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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】作業システム及び連結構造
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023197766
(22)【出願日】2023-11-21
【審査請求日】2023-12-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和5年3月22日に、経済産業省&日本機械工業連合会 2022年度成果報告会にて公開 (2)令和5年6月6日に、FOOMA JAPAN 2023にて公開 (3)令和5年3月23日に、日刊工業新聞にて公開 (4)令和5年3月23日に、日本食糧新聞にて公開 (5)令和5年3月24日に、Impress Watchにて公開 (6)令和5年3月28日に、日刊工業新聞にて公開 (7)令和5年3月28日に、MONOistにて公開 (8)令和5年3月30日に、食品新聞にて公開 (9)令和5年3月28日に、https://www.youtube.com/watch?v=GZjYx9GFS4cにて公開 (10)令和5年3月29日に、https://www.youtube.com/watch?v=9y9iCfa5WC0にて公開 (11)令和5年6月8日に、https://www.youtube.com/watch?v=xdnywSp4FKgにて公開 (12)令和5年6月26日に、https://www.youtube.com/watch?v=oWb5pRHxWz0にて公開 (13)令和5年6月26日に、https://www.sbbit.jp/article/st/116633にて公開 (14)令和5年7月5日に、https://www.youtube.com/watch?v=v2gASx30Fw0にて公開 (15)令和5年9月20日に、惣菜・デリカJAPAN(SDJ)2023にて公開 (16)令和5年9月25日に、https://www.youtube.com/watch?v=Fy0IMKm72v8にて公開 (17)令和5年9月25日に、https://www.youtube.com/watch?v=SARPG1vHipIにて公開 (18)令和5年9月25日に、https://www.youtube.com/watch?v=Y38tp9Z1tJMにて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518106124
【氏名又は名称】コネクテッドロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127384
【弁理士】
【氏名又は名称】坊野 康博
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】天津 悟
【審査官】岩▲崎▼ 優
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-007888(JP,U)
【文献】特開2007-083331(JP,A)
【文献】特開2015-085489(JP,A)
【文献】特開2015-003374(JP,A)
【文献】特開2011-194523(JP,A)
【文献】国際公開第2019/038982(WO,A1)
【文献】実開昭63-154187(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットによる作業に使用されるエンドエフェクタと、
前記ロボットによって保持され、前記エンドエフェクタを駆動する駆動機構と、
を備え、
前記駆動機構と前記エンドエフェクタとは、水平方向にずれた位置に配置され、
前記駆動機構は、当該駆動機構の筐体内部と外部とを連通する開口部を備え、当該開口部を介して、前記エンドエフェクタが前記駆動機構の前記筐体内部に備えられたスライド機構に連結され、
前記エンドエフェクタは、前記駆動機構に対して水平方向に位置がずれた状態を維持して動作を行い、当該動作を行う作業領域は、前記駆動機構における前記開口部の下方領域と重複していないと共に、
前記開口部は、前記駆動機構の前記筐体における側面に備えられていることを特徴とする作業システム。
【請求項2】
前記駆動機構と前記エンドエフェクタとの間に介在し、前記駆動機構に対して水平方向にずれた位置に前記エンドエフェクタを配置させる連結部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の作業システム。
【請求項3】
前記駆動機構は、
前記筐体内部に長手方向に沿って配置されたスライドレールと、
前記スライドレールに沿って移動可能な移動部材と、
を備え、
前記連結部材は、前記開口部を通じて前記移動部材に設置されることを特徴とする請求項に記載の作業システム。
【請求項4】
前記筐体は、一側面において前記ロボットに保持され、
前記開口部は、当該一側面とは反対側の側面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の作業システム。
【請求項5】
前記スライド機構には、潤滑剤が塗布されていることを特徴とする請求項1に記載の作業システム。
【請求項6】
前記開口部と前記連結部材との間の空間の下方に配置され、前記開口部から落下する異物を受け止める第1のカバー部材を備えることを特徴とする請求項に記載の作業システム。
【請求項7】
