれ712、ページカウンターがリセットされる714。良好なページ分類の場合、この2つのステップはスキップされる。続いて、更なる修正処理が必要か否かを判定する706。更なる修正が必要でない場合、印刷を継続し708、修正処理サイクルを終了する710。一方、更なる修正処理が必要な場合、自動修正が可能であるか否かを判定する716。自動修正が可能な場合、自動修正を実行する718。自動修正が不可能な場合、ジョブを一時停止し、オペレーターに通知する720。そして、オペレーターが問題解決したと指示するまで待機する722。自動または手動の修正処理の後、テストを実行して、問題が本当に解決されたか否かを確認する724。テストシートがパイプラインから取り除かれると728、問題が本当に解決されたか否かを判定する728。肯定的な判断の場合、更なる(または他の)修正処理が必要か否かを判定する706。修正処理が必要でない場合、印刷を継続し708、修正処理サイクルを終了する710。修正処理が必要である場合、自動または手動修正の問題が再び判断される716。
【0054】
上記の説明は、基板のようなシートの例を用いているが、本明細書に記載されている本発明の原理は、基板材料のウェブまたはロールベースの供給に同様に適用される。
【0055】
上記の説明及び図は、本発明の理解を容易にするためのものである。当業者にとって、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更及び変形が可能であることは自明なことである。これらの変更及び変形は、本発明の範囲内である。
図1
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図7