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特許7601474打錠金型検査システム用の撮像装置、打錠金型検査システム用の学習装置、打錠金型検査システム用の判定装置、打錠金型検査システム用の記録媒体および打錠金型検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】打錠金型検査システム用の撮像装置、打錠金型検査システム用の学習装置、打錠金型検査システム用の判定装置、打錠金型検査システム用の記録媒体および打錠金型検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/95 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
G01N21/95 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024108301
(22)【出願日】2024-07-04
【審査請求日】2024-07-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 第25回 インターフェックスジャパン 医薬品 化粧品 製造展 開催日 2023年7月5日~7月7日 第26回 インターフェックスジャパン 医薬品 化粧品 製造展 開催日 2024年6月26日~6月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592071679
【氏名又は名称】モリマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】塩尻 正則
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-194467(JP,A)
【文献】特開昭55-004568(JP,A)
【文献】特開2019-151449(JP,A)
【文献】特許第7138194(JP,B2)
【文献】特開2023-176241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
A61K 9/00-A61K 9/72
A61K 47/00-A61K 47/69
G06T 7/00-G06T 7/90
G06V 10/00-G06V 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打錠金型検査システムであって、
撮像装置と、学習装置と、を備え、
前記撮像装置は、
打錠金型を載置する載置部材と、
前記打錠金型の打錠面を照明する照明部材と、
前記照明部材により照明されている前記打錠金型の前記打錠面を撮像する撮像部材と、
前記載置部材、前記照明部材、前記撮像部材のうち、少なくとも一つを移動させる移動機構と、
を備え、
前記移動機構は、
前記載置部材を、鉛直方向を回転軸として回転させる回転機構と、
前記照明部材を、前記撮像部材と前記打錠金型の前記打錠面との間において、前記回転機構の前記回転軸方向に上下に往復させる上下往復機構と、
を有し、
前記回転機構の所定数の回転および前記上下往復機構の所定数の昇降を1移動工程とし、
前記撮像部材は、前記移動機構の少なくとも前記1移動工程の間、前記打錠金型の前記打錠面を撮像して動画データとし、
前記学習装置は、
作成部と、学習部と、生成部と、を備え、
前記作成部は、前記撮像部材により得られた前記動画データに、前記打錠面の傷、摩耗、クラックまたは文字埋まりのうち少なくとも1つを示す前記打錠金型の情報を含む学習用動画データを生成し、
前記学習部は、学習アルゴリズムを用いて、前記学習用動画データの一群から、前記打錠面の傷、摩耗、クラックまたは文字埋まりのうち少なくとも1つの状態を学習させ、
前記生成部は、前記学習部による学習結果に基づいて、前記打錠面の傷、摩耗、クラックまたは文字埋まりのうち少なくとも1つを認識し、前記打錠金型の交換の要否を判定するための学習済動画データを生成する、
ことを特徴とする打錠金型検査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の打錠金型検査システムであって、
判定装置をさらに備え、
前記判定装置は、
設定部と、判定部と、を備え、
前記設定部は、前記打錠金型の交換の要否条件を設定して、前記学習済動画データの一群から前記要否条件に基づく前記学習済動画データを抽出し、
前記判定部は、前記撮像部材により得られた前記動画データと、前記設定部により抽出された前記学習済動画データとを対比して、前記打錠金型の交換の要否を判定する、
ことを特徴とする打錠金型検査システム。
【請求項3】
請求項1に記載の打錠金型検査システムであって、
前記打錠金型の情報は、打錠回数、打錠圧力、温度や湿度などの環境状況、錠剤の材料や硬度または前記打錠金型を使用した打錠機のうちの少なくとも1つをさらに含む、
ことを特徴とする打錠金型検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、打錠金型検査システム用の撮像装置、打錠金型検査システム用の学習装置、打錠金型検査システム用の判定装置、打錠金型検査システム用の記録媒体および打錠金型検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
打錠金型検査システム用の撮像装置としては、以下の特許文献1に開示のものがある。なお、特許文献1の電子線照射による非破壊膜厚計測方法の対象は、マトリックスハイスであるDRM2(大同特殊鋼)を母材とし、CrN膜を表面に形成された打錠機杵の打錠面の膜厚である。
【0003】
特許文献1の電子線照射による非破壊膜厚計測方法は、打錠機杵の打錠面に電子線を照射し、波長分散型X線検出器によって複数の測定点のFe-Kαの特性X線強度を測定し、所定の検量線を用いてCrN層の膜厚を換算する。このように、特許文献1の電子線照射による非破壊膜厚計測方法は、厳重な品質管理が必要な錠剤などの製造に用いる機械部品、例えば打錠機の金型である臼および杵等の品質管理に好適である。
【0004】
しかしながら、特許文献1の電子線照射による非破壊膜厚計測方法は、電子線照射装置および波長分散型X線検出器など高価な設備を必要とする。このように、打錠金型検査システム用の撮像装置としては、高価な設備を必要としないことが好ましい。
【0005】
そのため、検査員がルーペなどの拡大鏡や実体顕微鏡またはマイクロスコープのような画像で確認することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2023-74503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、検査員によるルーペなどの拡大鏡や実体顕微鏡またはマイクロスコープのような画像の確認での検査は、検査員個人の検査能力によるところがあり、検査のばらつきが生じる可能性があった。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、例えば、AIの画像処理を利用し、波長分散型X線検出器などの高価な設備を必要せずに、カメラによる撮像により得られた打錠金型の打錠面の画像によって打錠面の状態を把握することができる打錠金型検査システム用の撮像装置、打錠金型検査システム用の学習装置、打錠金型検査システム用の判定装置、打錠金型検査システム用の記録媒体および打錠金型検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の観点の打錠金型検査システム用の撮像装置は、前記の課題を解決するために、打錠金型検査システム用の撮像装置であって、打錠金型を載置する載置部材と、前記打錠金型の所定面を照明する照明部材と、前記照明部材により照明されている前記打錠金型の前記所定面を撮像する撮像部材と、前記載置部材、前記照明部材、前記撮像部材のうち、少なくとも一つを移動させる移動機構と、を備え、前記撮像部材は、前記移動機構の少なくとも1移動工程の間において、前記打錠金型の前記所定面を撮像して動画データとする、ことを特徴とする。
【0010】
この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置において、前記移動機構は、前記載置部材を回転軸周りに回転させる回転機構と、前記照明部材を、前記撮像部材と前記打錠金型の前記所定面との間において、前記回転機構の前記回転軸方向に往復させる往復機構と、を有する、ことが好ましい。
【0011】
この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置において、前記照明部材は、前記回転機構の前記回転軸を中心とする環状の光照射部を有する、ことが好ましい。
【0012】