前記連結部材を挟んで前記開口部に対向して配置された第2のカバー部材を備えることを特徴とする請求項に記載の作業システム。
【請求項8】
前記作業における対象物は、食品であることを特徴とする請求項1に記載の作業システム。
【請求項9】
ロボットによる作業に使用されるエンドエフェクタと、前記ロボットによって保持され、前記エンドエフェクタを駆動する駆動機構とが、水平方向にずれた位置に配置されて連結され、
前記駆動機構は、当該駆動機構の筐体内部と外部とを連通する開口部を備え、当該開口部を介して、前記エンドエフェクタが前記駆動機構の前記筐体内部に備えられたスライド機構に連結され、
前記エンドエフェクタは、前記駆動機構に対して水平方向に位置がずれた状態を維持して動作を行い、当該動作を行う作業領域は、前記駆動機構における前記開口部の下方領域と重複していないと共に、
前記開口部は、前記駆動機構の前記筐体における側面に備えられていることを特徴とする連結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業システム及び連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野において、ロボットの導入が進められている。従来からロボットが用いられている工業製品の製造分野はもちろんのことながら、例えば、食品の盛り付けを行う分野等でもロボットの導入が進められている。
また、このような盛り付けを行うロボットに関する技術の一例が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-024026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボットによって対象物を把持する作業を行うシステムでは、ハンドが開閉動作等を行うことから、ロボットにはハンドを移動させるための機械構造が備えられている。
このような機械構造には、一般に、潤滑剤が使用されたり、歯車や回転軸等の機械部品が用いられたりしている。
しかしながら、潤滑剤が使用された部分からは、潤滑剤が飛散または滴下したり、歯車や回転軸等の機械部品からは、金属片等の異物が落下したりする可能性がある。
このような事態が発生した場合、潤滑剤や金属片等の異物が対象物に混入してしまうことになり、品質管理上の問題が生じる。特に、ロボットによって把持する対象物が食品等、高度な衛生管理が求められるものである場合には、異物の混入をより確実に避けることが求められる。
なお、このような状況は、対象物が食品である場合に限られるものではなく、工業分野等の、ロボットによる把持を行う様々な分野全般に共通するものであると共に、ハンドに限らず、ロボットに設置されるエンドエフェクタ全般に共通するものである。
すなわち、従来の技術では、エンドエフェクタ用いてロボットが作業を行う際の清浄性の観点において、未だ改善の余地があった。
【0005】
本発明の課題は、エンドエフェクタ用いてロボットが作業を行う際の清浄性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る作業システムは、
ロボットによる作業に使用されるエンドエフェクタと、
前記ロボットによって保持され、前記エンドエフェクタを駆動する駆動機構と、
を備え、
前記駆動機構と前記エンドエフェクタとは、水平方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エンドエフェクタ用いてロボットが作業を行う際の清浄性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る把持システム1が複数並べられた状態を示す斜視図である。
図2】本発明に係る把持システム1の主要部を拡大した斜視図である。
図3】ハンドユニット31の駆動機構300を示す模式図(斜視図)である。
図4】ハンドユニット31の駆動機構300を側方から視認した模式図である。
図5】ハンドユニット31に設置される把持部材31Aの形状例を示す模式図である。
図6】ロボットアーム32の脱着機構32a及びハンドユニット31の脱着機構31aの部分拡大図である。
図7】ロボットアーム32の脱着機構32a及びハンドユニット31の分解図である。
図8】ロック機構400の構成を示す模式図である。
図9】駆動機構300において異物が飛散または落下することを防ぐ作用を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[実施形態]
[構成]
図1及び図2は、本発明に係る把持システム1全体の構成を示す模式図であり、図1は、把持システム1が複数並べられた状態を示す斜視図、図2は、把持システム1の主要部を拡大した斜視図である。
本実施形態における把持システム1は、本発明に係る作業システムの一実施形態を表すものであり、材料を盛り付けるシステムに本発明を適用することを想定したものである。以下の説明においては、把持システム1が、対象物として惣菜等の具材を把持し、この具材を個別の惣菜の容器に盛り付ける場合を例に挙げて説明する。なお、この個別の惣菜の容器への盛りつけは例示に過ぎず、他にも、例えば、複数の惣菜のそれぞれを、弁当の容器の対応する領域に個別に盛り付ける用途等に本実施形態を適用することも可能である。また、以下の説明において、盛り付けられる具材の量として、重量を例に挙げて説明するが、本発明は、重量以外であっても、体積、かさ、質量等、各種呼称の物理量を対象に適用することが可能である。
【0010】
