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特許7601558活物質層、電極及びリチウムイオン二次電池
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  • 特許-活物質層、電極及びリチウムイオン二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】活物質層、電極及びリチウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/131 20100101AFI20241210BHJP
   H01M 4/136 20100101ALI20241210BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20241210BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20241210BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20241210BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20241210BHJP
【FI】
H01M4/131
H01M4/136
H01M4/36 E
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/58
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020046602
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021150065
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】大槻 佳太郎
(72)【発明者】
【氏名】野島 昭信
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-068966(JP,A)
【文献】特開2006-294393(JP,A)
【文献】国際公開第2012/111813(WO,A1)
【文献】特開2003-217572(JP,A)
【文献】特開2013-247022(JP,A)
【文献】国際公開第2018/062202(WO,A1)
【文献】特開2011-086405(JP,A)
【文献】特開2008-034218(JP,A)
【文献】特開2009-117369(JP,A)
【文献】国際公開第2017/046858(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/131
H01M 4/136
H01M 4/36
H01M 4/505
H01M 4/525
H01M 4/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質とバインダーとを少なくとも有し、
前記活物質は、主成分の第1活物質と、前記第1活物質と組成が異なる副成分の第2活物質とを備え、
前記第1活物質の割合は、前記活物質全体の60%以上100%未満であり、
前記第2活物質の割合は、前記活物質全体の0%より大きく5%未満であり、
前記第1活物質と前記第2活物質との組み合わせは、
前記第1活物質がニッケル-コバルト-マンガンの三元系化合物又はニッケル-コバルト-アルミニウムの三元系化合物で、前記第2活物質がコバルト酸リチウムである、活物質層。
【請求項2】
活物質とバインダーとを少なくとも有し、
前記活物質は、主成分の第1活物質と、前記第1活物質と組成が異なる副成分の第2活物質とを備え、
前記第1活物質の割合は、前記活物質全体の60%以上100%未満であり、
前記第2活物質の割合は、前記活物質全体の0%より大きく5%未満であり、
前記第1活物質と前記第2活物質との組み合わせは、
前記第1活物質がニッケル-コバルト-マンガンの三元系化合物又はニッケル-コバルト-アルミニウムの三元系化合物で、前記第2活物質がコバルト酸リチウムである、又は、
前記第1活物質がコバルト酸リチウムであり、前記第2活物質がニッケル-コバルト-マンガンの三元系化合物、ニッケル-コバルト-アルミニウムの三元系化合物、リン酸鉄リチウムからなる群から選択されるいずれかであり、
前記第1活物質は、複数の一次粒子が凝集した二次粒子であり、
前記第2活物質は、一次粒子である、活物質層。
【請求項3】
前記第1活物質の粒径は、前記第2活物質の粒径の0.6倍以上1.5倍以下である、請求項1又は2に記載の活物質層。
【請求項4】
活物質とバインダーとを少なくとも有し、
前記活物質は、主成分の第1活物質と、前記第1活物質と組成が異なる副成分の第2活物質とを備え、
前記第1活物質の割合は、前記活物質全体の60%以上100%未満であり、
前記第2活物質の割合は、前記活物質全体の0%より大きく5%未満であり、
前記第1活物質と前記第2活物質との組み合わせは、
前記第1活物質がニッケル-コバルト-マンガンの三元系化合物又はニッケル-コバルト-アルミニウムの三元系化合物で、前記第2活物質がコバルト酸リチウムである、又は、
