(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ハンマドリル
(51)【国際特許分類】
B25D 16/00 20060101AFI20241210BHJP
B25D 17/10 20060101ALI20241210BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B25D16/00
B25D17/10
B25F5/00 B
(21)【出願番号】P 2020016065
(22)【出願日】2020-02-03
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古澤 正規
(72)【発明者】
【氏名】竹内 一
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-058183(JP,A)
【文献】特開2018-144150(JP,A)
【文献】特開2016-068190(JP,A)
【文献】特開2001-062756(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0017396(US,A1)
【文献】国際公開第2016/121458(WO,A1)
【文献】特開2005-052908(JP,A)
【文献】特開2019-198956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 16/00
B25D 17/10
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端工具を駆動軸に沿って直線状に駆動する動作のみを行うハンマモードと、前記先端工具を前記駆動軸周りに回転駆動する動作を少なくとも行うドリルモードとを含む複数のモードのうちから選択されたモードに応じて動作するように構成されたハンマドリルであって、
前記先端工具を駆動するためのモータと、
第1方向の第1の側と第2の側を移動可能な操作部材であって、非押圧状態ではオフ位置に保持される一方、使用者による外部からの押圧操作に応じてオン位置に移動可能に構成された操作部材と、
前記操作部材が前記オフ位置に配置されているときにはオフ状態とされ、前記操作部材が前記オン位置に配置されているときにはオン状態とされるように構成されたメインスイッチと、
モード選択のために、使用者による外部操作に応じて、前記複数のモードに夫々対応する複数の切替位置の間で切り替え可能に構成されたモード切替部材と、
前記モード切替部材の切替位置に応じて、前記操作部材を前記オフ位置および前記オン位置でロック可能に構成されたロック部材とを備え、
前記ロック部材は、使用者による外部操作に応じて、前記操作部材に当接可能な位置と、前記操作部材に当接不能な位置との間で移動可能であって、
前記ロック部材は、前記第1方向の前記第1の側で前記オフ位置に配置された前記操作部材に当接することで前記操作部材を前記オフ位置でロック可能、且つ、前記第1方向の前記第2の側で前記オン位置に配置された前記操作部材に当接することで前記操作部材を前記オン位置でロック可能に構成されており、
前記ハンマドリルは、
前記ハンマモードおよび前記ドリルモードの何れが選択されている場合でも、前記ロック部材による前記操作部材の前記オフ位置でのロックを許容し、
前記ハンマモードが選択されている場合にのみ、前記ロック部材によって前記操作部材が前記オン位置でロックされた状態で前記モータの駆動を継続し、
前記ドリルモードが選択されている場合、前記ロック部材によって前記操作部材が前記オン位置でロックされた状態での前記モータの駆動を禁止するように構成されていることを特徴とするハンマドリル。
【請求項2】
請求項1に記載のハンマドリルであって、
前記ロック部材は、前記ドリルモードが選択されている場合、前記操作部材に当接不能な位置から前記操作部材に当接可能な位置へ移動することが禁止されるように構成されていることを特徴とするハンマドリル。
【請求項3】
請求項2に記載のハンマドリルであって、
前記モード切替部材の切り替え動作に連動して第1方向に移動するように構成された連動部材を更に備え、
前記連動部材は、
前記モード切替部材に連結された第1部材と、
前記第1部材に対して前記第1方向に相対移動可能に連結された第2部材とを備え、
前記連動部材は、
前記ハンマモードが選択されている場合、前記操作部材の位置にかかわらず、前記ロック部材が前記操作部材に当接可能な位置へ移動することを許容し、
前記ドリルモードが選択され、且つ、前記操作部材が前記オフ位置に配置されている場合、前記ロック部材が前記操作部材に当接可能な位置へ移動することを許容し、
前記ドリルモードが選択されている場合、前記操作部材が前記オフ位置から前記オン位置へ移動されるのに伴って、前記第2部材が前記操作部材に係合して前記第1部材に対して移動し、前記ロック部材が前記操作部材に当接可能な位置へ移動することを禁止するように構成されていることを特徴とするハンマドリル。
【請求項4】
請求項3に記載のハンマドリルであって、
前記第2部材は、前記ハンマモードが選択されている場合、前記操作部材に係合不能な位置に配置され、前記第1部材との相対位置を維持するように構成されていることを特徴とするハンマドリル。
【請求項5】
請求項3または4に記載のハンマドリルであって、
前記連動部材は、前記第1部材と前記第2部材とを前記第1方向において互いに近接する方向に付勢するように構成された付勢部材を更に備えたことを特徴とするハンマドリル。
【請求項6】
請求項3~5の何れか1つに記載のハンマドリルであって、
前記第2部材は、前記第1方向に交差する第2方向に突出する凸部を有し、
前記ロック部材は、前記第2方向に移動可能であって、前記凸部に当接可能な当接部を有し、
前記第2部材は、
前記ドリルモードが選択され、且つ、前記操作部材が前記オフ位置に配置されている場合、前記凸部が前記当接部の移動経路から外れた位置に配置され、
前記ドリルモードが選択されている場合、前記操作部材が前記オフ位置から前記オン位置へ移動されるのに伴って、前記凸部が前記当接部の移動経路上に移動されるように構成されていることを特徴とするハンマドリル。
【請求項7】
請求項6に記載のハンマドリルであって、
前記第2部材は、前記ハンマモードが選択されている場合、前記操作部材の位置にかかわらず、前記凸部が前記当接部の移動経路から外れた位置に配置されるように構成されていることを特徴とするハンマドリル。
【請求項8】
請求項3~7の何れか1つに記載のハンマドリルであって、
前記操作部材は、第1突起を有し、
前記第2部材は、前記第1突起に係合可能な第2突起を有し、
前記操作部材は、前記オフ位置から前記オン位置へ移動されるのに伴って、前記第1突起と前記第2突起とが係合した状態で、前記第2部材を前記第1部材に対して移動させるように構成されていることを特徴とするハンマドリル。
【請求項9】
請求項8に記載のハンマドリルであって、
前記ロック部材は、前記操作部材の前記第1突起に係合し、前記操作部材を前記オフ位置または前記オン位置でロック可能に構成された第3突起を有することを特徴とするハンマドリル。
【請求項10】
請求項3~9の何れか1つに記載のハンマドリルであって、
前記モータの動力によって前記先端工具を駆動するように構成された駆動機構と、
前記モータおよび前記駆動機構を収容し、且つ、前記モード切替部材を支持する第1ハウジングと、
使用者が把持可能に構成された把持部を含み、且つ、前記第1ハウジングに対し、少なくとも前記
駆動軸に平行な前記第1方向に相対移動可能に弾性的に連結された第2ハウジングとを更に備え、
前記連動部材は、前記モード切替部材に連結されており、
前記ロック部材および前記操作部材は、前記第2ハウジングに支持されており、
前記連動部材および前記ロック部材は、前記第1方向に相対移動可能に構成されていることを特徴とするハンマドリル。
【請求項11】
請求項1に記載のハンマドリルであって、
前記モータの駆動を制御するように構成された制御装置と、
第1スイッチと、
第2スイッチと、
前記モード切替部材の切り替え動作に連動して第1方向に移動し、前記ハンマモードが選択されている場合と前記ドリルモードが選択されている場合とで、異なる位置に配置されるように構成された連動部材とを更に備え、
前記第1スイッチは、前記連動部材の位置に応じてオン状態とオフ状態とが切り替えられるように構成され、
前記第2スイッチは、前記ロック部材の位置に応じてオン状態とオフ状態とが切り替えられるように構成され、
前記制御装置は、前記メインスイッチ、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチの状態に基づいて前記モータの駆動を制御するように構成されていることを特徴とするハンマドリル。
【請求項12】
請求項11に記載のハンマドリルであって、
前記制御装置は、
前記第1スイッチの前記状態が、前記連動部材が前記ハンマモードに対応する第1位置にあることを示す場合には、前記第2スイッチの前記状態にかかわらず、前記メインスイッチが前記オン状態である間、前記モータの駆動を継続し、且つ、
前記第1スイッチの前記状態が、前記連動部材が前記ドリルモードに対応する第2位置にあることを示す場合には、前記第2スイッチの前記状態が、前記ロック部材が前記操作部材に当接不能な位置にあることを示す場合、前記メインスイッチが前記オン状態である間、前記モータの駆動を継続し、更に、前記モータの駆動中に、前記第2スイッチの前記状態が、前記ロック部材が前記操作部材に当接可能な位置に移動されたことを示すものに切り替わった場合、前記モータの駆動を停止するように構成されていることを特徴とするハンマドリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のモードのうち、選択されたモードに応じて動作するように構成されたハンマドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のモードのうち、使用者によって選択されたモードに応じて動作するように構成されたハンマドリルが知られている。ハンマドリルのモードは、先端工具を直線状に駆動する動作のみを行うモード(ハンマモードともいう)と、先端工具を少なくとも回転駆動するモード(ドリルモードともいう)とを含む。例えば、特許文献1には、ハンマモードでは、トリガのオン位置でのロックを許容する一方、ドリルモードでは、トリガのオン位置でのロックを原則的に禁止するように構成されたハンマドリルが開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ハンマドリルでは、ハンマモードが選択された場合には、トリガをオン位置でロックすることで、使用者がトリガを押圧した状態で保持する必要をなくすことができる。このようなハンマドリルの利便性に関しては、更なる改良の余地がある。
【0005】
本発明は、複数のモードのうち、使用者によって選択されたモードに応じて動作するように構成されたハンマドリルにおいて、利便性の向上に寄与しうる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、複数のモードのうちから選択されたモードに応じて動作するように構成されたハンマドリルが提供される。複数のモードは、ハンマモードと、ドリルモードとを含む。ハンマモードは、先端工具を駆動軸に沿って直線状に駆動する動作のみを行うモードである。ドリルモードは、先端工具を駆動軸周りに回転駆動する動作を少なくとも行うモードである。ハンマドリルは、モータと、操作部材と、メインスイッチと、モード切替部材と、第1ロック部材と、第2ロック部材とを備える。
