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特許7601526抗菌機能を有する竹マルチコンプレックスの製造方法
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  • 特許-抗菌機能を有する竹マルチコンプレックスの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】抗菌機能を有する竹マルチコンプレックスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/899 20060101AFI20241210BHJP
   A61K 36/75 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 36/78 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 36/484 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 36/66 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 36/60 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 36/23 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 36/82 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20241210BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20241210BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 125/00 20060101ALN20241210BHJP
   A61K 127/00 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
A61K36/899
A61K36/75
A61P31/04
A61P31/10
A61P17/10
A61P17/00 101
A61P43/00 121
A61K36/185
A61K36/78
A61K36/484
A61K36/66
A61K36/60
A61K36/23
A61K36/82
A61K8/9789
A61K8/9794
A61Q19/00
A61K125:00
A61K127:00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023515547
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 KR2020017904
(87)【国際公開番号】W WO2021235638
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0061403
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523273417
【氏名又は名称】シージェイダブリューコスメティック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】522457601
【氏名又は名称】ダムヤン ジャクスン ファーミング アソシエーション コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000419
【氏名又は名称】弁理士法人太田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク ヨン ス
(72)【発明者】
【氏名】ヨ サン-ヘ
(72)【発明者】
【氏名】クウォン セ ファン
(72)【発明者】
【氏名】キム サン オ
(72)【発明者】
【氏名】チェ ジュン ホ
(72)【発明者】
【氏名】ロザレ デイジー
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヒュン チャン
【審査官】原 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-060465(JP,A)
【文献】特開2015-113291(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0102739(KR,A)
【文献】特開2001-314171(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0096783(US,A1)
【文献】特開2005-200393(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104173241(CN,A)
【文献】特開2006-137834(JP,A)
【文献】特開平11-269469(JP,A)
