IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本光電工業株式会社の特許一覧

特許7601549被検者判別装置、被検者判別方法、コンピュータプログラム、および非一時的コンピュータ可読媒体
<>
  • 特許-被検者判別装置、被検者判別方法、コンピュータプログラム、および非一時的コンピュータ可読媒体 図1
  • 特許-被検者判別装置、被検者判別方法、コンピュータプログラム、および非一時的コンピュータ可読媒体 図2
  • 特許-被検者判別装置、被検者判別方法、コンピュータプログラム、および非一時的コンピュータ可読媒体 図3
  • 特許-被検者判別装置、被検者判別方法、コンピュータプログラム、および非一時的コンピュータ可読媒体 図4
  • 特許-被検者判別装置、被検者判別方法、コンピュータプログラム、および非一時的コンピュータ可読媒体 図5
  • 特許-被検者判別装置、被検者判別方法、コンピュータプログラム、および非一時的コンピュータ可読媒体 図6
  • 特許-被検者判別装置、被検者判別方法、コンピュータプログラム、および非一時的コンピュータ可読媒体 図7
  • 特許-被検者判別装置、被検者判別方法、コンピュータプログラム、および非一時的コンピュータ可読媒体 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】被検者判別装置、被検者判別方法、コンピュータプログラム、および非一時的コンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/117 20160101AFI20241210BHJP
   A61B 5/346 20210101ALI20241210BHJP
【FI】
A61B5/117 200
A61B5/346
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019156733
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021029922
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】隅岡 義史
(72)【発明者】
【氏名】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵一
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】松本 隆彦
【審判官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-80784(JP,A)
【文献】特開2019-139277(JP,A)
【文献】特開2019-67299(JP,A)
【文献】特表2014-511189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/00-5/01
A61B5/05-5/0538
A61B5/06-5/398
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の生体情報の経時変化に対応する第一データセットと、前記第一データセットとは異なるタイミングで取得された生体情報の経時変化に対応する第二データセットと、を取得する取得部と、
前記第一データセットと前記第二データセットのいずれか一方を訓練データとして自己符号化器を用いて学習した識別器を作成する作成部と、
前記第一データセットと前記第二データセットのうち前記識別器の作成に用いられないデータセットに対して統計処理を行うことで得られるノイズスコアが予め設定された閾値未満である場合に、前記第一データセットと前記第二データセットのうち、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットの入力情報と、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットを前記識別器に入力することで得られる第一出力情報と、を用いて第一類似度を算出し、前記第一類似度に基づく一方で、前記被検者の識別情報には基づかずに、前記第一データセットと前記第二データセットが同じ被検者から取得されたものであるかを判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に対応する出力信号を出力する出力部と、
を備える、被検者判別装置。
【請求項2】
前記取得部は、さらに前記第一データセット及び前記第二データセットとは異なるタイミングで取得された生体情報の経時変化に対応する第三データセットを取得可能であり、
前記判別部は、前記第三データセットの入力情報と、前記第三データセットを前記識別器に入力することにより得られる第二出力情報と、を用いて第二類似度を算出し、前記第一類似度と前記第二類似度に基づいて、前記第一データセットと前記第二データセットが同じ被検者から取得されたものであるかを判別する、請求項1に記載の被検者判別装置。
【請求項3】
前記第一データセットは、前記被検者の識別情報を含んでおり、
前記取得部は、前記被検者の識別情報を参照して前記第二データセットを取得する、請求項1または2に記載の被検者判別装置。
【請求項4】
前記装置は、データセットを保存可能な保存部をさらに備えており、
