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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】冷凍野菜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23B 7/04 20060101AFI20241210BHJP
   A23D 9/00 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
A23B7/04
A23D9/00 506
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020150548
(22)【出願日】2020-09-08
(65)【公開番号】P2022045061
(43)【公開日】2022-03-18
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】東條 裕一
(72)【発明者】
【氏名】金子 裕司
(72)【発明者】
【氏名】青木 由希子
(72)【発明者】
【氏名】小林 泰行
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-041632(JP,A)
【文献】特開2017-042160(JP,A)
【文献】国際公開第03/022079(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B、A23D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程1及び2を行うことを特徴とする冷凍野菜の冷解凍による食感の低下抑制方法。
工程1:ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの存在下で野菜を加熱する工程
工程2:工程1で加熱した野菜を冷凍する工程
【請求項2】
下記工程1及び2を含むことを特徴とする冷凍野菜の製造方法。
工程1:ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル及びトコフェロールの存在下で野菜を加熱する工程
工程2:工程1で加熱した野菜を冷凍する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍野菜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍チンジャオロース、冷凍チャンポン等の、解凍するだけで喫食可能な冷凍惣菜に用いられる冷凍野菜は、あらかじめ炒める、茹でる等の加熱をされた上で、冷凍されている。一般的にこのような冷凍野菜は、冷解凍の過程で、加熱後の好ましい食感が低下してしまうという問題がある。
【0003】
冷凍野菜の冷解凍による食感の低下を抑制する技術としては、冷凍穀物、冷凍野菜、冷凍フルーツ類、冷凍メン、冷凍ライス及び冷凍果肉飲料からなる群より選ばれた冷凍飲食品の製造方法において、α,α-トレハロースを0.2~30%(W/W)添加した後、冷凍又は凍結乾燥することを特徴とする冷凍飲食品の製造方法(特許文献1)、尿素を含む溶液に野菜類を浸漬した後、冷凍することを特徴とする冷凍野菜の製造方法(特許文献2)、等が開示されている。
しかしこれらの技術は一長一短があり、加熱した野菜を冷凍して得られる冷凍野菜の、冷解凍による食感の低下を抑制することができる、優れた冷凍野菜の製造方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001‐169766号公報
【文献】特開2001‐224304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、加熱した野菜を冷凍して得られる冷凍野菜の、冷解凍による食感の低下を抑制できる冷凍野菜の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、野菜の加熱時に特定の乳化剤の存在下で加熱することで、その後冷凍して得られる冷凍野菜は冷解凍による食感の低下を抑制できることを見出し、この知見に基づいて本発明の製造方法を成すに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記工程1及び2を含むことを特徴とする冷凍野菜の製造方法。
工程1:ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの存在下で野菜を加熱する工程
工程2:工程1で加熱した野菜を冷凍する工程
から成っている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法で得られる冷凍野菜は、冷解凍による食感の低下が抑制されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の製造方法で用いられる野菜としては特に制限はないが、例えば、果菜類、根菜類、葉菜類、茎菜類、花菜類、発芽野菜等が挙げられ、果菜類としては、例えば、ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、シシトウ、キュウリ、カボチャ、エンドウ、インゲン、ソラマメ、トウモロコシ、オクラ等が挙げられる。根菜類としては、例えば、ジャガイモ、ダイコン、カブ、ニンジン、サツマイモ、ゴボウ、サトイモ等が挙げられる。葉菜類としては、例えば、キャベツ、ハクサイ、レタス、シュンギク、ホウレンソウ、ネギ、ニラ等が挙げられる。茎菜類としては、例えば、アスパラガス、タマネギ、ネギ、ニンニク、ショウガ等が挙げられる。花菜類としては、例えば、ブロッコリー、カリフラワー、ミョウガ等が挙げられる。発芽野菜としては、例えば、もやし、かいわれ大根、豆苗等が挙げられる。これらの中でも、本発明の製造方法の効果の発揮し易さの観点から発芽野菜が好ましく、もやしがさらに好ましい。
