(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】パワーコンバータ、発電機とパワーコンバータを含む配列及び車両
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241210BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2020110389
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】10 2019 117 594.1
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518334554
【氏名又は名称】ヴァレオ ジーメンス エーアオトモーティヴェ ゲルマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Valeo Siemens eAutomotive Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】ギド ラゼク
(72)【発明者】
【氏名】マルクス レイマン
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-031330(JP,A)
【文献】特開2006-074918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42- 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)と、前記ハウジング(2)の内部に配置された母線配列(5)とを含むパワーコンバータ(1)であって、
前記パワーコンバータ(1)
において、前記母線配列(5)に沿って交流電流
が流れるように構成され、
前記ハウジング(2)の壁(13a、14a)と前記母線配列(5)との間に配置された少なくとも1つの高透磁性材料製の平面磁束誘導エレメント(19、20)を有
し、
前記ハウジングは、第1のハウジングエレメント(3)と、低透磁性材料から形成されたカバーエレメント(11)と、を含み、
前記カバーエレメント(11)は、前記第1のハウジングエレメント(3)の内部に配置され、
前記第1のハウジングエレメント(3)によって形成された壁(13a)と前記母線配列(5)との間の前記カバーエレメント(11)上に、磁束誘導エレメント(19)が配置されている、ことを特徴とするパワーコンバータ。
【請求項2】
前記磁束誘導エレメント(19、20)は、金属プレート又はフェライトプレートから形成されている、請求項1に記載のパワーコンバータ。
【請求項3】
前記母線配列(5)は、第1のハウジングエレメント(3)の第2の壁(13b)の中の少なくとも1つの開口部(15、16)を通って第1のハウジングエレメント(3)の外にガイドされ、磁束誘導エレメント(19)は、カバーエレメント(11)の開口側エッジ部上に配置されている、請求項
2に記載のパワーコンバータ。
【請求項4】
前記カバーエレメント(11)は、少なくとも1つの開口部(15、16)の方向を向いた突起部(25a~25d)を有し、磁束誘導エレメント(19)は、突起部(25a~25d)に及んでいる、請求項
3に記載のパワーコンバータ。
【請求項5】
前記磁束誘導エレメント(19)が配置された前記カバーエレメント(11)の一部分(21)は厚さが他の部分よりも大きい、請求項
2から
4のいずれか一項に記載のパワーコンバータ。
【請求項6】
前記カバーエレメント(11)は、内部に磁束誘導エレメント(19)が配置された陥凹部(22)を有する、請求項
2から
5のいずれか一項に記載のパワーコンバータ。
【請求項7】
前記第1のハウジングエレメント(3)は、パワーコンバータ(1)の電力エレクトロニクスユニット(8)を収納して、電力エレクトロニクスユニットは、入力側で前記交流電流を受電するか、又は出力側で交流電流を供給するように構成されている、請求項
2から
6のいずれか一項に記載のパワーコンバータ。
【請求項8】
前記ハウジング(2)は、少なくとも1つの開口部(17、18)を有する第2のハウジングエレメント(4)を含み、少なくとも1つの開口部を通って母線配列(5)は、第2のハウジングエレメント(4)の内部にガイドされ、磁束誘導エレメント(20)が、第2のハウジングエレメント(4)により形成され、しかも前記少なくとも1つの開口部(17、18)を含む第2の壁(14b)に対して垂直に延びる壁(14a)と母線配列(5)との間に配置されている、請求項1から