前記判別部によって、前記第一データセットと前記第二データセットが同じ被検者から取得されたものであると判別されると、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットは、前記訓練データとして使用されるために前記保存部に保存される、請求項1から3のいずれか一項に記載の被検者判別装置。
【請求項5】
前記第一データセットおよび前記第二データセットはストリーミングデータである、請求項1に記載の被検者判別装置。
【請求項6】
前記識別器の作成に用いられるデータセットは、データオーギュメンテーションによりデータ拡張される、請求項1から5のいずれか一項に記載の被検者判別装置。
【請求項7】
前記識別器の作成に用いられないデータセットが、前記識別器に入力するための所定の条件に合致しないとき、前記出力部は、前記所定の条件に合致しないことを示す出力信号を出力する、請求項1から6のいずれか一項に記載の被検者判別装置。
【請求項8】
前記判別部は、二乗平均平方根誤差により、前記第一類似度を算出する、請求項1から7のいずれか一項に記載の被検者判別装置。
【請求項9】
前記判別部は、二乗平均平方根誤差により、前記第一類似度および前記第二類似度を算出する、請求項2に記載の被検者判別装置。
【請求項10】
被検者判別装置により実行される被検者判別方法であって、
被検者の生体情報の経時変化に対応する第一データセットと、前記第一データセットとは異なるタイミングで取得された生体情報の経時変化に対応する第二データセットと、を取得するステップと、
前記第一データセットと前記第二データセットのいずれか一方を訓練データとして自己符号化器を用いて学習した識別器を作成するステップと、
前記第一データセットと前記第二データセットのうち前記識別器の作成に用いられないデータセットに対して統計処理を行うことで得られるノイズスコアが予め設定された閾値未満である場合に、前記第一データセットと前記第二データセットのうち、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットの入力情報と、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットを前記識別器に入力することで得られる第一出力情報と、を用いて第一類似度を算出し、前記第一類似度に基づく一方で、前記被検者の識別情報には基づかずに、前記第一データセットと前記第二データセットが同じ被検者から取得されたものであるかを判別するステップと、を含む、被検者判別方法。
【請求項11】
コンピュータによって実行されることにより、被検者判別装置に
被検者の生体情報の経時変化に対応する第一データセットと、前記第一データセットとは異なるタイミングで取得された生体情報の経時変化に対応する第二データセットと、を取得させ、
前記第一データセットと前記第二データセットのいずれか一方を訓練データとして自己符号化器を用いて学習した識別器を作成させ、
前記第一データセットと前記第二データセットのうち前記識別器の作成に用いられないデータセットに対して統計処理を行うことで得られるノイズスコアが予め設定された閾値未満である場合に、前記第一データセットと前記第二データセットのうち、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットの入力情報と、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットを前記識別器に入力することで得られる第一出力情報と、を用いて第一類似度を算出し、前記第一類似度に基づく一方で、前記被検者の識別情報には基づかずに、前記第一データセットと前記第二データセットが同じ被検者から取得されたものであるかを判別させる、コンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムが記録された非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心電図検査等の被検者を判別するための装置および方法、当該装置に当該方法を実行させるためのコンピュータプログラム、および当該コンピュータプログラムが記録されたコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の電気的な活動を測定する検査として心電計を用いた心電図検査がある。心電図検査を行う場合、ユーザは心電図の測定を始める前に、被検者ID等の被検者情報を入力する。心電図データ等の生体情報は、入力された被検者情報に対応付けられて記録される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平07-155300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された心電図計では、入力された被検者情報に誤りがある場合、取得された生体情報が別の被検者に対応付けられてしまう虞がある。取得された生体情報が別の被検者に対応付けられて記録されてしまうと、検査の正確性が損なわれてしまう。なお当該課題は、心電図に限った問題ではなく、他のパラメータを扱う際にも生じうる問題である。
【0005】
本発明の目的は、取得された生体情報と被検者の関連付けに係る正確性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、被検者判別装置であって、