この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置において、前記移動機構は、前記載置部材を鉛直方向を回転軸として回転させる回転機構と、前記照明部材を、前記撮像部材と前記打錠金型の前記所定面との間において、前記回転機構の前記回転軸方向に上下に往復させる上下往復機構と、を有する、ことが好ましい。
【0013】
この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置において、前記照明部材は、前記回転機構の前記回転軸を中心とする環状の光照射部を有する、ことが好ましい。
【0014】
この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置において、前記打錠金型は、前記撮像部材に対向する方向の長さが異なる数種類の前記打錠金型を有し、前記撮像部材は、固定されていて、前記撮像部材の前記打錠金型の前記所定面からの光が入射する入射面と、前記打錠金型の前記所定面とは、対向し、前記載置部材は、前記撮像部材の前記入射面と数種類の前記打錠金型の前記所定面との間の距離を一定に保つ距離保持機構を有する、ことが好ましい。
【0015】
この発明の第1の観点の打錠金型検査システム用の学習装置は、前記の課題を解決するために、打錠金型検査システム用の学習装置であって、作成部と、学習部と、生成部と、を備え、前記作成部は、この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置の撮像部材により得られた動画データに、打錠金型の情報を、書き込んで学習用動画データを作成し、前記学習部は、学習アルゴリズムを用いて、前記作成部により作成された前記学習用動画データの一群から、前記打錠金型の状態を学習させ、前記生成部は、前記学習部において学習された前記打錠金型の状態に基づいて、前記打錠金型の交換の要否を判定するための学習済動画データを生成する、ことを特徴とする。
【0016】
この発明の第1の観点の打錠金型検査システム用の判定装置は、前記の課題を解決するために、打錠金型検査システム用の判定装置であって、設定部と、判定部と、を備え、前記設定部は、打錠金型の交換の要否条件を設定して、この発明の打錠金型検査システム用の学習装置の生成部により生成された学習済動画データの一群から前記要否条件に基づく前記学習済動画データを抽出し、前記判定部は、この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置により得られた動画データと、前記設定部により抽出された前記学習済動画データとを対比して、前記打錠金型の交換の要否を判定する、ことを特徴とする。
【0017】
この発明の第1の観点の打錠金型検査システムは、前記の課題を解決するために、この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置と、この発明の打錠金型検査システム用の学習装置と、この発明の打錠金型検査システム用の判定装置と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置、打錠金型検査システム用の学習装置、打錠金型検査システム用の判定装置、打錠金型検査システム用の記録媒体および打錠金型検査システムは、例えば、AIの画像処理を利用し、波長分散型X線検出器などの高価な設備を必要せずに、カメラによる撮像により得られた打錠金型の打錠面の画像によって打錠面の状態を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置の実施形態を示す外観の正面図である。
図2図2は、打錠金型検査システム用の撮像装置の使用状態における内部を示す正面図である。
図3図3は、打錠金型検査システム用の撮像装置の使用状態における内部を示す側面図であって、図2におけるIII矢視図である。
図4図4は、打錠金型検査システム用の撮像装置の使用状態における内部を示す平面図であって、図3におけるIV-IV線断面図である。
図5図5は、打錠金型検査システム用の撮像装置の使用状態における内部を示す断面図であって、図2におけるV-V線断面図である。
図6図6は、撮像部材を示す一部平面図であって、図2におけるVI矢視図である。
図7図7は、載置部材の回転機構を示す一部正面図であって、図3におけるVII矢視図である。
図8図8は、照明部材の上下往復機構を示す一部正面図であって、図3におけるVIII矢視図である。
図9図9は、打錠金型である杵を示す斜視図である。
図10図10は、第1スペーサを取り付けた状態の載置部材を示す一部断面の正面図である。
図11図11は、第2スペーサを取り付けた状態の載置部材を示す一部断面の正面図である。
図12図12は、図10の第1スペーサ、図11の第2スペーサを示す平面図である。
図13図13は、載置部材を示す平面図である。(A)は、載置部材の回転機構を示す平面図である。(B)は、載置部材の載置面を示す平面図である。
図14図14は、実体顕微鏡による杵の打錠面を示す説明図である。(A)は、回転角度が0°における杵の打錠面の説明図である。(B)は、(A)の状態から時計方向に約90°回転した状態の杵の打錠面の説明図である。(C)は、(A)の状態から時計方向に約180°回転した状態の杵の打錠面の説明図である。(D)は、(A)の状態から時計方向に約220°回転した状態の杵の打錠面の説明図である。(E)は、(C)の状態における照明の光量を約40%低下させた状態の杵の打錠面の説明図である。(F)は、(C)の状態における照明の光量を0とした状態の杵の打錠面の説明図である。
図15図15は、この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置による杵の打錠面を示す説明図である。(A)(B)(C)(D)(E)(F)(G)(H)は、載置部材が(A)から(H)までの間、時計方向に約360°回転している状態において、照明部材が上下に2往復した状態の杵の打錠面の説明図である。
図16図16は、この発明の打錠金型検査システムの実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置、打錠金型検査システム用の学習装置、打錠金型検査システム用の判定装置、打錠金型検査システム用の記録媒体および打錠金型検査システムの実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて説明する。
【0021】
なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0022】
また、図面においては、概略図であるため、主要部分を図示し、主要部分以外の部分の図示を省略し、また、ハッチングの一部を省略し、あるいは、断面の一部を省略する。
【0023】
さらに、図14および図15は、撮像部材14で撮像した画像をグレースケールで示した図である。
【0024】
(実施形態の説明)
以下、この実施形態にかかる打錠金型検査システムSについて説明する。打錠金型検査システムSは、図16に示すように、撮像装置1、学習装置2、判定装置3、記録媒体M10、M20、M30から構成されている。打錠金型検査システムSの対象物としてのワークは、打錠機の金型、すなわち、打錠金型であって、この例では、杵11である。
【0025】
(杵11の説明)
杵11は、図1から図3図9から図11に示すように、丸棒形状をなす。杵11の一端面は、錠剤の一面を成形する打錠面110であって、円形の凹曲面をなす。杵11の他端面は、載置面111であって、円形の平面をなす。
【0026】
杵11は、図1から図3に示す長さL1が133.6mmの杵11A、図10に示す長さL2が133.35mmの杵11B、図11に示す長さL3が125mmの杵11Cなど、長さが異なる数種類の杵を有する。また、杵11は、載置面111の直径が19mm、25.4mm、28mm、31.75mmの杵など、載置面111の直径が異なる数種類の杵を有する。
【0027】
(撮像装置1の構成の説明)
図1から図15は、打錠金型検査システム用の撮像装置1の実施例を示す。以下、打錠金型検査システム用の撮像装置1の構成について説明する。
【0028】
打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11の打錠面110を検査する。打錠金型検査システム用の撮像装置1は、図1から図5に示すように、パネル100とフレーム101とから構成されていて、中空形状の箱からなる。パネル100は、正面パネル、背面パネル、平面パネル、底面パネル、左側面パネル、右側面パネルと、仕切パネル103とを有する。フレーム101は、複数本の縦フレームと、複数本の横フレームとを有する。
【0029】
撮像装置1は、施設の床面108上に脚部1080を介して設置されている。撮像装置1の中の空間部分は、図1図4および図5に示すように、仕切パネル103により、左側の空間部分102Lと右側の空間部分102Rとに左右に2つに仕切られている。