【0007】
モータは、先端工具を駆動するために設けられる。操作部材は、非押圧状態ではオフ位置に保持される一方、使用者による外部からの押圧操作に応じてオン位置に移動可能に構成されている。メインスイッチは、操作部材がオフ位置に配置されているときにはオフ状態とされ、操作部材がオン位置に配置されているときにはオン状態とされるように構成されている。モード切替部材は、モード選択のために、使用者による外部操作に応じて、複数のモードに夫々対応する複数の切替位置の間で切り替え可能に構成されている。第1ロック部材は、モード切替部材の切替位置に応じて、操作部材をオフ位置でロック可能に構成されている。第2ロック部材は、モード切替部材の切替位置に応じて、操作部材をオン位置でロック可能に構成されている。更に、ハンマドリルは、ハンマモードおよびドリルモードの何れが選択されている場合でも、第1ロック部材による操作部材のオフ位置でのロックを許容するように構成されている。また、ハンマドリルは、ハンマモードが選択されている場合にのみ、第2ロック部材によって操作部材がオン位置でロックされた状態でのモータの駆動を許容するように構成されている。
【0008】
本態様のハンマドリルでは、使用者が、モード切替部材を所望のモードに対応する切替位置に切り替えると、選択されたモードに応じて、第1ロック部材による操作部材のオフ位置でのロック、および、第2ロック部材による操作部材のオン位置でのロックが可能となる。ハンマモードが選択された場合には、操作部材のオフ位置でのロックが許容され、且つ、操作部材がオン位置でロックされた状態でのモータの駆動が許容される。一方、ドリルモードでは、操作部材のオフ位置でのロックは許容されるが、操作部材がオン位置でロックされた状態でのモータの駆動は許容されない。よって、ハンマモードおよびドリルモードの何れにおいても、第1ロック部材によって操作部材をオフ位置でロックすることで、意図しないときに先端工具が駆動されるのを確実に防止することができる。また、先端工具を直線状に駆動する動作のみを行うハンマモードでは、第2ロック部材によって操作部材をオン位置でロックすることで、使用者が操作部材の押圧操作を継続する煩わしさを解消することができる。一方、先端工具が回転駆動されるドリルモードでは、先端工具がロックした状態で回転し続ける可能性を低減することができる。このように、本態様によれば、利便性に優れたハンマドリルが提供される。
【0009】
本発明の一態様において、第1ロック部材および第2ロック部材は、使用者による外部操作に応じて、操作部材に当接可能な位置と、操作部材に当接不能な位置との間で移動可能な単一のロック部材によって兼用されてもよい。そして、ロック部材は、オフ位置に配置された操作部材に当接して操作部材をオフ位置でロック可能、且つ、オン位置に配置された操作部材に当接して操作部材を前記オン位置でロック可能に構成されていてもよい。本態様によれば、単一のロック部材が、操作部材をオフ位置でもオン位置でもロック可能であるため、コンパクトでシンプルな構成のロック機構を実現することができる。
【0010】
本発明の一態様において、ハンマドリルは、モード切替部材の切り替え動作に連動して第1方向に移動するように構成された連動部材を更に備えてもよい。そして、連動部材は、モード切替部材に連結された第1部材と、第1部材に対して第1方向に相対移動可能に連結された第2部材とを備えてもよい。なお、ここでいう「連結」とは、直接的な連結、および、別部材を介した間接的な連結の両方を含む意である。連動部材は、ハンマモードが選択されている場合、操作部材の位置にかかわらず、ロック部材が操作部材に当接可能な位置へ移動することを許容するように構成されてもよい。また、連動部材は、ドリルモードが選択され、且つ、操作部材がオフ位置に配置されている場合、ロック部材が操作部材に当接可能な位置へ移動することを許容するように構成されてもよい。更に、連動部材は、ドリルモードが選択されている場合、操作部材がオフ位置からオン位置へ移動されるのに伴って、第2部材が操作部材に係合して第1部材に対して移動し、ロック部材が操作部材に当接可能な位置へ移動することを禁止するように構成されていてもよい。本態様によれば、使用者は所望のモードに応じたモード切替部材の切替操作および操作部材の押圧操作をするだけで、連動部材が移動し、ロック部材の移動を適切に許容または禁止することができる。
【0011】
本発明の一態様において、第2部材は、ハンマモードが選択されている場合、操作部材に係合不能な位置に配置され、第1部材との相対位置を維持するように構成されていてもよい。本態様によれば、ハンマモードにおいて、操作部材が第2部材を移動させるのを防止することができる。
【0012】
本発明の一態様において、連動部材は、第1部材と第2部材とを、第1方向において互いに近接する方向に付勢するように構成された付勢部材を更に備えてもよい。本態様によれば、第2部材の動作を安定化することができる。
【0013】
本発明の一態様において、第2部材は、凸部を有してもよい。凸部は、第1方向に交差する第2方向に突出する。ロック部材は、第2方向に移動可能であって、凸部に当接可能な当接部を有してもよい。第2部材は、ドリルモードが選択され、且つ、操作部材がオフ位置に配置されている場合、凸部が当接部の移動経路から外れた位置に配置されるように構成されていてもよい。また、第2部材は、ドリルモードが選択されている場合、操作部材がオフ位置からオン位置へ移動されるのに伴って、凸部が当接部の移動経路上に移動されるように構成されていてもよい。言い換えると、第2部材は、操作部材によって第1部材に対して第1方向に移動されるのに伴って、当接部に対する凸部の位置が変わるように構成されていてもよい。本態様によれば、ドリルモードにおいて、移動に伴ってロック部材の移動を規制することが可能な第2部材を、シンプルな構成で実現することができる。
【0014】
更に、本態様において、第2部材は、ハンマモードが選択されている場合、操作部材の位置にかかわらず、凸部が当接部の移動経路から外れた位置に配置されるように構成されていてもよい。この場合、ハンマモードでは、ロック部材の移動を許容することが可能な第2部材を実現することができる。
【0015】
本発明の一態様において、操作部材は、第1突起を有してもよい。第2部材は、第1突起に係合可能な第2突起を有してもよい。操作部材は、オフ位置からオン位置へ移動されるのに伴って、第1突起と第2突起とが係合した状態で、第2部材を第1部材に対して移動させるように構成されていてもよい。本態様によれば、シンプルな構成により、操作部材の移動に伴って第2部材を確実に移動させることができる。
【0016】
更に、本態様において、ロック部材は、操作部材の第1突起に係合し、操作部材をオフ位置またはオン位置でロック可能に構成された第3突起を有してもよい。この場合、操作部材の第1突起を、第2部材を移動させるのみならず、オフ位置でのロックおよびオン位置でのロックに有効に活用することができる。
【0017】
本発明の一態様において、ハンマドリルは、駆動機構と、第1ハウジングと、第2ハウジングとを更に備えてもよい。駆動機構は、モータの動力によって先端工具を駆動するように構成されてもよい。第1ハウジングは、モータおよび駆動機構を収容し、且つ、モード切替部材を支持してもよい。第2ハウジングは、使用者が把持可能に構成された把持部を含んでもよい。また、第2ハウジングは、第1ハウジングに対し、少なくとも打撃軸に平行な第1方向に相対移動可能に弾性的に連結されていてもよい。連動部材は、モード切替部材に連結されていてもよい。ロック部材および操作部材は、第2ハウジングに支持されていてもよい。そして、連動部材およびロック部材は、第1方向に相対移動可能に構成されていてもよい。先端工具が駆動機構によって第1方向に直線状に駆動されると、第1ハウジングに主として第1方向の振動が生じる。本態様によれば、弾性的な連結構造により、第1ハウジングの振動が、把持部を含む第2ハウジングに伝達されるのを抑制することができる。また、第1ハウジングとともに振動する連動部材が、第2ハウジングに支持されたロック部材と干渉するのを防止することができる。
【0018】
本発明の一態様において、ハンマドリルは、制御装置と、第1スイッチと、第2スイッチと、連動部材とを更に備えてもよい。制御装置は、モータの駆動を制御するように構成されていてもよい。連動部材は、モード切替部材の切り替え動作に連動して第1方向に移動し、ハンマモードが選択されている場合とドリルモードが選択されている場合とで、異なる位置に配置されるように構成されていてもよい。第1スイッチは、連動部材の位置に応じてオン状態とオフ状態とが切り替えられるように構成されていてもよい。第2スイッチは、ロック部材の位置に応じてオン状態とオフ状態とが切り替えられるように構成されていてもよい。制御装置は、メインスイッチ、第1スイッチおよび第2スイッチの状態に基づいて、モータの駆動を制御するように構成されていてもよい。本態様によれば、使用者が、所望のモードに応じてモード切替部材およびロック部材の位置を適宜切り替えると、第1スイッチおよび第2スイッチのオン/オフ状態が変化する。そして、制御装置は、メインスイッチの状態と、第1スイッチおよび第2スイッチの状態に基づいて、モータの駆動を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ハンマモード選択時のハンマドリルの断面図である。
【
図3】ハンマモード選択時のロック機構の配置の説明図(ロック部材がアンロック位置にある場合)である。
【
図4】
図3のIV-IV線に対応する断面図である。
【
図5】ハンマモード選択時のロック機構の配置の説明図(ロック部材がロック位置にある場合)である。
【
図6】
図5のVI-VI線に対応する断面図である。
【
図7】ハンマドリルモードが選択され、トリガが最前方位置にあるときのハンマドリルの部分断面図である。
【
図8】ハンマドリルモードが選択され、トリガが最前方位置にあるときのロック機構の配置の説明図(ロック部材がアンロック位置にある場合)である。
【
図9】ハンマドリルモードが選択され、トリガが最前方位置にあるときのロック機構の配置の説明図(ロック部材がロック位置にある場合)である。
【
図10】ハンマドリルモードが選択され、トリガが最後方位置にある場合のハンマドリルの部分断面図である。
【
図11】ハンマドリルモードが選択され、トリガが最後方位置にあるときのロック機構の配置の説明図である。
【
図12】ハンマモード選択時のハンマドリルの部分断面図である。
【
図13】ハンマモード選択時のロック機構の配置の説明図である。
【
図14】
図13のVI-VI線に対応する断面図(ロック部材がアンロック位置にある場合)である。
【
図15】
図13に対応する断面図(ロック部材がロック位置にある場合)である。
【
図16】ハンマドリルモード選択時のロック機構および検出機構の配置の説明図である。
【
図17】ハンマドリルモード選択時のロック機構および検出機構の配置の別の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
[第1実施形態]
以下、
図1~