被検者の生体情報の経時変化に対応する第一データセットと、前記第一データセットとは異なるタイミングで取得された生体情報の経時変化に対応する第二データセットと、を取得する取得部と、
前記第一データセットと前記第二データセットのいずれか一方を訓練データとして学習した識別器を作成する作成部と、
前記第一データセットと前記第二データセットのうち、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットの入力情報と、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットを前記識別器に入力することで得られる第一出力情報と、を用いて第一類似度を算出し、前記第一類似度に基づいて、前記第一データセットと前記第二データセットが同じ被検者から取得されたものであるかを判別する判別部と、
前記判別部による判別結果に対応する出力信号を出力する出力部と、
を備える。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様に係る被検者判別方法は、
被検者判別装置により実行される被検者判別方法であって、
被検者の生体情報の経時変化に対応する第一データセットと、前記第一データセットとは異なるタイミングで取得された生体情報の経時変化に対応する第二データセットと、を取得するステップと、
前記第一データセットと前記第二データセットのいずれか一方を訓練データとして学習した識別器を作成するステップと、
前記第一データセットと前記第二データセットのうち、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットの入力情報と、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットを前記識別器に入力することで得られる第一出力情報と、を用いて第一類似度を算出し、前記第一類似度に基づいて、前記第一データセットと前記第二データセットが同じ被検者から取得されたものであるかを判別するステップと、
を含む。
【0008】
上記の目的を達成するための一態様に係るコンピュータプログラムは、
コンピュータによって実行されることにより、被検者判別装置に
被検者の生体情報の経時変化に対応する第一データセットと、前記第一データセットとは異なるタイミングで取得された生体情報の経時変化に対応する第二データセットと、を取得させ、
前記第一データセットと前記第二データセットのいずれか一方を訓練データとして学習した識別器を作成させ、
前記第一データセットと前記第二データセットのうち、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットの入力情報と、前記識別器の作成に用いられなかったデータセットを前記識別器に入力することで得られる第一出力情報と、を用いて第一類似度を算出し、前記第一類似度に基づいて、前記第一データセットと前記第二データセットが同じ被検者から取得されたものであるかを判別させる。
【0009】
上記のコンピュータプログラムが記録された非一時的コンピュータ可読媒体もまた、上記の目的を達成するための本発明の一態様である。
【0010】
上記のような構成によれば、被検者から取得された生体情報が、当該被検者から第一データセットとは異なるタイミングで取得された可能性がある生体情報の特徴を学習した識別器へ入力され、両者の類似性に基づいて両者が同じ被検者から取得されたものであるかが判断される。これにより、取得された生体情報と被検者の関連付けに係る正確性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る被検者判別装置の機能構成を例示している。
図2】被検者判別装置により実行される処理の流れを例示している。
図3】識別器が作成されるまでに被検者判別装置が行う処理の一例を示している。
図4】被検者判別装置が被検者の判別を行う際に実行する処理を例示している。
図5】被検者判別装置が被検者の判別を行う際に実行する処理を例示している。
図6】被検者判別装置が被検者の判別を行う際に実行する処理を例示している。
図7】データオーギュメンテーションの処理を例示している。
図8】識別器が作成されるまでに被検者判別装置が行う処理の別例を示している。
【0012】
以下、実施形態の例について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る被検者判別装置1(以下、簡単に判別装置1と称する)の機能構成を例示している。判別装置1は、入力インターフェース11、プロセッサ12、および出力インターフェース13を備えている。
【0014】
入力インターフェース11は、被検者2の身体に装着されたセンサ3から被検者2の生体情報の経時変化に対応する入力信号ISを受け付ける。以降の説明においては、被検者2が心電図検査に供される場合を例示する。なお、センサ3が取得する情報は心電図以外にも例えば動脈血酸素飽和度(SpO2)等が考えられる。
【0015】
センサ3として、複数の電極が被検者2の身体に装着される。入力信号ISは、当該電極により検出される電位の経時変化を表す。入力インターフェース11は、プロセッサ12が後述する処理を実行できるデータ形式に入力信号ISを変換する回路を、必要に応じて備えうる。
【0016】
