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特許7601429加熱装置、それを用いたハンダ付け方法及び溶接方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】加熱装置、それを用いたハンダ付け方法及び溶接方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/005 20060101AFI20241210BHJP
   B23K 28/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B23K1/005 B
B23K28/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023002066
(22)【出願日】2023-01-11
(65)【公開番号】P2024098531
(43)【公開日】2024-07-24
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】594067195
【氏名又は名称】株式会社九州日昌
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】森本 豊年
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-033991(JP,A)
【文献】特開平08-052582(JP,A)
【文献】特開2006-320961(JP,A)
【文献】特開2005-254295(JP,A)
【文献】特開2020-089913(JP,A)
【文献】特開2000-151089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/005
B23K 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンダ付け又は溶接に用いる加熱装置であって、
加熱用ランプ及び集光光学系を含む一以上のスポットランプヒータと、
前記スポットランプヒータの位置及び方向を制御する多関節ロボットと、
を含み、
前記スポットランプヒータの前記加熱用ランプの射出光を前記集光光学系で所定のスポットサイズに集光して対象物に照射し加熱する、ことを特徴とする加熱装置であって、
前記集光光学系の焦点における前記スポットサイズが互いに異なる複数の前記スポットランプヒータを有し、加熱箇所に応じて異なる前記スポットランプヒータを使用できるようにした、加熱装置。
【請求項2】
前記加熱用ランプは、ハロゲンランプ又はキセノンランプである、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記スポットランプヒータからの射出光の光路を開閉するシャッターをさらに設け、当該シャッターの開閉により加熱箇所への露光時間を制御できるようにした、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記対象物を固定する固定台をさらに有し、当該固定台には前記対象物を予熱する予熱ヒータが設けられている、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記固定台に固定された前記対象物を密封するとともに透明窓を有するチャンバと、前記チャンバの内部を排気するための排気配管と、前記チャンバの内部にパージガスを導入するパージ配管とをさらに有し、前記スポットランプヒータからの射出光は、前記チャンバの前記透明窓を透過して前記対象物に照射されるとともに、前記チャンバの内部が排気可能に構成された、請求項に記載の加熱装置。
【請求項6】
電子基板のランド部分に予めハンダを塗布し、電子部品を載置した後に、請求項1に記載の加熱装置を用いて前記ハンダを加熱し、リフローしてハンダ付けを行うハンダ付け方法。
【請求項7】
被溶接部材同士の突き合わせ部を、請求項1に記載の加熱装置を用いて加熱し、溶接する溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンダ付けや溶接、半導体プロセス等に用いる加熱装置および加熱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に電子部品を実装するハンダ付け方法として、基板のハンダ面に溶融ハンダを噴射してハンダ付けするフロー方式や、ハンダ付けする「ランド」部分に予め塗布しておいたクリームハンダを、リフロー炉内で溶融して接合するリフロー方式が用いられてきた。
近年、省エネ等の観点から、ロボットと組み合わせて、基板全体ではなくハンダ付けする部分のみを加熱する方式も導入されている。例えば、ハンダごてで加熱する方式(特許文献1)、レーザー加熱によりハンダ付けする部分のみをリフローさせる方式(特許文献2)などが知られている。これらの方式は、ロボットと組み合わせて、ハンダ付け対象の変更にも柔軟に対応でき、多品種生産に対応できるようになっている。