7のいずれか一項に記載のパワーコンバータ。
【請求項9】
前記磁束誘導エレメント(20)は、第1の壁(14a)に配置されている、請求項
8に記載のパワーコンバータ。
【請求項10】
前記母線配列(5)が開口部(15~18)を通って第1のハウジングエレメント(3)から第2のハウジングエレメント(4)の内部にガイドされるように、ハウジングエレメント(3、4)は相対配置されている、請求項4に従属する場合は、請求項
8又は
9に記載のパワーコンバータ。
【請求項11】
前記磁束誘導エレメント(19、20)は、開口部(15~18)を通り抜けるワンピース磁束誘導装置によって形成されている、請求項
10に記載のパワーコンバータ。
【請求項12】
前記第2のハウジングエレメント(4)は、発電機(32)に母線配列(5)を接続するための接続装置(33)を収納している、請求項
8から
11のいずれか一項に記載のパワーコンバータ。
【請求項13】
前記パワーコンバータ(1)は、交流電流を供給して発電機(32)の回転磁界を発生させるように構成されている、請求項1から
12のいずれか一項に記載の発電機(32)及びパワーコンバータ(1)を含む配列(31)。
【請求項14】
前記発電機(32)は、車両(30)を駆動するように構成されている、請求項
13に記載の配列(31)を含む車両(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングとハウジング内に配置された母線配列とを含み、母線配列に沿って交流電流をガイドするように構成されたパワーコンバータに関する。
【0002】
本発明は、それに加えて、発電機とパワーコンバータとを含む配列、及び車両にも関する。
【背景技術】
【0003】
パワーコンバータでは、入力側又は出力側交流電流が母線配列を介してガイドされることが多い。この場合の母線配列は、運転中に、例えばICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)により規定された電磁両立性に関するガイドラインに従ってパワーコンバータのハウジングの外側では許容値内にその磁束密度を制限しなければならない交番磁界を放射することがある。結果として、パワーコンバータの周囲環境内の人間を非電離放射線に対して防護しなければならない。特に、電気車両において、パワーコンバータを使用する場合は、パワーコンバータは車両乗員の近くに置かれることがあり、それゆえに、車両乗員の防護用に指定限界値を守らねばならない。ガイドラインは、一般的に、特定の周波数範囲について、1kHz未満の周波数範囲において交番磁界を制限する規定を含んでいる。
【0004】
磁界を制限する様々なアプローチが周知である。例えば、ハウジングは、高価な高透磁性材料から形成してもよいが、しかし、結果として、パワーコンバータの重量が大きくなる。車両乗員とパワーコンバータとの距離の拡大、または著しく大きな渦電流を発生させるため、ハウジングに対する厚いケーシングの使用は、車両内の設置スペース上の制約から多くの場合、不可能である。磁界放射の低減という観点から母線配列形状の最適化も考えられるが、しかし、これによって、ハウジング内に母線配列を設置する自由度が制限される。サンドイッチ材料から、例えば、アルミニウム層とその上にメッキされた強磁性層からハウジングを形成することも周知であるが、しかし、結果として高コストになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その結果として、本発明の目的は、パワーコンバータのコスト及び重量の点で経済的に生産してもよく、しかも電気損失を小さくするパワーコンバータにおける電磁両立性を向上させる実現性を記載している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題を解決するために、本発明によれば、最初に記載した種類のパワーコンバータは、ハウジングの壁と母線配列との間に配置された少なくとも1つの高透磁性材料製の平面磁束誘導エレメントを含んでいる。
【0007】
本発明は、ハウジングの壁と母線配列との間に少なくとも1つの高透磁性材料製の平面磁束誘導エレメントを導入し、結果として、ハウジング全体ではなく、前記磁界を特に強力に放射するハウジング領域の特定の場所にだけシールドを提供することで、特に1kHz未満の周波数範囲において交番磁界の放射に関するパワーコンバータの電磁両立性を向上させる考えに基づくものである。
