(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】コンタクト組付体
(51)【国際特許分類】
H01R 13/11 20060101AFI20241210BHJP
H01R 25/16 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01R13/11 D
H01R25/16
H01R13/11 K
(21)【出願番号】P 2020130027
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】TE Connectivity Japan合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(72)【発明者】
【氏名】筒井 有機
(72)【発明者】
【氏名】干場 準人
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-054234(JP,A)
【文献】特開2012-015022(JP,A)
【文献】特開2000-201419(JP,A)
【文献】実開平03-022362(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第10117061(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
H01R 25/16
H01R 4/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された状態でソケットをなす複数のコンタクトを備えるコンタクト組付体であって、
前記複数のコンタクトはそれぞれ、前記ソケットを形成する嵌合部と、前記コンタクトの積層方向に互いに係止される被係止部と
、を備え、
前記複数のコンタクトのうち、前記積層方向に隣り合う少なくとも2つの前記コンタクトは、
それぞれの前記嵌合部の間に前記積層方向のクリアランスが設けられ、それぞれの前記被係止部の間で前記積層方向に加圧可能なバネにより互いに導通され
、
前記積層方向に隣り合う前記コンタクトに対して前記積層方向に加圧可能なバネにより導通され、
前記複数のコンタクトと積層される導体を備え、
前記導体の一面側に積層される前記コンタクトの前記嵌合部と、前記導体の他面側に積層される前記コンタクトの前記嵌合部との間に間隙が形成され
、
前記複数のコンタクトは、前記被係止部を貫通する締結部材により、前記バネが加圧された状態に係止され、
前記被係止部は、前記締結部材が貫通する貫通孔の周りに、半径方向に延びる切り起こし片からなる複数の前記バネを備え、
前記複数のコンタクトには、前記被係止部における前記バネの配置が相違する第1コンタクトおよび第2コンタクトが含まれ、
前記第1コンタクトと前記第2コンタクトとは、前記積層方向において交互に配置される、
コンタクト組付体。
【請求項2】
前記導体は、前記積層方向に対して交差する方向に延在し、
前記導体の複数の位置にはそれぞれ、前記複数のコンタクトからなるコンタクト群が設けられる、
請求項
1に記載のコンタクト組付体。
【請求項3】
前記ソケットの向きが、前記締結部材を中心とする前記複数のコンタクトの回転により調整可能である、
請求項1
または2に記載のコンタクト組付体。
【請求項4】
同一の前記締結部材により係止されているコンタクト群が、向きの相違する2以上の前記ソケットをなしている、
請求項
1から3のいずれか一項に記載のコンタクト組付体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電気コンタクトを含むコンタクト組付体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、積層される同一形状の複数のコンタクト部材と、コンタクト部材の積層体を収容するハウジングとを備えたヘッダコネクタを開示する。各コンタクト部材の両端にはそれぞれ、一対のばねビームが形成されている。コンタクト部材が積層されると、積層体の全体として、一対のばねビームは、嵌合相手を受容するソケットをなす。例えば、一端側のソケットにはタブ端子が嵌合し、他端側のソケットには電力バスバーが嵌合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のソケットを構成するばねビームは、嵌合相手に追従して撓む。また、積層されたコンタクト部材のそれぞれに対して嵌合相手が接触するので、多数の接点がもたらされる。そのため、特許文献1に記載のコンタクト部材の積層体によれば、電力回路に組み込まれると、多数の接点に基づいて電流搬送容量の増大に寄与することができる。