【0003】
一方、溶接方法としては、母材と溶接棒または電極との間にアークを発生させて溶接するアーク溶接(特許文献3)や、ガス炎の熱で行うガス溶接、母材を2つの電極で挟み、電流を流して局部的に加熱・加圧して溶接するスポット溶接(特許文献4)等が行われてきた。しかし、省エネ、省電力の観点から、レーザー照射による熱で溶接するレーザー溶接(特許文献5)も導入され、ロボットと組み合わせて自動化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-18215号公報
【文献】特開平2-92452号公報
【文献】特開2021-094581号公報
【文献】特開2022-100858号公報
【文献】特開2018-183799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ハンダ付けや溶接のためにロボットと組み合わせて局部的にレーザーを照射する方式では、柔軟性や多品種少量対応には優れるものの、レーザー光源等が高価であるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決し、ハンダ付け及び溶接対象の変更にも柔軟に対応でき、省エネで安価なハンダ付け及び溶接に用いられる加熱装置および加熱方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の加熱装置は、ハンダ付け又は溶接に用いる加熱装置であって、
加熱用ランプ及び集光光学系を含む一以上のスポットランプヒータと、
前記スポットランプヒータの位置及び方向を制御する多関節ロボットと、
を含み、
前記スポットランプヒータの前記加熱用ランプの射出光を前記集光光学系で所定のスポットサイズに集光して対象物に照射し加熱する、ことを特徴とする。
【0008】
前記加熱用ランプは、ハロゲンランプ又はキセノンランプである、ことが好ましい。
【0009】
前記加熱装置は、前記集光光学系の焦点における前記スポットサイズが互いに異なる複数の前記スポットランプヒータを有し、加熱箇所に応じて異なる前記スポットランプヒータを使用できるようにした、構成としてもよい。
【0010】
前記スポットランプヒータからの射出光の光路を開閉するシャッターをさらに設け、当該シャッターの開閉により加熱箇所への露光時間を制御できるようにした、構成としてもよい。
【0011】
前記対象物を固定する固定台をさらに有し、当該固定台には前記対象物を予熱する予熱ヒータが設けられている、構成としてもよい。
【0012】
前記固定台に固定された前記対象物を密封するとともに透明窓を有するチャンバと、前記チャンバの内部を排気するための排気配管と、前記チャンバの内部にパージガスを導入するパージ配管とをさらに有し、前記スポットランプヒータからの射出光は、前記チャンバの前記透明窓を透過して前記対象物に照射されるとともに、前記チャンバの内部が排気可能に構成されていてもよい。
【0013】
本発明のハンダ付け方法は、電子基板のランド部分に予めハンダを塗布し、電子部品を載置した後に、上記の加熱装置を用いて前記ハンダを加熱し、リフローしてハンダ付けを行う方法である。
【0014】
本発明の溶接方法は、被溶接部材同士の突き合わせ部を、上記の加熱装置を用いて加熱し、溶接する方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、安価な加熱用ランプを含むスポットランプヒータの採用により、スポット的にハンダ付け及び溶接が可能な高温を実現できるので、多関節ロボットと組み合わせて、ハンダ付け及び溶接対象の変更にも柔軟に対応でき、省エネで安価な加熱装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る加熱装置を示す概念図である。
図2図1の加熱装置のスポットランプヒータを示す概念図である。
図3図1の加熱装置のシャッター部を示す概念図である。
図4A図1の加熱装置の初期状態を示す概念図である。
図4B図1の加熱装置が対象物を受け取った状態を示す概念図である。
図4C図1の加熱装置が対象物を固定した状態を示す概念図である。
図4D図1の加熱装置が対象物を密封した状態を示す概念図である。
図4E図1の加熱装置が射出光を対象物に照射する状態を示す概念図である。
図4F図1の加熱装置が射出光を対象物に照射する状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図4Fに基づいて、本発明の実施形態である加熱装置1について説明する。図1に示すように、加熱装置1は、2つのスポットランプヒータ10と、シャッター20と、多関節ロボット30と、固定台40と、チャンバ50と、排気配管60と、パージ配管65と、制御部70と、を備えている。
