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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】中性子線量計
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/02 20060101AFI20241210BHJP
   G01T 3/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01T1/02 B
G01T3/00 G
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022546443
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2021052074
(87)【国際公開番号】W WO2021152069
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2024-01-16
(31)【優先権主張番号】20382052.7
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507281812
【氏名又は名称】ユニベルシタート ポリテクニカ デ カタルーニャ
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】タリフェニョ-サルディビア,アリエル
(72)【発明者】
【氏名】カルビーニョ タバレス,フランシスコ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-28885(JP,A)
【文献】特開2001-42048(JP,A)
【文献】特開2011-53218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0299570(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/02
G01T 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速体として作用するポリエチレン材料で作られた円筒体(100)と、
中性子検出器として作用する能動コンポーネント(101)であって、前記能動コンポーネント(101)は前記円筒体(100)の中心に位置する能動コンポーネントと、
所与のエネルギー領域における前記中性子検出器の過敏性を補償するように構成された中性子フィルタ(102)であって、
前記中性子フィルタ(102)は所定の厚さを有する材料で作られた少なくとも2つのクラウン(102A、102B)と上下キャップ(102C,102D)によって構成され、前記少なくとも2つのクラウン(102A、102B)は前記円筒体(100)の内側に配置され、前記2つのクラウン(102A、102B)の第1(102A)は前記能動コンポーネント(101)に隣接して配置され、前記2つのクラウン(102A、102B)の第2(102B)は前記第1のクラウン(102A)と前記円筒体(100)の内壁表面との間に配置される、該中性子フィルタ
を備える中性子線量計であって、
前記上下キャップ(102C,102D)は、前記第1のクラウン(102A)の開放端を覆うように構成され、前記上キャップ(102C)はその中に前記能動コンポーネント(101)の導入を可能にする開口部を有し、
前記上下キャップ(102C,102D)の材料の厚さは前記2つのクラウン(102A,102B)の材料の厚さと同じであり、
前記第1及び第2のクラウン(102A、102B)はそれぞれ複数の垂直リボンを備え、各クラウンの前記複数の垂直リボンによって覆われる面積は、上下キャップ(102C、102D)を除き、50~95%の範囲に含まれ、
前記中性子線量計は
パルス状又は連続状である、高強度中性子放射場に対する前記中性子検出器の性能を向上させるために適合された前記第1のクラウン(102A)と前記能動コンポーネント(101)との間に配置された取り外し可能な要素(104)であって、前記取り外し可能な要素(104)は内径が前記能動コンポーネント(101)の外径の1.05倍から1.2倍の間の中空円筒を含む、該取り外し可能な要素をさらに備える、
ことを特徴とする、中性子線量計。
【請求項2】
2つのクラウン(102A、102B)がカドミウム材料から成り、前記所定の厚さが0.5~1mmの範囲に含まれる、請求項1の中性子線量計。
【請求項3】
2つのクラウン(102A、102B)がホウ酸化シリコーン材料から成り、前記所定の厚さが3~5mmの範囲に含まれる、請求項1の中性子線量計。
【請求項4】
第1のクラウン(102A)の内径は2.0~3.0cmの範囲に含まれ、第2のクラウン(102B)の内径は前記第1のクラウン(102A)の内径より0.5~1.75cm大きく、及び/又は
前記中性子フィルタ(102)の高さは50~100mmの範囲に含まれる、請求項1に記載の中性子線量計。
【請求項5】
前記中空円筒がポリエチレン材料と、複数のリボン/ストリップを有する中性子吸収材料(106)とから作製され、前記中性子吸収材料(106)が前記能動コンポーネント(101)の有効容積(111)の表面の少なくとも一部を覆う、請求項1に記載の中性子線量計。
【請求項6】