【0030】
パネル100のうち正面のパネルは、図1に示すように、左側の正面のパネルと右側の正面のパネルとに左右に2つに分割されている。左側の正面のパネルは、ヒンジ104を介して開閉可能に取り付けられている。左側の正面のパネルには、覗き窓105が設けられている。この覗き窓105を経て左側の空間部分102Lを目視することができる。また、左側の正面のパネルには、開閉用のハンドル109が設けられている。
【0031】
また、右側の正面のパネルには、操作タッチパネル106と、ディスプレイ107とが、設けられている。操作タッチパネル106は、後記の照明部材13、撮像部材14、回転機構15および昇降機構16の作動を操作する手段である。ディスプレイ107は、照明部材13、撮像部材14、回転機構15および昇降機構16のうち少なくとも回転機構15および昇降機構16の作動状態を表示する。
【0032】
さらに、右側面のパネルは、ヒンジ104を介して開閉可能に取り付けられている。
【0033】
打錠金型検査システム用の撮像装置1は、載置部材12と、照明部材13と、撮像部材14と、移動機構としての回転機構15、および、同じく移動機構であって上下往復機構の昇降機構16と、を備える。
【0034】
(載置部材12の説明)
載置部材12は、図1から図4図10図11図13に示すように、左側の空間部分102L中の下部に回転機構15を介して配置されている。載置部材12は、回転機構15により、鉛直方向を回転軸Vとして、図2および図4中の矢印Rに示すように、平面から見て時計方向、すなわち、右方向に回転する。
【0035】
載置部材12は、回転機構15の回転軸Vに対して直角な水平面を分割面として、上側の載置部材12Uと下側の載置部材12Dとに上下に2つに分割されている。上側の載置部材12Uと下側の載置部材12Dとは、回転軸Vを中心とし、直径が同一の円板形状をなしている。上側の載置部材12Uの板厚Tは、下側の載置部材12Dの板厚よりも薄く、この例では、10mmである。
【0036】
上側の載置部材12Uの上面は、回転軸Vに対して直角な水平面の被載置面120をなす。被載置面120の中央箇所であって、杵11の載置面111が載置される個所には、図13(B)に示すように、直径φ1、φ2、φ3、φ4が19mm、25.4mm、28mm、31.75mmと異なる数種類の目印1291、1292、1293、1294がケガキで付されている。この数種類の目印1291~1294の直径と、前記の数種類の杵11の載置面111の直径とは、合致する。この結果、杵11の載置面111を載置部材12の被載置面120に載置させる時に、杵11の載置面111の直径と同じ直径の目印1291~1294に合わせて載置させることにより、杵11の中心軸が回転軸Vに一致する。これにより、撮像部材14で杵11の打錠面110を高精度に撮像することができる。
【0037】
上側の載置部材12Uの下面の中心個所には、ガイド凸部121が下方に一体に突設されている。下側の載置部材12Dの上面の中心個所には、ガイド凹部122がガイド凸部121に対応して下方に設けられている。ガイド凸部121とガイド凹部122は、嵌合されている。ガイド凸部121とガイド凹部122は、回転軸Vに対して直角な断面形状が非円形形状、たとえば、六角形形状をなしていて、回転軸V周りに回転不可能であり、一方、回転軸V方向に移動可能である。
【0038】
上側の載置部材12Uの中心から外れた箇所には、調整ネジ123が、回転可能にかつ調整ネジ123の回転軸方向に移動不可能に、取り付けられている。下側の載置部材12Dの中心から外れた箇所には、調整ネジ孔124が、調整ネジ123に対応して、調整ネジ123の回転軸方向に設けられている。調整ネジ123は、調整ネジ孔124にねじ込まれている。調整ネジ123を時計方向すなわち右方向または反時計方向すなわち左方向に回転させることにより、ガイド凸部121とガイド凹部122をガイドとして、上側の載置部材12Uが下側の載置部材12Dに対して上下に移動する。この結果、上側の載置部材12Uの分割面の下面と下側の載置部材12Dの分割面の上面との間の隙間を、図10に示す0.25mmの隙間C2、図11に示す8.6mmの隙間C3、あるいは、図1から図3に示す0mmすなわち無とすることができる。
【0039】
上側の載置部材12Uの下面と下側の載置部材12Dの上面との間の隙間C2、C3には、スペーサ1252、1253が介在される場合がある。スペーサ1252、1253は、図10から図12に示すように、直径が上側の載置部材12Uの直径および下側の載置部材12Dの直径と同一の円板形状をなしている。スペーサ1252、1253には、スリット126が、中心個所から径方向に縁までの間設けられている。スリット126は、スペーサ1252、1253を上側の載置部材12Uの下面と下側の載置部材12Dの上面との間の隙間C2、C3に介在させる時に、ガイド凸部121および調整ネジ123を収容して、ガイド凸部121および調整ネジ123が介在時において阻止部材とならないようにするためである。
【0040】
(距離保持機構127の説明)
上側の載置部材12U、下側の載置部材12D、調整ネジ123、調整ネジ孔124およびスペーサ1252、1253は、距離保持機構127を構成する。距離保持機構127は、撮像部材14の下端面140と長さが異なる数種類の杵11A、11B、11Cの打錠面110との間の距離WDを一定に保つ。距離WDは、この例では、110mmである。撮像部材14の下端面140と杵11A、11B、11Cの打錠面110とは、対向している。
【0041】
すなわち、長さL1が133.6mmの杵11Aの場合においては、図1から図3に示すように、上側の載置部材12Uの下面と下側の載置部材12Dの上面との間には、隙間が形成されておらず、スペーサ1252、1253が介在されていない。この時、長さL1が133.6mmの杵11Aの打錠面110と上側の載置部材12Uの下面または下側の載置部材12Dの上面との間の距離は、図3に示すように、L1+T=133.6mm+10mm=143.6mmである。
【0042】
長さL2が133.35mmの杵11Bの場合においては、図10に示すように、上側の載置部材12Uの下面と下側の載置部材12Dの上面との間の隙間C2には、厚さが0.25mmのスペーサ1252が介在されている。この時、長さL2が133.35mmの杵11Bの打錠面110と下側の載置部材12Dの上面との間の距離は、L2+T+C2=133.35mm+10mm+0.25mm=143.6mmである。
【0043】
長さL3が125mmの杵11Cの場合においては、図11に示すように、上側の載置部材12Uの下面と下側の載置部材12Dの上面との間の隙間C3には、厚さが8.6mmのスペーサ1253が介在されている。この時、長さL3が125mmの杵11Cの打錠面110と下側の載置部材12Dの上面との間の距離は、L3+T+C3=125mm+10mm+8.6mm=143.6mmである。
【0044】
このように、L1+T=L2+T+C2=L3+T+C3=143.6mmであり、一定である。一方、後記の通り、撮像部材14の下端面140の上下位置および下側の載置部材12Dの上面の上下位置は、固定されている。この結果、距離保持機構127により、撮像部材14の下端面140と長さが異なる数種類の杵11A、11B、11Cの打錠面110との間の距離WDは、一定に保たれている。
【0045】
下側の載置部材12Dの下面の中心部には、回転軸部128が下方に一体に突設されている。
【0046】
(照明部材13の説明)
照明部材13は、図2から図4に示すように、左側の空間部分102L中の中間部、すなわち、載置部材12よりも上方の位置に昇降機構16を介して配置されている。照明部材13は、杵11の所定面である打錠面110を照明する。照明部材13は、回転機構15の回転軸Vを中心とする環状の光照射部130を有する。照明部材13は、環状の光照射部130により、杵11の打錠面110を、環状に照明する、いわゆる、リング照明器具である。照明部材13は、杵11の外観を検査する時に点灯する。この時は、正面のパネル100が閉じている。また、照明部材13は、検査が終了した時に消灯する。なお、照明部材13の点灯消灯は、自動によりまたは手動により、行われる。
【0047】
左側の空間部分102L中の上部のほぼ中央には、図示されていない機内照明部材が配置されている。
【0048】
(撮像部材14の説明)
撮像部材14は、図2図3図6に示すように、カメラ部141と、カメラ部141の一端、この例では、下端に一体に設けられているレンズ部142と、を有する。レンズ部142は、筒体中に図示されていないレンズ群が収容されている。レンズ部142の一端面、この例では、下端面140は、開口されていて、打錠金型11、11A、11B、11Cの打錠面110からの光が入射する入射面を構成する。カメラ部141は、レンズ部142で撮像された杵11の打錠面110の画像を電気信号に変換し、画像電気信号を記憶し、また、必要に応じて画像電気信号を出力する。