図11を参照して、第1実施形態に係るハンマドリル101について説明する。ハンマドリル101は、ツールホルダ34に装着された先端工具18を所定の駆動軸A1に沿って直線状に駆動する動作(以下、ハンマ動作という)と、先端工具18を駆動軸A1周りに回転駆動する動作(以下、ドリル動作という)とを遂行可能に構成された作業工具である。
【0022】
まず、
図1を参照して、ハンマドリル101の概略構成について説明する。
図1に示すように、ハンマドリル101の外郭は、主としてハウジング10によって形成されている。本実施形態のハウジング10は、いわゆる防振ハウジングとして構成されており、第1ハウジング11と、第1ハウジング11に対して相対移動可能に弾性連結された第2ハウジング13とを含む。
【0023】
第1ハウジング11は、全体として略L字型に形成されている。第1ハウジング11は、モータ2を収容するモータ収容部117と、モータ2の動力によって先端工具18を駆動するように構成された駆動機構3を収容する駆動機構収容部111とを含む。
【0024】
駆動機構収容部111は、長尺状に形成されており、駆動軸A1に沿って延在する。駆動機構収容部111の長軸方向における一端部には、先端工具18を着脱可能なツールホルダ34が配置されている。モータ収容部117は、駆動機構収容部111の長軸方向におけるもう一方の端部に連結固定されている。モータ収容部117は、駆動軸A1に交差し、且つ、駆動軸A1から離れる方向に、駆動機構収容部111から突出するように配置されている。モータ2は、モータシャフト25の回転軸が駆動軸A1に直交するように配置されている。
【0025】
なお、以下の説明では、便宜上、ハンマドリル101の駆動軸A1の延在方向(駆動機構収容部111の長軸方向)をハンマドリル101の前後方向と規定する。前後方向において、ツールホルダ34が設けられている一端部側をハンマドリル101の前側(先端領域側ともいう)、反対側を後側と規定する。また、モータシャフト25の回転軸の延在方向を、ハンマドリル101の上下方向と規定する。上下方向において、駆動機構収容部111からモータ収容部117が突出する方向を下方向、反対方向を上方向と規定する。更に、前後方向および上下方向に直交する方向を、左右方向と規定する。
【0026】
第2ハウジング13は、全体として略U字状に形成された中空体であって、把持部131と、上側部分133と、下側部分137とを含む。
【0027】
把持部131は、使用者によって把持可能に構成された部分である。把持部131は、第1ハウジング11に対して後方に離間して、上下方向に延在している。把持部131の前部には、使用者が指で押圧操作(引き操作)可能なトリガ14が設けられている。上側部分133は、把持部131の上端部に接続する部分である。本実施形態では、上側部分133は、把持部131の上端部から前方に延び、第1ハウジング11の駆動機構収容部111の大部分を覆うように構成されている。下側部分137は、把持部131の下端部に接続する部分である。本実施形態では、下側部分137は、把持部131の下端部から前方に延びその大部分がモータ収容部117の下側に配置されている。下側部分137の前後方向における中央部の下端部には、バッテリ装着部15が設けられている。ハンマドリル101は、バッテリ装着部15に取り外し可能に装着されたバッテリ19を電源として動作する。
【0028】
以上のような構成によって、ハンマドリル101では、第2ハウジング13に加え、第1ハウジング11のうちモータ収容部117が、上側部分133と下側部分137とに上下から挟まれた状態で外部に露出する。第2ハウジング13およびモータ収容部117は、ハンマドリル101の外表面を形成している。
【0029】
以下、ハンマドリル101の詳細構成について説明する。
【0030】
まず、
図1を参照して、ハウジング10の防振構造について簡単に説明する。上述の通り、ハウジング10では、モータ2および駆動機構3を収容する第1ハウジング11に対し、把持部131を含む第2ハウジング13が相対移動可能に弾性的に連結されている。
【0031】
より詳細には、
図1に示すように、第1ハウジング11の駆動機構収容部111と、第2ハウジング13の上側部分133との間には、弾性部材171が介在している。更に、第1ハウジング11のモータ収容部117と、第2ハウジング13の下側部分137との間には、弾性部材175が介在している。なお、本実施形態では、弾性部材171および175には、圧縮コイルバネが採用されている。弾性部材171および175は、夫々、第1ハウジング11と第2ハウジング13とを、駆動軸A1の延在方向において、互いから離れる方向(把持部131が第1ハウジング11から離れる方向)に付勢している。つまり、第1ハウジング11および第2ハウジング13は、夫々、前方および後方へ付勢されている。
【0032】
更に、上側部分133および下側部分137は、夫々、モータ収容部117の上端部および下端部に対して摺動可能に構成されている。より詳細には、上側部分133の下端面およびモータ収容部117の上端面は、互いに当接した状態で摺動可能である。また、下側部分137の上端面およびモータ収容部117の下端面は、互いに当接した状態で摺動可能である。更に、詳細な図示は省略するが、弾性部材171および弾性部材175の近傍には、第1ハウジング11および第2ハウジング13の前後方向の相対移動を案内する摺動ガイドが設けられている。
【0033】
以上のような防振構造により、第1ハウジング11と第2ハウジング13とは、前後方向に相対移動可能である。よって、ハンマ動作の遂行時に第1ハウジング11に発生する振動のうち、最も大きく且つ支配的な駆動軸A1の延在方向(前後方向)の振動が、第2ハウジング13に伝達されるのを効果的に抑制することができる。
【0034】
以下、第1ハウジング11の内部構造について説明する。
【0035】
図1に示すように、モータ収容部117には、モータ2が収容されている。本実施形態では、モータ2として、ブラシレス直流モータが採用されている。モータシャフト25は、上下端部において、ベアリングによって回転可能に支持されている。モータシャフト25の上端部は、駆動機構収容部111内に突出しており、この部分に駆動ギヤが形成されている。
【0036】
駆動機構収容部111には駆動機構3が収容されている。駆動機構3は、運動変換機構30と、打撃要素36と、回転伝達機構38とを備えている。なお、このような構成を有する駆動機構3は周知であるため、以下では簡単に説明する。
【0037】
運動変換機構30は、モータシャフト25の回転運動を直線運動に変換して打撃要素36に伝達するように構成されている。本実施形態では、運動変換機構30として、クランクシャフトと、ピストンとを含むクランク機構が採用されている。モータ2が駆動され、ピストンが前方に向けて移動されると、空気バネの作用により、打撃要素36が運動エネルギを先端工具18に伝達する。これにより、先端工具18は駆動軸A1に沿って直線状に駆動され、被加工物を打撃する。一方、ピストンが後方へ移動されると、打撃要素36および先端工具18は元の位置へ復帰する。このようにして、運動変換機構30および打撃要素36によってハンマ動作が遂行される。
【0038】
回転伝達機構38は、モータシャフト25の回転動力をツールホルダ34に伝達するように構成されている。本実施形態では、回転伝達機構38は、複数のギヤを含むギヤ減速機構として構成されている。回転伝達機構38の動力伝達経路上には、噛合い式のクラッチ39が配置されている。クラッチ39が係合状態に置かれた場合には、回転伝達機構38によって、ツールホルダ34が回転され、ツールホルダ34に装着された先端工具18が駆動軸A1周りに回転駆動される。一方、クラッチ39の係合状態が解除された場合には(
図1は係合解除状態を示している)、回転伝達機構38によるツールホルダ34への動力伝達が遮断され、先端工具18は回転駆動されない。
【0039】
本実施形態では、ハンマドリル101は、ハンマモードおよびハンマドリルモードの2つのモードのうち、選択された一方に応じて動作するように構成されている。ハンマモードは、クラッチ39が係合解除状態とされ、運動変換機構30のみが駆動されることで、ハンマ動作のみが行われるモードである。ハンマドリルモードは、クラッチ39が係合状態とされ、運動変換機構30および回転伝達機構38が駆動されることで、ハンマ動作およびドリル動作が行われるモードである。
【0040】
図2に示すように、ハンマドリル101は、使用者がモードを選択するためのモード切替ダイヤル4を備える。モード切替ダイヤル4は、第1ハウジング11(詳細には、駆動機構収容部111)の上後端部に、上下方向に延在する回動軸R周りに回動可能に支持されている。なお、駆動機構収容部111の上後端部は、第2ハウジング13の上側部分133によって覆われているが、モード切替ダイヤル4のうち、円盤状の操作部41は、上側部分133に設けられた開口を介して、第2ハウジング13の外部に露出している。
【0041】
モード切替ダイヤル4には、回動軸R周りの周方向において、ハンマモードおよびハンマドリルモードに夫々対応する切替位置が設定されている。なお、詳細な図示は省略するが、上側部分133には、夫々の切替位置に対応するマークが印されている。使用者は、操作部41を回動させ、操作部41に付されたポインタを所望のモードに対応する切替位置(2つのマークのうち一方)に合わせることで、モードを選択することができる。なお、以下では、ハンマモードおよびハンマドリルモードに夫々対応する切替位置を、ハンマ位置およびハンマドリル位置という。
【0042】
図1に示すように、駆動機構収容部111内には、モード切替ダイヤル4に接続され、クラッチ39を係合状態と係合解除状態との間で切り替えるように構成されたクラッチ切替機構40が設けられている。モード切替ダイヤル4がハンマ位置に切り替えられた場合(つまり、ハンマモードが選択された場合)、クラッチ切替機構40は、クラッチ39を係合解除状態とする。一方、モード切替ダイヤル4がハンマドリル位置に切り替えられた場合(つまり、ハンマドリルモードが選択された場合)、クラッチ切替機構40は、クラッチ39を係合状態とする。なお、かかるクラッチ切替機構40の構成については、周知の技術であるため、ここでの詳細な説明および図示は省略する。
【0043】
以下、第2ハウジング13の内部構造について説明する。
【0044】
まず、上側部分133の内部構造について説明する。
図2に示すように、上側部分133の後部内には、ロック機構6が配置されている。ロック機構6は、モード切替ダイヤル4の切替位置(つまり、使用者によって選択されたモード)に応じて、トリガ14の移動を規制するように構成された機構である。ロック機構6については、後で詳述する。
【0045】
次に、把持部131の内部構造について説明する。
図2に示すように、把持部131は、上下方向に延在する筒状部として構成されている。把持部131の前部には、使用者による押圧操作(引き操作)が可能なトリガ14が設けられている。トリガ14は、左右方向に延在する回転軸を中心として、所定の回動範囲内で概ね前後方向に回動可能に構成されている。トリガ14は、常時、前方へ付勢されており、非押圧状態では、回動範囲における最前方位置(
図2に実線で示す位置)で保持されている。なお、トリガ14は、メインスイッチ145のプランジャ(および/または付勢バネ)によって付勢されている。トリガ14は、使用者の押圧操作に応じて、最後方位置(