【0018】
スポットランプヒータ10は、図2に拡大して示すように、ハロゲンランプ(加熱用ランプ)11及び集光ミラー(集光光学系)12を含み、ハロゲンランプ11の射出光を集光ミラー12で所定のスポットサイズに集光して対象物80(図1参照)に照射するための光源ユニットである。
ハロゲンランプ11は、電球内部に不活性ガスに加えてハロゲンガスを微量導入して高出力化と長寿命化を図ったランプで、市販の例えば、150Wから2kW程度のものが使用できる。
【0019】
集光ミラー(集光光学系)12は、略楕円球面状のミラーで、例えば金属を鏡面加工又はガラスに金属をコーティングして形成され、ハロゲンランプ11の射出光を集光させるものである。楕円球面Eの一方の焦点f0にハロゲンランプ11のフィラメントを配置すると楕円球面Eの他方の焦点f1に集光するようになっている。この焦点f1付近では最高1500℃程度の温度が得られ、ハンダ付けや溶接が可能である。スポットサイズは、例えば、焦点f1付近でΦ5mm程度であり、この「焦点におけるスポットサイズ」はランプのフィラメントの大きさで決まると考えられる。スポットサイズは、光軸方向に焦点f1から離れるほど大きくなので、スポットランプヒータ10の光軸方向に位置を調整することにより、対象物80におけるスポットサイズを調整できる。但し、対象物80が焦点f1付近になるようにスポットランプヒータ10の位置を調整すると、スポットサイズが安定するメリットがある。
【0020】
本実施形態の加熱装置1は、集光ミラー(集光光学系)12の焦点f1におけるスポットサイズが互いに異なる2つのスポットランプヒータ10a、10bを有し、加熱箇所に応じて異なるスポットランプヒータ10a、10bを使用できるようにしている。
この構成により、適切なスポットサイズのスポットランプヒータを選択して使用することができるので、ハンダ付け及び溶接対象及び加熱箇所によって加熱箇所のサイズが異なる場合でも、柔軟に対応できる。
なお、本実施形態では集光光学系として集光ミラー12を用いているが、集光レンズを用いてもよく、集光ミラーと集光レンズを組み合わせて構成してもよい。
これらのハロゲンランプ11と集光ミラー12を含むスポットランプヒータ10は、市販のものを用いてもよい。
【0021】
シャッター20は、図3に拡大して示すように、各スポットランプヒータ10の射出側に取付けられ、射出光の光路を開閉するもので、このシャッター20のON-OFFにより加熱箇所への露光時間を制御できるようになっている。本実施形態では、エア駆動式のロータリーアクチュエータ21により、シャッター羽根22の回転位置を移動させて、射出光の光路を閉塞・開放する。
この構成により、スポットランプヒータ10のハロゲンランプ(加熱用ランプ)11をON-OFFするより高速の制御が可能になり、必要な範囲だけを確実に加熱することができる。
【0022】
多関節ロボット30は、スポットランプヒータ10の位置及び方向を制御するロボットである。
本実施形態では、多関節ロボット30は、図1に示すように、基台31と、3つの曲げ関節J1~J3と3つの捻り軸T1~T3を有するロボットアーム32を有し、6軸制御可能なロボットで、様々な動作が可能である。このロボットアーム32の先端部32aに、2つのスポットランプヒータ10a,10bとそれぞれのシャッター20が取付けられている。
この多関節ロボット30は、市販のものでもよく、専用の制御ソフトを利用して動作をティーチングし、ティーチングした動作を繰り返し実行できるようになっている。この構成により、多関節ロボット30はティーチング等により様々な動作が可能なので、ハンダ付け及び溶接対象の変更にも柔軟に対応できる。
但し、この多関節ロボット30は、必ずしも6軸でなくてよく、2軸以上の任意の軸数であればよい。
【0023】
固定台40は、対象物80を設置する治具で、例えば図1に示すように、台座41と、対象物80をクランプするクランプ機構42と、対象物80の搬出・搬入を容易化するために対象物80をリフトするリフトピン43を備え、ハンダ付け又は溶接の対象物80を台座上に固定できるようになっている。但し、固定手段としては、図示した機械的なクランプ機構42の代わりに真空吸着や磁気吸着を用いてもよい。また、対象物80の搬送機構の構造や搬送方法(例えば手動)によっては、リフトピン43は必ずしも設けなくてよい。また、対象物80の下面部(台座41と接する面)に凹凸がある場合は、直置き加熱では対象物80に加熱ムラが発生するので、リフトピン43を台座41より対象物80の下面の凹凸が台座41に触れない程度(0.1~3.0mm)に突出させ、対象物80を浮かせて加熱するプロキシミティ加熱方式に対応可能としてもよい。このときクランプ機構42は使用しない。