図1及び図2に示すように、把持システム1は、具材収容部10と、容器供給部20と、多関節ロボット30と、制御装置40と、遮蔽部50と、を備えている。なお、把持システム1に隣接して、惣菜の容器を自動的に運搬するベルトコンベア2が設置されている。
【0011】
具材収容部10は、把持システム1において盛り付けられる惣菜等の具材を収容する収容空間を備えている。この収容空間は、例えば、具材収容部10自体により構成されてもよいし、具材収容部10に設置可能な大型のバットやトレー等の汎用の容器により構成されてもよい。そして、この収容空間には、例えば、ポテトサラダ等の練りサラダ(粘性や粘着性を有する具材を含むサラダ)、卯の花(おから)、切り干し大根、なます、ひじき、煮豆、バターコーン等の惣菜が収容される。本実施形態において、具材収容部10には、1種類の具材が複数食分(例えば、数十食分~数百食分)収容されているものとする。そして、複数の把持システム1が何れかの惣菜等の具材を、対応する惣菜の容器に盛り付けることで、惣菜の盛り付け作業を完了させることができる。
具材収容部10の収容空間は、作業者が手作業によって、又は、多関節ロボット30が自動的に交換することが可能である。
【0012】
容器供給部20は、把持システム1において、具材が盛り付けられる所定位置(図2中の盛り付け位置P1)に惣菜の容器を供給する。容器供給部20には、惣菜の容器が複数収容されており、把持システム1が動作を開始すると、容器を1つずつ盛り付け位置P1に供給する。また、盛り付け位置P1には、惣菜の容器の重量を計測する重量センサ21が設置されており、盛り付け位置P1において具材が盛り付けられると、盛り付けられた具材の重量(すなわち、盛り付けによって増加した重量)を計測する。このとき計測された重量のデータは、制御装置40に出力される。そして、重量の計測が終了すると、容器供給部20に備えられた押し出し機構によって、惣菜の容器がベルトコンベア2に搬出される。
【0013】
多関節ロボット30は、例えば、水平多関節ロボットあるいは垂直多関節ロボット等によって構成され、盛り付けられる具材を把持可能なハンドユニット31(エンドエフェクタ)と、可動範囲において任意の位置にハンドユニット31を移動させるロボットアーム32と、を備えている。
また、多関節ロボット30のハンドユニット31を保持する関節には、ハンドユニット31が把持部材31Aにより把持した具材の物理量を取得する手段の一例として、把持した具材の重量を計測する重量センサが設置されている。また、多関節ロボット30のハンドユニット31を保持する関節には、ハンドユニット31が具材に接触したことを検出する手段の一例として、接触した具材からの反力(表面に接触されることで得られる力覚を含む)を計測する力センサが設置されている。重量センサによって計測された具材の重量(すなわち、把持された具材の重量)のデータや、力センサによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータは、制御装置40に出力される。
【0014】
更に、ハンドユニット31を保持する関節は、ロボットアーム32に対してハンドユニット31を捻り方向に回転させる軸を備えている。そのため、ハンドユニット31が具材を把持する際に、ハンドユニット31の向きを変化させることで、ハンドユニット31が開閉する方向を調整することができる。これにより、ハンドユニット31が容器の内壁面近傍に達した際に、収容空間の内壁面と平行な方向にハンドユニット31が開閉するようにハンドユニット31の向きを変更することが可能となり、容器内壁面近傍の具材を把持し易くなる。
【0015】
図3は、ハンドユニット31の駆動機構300を示す模式図(斜視図)である。また、図4は、ハンドユニット31の駆動機構300を側方から視認した模式図である。
図3及び図4に示すように、ハンドユニット31の駆動機構300は、筐体301と、スライドレール302と、スライダ303,304と、アクチュエータ305と、前部カバー部材306と、下部カバー部材307と、を備えている。なお、図3及び図4においては、説明の便宜のため、前部カバー部材306を透視し、破線で示している。また、図3においては、任意に備えられるカバー100(後述)が把持部材31Aに装着された状態を示している。
筐体301は、スライドレール302及びスライダ303,304を内蔵し、筐体301におけるハンドユニット31が設置される面(図3中の前面)には、長手方向のほぼ全域にわたる開口部301aが形成されている。後述するように、開口部301aを通じて連結されたハンドユニット31とスライダ303,304とが、筐体301の長手方向に移動可能となっている。なお、開口部301aが下面ではなく前面(一側面)に形成されていることから、メンテナンス等の際に、筐体301内部を視認し易いものとなり、作業効率を向上させることができる。
【0016】
スライドレール302は、筐体301の長手方向に沿って筐体301内に設置された案内部材である。スライドレール302には、スライダ303,304が摺動可能に係合されており、スライダ303,304はスライドレール302に案内されて、筐体301の長手方向(水平方向)に移動する。なお、スライドレール302とスライダ303,304との間には、摩擦を軽減するための潤滑剤(グリス等)が塗布されている。
【0017】