図2に二点鎖線で示す位置)まで回動可能である。トリガ14の上端部には、上方に突出する係止突起141が設けられている。本実施形態では、2つの係止突起141が左右に離間して配置されている(
図4参照)。
【0046】
把持部131の内部には、メインスイッチ145が設けられている。メインスイッチ145は、トリガ14の操作に応じてオン状態とオフ状態との間で切り替えられる。具体的には、メインスイッチ145は、トリガ14が最前方位置に配置された非押圧状態では、オフ状態で維持される。一方、トリガ14が押圧操作され、回動範囲内の所定の作動位置に到達すると、メインスイッチ145はオン状態とされる。なお、図示は省略するが、本実施形態では、トリガ14の最後方位置は、この作動位置よりも若干後方に設定されている。メインスイッチ145は、トリガ14が回動範囲内で最前方位置と作動位置の間(作動位置を含まない)にあるときはオフ状態とされ、作動位置と最後方位置の間(作動位置を含む)にあるときはオン状態とされる。以下、メインスイッチ145をオフ状態とするトリガ14の位置を、オフ位置といい、メインスイッチ145をオン状態とするトリガ14の位置を、オン位置という。
【0047】
以下、下側部分137の内部構造について説明する。
図1に示すように、下側部分137は、上側が一部開口した矩形箱状に形成されており、モータ収容部117の下側に配置されている。
【0048】
下側部分137の内部には、コントローラ5が配置されている。詳細な図示は省略するが、コントローラ5は、制御回路と、制御回路が搭載された基板と、これらを収容するケースとを含む。なお、本実施形態では、制御回路は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータとして構成されている。コントローラ5(制御回路)は、図示しない電線によって、モータ2、メインスイッチ145、バッテリ装着部15等と電気的に接続されている。本実施形態では、コントローラ5(制御回路)は、トリガ14が押圧操作され、メインスイッチ145がオン状態となると、モータ2への通電(すなわち、先端工具18の駆動)を開始し、トリガ14の押圧操作が解除されて、メインスイッチ145がオフ状態となると、モータ2への通電を停止するように構成されている。
【0049】
また、上述の通り、下側部分137には、バッテリ装着部15が設けられている。本実施形態では、2つのバッテリ装着部15が、前後方向に並設されている。つまり、ハンマドリル101には、2つのバッテリ19を装着可能である。バッテリ装着部15は、バッテリ19にスライド係合可能な係合構造と、バッテリ19に電気的に接続可能な端子等を有する。このようなバッテリ装着部15の構成は周知であるため、詳細な図示および説明は省略する。
【0050】
以下、ロック機構6の詳細について説明する。
図2および
図3に示すように、本実施形態では、ロック機構6は、連動部材60と、ロック部材66とを含む。
【0051】
まず、連動部材60について説明する。連動部材60は、モード切替ダイヤル4の切り替え動作に連動して移動するように構成された部材である。
図2および
図3に示すように、連動部材60は、長尺部材として構成され、駆動軸A1と平行な方向(つまり前後方向)に延在するように配置されている。また、連動部材60は、前後方向に互いに相対移動可能に連結された第1部材61と、第2部材62とを備えている。
【0052】
第1部材61は、全体としては、前後方向に長い板状部材であって、上からみてT字状に形成されている。第1部材61は、第1ハウジング11(詳細には、駆動機構収容部111)の上側に配置され、モード切替ダイヤル4に対して相対移動可能に連結されている。より詳細には、第1部材61の前端部には、連結孔611が形成されている。連結孔611は、上下方向に第1部材61を貫通し、左右方向に長い長穴である。一方、モード切替ダイヤル4は、偏心シャフト45を有する。偏心シャフト45は、モード切替ダイヤル4の回動軸Rから離間した位置に設けられ、操作部41から下方に突出している。偏心シャフト45は、連結孔611に挿通されており、連結孔611内を摺動可能である。
【0053】
また、第1部材61の前後方向における略中央部には、ガイド孔613が形成されている。ガイド孔613は、上からみて、前後方向に長い矩形状の貫通孔である。一方、第1ハウジング11(詳細には、駆動機構収容部111)の後端部には、上方に突出するガイド突起112が設けられている。ガイド突起112は、ガイド孔613に挿通されており、連結孔611内を摺動可能である。
【0054】
第2部材62は、全体としては、前後方向に長い長尺部材として構成されている。第2部材62は、第1部材61に近接する方向に付勢された状態で、連結部材635によって、第1部材61に対して前後方向に移動可能に連結されている。より詳細には、第2部材62の前端部は、前方に開口する矩形箱状に形成されている。第2部材62の前端部以外の部分は、長尺の矩形薄板状に形成されている。第1部材61の後端部は、第2部材62の前端部内に配置されており、第2部材62の前端部内を前後方向に摺動可能である。
【0055】
第1部材61の後端部(第2部材62の前端部内に配置される部分)には、連結孔615が形成されている。連結孔615は、上からみて、前後方向に長い略矩形状の貫通孔である。連結孔615内には、付勢部材631と、スライダ633とが配置され、第2部材62の前端部の上壁と下壁の間で保持されている。本実施形態では、付勢部材631には、圧縮コイルバネが採用されている。スライダ633は、連結孔615内を前後方向に摺動可能に構成された直方体状の部材である。付勢部材631は、連結孔615内でスライダ633の後側に配置されている。付勢部材631の前端部は、スライダ633の後端部に当接し、他端部は、連結孔615の後端を規定する壁面に当接している。
【0056】
更に、第2部材62の前端部には、連結孔625(
図2参照)が形成されている。連結孔625は、上からみて矩形状の貫通孔である。連結孔625には、連結部材635が上下方向に延在するように挿通され、スライダ633に当接した状態で、第2部材62に保持されている。第2部材62は、後方への外力が付与されない初期状態では、付勢部材631の付勢力によって、スライダ633および連結部材635を介して前方に付勢され、第2部材62の前端が第1部材61に設けられたショルダ部(
図3参照)に後方から当接する位置で保持される。以下、このときの第1部材61に対する第2部材62の位置(第1部材61に最も近接する位置)を、初期位置という。
【0057】
第2部材62の後端部には、下方に突出する突起627が設けられている。なお、本実施形態では、2つの突起627が左右に離間して配置されている。突起627は、トリガ14の係止突起141に係合可能に構成されている。具体的には、突起627は、夫々、前または後ろからみた場合、少なくとも部分的に係止突起141に重なる位置に配置されている。詳細は後述するが、突起627は、ハンマドリルモードが選択されている場合にのみ、係止突起141の移動経路上に配置され、係止突起141に係合可能である。このため、第2部材62は、トリガ14によって後方へ押圧され、第1部材61に対して、初期位置よりも後方の所定位置まで移動されうる。
【0058】
また、
図3に示すように、第2部材62の後端部は、左右方向の幅が均一ではなく、より広い幅を有する部分と、より狭い幅を有する部分とを含む。本実施形態では、第2部材62の後端部の右端は、前後方向に直線状に延在する。一方、第2部材62の後端部の左端は、2つの凹部を有する。2つの凹部は、前後方向に離間配置され、右方に凹んでいる。以下、前側の凹部を第1凹部621、後側の凹部を第2凹部622という。また、前後方向において、第1凹部621と第2凹部622の間の部分を、凸部623という。第2部材62の後端部のうち、第1凹部621および第2凹部622が設けられた部分の左右方向の幅は、同一である。第2部材62の後端部のうち、第1凹部621および第2凹部622が設けられた部分以外の部分(凸部623を含む)は、より大きな均一の幅を有する。つまり、凸部623は、第1凹部621および第2凹部622が設けられた部分よりも左方に突出する部分であるともいえる。なお、第1凹部621の前後方向の長さは、第2凹部622よりも大きい。
【0059】
更に、
図2に示すように、第2ハウジング13の上側部分133の後端部内には、一対のガイドリブ134が設けられている。一対のガイドリブ134は、上側部分133の右側壁の内面から左方へ突出するリブであって、上下方向に離間配置され、互いに平行に、前後方向に延在している。ガイドリブ134の間の距離は、第2部材62の上下方向の厚みより僅かに大きい。
【0060】
以上のような構成を有する連動部材60は、モード切替ダイヤル4が回動軸R周りに回動されると、偏心シャフト45の回動による前後方向成分によって、前後方向に移動される。このとき、第1ハウジング11のガイド突起112は、連動部材60の左右方向の移動を規制しつつ、前後方向の移動を案内する。また、第2ハウジング13のガイドリブ134は、連動部材60の上下方向の移動を規制しつつ、前後方向の移動を案内する。
【0061】
以下、ロック部材66について説明する。ロック部材66は、トリガ14のオフ位置とオン位置との間の移動を規制または許容するように構成された部材である。
図2、
図3および
図4に示すように、本実施形態のロック部材66は、本体部661と、ピン663と、係止突起665と、バネ受け部667とを含む。
【0062】
本体部661は、左右方向に延在する棒状に形成されている。本体部661は、前後方向に本体部661を貫通する通路662を有する。通路662の上下方向の高さは、連動部材60の第2部材62の後端部(係止突起665が設けられていない部分)の上下方向の厚みと概ね同一である。また、通路662の左右方向の幅は均一であって、第2部材62の後端部の左右方向の最大幅よりも大きい。第2部材62の後端部は、常に、部分的に通路662内に配置されており、通路662内で前後方向に移動可能である。
【0063】
ピン663は、通路662を上下方向に横切るように、本体部661に固定されている。より詳細には、ピン663は、通路662の左端部に配置されている。ピン663の径は、連動部材60の第1凹部621および第2凹部622の深さよりも小さく設定されている。
【0064】
係止突起665は、本体部661の下端から下方に突出している。本実施形態では、2つの係止突起665が左右に離間して配置されている。係止突起665は、ロック部材66が後述のロック位置(
図6参照)に配置されたときに、トリガ14の係止突起141に係合可能に構成されている。具体的には、係止突起665は、夫々、ロック部材66が後述のロック位置に配置された状態で前または後ろからみた場合、少なくとも部分的に係止突起141に重なる位置に配置されている。左右方向における2つの係止突起665の間の距離は、係止突起141の左右方向の幅よりも大きく、係止突起141は係止突起665の間を前後方向に通過可能である。また、左右方向における2つの係止突起141の間の距離は、係止突起665の左右方向の幅よりも大きく、係止突起665は係止突起141の間を前後方向に通過可能である。
【0065】