【0049】
撮像部材14は、左側の空間部分102L中のほぼ上部、すなわち、載置部材12および照明部材13よりも上方の位置に第1取付ブラケット143を介して配置されている。撮像部材14の下端面140の上下位置は、固定されている。第1取付ブラケット143は、この例では、L型形状をなしている。第1取付ブラケット143の水平部は、フレーム101に取り付けられている。第1取付ブラケット143の垂直部には、撮像部材14のカメラ部141が取り付けられている。撮像部材14のレンズ部142の図示されていない光軸と回転機構15の回転軸Vとは、一致する。撮像部材14のレンズ部142の焦点は、杵11の打錠面110に合わせられている。
【0050】
撮像部材14は、照明部材13により照明されている杵11の打錠面110を撮像する。撮像部材14は、この例では、回転機構15の1回転工程と昇降機構16の2昇降工程とを組み合わせた1撮像工程の間において、杵11の打錠面110を動画として撮像して動画データD1とする。この例における1撮像工程とは、回転機構15が10秒間で1回転すなわち360°回転する間、昇降機構16が2度昇降する工程である。
【0051】
(回転機構15の説明)
回転機構15は、図1から図5図8から図11図13(A)に示すように、載置部材12を鉛直方向を回転軸Vとして回転させる。回転機構15は、載置部材12を支持する第1支持テーブル151と、第1モータM1と、第1モータM1を支持する第2支持テーブル152と、第1モータM1の回転力を載置部材12に伝達する回転力伝達部153と、を有する。
【0052】
第1支持テーブル151と第2支持テーブル152は、それぞれ、左側の空間部分102L中に前後に配置されていて、底面のパネル100に固定されている。第1支持テーブル151には、載置部材12の回転軸部128が、ベアリングなどの支持部154を介して回転軸V周りに回転可能に支持されている。
【0053】
回転力伝達部153は、載置部材12の回転軸部128の下端に取り付けられている出力側の第1タイミングプーリー155と、第1モータM1の回転軸に取り付けられている入力側の第2タイミングプーリー156と、第1タイミングプーリー155と第2タイミングプーリー156に掛け回されているタイミングベルト157と、を有する。
【0054】
第1モータM1を駆動させると、第1モータM1の回転力が回転力伝達部153の第2タイミングプーリー156、タイミングベルト157、第1タイミングプーリー155を介して、載置部材12の回転軸部128に伝達される。この結果、載置部材12は、回転軸V周りに回転する。
【0055】
(昇降機構16の説明)
昇降機構16は、左側の空間部分102L中の中部、すなわち、載置部材12と撮像部材14とのほぼ間に配置されている。昇降機構16は、図2から図4図7に示すように、照明部材13を、撮像部材14の下端面140と杵11の打錠面110との間において、回転機構15の回転軸V方向に上下に往復させる。昇降機構16は、第2モータM2と、第2モータM2の回転運動を照明部材13の上下往復運動すなわち昇降運動に変換させるクランク機構160と、を有する。
【0056】
第2モータM2は、後側の中パネル100BCに取り付けられている。クランク機構160は、第2モータM2の回転軸に取り付けられている回転円板161と、前側の中パネル100FCに取り付けられている昇降部162と、回転円板161と昇降部162に取り付けられている変換ロッド163と、を有する。昇降部162は、前側の中パネル100FCに取り付けられているレール164と、レール164に昇降可能に取り付けられているスライダー165と、を有する。後側の中パネル100BCおよび前側の中パネル100FCの左右両端部は、左右のフレーム101にそれぞれ固定されている。
【0057】
変換ロッド163の一端この例では下端は、回転円板161の回転中心から外れた箇所の縁部に下連結ピン166を介して取り付けられている。変換ロッド163の他端この例では上端は、スライダー165に上連結ピン167を介して取り付けられている。
【0058】
スライダー165には、第2取付ブラケット168を介して照明部材13が取り付けられている。第2取付ブラケット168は、L型形状をなしている。第2取付ブラケット168の垂直部は、スライダー165に取り付けられている。第2取付ブラケット168の水平部には、照明部材13が取り付けられている。
【0059】
第2モータM2を駆動させると、第2モータM2の回転軸に取り付けられている回転円板161が、図2および図4中の矢印R1に示すように、正面から見て時計方向R1に回転する。回転円板161の回転運動は、下連結ピン166、変換ロッド163および上連結ピン167を介して、図3中の矢印UDに示すように、スライダー165の上下の往復運動に変換される。スライダー165は、レール164に対して、昇降する。スライダー165の昇降に伴って、照明部材13が、撮像部材14の下端面140と杵11の打錠面110との間において、回転機構15の回転軸V方向に上下に往復、すなわち、昇降する。照明部材13の昇降ストロークSTは、この例では、80mmである。
【0060】
(第1モータM1、第2モータM2の説明)
第1モータM1および第2モータM2は、それぞれ、ステッピングモータから構成されている。第1モータM1および第2モータM2は、パルス信号に基づいて、回転角度が制御されている。この例においては、第1モータM1が10秒間で1回転する間、第2モータM2が2回転する。この結果、第1モータM1が10秒間で1回転、すなわち、載置部材12の10秒間の1回転を介して、杵11が10秒間で回転軸V周りに1回転する間において、第2モータM2が2回転、すなわち、スライダー165の2昇降を介して、照明部材13が2度昇降する。ここで、撮像部材14は、杵11の1回転および照明部材13の2昇降を1移動工程として、杵11の打錠面110を動画として撮像して動画データD1とする。
【0061】
(撮像装置1の作用の説明)
この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、作用について説明する。
【0062】
まずは、検査対象のワークの杵11A、11B、11Cの長さに合わせて、距離保持機構127を調整して、上側の載置部材12Uの下面と下側の載置部材12Dの上面との間に、スペーサ1252、1253を介在させない、または、スペーサ1252もしくはスペーサ1253を介在させる。これにより、撮像部材14の下端面140と長さが異なる数種類の杵11A、11B、11Cの打錠面110との間の距離WDが一定に保たれる。
【0063】
つぎに、検査対象のワークの杵11の載置面111を、載置部材12の被載置面120上に、所定の目印129に合わせて、すなわち、杵11の載置面111の直径19mm、25.4mm、28mm、31.75mmと、目印129の直径φ1、φ2、φ3、φ4とを、それぞれ、合わせて、載置させる。
【0064】
それから、撮像部材14の撮像と、照明部材13の点灯と、第1モータM1および第2モータM2の駆動とを、同時に開始させる。すると、第1モータM1の駆動により、回転機構15を介して、載置部材12が10秒間で1回転して杵11の打錠面110が10秒間で1回転する。また、第2モータM2の駆動により、昇降機構16を介して、照明部材13が10秒間で2上下往復すなわち2昇降する。
【0065】
撮像部材14は、杵11の打錠面110が10秒間で1回転する間、および、照明部材13が10秒間で2昇降する間、すなわち、1撮像工程の間において、杵11の打錠面110を動画として撮像して動画データD1とする。
【0066】
杵11の種類や情報、距離保持機構127の距離調整状況、照明部材13の点灯消灯状況、撮像部材14の動画撮像状況、回転機構15の回転状況および昇降機構16の昇降状況などは、必要に応じて、ディスプレイ107において表示される。
【0067】
(撮像装置1の効果の説明)
この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、以上のごとき構成、作用からなり、以下、効果について説明する。
【0068】
この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、載置部材12と、照明部材13と、撮像部材14と、回転機構15と、昇降機構16とを備え、撮像部材14が、回転機構15が10秒間で1回転する間、および、昇降機構16が10秒間で2昇降する間、すなわち、1撮像工程の間において、杵11の打錠面110を動画として撮像して動画データD1とするものである。この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、前記の特許文献1の電子線照射による非破壊膜厚計測方法のような、電子線照射装置および波長分散型X線検出器などの高価な設備を必要としないので、安価な打錠金型検査システム用の撮像装置1を提供することができる。
