(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】改善されたガスベンティング構造を有する電池モジュールおよびそれを含む電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/30 20210101AFI20241210BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20241210BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20241210BHJP
【FI】
H01M50/30
H01M50/35 201
H01M50/367
(21)【出願番号】P 2022547277
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 KR2021010035
(87)【国際公開番号】W WO2022030905
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2020-0099333
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ミン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・オ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ボム・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ギュ・シン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジュン・キム
【審査官】上野 文城
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/073201(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/152992(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/075962(WO,A1)
【文献】特開2011-171175(JP,A)
【文献】特表2020-522855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/30
H01M 50/204
H01M 50/35
H01M 50/367
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルを収容する収容部が形成されたモジュールケース、及び
前記モジュールケース内に収容された1つまたは2つ以上の電池セルを含み、かつ
前記モジュールケースの1つまたは2つ以上の側面にはガスベンティング構造が形成され、
前記ガスベンティング構造は、
第1ガスベンティングホールと前記第1ガスベンティングホールを覆う構造の第1メッシュ構造体を含む第1隔壁、及び
前記第1隔壁の外側に一定の距離を離隔して形成され、かつ第2ガスベンティングホールと前記第2ガスベンティングホールを覆う構造の第2メッシュ構造体を含む第2隔壁を含み、
前記第1隔壁に形成された前記第1ガスベンティングホールと前記第2隔壁に形成された前記第2ガスベンティングホールが互いに対向しない領域に位置する構造であり、
前記第1メッシュ構造体に形成された気孔の平均直径D1が、前記第2メッシュ構造体に形成された気孔の平均直径D2より大きく、下の条件1を満たす、電池モジュール。
[条件1]
1.1xD2≦D1≦3.5xD2
【請求項2】
前記ガスベンティング構造は、前記モジュールケースの互いに対向する両側面に形成された構造である、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記ガスベンティング構造を通じたベンティングガスの流出経路は、断面を基準として、2回の回転経路を有する構造である、請求項1または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記回転経路は、それぞれ垂直に回転される経路である、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記ガスベンティング構造を通じたベンティングガスの流出経路は、断面を基準として、
前記第1隔壁に形成された前記第1メッシュ構造体を通じて排出された前記ベンティングガスが前記第1隔壁と前記第2隔壁との間の離隔空間に進入しながら折れる一次回転経路、及び