【文献】特開2013-043856(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0011746(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A23L33/
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹を加熱し、加熱炉の温度が90℃~280℃の時に発生したガスを冷却して得られる酢液を貯蔵し、これを3年以上静置して竹抽出液を製造する工程;
タケノコ皮を80℃~120℃で蒸熟処理してから、15℃~80℃の温度で20時間~80時間低温乾燥した後、抽出してタケノコ皮抽出物を製造する工程;
砂糖と枳實とを0.5:1の割合で混合して3ヶ月以上熟成した後、抽出して糖化枳實抽出物を製造する工程;
減圧抽出後、減圧濃縮して植物抽出物を製造する工程;及び
前記竹抽出液と、前記タケノコ皮抽出物と、前記糖化枳實抽出物と、前記植物抽出物とを含有する竹マルチコンプレックスを調製する工程;
を含む、抗菌機能を有する竹マルチコンプレックスの製造方法。
【請求項2】
前記植物抽出物は、竹抽出物、ニレの根抽出物、ギョセイソウ抽出物、甘草抽出物、クサノオウ抽出物、ハリグワ根抽出物、ハリグワ葉抽出物、ツボクサ抽出物、三白草抽出物、及び発酵緑茶抽出物の少なくとも1種以上である、請求項1に記載の抗菌機能を有する竹マルチコンプレックスの製造方法。
【請求項3】
前記タケノコ皮抽出物は、低温乾燥後に、3%~50%(v/v)濃度の酒精を溶媒として加え、80℃~100℃温度で3時間~5時間抽出することにより得られる酒精抽出物である、請求項1に記載の抗菌機能を有する竹マルチコンプレックスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は竹マルチコンプレックスを含有する抗菌、抗炎症及び化粧料組成物に関するもので、特にタケノコ皮抽出物、竹抽出物、ニレの根、ギョセイソウ、甘草、枳實(若いカラタチ)、クサノオウ、ハリグワ根、ハリグワ葉、ツボクサ、三白草、及び発酵緑茶抽出物を含有した竹マルチコンプレックスの製造方法とそれを用いた化粧料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、抗菌製品は多くの種類が製品化されて病気の予防及び治療目的に広く使用されている。
【0003】
抗菌剤は抗菌力によって抗真菌剤及び抗細菌剤に分けることができ、抗真菌剤はカビなどのような真菌細胞を有する高等生物の成長を抑制又は殺菌する機能を有する。また、抗細菌剤はバクテリア(細菌類)などのような原核細胞を有する下等生物の成長を抑制又は殺菌する機能を有する抗生剤をいう。現在までは、主に抗菌剤(抗真菌、抗細菌剤)はカビなどから得られたり、又は化学的に合成して得られている。
【0004】
これらの抗真菌剤としては例えば、アムホテリシンB(Ampotericin B)、クロトリマゾール(Clotrimazole)、クリニパンAD(Crinipan AD)、フルコナゾール(Fluconazole)、グリセオフルビン(Griseofulvin)、ハロプロギン(Haloprogin)、ヘキサクロロフェン(Hexa chlorophene)、イクチオール(Ichthyol)、イトラコナゾール(Itraconazole)、ケトコナゾール(Ketoconazole)、マイコナゾール(Miconazole)、ナイスタチン(Nystatin:マイコスタチン(Mycostatin))、ピマリシン(Pimaricin: ナタマイシン(Natamycin))、テルビナパイン(Terbinafine)などがある。
また、抗細菌剤としては例えば、アダパレンゲル(Adapalene gel)、ベンゾイルペルオキシド(Benzoyl peroxide)、フシジン酸(Fusidic acid)、レゾキノール(Resorcinol)、レチノン酸(Retinoic acid)、サリチル酸(Salicylic acid)、スルホンアミド(Sulfonamide)、テトラサイクリン(Tetracycline)、トリクロサン(Trichlosan)、ペニシリン(Penicillin)などがある。
【0005】
しかし、このような合成抗真菌及び抗細菌剤は製造コストが高く、精製過程などが難しいと共に、製品化して使用する際には、微生物の耐性が増加する副作用があった。また、美容機能に対する部分が検討されていないため、外用剤(軟膏剤)などとして皮膚に塗布する場合、望ましくない皮膚トラブル(接触皮膚炎)や副作用が伴う。そのため、多くの研究者により副作用がなく、目的とする抗真菌及び抗細菌機能を有する抗生剤の開発が進行中であることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】KR10-0465831 B
【文献】KR10-2009-0004295 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した問題を解決するために、本発明は竹マルチコンプレックスを含有する抗菌及び化粧料組成物を提供し、特にタケノコ皮マルチコンプレックスを含有する抗菌性抗炎症及び化粧料組成物を提供することにその目的がある。
【0008】
