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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】医用画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/46 20240101AFI20241210BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20241210BHJP
   A61B 6/50 20240101ALI20241210BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61B6/46 536Q
A61B6/03 560D
A61B6/50 500B
A61B5/055 380
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020153593
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022047679
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 岳人
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-016480(JP,A)
【文献】特開2012-176282(JP,A)
【文献】国際公開第2014/132829(WO,A1)
【文献】特開2004-159913(JP,A)
【文献】特開2015-071032(JP,A)
【文献】特開2004-180932(JP,A)
【文献】特開2011-115481(JP,A)
【文献】特開2008-126070(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111227931(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第03361445(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
A61B 5/055
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボリュームデータの画像データセットを取得する取得部と、
前記画像データセットから観察断面を示す注目画像を特定する第1特定部と、
前記画像データセットに基づいて、注目領域を特定する第2特定部と、
前記注目画像の前記観察断面に対して垂直方向に存在する前記注目領域に関する情報を前記注目画像上に投影表示させ、前記注目領域と前記注目画像の前記観察断面との空間的な距離に基づいて、前記注目領域に関する情報の表示形態を制御する表示制御部と
を備える、医用画像表示装置。
【請求項2】
前記第1特定部は、前記注目画像から観察領域をさらに特定し、
前記第2特定部は、前記画像データセットのうちの前記観察領域に対応するデータに基づいて、前記注目領域を特定する、
請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記注目領域に関する情報として、心臓弁の石灰化領域に関する情報を表示させる、
請求項1又は2に記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
ボリュームデータの画像データセットを取得する取得部と、
前記画像データセットから心臓弁を含む断面を示す注目画像を特定する第1特定部と、
前記画像データセットのうちの前記心臓弁を含む領域に対応するデータに基づいて、前記心臓弁の石灰化領域を特定する第2特定部と、
前記注目画像の前記心臓弁を含む断面に対して垂直方向に存在する前記石灰化領域に関する情報を前記注目画像上に投影表示させ、前記石灰化領域と前記注目画像の前記心臓弁を含む断面との空間的な距離に基づいて、前記石灰化領域に関する情報の表示形態を制御する表示制御部と
を備える、医用画像表示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記注目領域に関する情報を、前記注目画像における前記注目領域に対応する位置に表示させる、
請求項1~3のいずれか一つに記載の医用画像表示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、さらに、前記観察断面の各位置に対応する前記注目領域の数、及び、前記注目領域の画素値の少なくとも一つに応じて、前記注目領域に関する情報の表示形態を変更する、
請求項1~3、5のいずれか一つに記載の医用画像表示装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記観察断面からの距離、前記観察断面の各位置に対応する前記注目領域の数、及び、前記注目領域の画素値の少なくとも一つに関する条件を利用者から受け付け、受け付けた条件に基づいて、前記注目領域に関する情報の表示形態を変更する、
請求項6に記載の医用画像表示装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記注目領域の少なくとも一部を含む閉領域における前記注目領域に関する情報をさらに表示させる、
請求項1~3、5~7のいずれか一つに記載の医用画像表示装置。
【請求項9】
前記注目領域に関する情報は、前記閉領域の内部における前記注目領域の数又は前記注目領域の画素値に関する情報である、
請求項8に記載の医用画像表示装置。
【請求項10】
前記第1特定部は、前記画像データセットから少なくとも一つの重要な画像データをさらに特定し、