【0008】
この種の平面磁束誘導エレメントは、有利には経済的に生産してもよく、結果として重量が少し増加するだけであり、その設置場所に合うように正確に調整してもよい。これにより、パワーコンバータの構成プロセスの範囲内で磁束誘導エレメントを比較的遅く追加して、電磁両立性の規定に関する基準の変更又は地域差に柔軟に適合させられる。平面磁束誘導エレメントのヒステリシス損失及び渦電流損失は、磁束誘導エレメントの磁束密度及び磁束誘導エレメントの体積に実質上左右されるという理由から、平面磁束誘導エレメントは、電気損失が極めて小さいという利点も有する。有利には、磁束誘導エレメントの体積は平面設計であることから小さい。
【0009】
パワーコンバータは、好ましくはインバータとして構成される。ハウジングは一般的に、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金のような、低透磁性材料から形成される。本発明の文脈では、用語「低透磁性」は、透磁率が1に近い、特に、0.9~1.1であることを特に意味すると理解されたい。本発明の文脈では、用語「高透磁性」は、透磁率が少なくとも50、好ましくは少なくとも100、特に好ましくは少なくとも1000であることを特に意味すると理解されたい。壁はハウジングの天井又は別の内側を形成してもよい。一般的には、磁束誘導エレメントを壁自体に配置すること、または壁と母線配列との間のパワーコンバータの別のコンポーネント内に配置することを規定してもよい。
【0010】
磁束誘導エレメントは、有利には強磁性又はフェリ磁性材料から形成される。磁束誘導エレメントは、例えば、変圧器の構築に使用されるような軟鉄材料から形成してもよい。磁束誘導エレメントの厚さは一般的には最大限4mm、好ましくは最大限2mm、特に好ましくは最大限1.2mm、及び/又は、少なくとも0.05mm、好ましくは少なくとも0.1mm、特に好ましくは少なくとも0.5mmである。
【0011】
母線配列は、1本の母線又は複数本の母線を含んでもよい。母線は複数の母線群を形成してもよい。
【0012】
本発明に係るパワーコンバータでは、磁束誘導エレメントは金属プレートから形成すると規定してもよい。この種の金属プレートは入手が容易で、経済的である。あるいは、磁束誘導エレメントはフェライトプレートから形成すると規定してもよい。
【0013】
本発明に係るパワーコンバータの有利な実施形態において、ハウジングは、第1のハウジングエレメントと低透磁性材料から形成されたカバーエレメントとを含み、該カバーエレメントは、第1のハウジングエレメントの内部に配置し、磁束誘導エレメントは、第1のハウジングエレメントにより形成された壁と母線配列との間のカバーエレメント上に配置すると規定されている。磁束誘導エレメントによる透磁率の局所的な上昇は、特に好都合なのは低透磁性カバーエレメントの場合であるが、その理由は、一般的に、比較的小さな渦電流だけカバーエレメント内には誘導されず、従って、重要な周波数範囲における磁界に対するシールド効果は小さくしかならない。カバーエレメントは、好ましくは平面で、及び/又は、アルミニウムから形成される。
【0014】
磁束誘導エレメントは、例えば、接着ボンド及び/又は溶接及び/又はネジ又はリベットのような締結エレメントによって、カバーエレメント上に固定してもよい。例えば、融着及び/又は圧延及び/又は焼結及び/又はメッキによって、磁束誘導エレメントをカバーエレメントに組込み可能である。
【0015】
第1の壁に対して特に垂直に延びる第1のハウジングエレメントの第2の壁の中の少なくとも1つの開口部を通って母線配列を第1のハウジングエレメントから外部にガイドし、磁束誘導エレメントはカバーエレメントの開口側エッジ部上に配置すると規定してもよい。かかる領域は、測定によって重要な周波数範囲において第1の壁を介して交番磁界の放射に関して特に重要なことが確認されており、従って、開口側エッジ部への磁束誘導エレメントの取付けは電磁両立性の向上に特に大きく貢献することになる。さらに、複数の開口部を設け、各開口部を通って母線配列の個別の母線群をガイドすると規定してもよい。
【0016】
