(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】キャブ
(51)【国際特許分類】
E02F 9/16 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
E02F9/16 E
(21)【出願番号】P 2020191810
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 哲士
(72)【発明者】
【氏名】依藤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】田畑 憲太朗
(72)【発明者】
【氏名】土井 裕介
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-332844(JP,A)
【文献】特開平11-170926(JP,A)
【文献】国際公開第00/032427(WO,A1)
【文献】米国特許第05125716(US,A)
【文献】特開平11-005446(JP,A)
【文献】特表2019-508660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00- 9/18
E02F 9/24- 9/28
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
B60J 5/00
A01G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブフレーム
、このキャブフレームに形成された出入口
、および、この出入口と隣接する面にてキャブフレームに形成された窓を有するキャブ本体と、
このキャブ本体の出入口を開閉するドアと、
窓を覆ってキャブ本体に取り付けられ、出入口側の縁部がキャブフレームから突出してドアの端部に対向する窓覆い部材と、を備え、
ドアは、出入口を閉じた状態でキャブフレームの側面に対向する
とともに可動側の前方、上方および下方にキャブフレームが対向しないようにキャブ本体に取り付けられている
ことを特徴とするキャブ
。
【請求項2】
出入口を閉じた状態でのドアとキャブフレームの側面との間に挟まれるシール部材を備える
ことを特徴とする請求項
1記載のキャブ。
【請求項3】
ドアの上方にてキャブ本体に配置された庇を備える
ことを特徴とする請求項1
または2記載のキャブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば林業で使用される作業機械に用いられるキャブに関する。
【背景技術】
【0002】
林業の現場では、油圧ショベルなどをベースとした作業機械に林業用のアタッチメントを取り付けた車両が用いられる。林業用のアタッチメントとして知られるハーベスタは、直立している樹木の根元にセットされ、内蔵されるチェンソーで切断した樹木を横倒しにし、枝を伐採、所定の長さに切断、などの作業が行われる。
【0003】
林業の現場では長い木材を動かすことから、作業機械と木材が接触することがしばしばある。そのため、運転席の前面に金網製のガードを備え、フロントガラスの破損を防ぐものや、フロントウインドウシールドを破損しにくいポリカーボネート製にしたものなどが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な油圧ショベルなどの運転室のドアは、気密性・防水性などから、ドアを閉じた状態でキャブフレーム側面の凹部にドアが嵌まり込むようになっていることが多い。このようなドアが凹部に嵌まり込んだ構造の場合、キャブフレームが木材との接触により変形した際にドアが開かなくなってオペレータが運転室内に閉じ込められてしまうことがないように、さらなる構成が必要となる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、キャブフレームやドアが変形してもドアの開閉が阻害されにくいキャブを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、キャブフレーム、このキャブフレームに形成された出入口、および、この出入口と隣接する面にてキャブフレームに形成された窓を有するキャブ本体と、このキャブ本体の出入口を開閉するドアと、窓を覆ってキャブ本体に取り付けられ、出入口側の縁部がキャブフレームから突出してドアの端部に対向する窓覆い部材と、を備え、ドアが、出入口を閉じた状態でキャブフレームの側面に対向するとともに可動側の前方、上方および下方にキャブフレームが対向しないようにキャブ本体に取り付けられているキャブである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