(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】漬込液用製剤、漬込液、及び、加工食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 29/10 20160101AFI20241210BHJP
A23L 17/30 20160101ALI20241210BHJP
A23B 4/023 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A23L29/10
A23L17/30 Z
A23B4/023 A
(21)【出願番号】P 2024075433
(22)【出願日】2024-05-07
【審査請求日】2024-06-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和6年3月6日 株式会社やまやコミュニケーションズに、宮澤崇文及び内田大輔が発明した「漬込液用製剤、漬込液、及び、加工食品の製造方法」に関する資料をメール及びWEB会議にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000199441
【氏名又は名称】千葉製粉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 崇文
(72)【発明者】
【氏名】内田 大輔
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-132198(JP,A)
【文献】特開平09-322770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L、A23B
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品用の漬込液を調製するための製剤であって、
トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含み、
前記乳化剤のHLB(Hydrophile Lipophile Balance)は、
5以上であ
り、
前記漬込液は、魚卵に対する塩蔵処理に用いられる
漬込液用製剤。
【請求項2】
食品用の漬込液を調製するための製剤であって、
トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含み、
前記乳化剤のHLB(Hydrophile Lipophile Balance)は、
9より大きい
漬込液用製剤。
【請求項3】
前記乳化剤のHLBは、15以上である
請求項
2に記載の漬込液用製剤。
【請求項4】
前記漬込液は、魚卵に対する塩蔵処理に用いられる
請求項
2に記載の漬込液用製剤。
【請求項5】
前記カルシウム塩は、乳酸カルシウムであり、
前記漬込液用製剤における前記トランスグルタミナーゼ、前記乳酸カルシウム、及び、前記乳化剤の質量比をX:Y:Zとし、前記トランスグルタミナーゼにおける1gあたりのユニット数をA(unit/g)としたときに、X、Y、及び、Zの値が、0.01/A≦X≦1000/A、0.009≦Y≦1、及び、0.0001≦Z≦0.001を満たす
請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の漬込液用製剤。
【請求項6】
さらに油分を含む
請求項1
ないし4のうち何れか一項に記載の漬込液用製剤。
【請求項7】
魚卵に対する塩蔵処理に用いられる漬込液であって、
水と、食塩と、トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含み、
前記乳化剤のHLBは、
5以上である
漬込液。
【請求項8】
食品用の漬込液であって、
水と、食塩と、トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含み、
前記乳化剤のHLBは、
9より大きい
漬込液。
【請求項9】
水と、食塩と、トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含む漬込液に
魚卵を接触させる
ことで塩蔵処理を行う工程を含み、
前記乳化剤のHLBは、
5以上である
加工食品の製造方法。
【請求項10】
水と、食塩と、トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含む漬込液に加工対象を接触させる工程を含み、
前記乳化剤のHLBは、
9より大きい