本実施形態では、この固定台40の台座41内部には対象物80を予熱する予熱ヒータ44が設けられている。固定台40の温度は、温度センサ(図示省略)によりモニーターされ、この温度が設定温度になるように予熱ヒータ44の出力が調整されている。
この構成により、対象物80を予め加熱しておくことができるので、スポットランプヒータ10の少ない照射エネルギーでも迅速にハンダ付けや溶接を行うことができる。
【0024】
また、本実施形態では、後述するチャンバ50と協働して対象物80を密封するために、この固定台40は、モータと送りねじからなる昇降機構45に取付けられ、チャンバ50と密着する上昇位置と、チャンバ50から離間して手動又は外部の搬送ロボット(図示省略)により対象物80の搬入・搬出を可能とする下降位置との間を移動できるようになっている。
但し、この構成に限られず、固定台40を固定してチャンバ50を昇降させる構造としても良く、固定台40とチャンバ50を固定して、チャンバ50に搬出入用扉を設けて、この扉を通して対象物80を搬出入してもよい。
【0025】
チャンバ50は、固定台40に設置された対象物80を密封する容器で、加熱中の対象物80を周囲の雰囲気から遮断するためのものである。図1に示すように、チャンバ50は石英製の透明窓51を有し、スポットランプヒータ10からの射出光は、この透明窓51を透過して対象物80に照射できるようになっている。
【0026】
チャンバ50には、外部の排気ポンプ(図示省略)に接続され、内部を排気するための排気配管60と、外部のパージガス源(図示省略)に接続され、チャンバ50の内部にパージガスを導入するパージ配管65が設けられている。この「パージガス」とは、空気又はN等の不活性ガスである。排気配管60とパージ配管65には、それぞれ開閉バルブ61,66が設けられ、例えば、対象物80の加熱中にパージガスをパージしながら排気して、ハンダ付けや溶接のアウトガスを除去するようになっている。
この構成により、ハンダ付けや溶接を真空中や不活性ガス雰囲気中で行うことができ、また、発生するアウトガスを排気することができるため、ハンダ付けや溶接の品質を高めることができる。
【0027】
制御部70は、プロセッサ(図示省略)と各ユニットのドライバ回路(図示省略)を有し、2つのスポットランプヒータ10a,10bのON-OFF制御、各シャッター20の開閉制御、多関節ロボット30の駆動制御、固定台40のクランプ機構42、リフトピン43及び昇降機構45の駆動制御、排気配管60及びパージ配管65の各開閉バルブ61,66の開閉制御とを行うとともに、外部の搬送ロボット(図示省略)と通信して対象物80の搬出入を行うように構成されている。
【0028】
次に、このように構成された本発明の加熱装置1の動作の一例について、図4A図4Fを参照して説明する。本例では、加熱装置1は、リフローハンダ付け装置として構成されており、第1の加熱エネルギーが必要な第1のハンダ付け箇所P1と第2の加熱エネルギーが必要な第2のハンダ付け箇所P2を含む複数のハンダ付け箇所を、それぞれハンダ付けするように構成されている。
【0029】
初期状態では、図4Aに示すように、固定台40は、チャンバ50から下方向に離間した下降位置にあり、固定台40のリフトピン43は上昇位置にあり、クランプ機構42はリリース状態で、固定台40の上には対象物80は、載置されていない。但し、固定台40の温度安定化のために予熱ヒータ44は、事前に継続的にONにしている。
制御部70は、外部の搬送ロボット(図示省略)と通信し、搬送ロボットが対象物80を搬入し、図4Bに示すように、リフトピン43の上に載置する。この対象物80は、ハンダ付けする回路基板81に電子部品82a,82bを載置したものである。回路基板81の各ランド(図示省略)にはクリームハンダが予め塗布してある。
【0030】
制御部70は、この対象物80がリフトピン43に載置されたことをセンサ(図示省略)によって確認すると、図4Cに示すように、リフトピン43を下降させ、クランプ機構42を作動させて対象物80をクランプする。
次いで、制御部70は昇降機構45を駆動し、図4Dに示すように、固定台40を上昇させてチャンバ50の下面に密着させ、対象物80を密封する。
さらに、制御部70は、排気配管60の開閉バルブ61とパージ配管65の開閉バルブ66を開き、チャンバ50内部にパージガスをパージしながら排気する。
【0031】
次に、制御部70は、多関節ロボット30を駆動して、予めこの多関節ロボット30にティーチングしておいた動作を実行させる。