【0010】
本発明の製造方法で用いられる野菜は、加熱する前に、洗浄、不要部分の除去、適宜な大きさへの細断等の前処理を行うことができる。
【0011】
本発明の製造方法は、上記野菜を用いて、次の工程1及び2を実施することを特徴とする。
【0012】
[工程1]
工程1は、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの存在下で野菜を加熱する工程である。工程1で用いられるポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、ポリグリセリンと縮合リシノール酸とのエステル化生成物であり、自体公知のエステル化反応等により製造される。該ポリグリセリンは、通常グリセリン、グリシドール、エピクロルヒドリン等を加熱し、重縮合反応させて得られる重合度の異なるポリグリセリンの混合物である。該ポリグリセリンとしては、平均重合度が2~15程度のものが挙げられる。好ましくは平均重合度が3~10程度のものである。該縮合リシノール酸は、リシノール酸を加熱し、重縮合反応させて得られる混合物である。該縮合リシノール酸としては、平均重合度が2~10程度のものが挙げられる。好ましくは平均重合度が3~6程度のものである。
【0013】
工程1における加熱の方法としては特に制限はないが、例えば、炒める、焼く、茹でる、煮る、蒸す、揚げる等の方法が挙げられる。加熱の目的としては特に制限はないが、例えば、調理加熱、ブランチング(酵素失活目的、殺菌目的等の加熱)等が挙げられるが、調理加熱が好ましい。
【0014】
工程1において、加熱をポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの存在下で行う方法としては、加熱時にポリグリセリン縮合リシノール酸エステルが野菜と接触している方法であれば特に制限はないが、例えば炒める場合、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを分散させた油脂を炒め油として用いて、野菜を炒める方法等が挙げられる。例えば焼く場合、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを分散させた油脂を野菜に均一になるようにからめ、該野菜をオーブン等で焼く方法等が挙げられる。例えば茹でる場合、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを混合させた水を茹で汁として用いて、野菜を茹でる方法等が挙げられる。
【0015】
上記加熱時のポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの使用量としては、冷凍野菜の冷解凍による食感の低下抑制の効果が得られる使用量であれば特に制限はないが、例えば炒める場合又は焼く場合、野菜100質量部に対し、通常0.001~2質量部、好ましくは0.005~0.5質量部である。茹でる場合は茹で汁の使用量によっても変わるので一概には言えないが、例えば、野菜の質量の10倍量の茹で汁を用いて茹でる場合、野菜100質量部に対し、通常0.01~20質量部、好ましくは0.05~5質量部である。
【0016】
上記加熱の温度としては特に制限はないが、例えば炒める場合、野菜の品温が通常50~100℃、好ましくは60~90℃である。例えば焼く場合、雰囲気温度が通常140~240℃、好ましくは160~200℃である。例えば茹でる場合、茹で汁の温度が通常90~100℃、好ましくは95~100℃である。
【0017】
上記加熱の時間としては特に制限はないが、例えば炒める場合、通常1~6分、好ましくは2~4分である。例えば焼く場合、通常1~8分、好ましくは2~6分である。例えば茹でる場合、通常1~8分、好ましくは1~3分である。
【0018】
上記加熱は、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルの他、トコフェロールの存在下で行うことが好ましい。ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル及びトコフェロールの存在下で野菜を加熱することで、その後冷凍して得られる冷凍野菜は、冷解凍による食感の低下がさらに抑制される。
【0019】
上記トコフェロールとしては、一般的に食品に使用されているものであれば特に制限はないが、例えば、dl‐α‐トコフェロール(食品添加物)、d‐α‐トコフェロール(食品添加物)、d‐γ‐トコフェロール(食品添加物)、d‐δ‐トコフェロール(食品添加物)、ミックストコフェロール(食品添加物)等が挙げられる。
【0020】
上記ミックストコフェロールとしては、例えば、植物油が精製される過程で副生する脱臭留出物(例えば脱臭スカム、脱臭スラッジ、ホットウェル油等)から回収されるトコフェロール等が挙げられる。具体的には、キャノーラ油、ごま油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、菜種油、パーム油、ひまわり油、綿実油、落花生油等の脱臭留出物から分離・精製して得られる、d‐α‐、d‐β‐、d‐γ‐、d‐δ‐トコフェロール、トコフェロールの同族体であるd‐α‐、d‐β‐、d‐γ‐、d‐δ‐トコトリエノール等を含む混合物等が挙げられる。
【0021】