前記ベンティングガスが前記第1隔壁と前記第2隔壁との間の前記離隔空間を経由した後に前記第2隔壁に形成された前記第2メッシュ構造体を通じて排出されながら折れる二次回転経路を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記第1ガスベンティングホール及び前記第2ガスベンティングホールは、それぞれ独立して、前記第1隔壁または前記第2隔壁上の貫通構造が一方向に続く構造であるか、
複数のホールが同一軸上で一定の距離を離隔して形成された構造である、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記第2隔壁は前記モジュールケースの外面を構成し、
前記第1隔壁は、前記第2隔壁の内側に締結されたブラケット構造である、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
電池セルを収容する収容部が形成されたモジュールケース、及び
前記モジュールケース内に収容された1つまたは2つ以上の電池セルを含み、かつ
前記モジュールケースの1つまたは2つ以上の側面にはガスベンティング構造が形成され、
前記ガスベンティング構造は、
第1ガスベンティングホールと前記第1ガスベンティングホールを覆う構造の第1メッシュ構造体を含む第1隔壁、及び
前記第1隔壁の外側に一定の距離を離隔して形成され、かつ第2ガスベンティングホールと前記第2ガスベンティングホールを覆う構造の第2メッシュ構造体を含む第2隔壁を含み、
前記第1隔壁に形成された前記第1ガスベンティングホールと前記第2隔壁に形成された前記第2ガスベンティングホールが互いに対向しない領域に位置する構造であり、
前記モジュールケースは、
板状構造のボトムプレート、及び
前記ボトムプレートを覆うように両側端部が一方向に折り曲げられたU字型のトッププレートを含み、
前記トッププレートの折り曲げられた両側端部のうちのいずれか一側または両側に前記ガスベンティング構造が形成された構造である、電池モジュール。
【請求項9】
電池セルは、前記モジュールケースの前記ガスベンティング構造が形成された前記側面と垂直する方向に配向されて、前記モジュールケースに収容された形態である、請求項1~8のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の1つまたは2つ以上の電池モジュール、及び前記電池モジュールをパッケージングするパックケースを含む、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年08月07日付の韓国特許出願第10-2020-0099333号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、改善されたガスベンティング構造を有する電池モジュールおよびそれを含む電池パックに関するものである。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池は充電および放電により繰り返し使用可能な電池であって、1つの電池モジュールからなって携帯電話、ノートパソコン、カメラ、キャムコーダーなどの携帯できる小型電子機器に使用されるか、多数の電池モジュールを含む電池パックからなって高出力のハイブリッド電気自動車(HEV)、電気自動車(EV)などのモーター駆動用の電源として用いられている。
【0004】
特に、電気自動車などは高出力の電気エネルギーが使用されるため、車両1台当たりに相当量の電池を必要とする。したがって、多数の電池セルを組み合わせた電池モジュール、或いは上記電池モジュールを含む電池パックが求められる。電池モジュール内には多数の電池セルが収容される構造であり、充放電過程で各電池セルから熱が発生し、発生された熱は周りの電池セルを再び加熱するという問題がある。特に、非正常的な運転条件などに起因して電池セルの熱暴走(thermal runaway)が発生する場合、熱とともにスパークや火種が放出される。既存の電池モジュールは、熱を排出する過程で、スパークや火種がともに排出され、それが電池モジュールの外部の火炎を誘発し得る。したがって、電池セルの熱暴走(thermal runaway)が発生する場合、発生された熱は迅速に排出し、かつスパークや火種が外部に流出するのを遮断する安全部材に対する必要性がある。あわせて、このような安全部材は、体積を過渡に占めしたり、工程効率を低下させたりしてはならない。
【0005】
図1は、従来の電池モジュールの斜視図及び断面図である。