スライダ303,304は、スライドレール302に係合され、アクチュエータ305によってスライドレール302に沿って移動される。また、スライダ303,304には、把持部材31Aの上端部分(後述する基材部B1の板状部b1上端部分)がそれぞれ固定されている。本実施形態において、スライダ303とスライダ304とは、アクチュエータ305によって互いに逆方向に移動される。アクチュエータ305がスライダ303,304を近接する方向に移動させると、スライダ303及びスライダ304に連結された一対の把持部材31Aが閉じ、対象物を把持する動作が行われる。また、アクチュエータ305がスライダ303,304を離間する方向に移動させると、スライダ303及びスライダ304に連結された一対の把持部材31Aが開き、対象物を解放する動作が行われる。
【0018】
また、後述するように、スライダ303,304に固定された把持部材31Aは、駆動機構300の筐体301に対して、前方にオフセットした位置に配置される。そのため、図4に示すように、駆動機構300の鉛直下方の領域(第1領域)と、把持部材31Aの鉛直下方の領域(第2領域)とは重複しない構成となっている。
【0019】
アクチュエータ305は、例えば、空気圧アクチュエータ等の駆動装置によって構成され、スライダ303,304をスライドレール302に沿って移動させる。
前部カバー部材306は、筐体301の前面側に設置され、把持部材31Aの開閉動作を妨げることなく、筐体301の開口部301a全体を覆っている。即ち、前部カバー部材306は、スライダ303,304に固定された把持部材31Aの部分よりも前方側(把持部材31Aの上端部分を挟んで、スライダ303,304とは反対側)において、開口部301aと対向するよう設置されている。なお、本実施形態において、前部カバー部材306は、前面、上面及び側面の三方を板状部材で囲う構成となっている。前部カバー部材306が筐体301の前面を覆っていることから、スライドレール302に塗布された潤滑剤あるいはスライダ303,304等の一部が欠けることで生じる金属片等、筐体301内から前方に放出される異物を前部カバー部材306によって受け止めることができる。そのため、ハンドユニット31が把持動作を伴う作業を行う場合に、潤滑剤や金属片等の異物が対象物に混入する可能性を低減することができる。また、前部カバー部材306が設置されることにより、ハンドユニット31が把持あるいは解放動作を行う際に、跳ね飛んだ食材等が駆動機構300の可動部(例えば、スライドレール302及びスライダ303,304)の領域に侵入し、付着する事態を防ぐことができる。
【0020】
下部カバー部材307は、開口部301aと把持部材31Aの上端部分(後述する基材部B1の板状部b1上端部分)との間の空間の下方を塞ぐ部材であって、上面が開口した箱状に構成されている。下部カバー部材307は、開口部301aから駆動機構300の下方に落下する異物を受け止める。なお、下部カバー部材307は、把持部材31Aの動作経路に沿って設置される一方、把持部材31Aの動作経路には侵入していないため、ハンドユニット31の開閉動作を妨げない構成となっている。前部カバー部材306に加えて、下部カバー部材307が設置されることにより、駆動機構300から落下する異物が対象物に混入する可能性をさらに低減することができる。また、下部カバー部材307が設置されることにより、ハンドユニット31が把持あるいは解放動作を行う際に、跳ね飛んだ食材等が駆動機構300の可動部(例えば、スライドレール302及びスライダ303,304)の領域に侵入し、付着する事態を防ぐことができる。
【0021】
図5は、ハンドユニット31に設置される把持部材31Aの形状例を示す模式図である。また、図6は、ロボットアーム32の脱着機構32a及びハンドユニット31の脱着機構31aの部分拡大図、図7は、ロボットアーム32の脱着機構32a及びハンドユニット31の分解図である。なお、図5~7においては、一対で用いられる把持部材31Aの一方のみが示されている。また、図5においては、説明の便宜のため、ロック機構400の可動片401(後述)を透視し、破線で示している。
【0022】
図5~7に示すように、本発明に係る把持部材31Aは、先端が平坦な板状部材(即ち、先端が直線状の縁部を有する平板)からなる基材部310と、基材部310の左右の側部に備えられた側板320L,320Rと、基材部310の上端に備えられた天面部330と、を有している。
また、図5中に破線で示されるように、本実施形態における把持部材31Aには、強化ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂からなる柔軟性を有するカバー100が装着される。カバー100は、食品等を取り扱う場合に、衛生の観点からハンドユニット31の把持部材31A全体を覆うように装着され、食品等の対象物に把持部材31Aが接触することを防止するものである。ただし、把持部材31Aにカバー100を装着しないこととしてもよい。把持部材31Aにカバー100を装着するか否かは、対象物の特性等に応じて、適宜決定することができる。
【0023】
把持部材31Aの天面部330には、把持部材31Aを覆うカバー100を固定するための固定部331が備えられている。カバー100で把持部材31Aを覆い、固定部材(後述するストッパ316a)で固定部331にカバー100を固定することで、把持部材31Aを対象物等による汚れから保護することができると共に、カバー100を交換することで、把持部材31Aを清潔な状態に保つことができる。また、カバー100を装着することで、把持部材31Aの一部(例えば、欠けた樹脂等)が対象物に混入する事態を防ぐことができる。
【0024】