本発明は、ソケットをなすコンタクト積層体を含む構造の改良を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、積層された状態でソケットをなす複数のコンタクトを備えるコンタクト組付体であって、複数のコンタクトはそれぞれ、ソケットを形成する嵌合部と、コンタクトの積層方向に互いに係止される被係止部と、を備える。
複数のコンタクトのうち、積層方向に隣り合う少なくとも2つのコンタクトは、それぞれの被係止部の間で積層方向に加圧可能なバネにより互いに導通される。
隣り合うコンタクトは、一部または全体が離間して重なり合う。つまり、隣り合うコンタクトは、互いの輪郭が積層方向におおよそ重なり合いつつも、離間していることも含む。
【0006】
本発明のコンタクト組付体は、複数のコンタクトと積層される導体を備え、導体は、積層方向に隣り合うコンタクトに対して積層方向に加圧可能なバネにより導通されることが好ましい。
【0007】
本発明のコンタクト組付体において、導体は、積層方向に対して交差する方向に延在し、導体の複数の位置にはそれぞれ、複数のコンタクトからなるコンタクト群が設けられることが好ましい。
【0008】
本発明のコンタクト組付体において、複数のコンタクトは、被係止部を貫通する締結部材により、バネが加圧された状態に係止されることが好ましい。
【0009】
本発明のコンタクト組付体において、ソケットの向きが、締結部材を中心とする複数のコンタクトの回転により調整可能であることが好ましい。
【0010】
本発明のコンタクト組付体において、同一の締結部材により係止されているコンタクト群が、向きの相違する2以上のソケットをなしていることが好ましい。
【0011】
本発明のコンタクト組付体において、被係止部は、締結部材が貫通する貫通孔の周りに、切り起こし片からなる複数のバネを備えることが好ましい。
【0012】
本発明のコンタクト組付体において、複数のコンタクトには、被係止部におけるバネの配置が相違する第1コンタクトおよび第2コンタクトが含まれ、第1コンタクトと第2コンタクトとは、積層方向において交互に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンタクト組付体によれば、積層されるコンタクトの被係止部間におけるバネの存在により、コンタクトの嵌合部間にクリアランスを設定し、嵌合部が離間して重なり合う状態に各コンタクトを位置決めすることができる。そうすると、単位厚さあたり積層されるコンタクトの数を十分に確保しつつ、積層方向に嵌合部が確実に分散した状態を実現することができる。そうすると、被係止部にバネを備えていない場合に対し、ソケットに多数の接点がより確実にもたらされると共に、空気に接触するコンタクトの表面積を増大させることができるので、コンタクトからの放熱を促進させて温度の上昇を抑制することが可能となる。
しかも、嵌合部間にクリアランスが与えられることにより、各嵌合部が嵌合相手に追従して撓み易い。そのため、位置や寸法形状の誤差を吸収して嵌合相手とコンタクト組付体とを安定して接続できるとともに、振動等の外力が加えられた際にも接続を維持することができる。
バネにより被係止部同士を積層方向に導通させることに加え、バネにより被係止部と他の導体とを導通させることによれば、嵌合部に受け入れた嵌合相手と、被係止部に接触導通した導体との電気的接続をも実現する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るコンタクト組付体の斜視図である。
【
図2】
図1に示すコンタクト群に含まれる第1コンタクトおよび第2コンタクトを示す平面図である。(a)は第1コンタクトを示し、(b)は、バネの配置が第1コンタクトとは相違する第2コンタクトを示す。
【
図4】嵌合相手の挿入時に、積層されているコンタクトの嵌合部が変位および変形した状態の一例を示す平面図である。
【
図5】コンタクトおよび導体(バスバー)の組付けの一例を示す平面図である。
【
図6】コンタクトおよび導体(バスバー)の組付けの他の例を示す平面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係るコンタクト組付体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すコンタクト組付体1は、ソケットSをなすコンタクト群10と、コンタクト群10と共に積層されるバスバー20(導体)と、コンタクト群10およびバスバー20を一体化する締結部材30とを備えている。