図1を参照すると、従来の電池モジュール10は、モジュールケース11内に多数の電池セル20が収容された構造である。上記モジュールケース11の一側面にはPCM基板が実装されたエンドプレート14が位置し、上記エンドプレート14の一側に、ガス排出のためのガスベンティングホール10(a)が形成された構造である。電池セルの充放電過程で排出される熱乃至ガスは、上記ガスベンティングホール10(a)を通って排出される。しかし、上記ガスベンティングホール10(a)は、電池モジュール10の一側に偏って形成された構造であり、熱乃至ガスが排出される過程で周りにある電池セル20の方に熱が伝播されて、ガスの排出が容易ではないという限界がある。場合によっては、モジュールケース10において、エンドプレート14が位置する反対側にも追加のガスベンティングホール10(b)を形成したりもする。この場合、熱乃至ガスの排出はより容易になり得る。しかし、熱乃至ガスが排出される過程で、周りにある電池セル20の方に熱が伝播されて、特定の電池セル20から発生した熱が周りの電池セル20に速いスピードで伝播されるという限界が依然と存在する。
【0006】
したがって、電池モジュール10内部の熱乃至ガスを効果的に排出しながら、内部に収容された電池セル20間の熱伝播を遮断し得る、技術に対する必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許公開公報第2019-0097192号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するために案出されたものであり、改善されたガスベンティング構造を有する電池モジュールおよびそれを含む電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は電池モジュールを提供する。一例において、本発明に係る電池モジュールは、電池セルを収容する収容部が形成されたモジュールケース、及び上記モジュールケース内に収容された1つまたは2つ以上の電池セルを含み、かつ上記モジュールケースの一つ又は二つ以上の側面にはガスベンティング構造が形成された構造である。具体的には、上記ガスベンティング構造は、第1ガスベンティングホールと上記第1ガスベンティングホールを覆う構造の第1メッシュ構造体を含む第1隔壁、及び上記第1隔壁の外側に一定の距離を離隔して形成され、かつ第2ガスベンティングホールと上記第2ガスベンティングホールを覆う構造の第2メッシュ構造体を含む第2隔壁を含む。また、上記第1隔壁に形成された第1ガスベンティングホールと第2隔壁に形成された第2ガスベンティングホールは、互いに対向しない領域に位置する構造である。
【0010】
別の一例において、上記ガスベンティング構造は、モジュールケースの対向する両側面に形成された構造である。
【0011】
具体的な一例において、上記ガスベンティング構造によるベンティングガス(venting gas)の流出経路は、断面を基準にして、2回の回転経路を有する構造である。例えば、上記回転経路はそれぞれ垂直方向に回転される経路である。
【0012】
別の具体的な一例において、上記ガスベンティング構造によるベンティングガスの流出経路は、断面を基準として、第1隔壁に形成された第1メッシュ構造体を通って排出されたベンティングガスが第1隔壁と第2隔壁との間の離間空間へ進入しながら折れる一次回転経路、および第1隔壁と第2隔壁との間の離隔空間を経由した後に第2隔壁に形成された第2メッシュ構造体を通って排出されながら折れる二次回転経路を含む。
【0013】
一例において、第1ガスベンティングホール及び第2ガスベンティングホールはそれぞれ独立して、第1隔壁又は第2隔壁上の貫通構造が一方向に続く構造であるか、或いは複数のホールが同一軸上で一定の距離を離隔して形成された構造である。
【0014】
別の一例において、第1メッシュ構造体に形成された気孔の平均直径D1が、第2メッシュ構造体に形成された気孔の平均直径D2より大きく、下の条件1を満たす。
[条件1]
0.9xD2≧D1≧0.3xD2
【0015】
一例において、本発明に係る電池モジュールにおいて、上記第2隔壁はモジュールケースの外面を構成し、上記第1隔壁は第2隔壁の内側に締結されたブラケット構造である。
【0016】
一例において、上記モジュールケースは、板状構造のボトムプレート、および上記ボトムプレートを覆うように両側端部が一方向に折り曲げられたU字型びトッププレートを含み、上記トッププレートの折り曲げられた両側端部のうちのいずれか一側、或いは両側にガスベンティング構造が形成された構造である。
【0017】
別の一例において、電池セルは、モジュールケースのガスベンティング構造が形成された側面と垂直な方向に配向されて、モジュールケースに収容された形態である。
【0018】