加工食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漬込液用製剤、漬込液、及び、漬込液を用いた加工食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たら子等の魚卵加工品の製造工程では、魚卵特有の粒感を向上させるための塩蔵処理が行われる。塩蔵処理では、魚卵を高濃度の食塩水に浸漬することで、魚卵中のタンパク質を変性させる。これにより、魚卵の粒感を向上させる。塩蔵処理の一例として、特許文献1には、食塩に加えて、トランスグルタミナーゼ等を添加した一次調味液に原料たら子を浸漬する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
塩蔵処理のための漬込液を調製する際には、食塩水にトランスグルタミナーゼ等の成分を溶解させる。このとき、溶解を促進させるために撹拌を行うと、漬込液の表面に灰汁(アク)のような浮遊物が生じる。そのため、漬込液に生じた浮遊物が最終製品に付着しないように、漬込液をフィルター等に通過させる等の方法によって浮遊物を取り除く工程が必要になる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための漬込液用製剤は、食品用の漬込液を調製するための製剤であって、トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含む。
上記課題を解決するための漬込液は、食品用の漬込液であって、水と、食塩と、トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含む。
【0006】
上記課題を解決するための加工食品の製造方法は、水と、食塩と、トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含む漬込液に加工対象を接触させる。
上記漬込液用製剤、漬込液、及び、加工食品の製造方法によれば、漬込液の調製時において、攪拌に伴う浮遊物の発生を抑制できる。
【0007】
上記漬込液用製剤は、さらに油分を含んでもよい。上記構成によれば、粉末状の製剤が飛散しにくくなるため、製剤の取扱性を向上できる。
上記漬込液用製剤において、前記乳化剤のHLB(Hydrophile Lipophile Balance)は、1以上であってもよい。乳化剤のHLBが1以上であれば、攪拌に伴う浮遊物の発生を抑制できる。
【0008】
上記漬込液用製剤において、前記漬込液は、魚卵に対する塩蔵処理に用いられてもよい。魚卵加工品を製造する際の塩蔵処理に用いられる漬込液の調製に上記漬込液用製剤を用いることで、漬込液もしくは浸漬後の魚卵加工品から浮遊物を取り除く工程が不要になる。したがって、魚卵加工品の製造工程を改善できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、漬込液の調製時において、攪拌に伴う浮遊物の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、試験例1における試料A1~A8の漬込液の成分、及び、評価結果を示す表である。
【
図2】
図2は、試験例1における試料A9~A15の漬込液の成分、及び、評価結果を示す表である。
【
図3】
図3は、試験例2における各試料の原材料を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、漬込液用製剤、漬込液、及び、加工食品の製造方法の一実施形態について説明する。
[漬込液]
漬込液は、加工対象となる食品の改質を目的として調製された液体である。漬込液は、加工対象となる食品に対する塩蔵処理に用いられる塩蔵液でもよいし、塩蔵処理と同時に、もしくは、塩蔵処理後に、加工対象となる食品に対して味付けを行うための調味液でもよい。調味液は、例えば、塩蔵液に対して調味料を添加したものでもよい。
【0012】
塩蔵液は、一例として、魚卵加工品の製造工程において、魚卵加工品の原料である魚卵に対する塩蔵処理に用いられる。塩蔵処理では、魚卵に対して塩蔵液を接触させる。好ましくは、魚卵の全体を塩蔵液に浸漬する。魚卵に対して塩蔵処理を行うことで、魚卵加工品の粒感が向上する。魚卵は、例えば、たら子、いくら、とびこ、数の子、シシャモ子等である。魚卵加工品は、例えば、味付けたら子、明太子、イクラの醤油漬け等、魚卵に対して上記の塩蔵処理や味付け等の加工を施した食品である。魚卵加工品は、漬込液を用いて製造される加工食品の一例である。
【0013】
塩蔵液は、溶媒である水の他に、食塩と、トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含む水溶液である。調味液は、塩蔵液に含まれる上記成分の他に各種調味料を含む。調味料は、例えば、粉末唐辛子またはそのエキス、料理酒のような酒類、みりん、醤油、酵母エキス、有機酸塩、核酸、ソルビトール、及び、有機酸である。有機酸塩は、例えば、グルタミン酸ナトリウムである。塩蔵液及び調味液は、酸化防止剤、着色料、及び、発色料等の添加剤を含んでもよい。酸化防止剤は、例えば、L-アスコルビン酸である。発色料は、例えば、亜硝酸ナトリウムである。