上記加熱をポリグリセリン縮合リシノール酸エステル及びトコフェロールの存在下で行う方法としては、加熱時にポリグリセリン縮合リシノール酸エステル及びトコフェロールが野菜と接触している方法であれば特に制限はないが、例えば炒める場合、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル及びトコフェロールを分散させた油脂を炒め油として用いて、野菜を炒める方法等が挙げられる。例えば焼く場合、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル及びトコフェロールを分散させた油脂を野菜に均一になるようにからめ、該野菜をオーブン等で焼く方法等が挙げられる。例えば茹でる場合、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル及びトコフェロールを混合させた水を茹で汁として用いて、野菜を茹でる方法等が挙げられる。
【0022】
上記加熱をポリグリセリン縮合リシノール酸エステル及びトコフェロールの存在下で行う場合、トコフェロールの使用量としては、冷凍野菜の冷解凍による食感の低下抑制の効果が得られる使用量であれば特に制限はないが、例えば炒める場合又は焼く場合、野菜100質量部に対し、通常0.0002~0.4質量部、好ましくは0.001~0.1質量部である。茹でる場合は茹で汁の使用量によっても変わるので一概には言えないが、例えば、野菜の質量の10倍量の茹で汁を用いて茹でる場合、野菜100質量部に対し、通常0.002~4質量部、好ましくは0.01~1質量部である。
【0023】
[工程2]
工程2は、工程1で加熱した野菜を冷凍する工程である。工程2において、冷凍条件としては、一般的な野菜の冷凍条件であれば特に制限はないが、冷凍の温度としては、例えば、通常-50~-5℃、好ましくは-35~-25℃である。冷凍の方法としては、例えば、緩慢冷凍、急速冷凍等が挙げられ、冷凍野菜の冷解凍による食感の低下抑制の観点から、急速冷凍が好ましい。
【0024】
本発明の製造方法においては、工程1及び2以外の任意の工程が含まれていても良い。例えば、工程1及び2の間に行う任意の工程として、工程1で加熱した野菜を冷却する工程等が挙げられる。
【0025】
本発明の製造方法で得られる冷凍野菜の解凍方法は、一般的な冷凍野菜の解凍方法であれば良く、例えば、室温での自然解凍、冷蔵庫内での解凍、電子レンジによる解凍、流水又は湯煎による解凍等が挙げられる。
【0026】
本発明の製造方法は、野菜を原材料とする冷凍惣菜を製造する際に、好ましく実施することができる。該惣菜としては特に制限はないが、例えば、チンジャオロース、チャンポン、タンメン、ホイコーロー、マーボーナス、野菜炒め等が挙げられる。
【0027】
以下に本発明の製造方法を実施例で説明するが、これは本発明の製造方法を単に説明するものであって、本発明の製造方法を限定するものではない。
【実施例
【0028】
[冷凍炒めもやしの製造]
(1)製造例1
菜種油(商品名:ナタネサラダ油;ボーソー油脂社製)10g、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)0.1gを混合し、炒め油とした。該炒め油をフライパンで熱し、そこにもやし200gを加え、炒め油がもやしに均一になじむように、へらで撹拌しながら、品温75℃で2分30秒間炒めた後、食塩2.4gを加え、さらに1分間炒めた。次に、炒めもやしを急速冷凍庫(型式:253FFB;大和冷機工業社製)を用いて、-30℃で60分間処理して冷凍し、冷凍炒めもやし(実施例品1)を得た。
【0029】
(2)製造例2
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)の使用量を0.05gに変えた以外は、製造例1と同様に処理し、冷凍炒めもやし(実施例品2)を得た。
【0030】
(3)製造例3
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)の使用量を0.25gに変えた以外は、製造例1と同様に処理し、冷凍炒めもやし(実施例品3)を得た。
【0031】
(4)製造例4
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)の使用量を0.5gに変えた以外は、製造例1と同様に処理し、冷凍炒めもやし(実施例品4)を得た。
【0032】
(5)製造例5
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)の使用量を1gに変えた以外は、製造例1と同様に処理し、冷凍炒めもやし(実施例品5)を得た。
【0033】
(6)製造例6
菜種油(商品名:ナタネサラダ油;ボーソー油脂社製)10g、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)0.1g、トコフェロール(商品名:理研Eオイル700;理研ビタミン社製)0.02gを混合し、炒め油とした。該炒め油をフライパンで熱し、そこにもやし200gを加え、炒め油がもやしに均一になじむように、へらで撹拌しながら、品温75℃で2分30秒間炒めた後、食塩2.4gを加え、さらに品温75℃で1分間炒めた。次に、炒めもやしを急速冷凍庫(型式:253FFB;大和冷機工業社製)を用いて、-30℃で60分間処理して冷凍し、冷凍炒めもやし(実施例品6)を得た。
【0034】
(7)製造例7
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)0.1gを用いる代わりに、プロピレングリコール脂肪酸エステル(商品名:リケマールPS‐100;理研ビタミン社製)1gを用いた以外は、製造例1と同様に処理し、冷凍炒めもやし(比較例品1)を得た。
【0035】
(8)製造例8