有利な改良例において、カバーエレメントは、少なくとも1つの開口部方向を向いた突起部を含み、磁束誘導エレメントは、それら突起部に跨ると規定されている。突起部によって開口部を有する第2の壁の近くまでカバーエレメントを延長して、シールド効果を空間的に大きく延ばしてもよい。磁束誘導エレメントの形状は、通常は突起の形状にほぼ対応している。磁束誘導エレメントは、好ましくは突起間のギャップに対して平行な領域には及んでいない。
【0017】
カバーエレメント内に誘導された渦電流によるシールド効果の増強を達成するには、磁束誘導エレメントが配置されたカバーエレメントの一部分の厚さを他の部分よりも大きくするのが好ましい。母線配列の対向側又は反対側のカバーエレメントの高さにより、厚さを大きくしてもよい。
【0018】
カバーエレメントは、内部に磁束誘導エレメントを配置する陥凹部を有することも有利である。これにより磁束誘導エレメントの締結が容易になる。陥凹部の深さは好ましくは内部に配置された磁束誘導エレメントの厚さの最大限1.5倍、特に好ましくは最大限1.1倍である。
【0019】
第1のハウジングエレメントは、典型的には、パワーコンバータの電力エレクトロニクスユニットを収納しており、電力エレクトロニクスユニットは、入力側で交流電流を受電するか、又は出力側で交流電流を供給するように構成されている。
【0020】
本発明に係るパワーコンバータの場合、好ましくは、ハウジングは、少なくとも1つの開口部を有する第2のハウジングエレメントを含み、この開口部を通って母線配列を第2のハウジングエレメントの内部にガイドし、磁束誘導エレメントを、第2のハウジングエレメントによって形成され、少なくとも1つの開口部を有する第2の壁に対して垂直に延びる壁と母線配列との間に配置すると規定されている。第2のハウジングエレメントの第1の壁も同様にパワーコンバータの強力な放射領域であることが測定により証明されている。従って、電磁両立性の向上を磁束誘導エレメントによりこれら領域において達成してもよい。複数の開口部を設けて、各開口部を通って母線配列の別々の母線群をガイドしてもよい。
【0021】
一般的には、カバーエレメント上に配置された既述の磁束誘導エレメントは、第1の磁束誘導エレメントと呼んでもよく、第2のハウジングエレメントの第1の壁と母線配列との間に配置された磁束誘導エレメントは、第2の磁束誘導エレメントと呼んでもよい。
【0022】
磁束誘導エレメントは、好ましくは第1の壁に配置されている。この目標を達成するために、第1の壁は、磁束誘導エレメントを挿入するスロットを便宜的に有する。磁束誘導エレメントは、例えば、接着ボンド及び/又は溶接及び/又はネジ又はリベットのような締結エレメントによって、第1の壁に固定してもよい。例えば、融着及び/又は圧延及び/又は焼結及び/又はメッキによって、磁束誘導エレメントは第1の壁に組込むことも可能である。
【0023】
特に好ましくは、母線配列は、特定の開口部を通って第1のハウジングエレメントから第2のハウジングエレメントの内部にガイドされるように、ハウジングエレメントを相対配置すると規定されている。従って、交番磁界の放射によって特に影響を受けるハウジングエレメント間の境界領域の電磁両立性を磁束誘導エレメントによって効果的に向上させられる。通常は、第1のハウジングエレメントの第2の壁及び第2のハウジングエレメントの第2の壁は、すなわち、それぞれ開口部を有する壁は、多数のピースの形で形成され、及び/又は、締結エレメントによって相互に固定される。特に好ましい実施形態によれば、第2のハウジングエレメント内の少なくとも1つの開口部の境界を定める第2のハウジングエレメントの一部分は、第1のハウジングエレメント内の少なくとも1つの開口部の内部に突出している。
【0024】
パワーコンバータの特定の実施形態では、開口部を通り抜けるワンピース磁束誘導装置によって磁束誘導エレメントを形成すると規定されている。磁束誘導装置は、通常は完全な平面である。個々の磁束誘導エレメントを創出するための全ての実施形態は、磁束誘導装置に移行させてもよい。
【0025】
通常、第2のハウジングエレメントは、発電機に母線配列を接続するための接続装置を収納している。この点において、第2のハウジングエレメントは、端子ボックス、接続ボックス又は分岐接続ボックスと解釈しても、そのように呼んでもよい。
【0026】
本発明の根拠をなす目的は、発電機及び本発明に係るパワーコンバータを含む配列によって達成され、パワーコンバータは、交流通電を供給して発電機のロータリフィールドを発生させるように構成されている。
【0027】