具体的には、まず、第1のスポットランプヒータ10aが対象物80の第1のハンダ付け箇所P1を照射できるような位置及び向きになるように、多関節ロボット30のロボットアーム32を調整する。この位置決めが完了したとの報告を多関節ロボット30から受け取ると、制御部70は、図4Eに示すように、第1のスポットランプヒータ10aを通電して点灯し、さらにこの第1のスポットランプヒータ10a用のシャッター20を開放して、射出光を、透明窓51を通して第1のハンダ付け箇所P1に照射する。これにより、回路基板81のランドに塗布されたクリームハンダが溶融し、回路基板81に電子部品82aがハンダ付けされる。所定時間経過後にシャッター20を閉じ、第1のスポットランプヒータ10aの通電をOFFにして消灯する。
次いで、第2のスポットランプヒータ10bが対象物80の第2のハンダ付け箇所P2を照射できるような位置及び向きになるように、多関節ロボット30のロボットアーム32を調整する。この位置決めが完了したとの報告を多関節ロボット30から受け取ると、制御部70は、図4Fに示すように、第2のスポットランプヒータ10bを通電して点灯し、さらにこの第2のスポットランプヒータ10b用のシャッター20を開放して、射出光を、透明窓51を通して第2のハンダ付け箇所P2に照射する。これにより、回路基板81のランドに塗布されたクリームハンダが溶融し、回路基板81に電子部品82bがハンダ付けされる。所定時間経過後にシャッター20を閉じ、第2のスポットランプヒータ10bの通電をOFFにして消灯する。
【0032】
このような動作を繰り返して、各ハンダ付け箇所のハンダ付けが終了すると、制御部70は、排気配管60の開閉バルブ61を閉じ、チャンバ50内の圧力が大気圧になったことを圧力センサ(図示省略)で確認してパージ配管65の開閉バルブ66を閉じ、図4Cに示すように、固定台40を下降させる。
制御部70は、次いで図4Bに示すように、クランプ機構42を解除しリフトピン43を上昇させ、外部の搬送ロボット(図示省略)と通信し、搬送ロボットが対象物80を搬出する。
【0033】
なお、加熱装置1で溶接を実施する場合も、加熱箇所がハンダ付け箇所の代わりに被溶接部材同士の突き合わせ部である点が異なり、与える照射エネルギーも異なるもの、上記ハンダ付けと同様の動作を実行する。
【0034】
本実施形態によれば、安価な加熱用ランプ11を含むスポットランプヒータ10の採用により、スポット的にハンダ付け及び溶接が可能な高温を実現できるので、多関節ロボット30と組み合わせて、ハンダ付け及び溶接の対象物80の変更にも柔軟に対応でき、省エネで安価な加熱装置が提供できる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0036】
例えば、上記実施形態では加熱用ランプ11としてハロゲンランプを用いたが、例えば、キセノンランプを用いてもよい。
【0037】
また、上記実施形態の加熱装置1は、前記集光光学系12の焦点f1(図2参照)における前記スポットサイズが互いに異なる2つの前記スポットランプヒータ10a,10bを有するが、3以上のスポットランプヒータ10を有してもよく、1つのスポットランプヒータ10のみを有してもよい。
【0038】
また、上記実施形態の加熱装置1は、各スポットランプヒータ10からの射出光を遮断及び開放するシャッター20を備えるが、加熱の際に要求される応答時間によっては、シャッター20は備えなくてもよい。
【0039】
また、上記実施形態の加熱装置1は、予熱ヒータ44が設けられ固定台40を備えるが、予熱ヒータ44のない固定台40を備えてもよく、固定台40以外の固定機構を備えてもよい。
【0040】
また、上記実施形態の加熱装置1は、対象物80を密封するチャンバ50であって、射出光が透過する透明窓51を有するともに、内部が排気可能に構成されたチャンバ50を備えるが、対象物80や加熱条件によっては、このチャンバ50を備えなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る加熱装置は、ハンダ付け及び溶接を行う産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 :加熱装置
10 :スポットランプヒータ
10a :第1のスポットランプヒータ
10b :第2のスポットランプヒータ
11 :ハロゲンランプ(加熱用ランプ)
12 :集光ミラー(集光光学系)
20 :シャッター
21 :ロータリーアクチュエータ
22 :シャッター羽根
30 :多関節ロボット
31 :基台
32 :ロボットアーム
32a :先端部
40 :固定台
41 :台座
42 :クランプ機構
43 :リフトピン
44 :予熱ヒータ
45 :昇降機構
50 :チャンバ
51 :透明窓
60 :排気配管
61 :開閉バルブ
65 :パージ配管
66 :開閉バルブ
70 :制御部
80 :対象物
81 :回路基板
82a,82b :電子部品
E :楕円球面
J1~J3 :曲げ関節
P1 :第1のハンダ付け箇所
P2 :第2のハンダ付け箇所
T1~T3 :軸
f0,f1 :焦点
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F