【0014】
塩蔵液は、塩蔵液の全体の質量に対して4質量%以上20質量%以下の食塩を含む。塩蔵液における食塩の濃度は、魚卵加工品に要求される塩分量に応じて適宜調整される。例えば、塩分量を控えた減塩の製品の場合には、上記濃度の数値範囲内で塩蔵液における食塩の濃度が低くなるように、塩蔵液が調製される。
【0015】
トランスグルタミナーゼ(酵素番号:EC2.3.2.13)は、たんぱく質やペプチド中のグルタミン残基を供与体とするとともに、リジン残基を受容体とするアシル転移反応を触媒する活性を有する酵素である。トランスグルタミナーゼは、たんぱく質の架橋を促進する。これにより、魚卵の膜が硬化することで、魚卵に粒感が付与される。また、トランスグルタミナーゼの作用によって、魚卵の強度も向上するため、製造ロスの削減ともなる。
【0016】
トランスグルタミナーゼは、例えば、哺乳動物由来のものでもよく、魚類由来のものでもよく、微生物由来のものでもよく、組み換え酵素でもよい。トランスグルタミナーゼは、カルシウム非依存性のものでもよく、カルシウム依存性のものでもよい。
【0017】
本実施形態のトランスグルタミナーゼは、10℃以上30℃以下の水温下で活性化するものが望ましい。なお、トランスグルタミナーゼの比活性は、特に限定されないが、一例として、1000unit/gである。
【0018】
カルシウム塩は、例えば、有機カルシウム塩、無機カルシウム塩、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、焼成カルシウムからなる群より選択される1種の成分、または、2種以上の成分からなる混合物である。カルシウム塩は、好ましくは、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、及び、焼成カルシウムである。カルシウム塩は、加工対象となる食品が元々保有するトランスグルタミナーゼを活性化させることで、食感の改質に寄与する。一例として、カルシウム塩は、魚卵が元々保有するトランスグルタミナーゼを活性化させることで、魚卵の粒感の向上に寄与する。本実施形態では、カルシウム塩として、乳酸カルシウムを用いる。
【0019】
乳化剤は、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、サポニン、レシチン、ポリソルベート、プロピレングリコール脂肪酸エステルからなる群より選択される1種の成分、または、2種以上の成分からなる混合物である。ショ糖脂肪酸エステルが有する脂肪酸は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0020】
仮に漬込液の調製時において、乳化剤を添加せずに、水に対して食塩、トランスグルタミナーゼ、及び、カルシウム塩の各成分を添加して攪拌すると、漬込液の表面に灰汁のような不溶性の浮遊物が生じる。
【0021】
詳細には、まず、上記各成分を添加した状態で攪拌を行うと、漬込液の表面に泡立ちが生じる。その後、攪拌の停止後に漬込液を静置することによって泡立ちが収まると、漬込液の表面に灰汁のような不溶性の浮遊物が残った状態となる。この浮遊物は、トランスグルタミナーゼ及びカルシウム塩の凝集物と考えられる。浮遊物は、攪拌に伴って生じる泡の中に分散した状態で発生した後、攪拌の停止後において泡が消失する際に凝集しているものと考えられる。
【0022】
なお、泡が発生しない程度の攪拌では、この浮遊物が生じない場合がある。しかしながら、魚卵加工品の製造工場等では、一度に大量の漬込液を製造する必要があるため、液全体を均一にするために十分な出力で攪拌を行う必要がある。このような場合には、漬込液の表面に泡が生じ易くなるため、浮遊物も生じ易くなると考えられる。
【0023】
これに対して、本実施形態のように、上記の成分に加えて、さらに乳化剤を添加した状態で撹拌を行うと、当該浮遊物の発生が抑制されることが確認されている。乳化剤の添加による漬込液の調製時における浮遊物の発生の抑制は、乳化剤がトランスグルタミナーゼの凝集を阻害することによるものと考えられる。
【0024】
乳化剤のHLB(Hydrophile Lipophile Balance)は、特に限定されず、0以上20以下の任意の値であってよいが、一例として1以上である。また、乳化剤のHLBが高い程、漬込液の調製時における浮遊物の発生を好適に抑制できる。そのため、乳化剤のHLBの値は、好ましくは5以上、より好ましくは15以上である。なお、乳化剤のHLBの上限値は、20以下であるが、16以下であってもよい。
【0025】