また、本発明は、上述した電池モジュールを含む電池パックを提供する。一例において、本発明に係る電池パックは、1つまたは2つ以上の電池モジュール、および電池モジュールをパッケージングするパックケースを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電池モジュールおよびそれを含む電池パックは、モジュールケースのある1つまたは2つ以上の側面にそれぞれメッシュ構造が形成された第1隔壁および第2隔壁を含むガスベンティング構造を形成することによって、電池セルの熱放出効率に優れて電池セルの熱暴走時にもスパークや火種の流出を遮断し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来の電池モジュールの斜視図及びガスベンティング経路を示した断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電池モジュールの斜視図およびガスベンティング経路を示した断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電池モジュールのガスベンティング経路を示した拡大図である。
【
図4】本発明の他の一実施形態に係る電池モジュールのガスベンティング経路を示した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について詳細に説明する。その前に、本明細書および特許請求の範囲で使用された用語または単語は、通常的或いは辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者が彼自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義し得るという原則に立脚して、本発明の技術的思想に合致する意味と概念として解釈されるべきである。
【0022】
本発明は電池モジュールを提供する。一実施形態において、本発明に係る電池モジュールは、電池セルを収容する収容部が形成されたモジュールケース、及び上記モジュールケース内に収容された一つまたは二つ以上の電池セルを含み、かつ上記モジュールケースの一つまたは二つ以上の側面にはガスベンティング構造が形成された構造である。また、上記ガスベンティング構造は、第1ガスベンティングホールと上記第1ガスベンティングホールを覆う構造の第1メッシュ構造体を含む第1隔壁、及び上記第1隔壁の外側に一定の距離を離隔して形成され、かつ第2ガスベンティングホールと上記第2ガスベンティングホールを覆う構造の第2メッシュ構造体を含む第2隔壁を含み、上記第1隔壁に形成された第1ガスベンティングホールと第2隔壁に形成された第2ガスベンティングホールは互いに対向しない領域に位置する。
【0023】
本発明に係る電池モジュールは、モジュールケースの1つまたは2つ以上の側面に二重隔壁からなるガスベンティング構造を含む。例えば、既存の電池モジュールがエンドプレート上に単一のガスベンティングホールを形成した構造と比較して、熱乃至ガスの排出効率を高めることができる。特に、既存の電池モジュールは、ガスベンティングホールの方向に熱乃至ガスが排出されながら周りの電池セルに対する熱伝播も共になされるという限界があった。しかし、本発明は、モジュールケースの一面をガスベンティング構造で形成することによって、熱乃至ガスが排出される場合に周りの電池セルに対する熱伝播を誘発しないという長所がある。
【0024】
上記ガスベンティング構造は、モジュールケースの一側面に形成された構造であるか、或いは2つ以上の側面に形成された構造である。一実施形態において、上記ガスベンティング構造は、モジュールケースの互いに対向する両側面に形成された構造である。ガスベンティング構造をモジュールケースの互いに対向する両側面に形成することによって、熱乃至ガスの排出を円滑にし、電池モジュール内の特定の位置にある電池セルに熱やガスが集中される現象を防止する。
【0025】
一実施形態において、上記ガスベンティング構造は、モジュールケースの側面の50~100%の面積に形成された構造である。具体的には、上記ガスベンティング構造は、モジュールケース側面の50~95%または60~85%の面積に形成された構造である。上記ガスベンティング構造の形成面積は、第1隔壁に形成された第1メッシュ構造体と第2隔壁に形成された第2メッシュ構造体が形成された各面積を合計した数値である。上記第1メッシュ構造体および第2メッシュ構造体はそれぞれ、第1隔壁および第2隔壁の15~60%または30~50%の面積に形成され得る。例えば、第1隔壁には40~60%の面積に第1メッシュ構造体が形成され、第2隔壁には30~50%の面積に第2メッシュ構造体が形成され、かつ上記第1メッシュ構造体及び第2メッシュ構造体が形成された領域は互いに重ならない構造である。