また、把持部材31Aの天面部330には、ロボットアーム32が把持部材31Aを支持するための構造(脱着機構31a)が形成される。脱着機構31aは、ロボットアーム32の先端に設置された脱着機構32aと連結されることにより、ハンドユニット31をロボットアーム32に固定する。本実施形態において、ハンドユニット31がロボットアーム32に固定される場合、脱着機構31aと脱着機構32aとを連結した状態で固定するためのロック機構400(後述)がロックされた状態となる。
【0025】
ハンドユニット31の脱着機構31aは、ロッド321a,322aの間隔に合わせて設置された2つの挿通穴311a,312aを有するベース部材313aと、カバー100が係合される突起部314aと、突起部314aが設置される台座部315aと、突起部314aに嵌め込まれるストッパ316aと、を備えている。突起部314a、台座部315a及びストッパ316aは、カバー100を固定するための固定部331を構成している。台座部315aは、成形された樹脂等によって構成されている。本実施形態において、ストッパ316aは、成形された樹脂等によって構成されている。なお、ストッパ316aのいずれかの部位には、金属製の部材が使用されている。そのため、万一、ストッパ316aが食材等の中に落下した場合であっても、出荷前に行われる金属探知機による検査で発見することが可能である。
【0026】
ロボットアーム32の脱着機構32aは、所定間隔で並べて設置された2本のロッド321a,322aと、これらロッド321a,322aが設置され、把持動作において把持方向及び開放方向に移動されるベース部材323aと、脱着機構31aと脱着機構32aとを連結した状態で固定するためのロック機構400と、を備えている。
【0027】
ロッド321a,322aは、ハンドユニット31の脱着機構31aに形成された挿通穴311a,312aとほぼ等しい長さとされおり、脱着機構31a,32aが連結される場合、ロッド321a,322aが挿通穴311a,312aにそれぞれ挿通され、ロッド321a,322aの軸と交差する方向において、ロボットアーム32とハンドユニット31との相対的な移動が規制される。また、ロッド321a,322aは、ベース部材323aに一端が固定されているため、脱着機構31a,32aが連結される場合、ロッド321a,322aの軸方向におけるベース部材323aに固定された端部の方向には、脱着機構31a,32aが互いに当接することにより、ロボットアーム32からハンドユニット31が脱離しない構造となっている。また、ロッド321a,322aの先端の方向には、脱着機構31aと脱着機構32aとを連結した状態で固定可能なロック機構400が設置されており、ロック機構400がロックした状態では、脱着機構31aと脱着機構32a(ロック機構400)とが当接することにより、ロボットアーム32からハンドユニット31が脱離しない構造となる。一方、ロック機構400がロックしていない状態(非ロック状態)では、脱着機構31aと脱着機構32a(ロック機構400)とが当接することなく、ロッド321a,322aが挿通穴311a,312aから自在に抜け出ることができる状態となり、ロボットアーム32からハンドユニット31が脱離可能な構造となる。
【0028】
ベース部材323aは、ハンドユニット31をロボットアーム32に連結するための基材B1と、基材B1に固定され、ロッド321a,322aを支持するブラケットB2と、を備えている。
【0029】
基材B1は、鉛直方向に沿って配設された板状部b1と、板状部b1の下端から水平方向に沿って配設された板状部b2と、を備えている。板状部b1(基材B1)の上端部分は、一対のハンドユニット31を開閉するための駆動機構300に連結されており、駆動機構300がアクチュエータによって開閉動作されることに応じて、ベース部材323aに連結されたハンドユニット31が、対向するハンドユニット31に対して近接する方向及び離間する方向に移動する。板状部b2は、下面側にブラケットB2が設置されると共に、先端にロック機構400を備えている。ロボットアーム32の脱着機構32aとハンドユニット31の脱着機構31aとが連結される場合、板状部b2の先端において、ロック機構400が脱着機構31aの脱離を規制し、ロックした状態となる。
【0030】
ブラケットB2は、水平方向に沿って配設された板状部b3と、板状部b3の一端から鉛直方向に沿って配設された板状部b4と、を備えている。板状部b3は、基材B1の板状部b2下面に固定されており、板状部b4が位置する一端とは反対側の端部は、基材B1の板状部b2の端部と同等の位置(端面が一致する位置)に配置されている。板状部b4には、ロッド321a,322aが水平方向に所定間隔で並べて設置されており、ロッド321a,322aが脱着機構31aの挿通穴311a,312aに挿通されることで、ブラケットB2(ベース部材323a)にハンドユニット31が設置される。
【0031】
ロック機構400は、ベース部材323aにおける基材B1(板状部b2)の先端に設置される。ロック機構400は、ハンドユニット31の脱着機構31aとロボットアーム32の脱着機構32aとを連結した状態で固定(ロック)する。また、ロック機構400は、ロックを解除することにより、ハンドユニット31の脱着機構31aがロボットアーム32の脱着機構32aに対して脱着可能な状態とする。本実施形態において、ロック機構400は、ハンドユニット31の脱着機構31aとロボットアーム32の脱着機構32aとの連結をロックした状態において、ハンドユニット31のストッパ316aも併せてロック(ストッパ316aをハンドユニット31に固定)することができる。
【0032】