前記中空円筒がホウ素化ポリエチレン材料で作られ、前記ホウ素化ポリエチレン材料が重量で0.5~30%の割合で含まれる、請求項1に記載の中性子線量計。
【請求項7】
7~16mmの範囲に含まれる内径、及び1~3mmの厚さを有する中実鉛金属シリンダで作製されたガンマフィルタ(105)をさらに備える、請求項1、5又は6に記載の中性子線量計。
【請求項8】
前記線量計が軽量線量計であり、前記円筒体(100)が、7~10cmの範囲内に含まれる外径Rmと、Lm(Rm,RA)=1.904・Rm+53.965・RA-138.65・RA+83.818[cm]によって計算される全高Lmとを含み、
-Rmはcmで与えられ、
-RAは公称異方性係数であって、全方向性高速中性子場に対する前記中性子検出器の重み付き中性子応答と、能動コンポーネント(101)を含む円筒の側方照射に対する公称応答との比として定義される、請求項1に記載の中性子線量計。
【請求項9】
前記第2のクラウン(102B)と前記円筒体(100)との間に配置された金属ベリリウム又は酸化ベリリウムの要素をさらに含む、請求項8に記載の中性子線量計。
【請求項10】
前記金属ベリリウム又は酸化ベリリウムの要素は、中空形状の円筒又は同軸形状の複数の垂直リボン又はロッドからなる第3のクラウンである、請求項9に記載の中性子線量計。
【請求項11】
前記能動コンポーネント(101)が、重量で3%までの比率のクエンチングガスとHeの混合物を含む、請求項1に記載の中性子線量計。
【請求項12】
前記ポリエチレン材料が、0.90~0.98g/cmの範囲からなる密度を有する高密度ポリエチレン材料である、請求項1に記載の中性子線量計。
【請求項13】
線量計の全体の質量が5キログラム未満である、請求項8~12に記載の中性子線量計。
【請求項14】
前記能動コンポーネント(101)は、電子処理モジュール(108)と通信して、単一又は複数の中性子事象の検出に起因して前記能動コンポーネント(101)において生成された電荷を送信するように含まれる、請求項1に記載の中性子線量計。
【請求項15】
前記電子処理モジュールが、前記円筒体(100)上に外部に取り付けられるか、又は前記円筒体(100)から離れて配置される、請求項14に記載の中性子線量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線監視装置に関する。特に、本発明は連続的な、準連続的な、及びパルス中性子場で動作することができ、10E-9(熱)から10MeV又は20MeVまでのエネルギー範囲の中性子放射を検出することができる中性子線量計に関する。特に、線量計は、軽量中性子線量計である。線量計は、とりわけ、工業、医療及び研究施設で使用することができる。
【背景技術】
【0002】
中性子は、原子炉、加速器ベースの施設、核融合プラズマ及び放射性源において一次又は二次放射線として生成される。エネルギーによっては相対的に高い生物学的有効性のために、中性子は異なる施設において労働者、患者及び公衆が受ける総放射線量を支配する可能性がある。したがって、潜在的なリスクを評価し、曝露された場所の内部の放射線防護措置を決定するために、中性子放射の適切なエネルギー及び時間構造感度を提供する検出技術が必要とされる。
【0003】
国際放射線防護委員会(ICRP)は、周辺線量当量(H*(10))をエリアモニタリングのための実用量として使用することを推奨している。フルエンス(又は、流束量)から周辺線量当量への換算係数は、ICRP公報74[1]において、中性子を含む様々な放射線タイプについて編集され、公表されている。
【0004】
周辺(又は、環境)中性子線量計は、中性子フルエンスに比例する読み取り値を提供することができる検出器である。フルエンスからH*(10)への直接変換を提供するために、理想的な線量計の中性子エネルギー応答は、変換係数曲線の形状を中性子エネルギーの関数として模倣すべきである。実際には、大部分の周辺線量計が異なるエネルギー領域において過小評価及び過大評価を伴う周辺線量当量に適合する線量測定応答を提示する。IECやANSI等の規格の国際機関はエネルギー応答による許容限度を推奨しているが、これは通常、異なるエネルギー領域におけるICRP勧告の50%~200%である[2、3]。ほとんどの中性子線量計は、現在、20MeVまでの熱エネルギーからの感度で特定されている。拡張されたエネルギー感度を有するバージョンは、最低でも、現在のICRP74勧告である200MeVまで指定されるべきである。
【0005】
周辺中性子線量計の最初の設計は1960年代から始まっている。これらの設計は、典型的には高密度ポリエチレンで作られた減速体(moderator)によって囲まれた熱中性子カウンタからなる。単一層の中性子吸収材料もまた、熱エネルギーにおける典型的な過大評価を補償するために使用される。これらの設計によって使用される減速体の幾何学的形状は、(a)円筒形中性子カウンタ(Anderson-Brown型[4])を有する直径21.6cm/長さ24.4cmの円筒形減速体、(b)球形中性子カウンタ(Leake型[5])を有する直径20.8cmの球形減速体、及び(c)円筒形中性子カウンタ(Hankins型[6])を有する直径22.9cmの球形減速体である。拡張エネルギー線量計は蒸発ピーク(~10-20MeV)を超えて検出器感度を増加させるために、単一層の高Z材料上で(n,2n’)及び(n,3n’)等の中性子増倍反応を使用する[7]。これらの古典的な設計は、時間の経過と共にわずかな変動をもって製造業者によって採用されてきた。