前記第1活物質がコバルト酸リチウムであり、前記第2活物質がニッケル-コバルト-マンガンの三元系化合物、ニッケル-コバルト-アルミニウムの三元系化合物、リン酸鉄リチウムからなる群から選択されるいずれかであり、
前記第2活物質の反応電位は、前記第1活物質の反応電位より高い、活物質層。
【請求項5】
前記第2活物質は、LiCo1-y ・・・(1)で表記され、
aは0.8≦a≦1.2、yは0≦y<0.5を満たし、
MはNi、Mn、Fe、Mg、Zr、Al、Ti、Zn、Cu、Ca、Naのうちの少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか一項に記載の活物質層。
【請求項6】
集電体と、
前記集電体の少なくとも一面に積層された請求項1~5のいずれか一項に記載の活物質層と、を備える、電極。
【請求項7】
請求項6の電極を含む、リチウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活物質層、電極及びリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、携帯電話、ノートパソコン等のモバイル機器やハイブリットカー等の動力源としても広く用いられている。これらの分野の発展と共に、リチウムイオン二次電池は、より高い性能が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、正極の表面に2種以上の混合物からなる被膜が形成されたリチウム二次電池が開示されている。特許文献1には、被膜が活物質と電解液との反応による電解液の分解を抑制し、サイクル特性が向上することが開示されている。
【0004】
また例えば、特許文献2には、活物質の周りを所定の金属、金属間化合物又は酸化物で被覆した正極が記載されている。活物質を被覆する金属が酸素を吸収することで、電池の安全性が向上することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-236114号公報
【文献】特開平11-16566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電池の性能の指標の一つとして放電レート特性がある。放電レートは、満充電から終止電圧に達するまでに要するスピードである。放電レート特性は、所定の放電レートで放電した場合の放電容量に対する放電レートを早めた際の放電容量の比率である。放電レート特性に優れた電池は、急速放電が可能である。
【0007】
本開示は上記問題に鑑みてなされたものであり、放電レート特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0009】
(1)第1の態様にかかる活物質層は、活物質とバインダーとを少なくとも有し、前記活物質は、主成分の第1活物質と、前記第1活物質と組成が異なる副成分の第2活物質とを備え、前記第1活物質の割合は、前記活物質全体の60%以上100%未満であり、前記第2活物質の割合は、前記活物質全体の0%より大きく5%未満である。
【0010】
(2)上記態様にかかる活物質層において、前記第1活物質は、複数の一次粒子が凝集した二次粒子であり、前記第2活物質は、一次粒子であってもよい。
【0011】
(3)上記態様にかかる活物質層において、前記第1活物質の粒径は、前記第2活物質の粒径の0.6倍以上1.5倍以下であってもよい。
【0012】
(4)上記態様にかかる活物質層において、前記第2活物質の反応電位は、前記第1活物質の反応電位より高くてもよい。
【0013】
(5)上記態様にかかる活物質層において、前記第2活物質は、LiCo1-y ・・・(1)で表記され、aは0.8≦a≦1.2、yは0≦y<0.5を満たし、MはNi、Mn、Fe、Mg、Zr、Al、Ti、Zn、Cu、Ca、Naのうちの少なくとも1種であってもよい。
【0014】
(6)第2の態様に係る電極は、集電体と、前記集電体の少なくとも一面に積層された上記態様に係る活物質層と、を備える。
【0015】
(7)第3の態様に係るリチウムイオン二次電池は、上記態様に係る電極を含む。
【発明の効果】
【0016】
上記態様に係るリチウムイオン二次電池は、放電レート特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0019】
「リチウムイオン二次電池」
図1は、第1実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、発電素子40と外装体50と非水電解液(図示略)とを備える。外装体50は、発電素子40の周囲を被覆する。発電素子40は、接続された一対の端子60、62によって外部と接続される。非水電解液は、外装体50内に収容されている。
【0020】
(発電素子)
発電素子40は、正極20と負極30とセパレータ10とを備える。
【0021】
<セパレータ>
セパレータ10は、正極20と負極30とに挟まれる。セパレータ10は、正極20と負極30とを隔離し、正極20と負極30との短絡を防ぐ。リチウムイオンは、セパレータ10を通過できる。
【0022】
セパレータ10は、例えば、電気絶縁性の多孔質構造を有する。セパレータ10は、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
【0023】