のキャブにおいて、出入口を閉じた状態でのドアとキャブフレームの側面との間に挟まれるシール部材を備えるキャブである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のキャブにおいて、ドアの上方にてキャブ本体に配置された庇を備えるキャブである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、窓覆い部材の縁部によりドアを木材などの接触に対し保護してドアの変形を抑制でき、例えば木材などがキャブフレームやドアに接触してキャブフレームやドアが仮に変形しても、ドアの開閉が阻害されにくい。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、シール部材によって運転室の気密性を保持できる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、庇によってキャブ本体内への雨などの侵入を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は本発明に係るキャブの一実施の形態を示す
図3のI-I相当位置における断面図、(b)は(a)の部分拡大図である。
【
図2】同上キャブを示すドアを開いた状態の斜視図である。
【
図3】同上キャブを示すドアを閉じた状態の側面図である。
【
図4】同上キャブを示すドアを閉じた状態の正面図である。
【
図5】同上キャブを備える作業機械を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、
図1乃至
図5に示された一実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0015】
図5は、作業機械10を示す。作業機械10は、フォレストリマシンなどとも呼ばれる林業用作業機械である。作業機械10としては、林業専用のものでもよいが、本実施の形態では、油圧ショベルをベースとしたものを例に挙げて説明する。図示される例では、作業機械10は、機体11と、この機体11に可動的に設けられた作業腕である作業装置12と、を備える。作業機械10の各部は、流体圧アクチュエータにより動作される。流体圧アクチュエータは、例えば油圧シリンダ、油圧モータなどであり、機体11に搭載されたエンジンにより作動されるポンプから吐出される作動流体である作動油がオペレータの操作に応じてコントロールバルブにより流量制御および方向制御されて給排されることで各動作が可能となっている。
【0016】
本実施の形態において、機体11は、履帯やタイヤなどにより走行可能な下部走行体13と、この下部走行体13上に旋回可能に設けられた上部旋回体14と、この上部旋回体14に設けられたキャブ15と、を有し、上部旋回体14に作業装置12が配置される。作業装置12には、ハーベスタなどのアタッチメントが取り付けられてもよい。また、本実施の形態において、キャブ15は、上部旋回体14に対し、上下方向に可動的に配置されていてもよい。
【0017】
図1乃至
図4に示されるキャブ15は、キャブ本体20を有する。キャブ本体20は、角パイプ材や異形鋼管が用いられる構造からなる概略六面の箱型形状のキャブフレーム24を備える。
【0018】
キャブフレーム24は、オペレータが着座する運転席25を囲むものである。すなわち、キャブフレーム24の内方に運転席25を備える運転室が形成される。なお、以下、前後、左右、上下については、運転席25に着座したオペレータから見た方向を基準とする。運転室において、運転席25の前部の左右にはオペレータがキャブ15の右側に位置する作業装置12(
図5)を操作するための操作体であるレバー26が配置され、運転席25の正面前方に、オペレータが下部走行体13(
図5)の走行を操作するためのレバー27およびペダル28などが配置され、運転席25の右側前方に、モニタなどが配置される。
【0019】
そして、キャブフレーム24は、前部から上部に亘り、左右のフロントピラー(Aピラー)31,31が配設され、後部から上部に亘り、左右のリアピラー(Cピラー)32,32が配設されている。また、フロントピラー31,31の上部間には、フロントヘッダ34が配設され、フロントピラー31,31の下部間には、フロントクロス部材35が配設される。また、リアピラー32,32の上部間には、リアヘッダが配設される。本実施の形態において、フロントピラー31は、断面四角形状の角パイプ材である。
【0020】