【0006】
可搬性は、従来技術の大部分の周辺中性子線量計の欠点の1つである。Leakeタイプ(~5kg)を除いて、ほとんどの線量計は約9kg又はそれ以上の重量を有しており、ハンドヘルド装置としての輸送、操作及び動作(又は、運用)に対して明らかに深刻な制限を課している。可搬性の制限は、減速及び熱中性子の計数の代わりにガスの特定の混合物に基づく核反応に基づく新規なNSN3検出器[8]によって対処されている。最後の検出器はわずか2.2kgであるが、熱外及び熱中性子エネルギーに対する線量測定応答は不十分である。現在、広い中性子エネルギー範囲(熱から蒸発ピークまで)で良好に機能する4kg未満の線量計に対する解決策はない。
【0007】
同様に、パルス中性子場における性能も、従来技術の周辺中性子線量計の欠点である。典型的には、パルス中性子場は数nsから約1msに及ぶ持続時間を有する放射バーストによって生成される。パルス中性子場における相互比較作業(又は、運動/exercise)[9]は、ほとんどのアクティブな商用中性子線量計が約10nSv/バースト又はそれ以上で厳しい過小評価を被ることを示した。問題は比例中性子カウンタ内部の強い瞬間事象のパイルアップに関連し、これは、単一事象を計数することを不可能にし、空間電荷蓄積効果のために計数器の比例性を損なう[10]。パルス中性子線量計の不足は、破砕源、高出力レーザ又は核融合プラズマのようなパルス設備の数が増加しているので、実際に放射線防護のための大きな問題である。さらに、パルス中性子場は、通常、研究及び医療用途のための加速器ベースの施設におけるビーム損失の結果として生成される。
【0008】
パルス場における中性子線量測定のための解決策が、国際公開第2010/040330号明細書において提案されている[11]。この発明において特許請求される線量計は銀活性化技術に基づいており、したがって、単一中性子バーストに対する線量の信頼できる推定を提供する。この発明の主な欠点は、活性化銀同位体の半減期に応じて典型的には数十秒である反応時間である。
【0009】
LUPIN検出器は、パルス中性子線量測定のための別の提案された解決策である。検出器の概念は補正係数を含む革新的な読み出しの使用に基づいており、長い比例中性子カウンタを使用することによって空間電荷蓄積効果を緩和する[12]。得られた検出器は補正アルゴリズムを適用することなく、約500nSv/バーストまでの良好な性能を有するリアルタイム監視能力を示すが、装置の可搬性を制限する18kgの質量を有する。
【0010】
加えて、エネルギー感度は、従来技術の周辺中性子線量計における主な問題である可能性が最も高い。研究又は医療用途のための現代の施設は、極端なエネルギーの粒子加速器を使用する。例えば、粒子治療施設は、それぞれ、250MeVまでの陽子ビーム及び数GeVまでの重イオンビームを使用する。これらのエネルギー範囲では、ビームがガントリー材料又は患者自体と相互作用するとき、いくつかの反応チャネルが開いている。その結果、複雑な浮遊(stray)二次中性子場が、熱からビームエネルギーまでの寄与を伴って生成される。陽子治療のために、二次中性子の臨床に近い状態で信頼性のある読み出しを提供する唯一の線量計はWENDI-II装置である(米国特許第5578830号明細書[13],[14])。この検出器はAnderson-Brown設計に基づいており、中性子増倍のための単一タングステン層を含んでいる。良好なエネルギー感度性能にもかかわらず、準連続又はパルス中性子場に対するこの線量計の応答は、かなり(又は、むしろ/rather)不良である。
【0011】
国際放射線単位測定委員会(ICRU)によると、放射線防護のための実用量に関する現在の勧告は、いくつかの概念的及び技術的欠点を提示している。これにより、ICRUは、200GeVまでの粒子及びエネルギー範囲の拡張範囲に対して、実効線量及び吸収線量に直接関連する新しい実用量の組を提案するように動機付けられた[15]。中性子の場合、ICRU提案は、ICRP74と比較して、それぞれ1keV未満及び20MeV超のエネルギーに対して有意な影響を有する。より低いエネルギー範囲ではICRP74は非常に保守的であるが、高エネルギー領域では現在の推奨は非常に過小評価されている。最近の研究では、非拡張線量計設計の再最適化が実用量の新しい提案の要件をよりよく一致させるために必要であると結論付けている[16]。
【0012】
上述のエネルギー感度の欠点を克服しようとする線量計は米国特許第7655921号明細書[17]によって知られており、この文献は0.025eV~数百GeVのエネルギー範囲内の中性子放射を検出するための線量計を開示しており、この線量計は、減速体として使用され、水素材料を含む、実質的に球形の基体と、基体の中心に配置された検出素子と、検出素子を取り囲む中性子変換器とを備える。中性子変換器は、高エネルギー中性子放射のエネルギーを、本質的に適切なエネルギー範囲内の中性子に変換する金属原子を含む。基体には、検出素子を中性子変換器に導入し、そこから取り出すことができるアクセス部が設けられている。中性子変換器は、円筒の形態で具現化される。
【0013】