セパレータ10は、例えば、固体電解質であってもよい。固体電解質は、例えば、高分子固体電解質、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質である。高分子固体電解質は、例えば、ポリエチレンオキサイド系高分子にアルカリ金属塩を溶解させたものである。酸化物系固体電解質は、例えば、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO(ナシコン型)、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO(ガラスセラミックス)、Li0.34La0.51TiO2.94(ペロブスカイト型)、LiLaZr12(ガーネット型)、Li2.9PO3.30.46(アモルファス、LIPON)、50LiSiO・50LiBO(ガラス)、90LiBO・10LiSO(ガラスセラミックス)である。硫化物系固体電解質は、例えば、Li3.25Ge0.250.75(結晶)、Li10GeP12(結晶、LGPS)、LiPSCl(結晶、アルジロダイト型)、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3(結晶)、Li3.250.95(ガラスセラミックス)、Li11(ガラスセラミックス)、70LiS・30P(ガラス)、30LiS・26B・44LiI(ガラス)、50LiS・17P・33LiBH(ガラス)、63LiS・36SiS・LiPO(ガラス)、57LiS・38SiS・5LiSiO(ガラス)である。
【0024】
<正極>
正極20は、正極集電体22と正極活物質層24とを有する。正極活物質層24は、正極集電体22の少なくとも一面に形成されている。
【0025】
[正極集電体]
正極集電体22は、例えば、導電性の板材である。正極集電体22は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス等の金属薄板である。
【0026】
[正極活物質層]
正極活物質層24は、例えば、正極活物質と導電助剤とバインダーとを有する。
【0027】
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとカウンターアニオンのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることができる。
【0028】
正極活物質は、少なくとも2種以上の活物質からなる。正極活物質は、例えば、主成分の第1活物質と、副成分の第2活物質と、を備える。第2活物質の存在比は、第1活物質と比較して極めて少ない。第2活物質は、正極活物質層24内に微量だけ存在する。
【0029】
正極活物質全体において第1活物質が占める割合は、60%以上100%未満であり、好ましくは60%以上99%以下であり、より好ましくは80%以上99%以下であり、さらに好ましくは96%以上98%以下である。正極活物質全体において第2活物質が占める割合は、0%より大きく5%未満であり、好ましくは0.5%以上4.5%以下であり、より好ましくは1%以上4%以下である。正極活物質が第1活物質と第2活物質とからなる場合は、第1活物質と第2活物質の割合の合計が100%となる。正極活物質が3種以上の場合は、第1活物質と第2活物質の割合の合計は100%未満となる。
【0030】
第1活物質は、第2活物質と組成が異なる。第2活物質の反応電位は、例えば、第1活物質の反応電位より高い。反応電位とは、リチウムのインターカレーション反応が生じる電気的なポテンシャルエネルギーであり、Liの平衡電位に対する反応電位である。例えば、スピネル化合物(以下、LMOと称する。)、リン酸マンガン化合物(以下、LMPと称する。)、コバルト酸リチウム(以下、LCOと称する。)、ニッケル-コバルト-マンガンの三元系化合物(以下、NMCと称する。)、ニッケル-コバルト-アルミニウムの三元系化合物(以下、NCAと称する。)、リン酸鉄リチウム(以下、LFPと称する。)、硫黄系化合物及びリチウムチタン酸化物(以下、LTOと称する。)の反応電位は、LMO>LMP>LCO>NMC≒NCA>LFP>硫黄系化合物>LTOの関係を満たす。
【0031】
第2活物質は、例えば、LiCo1-y ・・・(1)で表記される化合物である。aは0.8≦a≦1.2を満たし、yは0≦y<0.5を満たし、MはNi、Mn、Fe、Mg、Zr、Al、Ti、Zn、Cu、Ca、Naのうちの少なくとも1種である。上記式(1)においてy=0の場合がLCOである。
【0032】
例えば、第1活物質は二次粒子であり、第2活物質は一次粒子でもよい。二次粒子は、複数の一次粒子が凝集した粒子である。例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)による断面観察において、粒子内に粒界が見えた場合は二次粒子であり、粒界が見えない場合は一次粒子である。
【0033】
第1活物質の粒径は、例えば、第2活物質の粒径の0.6倍以上1.5倍以下であり、好ましくは0.9倍以上1.1倍以下である。ここで粒径とは、10個以上の粒子の平均粒径である。また粒子が不定形の場合は、長軸の長さと短軸の長さの合計の半分の値を粒径と見なす。また二次粒子を形成している場合は、二次粒子の粒径である。
【0034】