さらに、本実施の形態において、キャブフレーム24の前後方向の中央部には、上部に亘り、センタピラー(Bピラー)38が配設されている。センタピラー38は、左右に配設されている例について説明するが、左側のみに配設されていてもよい。図中には、左側のセンタピラー38のみを示す。本実施の形態において、センタピラー38は、断面四角形状の角パイプ材であり、フロントピラー31よりも太く形成されている。また、フロントピラー31とセンタピラー38との上部間には、前後に亘り、サイドヘッダ40が配設されている。サイドヘッダ40は、フロントピラー31またはリアピラー32に対し一体的に形成されていてもよい。
【0021】
また、キャブフレーム24には、各パネルが配設される。本実施の形態において、キャブフレーム24には、下部に運転席25を支持する下部パネルである床面部42が配設され、上部に上部パネルである天井面部43が配設され、リアピラー32,32の下部間にリアパネル44が配設され、センタピラー38とリアピラー32との間にサイドパネル45が配設される。図示される例では、天井面部43の前部寄りの位置に運転席25の上方前側に位置する天窓47が開口され、リアパネル44の上部寄りの位置に運転席25の後方に位置する後窓48が開口され、サイドパネル45の上部寄りの位置に運転席25の側方に位置する後部横窓49が開口される。これら天窓47、後窓48、および、後部横窓49は、それぞれ透明な窓覆い部材であるウインドウシールド51,52,53により覆われている。特に、後部横窓49のウインドウシールド53は、網状のガード部材54により覆われている。さらに、本実施の形態において、天井面部43の後部寄りの位置には、通信機器56が配置されている。通信機器56の一部は、運転室の内部に導入されている。
【0022】
そして、キャブフレーム24には、フロントピラー31,31、フロントヘッダ34、および、フロントクロス部材35により囲まれて運転席25の前方に位置する窓である前窓60が形成され、作業装置12(
図5)とは反対側である左側のフロントピラー31、左側のセンタピラー38、および、左側のサイドヘッダ40により囲まれて運転席25の左側前方に位置する運転室への昇降用の出入口61が形成され、右側のフロントピラー31、右側のセンタピラー、および、右側のサイドヘッダ40により囲まれて運転席25の右側前方に位置する前部横窓が形成される。
【0023】
前窓60は、キャブ本体20(キャブフレーム24)の前面に位置する。出入口61は、キャブ本体20(キャブフレーム24)において、前窓60が位置する面と隣接する面、本実施の形態では左側面に位置する。前窓60は、窓覆い部材すなわちウインドウシールドであるフロントウインドウシールド64により覆われ、出入口61は、ドア65により開閉され、前側窓部は、窓覆い部材であるサイドウインドウシールドにより覆われる。また、本実施の形態において、出入口61の内縁には、キャブ15への乗降の際に把持される把持部であるハンドレール66が配置されている。ハンドレール66は、出入口61の内縁に沿って位置する。図示される例では、ハンドレール66は、出入口61の内縁を構成する左側のフロントピラー31の後側面31aに上下方向に沿って上下に複数配置される。
【0024】
フロントウインドウシールド64は、透明な部材により形成され、フロントピラー31,31の前方に接着剤、あるいはボルトなどの取付部材により取り付けられている。図示される例では、キャブフレーム24において、フロントウインドウシールド64と対向する側面をなす左右のフロントピラー31,31、フロントヘッダ34、および、フロントクロス部材35が、フロントウインドウシールド64に対向する対向部材となっている。
【0025】
フロントウインドウシールド64の材質としては、好ましくは合成樹脂、特に衝撃に強いポリカーボネートが好適に用いられるが、透明性が高く、破損しにくい素材であればこの限りではない。フロントウインドウシールド64の形状は、前窓60全体を覆う形状となっており、運転席25の前面の形状と略一致する概略四角形状に形成されている。本実施の形態において、フロントウインドウシールド64は、
図1(b)に示されるように、左側、つまり出入口61側(ドア65側)の縁部64aがキャブフレーム24の左側のフロントピラー31に対して左側に突出している。フロントウインドウシールド64のフロントピラー31からの突出量Wは、正面視で、出入口61を閉じた状態のドア65が隠れる程度の幅となっている。すなわち、フロントウインドウシールド64の縁部64aの後方に、出入口61を閉じた状態のドア65の前端部が対向して位置しており、突出量Wがドア65の厚さと比較して、略一致もしくは大きく設定されている。したがって、フロントウインドウシールド64の縁部64aにより、ドア65がガードされるようになっている。
【0026】
図1(a)、
図2および