なお、HLBは、乳化剤の親油性と親水性とのバランスを表した数値である。HLBの値が大きいほど、乳化剤の親水性が大きく、水に溶けやすいことを意味する。HLBの値が小さいほど、乳化剤の親油性が大きく、水に溶けにくいことを意味する。
【0026】
塩蔵液は、食塩、トランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤の各成分を水に対して各別に添加することで製造されてもよい。塩蔵液は、食塩、トランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤のうち何れかの成分が溶解した水溶液に、他の成分を添加することで製造されてもよい。塩蔵液は、トランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤の各成分を含む製剤を食塩水に対して添加することで製造されてもよい。塩蔵液は、トランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤の各成分を含む製剤と、食塩と、を水に対して添加することで製造されてもよい。このとき、食塩は、製剤に含まれていてもよい。調味液は、上記何れかの製造方法において、任意のタイミングで調味料を添加することで製造されてもよい。
【0027】
塩蔵液におけるトランスグルタミナーゼの添加量は、一例として、100gの魚卵に対して、0.01unit以上1000unit以下である。塩蔵液における乳酸カルシウムの添加量は、一例として、100gの魚卵に対して、0.009g以上1g以下である。塩蔵液における乳化剤の添加量は、一例として、100gの魚卵に対して、0.0001g以上0.001g以下である。なお、塩蔵液に乳酸カルシウム以外のカルシウム塩を用いる場合、上記した乳酸カルシウムの添加量の場合と同等のカルシウム量が得られるように、カルシウム塩の添加量を決定できる。
【0028】
例えば、塩蔵液における各成分の濃度は、以下のように調整することができる。まず、加工対象となる魚卵の質量に対する塩蔵液の使用量を設定する。例えば、魚卵の質量に対する塩蔵液の使用量は、魚卵の全体が塩蔵液に浸漬されるように、塩蔵処理を行う容器等の大きさに応じて調整される。例えば、100gの魚卵に対する塩蔵液の使用量は、25g以上200g以下、一例として、50g以上100g以下である。
【0029】
そして、100gの魚卵の質量に対する塩蔵液の使用量の設定値において、上述した100gの魚卵に対するトランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤の添加量の値を満たすように、塩蔵液における各成分の濃度を設定する。また、塩蔵液における食塩の濃度は、上述したように、魚卵加工品に要求される塩分量に応じて、塩蔵液の全体の質量に対して4質量%以上20質量%以下の範囲で適宜調整される。
【0030】
なお、魚卵の質量に対する塩蔵液の使用量は、塩蔵液におけるトランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤の各成分の濃度が過剰に低くならない程度の量に設定される。また、魚卵の質量に対する塩蔵液の使用量は、塩蔵液に含まれる成分の溶け残りが生じず、かつ、魚卵に対して塩蔵液が十分に接触する程度の量に設定される。
【0031】
[漬込液用製剤]
本実施形態では、漬込液を調製するために、トランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤を予め調製した粉末状の漬込液用製剤を用いる。漬込液用製剤は、食塩水に対して添加されてもよいし、食塩とともに水に対して添加されてもよい。
【0032】
漬込液用製剤におけるトランスグルタミナーゼ、乳酸カルシウム、及び、乳化剤の質量比をX:Y:Zとする。また、トランスグルタミナーゼにおける1gあたりのユニット数をA(unit/g)とする。例えば、漬込液用製剤では、トランスグルタミナーゼ、乳酸カルシウム、及び、乳化剤の質量比であるX、Y、及び、Zの値が、0.01/A≦X≦1000/A、0.009≦Y≦1、及び、0.0001≦Z≦0.001を満たす。なお、漬込液用製剤に乳酸カルシウム以外のカルシウム塩を用いる場合、上記した乳酸カルシウムの質量比の場合と同等のカルシウム量が得られるように、Yの数値範囲が設定される。
【0033】
このように、漬込液用製剤は、予め各成分の質量比が好適な状態となるように調製された製剤であるため、製剤に含まれる各成分が漬込液の溶媒である水もしくは食塩水に対して適切な添加量となるように容易に添加することができる。
【0034】