バインダーは、正極活物質層24における正極活物質同士を結合する。バインダーは、公知のものを用いることができる。バインダーは、例えば、フッ素樹脂である。フッ素樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等である。
【0035】
上記の他に、バインダーは、例えば、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-HFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF-PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-ペンタフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFP-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-PFMVE-TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド-クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF-CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムでもよい。
【0036】
導電助剤は、正極活物質層24における正極活物質間の導電性を高める。導電助剤は、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物である。導電助剤は、カーボンブラック等の炭素材料が好ましい。活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、正極活物質層24は導電助剤を含まなくてもよい。
【0037】
また正極活物質層24は、固体電解質又はゲル電解質を含んでもよい。固体電解質は、例えば、セパレータに用いることができるものと同様である。
【0038】
<負極>
負極30は、例えば、負極集電体32と負極活物質層34とを有する。負極活物質層34は、負極集電体32の少なくとも一面に形成されている。
【0039】
[負極集電体]
負極集電体32は、例えば、導電性の板材である。負極集電体32は、正極集電体22と同様のものを用いることができる。
【0040】
[負極活物質層]
負極活物質層34は、負極活物質を含む。また必要に応じて、導電材、バインダー、固体電解質を含んでもよい。
【0041】
負極活物質は、イオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知のリチウムイオン二次電池に用いられる負極活物質を使用できる。負極活物質は、例えば、金属リチウム、リチウム合金、イオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ、ゲルマニウム等のリチウム等の金属と化合することのできる半金属または金属、SiO(0<x<2)、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子である。
【0042】
負極活物質層34は、上述のように例えば、シリコン、スズ、ゲルマニウムを含んでもよい。シリコン、スズ、ゲルマニウムは、単体元素として存在してもよいし、化合物として存在してもよい。化合物は、例えば、合金、酸化物等である。一例として、負極活物質がシリコンの場合、負極30はSi負極と呼ばれることがある。負極活物質は、例えば、シリコン、スズ、ゲルマニウムの単体又は化合物と炭素材との混合系でもよい。炭素材は、例えば天然黒鉛である。また負極活物質は、例えば、シリコン、スズ、ゲルマニウムの単体又は化合物の表面が炭素で被覆されたものでもよい。炭素材及び被覆された炭素は、負極活物質と導電助剤との間の導電性を高める。負極活物質層がシリコン、スズ、ゲルマニウムを含むと、リチウムイオン二次電池100の容量が大きくなる。
【0043】
負極活物質層34は、上述のように例えば、リチウムを含んでもよい。リチウムは、金属リチウムでもリチウム合金でもよい。負極活物質層34は、金属リチウム又はリチウム合金でもよい。リチウム合金は、例えば、Si、Sn、C、Pt、Ir、Ni、Cu、Ti、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、Alからなる群から選択される1種以上の元素と、リチウムと、の合金である。一例として、負極活物質が金属リチウムの場合、負極30はLi負極と呼ばれることがある。負極活物質層34は、リチウムのシートでもよい。
【0044】
負極30は、作製時に負極活物質層34を有さずに、負極集電体32のみであってもよい。リチウムイオン二次電池100を充電すると、負極集電体32の表面に金属リチウムが析出する。金属リチウムはリチウムイオンが析出した単体のリチウムであり、金属リチウムは負極活物質層34として機能する。
【0045】
導電材及びバインダーは、正極20と同様のものを用いることができる。負極30におけるバインダーは、正極20に挙げたものの他に、例えば、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等でもよい。セルロースは、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)でもよい。