図3に示されるように、ドア65は、軸回りに回動するヒンジ68によりキャブフレーム24に対し回動可能に取り付けられている。つまり、ドア65は、回動により出入口61を開閉可能となっている。図示される例では、ドア65は、後部が左側のセンタピラー38にヒンジ68により固定され、後部を中心として前部が左右方向に回動可能となっている。したがって、本実施の形態において、ドア65は、後部が固定側であり、この後部よりも前側が可動側であって、センタピラー38が、ドア65を取り付けるドア取付部材となっている。また、ドア65は、運転室に対して外開きに設定されている。
【0027】
本実施の形態において、ドア65は、ドア本体70と、このドア本体70を補強する補強部であるドアフレーム71と、を備える。また、ドア65には、出入口61を閉じた状態でドア65をキャブ本体20のキャブフレーム24に係止固定するロック機構が配置されている。
【0028】
ドア本体70は、透明な部材により板状に形成されている。ドア本体70は、出入口61全体を覆う大きさに形成され、かつ、出入口61の形状に応じた形状に形成される。図示される例では、ドア本体70は、四角形状に形成される。ドア本体70の背面側、つまり運転室側にドアフレーム71が取り付けられる。
【0029】
ドアフレーム71は、不透明な部材、例えば金属などにより形成されている。本実施の形態において、ドアフレーム71は、ドア本体70の外縁に沿って配置される枠体73と、この枠体73の内方に縦横に配置される支持体74と、を有する。また、本実施の形態において、ドアフレーム71には、運転室内にいるオペレータがドア65を開閉する際に把持するハンドル75が支持体74に取り付けられている。
【0030】
枠体73は、ドア本体70の外形の形状に応じて四角形枠状に形成されている。本実施の形態において、枠体73は、ドア本体70の前縁部に沿って上下方向に配置された前枠部73aと、ドア本体70の上縁部に沿って前後方向に配置された上枠部73bと、が、キャブフレーム24の出入口61の縁部をなす左側のフロントピラー31と左側のサイドヘッダ40とに対向する対向部となっている。
【0031】
そして、ドア65は、キャブフレーム24の出入口61が位置する側面、本実施の形態では左側面に接するようにキャブ本体20に取り付けられ、出入口61を閉じた状態でキャブフレーム24の側面に対向して配置される。つまり、ドア65は、可動範囲全体において、枠構造のキャブフレーム24の少なくとも左側のフロントピラー31、および、左側のサイドヘッダ40の外側面を含む仮想面よりも内側つまり運転室側に入り込まないように配置される。本実施の形態において、ドア65は、可動範囲全体において、少なくとも可動側の全体または略全体がキャブフレーム24の仮想外郭面よりも外側に位置する。図示される例では、キャブフレーム24において、ドア65と対向する側面をなす左側のフロントピラー31、および、左側のサイドヘッダ40が、出入口61を閉じた状態のドア65に対向するドア対向部材となっている。
【0032】
本実施の形態のドア65は、可動範囲全体において、キャブフレーム24の側面をなすフロントピラー31のドア対向面である左側面31bおよびサイドヘッダ40のドア対向面である左側面40aよりも外側に位置する。また、出入口61を閉じた状態で、ドア65の可動側の端面、つまり前端面、上端面および下端面は、その面方向にキャブフレーム24が対向して位置していない。図示される例では、ドア65が出入口61を閉じた状態で、ドア65の右側方にのみキャブフレーム24(フロントピラー31およびサイドヘッダ40)が位置し、前方、上方および下方にはキャブフレーム24が位置しない。換言すれば、キャブフレーム24の少なくともフロントピラー31およびサイドヘッダ40には、ドア65の運転室側の面よりも外側に突出する部分がなく、少なくともフロントピラー31およびサイドヘッダ40の全体が、出入口61を閉じた状態のドア65の運転室側の面よりも運転室側すなわち内側に位置している。
【0033】
また、ドア65の上部は、キャブフレーム24の天井面部43に対して下方に離れて位置している。
【0034】
ドア65とキャブフレーム24の側面との一方には、シール部材80が取り付けられる。シール部材80は、ウェザストリップとも呼ばれ、出入口61を閉じた状態のドア65とキャブフレーム24の側面との間に挟まれる。つまり、シール部材80は、ドア65とキャブフレーム24との接触面全周の気密性を保持し、運転室への雨などの侵入を防止する。本実施の形態において、シール部材80は、ドア65の運転室またはキャブフレーム24側、図示される例ではドアフレーム71または枠体73に取り付けられているが、これに限らず、キャブフレーム24の側面に取り付けられていてもよい。シール部材80は、例えばゴムなどの弾性体により形成されている。