【0069】
この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、回転機構15により杵11の打錠面110が10秒間で1回転する間、および、昇降機構16により照明部材13が10秒間で2昇降する間、すなわち、1撮像工程の間において、撮像部材14が杵11の打錠面110を動画として撮像して動画データD1とするものである。これにより、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、動画データD1に基づいて、杵11の打錠面110の外観を検査するものであるから、静止画のデータに基づいて、打錠金型の所定面の外観を検査する、既存の打錠金型検査装置と比較して、杵11の打錠面110を高精度に検査することができる。この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11の打錠面110の外観状況を高精度に把握して、かつ、確認して、杵11を管理することができる。このように、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、例えば、AIの画像処理を利用し、波長分散型X線検出器などの高価な設備を必要せずに、カメラすなわち撮像部材14による撮像により得られた打錠金型である杵11の打錠面110の画像によって杵11の打錠面110の状態を把握することができる。
【0070】
(従来の検査方法の説明)
図14は、照明としてのライトの位置が固定された実体顕微鏡を使用して、打錠金型の所定面、この例では、杵11の打錠面110の状態を観察した画像である。静止画で観察検査する。このため、既存の打錠金型検査装置においては、図14に示すように、杵11の打錠面110にある傷Dを見落とす可能性がある。
【0071】
図14において、(A)は、回転角度が0°における杵11の打錠面110であり、ハレーションなどにより傷Dが見えない。(B)は、(A)の状態から時計方向に約90°回転させた状態の杵11の打錠面110であり、(A)と同様に、ハレーションなどにより傷Dが見えない。(C)は、(A)の状態から時計方向に約180°回転させた状態、もしくは、(B)の状態から時計方向に約90°回転させた状態の杵11の打錠面110であり、(A)および(B)と同様に、ハレーションなどにより傷Dが見えない。(D)は、(A)の状態から時計方向に約220°回転させた状態、もしくは、(B)の状態から時計方向に約130°回転させた状態、あるいは、(C)の状態から時計方向に約40°回転させた状態の杵11の打錠面110であり、小円の中の傷Dが見える。
【0072】
また、(E)は、(C)の状態における照明の光量を約40%低下させた状態の杵11の打錠面110であり、(C)の状態では見えなかった傷Dが、(E)の状態においては、小円の中に示すように、見える。
【0073】
さらに、(F)は、(C)の状態における照明の光量を0とした状態の杵11の打錠面110であり、(C)の状態では見えなかった傷Dが、(F)の状態においては、小円の中に示すように、見える。
【0074】
このように、照明としてのライトの位置が固定された実体顕微鏡を使用して、杵11の打錠面110の状態を観察する場合、検査員が杵11を手で上下方向に移動させたり、または回転させたりして傷を見つけ出していた。杵11をどのように動作させるかは検査員の経験に基づく場合があり、例えば新人の検査員では適切に打錠面110上の傷を見つけることができない場合があった。
【0075】
打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11の打錠面110が10秒間で1回転する間、および、照明部材13が10秒間で2昇降する間、すなわち、1撮像工程の間において、撮像部材14が杵11の打錠面110を動画として撮像して動画データとするものである。この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、図15(A)から(H)の小円の中に示すように、傷Dが見える。このように、撮像装置1では、カメラ部141により撮像された画像に傷が映るように、杵11を決まった態様で移動させるようにして検査員によらず傷が映った画像を得ることができる。
【0076】
この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1において、照明部材13は、回転機構15の回転軸Vを中心とする環状の光照射部130を有する、ものである。この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11の円形の打錠面110に光を均等に照射することができるので、杵11の打錠面110を高精度に検査することができる。
【0077】
この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1において、載置部材12は、対向する撮像部材14の下端面140と長さL1、L2、L3が異なる数種類の杵11、11A、11B、11Cの打錠面110との間の距離WDを一定に保つ距離保持機構127を有する、ものである。この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11、11A、11B、11Cの撮像部材14に対向する方向の長さL1、L2、L3が異なる場合であっても、距離保持機構127により、対向する撮像部材14の下端面140と長さL1、L2、L3が異なる数種類の杵11、11A、11B、11Cの打錠面110との間の距離WDを一定に保つことができる。これにより、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、撮像部材14の焦点を長さL1、L2、L3が異なる数種類の杵11、11A、11B、11Cの打錠面110に合わせることができるので、長さL1、L2、L3が異なる数種類の杵11、11A、11B、11Cの打錠面110を高精度に検査することができる。
【0078】
この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1において、載置部材12は、杵11が載置される水平な被載置面120を有し、被載置面120のうち、杵11が載置される個所には、直径φ1、φ2、φ3、φ4が異なる数種類の目印1291~1294が付されていて、数種類の目印1291~1294の直径φ1、φ2、φ3、φ4と、数種類の杵11の載置面111の直径とは、合致する。この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11の載置面111の直径が異なる場合であっても、杵11の載置面111を載置部材12の被載置面120に載置させる時に、杵11の載置面111の直径と同じ直径の目印1291~1294に合わせて載置させることにより、杵11の中心軸を回転軸Vに一致させることができる。これにより、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、撮像部材14で杵11の打錠面110を高精度に撮像することができる。
【0079】
(打錠金型検査システムSの説明)
図16は、この実施形態にかかる打錠金型検査システムSを示すブロック図である。打錠金型検査システムSは、打錠金型検査システム用の撮像装置1と、打錠金型検査システム用の学習装置2と、打錠金型検査システム用の判定装置3と、記録媒体M10、M20、M30と、を備える。打錠金型検査システムSの学習装置2および判定装置3は、この例では、CPU(Central Processing Unit)と、記憶部17、23、33(ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発メモリ等)などのハードウェア、すなわち、マイクロコンピューターを主体として構成されている
【0080】
(打錠金型検査システム用の撮像装置1の説明)
打錠金型検査システム用の撮像装置1は、図16に示すように、前記の載置部材12、照明部材13、撮像部材14、回転機構15、昇降機構16および記憶部17を備える。照明部材13の点灯消灯、撮像部材14の動画撮像、回転機構15の回転および昇降機構16の昇降などは、マイクロコンピューターの制御部において制御されている。
【0081】
撮像部材14は、前記の通り、回転機構15が10秒間で1回転する間、および、昇降機構16が10秒間で2昇降する間、すなわち、1撮像工程の間において、杵11の打錠面110を動画として撮像して動画データD1とするものである。動画データD1は、記録媒体M10および記憶部17に記録される。動画データD1は、直接もしくはネットワークNW1や記録媒体M10を介して、学習装置2および判定装置3に出力される。