プロセッサ12は、第一データセットD1と第二データセットD2を取得するように構成されている。第一データセットD1は、被検者2の心電図波形情報を含む。心電図波形情報は、生体情報の経時変化に対応するデータの一例である。第二データセットD2は、第一データセットD1よりも過去に取得された心電図波形情報を含む。第二データセットD2は、第一データセットD1とは異なるタイミングで取得された生体情報を含むデータセットの一例である。プロセッサ12は、取得部の一例である。
【0017】
プロセッサ12は、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者から取得されたものであるかを判別するように構成されている。判別処理の詳細については後述する。プロセッサ12は、判別部の一例である。
【0018】
プロセッサ12は、判別結果に対応する出力データを出力するように構成されている。出力インターフェース13は、出力データに対応する出力信号OSを出力するように構成されている。出力信号OSは、外部装置4に送信されうる。出力インターフェース13は、当該外部装置が処理可能な出力信号OSに出力データを変換する回路を、必要に応じて備えうる。出力インターフェース13は、出力部の一例である。
【0019】
外部装置4は、ユーザに判別結果を報知するように構成されうる。報知は、視覚的報知、聴覚的報知、および触覚的報知の少なくとも一つを通じて行われうる。
【0020】
判別装置1は、報知部14を備えうる。この場合、プロセッサ12は、判別結果に対応する出力信号OSを、報知部14へ送信しうる。この場合、プロセッサ12は、出力部の一例である。報知部14は、出力信号OSに基づいて、ユーザに判別結果を報知するように構成されうる。報知は、視覚的報知、聴覚的報知、および触覚的報知の少なくとも一つを通じて行われうる。
【0021】
図2は、プロセッサ12により実行される処理の流れを例示している。まずプロセッサ12は、入力信号ISに基づいて、第一データセットD1を取得する(STEP1)。
【0022】
続いてプロセッサ12は、第二データセットD2を取得する(STEP2)。例えば図3に示されるように、第一データセットD1は、被検者2の識別情報IDを含みうる。識別情報IDは、判別装置1によって付与されてもよいし、入力信号SIとともに外部より提供されてもよい。この場合、プロセッサ12は、同じ識別情報IDが付与された過去の検査結果に対応する第二データセットD2を取得する。
【0023】
図1に例示されるように、第二データセットD2は、外部のデータベース5から取得されうる。プロセッサ12は、データベース5に格納された過去の検査結果から第一データセットD1と同じ識別情報IDが付与されたデータセットを特定し、当該データセットを第二データセットD2として取得する。
【0024】
あるいは、判別装置1は、ストレージ15(保存部の一例)を備えうる。ストレージ15は、半導体メモリやハードディスク装置などの記憶装置である。過去の検査結果は、ストレージ15に格納されてもよい。この場合、プロセッサ12は、ストレージ15に格納された過去の検査結果から第一データセットD1と同じ識別情報IDが付与されたデータセットを特定し、当該データセットを第二データセットD2として取得する。
【0025】
続いてプロセッサ12は、図3に例示されるように、第二データセットD2を訓練データとして学習した識別器121を作成する(図2のSTEP3)。プロセッサ12は、作成部の一例である。識別器121は、プロセッサ12により実行される処理関数と理解することができる。識別器121は、第二データセットD2の特徴量を抽出して構成される。詳細には識別器121は、第二データセットD2を訓練データとして用いる学習を通じて、第二データセットD2の特徴が集約された処理関数となる。例えば、この識別器121に対して、訓練データとして用いたデータセット(本実施形態においては第二データセットD2)とは異なるデータセットが入力されうる。当該入力されたデータセットが、識別器121の性質(第二データセットD2)に対応するものである場合には、当該入力されたデータセットの入力と類似性のある出力が得られる。第二データセットD2の特徴量は、ユーザによって事前設定されるものではなく、訓練データを用いた学習を通じてプロセッサ12により抽出される。
【0026】
識別器121は、中間層の次元圧縮を伴う自己符号化器を用いて作成されうる。例えば、畳み込みオートエンコーダ(Convolutional Autoencoder)を用いて1000次元から125次元への次元圧縮を伴う自己符号化がなされる。自己符号化器の他の例としては、オートエンコーダ(Autoencoder)、雑音除去自己符号化器(Denoising Autoencoder)、スパース自己符号化器(Sparse Autoencoder)、積層自己符号化器(Stacked Autoencoder)などが挙げられる。
【0027】
このような構成によれば、訓練データの特徴を効率よく抽出できる。
【0028】
続いてプロセッサ12は、図4に例示されるように、第一データセットD1を識別器121に入力する。第二データセットD2の特徴が集約された識別器121に第一データセットD1が入力されると、プロセッサ12は、波形情報である第一出力情報O1を取得する(図2のSTEP4)。ここで、第一データセットD1と第二データセットD2の特徴が類似しているほど、第一出力情報O1と第一データセットD1の類似度が高くなる。
【0029】