また、漬込液用製剤は、食塩を含有しないことから、漬込液に要求される食塩の濃度によらない汎用的な製剤とすることができる。なお、塩蔵液における食塩、トランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤の各成分の濃度の比が定まっている場合、漬込液用製剤は、トランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤に加えて食塩を含んでもよい。
【0035】
漬込液用製剤は、上記成分に加えて賦形剤や他の成分を含んでもよい。賦形剤は、例えば、デキストリン、澱粉、糖類等である。他の成分としては、例えば、粉末状である製剤を飛散しにくくするための油分等である。油分は、食用のものであれば特に限定されないが、例えば、コーン油、MCTオイル、菜種油等が挙げられる。漬込液用製剤における油分の添加量は、漬込液用製剤の全体の質量に対して、0.1質量%以上2質量%以下、好ましくは0.3質量%以上1質量%以下である。また、漬込液用製剤は、乳化剤の成分と油分とを有する乳化油脂を含んでもよい。
【0036】
[加工食品の製造方法]
加工食品の製造方法は、水、食塩、トランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤を含む漬込液に、加工対象を接触させる工程を含む。また、漬込液に加工対象を接触させる工程は、漬込液に加工対象を浸漬させる工程でもよい。
【0037】
以下では、漬込液を用いた加工食品の製造方法の一例として、魚卵加工品の一例である塩たら子の製造方法について説明する。
塩たら子の原料としては、スケトウダラの卵であるたら子のうち真子を用いることが好ましいが、ガム子、目付、水子であってもよい。たら子が冷凍されている場合はまず解凍を行う。そして、解凍後のたら子、もしくは、生のたら子を洗浄した後、選別及び水切りを経て塩蔵処理を行う。
【0038】
塩蔵処理では、漬込液にたら子を接触させる。より好ましくは、塩蔵処理では、漬込液にたら子を浸漬する。塩蔵処理では、漬込液の温度を0℃以上20℃以下程度に保った状態で、回転式漬け込み機、または、手返しによって攪拌作業を行う。攪拌作業は、浸漬を開始してから所定の時間が経過したタイミングで行われる。攪拌作業終了後にさらに浸漬を続けた後、0℃以上15℃以下に保たれた低温室にて、より温度の低い状態で浸漬を続ける。
【0039】
浸漬時間は、漬込液に含まれる成分の濃度に応じて適宜調整できる。すなわち、漬込液に含まれる成分の濃度が高い程、浸漬時間を短くしてもよい。浸漬時間は、数時間でもよいし、24時間以上でもよいし、48時間以上でもよい。浸漬時間は、一例として、1日以上7日以下である。
【0040】
塩蔵処理が完了すると、たら子を用水にて洗浄した後、表面についた夾雑物等を取り除きながら成形した状態で、表面乾燥を防ぎながら0℃以上15℃以下の低温で一昼夜の間、水切りを行う。水切りは、一例として、12時間以上24時間以下の間で行われる。その後、計量や選別、検査、包装といった工程を経て、塩たら子が製造される。
【0041】
[試験例]
以下、
図1~
図3を参照して試験例1、2を説明する。なお、各試験例で採用した試験条件は、本実施形態の効果を説明するための実施例もしくは比較例であって、本発明を限定するものではない。
【0042】
[試験例1:試料の作製]
試験例1では、漬込液に乳化剤を添加することによる、漬込液の調製時における浮遊物の発生を抑制する効果を確認するための試験を行った。
【0043】
図1及び
図2に示すように、試験例1では、4100質量部の水と、800質量部の食塩と、100質量部の漬込液用製剤と、を用いて、試料A1~A15の漬込液を作製した。試料A1~A15では、水準毎に漬込液用製剤中の成分の比率を変えた。
【0044】
図1に示すように、比較例である試料A1では、1質量部のトランスグルタミナーゼと、70質量部の乳酸カルシウムと、賦形剤としての29質量部のデキストリンと、を含む漬込液用製剤を用いた。なお、試験例1では、1gあたり1000unitの比活性を有するトランスグルタミナーゼを用いた。
【0045】
試料A2~A8では、1質量部のトランスグルタミナーゼと、70質量部の乳酸カルシウムと、0.1質量部の乳化剤と、賦形剤としての28.9質量部のデキストリンと、を含む漬込液用製剤を用いた。試験例1では、乳化剤として、ショ糖ステアリン酸エステル(製品シリーズ名:リョートーシュガーエステル(リョートーは登録商標)、三菱ケミカル株式会社製)を用いた。
【0046】
試料A2~A8では、水準毎に乳化剤のグレードを変えることで、HLBの値を変えた。
図1には、乳化剤のグレードとHLBの値とを併記する。試料A2~A8に用いた乳化剤のHLBの値は、試料A2からA8の順に1、3、5、7、9、15、16であった。
【0047】