前記表示制御部は、前記少なくとも一つの重要な画像データにおける前記注目領域に関する情報のみを表示させる、
請求項1~3、5~9のいずれか一つに記載の医用画像表示装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記注目画像に前記注目領域に関する情報を重畳表示させる、
請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項12】
前記表示制御部は、さらに、前記注目領域に関する情報と前記注目画像の前記観察断面との位置関係に基づいて、前記注目領域に関する情報の表示形態を制御する、
請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、さらに、前記注目領域に関する情報の画素値に基づいて、前記注目画像上に投影される前記注目領域に関する情報の表示形態を制御する、
請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項14】
前記表示制御部は、前記注目領域に関する情報と前記注目画像の前記観察断面からの空間的な距離に応じて、前記注目領域に関する情報の表示形態を制御する、
請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項15】
前記表示制御部は、さらに、前記注目領域に関する情報と前記注目画像の前記観察断面との位置関係に応じて、前記注目領域に関する情報の表示形態を制御する、
請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項16】
前記表示制御部は、前記注目領域の数、及び、前記注目領域の画素値の少なくとも一つに関する条件を利用者から受け付け、受け付けた条件に基づいて、前記閉領域を設定して表示する、
請求項8に記載の医用画像表示装置。
【請求項17】
前記ボリュームデータは、CT画像である、
請求項1~16のいずれか一つに記載の医用画像表示装置。
【請求項18】
複数時点の画像データの画像データセットを取得する取得部と、
前記画像データセットから観察断面を示す注目画像を特定する第1特定部と、
前記画像データセットに基づいて、注目領域を特定する第2特定部と、
前記注目画像とは異なる時点に存在する前記注目領域に関する情報を前記注目画像上に表示させ、前記注目領域と前記注目画像の前記観察断面との時間的な距離に基づいて、前記注目領域に関する情報の表示形態を制御する表示制御部と
を備える、医用画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、心臓弁に関する手術計画を支援する技術として、被検体の画像から心臓弁における石灰化の分布を算出し、人工弁の置換の難易度を算出する方法が提案されている。この方法では、医師等の利用者は、心臓弁の観察断面上における石灰化の位置や量等を確認して、人工弁の開く量を推定する。しかし、弁は3次元の形状をしているため、観察断面上のみで全体的な石灰化を確認することは困難であり、推定が不正確になる場合があった。
【0003】
なお、このような状況は、心臓弁に関する手術計画に限って生じるものではなく、他の解剖構造に関する手術計画でも同様に生じ得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-226693号公報
【文献】特開2014-151208号公報
【文献】特表2013-544559号公報
【文献】特開2000-287962号公報
【文献】特開2017-189384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、手術計画の策定をより適切に支援することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用画像表示装置は、取得部と、第1特定部と、第2特定部と、表示制御部とを備える。取得部は、ボリュームデータ又は複数時点の画像データの画像データセットを取得する。第1特定部は、前記画像データセットから観察断面を示す注目画像を特定する。第2特定部は、前記画像データセットに基づいて、注目領域を特定する。表示制御部は、前記注目画像と、前記注目領域に関する情報とを表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置の構成例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る取得機能によって取得されるボリュームデータの画像データセットの一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る取得機能によって取得されるボリュームデータの画像データセットの一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る第1特定機能によって行われる注目画像及び観察領域の特定の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る表示制御機能によって行われる注目領域に関する情報の表示の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る表示制御機能によって行われる注目領域に関する情報の表示の一例を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る表示制御機能によって行われる注目領域に関する情報の表示の具体例を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置の処理回路によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、第1の実施形態の変形例1に係る表示制御機能によって行われる注目領域に関する情報の表示の一例を示す図である。