続いてプロセッサ12は、第一データセットD1と第一出力情報O1とを比較し、第一類似度S1を取得する(図2のSTEP5)。第一類似度S1は、第一データセットD1と第一出力情報O1の類似の強さを表す指標である。例えば、第一データセットD1に含まれる波形情報における特定時点の値と、第一出力情報O1に含まれる波形情報における当該時点の値との差分が取得される。複数の時点について取得された当該差分が統計処理されることによって、第一類似度S1が取得される。
【0030】
第一類似度S1を取得するための統計処理としては、例えば二乗平均平方根誤差(Root Mean Squared Error)が用いられうる。このような統計処理によって、第一データセットD1と第一出力情報O1の類似の強さが評価されうる。なお統計処理の手法としては、二乗平均平方根誤差に限られず、例えば平均絶対誤差(MAE)、動的時間伸縮法DTW、平均絶対パーセント誤差(MAPE)、平均二乗誤差(MSE)、相互相関関数(CCF)等であってもよい。
【0031】
第一データセットD1の取得元である被検者2が第二データセットD2の取得元である被検者と一致する場合、波形情報に含まれる特徴は一致する傾向にあるので、第一データセットD1と第一出力情報O1との比較により得られる第一類似度S1は高くなる。他方、第一データセットD1の取得元である被検者2が第二データセットD2の取得元である被検者と異なる場合、第一データセットD1の特徴が強調された第一出力情報O1と第一データセットD1の特徴の差異がより強調され、比較結果としての第一類似度S1は低くなる。
【0032】
したがって、プロセッサ12は、第一類似度S1に基づいて、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者から取得されたものであるかを判別できる(図2のSTEP6)。例えば、図5に例示されるように、プロセッサ12は、第一類似度S1と所定の閾値Stを比較する。プロセッサ12は、第一類似度S1が閾値Stを上回る場合に第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者から取得されたものであると判断するように構成されうる。
【0033】
図6は、プロセッサ12により実行される判別処理の流れの詳細を例示している。第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者から取得されたものであると判断されると(STEP61においてYES)、プロセッサ12は、当該判断結果を示す出力データを出力する(STEP62)。これにより、当該出力データに基づく出力信号OSが出力され、当該判断結果の報知が報知部14または外部装置4によってなされる。
【0034】
第一データセットD1と第二データセットD2が別の被検者から取得されたものであると判断されると(STEP61においてNO)、プロセッサ12は、当該判断結果を示す出力データを出力する(STEP63)。これにより、当該出力データに基づく出力信号OSが出力され、当該判断結果の報知が報知部14または外部装置4によってなされる。
【0035】
上記のような構成によれば、被検者2から取得された心電図波形情報が、例えば当該被検者2から過去に取得された可能性がある心電図波形情報の特徴を学習した識別器121へ入力され、両者の類似性に基づいて両者が同じ被検者から取得されたものであるかが判断される。すなわち、同じ識別情報IDが対応付けられている心電図波形情報が同じ被検者から取得されたものであることの確認を支援できる。したがって、取得された心電図波形情報と被検者の関連付けに係る正確性を高めることができる。
【0036】
図2に例示されるように、プロセッサ12は、第一データセットD1及び第二データセットよりも過去に取得された生体情報の経時変化に対応する第三データセットD3(図4参照)をさらに取得してもよい(図2のSTEP7)。なお、第三データセットD3は、第一データセットD1及び第二データセットD2とは異なるタイミングで取得された生体情報を含むデータセットの一例である。この場合、プロセッサ12は、第一データセットD1に対応する識別情報IDと同じ識別情報IDが付与されたデータセットを特定する。そして特定されたデータセットのうち、第二データセットよりも過去に取得されたデータセットを第三データセットD3として取得する。
【0037】
続いてプロセッサ12は、図4に例示されるように、第三データセットD3を識別器121に入力する。第二データセットD2の特徴が集約された識別器121に第三データセットD3が入力されると、プロセッサ12は、波形情報である第二出力情報O2を取得する(図2のSTEP8)。ここで、第二データセットD2と第三データセットD3の特徴が類似しているほど、第二出力情報O2と第三データセットD3の類似度が高くなる。
【0038】
続いてプロセッサ12は、第三データセットD3と第二出力情報O2とを比較し、第二類似度S2を取得する(図2のSTEP9)。第二類似度S2は、第三データセットD3と第二出力情報O2の類似の強さを表す指標である。例えば、第三データセットD3に含まれる波形情報における特定時点の値と、第二出力情報O2に含まれる波形情報における当該時点の値との差分が取得される。複数の時点について取得された当該差分が統計処理されることによって、第二類似度S2が取得される。
【0039】