【0026】
本発明において、上記ガスベンティング構造は、特定された1つのホールを形成する構造ではなく、一定のレベル以上の面積にわたって形成された構造である。これにより、熱乃至ガスが、排出される過程で特定の地点に集中される現象を防止する。
【0027】
一実施形態において、上記ガスベンティング構造を通るベンティングガス(venting gas)の流出経路は、断面を基準にして、2回の回転経路を有する構造である。内部のガスが回転経路なしで直接放出されると、熱とガスのみならず他の導電性成分が共に排出され得る。これにより、電池セル間あるいは電池モジュール間の熱暴走現象が発生され得る。本発明は、ベンティングガスの流出経路が2回の回転経路を有するように構成することによって、熱暴走現象を防止することになる。具体的な実施形態において、上記回転経路は、それぞれ垂直に回転される経路である。
【0028】
例えば、上記ガスベンティング構造を通るベンティングガスの流出経路は、断面を基準にして、第1隔壁に形成された第1メッシュ構造体を通じて排出されたベンティングガスが第1隔壁と第2隔壁との間の離隔空間に進入しながら折れる一次回転経路、および第1隔壁と第2隔壁との間の離隔空間を経由した後に、第2隔壁に形成された第2メッシュ構造体を通じて排出されながら折れる二次回転経路を含む。本発明においては、電池モジュール内部の熱乃至ガスが隔壁に形成されたメッシュ構造体を通じて直に排出されるのを防止する。さらに、各隔壁には一定の面積以上で形成されたガスベンティングホールが形成されることによって、熱乃至ガスの円滑な排出を誘導しする。あわせて、各隔壁に形成されたメッシュ構造体は導電性粒子等が排出されることを一次に遮断する役割をする。ひいては、ガスベンティング構造を2回回転するように構成することによって、熱暴走現象を防止し得る。
【0029】
一実施形態において、上記第1ガスベンティングホールおよび第2ガスベンティングホールはそれぞれ独立して、第1隔壁または第2隔壁上の貫通構造が一方向に続いている構造であるか、或いは複数のホールが同一軸上で一定の距離を離隔して形成された構造である。例えば、第1隔壁および/または第2隔壁には、一字型の貫通構造が形成され、各メッシュ構造体が当該貫通構造内に位置するか、或いは覆う形態で位置する。これにより、電池モジュール内部の熱乃至ガスの円滑な排出を誘導する。別の例をあげると、第1隔壁および/または第2隔壁には、複数のホールが一定の距離を離隔して形成された構造であり、各メッシュ構造体が当該貫通構造内に位置するか、或いは覆う形態で位置する。これにより、本発明は、ガスベンティングホールの形成によるモジュールケースの機械的強度の低下を防止し得る。
【0030】
別の一実施形態において、第1メッシュ構造体に形成された気孔の平均直径D1が第2メッシュ構造体に形成された気孔の平均直径D2より大きく、下の条件1を満たす。
[条件1]
1.1xD2≧D1≧3.5xD2
【0031】
本発明において、内側に位置する第1メッシュ構造体は相対的に大きい気孔が形成された構造であり、外側に位置する第2メッシュ構造体は相対的に小さい気孔が形成された構造である。具体的な例において、上記第1メッシュ構造体に形成された気孔の平均直径D1は、第2メッシュ構造体に形成された気孔の平均直径D2の1.1~3.5倍の範囲、1.1~2.5倍の範囲、1.5~3倍の範囲、2~3.5倍の範囲または1.5~2.5倍の範囲にある。本発明において、上記第1メッシュ構造体に形成された気孔の平均直径D1が、第2メッシュ構造体に形成された気孔の平均直径D2と同等のレベルである場合を、排除するものではない。これにより、第1メッシュ構造体を通じた熱乃至ガスの排出は円滑にし、第1メッシュ構造体でろ過されない粒子状成分は第2メッシュ構造体でろ過されるように構成する。このような配置を通じて、モジュールケース内の熱乃至ガスの排出効率は高め、電池モジュールの安全性を向上させることができる。
【0032】
本発明において、ガスベンティング構造を形成する第1隔壁および第2隔壁は、モジュールケースの一側面を構成する。一実施形態において、上記第2隔壁はモジュールケースの外面を構成し、上記第1隔壁は第2隔壁の内側に締結されたブラケット構造である。具体的には、本発明に係るガスベンティング構造は、モジュールケースにガスベンティングホールが形成された側面を形成し、上記ガスベンティングホールが形成された側面の内側または外側にもガスベンティングホールが形成されたブラケットを締結する構造であり得る。また、上記各ガスベンティングホールを覆うようにメッシュ構造体を形成する。