図10図10は、第1の実施形態の変形例1に係る表示制御機能によって行われる注目領域に関する情報の表示の他の一例を示す図である。
図11図11は、第1の実施形態の変形例1に係る表示制御機能によって表示される設定用画面の一例を示す図である。
図12図12は、第2の実施形態に係る表示制御機能によって行われる閉領域に関する情報の表示の一例を示す図である。
図13図13は、第2の実施形態に係る表示制御機能によって行われる閉領域に関する情報の表示の他の一例を示す図である。
図14図14は、第2の実施形態の変形例1に係る表示制御機能によって行われる大動脈弁輪を示す情報の表示の一例を示す図である。
図15図15は、第3の実施形態に係る取得機能によって取得される複数時点の画像データの画像データセットの一例を示す図である。
図16図16は、第3の実施形態に係る第1特定機能によって行われる注目画像及び観察領域の特定の一例を示す図である。
図17図17は、第3の実施形態に係る表示制御機能によって行われる注目領域に関する情報の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、医用画像表示装置の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置の構成例を示す図である。
【0010】
例えば、図1に示すように、本実施形態に係る医用画像表示装置100は、X線CT(Computed Tomography)装置1及び医用画像保管装置2とネットワーク3を介して通信可能に接続されている。
【0011】
なお、医用画像表示装置100は、X線CT装置1の他に、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置や超音波診断装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等の他の医用画像診断装置とさらに接続されていてもよい。
【0012】
X線CT装置1は、被検体に関するCT画像を生成する。具体的には、X線CT装置1は、被検体を囲む円軌道上でX線管及びX線検出器を旋回移動させることで、被検体を透過したX線の分布を表す投影データを収集する。そして、X線CT装置1は、収集された投影データに基づいて、CT画像を生成する。
【0013】
医用画像保管装置2は、被検体に関する各種の医用画像を保管する。具体的には、医用画像保管装置2は、ネットワーク3を介してX線CT装置1からCT画像を取得し、当該CT画像を自装置内の記憶回路に記憶させて保管する。例えば、医用画像保管装置2は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。また、例えば、医用画像保管装置2は、PACS(Picture Archiving and Communication System)等によって実現され、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に準拠した形式でCT画像を保管する。
【0014】
医用画像表示装置100は、被検体に関する各種の画像を表示する。具体的には、医用画像表示装置100は、ネットワーク3を介してX線CT装置1又は医用画像保管装置2からCT画像を取得し、当該CT画像及び当該CT画像から得られる各種の情報を表示する。例えば、医用画像表示装置100は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
【0015】
例えば、医用画像表示装置100は、ネットワーク(NetWork:NW)インタフェース110と、記憶回路120と、入力インタフェース130と、ディスプレイ140と、処理回路150とを備える。
【0016】
NWインタフェース110は、医用画像表示装置100と、ネットワーク3を介して接続された他の装置との間で送受信される各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、NWインタフェース110は、処理回路150に接続されており、他の装置から受信したデータを処理回路150に送信、又は、処理回路150から受信したデータを他の装置に送信する。例えば、NWインタフェース110は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0017】
記憶回路120は、各種データ及び各種プログラムを記憶する。具体的には、記憶回路120は、処理回路150に接続されており、処理回路150から受信したデータを記憶、又は、記憶しているデータを読み出して処理回路150に送信する。例えば、記憶回路120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0018】
入力インタフェース130は、利用者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インタフェース130は、処理回路150に接続されており、利用者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路150に送信する。例えば、入力インタフェース130は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インタフェース、及び音声入力インタフェース等によって実現される。なお、本明細書において、入力インタフェース130は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ送信する電気信号の処理回路も入力インタフェース130の例に含まれる。