コンタクト組付体1は、例えば、車両等に搭載される電力搬送回路に用いることができる。
【0016】
コンタクト群10は、積層される複数のコンタクト11からなる。
図2に示すように、各コンタクト11は、ソケットSを形成する嵌合部12と、コンタクト11の積層方向D1に互いに係止される被係止部13とを備える。コンタクト11は、例えばアルミニウム合金等の金属材料からなる板材を用いて、打ち抜きおよび曲げ加工により成形することができる。
なお、積層される嵌合部12間にはクリアランスC(
図3)が与えられている。
図1において、実際には嵌合部12間に存在するクリアランスCとしての間隙の図示が省略されている。
図1における「C」は、クリアランスCの位置を示している。上記は、
図8においても同様である。
【0017】
嵌合部12は、矩形状の被係止部13から延びた一対のアーム121からなる。アーム121の向きを一定方向に揃えてコンタクト11が積層されると、積層体の全体として、一対のアーム121は、嵌合相手9(
図3)を受容するソケットS(
図1)をなす。締結部材30を中心にコンタクト11を回転させてアーム121の向きを変化させることで、ソケットSの向きを調整することができる。ソケットSには任意の向きを与えることができる。
【0018】
嵌合相手9は、例えば、バスバー20とは別のバスバー、あるいはタブ端子等である。一対のアーム121の先端部の隙間GからソケットSの内側に板状の嵌合相手9が嵌合されると、コンタクト群10の各嵌合部12の接点部122に嵌合相手9が接触する。
【0019】
被係止部13は、
図2および
図3に示すように、板厚方向(積層方向D1)に貫通する貫通孔130と、貫通孔130の近傍、周囲に配置されて積層方向D1に加圧可能なバネ131とを備えている。
バネ131は、被係止部13の一面13A側に、片持ち梁状に切り起こされた切り起こし片からなる。貫通孔130の周りに、複数(本実施形態では3つ)のバネ131が配置されることが好ましい。
積層される複数のコンタクト11は、被係止部13の貫通孔130を貫通する締結部材30(
図1および
図3)により、バネ131が加圧された状態に係止される。
【0020】
コンタクト群10には、
図2に示すように、被係止部13におけるバネ131の配置が相違する第1コンタクト11-1および第2コンタクト11-2が含まれる。
第1コンタクト11-1のバネ131(131-1)は、貫通孔130の周りに等間隔に配置されている。第2コンタクト11-2のバネ131(131-2)は、第1コンタクト11-1のバネ131-1とは異なる位相で、貫通孔130の周りに等間隔に配置されている。
【0021】
バネ131-1とバネ131-2とを異なる位相に配置し易いように、バネ131-1,131-2のいずれも、貫通孔130を中心として放射状に形成されている。
締結部材30による軸力がバネ131に伝達され易いように、各バネ131は、貫通孔130の近傍に自由端131Fが位置するように被係止部13に形成されていることが好ましい。
バネ131の形状や配置、切り起こされる向きは、本実施形態には限らず、適宜に定めることができる。一面13A側に切り起こされたバネ131に加えて、他面13B側に切り起こされたバネ131を被係止部13に設けることもできる。
【0022】
第1コンタクト11-1と第2コンタクト11-2とは、積層方向D1において交互に配置される(
図3参照)。そうすると、
図2(b)に二点鎖線で示すように、第1コンタクト11-1の各バネ131-1が、貫通孔130の周方向における第2コンタクトのバネ131-2間に配置される。
【0023】
本実施形態では、2以上のコンタクト11と2以上のコンタクト11との間にバスバー20が挟み込まれ、締結部材30によりコンタクト群10と共に係止される。バスバー20を板厚方向に貫通する接続孔21に締結部材30が挿通される。バスバー20から、コンタクト11の嵌合部12が突出している。
積層方向D1におけるバスバー20の両側で、第1コンタクト11-1と第2コンタクト11-2とが交互に、かつ、バネ131の自由端131Fが被係止部13の表面に対してバスバー20側に位置する向きに積層される。
【0024】
締結部材30は、
図3に示すように、例えば、第1ピン31、第2ピン32、および座金33を含んでいる。
コンタクト11およびバスバー20の積層体に対して、積層方向D1の一方側から挿入される第1ピン31の軸部と、積層方向D1の他方側から挿入される第2ピン32の軸部とをねじ止め、あるいはかしめ等の方法により結合させると、積層体に軸力が付与される。その軸力により、隣り合うコンタクト11のそれぞれの被係止部13の間、およびバスバー20の隣のコンタクト11の被係止部13とバスバー20との間でバネ131が加圧されて積層方向D1に弾性変形する。