【0033】
別の一実施形態において、上記モジュールケースは、板状構造のボトムプレート、および上記ボトムプレートを覆うように両側端部が一方向に折り曲げられたU字型のトッププレートを含み、上記トッププレートの折り曲げられた両側端部のうちの何れか一側あるいは両側にガスベンティング構造が形成された構造である。具体的には、板状構造のボトムプレート上に電池セルを積層し、積層された電池セルを覆うようにU字型のトッププレートを位置する。この場合、上記U字型のトッププレートの一側または両側の端部には、ガスベンティング構造が形成される。これにより、電池セルの収容を容易にしながら、同時に効果的なガスベンティング構造を形成し得る。本発明の別の例として、上記モジュールケースは、両側端部が一方向に折り曲げられたU字型のボトムプレート、及び上記ボトムプレートの開放された上部面を覆う板状構造のトッププレートを含む構造も可能である。
【0034】
本発明の電池モジュールは、多数の電池セルが収容された構造である。一実施形態において、電池セルは、モジュールケースのガスベンティング構造が形成された側面と垂直な方向に配向されて、モジュールケースに収容された形態である。本発明では、電池セルが収容された方向とガスベンティング構造が形成された面とを垂直となるように位置する。これにより、電池セルから発生した熱乃至ガスを効果的に排出すると同時に、熱乃至ガスの排出過程で周りの電池セルに与える影響を最小限に抑えた。本発明において、電池セルの配向方向とガスベンティング構造が形成された側面が「垂直な方向」を形成するというのは、物理的に90度の垂直を成す場合のみならず、互いに交差する方向を包括したものである。例えば、80度~110度レベルの角度を成す場合を含むものとして解釈する必要がある。
【0035】
また、本発明は、上述した電池モジュールを含む電池パックを提供する。一実施形態において、本発明に係る電池パックは、1つまたは二つ以上の電池モジュール、および電池モジュールをパッケージングするパックケースを含む。上記電池モジュールは、上述した通りであるので、具体的な説明は省略する。上記電池パックは多様な形態で活用可能である。例えば、自動車の動力源として適用可能である。例えば、上記電池パックは、ハイブリッド自動車乃至電気自動車などの動力源として適用可能である。
【0036】
以下、図面等を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、本明細書に記載された図面に記載された構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替し得る多様な均等物及び変形例があり得ることを理解する必要がある。
【0037】
(第1実施形態)
図2は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの斜視図およびガスベンティング経路を示した断面図である。
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る電池モジュール100は、電池セル102を収容する収容部が形成されたモジュールケース101、および上記モジュールケース101内に収容された多数の電池セル102を含む。上記モジュールケース101の両側面にはガスベンティング構造が形成されている。
【0038】
一面に形成された上記ガスベンティング構造は、第1ガスベンティングホールと上記第1ガスベンティングホールを覆う構造の第1メッシュ構造体を含む第1隔壁110(a)、および上記第1隔壁110(a)の外側に一定の距離を離隔して形成され、かつ第2ガスベンティングホールと上記第2ガスベンティングホールを覆う構造の第2メッシュ構造体を含む第2隔壁120(a)を含み、上記第1隔壁110(a)に形成された第1ガスベンティングホールと第2隔壁に形成された第2ガスベンティングホールとが互いに対向しない領域に位置する。収容された電池セル102から発生した熱乃至ガスは、ガスベンティング構造が形成された側面のガスベンティング経路131に沿って排出される。
【0039】
別の一面に形成された上記ガスベンティング構造は、第1ガスベンティングホールと上記第1ガスベンティングホールを覆う構造の第1メッシュ構造体を含む第1隔壁110(b)、および上記第1隔壁110(b)の外側に一定の距離を離隔して形成され、かつ第2ガスベンティングホールと上記第2ガスベンティングホールを覆う構造の第2メッシュ構造体を含む第2隔壁120(b)を含み、上記第1隔壁110(b)に形成された第1ガスベンティングホールと第2隔壁に形成された第2ガスベンティングホールは互いに対向しない領域に位置する。収容された電池セル102から発生した熱乃至ガスは、ガスベンティング構造が形成された側面のガスベンティング経路132に沿って排出される。