第二類似度S2を取得するための統計処理としては、二乗平均平方根誤差(Root Mean Squared Error)が用いられうる。このような統計処理によって、第三データセットD3と第二出力情報O2の類似の強さが評価されうる。なお統計処理の手法としては、二乗平均平方根誤差に限られず、例えば平均絶対誤差(MAE)、動的時間伸縮法DTW、平均絶対パーセント誤差(MAPE)、平均二乗誤差(MSE)、相互相関関数(CCF)等であってもよい。
【0040】
続いてプロセッサ12は、第一類似度S1と第二類似度S2に基づいて、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者から取得されたものであるかを判別する(図2のSTEP6)。例えば、図5に例示されるように、プロセッサ12は、第一類似度S1と第二類似度S2の乖離度に基づき、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者から取得されたものであるかを判別する。具体的には、プロセッサ12は、第一類似度S1と第二類似度S2の乖離度が所定値以下である場合に、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者から取得されたものであると判断するように構成されうる。
【0041】
このような構成によれば、例えば、第二データセットD2よりも過去に取得された生体情報の経時変化に対応する第三データセットD3を用いて第二類似度S2が算出される。そしてプロセッサ12は、第一類似度S1と第二類似度S2に基づいて、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者2から取得されたものであるか否か判別する。第三データセットD3は被検者2から取得されたものであることが確認されているので、判別に使用されるデータとしての信頼性が高い。したがって、第一類似度S1と第三データセットD3から算出された第二類似度S2を用いることにより、プロセッサ12による判別精度を高めることができる。
【0042】
図6に例示されるように、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者から取得されたものであると判断されると(STEP61においてYES)、プロセッサ12は、第一データセットD1を、次回以降の判定において訓練データとなりうるデータセットである第二データセットD2としてストレージ15に保存するように構成されうる(STEP64)。なお、第二データセットD2の保存は、データベース5に行なわれてもよい。
【0043】
このような構成によれば、第一データセットD1が被検者2から取得されたものであることが確認された場合、当該第一データセットD1は、次回以降の検査において識別器121の訓練データとなる第二データセットD2として用いられる。つまり、被検者2から取得された最新のデータセットを用いて、次回以降に取得される第一データセットD1に対する判別が行なわれる。これにより、プロセッサ12は次回以降の検査において、精度の高い識別器121を作成することができる。その結果、プロセッサ12が行う判別結果の精度が高まる。
【0044】
同じ理由に基づき、プロセッサ12は、第二データセットD2を、識別器121に入力されるデータセットのうち第一データセットD1とは異なるデータセットである第三データセットD3としてストレージ15に保存してもよい(STEP65)。なお、第三データセットD3の保存は、データベース5に行なわれてもよい。
【0045】
図4に例示されるように、第一データセットD1は、データオーギュメンテーションによりデータ拡張されうる。その具体的な手法の例について、図7を参照しつつ説明する。
【0046】
第一データセットD1が時間長さT1をかけて取得された生体情報である場合、プロセッサ12は、時刻t1からの時間長さT2に対応するデータセットd1を抽出する。続いてプロセッサ12は、時刻t1に時間長さT3を加えた時刻t2からの時間長さT2に対応するデータセットd2を取得する。同様にして、プロセッサ12は、時刻t2に時間長さT3を加えた時刻t3からの時間長さT2に対応するデータセットd3を取得する。
【0047】
時間長さT1は、例えば10秒である。時間長さT2は、例えば2秒である。時間長さT3は、例えば0.2秒である。この場合、データセットd1は、時刻0秒から2秒までの生体情報を含む。データセットd2は、時刻0.2秒から2.2秒までの生体情報を含む。データセットd3は、時刻0.4秒から2.4秒までの生体情報を含む。
【0048】
このような処理が繰り返されることにより、最後に時刻8秒から10秒までの生体情報を含むデータセットd41が取得され、計41個のデータセットd1~d41が生成される。第一データセットD1が6万個のサンプリングデータを含んでいる場合、データセットd1~d41の各々が含むサンプリングデータの数は、1万2千個である。したがって、データオーギュメンテーションの結果得られるサンプリングデータの数は49万2000個となり、データ拡張がなされていることがわかる。
【0049】
上記のようにして生成されたデータセットd1~d41の各々が、識別器121に入力される。これにより、図4に例示されるように、データセットd1~d41の各々について第一出力情報O1が取得される。複数の第一出力情報O1の各々が自身の生成元であるデータセットと比較される結果として、図5に例示されるように、複数の第一類似度S1が算出される。