また、本発明はタケノコ皮抽出物、竹抽出物、ニレの根、ギョセイソウ、甘草、枳實(若いカラタチ)、クサノオウ、ハリグワ根、ハリグワ葉、ツボクサ、三白草、及び発酵緑茶抽出物を含有する竹マルチコンプレックスを製造する方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的を達成するために、本発明の抗菌機能を有する竹マルチコンプレックスの製造方法は、竹を加熱し、加熱炉の温度が90℃~280℃の時に発生したガスを冷却して得られる酢液を貯蔵し、これを3年以上静置して竹抽出液を製造する工程;タケノコ皮を80℃~120℃で蒸熟処理してから、15℃~80℃の温度で20時間~80時間低温乾燥した後、抽出してタケノコ皮抽出物を製造する工程;砂糖と枳實とを0.5:1の割合で混合して3ヶ月以上熟成した後、抽出して糖化枳實抽出物を製造する工程;減圧抽出後、減圧濃縮して植物抽出物を製造する工程;及び前記竹抽出液と、前記タケノコ皮抽出物と、前記糖化枳實抽出物と、前記植物抽出物とを含有する竹マルチコンプレックスを調製する工程を含む。
【0010】
前記植物抽出物は、竹抽出物、ニレの根抽出物、ギョセイソウ抽出物、甘草抽出物、クサノオウ抽出物、ハリグワ根抽出物、ハリグワ葉抽出物、ツボクサ抽出物、三白草抽出物、及び発酵緑茶抽出物の少なくとも1種以上であることを特徴とする。
【0011】
前記タケノコ皮抽出物は、低温乾燥後に、3%~50%(v/v)濃度の酒精を溶媒として加え、80℃~100℃温度で3時間~5時間抽出することにより得られる酒精抽出物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
前述したように本発明によれば、タケノコ皮抽出物、竹抽出物、ニレの根、ギョセイソウ、甘草、枳實(若いカラタチ)、クサノオウ、ハリグワ根、ハリグワ葉、ツボクサ、三白草、及び発酵緑茶抽出物を含有する竹マルチコンプレックスを製造して抗菌組成物及び化粧料組成物を提供することができる。
【0020】
また、本発明は竹抽出物、特にタケノコ皮抽出物を含有する抗菌、抗真菌用美容化粧製品に適用される化粧料組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】タケノコ皮5%酒精抽出物の細胞毒性を評価した結果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
別の方式で定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的な用語は本発明が属する技術分野で熟練した専門家が通常的に理解するものと同じ意味を持っている。一般的に、本明細書で使用される命名法は当技術分野で周知であり、通常的に使用されるものである。
【0023】
用語「約」とは、参照量、レベル、値、数、頻度、パーセント、寸法、サイズ、量、重量又は長さに対して30、25、20、25、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1%程度に変化する量、レベル、値、数、頻度、パーセント、寸法、サイズ、量、重量又は長さを意味する。本明細書を通して、文脈で別に必要でないと、「含んだ」及び「含む」という用語は提示された段階や構成要素、又は段階や構成要素の群を含むが、任意の他の段階や構成要素、又は段階や構成要素の群が排除されないことを包含することと理解すべきである。
【0024】
本発明において、「タケノコ」とは、それが得られる竹の種類を問わず、分類学上竹に分類される植物、即ちイネ目イネ科に属する竹から得られた全てのものを含む意味である。竹の種類を問わず、マダケ属(Phyllostachys)に属する竹から得られたタケノコであれ、アズマザサ属(Arundinaria)に属する竹から得られたタケノコであれ、ササ属(Sasa)に属する竹から得られたタケノコであれ、又は ヤダケ属(Pseudosasa)に属する竹から得られたタケノコであっても関係なく、全て本発明で使用することができる。
【0025】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の竹マルチコンプレックスには竹熱分解過程で加熱炉温度90℃~280℃以内の発生ガスを冷却して得られる酢液を蒸留し、これを3年以上静置して竹抽出液と、タケノコ皮抽出物、糖化枳實抽出物、減圧濃縮した植物抽出物を含むことを特徴とする。前記本発明の竹マルチコンプレックスはタケノコ皮抽出物、竹抽出物、ニレの根抽出物、ギョセイソウ抽出物、甘草抽出物、枳實(若いカラタチ)抽出物、クサノオウ抽出物、ハリグワ根抽出物、ハリグワ葉抽出物、及びツボクサ発酵緑茶抽出物を含む。
【0026】
前記竹抽出液の製造方法は竹乾燥段階(S110)、加熱抽出段階(S120)、竹瀝熟成段階(S130)、及び竹瀝濾過段階(S140)を含む。
【0027】
竹乾燥段階(S110)は竹を乾燥及び加熱に適した長さに切断する段階である。前記加熱抽出段階(S120)は竹を加熱し、加熱された竹から噴出されるエキスを得る段階である。この時、竹の加熱は間接加熱方式で行い、加熱炉の温度が90~280℃の時に発生したガスを冷却して得られる酢液を貯蔵する。前記竹瀝熟成段階(S130)は製造した酢液を少なくとも3年以上自然熟成及び酸化させる。前記竹瀝濾過段階(S140)はカーボンフィルター(carbon filter)や医療用フィルター(medical filter)を用いて精密濾過する段階である。