これにより、作業者は、ロック機構400をロックする動作によって、ハンドユニット31をロボットアーム32に連結した状態に固定することができると共に、ハンドユニット31のストッパ316aをハンドユニット31から脱離しない状態に固定することができる。また、ロック機構400のロックを解除する動作によって、ハンドユニット31がロボットアーム32から脱離可能であると共に、ストッパ316aがハンドユニット31から脱離可能な状態に切り替えることができる。
したがって、作業者がハンドユニット31を交換する作業及びハンドユニット31のカバー100を交換する作業の効率を高めることができる。
即ち、ロボットによって対象物を把持する作業の効率を高めることができる。
また、ハンドユニット31を交換する場合、駆動機構300の下方を通過させることなく、前面側への脱着動作でハンドユニット31を交換することができるため、交換作業時に駆動機構300から落下した潤滑剤等の異物がハンドユニット31に付着する事態を防ぐことができる。
【0033】
図8は、ロック機構400の構成を示す模式図である。
図8に示すように、ロック機構400は、可動片401と、回転軸402と、ストッパ403,404と、を備えている。
可動片401は、回転軸402を中心に回転可能に構成され、作業者よって回転されることにより、ロック状態(固定状態)と非ロック状態(解放状態)とを切り替えることができる。ロック状態では、可動片401がベース部材313aに当接することにより、ロッド321a,322aが挿通穴311a,312aから抜け出る方向への移動を規制し、ハンドユニット31の脱着機構31aとロボットアーム32の脱着機構32aとが連結した状態で固定(ロック)される。非ロック状態では、可動片401がベース部材313aと当接しない位置に退避され、ロッド321a,322aが挿通穴311a,312aに自在に挿通し、または、ロッド321a,322aが挿通穴311a,312aから自在に抜け出ることができる状態となる。
【0034】
上述したように、ロック機構400は、ハンドユニット31の脱着機構31aとロボットアーム32の脱着機構32aとの連結をロックした状態において、ハンドユニット31のストッパ316aも併せてロック(ストッパ316aをハンドユニット31に固定)することができる。即ち、ロック機構400は、可動片401がロック状態及び非ロック状態で姿勢を変化させることにより、ロック状態の姿勢において、ハンドユニット31のストッパ316aを固定し、非ロック状態の姿勢において、ハンドユニット31のストッパ316aの固定を解除することができる。
【0035】
また、可動片401は、ロック状態では、ストッパ403に当接することにより、ロック状態の位置よりも回転(図8における右回転)することが規制されている。同様に、可動片401は、非ロック状態では、ストッパ404に当接することにより、非ロック状態の位置よりも回転(図8における左回転)することが規制されている。
なお、可動片401における板状部b2の端面との摺動面に突起部を備え、ロック状態において突起部が位置する板状部b2の部分及び非ロック状態において突起部が位置する板状部b2の部分に凹部を形成すること等により、可動片401を操作者が回転させた際に、所定位置で可動片401が停止するクリック感を形成する構造(以下、「タクタイル構造」と称する。)とすることができる。
【0036】
回転軸402は、ベース部材323aにおける基材B1(板状部b2)の先端に設置された回転軸となる部材であり、板状部b2の先端において、可動片401を鉛直平面内で回転可能に支持する。
ストッパ403は、ロック状態において、可動片401の所定箇所と当接し、可動片401の回転動作(例えば、回転軸402を中心とする右回転動作)を規制する。
ストッパ404は、非ロック状態において、可動片401の他の所定箇所と当接し、可動片401の回転動作(例えば、回転軸402を中心とする左回転動作)を規制する。
【0037】
図1及び図2に戻り、制御装置40は、PC(Personal Computer)又はプログラマブルコントローラ等の情報処理装置によって構成され、各種プログラムを実行することにより、把持システム1全体を制御する。例えば、制御装置40は、容器供給部20が容器を供給する動作、及び多関節ロボット30が具材収容部10から具材を把持して、惣菜の容器に解放することで具材を盛り付ける動作等を制御する。より詳細には、例えば、制御装置40は、ロボットアーム32の駆動を制御することで、ハンドユニット31を予め設定された所定位置に所定ルート及び所定速度で移動させる動作や、ハンドユニット31のアクチェータの駆動を制御することで、把持部材31Aによる具材の把持や解放をする動作を実現する。
【0038】
遮蔽部50は、把持システム1において、具材収容部10、容器供給部20及び多関節ロボット30が設置された領域の周囲及び情報を囲う板状部材によって構成されている。遮蔽部50を構成する板状部材は、ガラス又は樹脂等の透明な材料によって構成され、外部から把持システム1の稼動状況を視認することが可能となっている。また、遮蔽部50が構成する側壁の一部には、開閉可能な扉が設置されている。具材収容部10の収容空間の交換、容器供給部20への惣菜の容器の追加あるいは把持システム1のメンテナンス等が行われる場合、作業者は遮蔽部50の扉を開けて各種作業を行うことができる。
【0039】
[作用]
本発明を適用した把持システム1は、以上のような構成により、ハンドユニット31(エンドエフェクタ)を用いて多関節ロボット30が作業を行う際に、潤滑剤あるいは金属片等の異物の混入を防止することができる。