菜種油(商品名:ナタネサラダ油;ボーソー油脂社製)10gをフライパンで熱し、そこにもやし200gを加え、菜種油がもやしに均一になじむように、へらで撹拌しながら、品温75℃で2分30秒間炒めた後、食塩2.4gを加え、さらに1分間炒め、炒めもやしを得た。次に、炒めもやしにポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)0.1gを添加して均一になじむようにからめた。次に、炒めもやしを急速冷凍庫(型式:253FFB;大和冷機工業社製)を用いて、-30℃で60分間処理して冷凍し、冷凍炒めもやし(比較例品2)を得た。
【0036】
(9)製造例9
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)0.1gを用いない以外は、製造例1と同様に処理し、冷凍炒めもやし(対照品1)を得た。
【0037】
[冷凍炒めもやしの解凍後の食感の評価]
得られた冷凍炒めもやし(実施例品1~6、比較例品1及び2、対照品1)を、電子レンジを用いて700Wで1分30秒間加熱して解凍したものを喫食し、官能評価試験を行った。試験では、表1に示す評価基準に従い10名のパネラーで評価を行い、評価点の平均値を求め、下記基準に従って記号化した。結果を表2に示す。
◎:平均点3.5以上
〇:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
結果から明らかなように、本発明の製造方法で得られた冷凍炒めもやし(実施例品1~6)は、「〇」以上の優れた結果であった。これに対し、比較例の製造方法により得られた冷凍炒めもやし(比較例品1及び2)は、「△」であり、本発明の製造方法のものに比べて劣っていた。
【0041】
[冷凍焼きもやしの製造]
(1)製造例10
菜種油(商品名:ナタネサラダ油;ボーソー油脂社製)9.9g、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)0.1gを混合し、該混合物をもやし200gに添加し、均一になるようにからめた。該もやしをスチームコンベクションオーブン(型式:SCC WE101;ラショナル・ジャパン社製)を用いて庫内温度180℃で、4分間焼いた。次に、焼きもやしを急速冷凍庫(型式:253FFB;大和冷機工業社製)を用いて、-30℃で60分間処理して冷凍し、冷凍焼きもやし(実施例品7)を得た。
【0042】
(2)製造例11
菜種油(商品名:ナタネサラダ油;ボーソー油脂社製)9.88g、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)0.1g、トコフェロール(商品名:理研Eオイル700;理研ビタミン社製)0.02gを混合し、該混合物をもやし200gに添加し、均一になるようにからめた。該もやしをスチームコンベクションオーブン(型式:SCC WE101;ラショナル・ジャパン社製)を用いて庫内温度180℃で、4分間焼いた。次に、焼きもやしを急速冷凍庫(型式:253FFB;大和冷機工業社製)を用いて、-30℃で60分間処理して冷凍し、冷凍焼きもやし(実施例品8)を得た。
【0043】
(3)製造例12
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)0.1gを用いない以外は、製造例10と同様に処理し、冷凍焼きもやし(対照品2)を得た。
【0044】
[冷凍焼きもやしの解凍後の食感の評価]
得られた冷凍焼きもやし(実施例品7及び8、対照品2)を、電子レンジを用いて700Wで1分30秒処理して解凍したものを喫食し、官能評価試験を行った。試験では、表3に示す評価基準に従い10名のパネラーで評価を行い、評価点の平均値を求め、下記基準に従って記号化した。結果を表4に示す。
◎:平均点3.5以上
〇:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
結果から明らかなように、本発明の製造方法で得られた冷凍焼きもやし(実施例品7及び8)は、「〇」以上の優れた結果であった。
【0048】
[冷凍茹でもやしの製造]
(1)製造例13
鍋に水2000g、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)1gを入れて30秒間撹拌し、加熱して沸騰させた。その後、もやし200gを入れて、攪拌しながら2分間茹でた。次に、茹でもやしを急速冷凍庫(型式:253FFB;大和冷機工業社製)を用いて、-30℃で60分間処理して冷凍し、冷凍茹でもやし(実施例品9)を得た。
【0049】
(2)製造例14
鍋に水2000g、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)1g、トコフェロール(商品名:理研Eオイル700;理研ビタミン社製)0.2gを入れて30秒間撹拌し、加熱して沸騰させた。その後、もやし200gを入れて、攪拌しながら2分間茹でた。次に、茹でもやしを急速冷凍庫(型式:253FFB;大和冷機工業社製)を用いて、-30℃で60分間処理して冷凍し、冷凍茹でもやし(実施例品10)を得た。
【0050】
(3)製造例15
ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル(商品名:ポエムPR‐300;理研ビタミン社製)1gを用いない以外は、製造例13と同様に処理し、冷凍茹でもやし(対照品3)を得た。
【0051】
[冷凍茹でもやしの解凍後の食感の評価]
得られた冷凍茹でもやし(実施例品9及び10、対照品3)を、電子レンジを用いて700Wで1分30秒間処理して解凍したものを喫食し、官能評価試験を行った。試験では、表5に示す評価基準に従い10名のパネラーで評価を行い、評価点の平均値を求め、下記基準に従って記号化した。結果を表6に示す。
◎:平均点3.5以上
〇:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
結果から明らかなように、本発明の製造方法で得られた冷凍茹でもやし(実施例品9及び10)は、「〇」以上の優れた結果であった。