【0046】
(端子)
端子60、62は、それぞれ正極20と負極30とに接続されている。正極20に接続された端子60は正極端子であり、負極30に接続された端子62は負極端子である。端子60、62は、外部との電気的接続を担う。端子60、62は、アルミニウム、ニッケル、銅等の導電材料から形成されている。接続方法は、溶接でもネジ止めでもよい。端子60、62は短絡を防ぐために、絶縁テープで保護することが好ましい。
【0047】
(外装体)
外装体50は、その内部に発電素子40及び非水電解液を密封する。外装体50は、非水電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止する。
【0048】
外装体50は、例えば図1に示すように、金属箔52と、金属箔52の各面に積層された樹脂層54と、を有する。外装体50は、金属箔52を高分子膜(樹脂層54)で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムである。
【0049】
金属箔52としては例えばアルミ箔を用いることができる。樹脂層54には、ポリプロピレン等の高分子膜を利用できる。樹脂層54を構成する材料は、内側と外側とで異なっていてもよい。例えば、外側の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)等を用い、内側の高分子膜の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等を用いることができる。
【0050】
(非水電解液)
非水電解液は、外装体50内に封入され、発電素子40に含浸している。
非水電解液は、例えば、非水溶媒と電解質とを有する。電解質は、非水溶媒に溶解している。
【0051】
非水溶媒は、例えば、環状カーボネートと、鎖状カーボネートと、を含有する。環状カーボネートは、電解質を溶媒和する。環状カーボネートは、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートである。環状カーボネートは、プロピレンカーボネートを少なくとも含むことが好ましい。鎖状カーボネートは、環状カーボネートの粘性を低下させる。鎖状カーボネートは、例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートである。非水溶媒は、その他、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン等を有してもよい。
【0052】
非水溶媒は、例えば、環状カーボネートまたは、鎖状カーボネートの水素の一部がフッ素に置換されていてもよい。例えば、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート等を有してもよい。
【0053】
非水溶媒中の環状カーボネートと鎖状カーボネートの割合は体積にして1:9~1:1にすることが好ましい。
【0054】
電解質は、例えば、リチウム塩である。電解質は、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等である。リチウム塩は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。電離度の観点から、電解質はLiPFを含むことが好ましい。
【0055】
非水溶媒は、例えば、常温溶融塩を有してもよい。常温溶融塩は、カチオンとアニオンの組合せによって得られる100℃未満でも液体状の塩である。常温溶融塩は、イオンのみからなる液体であるため、静電的な相互作用が強く、不揮発性、不燃性と言う特徴を有する。
【0056】
常温溶融塩のカチオン成分としては、窒素を含む窒素系カチオン、リンを含むリン系カチオン、硫黄を含む硫黄系カチオンなどが挙げられる。これらのカチオン成分は、1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上を組合せて含んでいてもよい。
窒素系カチオンとしては、イミダゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、アゾニアスピロカチオンなど鎖状または環状のアンモニウムカチオンが挙げられる。
リン系カチオンとしては、鎖状または環状のホスホニウムカチオンが挙げられる。
硫黄系カチオンの例としては、鎖状または環状のスルホニウムカチオンが挙げられる。
カチオン成分としては、特に、リチウムイミド塩を溶解させた際に、高いリチウムイオン伝導を有し、かつ広い酸化還元耐性をもつため、窒素系カチオンであるN-メチル-N-プロピル-ピロリジニウム(P13)が好ましい。
【0057】
常温溶融塩のアニオン成分としては、AlCl 、NO 、NO 、I、BF 、PF 、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF)2.3 、p-CHPhSO 、CHCO 、CFCO 、CHSO 、CFSO 、(CFSO、CCO、CSO 、(FSO(ビス(フルオロスルホニル)イミド)(FSI)、(CFSO(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(TFSI)、(CSO(ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド)、(CFSO)(CFCO)N((トリフルオロメタンスルホニル)(トリフルオロメタンカルボニル)イミド)、(CN)(ジシアノイミド)等が挙げられる。これらのアニオン成分は、1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上を組合せて含んでいてもよい。