同様に、国際公開第2009/063078号明細書[18]は放射線を検出するための機器を提供し、この機器は中性子検出器を収容する内側コアと、中性子減速体料を含む外側コアとを備え、この機器は外側コア内に配置され、中性子検出器の近位で終端する内側端を有する少なくとも1つの細長い熱中性子ガイドをさらに含む。使用時、細長い熱中性子ガイドは、熱中性子を中性子検出器に向けて導く。この装置は軽量であり、他の装置の特性である低エネルギー中性子(0.4eVから100keV)の過大評価を低減することを目的としている。
【0014】
放射線を検出するための他の機器が、米国特許第6930311号明細書[19]、米国特許第10281600号明細書[20]及び中国特許出願公開第102928867号明細書[21]によって提供/開示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の実施形態は、連続場及びパルス場の両方に適した中性子線量計を提供する。中性子線量計は当分野で知られているように、減速体として作用するポリエチレン材料で作られた円筒体と、中性子検出器として作用し、円筒体の中心に位置する能動コンポーネントと、所与のエネルギー領域における中性子検出器の過敏性を補償するための中性子フィルタとを備える。
【0016】
中性子フィルタは、所与の厚さを有する材料で作られた2つの(3つ以上であり得る)クラウンと、上下キャップとによって形成される。2つのクラウンはポリエチレン減速体の内側に配置され、ここで、前記2つのクラウンのうちの第1のクラウンは能動コンポーネントに隣接して配置され、前記2つのクラウンのうちの第2のクラウンは第1のクラウンとポリエチレン減速体の内壁表面との間に配置される。
【0017】
上下キャップは、第1のクラウンの(少なくとも)開放端を覆うように構成/配置される。上キャップは、その中に能動コンポーネントの導入を可能にする開口部を有する。上下キャップの材料の厚さは、2つのクラウンに使用される材料の厚さと同じである。さらに、第1及び第2のクラウンはそれぞれ、複数の垂直リボンを備え、各クラウン内の複数の垂直リボンによって覆われる面積は上下キャップを除き、50~95%の範囲で構成される。
【0018】
中性子線量計はまた、パルス状又は連続状である、高強度(又は、強い/intense)中性子放射場に対する中性子検出器の性能を向上させるために第1のクラウンと能動コンポーネントとの間に配置された取り外し可能な要素を有する。特に、取り外し可能な要素は、内径が能動コンポーネントの外径の1.05~1.2倍の内径を有する中空円筒を含む。
【0019】
中性子線量計は、加圧手段によって円筒体に取り外し可能に取り付けることができる。そのために、中性子線量計は円環ジョイント又はOリングを含むことができ、円筒体は2つの要素の組み立て中に取り付けられ、圧縮される円環ジョイントのための対応する溝を含む。代替的に、円筒体への中性子線量計の取り付け/固定がねじ又はファスナーを使用して行うことができる。さらに、別の実施形態では、中性子線量計が円筒体に固定されるためのねじやま(thread)を備えることができる。
【0020】
一実施形態では、2つのクラウンがカドミウム材料から作製される。この場合、所定の厚さは、0.5~1mmの範囲で構成される。別の実施形態では、2つのクラウンがホウ酸化シリコーン材料から作製される。この場合、所定の厚さは、3~5mmの範囲で構成される。
【0021】
一実施形態では、第1のクラウンの内径が2.0~3.0cmの範囲で構成され、第2のクラウンの内径は第1のクラウンの内径よりも0.5~1.75cm大きい。代替的又は相補的に、中性子フィルタの高さは、50~100mmの範囲で構成される。
【0022】
中空円筒は、ポリエチレン材料と、とりわけ、カドミウム、ホウ素と混合されたカドミウム、ポリエチレン、ホウ素と混合されたポリエチレン、又はリチウム等の中性子吸収材料とから作製され得る。中性子吸収材料は特に、任意の形状、例えば、垂直、放射状、螺旋状等の複数のリボン(又はストリップ)を含む。中性子吸収材料は、能動コンポーネントの有効容積(又は、感受域/sensitive volume)の表面の少なくとも一部を覆うことができる。いずれにしても、中性子吸収材料は有効容積の全表面を覆うことができ、この表面を超えることさえできることに留意されたい。代替的に、中空円筒がホウ素化ポリエチレン材料から作製することができ、ホウ素化ポリエチレン材料は重量で0.5~30%の割合で含まれる。
【0023】
一実施形態では、中性子線量計はまた、7~16mmの範囲に含まれる内径、及び1~3mmの厚さを有する中実鉛金属シリンダで作製されたガンマフィルタを含む。
【0024】
一実施形態では特に、5キログラム未満の軽量中性子線量計を提供するために、円筒体は7~10cmの範囲に含まれる外径Rmを含む。円筒体の全高、すなわち、Lmは、次の経験(又は、実験/empirical)式Lm(Rm,RA)=1.904・Rm+53.965・RA-138.65・RA+83.818[cm]を使用して計算することができる。ここで、Rmはcmで与えられ、RAは公称異方性係数であり、全方向性高速中性子場に対する中性子検出器の重み付き中性子応答と、能動コンポーネントを含む円筒の側方照射に対する公称応答との比として定義される。
【0025】
さらに、中性子線量計は、第2のクラウンと減速体との間に配置された金属ベリリウム又は酸化ベリリウムの要素を含むこともできる。金属ベリリウム又は酸化ベリリウムの要素は、中空形状の円筒又は同軸形状の複数の垂直リボン又はロッドからなる第3のクラウンであり得る。