【0035】
ドア65の上方には、好ましくは庇82が形成されている。庇82は、上方からの雨だれの侵入を防止する雨除け部である、庇82は、キャブ本体20の天井面部43の左側部から側方に突出して形成されている。庇82は、出入口61を閉じた位置にあるドア65の厚さと比較して、略一致もしくは大きく設定されている。
【0036】
次に、図示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0037】
キャブ15のドア65をキャブフレーム24の側面に接するようにキャブ本体20に取り付け、出入口61を閉じた状態でドア65がキャブフレーム24の側面に対向して配置されるように構成したので、作業時などに木材との接触によりキャブフレーム24やドア65が仮に変形したとしても、ドア65が嵌まり込んで開かなくなりにくい。すなわち、万一木材などがキャブ15に接触してキャブ本体20のキャブフレーム24が変形したとしても、ドア65はキャブフレーム24よりも外側にあることから、ドア65とキャブフレーム24との接面がずれるだけで、ドア65がキャブフレーム24と一緒に変形して開かなくなる事態には至りにくい。また、万一木材などがドア65に接触しドア65が仮に変形したとしても、ドア65はキャブフレーム24より外側にあるため、ドア65がキャブフレーム24の内側に入り込んでしまい開かなくなる事態には至りにくい。
【0038】
したがって、キャブフレーム24やドア65が変形してもドア65の開閉が阻害されにくい。
【0039】
また、例えば従来のように異型鋼管製のキャブフレームに形成された凹部に嵌るようにドアを設ける場合、運転席に着座したオペレータから見て、キャブフレームの左側のフロントピラーとフロントピラーの後方に位置するドアフレームの前枠部とを合わせた前後方向の幅の死角ができていたのに対し、本実施の形態では、キャブフレーム24とドア65のドアフレーム71の前枠部73aとが左右方向に重なることから、
図1(a)に示されるように、運転席25に着座したオペレータの視点Eから前後方向の死角部分の幅(角度θ)が狭くなり、運転席25からの視界性も良くなる。
【0040】
また、前窓60を覆ってキャブ本体20に取り付けたフロントウインドウシールド64の出入口61側の縁部64aをキャブフレーム24より突出させてドア65の前端部に対向させているため、フロントウインドウシールド64の縁部64aによりドア65を前方および側方からの木材などの接触に対してガードし、仮に前方や側方から木材などが衝突したとしても、ドア65の変形を抑制でき、ドア65が変形して開けられなくなる事態には至りにくく、ドア65の開閉が阻害されにくい。特に、フロントウインドウシールド64のキャブフレーム24からの突出量Wを正面視でドア65が隠れる程度の幅に設定しているため、前方や側方からの木材などの接触に対し、ドア65をより確実にガードできる。
【0041】
なお、ハンドレール66を左側のフロントピラー31の左側面31b側に突出させた配置とする場合でも、フロントウインドウシールド64の出入口61側の縁部64aをハンドレール66が隠れる程度の幅に設定すれば、ハンドレール66が木材などと衝突してドア65を挟み込むように変形することを抑制できる。
【0042】
さらに、出入口61を閉じた状態でのドア65とキャブフレーム24の側面との間に挟まれるシール部材80を備えるため、シール部材80によって運転室の気密性を保持できる。
【0043】
また、ドア65の上方にてキャブ本体20に庇82を設けることで、庇82によってキャブ本体20内の運転室への雨の侵入を抑制できる。
【0044】
なお、上記一実施の形態において、ドア65は、キャブ本体20(キャブフレーム24)の左側に配置されるものとしたが、これに限らず、キャブ本体20(キャブフレーム24)の後側に配置されるものとしてもよい。この場合には、キャブ本体20の左側に形成された窓を覆うウインドウシールドであるサイドウインドウシールドの後縁部をリアピラー32の後部よりも突出させるように構成することで、上記一実施の形態と同様に作用させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、林業用作業機械の製造業、販売業などに携わる事業者にとって産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0046】
15 キャブ
20 キャブ本体
24 キャブフレーム
60 窓である前窓
61 出入口
64 窓覆い部材であるフロントウインドウシールド
64a 縁部
65 ドア
80 シール部材
82 庇