【0058】
「リチウムイオン二次電池の製造方法」
まず正極20を作製する。正極20は、正極活物質、バインダー及び溶媒を混合して、ペースト状の正極スラリーを作製する。正極活物質は、第1活物質と第2活物質との2種類を少なくとも用意する。第1活物質に対して第2活物質の混合量は、微量である。正極スラリーを構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。次いで、正極スラリーを、正極集電体22に塗布する。塗布方法は、特に制限はない。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
【0059】
続いて、正極集電体22上に塗布された正極スラリー中の溶媒を除去する。除去方法は特に限定されない。例えば、正極スラリーが塗布された正極集電体22を、80℃~150℃の雰囲気下で乾燥させる。次いで、得られた塗膜をプレスして、正極活物質層24を高密度化することで、正極20が得られる。プレスの手段は、例えばロールプレス機、静水圧プレス機等を用いることができる。
【0060】
次いで、負極30を作製する。負極30は、正極20と同様に作製できる。負極30は、負極活物質、バインダー及び溶媒を混合して、ペースト状の負極スラリーを作製する。負極スラリーを負極集電体32に塗布し、乾燥することで負極30が得られる。負極活物質が金属リチウムの場合は、負極集電体32にリチウム箔を貼り付けてもよい。
【0061】
次いで、作製した正極20及び負極30の間にセパレータ10が位置するようにこれらを積層して、発電素子40を作製する。発電素子40が捲回体の場合は、正極20、負極30及びセパレータ10の一端側を軸として、これらを捲回する。
【0062】
最後に、発電素子40を外装体50に封入する。非水電解液は外装体50内に注入する。非水電解液を注入後に減圧、加熱等を行うことで、発電素子40内に非水電解液が含浸する。熱等を加えて外装体50を封止することで、リチウムイオン二次電池100が得られる。
【0063】
第1実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、主成分の第1活物質に対して副成分の第2活物質がわずかに添加されていることで、放電レート特性が向上している。この原因は明確ではないが、正極活物質層24内に反応電位の異なる第2活物質が微量含まれることで、活物質層内にLiイオンの濃度勾配が生じるためではないかと考えられる。Liイオンの濃度勾配に応じてLiイオンの移動が促進されることで、充放電反応が促進され、放電レート特性が向上したものと考えられる。また活物質内に一次粒子が含まれると、放電レートが向上する傾向にあった。特に、第2活物質が一次粒子の場合に、この傾向は顕著であった。
【0064】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【実施例
【0065】
「実施例1」
(正極の作製)
正極活物質と導電材とバインダーとを混合し、正極合材を作製した。導電材はカーボンブラック、バインダーはポリフッ化ビニリデン(PVDF)とした。正極活物質と、導電材と、バインダーは質量比で90:5:5とした。正極活物質は、第1活物質としてLiNi0.33Mn0.33Co0.33(表1においてNMC333と表記する。)を用い、第2活物質としてLiCoO(表1においてLCOと表記する)を用いた。第1活物質と第2活物質の存在比は、第1活物質を99.5%、第2活物質を0.5%とした。この正極合剤を、N-メチル-2-ピロリドンに分散させて正極スラリーを作製した。そして、厚さ15μmのアルミニウム箔の一面に、乾燥後の目付量が約10.0mg/cmとなるように正極スラリーを塗布した。塗布後に、100℃で乾燥させ、溶媒を除去してアルミニウム箔の一面に正極活物質層を形成した。乾燥後に、アルミニウム箔のもう一面に、乾燥後の目付量が約10.0mg/cmとなるように正極スラリーを塗布した。塗布後に、100℃で乾燥させ、溶媒を除去してアルミニウム箔の両面に正極活物質層を形成した。
【0066】
(負極の作製)
負極活物質と導電材とバインダーとを混合し、負極合材を作製した。負極活物質はグラファイト、バインダーはスチレン・ブタジエンゴム(SBR)とし、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)を加えた。負極活物質とバインダーおよび増粘剤は質量比で95:3:2とした。この負極合剤を、蒸留水に分散させて負極スラリーを作製した。そして、厚さ10μmの銅箔の一面に、乾燥後の目付量が約6.0mg/cmとなるように負極スラリーを塗布した。塗布後に、100℃で乾燥させ、溶媒を除去して銅箔の一面に負極活物質層を形成した。乾燥後に、銅箔のもう一面に、乾燥後の目付量が約6.0mg/cmとなるように負極スラリーを塗布した。塗布後に、100℃で乾燥させ、溶媒を除去して銅箔の両面に負極活物質層を形成した。