【0028】
前記タケノコ皮抽出物の製造方法では低温発酵した原物を用いて熱水抽出することを特徴とする。前記タケノコ皮抽出物の製造方法ではタケノコ原料から表皮を剥がしたものを用いる。タケノコ皮抽出物の製造方法は材料準備段階(S210)、乾燥段階(S220)及び抽出物分離段階(S230)を含む。
【0029】
前記材料準備段階(S210)は通常の方法によってタケノコ皮を洗浄して切断、乾燥又は粉砕して準備する。この時、洗浄、切断、乾燥は順に行うことができ、切断後乾燥段階(S220)の前に滅菌又は滅菌すると共に、原料の機能性を調節するために80~120℃で蒸熟処理することを含む。また、前記蒸熟処理は蒸熟器を通じて行うことができ、タケノコのえぐ味を出す刺激性物質であるシュウ酸による効果を中和することができる。また、前記蒸熟処理は蒸熟器で5~10分間処理することを含む。
【0030】
前記乾燥段階(S220)は自然乾燥、熱風乾燥、低温乾燥又は凍結乾燥のいずれか1つの方法で行うことができる。前記蒸熟処理した材料の場合、15~80℃の温度で20~80時間の間低温乾燥することを含む。
【0031】
前記抽出物分離段階(S230)において、タケノコ皮抽出物の分離方法は特に限定されないが、抽出物を製造するために当業界で通常に用いる方法を採用することができる。例えば、熱水抽出、酒精抽出、浸漬抽出、還流冷却抽出、超臨界抽出、亜臨界抽出、高温抽出、高圧抽出、超音波抽出などの抽出装置を用いる方法、又はXAD及びHP-20を含む吸着樹脂を用いる方法などを使用することができるが、これに限定されるものではない。好ましくは、原料に抽出溶媒を処理し、加熱して抽出した後、減圧濃縮して抽出物を得ることができる。
【0032】
前記抽出溶媒としては極性溶媒を用いることができる。極性溶媒としては例えば、水、アルコール、酢酸、DMFO(dimethyl-formamide)及びDMSO(dimethyl sulfoxide)からなる群から選択される少なくとも1つを含むことができるが、これらに限定されるものではない。前記アルコールとしては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ノーマルプロパノール、イソプロパノール、ノーマルブタノール、1-ペンタノール、2-ブトキシエタノール及びエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つを用いることができるが、これに限定されるものではない。好ましくは、人体に対する安定性及び皮膚に適用される効果を考慮して、前記極性溶媒として水又は酒精を用いることが好ましい。前記酒精は水に混合された希釈酒精を使用することができる。好ましくは、前記組成物の皮膚における抗酸化及び保湿効果を極大化するために、前記極性溶媒に3~50%(v/v)濃度の酒精を用いることがよく、より好ましくは、分離されるタケノコ皮抽出物の有効性を極大化するために、3~10%(v/v)の濃度の酒精を用いることがよい。タケノコの皮を抽出原料として用いる場合、抽出収率を向上させて生産性を増大させるための側面において、前記極性溶媒としては3~30%(v/v)濃度の酒精を用いることがよく、抽出収率と皮膚に対する適用効果を全て考慮すると、3~10%(v/v)濃度の酒精を用いることがよい。好ましくは、前記酒精はプロエタノールであることがよい。
【0033】
前記糖化枳實抽出物は砂糖と原物を0.5:1の割合で混合して3ヶ月以上熟成した後抽出した糖化抽出物であることを特徴とする。
【0034】
前記減圧濃縮した植物抽出物は減圧抽出後濃縮したことを特徴とする。
【0035】
以下、本発明の理解を助けるために、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は本発明を例示するものに過ぎず、添付した特許請求の範囲を制限するものではない。これらの実施例に対し、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で種々の変更及び修正を加えることが可能であることは当業者にとって明らかであり、これらの変形及び修正が添付した特許請求の範囲に属することも当然のことである。
【0036】
試験1(細胞毒性試験)-タケノコ皮の5%酒精抽出物
抽出溶媒として5%(v/v)発酵酒精を用いた。タケノコの細断乾燥皮原料に対して、原料重量を基準に20倍数で抽出溶媒を処理してから100℃温度で4時間抽出した後、濃縮器で30Brix以上になるように濃縮した。その後、凍結乾燥して収率22%の粉末状抽出物を得た。
【0037】
図1はタケノコ皮5%酒精抽出物の細胞毒性を評価した結果を示す。
【0038】
また、下記表1はタケノコ皮5%酒精抽出物の細胞毒性を評価するために、CCD-986SK(Fibroblast)細胞を用いて細胞毒性試験(MTT assay)を行ったことを示す。
【0039】
【表1】
【0040】
細胞分注の場合は、96ウェルプレートに細胞を3×10(100μL/well)で分注し、37℃、5%CO培養器で24時間培養した。試験物質の処理のために、試験物質が濃度別に希釈された無血清培地に交換し、37℃、5%CO2培養器で24時間培養した。
【0041】