【0025】
第1コンタクト11-1および第2コンタクト11-2に関し、第1コンタクト11-1のバネ131-1は、第2コンタクト11-2の被係止部13において、バネ131-2の形成されていない平坦な部分に押し付けられる。また、第2コンタクト11-2のバネ131-2は、第1コンタクト11-1の被係止部13において、バネ131-1の形成されていない平坦な部分に押し付けられる。
図3に示す例では第1コンタクト11-1がバスバー20に隣接しているから、第1コンタクト11-1のバネ131-1がバスバー20の表面に押し付けられる。
【0026】
以上より、隣り合うコンタクト11同士、および隣り合うコンタクト11とバスバー20とが、バネ131の弾性力により互いに導通される。
【0027】
図3に示すように、締結部材30により係止されたコンタクト群10の被係止部13からそれぞれ、同じ方向に延びる嵌合部12がソケットSをなしている。各被係止部13は、締結部材30およびバネ131により積層方向D1に位置決めされる。一方、バネ131を備えていない嵌合部12は、クリアランスCを介して積層された状態に位置決めされる。
積層されている各嵌合部12は、板厚方向に沿った方向(
図3の矢印参照)や、締結部材30の軸の回転方向(
図4の矢印参照)を含めて適宜な方向に撓んで変位および変形することにより、ソケットS全体として嵌合相手9に追従可能である。嵌合部12間にクリアランスCが存在することにより各嵌合部12が撓み易いので、嵌合相手9に十分に追従させることができる。各嵌合部12は、一例として、
図3の矢印で示す向きに先端側が拡がるように変位・変形する。他の例では、
図4に示すように、各嵌合部12が軸回りに扇状に拡がるように変位・変形する。その他、
図3の矢印方向および
図4の矢印方向の双方へと各嵌合部12が三次元的に変位・変形する場合もある。
したがって、嵌合相手9が、例えば積層方向D1に対して傾斜した状態でソケットSに挿入されたとしても、各嵌合部12の変位および変形により、ソケットSの姿勢が嵌合相手9に倣う。そして、各嵌合部12が嵌合相手9に接触した状態で、ソケットSは嵌合相手9を弾性的に支持する。このとき、バネ131により積層方向D1に位置決めされた多数のコンタクト11の嵌合部12が、クリアランスCを介して狭いピッチで配列されているから、嵌合部12がなすソケットSと嵌合相手9との間には、コンタクトの枚数に応じた数の接点がもたらされる。
【0028】
本実施形態では、バスバー20の一面側に積層されたコンタクト11の嵌合部12と、バスバー20の他面側に積層されたコンタクト11の嵌合部12との間に間隙C2が形成されている。この間隙C2の存在により、尚更、嵌合部12が容易に変位・変形するので、嵌合相手9へのより十分な追従が可能となる。
【0029】
コンタクト組付体1によれば、積層構造に基づいて嵌合相手9にコンタクト11が追従するため、嵌合相手9およびソケットSのそれぞれの位置や、寸法形状の誤差を吸収して、嵌合相手9とコンタクト組付体1とを安定して接続できるとともに、振動等の外力が加えられた際にも接続を維持することができる。そのため、接続の信頼性を確保することができる。
【0030】
コンタクト組付体1によれば、バネ131により、嵌合部12間に微細なクリアランスCが設定された状態に各コンタクト11を位置決めすることができるので、単位厚さあたり積層されるコンタクト11の数を十分に多く確保しつつ、積層方向D1に嵌合部12を確実に分散させることができる。そうすると、コンタクト組付体1がバネ131を備えていない場合と比べ、ソケットSに多数の接点をより確実にもたらすことができると共に、コンタクト11の表面積拡大による放熱の促進により、温度上昇を抑制することが可能となる。温度上昇の抑制によれば、電気抵抗の増加を避けて電力搬送容量の増大に寄与することができる。
【0031】
さらに、コンタクト組付体1によれば、コンタクト11に積層されるバスバー20を備えていることにより、バスバー20の延在する方向に接点を増加させて配線の自由度を向上させることができる。
図5に示す矩形状のバスバー20は、積層方向D1に対して交差する方向に延在している。バスバー20には、延在方向に所定間隔をおいて複数の接続孔21が形成されている。それらの接続孔21から任意に選択した2以上の接続孔21の位置にそれぞれ、2以上のコンタクト11からなるコンタクト群10を設けることができる。
【0032】