【0067】
(セルの作製)
作製した負極と正極とを、所定の形状に打ち抜き、厚さ25μmのポリプロピレン製のセパレータを介して交互に積層し、負極9枚と正極8枚とを積層することで積層体を作製した。同様の手順で作製した積層体を試料として断面を切断し、第1活物質及び第2活物質の形態をTEMで確認した。第1活物質は二次粒子であり、第2活物質は1次粒子であった。
【0068】
積層体を、アルミラミネートフィルムの外装体内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより開口部を形成した。外装体内には、非水電解液を注入した。非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DEC)が等量混合された溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)1.5MOL/Lを溶解させた。そして、残りの1箇所を真空シール機によって減圧しながらヒートシールで密封し、実施例1に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
【0069】
(電池の評価:放電レート特性)
作製したリチウムイオン電池の放電レート特性を評価した。放電レート特性は、放電レートを1C(25℃で定電流放電を行ったときに1時間で放電終了となる電流値)とした場合の放電容量を100%とした場合の3C(25℃で定電流放電を行ったときに20分で放電終了となる電流値)での放電容量の比率(%)を放電レート特性として求めた。
【0070】
放電レート特性の評価条件として、作製したセルを0.15mA/cmの電流密度で初回充放電を行い、作製したセルの実容量を測定した。得られた実容量に基き、放電レート1Cおよび3Cの電流密度の決定を行った。
【0071】
初回充放電を行った後、0.5Cで4.3Vまで定電流充電を行った後、0.02Cの電流密度となるまで定電圧充電を行った。充電後、5分間の休止時間を挟んだ後、1Cで2.8Vまで定電流放電を行い、1Cにおける放電容量の測定を行い、測定後5分間の休止時間を挟んだ。
【0072】
その後、0.5Cで4.3Vまで定電流充電を行った後、0.02Cの電流密度となるまで定電圧充電を行った。充電後、5分間の休止時間を挟んだ後、3Cで2.8Vまで定電流放電を行い、3Cにおける放電容量の測定を行った。
【0073】
「実施例2~5、比較例1、2」
実施例2~5及び比較例1、2は、第1活物質と第2活物質の存在比を変えた点が実施例1と異なる。比較例1は、第1活物質のみからなる。
比較例1は、第1活物質を100.0%、第2活物質を0.0%とした。
実施例2は、第1活物質を99.0%、第2活物質を1.0%とした。
実施例3は、第1活物質を97.0%、第2活物質を3.0%とした。
実施例4は、第1活物質を96.0%、第2活物質を4.0%とした。
実施例5は、第1活物質を96.5%、第2活物質を4.5%とした。
比較例2は、第1活物質を95.0%、第2活物質を5.0%とした。
実施例2~5及び比較例1,2の放電レート特性を測定した。表1には、比較例1のレート特性を100%とした際の実施例2~5、比較例2のレート特性の割合を示す。すなわち、表1に示す実施例2~5、比較例2のレート特性は、比較例1のレート特性に対する相対値である。
【0074】
「実施例6~10、比較例3、4」
実施例6~10、比較例3、4は、第1活物質をLiNi0.6Mn0.2Co0.2(表1においてNMC622と表記する。)を用いた点が、実施例1~5、比較例1、2と異なる。
実施例6~10及び比較例3,4の放電レート特性を測定した。表1には、比較例3のレート特性を100%とした際の実施例6~10、比較例4のレート特性の割合を示す。すなわち、表1に示す実施例6~10、比較例4のレート特性は、比較例3のレート特性に対する相対値である。
【0075】
「実施例11~15、比較例5、6」
実施例11~15、比較例5、6は、第1活物質をLiNi0.85Co0.10Al0.05(表1においてNCAと表記する。)を用いた点が、実施例1~5、比較例1、2と異なる。
実施例11~15及び比較例5,6の放電レート特性を測定した。表1には、比較例5のレート特性を100%とした際の実施例11~15、比較例6のレート特性の割合を示す。すなわち、表1に示す実施例11~15、比較例6のレート特性は、比較例5のレート特性に対する相対値である。
【0076】
「実施例16~20、比較例7、8」
実施例16~20、比較例7、8は、第1活物質をLiFePO(表2においてLFPと表記する。)を用いた点が、実施例1~5、比較例1、2と異なる。
実施例16~20及び比較例7,8の放電レート特性を測定した。表2には、比較例7のレート特性を100%とした際の実施例16~20、比較例8のレート特性の割合を示す。すなわち、表2に示す実施例16~20、比較例8のレート特性は、比較例7のレート特性に対する相対値である。
【0077】
「実施例21~25、比較例9、10」
実施例21~25、比較例9、10は、第1活物質をLiNi0.8Mn0.1Co0.1(表2においてNMC811と表記する。)を用いた点が、実施例1~5、比較例1、2と異なる。