【0050】
このような構成によれば、プロセッサ12は、複数の第一類似度S1と閾値Stを比較し、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者2から取得されたものであるか否か判別する。例えば、複数の第一類似度S1の平均値と閾値Stを比較することにより、判別を行なう。閾値Stとの比較を統計的に行えるので、ノイズの影響を受けにくく、プロセッサ12が行う判別結果の精度が高まる。
【0051】
図4に例示されるように、プロセッサ12は、第三データセットD3についても同様に、データオーギュメンテーションによりデータ拡張を行ないうる。この場合、図5に例示されるように、複数の第二類似度S2が算出される。
【0052】
この場合、プロセッサ12は、複数の第一類似度S1と複数の第二類似度S2を比較し、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者2から取得されたものであるか否か判別する。例えば、複数の第一類似度S1の平均値と複数の第二類似度S2の平均値の乖離度が閾値を下回る場合に、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者2から取得されたものであると判別される。
【0053】
このような構成によれば、被検者2から取得されたことが判明している第三データセットD3を用いた統計的な比較が可能であるので、固定的な閾値Stを用いた比較が不要であり、より精度の高い判別を行うことができる。
【0054】
図3に例示されるように、プロセッサ12は、第二データセットD2をデータオーギュメンテーションによりデータ拡張し、データ拡張された第二データセットD2に基づいて、識別器121を作成してもよい。データオーギュメンテーションの具体的な手法は、第一データセットD1や第三データセットD3に対する上記の手法と同様である。
【0055】
このような構成によれば、データオーギュメンテーションによって、識別器121を作成する際に用いる訓練データの数が増えるので、プロセッサ12はより精度の高い識別器121を作成することができる。その結果、プロセッサ12は、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者2から取得されたものであるか否かをより高度に判別することができる。
【0056】
図2に例示されるように、プロセッサ12は、取得された第一データセットD1に基づき、被検者の判別が実行可能かどうかを判断してもよい(図2のSTEP10)。判別が実行可能かどうかの判断には、既知の心電図用ノイズ判定プログラムや既知の不整脈用解析アルゴリズム等が用いられうる。例えば、心電図用ノイズ判定プログラムが用いられる場合、プロセッサ12は、第一データセットD1に対して統計処理を行うことで得られるノイズスコアと、あらかじめ設定された閾値と、を比較することで、被検者の判別が実行可能かどうかを判断しうる。得られたノイズスコアが閾値以上であるとき、プロセッサ12は被検者の判別が実行不可能であると判断し(STEP10においてNO)、本処理を終了する。この場合、判別装置1は、第一データセットD1が識別器121に入力するための所定の条件に合致しないことを示す出力信号OSを、出力インターフェース13から出力する。一方、プロセッサ12が被検者の判別は実行可能であると判断した場合(STEP10においてYES)、プロセッサ12はSTEP2以降の処理を実行する。
【0057】
例えば、被検者の心臓に器質的に大きな変化があった場合や被検者が不整脈である場合、第一データセットD1と第二データセットD2がたとえ同一の被検者から取得されたデータセットであったとしても、第一データセットD1の特徴と、第一データセットD1よりも過去に取得された第二データセットD2の特徴と、は大きく異なりうる。このため、第一データセットD1は上述した統計処理を行う上でノイズとなる虞がある。上記のような構成によれば、ノイズとなりうる第一データセットD1は識別器121に入力されないため、判別精度を維持することができる。
【0058】
第二データセットD2を取得するために利用される情報は、被検者2に付与された識別情報IDに限られない。図8は、被検者2の心電図波形情報がストリーミングデータSDとして取得される場合を例示している。ストリーミングデータSDは、判別装置1のストレージ15またはデータベース5に保存される。本例においては、判別装置1は、ストリーミングデータSDの入力に途絶が生じた場合に、当該途絶よりも過去に取得されたストリーミングデータSDを取得するように構成される。入力が途絶する原因としては、センサ3の被検者2の身体からの脱落や通信障害などが挙げられる。
【0059】
図8に例示されるように、ストリーミングデータSDは、取得された時刻を示す時刻情報を含みうる。時刻t11は、入力途絶から復帰後にストリーミングデータSDの取得が開始された時刻を表している。すなわち、プロセッサ12は、時刻t11を時刻情報として有するストリーミングデータSDを、第一データセットD1として取得する(図2のSTEP1)。
【0060】
ストリーミングデータの入力に途絶が発生した場合、プロセッサ12は、時刻t11よりも過去の時刻t12を時刻情報として有するストリーミングデータSDを、第二データセットD2として取得する(図2のSTEP2)。
【0061】