【0082】
記録媒体M10は、この例では、フラッシュメモリーや光学ディスクであり、記憶部17は、この例では、RAMやSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)である。
【0083】
このように、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1および打錠金型検査システムSは、前記の通り、安価であり、しかも、高精度の動画データD1を得ることができる。
【0084】
また、動画データD1は、記録媒体M10および記憶部17に記録されているので、記録媒体M10や記憶部17から任意に取り出して使用することができる。
【0085】
(打錠金型検査システム用の学習装置2の説明)
打錠金型検査システム用の学習装置2は、図16に示すように、作成部20と、学習部21と、生成部22と、記憶部23と、を備える。
【0086】
(作成部20の説明)
作成部20は、撮像部材14により得られた動画データD1に杵11の情報を書き込んで学習用動画データD2を作成する。杵11の情報としては、たとえば、打錠回数、打錠圧力、温度や湿度などの環境状況、錠剤の材料や硬度、杵11を使用した打錠機などである。また動画データD1を、学習装置の図示せぬディスプレイに表示して、検査員により傷等が表示された場合、その傷等の場所を指定し、その情報も杵11の情報とされる。
【0087】
学習用動画データD2は、学習部21に出力される。学習用動画データD2は、記録媒体M20および記憶部23に記録される。記録媒体M20は、この例では、フラッシュメモリーや光学ディスクであり、記憶部23は、例えば、RAMやSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)である。
【0088】
(学習部21の説明)
学習部21は、例えば、ニューラルネットワーク(neuralnetwork)の学習(AI:ディープラーニング/機械学習)によって作成部20により作成された学習用動画データD2の一群から、打錠金型の状態、すなわち、杵11の打錠面110の状態を学習する。杵11の打錠面110の状態は、学習用動画データD2と共に、記録媒体M20および記憶部23に記録される。
【0089】
学習部21は、作成部20から直接もしくは記録媒体M20や記憶部23から取得した学習用動画データD2の一群から機械学習を行う。ニューラルネットワークとは、周知のとおり、人間の脳神経系のニューロンを数理モデル化したものの組合せであり、ニューラルネットワークにおいて、学習とは、入力データを受け取る入力層(ノード)から学習内容に応じてネットワークのつながり方を変える隠れ層(ノード)を経由して最終データを出力する出力層(ノード)で人間が望む結果(学習対象機器にとって正しい制御の答え、つまり、正解がでるよう、パラメータ(重みとバイアス)を調整する作業を指す。
【0090】
(生成部22の説明)
生成部22は、学習部21において学習された杵11の打錠面110の状態に基づいて、杵11の交換の要否を判定するための学習済動画データD3を生成する。学習済動画データD3は、学習用動画データD2および杵11の打錠面110の状態と共に、記録媒体M20および記憶部23に記録される。また、学習済動画データD3は、直接もしくはネットワークNW2や記録媒体M20を介して、判定装置3に出力される。
【0091】
作成部20の作成、学習部21の学習および生成部22の生成は、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読み出して実行することにより実現される。また、作成部20の作成状況、学習部21の学習状況および生成部22の生成状況は、必要に応じて、ディスプレイ107に表示される。
【0092】
このように、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の学習装置2および打錠金型検査システムSは、作成部20において、撮像部材14で得られた高精度の動画データD1の一群から、高精度の学習用動画データD2を作成することができる。また、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の学習装置2および打錠金型検査システムSは、学習部21において、作成部20で作成された高精度の学習用動画データD2の一群から、杵11の打錠面110の状態を高精度に学習させることができる。さらに、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の学習装置2および打錠金型検査システムSは、生成部22において、学習部21で学習された杵11の打錠面110の高精度の状態に基づいて、杵11の交換の要否を判定するための学習済動画データD3を高精度に生成することができる。
【0093】
また、学習用動画データD2、杵11の打錠面110の状態、および、学習済動画データD3は、記録媒体M20および記憶部23に記録されているので、記録媒体M20や記憶部23から任意に取り出して使用することができる。
【0094】
(打錠金型検査システム用の判定装置3の説明)
打錠金型検査システム用の判定装置3は、図16に示すように、設定部31と、判定部32と、記憶部33と、を備える。
【0095】
設定部31は、杵11の交換の要否条件を設定して、打錠金型検査システム用の学習装置2の生成部22により生成された学習済動画データD3の一群から設定された要否条件に基づく学習済動画データD3を抽出する。要否条件としては、前記の杵11の情報、および、杵11の打錠面110の傷Dや摩耗などの情報である。この情報に基づいて要否条件を設定する。学習済動画データD3の一群は、生成部22から直接もしくはネットワークNW3を介して、または、打錠金型検査システム用の記録媒体M20から、取得される。
【0096】
判定部32は、打錠金型検査システム用の撮像装置1により得られた動画データD1と、設定部31により抽出された学習済動画データD3とを対比して、杵11の交換の要否を判定する。動画データD1は、撮像装置1の撮像部材14から直接もしくはネットワークNW1を介して取得される。
【0097】
設定部31の設定や抽出および判定部32の判定は、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読み出して実行することにより実現される。設定部31の要否条件の設定状況および判定部32の判定状況は、必要に応じて、ディスプレイ107に表示される。
【0098】
設定部31により設定された要否条件のデータや抽出された学習済動画データD3、または、判定部32により判定された判定のデータの少なくともいずれか一方は、打錠金型検査システム用の記録媒体M30および記憶部33に、記憶される。記録媒体M30は、この例では、フラッシュメモリーや光学ディスクであり、記憶部33は、例えば、RAMやSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)である。
【0099】
この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の判定装置3および打錠金型検査システムSは、設定部31により、設定された要否条件に基づく学習済動画データD3を高精度に抽出することができる。また、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の判定装置3および打錠金型検査システムSは、判定部32により、杵11の交換の要否を高精度に判定することができる。
【0100】
また、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の判定装置3および打錠金型検査システムSは、図16に示すように、設定部31により設定された要否条件のデータの一群や抽出された学習済動画データD3の一群、または、判定部32により判定された判定の一群のうち少なくともいずれか一方が記憶されている記録媒体M30および記憶部33を備えるものであるから、記録媒体M30または記憶部33の少なくともいずれか一方から、設定された要否条件に基づいて高精度に抽出された学習済動画データD3、または、高精度に判定された杵11の交換の要否のデータのうち少なくともいずれか一方を任意に取り出して使用することができる。
【0101】
このように、この実施形態にかかる打錠金型検査システムSは、例えば、AIの画像処理を利用し、波長分散型X線検出器などの高価な設備を必要せずに、カメラによる撮像により得られた打錠金型の打錠面の画像によって打錠面の状態を把握することができる。
【0102】
(実施形態以外の例の説明)