【0026】
特に、能動コンポーネントは、質量で3%までの比率でHeとクエンチングガスとの混合物を含む。同様に、ポリエチレン材料は、0.90~0.98g/cmの範囲からなる密度を有する高密度ポリエチレン材料である。
【0027】
さらに別の実施形態では、能動コンポーネントが、電子処理モジュールと通信して、単一又は複数の中性子事象の検出に起因して能動コンポーネントにおいて生成された電荷を送信するように構成される。電子処理モジュールは円筒体上に外部から取り付けることができ、又は円筒体から離れて配置することができる。
【0028】
したがって、本発明は、連続中性子場及びパルス中性子場の周辺線量計における現在の市場解決策の限界を克服することができる最新の放射線センサーを提供する。特に、中性子線量計は、i)円筒体検出器を備え、ii)エネルギー応答を著しく変化させることなく検出感度をスケーリングすることを可能にする、円筒体と適合する取り外し可能な要素を備え、iii)軽量(5kg未満)である。
【0029】
線量計は、原子炉、放射性源、D-D核融合によって生成される中性子、陽子治療施設等において使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
前述及び他の利点及び特徴は添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細な説明からより完全に理解されるであろうが、図面は例示的かつ非限定的な方法で考慮されなければならない。
図1図1は、本発明の一実施形態による、提案される中性子線量計を概略的に示す。
図2図2は提案される中性子線量計の別の実施形態を概略的に示し、この場合、効率プラグ又は取り外し可能な要素を含む。
図3図3は提案される中性子線量計の別の実施形態を概略的に示し、この場合、電力及び電子処理モジュールを含む。
図4図4は、実施例1で得られた線量測定応答を示す。
図5図5は、実施例2について、能動コンポーネントの面積の被覆率と中性子感度のスケーリングファクタとの間の関係を示す。
図6図6に作業場の実績を示す。EVIDOSプロジェクト[22]によって報告されている商用線量計の上限及び下限。
図7図7にパルス照射野の実績を示す。商用線量計のデータは[24]から抽出した。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、連続的な、準連続的な、パルス中性子場で動作することができる、特にアンダーソン-ブラウン型の円筒形中性子線量計1を提供する。線量計は、アナログ又はデジタル電子機器のいずれかに基づく電荷感受性前置増幅器(charge sensitive preamplifier)及び読み出しなどの電子処理モジュールと共に使用することができる。いくつかの実施形態では、中性子線量計1が5キログラム未満(電子機器を除く)の最大重量を有し、すなわち線量計は軽量である。
【0032】
中性子線量計1のエネルギー感度は、勧告ICRP74又はICRU-RC26に従う。同様に、中性子検出器は、10E-9(熱)から10MeV又は20MeV(後者は中性子乗算器を使用する場合)までの動作エネルギー用に設計される。平均検出感度からの偏差は、全方向性高速中性子場又は作業場の公称感度から20%未満である。
【0033】
図1及び図2A及び図2Bは、提案された中性子線量計1の異なる実施形態を示す。中性子線量計1は、減速体として作用する円筒体100(又は受動コンポーネント)と、中性子検出器として作用する能動コンポーネント101と、熱及び熱外(又は、エピサーマル)エネルギー領域における中性子検出器の過敏性を補償する中性子フィルタ102とを備える。
【0034】
一実施形態では、円筒体100が高密度ポリエチレン材料(密度0.90~0.98g/cm)で作製される。円筒体100の外径(Rm)は、7cmから9.5又は10.0cmまでとすることができる。円筒体100の全高(Lm)は、以下の式を用いて算出することができる。
Lm(Rm,RA)=1.904・Rm+53.965・RA-138.65・RA+83.818[cm](式1)
式中、Rmはcmで与えられ、RAは公称異方性係数(nominal anisotropy factor)である。RAは、全方向性高速中性子場に対する中性子検出器の重み付き中性子応答と、能動コンポーネント101を含む円筒の側方照射(lateral irradiation)に対する公称応答(nominal response)との間の比として定義される。減速体100のアスペクト比(Lm/Rm)は、1.2から1.8になる。同様に、特に、RAは0.8から1.3になり得る。
【0035】
他の実施形態では5キログラム未満の質量に限定されないが、円筒体の外径(Rm)は16.0cmまでになり得ることに留意されたい。
【0036】
能動コンポーネント101は、有効容積、又は能動長さ(又は、有効長/active length)111を含む。能動コンポーネント101は、Heガスとクエンチングガス(3質量%以下)とで満たされている。能動コンポーネント101の外径(outer diameter)は0.5~1.0インチの範囲に含まれ得、感応容積111は30~70mm、特に50mmの範囲に含まれ得る。
【0037】