【0040】
本発明では、モジュールケースの互いに対向する両側面にガスベンティング構造を形成することによって、熱乃至ガスの排出を円滑にし、電池モジュール内の特定の位置にある電池セルに熱やガスが集中される現象を防止する。
【0041】
(第2実施形態)
図3は、本発明の一実施形態に係る電池モジュールのガスベンティング経路を示した拡大図である。
図3を参照すると、本発明におけるガスベンティング構造を通じたベンティングガス(venting gas)の流出経路は、断面を基準にして、2回の回転経路を有する構造である。
【0042】
本発明に係るモジュールケースは、板状構造のボトムプレートと上記ボトムプレートを覆うように両側端部が一方向に折り曲げられたU字型のトッププレートとを含み、上記トッププレートの折り曲げられた両側端部にガスベンティング構造が形成された構造である。上記ガスベンティング構造は、第1隔壁210および第2隔壁220を順次に経由して外部に排出される。U字型のトッププレートの折り曲げられた端部が第2隔壁220を形成することになる。また、第2隔壁220の内側には一定の距離を離隔して締結されたブラケットが第1隔壁210を形成する。
【0043】
具体的には、上記ガスベンティング構造を通じたベンティングガスの流出経路は、断面を基準にして、第1隔壁210に形成された第1メッシュ構造体211を通って排出されたベンティングガスが、第1隔壁210と第2隔壁220との間の離隔空間へ進入しながら折れる一次回転経路、および第1隔壁210と第2隔壁220との間の離隔空間を経由した後に第2隔壁220に形成された第2メッシュ構造体221を通って排出されながら折れる二次回転経路を含む。
【0044】
本発明では、電池モジュール内部の熱乃至ガスが隔壁に形成されたメッシュ構造体を通じて直線経路で直に排出されるのを防止する。さらに、第1隔壁210には約50%程度の面積にガスベンティングホールが形成されることによって、熱乃至ガスの円滑な排出を誘導し、導電性粒子などが排出されることを一次で遮断する役割を果す。また、第2隔壁220には約40%程度の面積にガスベンティングホールが形成されることによって、熱乃至ガスの円滑な排出を誘導し、導電性粒子等が排出されることを一次で遮断する役割を果す。ひいては、ガスベンティング経路が2回を回転するように構成することによって、熱暴走現象を防止し得る。
【0045】
(第3実施形態)
図4は、本発明の別の一実施形態に係る電池モジュールのガスベンティング経路を示した部分断面図である。
図4を参照すると、モジュールケース301の内部は、電池セルが収容される収容部330を形成し、一側端部にはガスベンティング構造が形成される。上記ガスベンティング構造は、内側に位置した第1隔壁310と外側に位置した第2隔壁320を含む。
【0046】
上記ガスベンティング構造を通じたベンティングガスの流出経路は、断面を基準にして、第1隔壁310に形成された第1メッシュ構造体311を通して排出されたベンティングガスが第1隔壁310と第2隔壁320と間の離隔空間へ進入しながら折れることで一次に垂直回転する。そして、第1隔壁310と第2隔壁320との間の離隔空間を経由した後に第2隔壁320に形成された第2メッシュ構造体321を通して排出されながら折れることで、2次に垂直回転することになる。
【0047】
この場合、第1メッシュ構造体311は相対的に大きな気孔が形成された構造であり、外側に位置する第2メッシュ構造体321は相対的に小さな気孔が形成された構造である。具体的には、上記第1メッシュ構造体311に形成された気孔の平均直径D1は、第2メッシュ構造体321に形成された気孔の平均直径D2の約2倍ほど大きい程度である。また、第1隔壁310と第2隔壁320との離隔距離は、約1~5mm程度である。
【0048】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な修正及び変形が可能であると言える。したがって、本発明に開示された図面は、本発明の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0049】
100 電池モジュール
101 モジュールケース
102 電池セル
110 第1隔壁
120 第2隔壁
131 ガスベンティング経路
132 ガスベンティング経路
210 第1隔壁
211 第1メッシュ構造体
220 第2隔壁
221 第2メッシュ構造体
301 モジュールケース
310 第1隔壁
311 第1メッシュ構造体
320 第2隔壁
321 第2メッシュ構造体
330 収容部