なお、この発明は、前記の実施形態、変形例により限定されるものではない。たとえば、前記の実施形態においては、打錠金型として、打錠機の金型である杵11、11A、11B、11Cについて説明するものである。しかしながら、この発明においては、打錠金型として、打錠機の金型である臼であっても良い。臼の場合、打錠面は、杵11、11A、11B、11Cの場合の凸面に対して、凹面となる。
【0103】
前記の実施形態においては、移動機構として、載置部材12を回転させる回転機構15、および、照明部材13を昇降させる昇降機構16を使用した例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、移動機構として、載置部材12を回転させる回転機構15のみを使用し、または、照明部材13を昇降させる昇降機構16のみを使用するものであっても良い。
【0104】
また、前記の実施形態においては、照明部材13を昇降させる昇降機構16を使用した例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、照明部材13を、前後に、左右に、あるいは、斜めに、往復させる移動機構を使用しても良い。
【0105】
さらに、前記の実施形態においては、移動機構として、載置部材12を回転させる回転機構15、および、照明部材13を昇降させる昇降機構16を使用した例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、移動機構として、撮像部材14を、回転させる回転機構または昇降させる昇降機構の少なくともいずれか一方を使用するものであっても良い。
【0106】
さらにまた、照明部材13として、回転機構15の回転軸Vを中心とする環状の光照射部130を有するものについて説明するものである。しかしながら、この発明においては、照明部材として、複数個の光源を回転機構15の回転軸Vを中心とする環状に配置して、複数個の光源を順次点灯消灯を繰り返すものを使用するものであっても良い。この場合において、載置部材12または撮像部材14の少なくともいずれか一方を回転軸V周りに回転させる回転機構を備えれば、高精度の動画データD1を得ることができる。
【0107】
このように、載置部材12、照明部材13、撮像部材14の移動機構としては、費用と高精度の動画データD1の取得との兼ね合いを考慮して、選ぶことができる。しかも、移動機構としては、載置部材12、照明部材13、撮像部材14のうち、少なくとも1つを移動させる移動機構であれば良い。
【0108】
さらにまた、前記の実施形態においては、撮像部材14の動画の1撮像工程として、回転機構15が10秒間で1回転する間および昇降機構16が10秒間で2昇降する間の例について説明するものである。しかしながら、この発明においては、撮像部材14の動画の1撮像工程として、回転機構15の1回転が10秒間よりも遅くともあるいは速くても良いし、また、昇降機構16の1昇降が5秒間よりも遅くともあるいは速くても良い。タクトの長短、撮像部材14の動画の1撮像工程の効率や動画データD1の精度を考慮して決定すれば良い。
【0109】
さらにまた、前記の実施形態においては、打錠金型の所定面、すなわち、杵11の打錠面110の外観における傷Dを検査するものである。しかしながら、この発明においては、傷Dと共に、または、傷D以外に、たとえば、摩耗やクラックまたいわゆる文字埋まりなどを検査するものであっても良い。杵11の打錠面110の摩耗の状況によっては、製剤の付着などが発生する場合もあり、生産に支障をきたす場合もある。また、錠剤には刻印を有するものもあり、この刻印の形状によっては、杵11の打錠面110の刻印、たとえば、図14および図15中の数字「1.5」に、製剤が付着して、いわゆる、文字埋まりなどが発生する場合もある。この発明においては、摩耗やクラックまたいわゆる文字埋まりなどを検査することができる。
【0110】
さらにまた、前記の実施形態においては、載置部材12、照明部材13、撮像部材14および移動機構15、16を備える撮像装置1を1セットとし、また、学習装置2および判定装置3を1セットとするものである。しかしながら、この発明においては、撮像装置1を複数セットとし、学習装置2および判定装置3を1セットとするものであっても良い。
【0111】
[付記]
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0112】
(1)
打錠金型検査システム用の撮像装置1であって、
打錠金型11を載置する載置部材12と、
前記打錠金型11の所定面110を照明する照明部材13と、
前記照明部材13により照明されている前記打錠金型11の前記所定面110を撮像する撮像部材14と、
前記載置部材12、前記照明部材13、前記撮像部材14のうち、少なくとも一つを移動させる移動機構15、16と、
を備え、
前記撮像部材14は、前記移動機構15、16の少なくとも1移動工程の間において、前記打錠金型11の前記所定面110を撮像して動画データD1とする、
ことを特徴とする。
【0113】
この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、前記の特許文献1の電子線照射による非破壊膜厚計測方法のような、電子線照射装置および波長分散型X線検出器などの高価な設備を必要としないので、安価な打錠金型検査システム用の撮像装置1を提供することができる。
【0114】
しかも、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、回転機構15により杵11の打錠面110が10秒間で1回転する間、および、昇降機構16により照明部材13が10秒間で2昇降する間、すなわち、1撮像工程の間において、撮像部材14が杵11の打錠面110を動画として撮像して動画データD1とするものである。これにより、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、動画データD1に基づいて、杵11の打錠面110の外観を検査するものであるから、静止画のデータに基づいて、打錠金型の所定面の外観を検査する、既存の打錠金型検査装置と比較して、杵11の打錠面110を高精度に検査することができる。この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11の打錠面110の外観状況を高精度に把握して、かつ、確認して、杵11を管理することができる。このように、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、例えば、AIの画像処理を利用し、波長分散型X線検出器などの高価な設備を必要せずに、カメラすなわち撮像部材14による撮像により得られた打錠金型である杵11の打錠面110の画像によって杵11の打錠面110の状態を把握することができる。
【0115】
(2)
前記移動機構15、16は、
前記載置部材12を回転軸V周りに回転させる回転機構15と、
前記照明部材13を、前記撮像部材14と前記打錠金型11の前記所定面110との間において、前記回転機構15の前記回転軸V方向に往復させる往復機構16と、
を有する、
ことを特徴とする。
【0116】
この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、前記の特許文献1の電子線照射による非破壊膜厚計測方法のような、電子線照射装置および波長分散型X線検出器などの高価な設備を必要としないので、安価な打錠金型検査システム用の撮像装置1を提供することができる。
【0117】
しかも、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11の打錠面110の外観状況を高精度に把握して、かつ、確認して、杵11を管理することができる。
【0118】
(3)
前記照明部材13は、前記回転機構15の前記回転軸Vを中心とする環状の光照射部130を有する、
ことを特徴とする。
【0119】
この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11の円形の打錠面110に光を均等に照射することができるので、杵11の打錠面110を高精度に検査することができる。
【0120】
(4)
前記移動機構15、16は、
前記載置部材12を鉛直方向を回転軸Vとして回転させる回転機構15と、
前記照明部材13を、前記撮像部材14と前記打錠金型11の前記所定面110との間において、前記回転機構15の前記回転軸V方向に上下に往復させる上下往復機構16と、
を有する、
ことを特徴とする。
【0121】
この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、前記の特許文献1の電子線照射による非破壊膜厚計測方法のような、電子線照射装置および波長分散型X線検出器などの高価な設備を必要としないので、安価な打錠金型検査システム用の撮像装置1を提供することができる。