中性子フィルタ102は0.5~1mmの厚さを有するカドミウム箔から作製することができ、又は3~5mmの厚さを有するホウ酸化シリコーン材料から作製することができる。
【0038】
中性子フィルタ102は、2つのクラウン102A、102B及び上下キャップ102C、102Dとして形成された円筒体100の内部に配置される。第1のクラウン102Aは能動コンポーネント101に隣接して配置され、第2のクラウン102Bは、第1のクラウン102Aと円筒体100の内壁表面との間に配置される。上下キャップ102C、102Dは、第1のクラウン102Aの開放端を覆うために含まれる。上キャップ102Cには、能動コンポーネント101をその中に導入することを可能にする開口部がある。上下キャップ102C、102Dの材料厚は約0.5mmであり、2つのクラウン102A、102Bの材料厚と同じである。
【0039】
第1及び第2のクラウン102A、102B(図には図示されていないが)は、別々の(discrete)数の垂直リボンから作られている。各クラウンの垂直リボンによって覆われる領域は、上下キャップ102C、102Dを除くと、50~95%である。特定の実施形態によれば、第1のクラウン102Aは6個の垂直リボンから作ることができ、第2のクラウン102Bは8個の垂直リボンから作ることができる。2つのクラウン102A、102Bの高さは、50~100mmの間になる可能性がある。
【0040】
代替的に、図示しない別の実施形態では中性子フィルタ102が中空の同軸円筒として円筒体100の内部に配置される。単一のフィルタが使用されるこの場合、内径は2.5~5cmとすることができる。
【0041】
中性子線量計1は、X線に対する能動コンポーネント101の感度を低減するためにガンマフィルタを組み込むこともできる。特に、ガンマフィルタは、中実の鉛金属円筒からなる。前記金属円筒の内径は7~16mmで変化することができ、その厚さは、1~3mmであることができる。
【0042】
さらに、中性子増倍管として作用する金属ベリリウム又はベリリウム酸化物要素を使用して、10MeVより高いエネルギーに対する中性子検出器の過小感度性(under sensitivity)を補償することもできる。特に、金属ベリリウム又はベリリウム酸化物要素は、第2のクラウン102Bと円筒体100との間に配置され、中空形状の円筒の形態、又は同軸形状の複数の垂直リボン又はロッドで作られた第3のクラウンの形態のいずれかであり得る。シリンダ又はクラウンの内径は、4~7cmとすることができる。垂直リボンを使用する場合、材料の厚さは3~12mmである。ロッドを使用する場合、ロッドの直径は4~10mmになる。クラウンを使用する場合、全てのリボン又はロッドによって張られた(subtended)合計の角度は、72度から165度に至る。
【0043】
図2A及び2Bの実施形態では前述の要素に加えて、中性子線量計1は10MeVよりも高いエネルギーに対する中性子検出器の過小感度性を補償するために、円筒体100に挿入された取り外し可能なプラグ(又は要素)104も含む(図2Aの下部の矢印は取り外し可能な要素104の受動コンポーネント100への挿入方向を示す)。取り外し可能な要素104は、能動コンポーネント101の外径の1.05~1.2倍の内径を有する中空円筒を含む。
【0044】
中空円筒は複数のリボン/ストリップを有する中性子吸収材料106とポリエチレン材料(例えば、高密度ポリエチレン材料)から作製することができる。中性子吸収材料106は、リチウム、カドミウム、ポリエチレン、ホウ素化ポリエチレン等の異なる材料から作製することができる。中性子吸収材料106は、能動コンポーネント101の有効容積111を覆うことができる。特に、中空円筒内の中性子吸収材料106によって覆われる、上端及び下端を除くHe充填管面積の割合は、20%~95%である。代替的に中空円筒がホウ素化ポリエチレン材料から作製することができ、ホウ素化ポリエチレン材料は重量で0.5~30%の割合で含まれる。ガンマフィルタ105は、取り外し可能なプラグ104の一部として含まれる。この場合、ガンマフィルタ105は、1~3mmの厚さを有する。
【0045】
図3は、中性子線量計1が円筒体100の上部に取り付けられた電子処理モジュール108も含む実施形態を示す。電子処理モジュール108は能動コンポーネント101と通信し、スマートフォン、コンピュータ、サーバ等の異なるコンピューティングデバイスに読出しを送信するように動作可能に接続される。電子チェーン(又は、回路/chain)は、高電圧及び低電圧のDC電源を含む。信号処理及び読み出しは、アナログ電子機器及び/又はデジタル電子機器のいずれかに基づくことができる。連続又は準連続中性子場を測定する場合、中性子線量計1は単一事象を検出し(パルスモード)、適切な単位で線量率を提供することができるレートメータ又は同等の電子機器を使用することによって動作する。パルス中性子場の場合、中性子線量計1は中性子バーストからの検出事象によって能動コンポーネント101の内部に堆積された全電荷を決定することができる電子機器を含む電荷集積(又は、電荷積分/integration)モードで動作し、中性子バーストによって積分線量(integrated dose)を提供する(パルス線量率)。
【0046】
図示されていない他の実施形態では、電子処理モジュールが円筒体100から離れて配置することができることに留意されたい。
【0047】
提案された中性子線量計1の異なる特定の例を以下に詳述する。