バネ受け部667は、本体部661の上中央部から上方に突出する矩形状の突出片である。第2ハウジング13の上側部分133の後端部内には、バネ受け部667に前側から対向する位置に、板バネ135が支持されている。板バネ135の中央部は、後方に突出する凸部である。詳細な図示は省略するが、バネ受け部667の前面側には、2つの凹部が設けられている。板バネ135は、凸部を介して2つの凹部の何れか一方にスナップ係合するように構成されている。
【0066】
以上のように構成されたロック部材66は、
図4に示すように、上側部分133の後端部内で、連動部材60およびトリガ14の移動方向(つまり、前後方向)に交差する方向(具体的には、左右方向)に移動可能に配置されている。より詳細には、ガイドリブ134(
図2参照)の後側において、上側部分133の左側壁および右側壁には、夫々、貫通孔が形成されている。ロック部材66は、本体部661の左端部および右端部が貫通孔から外部に突出し、左右方向に摺動可能な状態で、上側部分133に保持されている。
【0067】
ロック部材66は、使用者による外部操作(詳細には、押圧操作)に応じて、アンロック位置と、ロック位置との間で移動可能である。
【0068】
アンロック位置は、ロック部材66がトリガ14の最前方位置と最後方位置との間の移動を許容する位置である。
図3および
図4に示すように、アンロック位置は、ロック部材66がトリガ14に当接不能な位置であって、ロック部材66の係止突起665が、トリガ14の係止突起141の移動経路から外れる位置に設定されている。本実施形態では、ロック部材66がアンロック位置に配置されているときには、係止突起665は、係止突起141の移動経路から左方に外れ、ロック部材66の左端部が、上側部分133の左側壁の貫通孔から外部に突出する。このとき、板バネ135の凸部がバネ受け部667の2つの凹部のうち右側の一方に係合し、ロック部材66の左右方向の摺動を規制する。よって、ロック部材66は、板バネ135によってアンロック位置で保持される。
【0069】
ロック部材66がアンロック位置に配置されているときには、使用者がトリガ14を押圧操作すると、係止突起665が係止突起141に干渉することなく、トリガ14は、最前方位置(オフ位置)(
図2に実線で示す位置)から、最後方位置(オン位置)(
図2に二点鎖線で示す位置)へ移動することができる。また、使用者がトリガ14の押圧を解除すると、係止突起665が係止突起141に干渉することなく、トリガ14は、前方へ付勢され、最前方位置へ戻る。
【0070】
ロック位置は、ロック部材66がトリガ14の最前方位置と最後方位置との間の移動を規制する位置である。
図5および
図6に示すように、ロック位置は、ロック部材66がトリガ14に当接可能な位置であって、ロック部材66の係止突起665が、トリガ14の係止突起141の移動経路上に配置される位置に設定されている。なお、
図5において、符号141Aおよび141Bは、夫々、トリガ14が最前方位置および最後方位置にあるときの係止突起141の位置を示す。本実施形態では、ロック部材66がロック位置に配置されているときには、ロック部材66の右端部が、上側部分133の右側壁の貫通孔から外部に突出する。このとき、板バネ135の凸部がバネ受け部667の2つの凹部のうち左側の一方に係合するため、ロック部材66は、板バネ135によってロック位置で保持される。
【0071】
図2に実線で示すように、トリガ14が最前方位置(オフ位置)に配置された状態でロック部材66がロック位置に配置されると、係止突起665は、係止突起141のすぐ後側に配置される(
図5の符号141A参照)。また、
図5および
図6に示すように、左右方向に関しては、係止突起665は、係止突起141と概ね同じ位置に配置される。よって、使用者がトリガ14を押圧操作しても、係止突起665が係止突起141に後方から当接し、トリガ14がそれ以上後方へ移動して、作動位置へ到達することを妨げる。つまり、ロック部材66は、ロック位置において、トリガ14をオフ位置でロックする。
【0072】
一方、
図2に二点鎖線で示すように、トリガ14が最後方位置(オン位置)に配置された状態でロック部材66がロック位置に配置されると、係止突起665は、係止突起141のすぐ前側に配置される(
図5の符号141B参照)。また、左右方向に関しては、係止突起665は、係止突起141と概ね同じ位置に配置される。よって、使用者がトリガ14の押圧を解除し、トリガ14が前方へ付勢されて若干移動しても、係止突起665が係止突起141に前方から当接し、トリガ14が作動位置へ到達することを妨げる。つまり、ロック部材66は、ロック位置において、トリガ14をオン位置でロックする。
【0073】
本実施形態では、ロック部材66は、使用者による押圧操作によって、アンロック位置とロック位置の間で移動しうる。但し、ロック部材66がアンロック位置とロック位置の間で移動可能か否かは、モード切替ダイヤル4の切替位置(つまり、選択されたモード)およびトリガ14の位置に依存する。
【0074】
以下に、モード切替ダイヤル4の切替位置の夫々に対応するロック機構6の配置、およびトリガ14の操作に伴うロック機構6の動作について、詳細に説明する。
【0075】
まず、モード切替ダイヤル4がハンマ位置に配置されている場合(ハンマモードが選択されている場合)について説明する。
【0076】
モード切替ダイヤル4がハンマ位置に配置されているときには、
図3に示すように、偏心シャフト45は、回動軸Rを中心とする回動経路上で最後方位置に配置されている。よって、
図2および
図3に示すように、偏心シャフト45に連結された連動部材60の第1部材61も、その移動範囲内において最後方位置(以下、ハンマ位置という)に配置されている。第2部材62は、付勢部材631の付勢力によって、初期位置に配置されている。このとき、第2部材62の突起627は、トリガ14の係止突起141の最後方位置(
図5の符号141B参照)よりも後側にある。つまり、突起627は、前後方向において、係止突起141の移動経路から外れた位置にある。よって、ハンマモードが選択されている場合、第2部材62は、トリガ14が押圧操作されるか否かにかかわらず、初期位置で保持される。
【0077】
第1部材61および第2部材62が、夫々、ハンマ位置および初期位置に配置され、且つ、ロック部材66がアンロック位置に配置されているときには、ロック部材66の通路662の右端を規定する面は、ごく僅かな隙間をあけて、連動部材60の後端部(第2部材62の後端部)の右端面に対向する。ロック部材66の通路662の左端を規定する面は、連動部材60(第2部材62)の後端部の左端面(凸部623の突出端面)から左方に離間した位置にある。ロック部材66のピン663は、第2部材62の第1凹部621の左側(第1凹部621の外側)に配置される。
【0078】
トリガ14が最前方位置(オフ位置)に配置された状態で、使用者がロック部材66を左方から右方へ押圧して移動させると、
図5に示すように、ピン663は連動部材60に干渉することなく第1凹部621内に進入する。使用者は、ロック部材66をロック位置まで移動させることができる。ロック部材66がロック位置に配置されると、トリガ14がオフ位置でロックされる(
図5の符号141A参照)。
【0079】
同様に、使用者は、トリガ14を押圧操作し、オン位置まで移動させた後、ロック部材66をロック位置まで移動させることができる。ロック部材66がロック位置に配置されると、トリガ14がオン位置でロックされる(
図5の符号141B参照)。この場合、使用者がトリガ14の押圧操作を解除しても、メインスイッチ145がオン状態のまま維持される。よって、コントローラ5は、モータ2を連続的に駆動し、駆動機構3に連続的にハンマ動作を遂行させる。一方、ロック部材66がアンロック位置に配置された状態で、使用者がトリガ14を押圧操作した場合には、コントローラ5は、押圧操作の継続中に限ってモータ2を駆動し、駆動機構3にハンマ動作を遂行させる。
【0080】
なお、ロック部材66がロック位置に配置されると、ピン663は、ごく僅かな隙間をあけて第1凹部621の底を規定する面に対向する。ピン663は、第1凹部621の後部内に配置され、ピン663の前方には、第1凹部621の前端を規定する面との間に隙間が存在する。また、ロック部材66の通路662の左端を規定する面は、ごく僅かな隙間をあけて連動部材60(第2部材62)の後端部の左端面(凸部623の突出端面)に対向する。
【0081】
ハンマ動作が行われると、第1ハウジング11には、駆動軸A1の延在方向(つまり、前後方向)において、最も大きく且つ支配的な振動が生じる。上述のように、本実施形態では、連動部材60は、第1ハウジング11に支持されたモード切替ダイヤル4に連結されている。一方で、ロック部材66は、第1ハウジング11に対して弾性連結された第2ハウジング13に保持されている。よって、第1ハウジング11が振動すると、連動部材60も同様に振動する一方、第2ハウジング13は、第1ハウジング11と同期して振動しない。なお、初期状態では、第2ハウジング13は、弾性部材171および175によって、第1ハウジング11に対して最後方位置にあり、振動に伴って、最後方位置と、より前方の位置との間で移動する。
【0082】
本実施形態では、連動部材60は、ロック部材66の通路662内を前後方向に移動可能である。また、ロック部材66がアンロック位置に配置されている場合には、上述のように、ピン663は第1凹部621の外側に配置される(
図3参照)。よって、ハンマ動作中に連動部材60に振動が生じても、連動部材60とロック部材66とは、互いに干渉することなく前後方向に相対移動可能である。一方、ロック部材66がロック位置に配置されている場合には、上述のように、ピン663は、連動部材60の第1凹部621内に配置される(
図5参照)。ハンマ動作中に連動部材60に振動が生じても、ピン663と第1凹部621の前端を規定する面との間の隙間が、連動部材60とピン663との干渉を防止するため、連動部材60とロック部材66とは、前後方向に相対移動可能である。このような構成により、ハンマ動作中の第1ハウジング11と第2ハウジング13の円滑な相対移動が確保される。
【0083】
このように、モード切替ダイヤル4がハンマ位置に配置されると(つまり、ハンマモードが選択されると)、第1部材61および第2部材62が、夫々、ハンマ位置および初期位置に配置される。連動部材60は、トリガ14がオフ位置およびオン位置の何れに配置されている場合でも、ロック部材66がロック位置とアンロック位置との間で移動することを許容する。つまり、ハンマモードでは、ロック機構6は、トリガ14をオフ位置でもオン位置でもロックすることができる。
【0084】
次に、モード切替ダイヤル4がハンマドリル位置に配置されている場合(ハンマドリルモードが選択されている場合)について説明する。
【0085】
ロック部材66がアンロック位置に配置され、且つ、トリガ14が最前方位置(オフ位置)に配置された状態で、モード切替ダイヤル4がハンマ位置からハンマドリル位置に切り替えられると、
図7および
図8に示すように、偏心シャフト45の移動に伴って、連動部材60は前方へ移動する。モード切替ダイヤル4がハンマドリル位置に配置されると、連動部材60の第1部材61は、これに対応して、最後方位置よりも前方の所定位置(以下、ハンマドリル位置という)に配置される。第2部材62は、付勢部材631の付勢力によって、第1部材61に対して初期位置に配置される。このときの第2部材62の突起627の位置は、前後方向において、トリガ14が最後方位置に配置されたときの係止突起141の位置(