実施例21~25及び比較例9,10の放電レート特性を測定した。表2には、比較例9のレート特性を100%とした際の実施例21~25、比較例10のレート特性の割合を示す。すなわち、表2に示す実施例21~25、比較例10のレート特性は、比較例9のレート特性に対する相対値である。
【0078】
「実施例26~30、比較例11、12」
実施例26~30、比較例11、12は、第1活物質をLiCoO(表3ではLCOと表記する。)とし、第2活物質をスピネル構造のLiMn(表3ではLMOと表記する。)とした点が、実施例1~5、比較例1、2と異なる。
実施例26~30及び比較例11,12の放電レート特性を測定した。表3には、比較例11のレート特性を100%とした際の実施例26~30、比較例12のレート特性の割合を示す。すなわち、表3に示す実施例26~30、比較例12のレート特性は、比較例11のレート特性に対する相対値である。
【0079】
「実施例31~35、比較例13、14」
実施例31~35、比較例13、14は、第2活物質をNMC333とした点が、実施例26~30、比較例11、12と異なる。
実施例31~35及び比較例13,14の放電レート特性を測定した。表3には、比較例13のレート特性を100%とした際の実施例31~35、比較例14のレート特性の割合を示す。すなわち、表3に示す実施例31~35、比較例14のレート特性は、比較例13のレート特性に対する相対値である。
【0080】
「実施例36~40、比較例15、16」
実施例36~40、比較例15、16は、第2活物質をNMC622とした点が、実施例26~30、比較例11、12と異なる。
実施例36~40及び比較例15,16の放電レート特性を測定した。表3には、比較例15のレート特性を100%とした際の実施例36~40、比較例16のレート特性の割合を示す。すなわち、表3に示す実施例36~40、比較例16のレート特性は、比較例15のレート特性に対する相対値である。
【0081】
「実施例41~45、比較例17、18」
実施例41~45、比較例17、18は、第2活物質をLiFePO(表1ではLFPと表記する。)とした点が、実施例26~30、比較例11、12と異なる。
実施例41~45及び比較例17,18の放電レート特性を測定した。表4には、比較例17のレート特性を100%とした際の実施例41~45、比較例18のレート特性の割合を示す。すなわち、表4に示す実施例41~45、比較例18のレート特性は、比較例17のレート特性に対する相対値である。
【0082】
「実施例46~50、比較例19、20」
実施例46~50、比較例19、20は、活物質を3種類用いた点が、実施例1~5、比較例1、2と異なる。第1活物質をLCOとし、第2活物質をNMC333とし、第3活物質をNMC622とした。第1活物質の存在比率は、62%に固定し、第2活物質と第3活物質の存在比を変更した。
【0083】
比較例19は、第1活物質を62.0%、第2活物質を0.0%、第3活物質を38.0%とした。
実施例46は、第1活物質を62.0%、第2活物質を0.5%、第3活物質を37.5%とした。
実施例47は、第1活物質を62.0%、第2活物質を1.0%、第3活物質を37.0%とした。
実施例48は、第1活物質を62.0%、第2活物質を3.0%、第3活物質を35.0%とした。
実施例49は、第1活物質を62.0%、第2活物質を4.0%、第3活物質を34.0%とした。
実施例50は、第1活物質を62.0%、第2活物質を4.5%、第3活物質を33.5%とした。
比較例20は、第1活物質を62.0%、第2活物質を5.0%、第3活物質を33.0%とした。
実施例46~50及び比較例19,20の放電レート特性を測定した。表4には、比較例19のレート特性を100%とした際の実施例46~50、比較例20のレート特性の割合を示す。すなわち、表4に示す実施例46~50、比較例20のレート特性は、比較例19のレート特性に対する相対値である。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
「実施例51~56」
実施例51~53は、第1活物質及び第2活物質の形態を変えた点が実施例3と異なる。
実施例54~56は、第1活物質及び第2活物質の形態を変えた点が実施例8と異なる。
実施例51~56の放電レート特性を測定した。その結果を表5に示す。表5における実施例51~53のレート特性は、比較例1に対する相対値であり、実施例54~56のレート特性は、比較例3に対する相対値である。表5には、比較のため実施例3及び実施例8の結果を示す。
【0089】
【表5】
【0090】
「実施例57~70」
実施例57~63は、第1活物質及び第2活物質の粒径の関係を変えた点が実施例3と異なる。
実施例64~70は、第1活物質及び第2活物質の形態を変えた点が実施例8と異なる。
実施例57~70の放電レート特性を測定した。その結果を表6に示す。実施例57~63のレート特性は、比較例1に対する相対値であり、実施例64~70のレート特性は、比較例3に対する相対値である。表6には、比較のため実施例3及び実施例8の結果を示す。
【0091】
【表6】
【符号の説明】
【0092】
10 セパレータ
20 正極
22 正極集電体
24 正極活物質層
30 負極
32 負極集電体
34 負極活物質層
40 発電素子
50 外装体
52 金属箔
54 樹脂層
60、62 端子
100 リチウムイオン二次電池
図1