【0019】
ディスプレイ140は、各種情報及び各種データを表示する。具体的には、ディスプレイ140は、処理回路150に接続されており、処理回路150から受信した各種情報及び各種データを表示する。例えば、ディスプレイ140は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
【0020】
処理回路150は、医用画像表示装置100の全体を制御する。例えば、処理回路150は、入力インタフェース130を介して利用者から受け付けた入力操作に応じて、各種処理を行う。また、例えば、処理回路150は、他の装置により送信されたデータをNWインタフェース110から受信し、受信したデータを記憶回路120に記憶する。また、例えば、処理回路150は、記憶回路120から受信したデータをNWインタフェース110に送信することで、当該データを他の装置に送信する。また、例えば、処理回路150は、記憶回路120から受信したデータをディスプレイ140に表示させる。
【0021】
以上、本実施形態に係る医用画像表示装置100の構成例について説明した。このような構成のもと、本実施形態に係る医用画像表示装置100は、例えば、病院や診療所等の医療施設に設置され、医師等の利用者によって行われる手術計画の策定を支援する。
【0022】
例えば、本実施形態に係る医用画像表示装置100は、心臓弁に関する手術計画を策定する際に用いられる。
【0023】
例えば、弁膜症の患者に対する治療方法として、治療の対象となる弁の位置に血管を通じて人工弁を輸送して置換する手法(以下、カテーテル手術)がある。このカテーテル手術では、細かく折り畳まれた状態で輸送された人工弁を治療の対象となる弁の位置で広げることによって、弁の置換が実施される。そのため、カテーテル手術では、手術前に弁の形態情報を取得して、人工弁の開く量を推定することが重要となる。
【0024】
ここで、例えば、形態情報の取得を支援する技術として、画像から弁領域を自動的に抽出し、予め定められた計測項目を自動的に算出する技術が知られている。この技術では、医師等の利用者は、算出された計測結果に基づいて人工弁の開く量を推定するが、弁に石灰化が生じている場合は正確な推定が困難であった。石灰化によって、弁は固くなり、弁径まで開かなくなるためである。
【0025】
これに対し、例えば、心臓弁に関する手術計画を支援する技術として、被検体の画像から心臓弁における石灰化の分布を算出し、人工弁の置換の難易度を算出する方法が提案されている。この方法では、医師等の利用者は、心臓弁の観察断面上における石灰化の位置や量等を確認して、人工弁の開く量を推定する。しかし、弁は3次元の形状をしているため、観察断面上のみで全体的な石灰化を確認することは困難であり、推定が不正確になる場合があった。
【0026】
なお、このような状況は、心臓弁に関する手術計画に限って生じるものではなく、他の解剖構造に関する手術計画でも同様に生じ得るものである。
【0027】
このようなことから、本実施形態に係る医用画像表示装置100は、手術計画の策定をより適切に支援することができるように構成されている。
【0028】
具体的には、医用画像表示装置100は、処理回路150が有する処理機能として、取得機能151と、第1特定機能152と、第2特定機能153と、表示制御機能154とを有する。ここで、取得機能151は、取得部の一例である。また、第1特定機能152は、第1特定部の一例である。また、第2特定機能153は、第2特定部の一例である。また、表示制御機能154は、表示制御部の一例である。
【0029】
取得機能151は、NWインタフェース110を介して、X線CT装置1又は医用画像保管装置2から被検体のボリュームデータの画像データセットを取得する。ここで、ボリュームデータは、X線CT装置1によって撮像されたCT画像である。
【0030】
なお、取得機能151が取得するボリュームデータの画像データとしては、CT画像に限られず、対象とする解剖構造の3次元的な情報が格納されている種類の画像であれば、どのような種類の画像データが用いられてもよい。例えば、超音波診断装置によって撮像された超音波画像や、MRI装置によって撮像されたMR画像等のように、他の医用画像診断装置によって撮像された画像が用いられてもよい。
【0031】
図2及び3は、第1の実施形態に係る取得機能151によって取得されるボリュームデータの画像データセットの一例を示す図である。
【0032】
例えば、図2及び3に示すように、本実施形態では、説明の簡略化のため、取得機能151は、頭尾方向に順に並んだ8つのスライス画像S1~S8を含み、かつ、各スライス画像がX方向に10画素及びY方向に10画素を含むボリュームデータの画像データセットを取得したとする。
【0033】
図1に戻り、第1特定機能152は、取得機能151によって取得されたボリュームデータの画像データセットから観察断面を示す注目画像を特定する。
【0034】
ここで、注目画像とは、利用者が観察している観察断面を示す画像データであり、例えば、ディスプレイ140の表示画面上に表示されている画像データである。また、第1特定機能152は、ディスプレイ140の表示画面上に複数の画像データが表示されている場合には、その全てを注目画像として特定してもよいし、一部の画像データだけを注目画像として特定してもよい。例えば、一部の画像データだけを注目画像として特定する場合には、第1特定機能152は、マウス等の操作機器により指定されている画像データ(例えば、マウスカーソルが存在する位置における表示画面上の表示領域に表示されている画像データ)を注目画像として特定してもよいし、既知の視線検出装置により検出される視線位置における表示画面上の表示領域に表示されている画像データを注目画像として特定してもよい。なお、第1特定機能152が注目画像を特定する方法としては、ここで説明した手法に限られず、画像データから注目画像を特定できる手法であれば、どのような手法が用いられてもよい。