図5の符号141B参照)と概ね同じである。つまり、突起627は、係止突起141の後側で、係止突起141の移動経路上に配置される。
【0086】
第1部材61および第2部材62が、夫々、ハンマドリル位置および初期位置に配置され、且つ、ロック部材66がアンロック位置に配置されているときには、ロック部材66の通路662の右端を規定する面は、ごく僅かな隙間をあけて連動部材60の後端部(第2部材62の後端部)の右端面に対向する。また、ロック部材66のピン663は、第2凹部622の左側(第2凹部622の外側)に配置される。
【0087】
トリガ14が最前方位置(オフ位置)に配置された状態で、使用者がロック部材66を左方から右方へ押圧して移動させると、
図9に示すように、ピン663は、連動部材60に干渉することなく第2凹部622内に進入する。使用者は、ロック部材66をロック位置まで移動させることができる。ロック部材66がロック位置に配置されると、トリガ14がオフ位置でロックされる。
【0088】
なお、ロック部材66がロック位置に配置されると、ピン663は、ごく僅かな隙間をあけて第2凹部622の底を規定する面に対向する。ピン663は、第2凹部622の後部内に配置される。また、ロック部材66の通路662の右端を規定する面は、ごく僅かな隙間をあけて連動部材60(第2部材62)の後端部の左端面(凸部623の突出端面および第2凹部622の後側の部分の左端面)に対向する。
【0089】
一方、ロック部材66がアンロック位置に配置された状態で、使用者がトリガ14を押圧操作すると、トリガ14が作動位置へ到達する前に、トリガ14の係止突起141が、第2部材62の突起627に前方から係合(当接)する。
図10および
図11に示すように、係止突起141が突起627と係合(当接)した状態で、使用者がトリガ14をオン位置まで移動させると、第2部材62は、ハンマドリル位置にある第1部材61に対し、付勢部材631の付勢力に抗して、第1部材61から離れる方向に(初期位置から後方へ)移動する。このように、本実施形態では、トリガ14の係止突起141は、ロック部材66の係止突起665との係合によるトリガ14のオフ位置でのロックおよびオン位置でのロックのみならず、第2部材62の移動にも有効に活用されている。なお、以下、トリガ14がオン位置に配置されているときの第2部材62の位置を、移動後位置という。
【0090】
第1部材61および第2部材62が、夫々、ハンマドリル位置および移動後位置に配置され、且つ、ロック部材66がアンロック位置に配置されているときには、ロック部材66の通路662の右端を規定する面は、ごく僅かな隙間をあけて連動部材60の後端部(第2部材62の後端部)の右端面に対向する。また、ロック部材66のピン663は、ごく僅かな隙間をあけて凸部623の突出端面(連動部材60の左端面)に対向する。凸部623は、ロック部材66がアンロック位置からロック位置へ移動するときのピン663の移動経路上に配置される。よって、使用者が、ロック部材66をロック位置に向けて右方へ移動させようとしても、凸部623がピン663に干渉し(当接し)、ロック部材66がそれ以上右方へ移動することを禁止する。
【0091】
このように、モード切替ダイヤル4がハンマドリル位置に配置されると(つまり、ハンマドリルモードが選択されると)、第1部材61は、ハンマドリル位置に配置される。この場合、トリガ14がオフ位置に配置されている状態では、第2部材62が初期位置に配置され、ロック部材66がロック位置とアンロック位置との間で移動することを許容する。また、トリガ14がオフ位置からオン位置へ移動されるのに伴って、第2部材62は、トリガ14に係合して第1部材61に対して後方へ移動され、移動後位置に配置される。第2部材62は、移動後位置に配置されると、ロック部材66がアンロック位置からロック位置へ移動することを禁止する。つまり、ハンマドリルモードでは、ロック機構6は、トリガ14をオフ位置でロックすることはできるが、オン位置でロックすることはできない。よって、コントローラ5は、使用者がトリガ14の押圧操作を継続する間に限り、駆動機構3がハンマ動作およびドリル動作を遂行する。
【0092】
以上に説明したように、本実施形態のハンマドリル101では、ハンマモードが選択された場合には、トリガ14のオフ位置でのロックが許容され、且つ、トリガ14がオン位置でロックされた状態でのモータ2の駆動が許容される。一方、ハンマドリルモードでは、トリガ14のオフ位置でのロックは許容されるが、トリガ14がオン位置でロックされた状態でのモータ2の駆動は禁止される。
【0093】
よって、ハンマモードおよびハンマドリルモードの何れにおいても、ロック機構6によってトリガ14をオフ位置でロックすることで、意図しないときに先端工具18が駆動されるのを確実に防止することができる。また、ハンマ動作のみが行われるハンマモードでは、ロック機構6によってトリガ14をオン位置でロックすることで、モータ2を連続的に駆動させ、使用者がトリガ14の押圧操作を継続する煩わしさを解消することができる。一方、ハンマ動作と同時にドリル動作も行われるハンマドリルモードでは、先端工具18がロックした状態で回転し続ける可能性を低減することができる。特に、本実施形態では、ハンマドリルモードでは、ロック部材66によるトリガ14のオン位置での物理的なロックを連動部材60が阻害することで、モータ2の連続的な駆動を確実に禁止することができる。このように、本実施形態によれば、利便性に優れたハンマドリル101が提供される。
【0094】
また、本実施形態では、単一のロック部材66が、使用者による外部操作に応じて、アンロック位置とロック位置との間で移動し、トリガ14をオフ位置でもオン位置でもロック可能である。これにより、コンパクトでシンプルな構成のロック機構6が実現されている。
【0095】
また、ロック機構6は、モード切替ダイヤル4の切り替え動作に連動して前後方向に移動するように構成された連動部材60を含む。そして、連動部材60は、モード切替ダイヤル4に連結された第1部材61と、第1部材61に対して前後方向に相対移動可能に連結された第2部材62とを備える。更に、第2部材62は、ハンマドリルモードが選択され、トリガ14がオン位置に移動された場合に限り、第1部材61に対して移動し、ロック部材66のロック位置への移動を禁止する。よって、使用者が所望のモードに応じてモード切替ダイヤル4の切替操作およびトリガ14の押圧操作をするだけで、連動部材60が移動し、ロック部材66の移動を適切に許容または禁止することができる。
【0096】
特に、本実施形態では、ロック部材66は、第2部材62の移動方向に交差する方向に移動可能である。一方、第2部材62は、トリガ14によって移動されるのに伴って、ロック部材66のピン663に対する凸部623の位置が変わるように構成されている。そして、凸部623がロック部材66のピン663の移動経路上に配置されるか、移動経路から外れるかによって、ロック部材66のロック位置への移動を禁止するか許容するかが決まる。このように、移動に伴ってロック部材66の移動を適宜規制することが可能な第2部材62が、凸部623を設けるというシンプルな構成で実現されている。
【0097】
[第2実施形態]
以下、
図12~
図17を参照して、第2実施形態に係るハンマドリル102について説明する。ハンマドリル102は、第1実施形態のハンマドリル101(
図1参照)とは異なる構成のロック機構7を備え、更に、ロック機構7の状態を検出するための検出機構8を備える。ロック機構7と、検出機構8とは、上側部分133の後部内に配置されている。一方、ロック機構7および検出機構8以外の構成については、若干異なる形状を有するものの、実質的には同一である。よって、以下の説明および参照する図面では、第1実施形態と実質的に同一の構成については、同一の符号を付してその説明を簡略化または省略する。
【0098】
以下、ロック機構7の詳細について説明する。
図12および
図13に示すように、ロック機構7は、連動部材70と、ロック部材76とを含む。
【0099】
まず、連動部材70について説明する。本実施形態の連動部材70は、第1実施形態の連動部材60(
図2参照)と同様、モード切替ダイヤル4の切り替え動作に連動して移動するように構成された長尺部材であって、駆動軸A1(
図1参照)と平行な方向(つまり前後方向)に延在するように配置されている。また、連動部材70は、第1実施形態とは異なり、単一の部材として構成されている。
【0100】
連動部材70は、全体としては、前後方向に長い板状部材であって、上からみてT字状に形成されている。連動部材70は、第1ハウジング11(詳細には、駆動機構収容部111)の上側に配置され、モード切替ダイヤル4に対して相対移動可能に連結されている。より詳細には、連動部材70の前端部には、連結孔701が形成されている。連結孔701は、上下方向に連動部材70を貫通し、左右方向に長い長穴である。モード切替ダイヤル4の偏心シャフト45は、連結孔701に挿通されており、連結孔701内を摺動可能である。連動部材70の前端部よりも後側の部分は、直線状に前後方向に延在する。連動部材70の後端部は、左右方向において均一の幅を有する。
【0101】
本実施形態では、連動部材70は、所定の移動範囲内で、駆動軸A1と平行な方向(つまり、前後方向)に移動可能に配置されている。このために、第2ハウジング13の上側部分133の後端部内には、ガイド壁136が設けられている。ガイド壁136は、前後方向に延びる通路を規定している。連動部材70は、連動部材70の右側面が常にガイド壁136に摺動可能な状態で、通路内に配置される。モード切替ダイヤル4が回動されると、偏心シャフト45の回動による前後方向成分により、連動部材70は、ガイド壁136に対して摺動しつつ前後方向に移動される。
【0102】
次に、ロック部材76について説明する。本実施形態のロック部材76は、第1実施形態のロック部材66と同様、トリガ14のオフ位置とオン位置との間の移動を規制または許容するように構成された部材である。
図12~
図14に示すように、ロック部材76は、本体部761と、係止突起765と、押圧突起767とを含む。
【0103】
本体部761は、左右方向に延在する棒状に形成されている。本体部761は、前後方向に本体部761を貫通する通路762を有する。通路762の上下方向の高さは、連動部材70の後端部の上下方向の厚みと概ね同一である。また、通路762の左右方向の幅は、連動部材70の後端部の左右方向の幅よりも大きい。連動部材70の後端部は、常に、部分的に通路762内に配置されており、通路762内で前後方向に移動可能である。本体部761の上端部の中央部には、2つの凹部が左右に並んで設けられている。第2ハウジング13の上側部分133の後端部内には、本体部761に上側から対向する位置に、板バネ135が支持されている。板バネ135は、中央部の凸部が下方を向くように配置されている。板バネ135は、凸部を介して2つの凹部の何れか一方にスナップ係合する。
【0104】
係止突起765は、本体部761の下端から下方に突出している。係止突起765は、ロック部材76がロック位置に配置されたときに、トリガ14の係止突起141に係合可能に構成されている。係止突起765の構成は、第1実施形態の係止突起665と実質的に同一である。
【0105】