図5に示す例では、バスバー20の第1接続孔21-1の位置に第1コンタクト群10-1(
図1)が設けられ、第2接続孔21-2の位置に第2コンタクト群10-2が設けられ、第3接続孔21-3の位置に第3コンタクト群10-3が設けられている。第1~第3コンタクト群10-1,10-2,10-3はそれぞれ、個別に与えられる締結部材30によりバスバー20と締結されている。
第1コンタクト群10-1は、ソケットS-1をなしている。第2コンタクト群10-2は、ソケットS-2A,S-2Bをなしている。第3コンタクト群10-3は、ソケットS-3A,S-3Bをなしている。
【0033】
第2コンタクト群10-2は、バスバー20の幅方向D2の一方側に向けて嵌合部12が突出する向きでバスバー20に締結されたコンタクト群10-2Aと、バスバー20の幅方向D2の他方側に向けて嵌合部12が突出する向きでバスバー20に締結されたコンタクト群10-2Bとに区分される。なお、コンタクト群10-2Aとコンタクト群10-2Bとは、必ずしもバスバー20を境界に区分されている必要はなく、積層方向D1の任意の位置で区分することができる。
【0034】
図5の紙面において、バスバー20の表面側に配置されたコンタクト群10-2Aは、ソケットS-2Aをなしている。また、バスバー20の裏面側に配置されたコンタクト群10-2Bは、ソケットS-2Aとは向きが相違する別のソケットS-2Bをなしている。
また、第3コンタクト群10-3も、同様に、コンタクト群10-3Aと、コンタクト群10-3Bとに区分される。コンタクト群10-3AはソケットS-3Aをなし、コンタクト群10-3BはソケットS-3Bをなしている。
【0035】
図6には、複数のバスバー20-1,20-2を用いて、さらなる多接点化を図る例を示す。
図6に示す例において、第1バスバー20-1の第1接続孔21-1の位置には、ソケットS-1A,S-1Bをなす第1コンタクト群10-1が設けられている。
図6の第1コンタクト群10-1は、一対の嵌合部12-1,12-2を備えたコンタクト11Wからなる。
第2接続孔21-2の位置には、ソケットS-2をなす第2コンタクト群10-2が設けられている。第3接続孔21-3の位置には、ソケットS-3A,S-3Bをなす第3コンタクト群10-3が設けられている。
また、第2バスバー20-2の接続孔21-4の位置には、第4コンタクト群10-4が設けられている。第4コンタクト群10-4は、積層方向D1において、ソケットS-4Aをなすコンタクト群10-4Aと、ソケットS-4Bをなすコンタクト群10-4Bと、ソケットS-4Cをなすコンタクト群10-4Cとに区分されている。
【0036】
上述のコンタクト群10-3あるいはコンタクト群10-4の如く、同一の締結部材30により係止されているコンタクト群10をソケットSの数に対応する適宜な数に区分して用いることができる。ソケットSの向きは、第1バスバー20-1や第2バスバー20-2の延在方向に対して傾斜していてもよい。
【0037】
第2接続孔21-2に挿通される締結部材30の軸部は、第2バスバー20-2の接続孔21-5(
図7)にも挿通される。この締結部材30により第1バスバー20-1と第2バスバー20-2とが連結される。
第1バスバー20-1および第2バスバー20-2が連結される箇所では、例えば、
図7に示すように、第1バスバー20-1と第2バスバー20-2との間に、第2コンタクト群10-2の全てのコンタクト11が配置されている。
図7に示す第2コンタクト群10-2のコンタクト11も、
図3に示すコンタクト群10のコンタクト11と同様、嵌合部12が、ソケットS-2に受容される嵌合相手に追従して撓み、嵌合相手を弾性的に支持する。
【0038】
図7に示す例では、積層方向D1の中心から第1バスバー20-1側ではバネ131が第1バスバー20-1に向けて突出するように、第1コンタクト11-1と第2コンタクト11-2とが交互に配置される。第2バスバー20-2側では、バネ131が第2バスバー20-2に向けて突出するように、第1コンタクト11-1と第2コンタクト11-2とが交互に配置される。
【0039】
そうすると、積層方向D1の中心部に位置する第1コンタクト11-1および第2コンタクト11-2は、それらの平坦な面が接触しており、バネ131により導通されてはいない。このように、積層体の一部において隣り合うコンタクト11同士が導通されていないとしても、コンタクト11の積層体の全体としては、嵌合部12の狭いピッチでの分散により、多接点化を実現することができ、かつ、コンタクト11の表面積拡大による放熱の促進によって温度上昇の抑制に寄与することもできる。さらには、嵌合相手9への追従性も向上する。