続いて、プロセッサ12は、図2に例示されるSTEP3~STEP6の処理を実行する。すなわち、プロセッサ12は、t12を時刻情報として有するストリーミングデータSDである第二データセットD2(入力途絶前に取得されたデータセット)を訓練データとして学習した識別器121を作成する。続いてプロセッサ12は、時刻t11を時刻情報として有するストリーミングデータSDである第一データセットD1(入力途絶から回復後に取得されたデータセット)を識別器121に入力することで第一類似度S1を取得する。そしてプロセッサ12は、第一類似度S1と閾値Stを比較することにより、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者から取得されたものであるかどうかを判別する。
【0062】
上記のような構成によれば、ストリーミングデータ入力の途絶後に被検者2から取得された心電図波形情報が、当該被検者2から過去に取得された可能性がある心電図波形情報の特徴を学習した識別器121へ入力され、両者の類似性に基づいて両者が同じ被検者から取得されたものであるかが判断される。すなわち、ストリーミングデータの入力途絶の前後に取得された心電図波形情報が同じ被検者から取得されたものであることの確認を支援できる。したがって、取得された心電図波形情報と被検者の関連付けに係る正確性を高めることができる。
【0063】
これまで説明したような機能を有するプロセッサは、汎用メモリと共同して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。当該プロセッサは、複数のプロセッサコアを含みうる。汎用メモリとしては、ROM、RAMなどが例示されうる。汎用メモリには、後述の処理を実行するためのコンピュータプログラムが記憶されうる。当該コンピュータプログラムは、予め汎用メモリに格納されていてもよいし、通信ネットワークを介して外部のサーバからダウンロードされてもよい。当該コンピュータプログラムは、プロセッサが実行可能な命令の一例である。例えば、プロセッサは、ROMに記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して後述の処理を実行しうる。
【0064】
本実施形態においては、コンピュータ可読媒体が利用されてもよい。コンピュータ可読媒体は、プロセッサが読み取ることのできる情報やデータを記憶し得る、あらゆるタイプの物理メモリ(RAM、ROM等)を指す。コンピュータ可読媒体は、1つ以上のプロセッサによる実行処理に関する命令を記憶し得る。なお、「コンピュータ可読媒体」という用語は、有形の品目を包含し、かつ搬送波や一時的な信号は除外する(すなわち、非一時的なものを指す)。
【0065】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0066】
上記の実施形態においては、プロセッサ12は、第二データセットD2を訓練データとして識別器121を作成している。すなわち、第一データセットD1は、識別器の作成に用いられなかったデータセット(換言すると識別器121への入力となるデータセット)の一例である。しかしながら、プロセッサ12は、第一データセットD1を訓練データとして識別器121を作成してもよい。この場合、第二データセットD2が、識別器の作成に用いられなかったデータセットの一例となる。すなわち、第一データセットD1と第二データセットD2を用いた被検者の同一性判定を行う場合、各データセットの取得のタイミング(どちらのデータセットの取得が先に行われたか)に関わらず一方のデータセットから識別器121を作成し、他方のデータセットを識別器121への入力とすればよい。なお、被検者の同一性判定とは、第一データセットD1と第二データセットD2が同じ被検者から取得されたものであるかどうかの判定である。
【0067】
また、プロセッサ12は、第三データセットD3を訓練データとして識別器121を作成してもよい。この場合、第一データセットD1および第二データセットD2が、識別器の作成に用いられなかったデータセット(換言すると識別器121への入力となるデータセット)の一例となる。すなわち、第一データセットD1~第三データセットD3を用いた被検者の同一性判定を行う場合、各データセットを取得するタイミング(どのデータセットの取得が先に行われたか)に関わらず任意の一つのデータセットから識別器121を作成し、その他二つのデータセットを識別器121への入力とすればよい。
【0068】
上記の実施形態において、第二データセットD2は、第一データセットD1よりも過去に取得されたデータセットであるが、第一データセットD1が、第二データセットD2よりも過去に取得されたデータセットであってもよい。また、第三データセットD3は、第二データセットよりも過去に取得されたデータセットであるが、第三データセットD3は、第一データセットD1及び第二データセットD2の少なくとも一つよりも時間的に後に取得されたデータセットであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:被検者判別装置、2:被検者、3:センサ、4:外部装置、5:データベース、10:被検者、11:入力インターフェース、12:プロセッサ、13:出力インターフェース、14:報知部、15:ストレージ、121:識別器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8