押圧突起767は、上述の凹部の後ろ側で、本体部761の上面から上方に突出している。詳細は後述するが、押圧突起767は、ロック部材76の位置に応じて、第2スイッチ82のオン状態とオフ状態とを切り替えるように構成されている。
【0106】
以上のように構成されたロック部材76は、第1実施形態のロック部材66と同様、上側部分133の後端部内で、使用者による外部操作(詳細には、押圧操作)に応じて、
図14に示すアンロック位置と、
図15に示すロック位置との間で左右方向に移動可能に保持されている。ロック部材76がアンロック位置に配置されているときには、トリガ14は、最前方位置(オフ位置)と最後方位置(オン位置)との間で移動することができる。一方、ロック部材76がロック位置に配置されているときには、ロック部材76がトリガ14の最前方位置と最後方位置との間の移動を規制する。よって、ロック部材76は、ロック位置において、トリガ14をオフ位置またはオン位置でロックすることができる。
【0107】
以下、検出機構8について説明する。
図12および
図16に示すように、検出機構8は、第1スイッチ81と、第2スイッチ82とを含む。第1スイッチ81および第2スイッチ82は、何れも機械式スイッチ(詳細には、周知の構成を有するマイクロスイッチ)である。第1スイッチ81および第2スイッチ82は、メインスイッチ145と共に、電線によって、コントローラ5(
図1参照)に電気的に接続されている。
【0108】
第1スイッチ81は、連動部材70の位置に応じて、オン状態とオフ状態の間で切り替えられる。つまり、第1スイッチ81は、連動部材70の位置を検出可能に構成されている。第1スイッチ81は、ロック部材76の後側、且つ、連動部材70の下側で、接点を開閉するための可動片811が上側に位置するように配置されている。
図12に実線で示すように、第1スイッチ81は、連動部材70が最後方位置に配置されると、連動部材70の後端部によって可動片811が押圧される位置に配置されている。
【0109】
第2スイッチ82は、ロック部材76の位置に応じて、オン状態とオフ状態の間で切り替えられる。つまり、第2スイッチ82は、ロック部材76の位置を検出可能に構成されている。第2スイッチ82は、連動部材70の上側、且つ、ロック部材76の後側において、接点を開閉するための可動片821が前側に位置するように配置されている。
図16に二点鎖線で示すように、第2スイッチ82は、ロック部材76がロック位置に配置されると、ロック部材76の押圧突起767によって可動片821が押圧される位置に配置されている。また、第2スイッチ82は、第1スイッチ81がオン状態にある場合には作動せず、第1スイッチ81がオフ状態にある場合にのみ作動するように構成されている。
【0110】
本実施形態では、ロック部材76は、使用者による押圧操作によって、アンロック位置とロック位置の間で移動しうる。但し、第1実施形態とは異なり、ロック部材66がアンロック位置とロック位置の間で移動可能か否かは、モード切替ダイヤル4の切替位置(つまり、選択されたモード)およびトリガ14の位置には依存しない。つまり、ロック部材76は常にアンロック位置とロック位置の間で移動可能である。また、第1実施形態とは異なり、コントローラ5(制御回路)は、トリガ14のメインスイッチ145のオン/オフ状態のみならず、第1スイッチ81および第2スイッチ82のオン/オフ状態に基づいて、モータ2の駆動を制御するように構成されている。
【0111】
以下に、モード切替ダイヤル4の切替位置の夫々に対応するロック機構6の配置、検出機構8の動作、およびモータ2の駆動態様について、詳細に説明する。
【0112】
まず、モード切替ダイヤル4がハンマ位置に配置されている場合(ハンマモードが選択されている場合)について説明する。
【0113】
図12および
図13に示すように、モード切替ダイヤル4がハンマ位置に配置されているときには、偏心シャフト45は、回動軸Rを中心とする回動経路上で最後方位置に配置されている。このとき、連動部材70も最後方位置(以下、ハンマ位置という)に配置される。連動部材70は通路762に挿通され、連動部材70の後端部は、ロック部材76の後ろ側に突出している。ロック部材76がアンロック位置(
図13に実線で示す位置)に配置されているときには、ロック部材76の通路762の左端を規定する面は、連動部材70の後端部の左端面から左方に離間した位置にある。連動部材70は、ロック部材76に干渉することなく、ロック部材76がロック位置(
図13に二点鎖線で示す位置)に移動することを許容する。つまり、ハンマモードでは、ロック機構7は、トリガ14をオフ位置でもオン位置でもロックすることができる。
【0114】
また、連動部材70がハンマ位置に配置されているときには、上述のように、連動部材70の後端部が第1スイッチ81の可動片811を押圧する。第1スイッチ81は、オン状態となる。よって、第2スイッチ82は作動しない。
【0115】
本実施形態では、コントローラ5は、第1スイッチ81がオン状態であり、且つ、第2スイッチ82が非作動状態の場合には、メインスイッチ145がオン状態の間、モータ2を駆動するように構成されている。よって、トリガ14がオン位置でロックされた場合には、使用者がトリガ14の押圧操作を解除しても、コントローラ5はモータ2を連続的に駆動し、駆動機構3に連続的にハンマ動作を遂行させる。一方、ロック部材76がアンロック位置に配置されている場合には、コントローラ5は、使用者による押圧操作の継続中に限ってモータ2を駆動し、駆動機構3にハンマ動作を遂行させる。
【0116】
次に、モード切替ダイヤル4がハンマドリル位置に配置されている場合(ハンマドリルモードが選択されている場合)について説明する。
【0117】
ロック部材76がアンロック位置に配置され、且つ、トリガ14が最前方位置(オフ位置)に配置された状態で、モード切替ダイヤル4がハンマ位置からハンマドリル位置に切り替えられると、偏心シャフト45の移動に伴って、連動部材70は前方へ移動する。モード切替ダイヤル4がハンマドリル位置に配置されると、
図16および
図17に示すように、連動部材70は、これに対応して、移動可能範囲における最前方位置(以下、ハンマドリル位置という)に配置される。このとき、連動部材70の後端部は通路762の前端部内に配置される。ハンマ位置にある場合と同様、連動部材70は、ロック部材76に干渉することなく、ロック部材76がロック位置(二点鎖線で示す位置)に移動することを許容する。つまり、本実施形態では、ロック機構7は、ハンマドリルモードにおいても、トリガ14をオフ位置でもオン位置でもロックすることができる。
【0118】
また、連動部材70がハンマドリル位置に配置されると、連動部材70が第1スイッチ81の可動片811から離間する。よって、ハンマドリルモードでは、第1スイッチ81は常にオフ状態であり、第2スイッチ82は作動状態である。
図16に示すように、ロック部材76がアンロック位置(実線で示す位置)にあるときには、押圧突起767は、第2スイッチ82の可動片821を押圧しないため、第2スイッチ82はオフ状態である。一方、ロック部材76がロック位置(二点鎖線で示す位置)にあるときには、押圧突起767が第2スイッチ82の可動片821を押圧するため、第2スイッチ82はオン状態である。
【0119】
本実施形態では、コントローラ5は、第1スイッチ81がオフ状態にある場合には、第2スイッチ82のオン/オフ状態およびメインスイッチ145のオン/オフ状態に基づいて、モータ2を駆動するように構成されている。より詳細には、コントローラ5は、第1スイッチ81および第2スイッチ82が何れもオフ状態の場合、トリガ14のメインスイッチ145がオン状態にされるのに応じて、モータ2の駆動を開始する。また、コントローラ5は、第1スイッチ81がオフ状態、且つ、メインスイッチ145がオン状態で、第2スイッチ82がオン状態に切り替えられた場合(つまり、ロック部材76がロック位置に移動された場合)には、モータ2の駆動を停止する。つまり、コントローラ5は、ハンマドリルモードでは、ハンマモードとは異なり、トリガ14がオン位置でロックされた状態でのモータ2の連続的な駆動を禁止する。
【0120】
また、ハンマモードにおいて、トリガ14がオン位置でロックされ、モータ2が連続的に駆動されているときに、モード切替ダイヤル4がハンマドリル位置に切り替えられると、連動部材70の移動に応じて、第1スイッチ81がオン状態からオフ状態に切り替わる。これに伴い、第2スイッチ82は作動状態となり、コントローラ5は、第2スイッチ82がオン状態であると認識する。この場合、第1スイッチ81がオフ状態、且つ、メインスイッチ145がオン状態で、第2スイッチ82がオン状態となるため、コントローラ5は、モータ2の駆動を停止する。このように、ハンマモードからハンマドリルモードへの移行時にも、トリガ14がオン位置でロックされた状態でのモータ2の連続的な駆動が禁止される。
【0121】
更に、ハンマドリルモードにおいて、トリガ14がオン位置でロックされ、モータ2の駆動が停止されているときに、モード切替ダイヤル4がハンマ位置に切り替えられると、メインスイッチ145がオン状態のまま、第1スイッチ81がオフ状態からオン状態に切り替わり、第2スイッチ82は作動状態から非作動状態に切り替わる。この場合、コントローラ5は、メインスイッチ145がオフ状態とされるまで待機する。つまり、コントローラ5は、トリガ14がオン位置でロックされた状態で、モードがハンマモードに切り替えられても、使用者がトリガ14のロックを解除してオフ位置に戻さない限り、モータ2を駆動しない。メインスイッチ145がオフ状態とされた後のコントローラ5の動作は、上述したハンマモード選択時の動作の通りである。このように、ハンマドリルモードからハンマモードへの移行時には、トリガ14のオフ位置へのリセット操作が求められる。
【0122】
以上に説明したように、本実施形態のハンマドリル102でも、ハンマモードが選択された場合には、トリガ14のオフ位置でのロックが許容され、且つ、トリガ14がオン位置でロックされた状態でのモータ2の駆動が許容される。一方、ハンマドリルモードでは、トリガ14のオフ位置でのロックは許容されるが、トリガ14がオン位置でロックされた状態でのモータ2の駆動は禁止される。よって、第1実施形態と同様、利便性に優れたハンマドリル102が提供される。
【0123】
本実施形態では、連動部材70およびロック部材76の位置に応じて、オン/オフ状態が夫々切り替えられる第1スイッチ81および第2スイッチ82が設けられている。よって、コントローラ5は、メインスイッチ145の状態と、第1スイッチ81および第2スイッチ82の状態に基づいて、モータ2の駆動を適切に制御することができる。
【0124】
本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。但し、実施形態の各構成要素は単なる一例であって、本発明の各構成要素を限定するものではない。ハンマドリル101および102の各々は、「ハンマドリル」の一例である。先端工具18は、「先端工具」の一例である。駆動軸A1は、「駆動軸」の一例である。ハンマモードは、「ハンマモード」の一例である。ハンマドリルモードは、「ドリルモード」の一例である。モータ2は、「モータ」の一例である。トリガ14は「操作部材」の一例である。メインスイッチ145は、「メインスイッチ」の一例である。モード切替ダイヤル4は、「モード切替部材」の一例である。ロック機構6および7の各々は、「ロック機構」の一例である。
【0125】