【0048】
実施例1
この例によれば、中性子線量計は総質量が5kg未満の軽量であり、指定されたエネルギー範囲が熱から10MeVまでである。能動コンポーネント101はHe充填円筒形中性子計数器であり、公称10気圧、外径1インチ、全管長74.6mm、及び検出容積の公称長さ50mmである。円筒体100は、公称密度が0.95gr/cmの高密度ポリエチレン材からなる。公称異方性係数は、RA=1.1となるように選択される。減速体の外径は、Rm=9cmに選択される。したがって、減速体の長さは13.7cmである。中性子フィルタ102は、厚さ0.5mmの天然カドミウム材料で作られる。第1のクラウン102Aは、上下キャップを含む75mmの長さの6個の垂直リボンと、内径2.25cmで形成される。第1のクラウン102Aの各リボンによって範囲を定められたアークは51度である。第2のクラウン102Bは3.25cmの内径で8つの垂直リボンによって作られ、各リボンは36度の円弧を成す。能動コンポーネント101及び中性子フィルタ102は、円筒体100の半径方向及び軸方向軸に対して対称に配置される。素子100~102を含めた装置の総質量は3.5kgである。
【0049】
GEANT4ツールキット(https://geant4.web.cern.ch/)を用いたモンテカルロシミュレーションにより、この実施例の反応を計算した。線量反応は、252Cf中性子源からの基準スペクトルに対して較正される。線量測定応答を図4に示し、拡張及び非拡張エネルギー範囲の商用線量計について同様の計算と比較する。本実施例の軽量線量計1によって提供されるエネルギー応答は満足のいく性能を示し、商用の装置と同様である。
【0050】
原子炉、輸送キャスク、燃料処理核施設及び高速中性子源を含む異なる作業場における中性子スペクトルの性能も研究した。参照データはEVIDOSプロジェクト[22]及びISO勧告8529-2001によって報告されているように、表1に提供されている。本実施例の計算を図6に示し、典型的な値と比較する。軽量中性子線量計1は、より重い商業用装置と同様の性能を作業場で提供する。
表1:原子炉、輸送キャスク、燃料処理核施設及び高速中性子源を含む作業場のための参照中性子スペクトル。
【0051】
実施例2
実施例1による軽量中性子線量計は中性子感度を非常に激しい(又は、強い/intense)中性子場に適合させるために、取り外し可能な要素104で修正されている。この実施例で使用される取り外し可能な要素104は、0.95gr/cmの公称密度を有する高密度ポリエチレン材料で作られる。中空円筒は、27.5mmの内径を有する。
【0052】
実施例1における能動コンポーネント101の面積の被覆率と中性子感度の倍率との一般的な関係を図5に示す。本実施例では、吸収中性子材料106が能動コンポーネント101の面積の75%を覆う垂直リボンの形態で中空円筒の内部に挿入される天然カドミウムである。したがって、線量計感度は、係数0.46だけ低減される。全質量における本実施例の影響は、100gr未満である。
【0053】
図6に、実施例2について、異なる作業場における性能の計算を示す。これらの計算は、取り外し可能な要素104が全体的なエネルギー応答を著しく損なうことなく、中性子感度を効果的にスケーリングすることができることを実証する。
【0054】
実施例3
実施例1及び2に記載の中性子線量計はパルス中性子場を測定するために、適切な電子処理モジュールを有する電荷積分モードで使用される。実施例1に記載される能動コンポーネント101の固有応答は、破砕中性子源によって生成されるパルス場において実験的に特徴付けられている。これらのデータは、パルス中性子場における線量計性能の導出に使用されてきた。
【0055】
実施例1及び2におけるパルス中性子場の性能を図7に示し、商用の線量計の基準データ[23]と比較する。この実施例3の軽量中性子線量計は、強い事象のパイルアップによって損なわれることなく、バンチ当たり1uSvよりも高いパルス中性子線量を測定することができる。さらに、実施例2における装置のための取り外し可能な要素104の使用は、ダイナミックレンジを2倍に増加させるための追加の柔軟性を提供する。
【0056】
他の実施形態では、この場合図示されていないが、提案された取り外し可能な要素又はプラグ104はまた、カウント速度におけるパイルアップ又は待ち時間を低減するために、任意の形状の中性子減速体に基づいて、能動コンポーネントの固有の過敏性を補償するために、他の検出器において使用され得る。この場合、中性子計数検出器の本体(又は他の要素)は取り外し可能な要素104がそこに固定/取り付けられるように、取り外し可能な要素と互換性のある構成を有するべきである。
【0057】
本開示及び/又はいくつかの他の例を上記で説明した。上記の説明によれば、様々な変更を行うことができる。本開示のトピックは、様々な形態及び実施形態で達成することができる。特許請求の範囲において保護されることが必要とされるすべての適用、修正及び変更は、本開示の保護範囲内であり得る。
【0058】
本発明の範囲は、以下の請求項のセットにおいて定義される。
下記は、本願の出願当初に記載の発明である。
<請求項1>
減速材として作用するポリエチレン材料で作られた円筒体(100)と、
中性子検出器として作用する能動コンポーネント(101)であって、前記能動コンポーネント(101)は前記円筒体(100)の中心に位置する能動コンポーネントと、