したがって、積層されるコンタクト群に含まれるコンタクト11の必ずしも全数がバネ131を備えている必要はない。
また、コンタクト11の全数がバネ131を備えている必要もない。コンタクト群には、両面が平坦なコンタクトが含まれていてもよい。
【0040】
図7のように第1バスバー20-1と第2バスバー20-2との間に配置されるコンタクト11の全数について、コンタクト11間の導通を図る場合には、例えば、各コンタクト11のバネ131が第1バスバー20-1に向けて突出するように、各コンタクト11の向きを一方向に揃えるとよい。このとき第2バスバー20-2には、隣接するコンタクト11に向けて突出するバネを与えることができる。
【0041】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態とは相違する事項を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付している。
図8は、バスバー20を備えていないコンタクト組付体2を示す。
コンタクト組付体2は、積層された2以上のコンタクト41からなるコンタクト群40と、締結部材30とを備えている。
コンタクト41は、一対の嵌合部12-1,12-2と、締結部材30により積層方向D1に互いに係止される被係止部13とを備えている。積層された状態の第1嵌合部12-1はソケットS-41を構成し、積層された状態の第2嵌合部12-2はソケットS-42を構成する。
【0042】
コンタクト41の被係止部13には、第1実施形態と同様に、複数のバネ131が形成されている。コンタクト群40には、コンタクト41として、バネ131の位置が相違する2種類のコンタクト41-1,41-2が含まれる。コンタクト41-2のバネ131は、
図8に破線で示すように、コンタクト41-1のバネ131間に配置されている。
【0043】
コンタクト41-1とコンタクト41-2とが交互に積層された状態で締結部材30により締結されると、コンタクト41-1,41-2のいずれのバネ131も、相手のコンタクトに押し付けられて弾性変形する。そのため、バネ131の弾性力により、コンタクト群40のコンタクト41が互いに導通する。
第2実施形態においても、バネ131により嵌合部12がクリアランスCを介して位置決めされるので、限られた範囲に、より多数のコンタクト41を密に、かつ積層方向D1に分散させて配置することができる。そのため、第1実施形態と同様に、多接点化および放熱の促進による温度上昇の抑制を実現し、温度上昇の抑制により電気抵抗の増加を避けて、電力搬送容量の増大に寄与することができる。
また、第2実施形態のコンタクト群40によっても、クリアランスCの存在により嵌合相手への追従性が向上するため、接続の信頼性を確保することができる。
【0044】
上記以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0045】
例えば、嵌合部12間にクリアランスCを維持しつつ、各嵌合部12の板厚を増加させるならば、嵌合部12と嵌合相手9との接触面積が増大することで電気抵抗が減少するので、発熱を抑えて温度上昇の抑制に寄与することができる。
また、コンタクト群は、バネ131の位置の異なる3種以上のコンタクト11(または41)が交互に積層されることで構成されていてもよい。
また、複数のコンタクト11を互いに積層方向D1に係止する手段は、締結部材30等を用いた締結には限定されない。例えば、積層された被係止部13の貫通孔130の内側(空洞)をパテ等により埋めることでコンタクト11同士を係止してもよい。あるいは、当該空洞にCリングやOリング等を挿入し、それらの弾性力を貫通孔130の径方向外側に作用させることで、コンタクト11同士を係止するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,2 コンタクト組付体
9 嵌合相手
10,40 コンタクト群
10-1~10-4 第1~第4コンタクト群
11,41 コンタクト
11-1,41-1 第1コンタクト
11-2,41-2 第2コンタクト
12,12-1,12-2 嵌合部
13 被係止部
13A 一面
13B 他面
20 バスバー(導体)
20-1 第1バスバー(導体)
20-2 第2バスバー(導体)
21,21-1~21-5 接続孔
30 締結部材
31 第1ピン
32 第2ピン
33 座金
121 アーム
122 接点部
130 貫通孔
131,131-1,131-2 バネ
131F 自由端
C クリアランス
C2 間隙
D1 積層方向
D2 幅方向
G 隙間
S,S-1~S-4 ソケット