本発明の根拠をなす目的は、本発明に係る配列を含む車両によっても達成され、発電機は車両を駆動するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明のさらなる効果及び詳細は、以下に記載した代表的実施形態から、図面を併せて参照することにより明瞭になろう。これらの図面は略図である。
【
図1】本発明に係るパワーコンバータの第1実施形態の基本図である。
【
図3】第1実施形態の第2のハウジングエレメントの領域の斜視基本図である。
【
図4】第2実施形態の第1のハウジングエレメントの領域の切取詳細図である。
【
図5】本発明に係るパワーコンバータの第3実施形態の斜視基本図である。
【
図6】本発明に係るパワーコンバータの第4実施形態の斜視基本図である。
【
図7】本発明に係るパワーコンバータの第5実施形態の切取基本図である。
【
図8】本発明に係るパワーコンバータの第6実施形態の斜視基本図である。
【
図9】本発明に係る配列からなる車両の実施形態の斜視基本図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1はパワーコンバータ1の第1実施形態の基本図である。
【0030】
パワーコンバータ1は、第1のハウジングエレメント3及び第2のハウジングエレメント4を有するハウジング2を含む。ハウジング2は、低透磁性材料から、この場合は、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成され、それによりパワーコンバータ1の重量を軽減する。パワーコンバータ1は、さらに、各々が3本の母線6a、6b、6c及び7a、7b、7cを有する2つの母線群6、7を含む母線配列5が含まれる。母線配列5は、出力側がインバータとして構成されたパワーコンバータ1の電力エレクトロニクスユニット8に接続されており、各母線群6、7が三相交流をガイドする。加えて、パワーコンバータ1は、別の母線10を介して電力エレクトロニクスユニット8の入力側に接続された直流電圧結線9を含んでいる。
【0031】
電力エレクトロニクスユニット8、直流電圧結線9、及び母線10は、第1のハウジングエレメント3内に完全に収納され、第1のハウジングエレメントは、その上、カバーエレメント11と、電力エレクトロニクスユニット8とカバーエレメント11との間に配置され、電力エレクトロニクスユニット8用の制御電子回路ユニットを含むプリント基板12とを収納している。対照的に、第2のハウジングエレメント4は、発電機をパワーコンバータ1に接続するための接続ボックス又は分岐接続ボックスを形成し、その目的のため、第2のハウジングエレメント4は、接続装置33(
図9を参照)を収納している。
【0032】
第1のハウジングエレメント3は、第1のハウジングエレメント3の天井を形成する第1の壁13a(
図2を参照)、側壁として形成された第2の壁13b、他の側壁、及び基部を形成する第3の壁13cを有している。側壁は、第3の壁13cから垂直に延び、従って、第1の壁13aによって遮断されたレシーブ体積を形成する。第2のハウジングエレメント4は、第1の壁14a(
図4を参照)、側壁として形成された第2の壁14b、他の側壁、及び第1の壁14aに対向する第3の壁(図示せず)を有する。
【0033】
母線配列5は、電力エレクトロニクスユニット8から、第1のハウジングエレメント3の第2の壁13bに配置された2つの開口部15、16を通って、さらには、第2のハウジングエレメント4の第2の壁14bに形成された2つの開口部17、18を通って、第2のハウジングエレメント4の内部に延びている。第1の母線群6は、従って開口部15、17を通って延びて、第2の母線群7は、開口部16、18を通って延びている。第2のハウジングエレメント4の内部では、母線配列5は
図1の平面内に延びている。
【0034】
第1のハウジングエレメント3の内部では、母線配列5は、大部分が第3の壁13cとカバーエレメント11との間に延びている。第1の磁束誘導エレメント19は、母線配列5と第1の壁13aとの間のカバーエレメント上に配置されている。第1の磁束誘導エレメントは、カバーエレメント11の開口側エッジ部上に位置している。第2の磁束誘導エレメント20は、前記壁と母線配列5との間の第2のハウジングエレメント4の第1の壁14aに配置されている。磁束誘導エレメント19、20は、それぞれが厚さ1mmの平面で、軟鉄材料製の高透磁性金属シートから形成され、1kHz以下の周波数範囲における交番磁界をシールドすることで、パワーコンバータ1の電磁両立性を向上させる。