所与のエネルギー領域における前記中性子検出器の過敏性を補償するように構成された中性子フィルタ(102)であって、
前記中性子フィルタ(102)は所定の厚さを有する材料で作られた少なくとも2つのクラウン(102A、102B)によって構成され、前記少なくとも2つのクラウン(102A、102B)は前記円筒体(100)の内側に配置され、前記2つのクラウン(102A、102B)の第1(102A)は前記能動コンポーネント(101)に隣接して配置され、前記2つのクラウン(102A、102B)の第2(102B)は前記第1のクラウン(102A)と前記円筒体(100)の内壁表面との間に配置される、中性子フィルタと、
前記第1のクラウン(102A)の開放端を覆うように構成された上下キャップ(102C,102D)であって、前記上キャップ(102C)はその中に前記能動コンポーネント(101)の導入を可能にする開口部を有する、上下キャップと、を備える中性子線量計であって、
前記上下キャップ(102C,102D)の材料の厚さは前記2つのクラウン(102A,102B)の材料の厚さと同じであり、
前記第1及び第2のクラウン(102A、102B)はそれぞれ複数の垂直リボンを備え、各クラウンの前記複数の垂直リボンによって覆われる面積は、上下キャップ(102C、102D)を除き、50~95%の範囲で構成され、
前記中性子線量計は
パルス状又は連続状である、激しい中性子放射場に対する前記中性子検出器の性能を向上させるために前記第1のクラウン(102A)と前記能動コンポーネント(101)との間に配置された取り外し可能な要素(104)であって、前記取り外し可能な要素(104)は内径が前記能動コンポーネント(101)の外径の1.05倍から1.2倍の間の中空円筒を含む、取り外し可能な要素をさらに備える、
ことを特徴とする、中性子線量計。
<請求項2>
2つのクラウン(102A、102B)がカドミウム材料から成り、所定の厚さが0.5~1mmの範囲で構成される、請求項1の中性子線量計。
<請求項3>
2つのクラウン(102A、102B)がホウ酸化シリコーン材料から成り、所定の厚さが3~5mmの範囲で構成される、請求項1の中性子線量計。
<請求項4>
第1のクラウン(102A)の内径は2.0~3.0cmの範囲で構成され、第2のクラウン(102B)の内径は前記第1のクラウン(102A)の内径より0.5~1.75cm大きく、及び/又は
前記中性子フィルタ(102)の高さは50~100mmの範囲で構成される、
請求項1~3に記載の中性子線量計。
<請求項5>
前記中空円筒がポリエチレン材料と、複数のリボン/ストリップを有する中性子吸収材料(106)とから作製され、前記中性子吸収材料(106)が前記能動コンポーネント(101)の有効容積(111)の表面の少なくとも一部を覆う、請求項1に記載の中性子線量計。
<請求項6>
前記中空円筒がホウ素化ポリエチレン材料で作られ、前記ホウ素化ポリエチレン材料が重量で0.5~30%の割合で含まれる、請求項1に記載の中性子線量計。
<請求項7>
7~16mmの範囲に含まれる内径、及び1~3mmの厚さを有する中実鉛金属シリンダで作製されたガンマフィルタ(105)をさらに備える、請求項1、5又は6に記載の中性子線量計。
<請求項8>
前記線量計が軽量線量計であり、前記円筒体(100)が、7~10cmの範囲内に含まれる外径Rmと、Lm(Rm,RA)=1.904Rm+53.965RA-138.65RA+83.818[cm]によって計算される全高Lmとを含み、Rmはcmで与えられ、RAは公称異方性係数であり、全方向性高速中性子場に対する前記中性子検出器の重み付き中性子応答と、能動コンポーネント(101)を含む円筒の側面照射に対する公称応答との比として定義される、請求項1~7に記載の中性子線量計。
<請求項9>
前記第2のクラウン(102B)と前記円筒体(100)との間に配置された金属ベリリウム又は酸化ベリリウムの要素をさらに含む、請求項8に記載の中性子線量計。
<請求項10>
前記金属ベリリウム又は酸化ベリリウムの要素は、中空形状の円筒又は同軸形状の複数の垂直リボン又はロッドからなる第3のクラウンである、請求項9に記載の中性子線量計。
<請求項11>
前記能動コンポーネント(101)が、重量で3%までの比率で3Heとクエンチングガスとの混合物を含む、請求項1~10に記載の中性子線量計。
<請求項12>
前記ポリエチレン材料が、0.90~0.98g/cm3の範囲からなる密度を有する高密度ポリエチレン材料である、請求項1~11に記載の中性子線量計。
<請求項13>
総線量計質量が5キログラム未満である、請求項8~12に記載の中性子線量計。
<請求項14>
前記能動コンポーネント(101)は、電子処理モジュール(108)と通信して、単一又は複数の中性子事象の検出に起因して前記能動コンポーネント(101)において生成された電荷を送信するように構成される、請求項1~13に記載の中性子線量計。
<請求項15>
前記電子処理モジュールが、前記円筒体(100)上に外部に取り付けられるか、又は前記円筒体(100)から離れて配置される、請求項14に記載の中性子線量計。
【0059】
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図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7