具体的には、図3~7に示すように、駆動機構300のスライダ303,304に把持部材31Aの基材B1(板状部b1)の上端が固定されている。
基材B1の板状部b1は、一面(図3中の背面)においてスライダ303,304に固定され、反対側の面(図3中の前面)から前方に延びる板状部b2及び板状部b2の下面に設置されたブラケットB2において、把持部材31Aを保持している。
【0040】
そのため、把持部材31Aの位置は、駆動機構300の位置よりも前面側にオフセットされる。
即ち、図4に示すように、駆動機構300の鉛直下方の第1領域と、把持部材31Aの鉛直下方の第2領域とは重複しない構成となっている。
したがって、仮に、駆動機構300から潤滑剤あるいは金属片等の異物が落下した場合にも、把持部材31Aの鉛直下方に位置する対象物に異物が混入する可能性を低減することができる。
【0041】
図9は、駆動機構300において異物が飛散または落下することを防ぐ作用を説明する模式図である。
図9に示すように、駆動機構300の筐体301における開口部301aには、前部カバー部材306が備えられており、開口部301aから前方に放出される異物を受け止めることができる。
また、駆動機構300の開口部301aと把持部材31A(板状部b1)との間の空間の下方には、下部カバー部材307が設置されており、開口部301aから駆動機構300の下方に落下する異物を受け止めることができる。
したがって、より確実に、潤滑剤や金属片等の異物が対象物に混入する可能性を低減することができる。
なお、前部カバー部材306及びカバー部材307が設置されることにより、ハンドユニット31が把持あるいは解放動作を行う際に、跳ね飛んだ食材等が駆動機構300の可動部(例えば、スライドレール302及びスライダ303,304)の領域に侵入し、付着する事態を防ぐことも可能となる。
【0042】
また、駆動機構300の鉛直下方の領域と、把持部材31Aの鉛直下方の領域とがオフセットされていることから、このような特徴を活用して、把持動作の制御を行うこととしてもよい。
例えば、具材収容部10を前進しながら作業を行う(作業領域を前方に順に切り替えながら作業を行う)ことや、具材収容部10を横移動しながら作業を行う(作業領域を側方に順に切り替えながら作業を行う)ことや、これらを組み合わせて作業を行うこと等が可能である。
即ち、本実施形態に係る把持システム1によれば、対象物の作業が終了していない未作業領域の上方で、ハンドユニット31の開閉動作が行われないよう制限しつつ、目的とする作業を行うことが可能である。
【0043】
[変形例1]
上述の実施形態において、ハンドユニット31を動作させる構成として、スライドレール302とスライダ303,304とを備える構成を例に挙げて説明したが、これに限られない。
例えば、筐体301内に、アクチュエータによって回転されるギアと、ギアに架け渡されたチェーンまたは歯付ベルトとを備え、歯付ベルトに把持部材31Aを連結して開閉動作を行う構成とすることができる。
また、アクチュエータによって回転されるピニオンギアと、ピニオンギアにかみ合うラックギアとを備え、ラックギアに把持部材31Aを連結して開閉動作を行う構成とすることもできる。
即ち、ハンドユニット31を動作させる構成としては、種々の方式を採用することが可能であり、これらの方式が用いられた場合にも、本発明を適用することで、エンドエフェクタ用いてロボットが作業を行う際の清浄性を向上させることが可能となる。
【0044】
[構成例]
以上のように、本実施形態における把持システム1は、ハンドユニット31(エンドエフェクタ)と、駆動機構300と、を備える。
ハンドユニット31は、多関節ロボット30による作業に使用される。
駆動機構300は、多関節ロボット30によって保持され、ハンドユニット31を駆動する。
駆動機構300とハンドユニット31とは、水平方向にずれた位置に配置されている。
これにより、ハンドユニット31は、駆動機構300の位置に対して鉛直下方に位置することなく、水平方向にずれた状態となる。
そのため、仮に、駆動機構300から潤滑剤あるいは金属片等の異物が落下した場合にも、ハンドユニット31の鉛直下方に位置する作業対象物に異物が混入する可能性を低減することができる。
したがって、エンドエフェクタ用いてロボットが作業を行う際の清浄性を向上させることができる。
【0045】
ハンドユニット31のベース部材323aは、駆動機構300とハンドユニット31(把持部材31A)との間に介在し、駆動機構300に対して水平方向にずれた位置にハンドユニット31を配置させる。
これにより、ハンドユニット31の把持部材31Aの位置を、駆動機構300に対して水平方向にオフセットした構造とすることができる。
【0046】
ハンドユニット31は、駆動機構300に対して水平方向に位置がずれた状態を維持して、駆動機構300に対する移動を行う。
これにより、ハンドユニット31が駆動機構300に対して水平方向にオフセットした状態を維持したまま、把持等の作業を行うことができる。
【0047】
ハンドユニット31は、一対の把持部材31A(作業用部材)が近接する動作及び離間する動作を行い、当該一対の把持部材31Aが近接する動作及び離間する動作を行う作業領域は、駆動機構300の下方領域と重複していない。
これにより、把持動作における把持及び解放が行われる作業領域を、駆動機構300の下方に位置させることなく、作業を行うことができる。
【0048】
駆動機構300は、当該駆動機構300の筐体301内部と外部とを連通する開口部301aを備える。