図2に示すように、試料A9では、1質量部のトランスグルタミナーゼと、70質量部の乳酸カルシウムと、0.1質量部の乳化剤と、0.3質量部の油分と、賦形剤としての28.6質量部のデキストリンと、を含む漬込液用製剤を用いた。試験例1では、油分として、コーン油(製品名:コーンサラダ油、昭和産業株式会社製)を用いた。なお、試料A9、A11~A15では、HLBの値が16である乳化剤(製品名:リョートーシュガーエステル S-1670)を用いた。
【0048】
試料A10では、1質量部のトランスグルタミナーゼと、70質量部の乳酸カルシウムと、0.3質量部の乳化油脂と、賦形剤としての28.7質量部のデキストリンと、を含む漬込液用製剤を用いた。試験例1では、乳化油脂として、エマテックN-100V(エマテックは登録商標、理研ビタミン株式会社製)を用いた。
【0049】
試料A11では、0.1質量部のトランスグルタミナーゼと、70質量部の乳酸カルシウムと、0.1質量部の乳化剤と、賦形剤としての29.8質量部のデキストリンと、を含む漬込液用製剤を用いた。
【0050】
試料A12では、1質量部のトランスグルタミナーゼと、50質量部の乳酸カルシウムと、0.1質量部の乳化剤と、賦形剤としての48.9質量部のデキストリンと、を含む漬込液用製剤を用いた。
【0051】
試料A13では、1質量部のトランスグルタミナーゼと、90質量部の乳酸カルシウムと、0.1質量部の乳化剤と、賦形剤としての8.9質量部のデキストリンと、を含む漬込液用製剤を用いた。
【0052】
試料A14では、1質量部のトランスグルタミナーゼと、70質量部の乳酸カルシウムと、0.01質量部の乳化剤と、賦形剤としての28.99質量部のデキストリンと、を含む漬込液用製剤を用いた。
【0053】
試料A15では、1質量部のトランスグルタミナーゼと、70質量部の乳酸カルシウムと、1質量部の乳化剤と、賦形剤としての28質量部のデキストリンと、を含む漬込液用製剤を用いた。
【0054】
試験例1では、まず、ジューサーミキサー(製品名:MK-152SP、Panasonic株式会社製)を用いて、水と食塩とを1分間攪拌することで食塩水を作製した。その後、ジューサーミキサー中の食塩水に対して、試料A1~A15の水準毎に調製された漬込液用製剤を添加した状態で、ジューサーミキサーを用いて1分間攪拌することで漬込液を作製した。
【0055】
その後、室温にて30分間静置後、スターラー(製品名:F-624N、東京硝子器械株式会社製)を用いて10分間、メモリ「5」の設定で撹拌を行った。攪拌終了後、冷蔵庫にて一晩静置した。その後、冷蔵庫から取り出して浮遊物の量を評価した。
【0056】
[試験例1:評価]
試験例1では、比較例である乳化剤を添加していない試料A1で発生した浮遊物の状態を基準として、浮遊物の量の状態を「1点」~「4点」の4段階の評価区分で評価した。なお、試料A1では、食塩水に漬込液用製剤を添加した状態でジューサーミキサーを用いて攪拌を行うと多量の泡立ちが生じた。また、試料A1では、冷蔵庫にて一晩静置した後には、浮遊物が発生していることが確認された。
【0057】
評価区分の詳細としては、試料A1と同等の浮遊物が発生したものを「1点」、浮遊物が発生しているものの試料A1よりも浮遊物が減少したものを「2点」、浮遊物がほぼ確認されないものを「3点」、浮遊物が全く確認されないものを「4点」とした。試料A1~A15に対する評価結果を
図1及び
図2に示す。
【0058】
図1に示すように、乳化剤を添加した試料A2~A8では、乳化剤を添加していない試料A1と比較して、浮遊物の減少が確認された。詳細には、試料A2、A3では、浮遊物が発生しているものの試料A1よりも浮遊物が減少していた(2点)。試料A4~A6では、浮遊物がほぼ確認されなかった(3点)。試料A7、A8では、浮遊物が全く確認されなかった(4点)。したがって、試料A2~A8の評価結果から、乳化剤のHLBが高い程、浮遊物の発生を好適に抑制できることが確認された。
【0059】
図2に示すように、試料A8と同様の乳化剤とともにコーン油を添加した試料A9においても、試料A8と同様に浮遊物が全く確認されなかった(4点)。すなわち、試料A9の評価結果から、漬込液用製剤が粉末の飛散を抑制するための油分を含む場合でも、浮遊物の発生を好適に抑制できることが確認された。
【0060】
漬込液用製剤において、乳化剤及び油脂を各別に添加する構成に代えて、乳化油脂を添加した試料A10においても、試料A8、A9と同様に浮遊物が全く確認されなかった(4点)。すなわち、試料A10の評価結果から、漬込液用製剤が乳化油脂を含む場合でも、浮遊物の発生を好適に抑制できることが確認された。
【0061】
トランスグルタミナーゼの量を減らした試料A11、及び、乳酸カルシウムの量を減らした試料A12においても、試料A8と同様に浮遊物が全く確認されなかった(4点)。