【0035】
図2は、パワーコンバータ1の斜視基本図であり、第1の磁束誘導エレメント19は、カバーエレメント11上に、第1のハウジングエレメント3の第1の壁13aは、側壁に接続していない位置に配列していることを示す。第1の磁束誘導エレメント19は、十分にフラットなカバーエレメント11に寄り掛かっている。
【0036】
図3は、パワーコンバータ1の第2のハウジングエレメント4の領域を示した斜視基本図である。
【0037】
開口部17、18を通り抜けた後の母線配列5の角度プロフィールを見られる。第2の磁束誘導エレメント20は、内部に形成されたスロット中に置くことで、第1の壁14aに配置され、前記第1の壁に接着又は溶接される。
【0038】
以下、パワーコンバータ1のさらなる実施形態について説明するが、類似又は機能的に類似のコンポーネントには同一の参照符号が付してある。別段の記述がない限りは、これらのさらなる実施形態は第1の実施形態に対応している。
【0039】
図4は、母線配列5及び磁束誘導エレメント19を除いたパワーコンバータ1の第2実施形態の第1のハウジングエレメント3の領域を示す切取詳細図である。
【0040】
第1の磁束誘導エレメント19を配置したカバーエレメント11の一部分21は、厚さが他の部分よりも大きい。その結果、カバーエレメント11内に十分な大きさの渦電流を発生させて、シールド効果をさらに増強してもよい。
【0041】
陥凹部22は、さらに母線配列5とは逆向きのカバーエレメントの側面上の一部分21に形成され、磁束誘導エレメント19は、前記陥凹部内に配置される。陥凹部は、磁束誘導エレメント19と同様に、深さ1mmであり、その結果、陥凹部の縁23が磁束誘導エレメント19と同一平面で終わる。
【0042】
図5は、パワーコンバータ1の第3実施形態の斜視基本図である。第3実施形態では、第1のハウジングエレメント3は、その第2の壁13bに、開口部15、16を囲むフレーム状突起部24を有する。カバーエレメント11は、開口部15、16の方向を向き、突起部24に寄り掛かかり、第1の磁束誘導エレメントが配置された部分21にオフセット26を介して接続された突起部25a、25bを有する。しかし、この一部分21は、第2実施形態では厚くされていない。
【0043】
図6は、パワーコンバータ1の第4実施形態の斜視基本図である。第4実施形態では、第1のハウジングエレメント3は同様に突起部24を含む。カバーエレメント11は、厚化部分21から開口部15、16の方向に突出し、突起部24に寄り掛かっている4つの突起部25a~25dを有する。第1の磁束誘導エレメント19は、この場合も突起部25a~25dに及んでいる。
【0044】
図7は、パワーコンバータ1の第5実施形態の切取基本図である。第5実施形態では、開口部17、18それぞれの境界を定める第2のハウジングエレメント4のカラー状部分27が第1のハウジングエレメント3内の開口部15、16の内部に突出している。
【0045】
図8は、パワーコンバータ1の第6実施形態の斜視基本図であり、第1のハウジングエレメント3の第1の壁13a及び第2のハウジングエレメント4の第1の壁14aは、ワンピース天井エレメント28によって形成されている。
【0046】
第7実施形態(図示せず)によれば、磁束誘導エレメント19、20は、開口部15~18を通り抜けるワンピース磁束誘導装置によって形成されている。
【0047】
上述した複数の実施形態は、通常は、組み合わせることができる。さらなる実施形態によれば、磁束誘導エレメント又は各磁束誘導エレメント19、20はフェライトプレートから形成してもよい。さらなる実施形態では、磁束誘導エレメント又は各磁束誘導エレメント19、20をカバーエレメント11に、又は、第2のハウジングエレメント4の第1の壁14aに組み込み、例えば、融着、圧延、焼結又はメッキ工程によって、又は、ネジ又はリベットのような締結エレメントによって固定すると規定されている。
【0048】
図9は、配列31の実施形態を含む車両30の実施形態の基本図である。この配列は、車両30を駆動するように構成された発電機32、及び上述した実施形態の1つに係るパワーコンバータ1を含んでいる。パワーコンバータ1は、交流電流を供給して発電機32の回転磁界を発生させるように構成されている。母線配列5を介して発電機32をパワーコンバータ1の電力エレクトロニクスユニット8に接続する接続装置33が第2のハウジングエレメント4内に配置されている。