ベース部材323aは、開口部301aを介してハンドユニット31を筐体301内部の部材と連結している
これにより、筐体301内部に設置されたアクチュエータ305によって、筐体301外部のハンドユニット31を駆動することができる。
そのため、潤滑剤等が用いられる部品を駆動機構300の筐体301内部に設置することができ、作業対象物に異物が混入する可能性を低減することができる。
【0049】
駆動機構300は、スライドレール302と、スライダ303,304と、を備える。
スライドレール302は、筐体301内部に長手方向に沿って配置される。
スライダ303,304は、スライドレール302に沿って移動可能である。
ベース部材323aは、開口部301aを通じてスライダ303,304に設置される。
これにより、筐体301内部のスライドレール302に筐体301外部に配置されるハンドユニット31を連結して、スライドレール302に沿って移動させることが可能となる。
【0050】
筐体301は、一側面において多関節ロボット30に保持される。
開口部301aは、当該一側面とは反対側の側面に形成されている。
これにより、駆動機構300において、多関節ロボット30(ロボットアーム32)が位置する側とは反対側で作業対象物に対する作業を行うことができる。
【0051】
開口部301aとベース部材323aとの間の空間の下方に配置され、開口部301aから落下する異物を受け止める下部カバー部材307(第1のカバー部材)を備える。
これにより、駆動機構300の筐体301に対して把持部材31Aを移動させる動作を行った場合に、潤滑剤や金属片等の異物が作業対象物に混入する可能性を低減することができる。
【0052】
ベース部材323aを挟んで開口部301aに対向して配置された前部カバー部材306(第2のカバー部材)を備える。
これにより、駆動機構300の筐体301に対して把持部材31Aを移動させる動作を行った場合に、潤滑剤や金属片等の異物が作業対象物に混入する可能性を低減することができる。
【0053】
把持システム1が行う作業における対象物は、食品である。
これにより、衛生管理が重要となる対象物を取り扱う作業において、より清浄な状態を維持することができる。
【0054】
なお、上述の実施形態及び変形例は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の機能を実現する種々の実施形態が本発明の範囲に含まれる。
例えば、上述の実施形態及び変形例において、惣菜を盛り付ける把持システムに本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、種々の対象物を把持するシステムに適用することができる。例えば、練ったモルタル、コンクリート、漆喰、粘土等、粘性あるいは粘着性が高い材料を把持するシステムに本発明を適用することができる。本発明は、作業温度又は室温において中粘度以上(5000mPa・s)以上の粘度を有する対象物を把持する際に好適である。
また、上述の実施形態及び変形例では、把持作業を行うシステムに本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、本発明を適用可能な作業は、把持作業に限られない。例えば、対象物を掬う作業、対象物を均す作業、対象物を押す作業、対象物を加工する作業等をエンドエフェクタを用いてロボットが実行する場合に、本発明を適用することができる。
また、上述の実施形態及び変形例に記載された形態を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
【0055】
上記実施形態は、本発明を適用した一例を示しており、本発明の技術的範囲を限定するものではない。すなわち、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができ、上記実施形態以外の各種実施形態を取ることが可能である。本発明が取ることのできる各種実施形態及びその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 把持システム、2 ベルトコンベア、10 具材収容部、20 容器供給部、30 多関節ロボット、31 ハンドユニット、31A 把持部材、31a,32a 脱着機構、32 ロボットアーム、40 制御装置、50 遮蔽部、100 カバー、231a,232a ロッド、300 駆動機構、301 筐体、301a 開口部、302 スライドレール、303,304 スライダ、305 アクチュエータ、306 前部カバー部材、307 下部カバー部材、310 基材部、311a,312a 挿通穴、313a ベース部材、314a 突起部、315a 台座部、316a,403,404 ストッパ、320L,320R 側板、321a,322a ロッド、323a ベース部材、330 天面部、331 固定部、331a 突起部、400 ロック機構、401 可動片、402 回転軸、B1,B2 ブラケット、b1~b4 板状部
【要約】
【課題】エンドエフェクタ用いてロボットが作業を行う際の清浄性を向上させる。
【解決手段】把持システム1は、ハンドユニット31(エンドエフェクタ)と、駆動機構300と、を備える。ハンドユニット31は、多関節ロボット30による作業に使用される。駆動機構300は、多関節ロボット30によって保持され、ハンドユニット31を駆動する。駆動機構300とハンドユニット31とは、水平方向にずれた位置に配置されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9