乳酸カルシウムの量を増やした試料A13では、試料A1よりも量は少ないものの浮遊物が確認された(2点)。試料A13の評価結果から、乳酸カルシウムのようなカルシウム塩が浮遊物の発生に寄与するものと考えられるが、乳酸カルシウムの量が多い場合であっても、乳化剤を添加することによって浮遊物の発生を抑制できることが確認された。
【0062】
試料A8よりも乳化剤の量を減らした試料A14では、浮遊物がほぼ確認されなかったが、試料A8と比較するとわずかな浮遊物が確認された(3点)。また、試料A8よりも乳化剤の量を増やした試料A15では、試料A8と同様に浮遊物が全く確認されなかった(4点)。
【0063】
以上、試験例1の結果から、乳化剤を添加することで、漬込液の調製時において、攪拌に伴う浮遊物の発生が抑制されることが確認された。なお、試験例1では、乳化剤と油分との両方を添加した場合についての結果を示したが、乳化剤を添加せずに油分をしただけでは、ジューサーミキサーでの攪拌時に生じる泡の量は抑えられるものの、浮遊物の量の低減には寄与しなかった。
【0064】
[試験例2:試料の作製]
試験例2では、漬込液に乳化剤を添加することによる、加工食品の味や食感に与える影響を確認するための試験を行った。試験例2で使用した原材料を
図3に示す。
【0065】
図3に示すように、試験例2では、加工対象である真子を塩蔵液に浸漬することで、魚卵加工品の一例である試料B1、B2の塩たら子を作製した。試料B1、B2では、塩たら子を製造するために互いに異なる塩蔵液を用いた。
【0066】
試料B1では、比較例として、水、食塩、トランスグルタミナーゼ、及び、乳酸カルシウムを含む一方で、乳化剤を含まない塩蔵液を用いた。試料B2では、水、食塩、トランスグルタミナーゼ、乳酸カルシウム、及び、乳化剤を含む塩蔵液を用いた。なお、試料B2の塩蔵液では、乳化剤を含む点、及び、乳化剤の質量の分だけ試料B1よりも賦形剤であるデキストリンの量が少なくなっている点を除き、試料B1の塩蔵液と同様の組成を有する。また、試験例2では、1gあたり1000unitの比活性を有するトランスグルタミナーゼを用いた。試験例2では、HLBの値が16である乳化剤を用いた。
【0067】
試験例2において、真子の質量と塩蔵液の質量との比率は、およそ1:1とした。塩蔵液における食塩の濃度は、およそ11.7質量%とした。塩蔵液には、酸化防止剤であるL-アスコルビン酸ナトリウム、発色料である亜硝酸ナトリウムの他、グルタミン酸ナトリウム、ソルビトール、賦形剤であるデキストリン、及び、油分の一例であるコーン油を添加した。
【0068】
試験例2では、まず、冷凍された真子を冷蔵庫に48時間静置することで解凍した。そして、
図3に示す塩蔵液を調製するとともに、解凍後の真子を塩蔵液に浸漬する塩蔵処理を行った。塩蔵処理の流れとしては、まず、浸漬を開始してから17時間は、20℃に液温を調整した。浸漬を開始してから1時間後、及び、開始から2時間後の2度のタイミングで、全体を攪拌する攪拌作業を行った。そして、浸漬を開始してから17時間経過した後、さらに、4℃に液温を調整しながら24時間浸漬した。4℃での24時間の浸漬が完了した後、真子をざるに移した状態で4℃の雰囲気下で17時間水切りを行った。以上の工程によって塩たら子を製造した。
【0069】
なお、試料B1の製造工程において、塩蔵液を調製する際には浮遊物の発生が確認されたが、発生した浮遊物を除去した状態の塩蔵液を塩蔵処理に用いた。また、試料B2の製造工程において、塩蔵液を調製する際には、浮遊物の発生が確認されなかった。
【0070】
[試験例2:評価]
試験例2では、11人のパネラーが試料B1、B2を喫食することで、各水準についての味及び食感について評価した。詳細には、乳化剤を添加していない試料B1の味及び食感を基準として、乳化剤を添加した試料B2の味及び食感に違いがあるかどうかを判定した。
【0071】
評価結果としては、11人のパネラー全員が、乳化剤を添加した試料B2であっても、乳化剤を添加していない試料B1と同等の味及び粒感を有していると評価した。また、乳化剤を添加した試料B2において、異味、雑味等は確認されなかった。
【0072】
以上、試験例2の結果から、漬込液に乳化剤を添加した場合であっても、漬込液を用いて製造された加工食品の味に悪影響を与えないことが確認された。また、試験例2の結果から、漬込液に乳化剤を添加した場合であっても、漬込液が有する食感改善効果に悪影響を与えないことが確認された。
【0073】
[実施形態の効果]
(1)トランスグルタミナーゼ及びカルシウム塩に加えて乳化剤を含む漬込液用製剤を用いて漬込液を調製することで、漬込液の調製時において、攪拌に伴う浮遊物の発生を抑制できる。同様に、水、食塩、トランスグルタミナーゼ、及び、カルシウム塩に加えて乳化剤を含む漬込液であれば、漬込液の調製時において、攪拌に伴う浮遊物の発生を抑制できる。すなわち、上記の漬込液に加工対象を接触させる工程を含む加工食品の製造方法によれば、漬込液の調製時において、攪拌に伴う浮遊物の発生を抑制できる。これにより、漬込液もしくは浸漬後の食品から浮遊物を取り除く工程が不要になる。