MTT assayはPBSで2回洗浄し、MTT溶液(0.5mg/mL、無血清培地)を200μL/well分注し、37℃、5%CO培養器で3時間培養した。
【0042】
吸光度測定の場合は、培養が終了してから培地を除去し、DMSO溶液を200μL/wellに入れてplate shakerで20~30分抽出した。その後、570nm波長でELISAを用いて吸光度を測定した。
【0043】
結果処理において、細胞生存率が試料無添加群の70%未満に減少した場合に潜在的に細胞毒性があると判明した。なお、細胞生存率は下記数式1によって算出した。
【0044】
【数1】
【0045】
実験結果はSPSS(Ver. 19)統計プログラムを用いてt-test(paired t-test、両側検証)を行うことで、有意性を確認した。
【0046】
【表2】
【0047】
細胞毒性試験の結果、タケノコ皮5%酒精抽出物の場合、0.1%、0.2%、0.5%、1.0%、.0%濃度で116.98±7.27%、127.81±7.25%、161.08±15.56%、83.47±8.85%、45.47±6.46%の細胞生存率が観察された。
【0048】
即ち、タケノコ皮5%酒精抽出物は1.0%以下の濃度で70%以上の細胞生存率が観察された。細胞生存率が試料無添加群の70%未満に減少する場合は、潜在的に細胞毒性があると判定するので、タケノコ皮抽出物5%酒精抽出物は1.0%以下濃度で細胞毒性がないように見える。
【0049】
本発明者らは既存の抗菌剤(抗真菌、抗細菌)とは異なり、前記複合抽出物を抽出、精製した後、皮膚トラブル誘発菌(にきび、水虫、皮膚常在菌)に適用して有意な結果を導き出した。本試験は試験公認機関である韓国化学融合試験研究院(KTR)に試験を依頼して行った。
【0050】
竹熱分解過程で加熱炉温度90℃~280℃以内の発生ガスを冷却して得られる酢液を蒸留し、これを3年以上静置して得られた竹抽出液を試料として用いて試験を行った。
【0051】
試験に使用した病原性微生物(皮膚トラブル誘発菌)は以下の通りである。
(1)にきび誘発菌(1種):Propionibacterium acnes(グラム陽性)
(2)水虫(白癬)誘発菌(1種):Trichophyton rubrum
(3)皮膚常在菌(2種):Staphylococous aureus、Staphylococous epidermidis
【0052】
試験2(抗菌及び抗真菌効果)
試験菌の前培養においては、Trichophyton rubrum菌株をSabouraud dextrose agarに接種し、(25±1)℃で10~14日間培養した。Propionibacterium acnes菌株をReinforced clostridial medium(RCM)brothに接種し、(35±1)℃で3日間培養した。
【0053】
培養した菌液を新しいRCM brothに接種し、前記と同じ条件で培養した後、この過程を更に1回繰り返した。菌株の全ての過程で滅菌液体パラフィンを用いて嫌気的条件を維持させた。
【0054】
試験菌液の調製のために、Trichophyton rubrumが育った固体培地上に0.05% polysorbate 80 solutionを分注し、spreaderを用いて胞子を剥がした後、ガーゼを通過させて菌糸を除去した。このようにして調製したspore solutionを(1.0~9.9)×10 spores/mLになるように滅菌生理食塩水で調整して試験菌液として使用した。培養したPropionibacterium acnes菌液を生菌数が(1.0~9.9)×10 CFU/mLになるように滅菌生理食塩水で希釈して試験菌液として使用した。
【0055】
試料(濃度:原液)20mLに試験菌液0.2mLを添加して混合した後、常温でTrichophyton rubrumは24時間、Propionibacteriom acnesは2時間放置した。その後、生菌数を測定して各対照群の減少率を調べてみた。最初の希釈はD/E neutralizing brothを用いて行った。中和した試験液を段階別に希釈し、各濃度当たりPetri dish2枚に1mLずつ分注した。Trichophyton rubrumは予め準備したSabouraud dextrose agarをPetri dishに15~25mL分注し、Propionibacterium acnesはReinforced clostridial medium agarを用いて室温で凝固させた。凝固されたTrichophyton rubrum dishを(25±1)℃で10~14日間培養し、Propionibacterium acnes Petri dishを(35±1)℃で3日間嫌気培養した。初期及び対照生菌数の測定は滅菌生理食塩水を用いて行った。
【0056】
表3はTrichophyton rubrum抗真菌試験結果を示し、表4はPropionibacterium acnes抗菌試験結果を示す。
【0057】
【表3】
【0058】
初期接種菌数は6.0×10CFU/mL、24時間後の対照群菌数は5.5×10CFU/mL、24時間後の試験群菌数は<10CFU/mLで観察された。
【0059】
【表4】
【0060】
初期接種菌数は5.7×10CFU/mL、2時間後の対照群菌数は5.0×10CFU/mL、2時間後の試験群菌数は<10CFU/mLで観察された。