ロック部材66および76の各々は、「第1ロック部材」の一例であり、「第2ロック部材」の一例であり、且つ、「ロック部材」の一例である。連動部材60および70の各々は、「連動部材」の一例である。第1部材61および第2部材62は、夫々、「第1部材」および「第2部材」の一例である。付勢部材631は、「付勢部材」の一例である。凸部623は、「凸部」の一例である。ピン663は、「当接部」の一例である。係止突起141は、「第1突起」の一例である。突起627は、「第2突起」の一例である。係止突起665および765の各々は、「第3突起」の一例である。駆動機構3、第1ハウジング11、第2ハウジング13、把持部131は、夫々、「駆動機構」、「第1ハウジング」、「第2ハウジング」、「把持部」の一例である。コントローラ5(詳細には、制御回路)は、「制御装置」の一例である。第1スイッチ81および第2スイッチ82は、夫々、「第1スイッチ」および「第2スイッチ」の一例である。
【0126】
上記実施形態は単なる例示であり、本発明に係る作業工具は、例示されたハンマドリル101、102の構成に限定されるものではない。例えば、下記に例示される変更を加えることができる。なお、これらの変更は、これらのうちいずれか1つのみ、あるいは複数が、実施形態に示すハンマドリル101、102、あるいは各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
【0127】
ハンマドリル101、102において選択可能な複数のモードは、ハンマモードおよびハンマドリルモードに限られるものではない。ハンマ動作のみが行われるハンマモードと、ハンマ動作およびドリル動作が行われるハンマドリルモードと、ドリル動作のみが行われるドリルのみモードとが選択可能であってもよい。なお、ドリルのみモードが選択された場合のロック機構6、7の動作、およびコントローラ5によるモータ2の駆動態様は、ハンマドリルモードが選択された場合と同じでよい。また、ハンマモードとドリルのみモードの2つの駆動モードのうち何れか一方が選択可能とされてもよい。更に、ハンマ動作もドリル動作も行わないモード(例えば、一律でモータ2の駆動を禁止するモード)が設けられていてもよい。また、モード選択には、回動によって複数の切替位置の間で切り替えられるモード切替ダイヤル4に代えて、所定方向に直線状に移動されるモード切替レバーが採用されてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、充電式のバッテリ19が電源として採用されているが、ハンマドリル101、102は、電源コードを介して外部の商用電源に接続可能であってもよい。バッテリ19が電源とされる場合、バッテリ装着部15の数(装着可能なバッテリ19の数)は、1つでも、3つ以上であってもよい。また、モータ2の動力で先端工具18を駆動する駆動機構3の構成も、適宜変更が可能である。例えば、運動変換機構30として、例示されたクランク機構に代えて、揺動部材を用いてモータ2の回転運動を直線運動に変換する運動変換機構が採用されてもよい。
【0129】
ハウジング10の構成は、上記実施形態に例示された構成に限られるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、第1ハウジング11および第2ハウジング13の形状、第1ハウジング11と第2ハウジング13との間に介在する弾性要素(弾性部材171、弾性部材175)の構成、数、配置位置等は、適宜変更されてもよい。なお、ハウジング10は、防振ハウジング構造を有することが好ましいが、防振ハウジング構造は必須ではない。
【0130】
ロック機構6、7の構成や配置位置についても、適宜変更が可能である。例えば、連動部材60、70は、モード切替ダイヤル4の切り替え動作に連動して移動可能に構成され、ロック部材66、76と協働してトリガ14のオン位置への移動を禁止または許容可能であればよく、その形状、モード切替ダイヤル4との連結態様、ロック部材66、76に対する動作態様、トリガ14との係合態様等は上記実施形態の例に限られない。同様に、ロック部材66、76も、使用者による外部操作に応じて、ロック位置とアンロック位置との間で移動可能であればよく、その形状、連動部材60、70との配置関係、トリガ14との係合態様等は上記実施形態の例に限られない。
【0131】
例えば、上記実施形態では、トリガ14のオフ位置でのロックおよびオン位置でのロックが、単一のロック部材66、76で実現されている。しかしながら、トリガ14をオフ位置でロック可能なロック部材と、トリガ14をオン位置でロック可能なロック部材とが、別個に設けられてもよい。
【0132】
また、上記実施形態のロック部材66、76は、単一のロック位置において、トリガ14をオフ位置でもオン位置でもロック可能である。しかしながら、ロック部材76、77は、第1のロック位置において、トリガ14をオフ位置でロックし、第1のロック位置とは異なる第2のロック位置において、トリガ14をオン位置でロックするように構成されてもよい。この場合、例えば、ロック部材66、76のアンロック位置は、ロック部材66、76の移動範囲内の中心位置に設定されうる。そして、ロック部材66、76は、アンロック位置から所定方向に移動されることで第1のロック位置に配置され、アンロック位置から逆方向に移動されることで第2のロック位置に配置されればよい。また、ロック位置とアンロック位置との間のロック部材66、76の移動方式として、上記実施形態の左右方向のスライド方式に変えて、例えば、上下方向に上側部分133スライド方式や、左右方向に延在する回動軸を中心に上下に回動する方式が採用されてもよい。
【0133】
上記実施形態では、ロック部材66、76は、トリガ14の移動経路上に配置され、トリガ14が若干移動した場合にトリガ14に当接することで、オン位置またはオフ位置への移動を禁止する。しかし、トリガ14の移動の禁止態様は、これに限られず、ロック部材66、76が最前方位置または最後方位置にあるトリガ14に当接してトリガ14を移動不能に保持する態様、ロック部材66、76が別部材に作用してトリガ14に当接させる態様等が採用されてもよい。また、ロック部材66、76とトリガ14とが当接する部分は、係止突起665、765と係止突起141に限られない。例えば、ロック部材66、76およびトリガ14のうち、何れか一方に設けられた突起が、他方に設けられた凹部に係合してもよい。
【0134】
ハンマドリルモード(および/またはドリルのみモード)において、連動部材60(詳細には、第2部材62)がロック部材66のロック位置への移動を禁止するための構成は、上記実施形態の例示に限られない。例えば、第2部材62の後端部(少なくとも、ロック部材66の通路662内を移動する部分)は、凸部623以外は左右方向に均一幅を有してもよい。つまり、凸部623のみが幅広部として構成され、残りの部分は幅狭部として構成されてもよい。また、ロック部材66のうち、凸部623に当接可能な部分は、ピン663ではなく、例えば、通路662の左端を規定する面から右方へ突出する凸部として構成されてもよい。
【0135】
ハンマドリルモード(および/またはドリルのみモード)において、トリガ14がオフ位置からオン位置への移動に伴って第2部材62を第1部材61に対して移動させるための構成は、上記実施形態の例示に限られない。例えば、トリガ14は、係止突起141とは別個に、第2部材62の突起627に係合可能な突起を有してもよい。また第2部材62およびトリガ14のうち、何れか一方に設けられた突起が、他方に設けられた凹部に係合してもよい。
【0136】
更に、検出機構8の第1スイッチ81および第2スイッチ82の構成や配置位置は、夫々のオン/オフ状態が、連動部材70およびロック部材76の位置に応じて切り替わるように構成されている限りにおいて、適宜、変更されうる。例えば、第1スイッチ81および第2スイッチ82は、互いに方式の異なるスイッチであってもよい。
【0137】
更に、本発明および上記実施形態とその変形例の趣旨に鑑み、以下の態様が構築される。以下の態様は、独立して、あるいは、実施形態に示すハンマドリル101、102、上記変形例、別の態様、または各請求項に記載された発明と組み合わされて採用されうる。
[態様1]
前記第2部材は、前記第1方向に交差する第2方向において、より広い幅を有する幅広部と、より狭い幅を有する幅狭部とを含み、
前記ロック部材は、前記第2方向に移動可能であって、前記幅広部に当接可能な当接部を有し、
前記第2部材は、
前記ドリルモードが選択され、且つ、前記操作部材が前記オフ位置に配置されている場合、前記第2方向において、前記幅狭部が前記当接部から離間した位置で前記当接部に対向し、
前記ドリルモードが選択されている場合、前記操作部材が前記オフ位置から前記オン位置へ移動されるのに伴って、前記幅広部が前記当接部の移動経路上で前記当接部に対向するように構成されている。
[態様2]
前記操作部材は、前記第2部材を、前記第1方向において前記第1部材から離れる方向へ移動させるように構成されている。
[態様3]
前記制御装置は、
前記第1スイッチの前記状態が、前記連動部材が前記ハンマモードに対応する第1位置にあることを示す場合には、前記第2スイッチの前記状態にかかわらず、前記メインスイッチが前記オン状態である間、前記モータを駆動し、且つ、
前記第1スイッチの前記状態が、前記連動部材が前記ドリルモードに対応する第2位置にあることを示す場合には、前記第2スイッチの前記状態が、前記ロック部材が前記操作部材に当接不能な位置にあることを示す場合にのみ、前記メインスイッチが前記オン状態である間、前記モータを駆動するように構成されている。
[態様4]
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、夫々、前記連動部材および前記ロック部材が物理的に作用することで前記オン状態と前記オフ状態とを切り替え可能な機械式スイッチである。
[態様5]
前記モータは、ブラシレスモータである。
【符号の説明】
【0138】
101、102:ハンマドリル、10:ハウジング、11:第1ハウジング、111:駆動機構収容部、112:ガイド突起、117:モータ収容部、13:第2ハウジング、131:把持部、133:上側部分、134:ガイドリブ、135:板バネ、136:ガイド壁、137:下側部分、14:トリガ、141:係止突起、145:メインスイッチ、15:バッテリ装着部、171:弾性部材、175:弾性部材、18:先端工具、19:バッテリ、2:モータ、25:モータシャフト、29:駆動ギヤ、3:駆動機構、30:運動変換機構、34:ツールホルダ、36:打撃要素、38:回転伝達機構、39:クラッチ、40:クラッチ切替機構、4:モード切替ダイヤル、41:操作部、45:偏心シャフト、5:コントローラ、6:ロック機構、60:連動部材、61:第1部材、611:連結孔、613:ガイド孔、615:連結孔、62:第2部材、621:第1凹部、622:第2凹部、623:凸部、625:連結孔、627:突起、631:付勢部材、633:スライダ、635:連結部材、66:ロック部材、661:本体部、662:通路、663:ピン、665:係止突起、667:バネ受け部、7:ロック機構、70:連動部材、701:連結孔、76:ロック部材、761:本体部、762:通路、765:係止突起、767:押圧突起、8:検出機構、81:第1スイッチ、811:可動片、82:第2スイッチ、821:可動片、A1:駆動軸、R:回動軸