【0074】
(2)漬込液用製剤では、トランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤の質量比が好適な状態となるように予め調製されている。このような漬込液用製剤を用いて漬込液の調製を行うことで、製剤に含まれる各成分が漬込液の溶媒である水もしくは食塩水に対して適切な添加量となるように、容易に漬込液を調製できる。
【0075】
(3)漬込液用製剤がトランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤を含むとともに、食塩を含有しない構成とすることで、加工食品に要求される塩分濃度に応じて、漬込液の食塩の濃度を容易に調整できる。
【0076】
(4)漬込液用製剤が油分を含むことで、粉末状の製剤が飛散しにくくなるため、製剤の取扱性を向上できる。
(5)乳化剤におけるHLBの値は、1以上、好ましくは5以上、より好ましくは15以上である。このようなHLBを有する乳化剤を用いることで、攪拌に伴う浮遊物の発生を好適に抑制できる。
【0077】
(6)本実施形態の漬込液用製剤は、一例として、魚卵加工品を製造する際の塩蔵処理に用いられる漬込液の調製に用いられる。これにより、魚卵加工品の製造工程において、漬込液もしくは浸漬後の魚卵加工品から浮遊物を取り除く工程が不要になるため、作業工程の省略や設備のメンテナンスの手間を削減できる。
【0078】
(7)漬込液用製剤におけるトランスグルタミナーゼ、乳酸カルシウム、及び、乳化剤の質量比をX:Y:Zとすると、X、Y、及び、Zの値が、0.01/A≦X≦1000/A、0.009≦Y≦1、及び、0.0001≦Z≦0.001を満たす。なお、A(unit/g)は、トランスグルタミナーゼにおける1gあたりのユニット数を表す。このように各成分の質量比が調整された漬込液用製剤を用いて漬込液を調製することで、漬込液の調製時において、攪拌に伴う浮遊物の発生を好適に抑制できる。
【0079】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、以下に示す変更例は、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0080】
・漬込液は、魚卵以外の食品の改質にも用いることができる。例えば、漬込液は、干物、ハム、ベーコン等の塩蔵処理に用いる塩蔵液であってもよい。例えば、漬込液は、魚、エビ、イカ、タコ等の魚介類や、牛肉、豚肉、鶏肉等の畜肉といった加工対象に対して、食感等の改質とともに味付けを行うための調味液であってもよい。
【0081】
・浸漬液に乳化剤を添加することによって、漬込液の調製時において、攪拌に伴う浮遊物の発生を抑制できるのであれば、乳化剤におけるHLBの値は限定されない。例えば、乳化剤におけるHLBの値は0でもよいし、16より大きくてもよい。
【0082】
・漬込液用製剤において、油分は省略されてもよい。
・漬込液用製剤におけるトランスグルタミナーゼ、乳酸カルシウム、及び、乳化剤の濃度は、特に限定されず、賦形剤等によって適宜調整されてよい。本実施形態では、漬込液用製剤におけるトランスグルタミナーゼ、乳酸カルシウム、及び、乳化剤の質量比をX:Y:Zとしたときに、0.01/A≦X≦1000/A、0.009≦Y≦1、及び、0.0001≦Z≦0.001が成立する構成を例示した。漬込液としての機能を十分に有し、かつ、漬込液の調製時に浮遊物の発生を抑制できるのであれば、X、Y、及び、Zの比は限定されない。なお、A(unit/g)はトランスグルタミナーゼにおける1gあたりのユニット数を表す。
【0083】
・魚卵加工品の製造方法は、水、食塩、トランスグルタミナーゼ、カルシウム塩、及び、乳化剤を含む漬込液に魚卵を接触させる工程を含むものであれば、上述した実施形態の例や試験例2の例に限定されず、適宜調整してよい。
【要約】
【課題】漬込液の調製時において、攪拌に伴う浮遊物の発生を抑制可能とした漬込液用製剤、漬込液、及び、加工食品の製造方法を提供する。
【解決手段】漬込液は、食品用の漬込液であって、水と、食塩と、トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含む。漬込液を調製するための漬込液用製剤は、トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含む。加工食品の製造方法は、水と、食塩と、トランスグルタミナーゼと、カルシウム塩と、乳化剤と、を含む漬込液に加工対象を接触させる。
【選択図】
図1