【0122】
しかも、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11の打錠面110の外観状況を高精度に把握して、かつ、確認して、杵11を管理することができる。
【0123】
(5)
前記照明部材13は、前記回転機構15の前記回転軸Vを中心とする環状の光照射部130を有する、
ことを特徴とする。
【0124】
この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11の円形の打錠面110に光を均等に照射することができるので、杵11の打錠面110を高精度に検査することができる。
【0125】
(6)
前記打錠金型11は、前記撮像部材14に対向する方向の長さL1、L2、L3が異なる数種類の前記打錠金型11A、11B、11Cを有し、
前記撮像部材14は、固定されていて、
前記撮像部材14の前記打錠金型11、11A、11B、11Cの前記所定面110からの光が入射する入射面140と、前記打錠金型11、11A、11B、11Cの前記所定面110とは、対向し、
前記載置部材12は、前記撮像部材14の前記入射面140と数種類の前記打錠金型11A、11B、11Cの前記所定面110との間の距離を一定に保つ距離保持機構127を有する、
ことを特徴とする。
【0126】
この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、杵11、11A、11B、11Cの撮像部材14に対向する方向の長さL1、L2、L3が異なる場合であっても、距離保持機構127により、対向する撮像部材14の下端面140と長さL1、L2、L3が異なる数種類の杵11、11A、11B、11Cの打錠面110との間の距離WDを一定に保つことができる。これにより、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の撮像装置1は、撮像部材14の焦点を長さL1、L2、L3が異なる数種類の杵11、11A、11B、11Cの打錠面110に合わせることができるので、長さL1、L2、L3が異なる数種類の杵11、11A、11B、11Cの打錠面110を高精度に検査することができる。
【0127】
(7)
打錠金型検査システム用の学習装置2であって、
作成部20と、学習部21と、生成部22と、を備え、
前記作成部20は、この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置1の撮像部材14により得られた動画データD1に、打錠金型11の情報を、書き込んで学習用動画データD2を作成し、
前記学習部21は、学習アルゴリズムを用いて、前記作成部20により作成された前記学習用動画データD2の一群から、前記打錠金型11の状態を学習させ、
前記生成部22は、前記学習部21において学習された前記打錠金型11の状態に基づいて、前記打錠金型11の交換の要否を判定するための学習済動画データD3を生成する、
ことを特徴とする、
【0128】
この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の学習装置2は、作成部20により、高精度の学習用動画データD2を得ることができる。また、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の学習装置2は、学習部21により、高精度の学習用動画データD2の一群から、杵11の打錠面110の状態を高精度に学習させることができる。さらに、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の学習装置2は、生成部22により、高精度に学習された杵11の打錠面110の状態に基づいて、杵11の交換の要否を判定するための学習済動画データD3を高精度に生成することができる。
【0129】
(8)
打錠金型検査システム用の判定装置3であって、
設定部31と、判定部32と、を備え、
前記設定部31は、打錠金型11の交換の要否条件を設定して、この発明の打錠金型検査システム用の学習装置2の生成部22により生成された学習済動画データD3の一群から前記要否条件に基づく前記学習済動画データD3を抽出し、
前記判定部32は、この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置1の撮像部材14により得られた動画データD1と、前記設定部31により抽出された前記学習済動画データD3とを対比して、前記打錠金型11の交換の要否を判定する、
ことを特徴とする。
【0130】
この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の判定装置3は、設定部31により、設定された要否条件に基づく学習済動画データD3を高精度に抽出することができる。また、この実施形態にかかる打錠金型検査システム用の判定装置3は、判定部32により、杵11の交換の要否を高精度に判定することができる。
【0131】
(9)
この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置1と、
この発明の打錠金型検査システム用の学習装置2と、
この発明の打錠金型検査システム用の判定装置3と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0132】
この結果、この実施形態にかかる打錠金型検査システムSは、安価である。しかも、この実施形態にかかる打錠金型検査システムSは、高精度の動画データD1、高精度の学習用動画データD2および高精度の学習済動画データD3を得ることができ、また、杵11の交換の要否を高精度に判定することができる。このように、この実施形態にかかる打錠金型検査システムSは、例えば、AIの画像処理を利用し、波長分散型X線検出器などの高価な設備を必要せずに、カメラすなわち撮像部材14による撮像により得られた打錠金型である杵11の打錠面110の画像によって杵11の打錠面110の状態を把握することができる。
【符号の説明】
【0133】
1 打錠金型検査システム用の撮像装置
100 パネル
101 フレーム
102L 左側の空間部分
102R 右側の空間部分
103 仕切パネル
104 ヒンジ
105 覗き窓
106 操作タッチパネル
107 ディスプレイ
108 床面
1080 脚部
109 ハンドル
11、11A、11B、11C 杵(打錠金型、打錠機の金型)
110 打錠面(所定面)
111 載置面
12 載置部材
12U 上側の載置部材
12D 下側の載置部材
120 被載置面
121 ガイド凸部
122 ガイド凹部
123 調整ネジ
124 調整ネジ孔
1252、1253 スペーサ
126 スリット
127 距離保持機構
128 回転軸部
1291、1292、1293、1294 目印
13 照明部材
130 光照射部
14 撮像部材
140 下端面(入射面)
141 カメラ部
142 レンズ部
143 第1取付ブラケット
15 回転機構(移動機構)
151 第1支持テーブル
152 第2支持テーブル
153 回転力伝達部
154 ベアリング支持部
155 第1タイミングプーリー
156 第2タイミングプーリー
157 タイミングベルト
16 昇降機構(移動機構、上下往復機構)
160 クランク機構
161 回転円板
162 昇降部
163 変換ロッド
164 レール
165 スライダー
166 下連結ピン
167 上連結ピン
168 第2取付ブラケット
17 記憶部
2 打錠金型検査システム用の学習装置
20 作成部
21 学習部
22 生成部
23 記憶部
3 打錠金型検査システム用の判定装置
31 設定部
32 判定部
33 記憶部
C2、C3 隙間
D 傷
D1 動画データ
D2 学習用動画データ
D3 学習済動画データ
L1、L2、L3 長さ
M1 第1モータ
M2 第2モータ
M10、M20、M30 記録媒体
NW1、NW2 ネットワーク
R 時計方向の回転
R1 時計方向の回転
S 打錠金型検査システム
ST 昇降ストローク
UD 上下の往復運動
V 回転軸
WD 距離
φ1、φ2、φ3、φ4 直径

【要約】
【課題】安価な、しかも、打錠金型を高精度に検査することができる打錠金型検査システム用の撮像装置を提供することにある。
【解決手段】この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置1は、載置部材12と、照明部材13と、撮像部材14と、回転機構15と、昇降機構16と、を備えるものである。この結果、この発明の打錠金型検査システム用の撮像装置1は、安価であり、しかも、打錠金型の杵11を高精度に検査することができる。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16