【0061】
培養後、真菌の観察は(8~80)個、細菌は(30~300)個を示すPetri dishを選択して行った。最低希釈段階でのみ生菌数が観察される場合には、観察範囲に関係なく計数した。菌が増殖する場合、培地上の菌数に希釈倍数を掛けて算出した。培地で菌が増殖していない場合は、中和段階で行われた希釈倍数を掛けて「10未満」(<10)と示した。
【0062】
生菌数の計算はN(生菌数)=C(集落数、2枚の集落数平均値)×D(希釈倍数)で測定した。
【0063】
減少率(%)の場合、Log reduction(LR)=log(A)-log(B)で測定した。
(A:対照群における一定時間後の生菌数の対数値、B:試験群における一定時間後の生菌数の対数値)
【0064】
【表5】
【0065】
試験結果、抗真菌試験Trichophyton rubrumに対して>4.74であり、抗菌試験Propionibacterium acnesに対して>4.70で現れた。Log reductionが3以上であれば99.9%であり、4以上であれば99.99%以上を意味する。
【0066】
試験3(抗菌効果)
試験菌の前培養においては、試験菌株を斜面培地から採取し、Tryptic soy brothに接種して35±1℃で18~24時間の間培養した。
試験菌液の調製においては、生菌数が(1~9.9)×10CFU/mLになるように滅菌生理食塩水に希釈して得られたものを試験菌液として使用した。
【0067】
試料(原液)20mLに試験菌液0.2mLを添加して混合した後、(22±2)℃で60分及び90分間放置した。
【0068】
試験菌株Staphylococous aureus、Staphylococous epidermidisに対する抗菌効果試験のため、最初の希釈はD/E neutralizing brothを用いて行った。中和した試験液を段階別に希釈して各濃度当たりPetri dish2枚に1mLずつ分注した。予め準備した(45~50)℃のTryptic soy agarをPetri dishに(15~25)mL分注し、室温で凝固させた。凝固されたPetri dishを逆にして(35±1)℃で(24~48)時間の間培養した。試験は各菌株当たり2回繰り返して行い、初期及び対照生菌数の測定は滅菌生理食塩水を用いて行った。
【0069】
培養後、生菌数の観察は(30~300)個を示すPetri dishを選択して行った。最低希釈段階でのみ生菌数が観察される場合には、観察の範囲に関係なく計数した。細菌が増殖した場合、培地上の菌数に希釈倍数を掛けて算出した。培地で細菌が増殖していない場合は、中和段階で行われた希釈倍数を掛けて「10未満」(<10)と表した。
【0070】
下記表6はStaphylococous aureusの抗菌試験結果を示す。
【0071】
【表6】
【0072】
初期接種菌数は3.1×10CFU/mL、60分及び90分後対照菌数はそれぞれ3.2×10CFU/mL及び4.5×10CFU/mLで観察された。60分及び90分後試験菌数は、2回の反復試験でいずれも<10CFU/mLで観察された。
【0073】
下記表7はStaphylococous epidermidisの抗菌試験結果を示す。
【0074】
【表7】
【0075】
初期接種菌数は3.2×10CFU/mL、60分及び90分後対照菌数はそれぞれ3.5×10CFU/mL及び3.7×10CFU/mLで観察された。60分及び90分後試験菌数は2回の反復試験でいずれも<10CFU/mLで観察された。
【0076】
下記表8は表6及び表7の抗菌試験結果の総合を示すものである。(単位:meam log)
【0077】
【表8】
【0078】
LR = Log reduction試験結果、Staphylococous aureusに対する抗菌試験値は60分、90分それぞれ>5.49、>5.49であり、Staphylococous epidermidisに対する抗菌試験値は60分、90分それぞれ>5.51、>5.51で現れた。Log reductionが4以上であれば99.99%以上、5以上であれば99.999%を意味する。
【0079】
竹マルチコンプレックスを有効成分とし、表9の添加物を添加してボディウォッシュ製品を製造した。
【0080】
【表9】
【0081】
また、竹抽出物2.0%、複合抽出物2.5%を含有し、表10の添加物を添加してシャンプーを製造した。下記表10において、添加比率は添加率の総量重量100wt%を基準とした時、各成分が含まれる含量wt%を意味する。
【0082】
【表10】
【0083】
また、表11の成分構成でフェイシャルクリームを製造した。下記表11において、RM or ingredient %inflaは原料含量を意味し、ingredients %inRMは原料中の成分含量を意味する。
【0084】
【表11】
【0085】
以上、本発明内容の特定の部分を詳細に説明したが、図面に例示したものに限定されるものではなく、当業界の通常の知識を有する者において、このような具体的な技術は単に好ましい実施形態に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は添付した請求項とそれらの等価物によって定義すべきであろう。
図1