【0035】
例えば、心臓弁に関する手術計画の策定が行われる場合には、第1特定機能152は、ボリュームデータの画像データセットから心臓弁を含む断面を示す注目画像を特定する。
【0036】
また、第1特定機能152は、注目画像から観察領域をさらに特定する。
【0037】
例えば、心臓弁に関する手術計画の策定が行われる場合には、第1特定機能152は、注目画像から心臓弁を含む領域をさらに特定する。
【0038】
ここで、観察領域とは、注目画像における利用者が観察している領域である。注目画像そのものであってもよいし、注目画像における一部の領域であってもよい。一部の領域の場合、利用者が入力インタフェース130を用いて指定する領域であってもよいし、特定のアルゴリズムに基づいて特定する領域であってもよい。例えば、注目画像の内の表示画面上の表示領域に表示される領域であってもよいし、既知の画像処理技術により観察領域を特定してもよい。
【0039】
図4は、第1の実施形態に係る第1特定機能152によって行われる注目画像及び観察領域の特定の一例を示す図である。
【0040】
例えば、図4に示すように、本実施形態では、第1特定機能152は、図2及び3に示したボリュームデータの画像データセットからスライス画像S3を注目画像として特定したとする。また、第1特定機能152は、注目画像として特定したスライス画像S3におけるX座標が3~7の範囲かつY座標が4~8の範囲の領域を観察領域(図4において太枠で示す領域R1)として特定したとする。
【0041】
なお、本実施形態では、注目画像がスライス画像と同じ断面上にある場合の例を説明するが、注目画像の例はこれに限られない。例えば、注目画像は、既知の技術によりCT画像を任意の方向に再構成(多断面再構成:MPR(Multi Planer Reconstruction))した断面の画像データであってもよい。
【0042】
図1に戻り、第2特定機能153は、取得機能151によって取得されたボリュームデータの画像データセットに基づいて、注目領域を特定する。
【0043】
ここで、注目領域とは、利用者が観察断面において確認したい構造等が占める画像上の位置情報である。なお、注目領域は、2次元の領域であってもいいし、3次元の領域であってもよい。
【0044】
本実施形態では、第2特定機能153は、ボリュームデータの画像データセットのうちの第1特定機能152によって特定された観察領域に対応するデータに基づいて、注目領域を特定する。ここで、第2特定機能153は、観察領域に対応するデータそのものから注目領域を特定してもよいし、観察領域に基づいて特定される観察領域とは異なる領域(観察領域より広い又は狭い領域)に対応するデータから注目領域を特定してもよい。しかし、実施形態はこれに限られず、第2特定機能153は、ボリュームデータ全体から注目領域を特定するようにしてもよい。
【0045】
例えば、心臓弁に関する手術計画の策定が行われる場合には、第2特定機能153は、ボリュームデータの画像データセットのうちの心臓弁を含む領域に対応するデータに基づいて、心臓弁の石灰化領域を特定する。
【0046】
例えば、第2特定機能153は、ユーザインタフェースを用いて利用者から手動で注目領域とする領域の指定を受け付けることで、注目領域を特定してもよい。また、第2特定機能153は、既知の領域抽出技術により画像に描出される解剖学的構造に基づいて領域を抽出し、当該領域を注目領域として特定してもよい。ここでいう既知の領域抽出技術としては、例えば、CT値に基づく二値化処理、グラフカット処理等がある。
【0047】
なお、第2特定機能153が注目領域を特定する方法としては、上述した手法に限られず、画像から注目領域を特定できる手法であれば、どのような手法が用いられてもよい。例えば、第2特定機能153は、機械学習技術を用いて事前に学習用データによって学習された注目領域の形状モデルから注目領域を推定して特定してもよい。また、例えば、上述した二値化処理等の領域抽出技術を用いる場合に、画像の全体に対して処理を実施すると、対象とする構造以外の領域も特定されて後段の処理が煩雑になる可能性が高くなる。そのため、第2特定機能153は、注目領域に関連する領域(例えば、注目領域を大動脈弁における石灰化とする場合には、心臓領域や大動脈弁の周囲の領域等)を関連領域として特定し、当該関連領域にのみに処理を実施して注目領域を特定してもよい。この場合に、例えば、第2特定機能153は、ユーザインタフェースを用いて利用者から手動で関連領域とする領域の指定を受け付けることで、関連領域を特定してもよい。
【0048】
例えば、本実施形態では、第2特定機能153は、図4で黒色を付けた画素の位置に対応する領域を注目領域として特定したとする。すなわち、第2特定機能153は、XYZ座標系における領域を(X、Y、Z)と表した場合に、図4に示した(7,7,S1)、(3,9,S2)、(7,4,S3)、(2,2,S5)、(7,4,S5)、(5,5,S6)、(4,4,S7)、(5,5,S7)及び(4,8,S8)の9つの領域をそれぞれ注目領域として特定したとする。
【0049】
表示制御機能154は、第1特定機能152によって特定された注目画像と、第2特定機能153によって特定された注目領域に関する情報とをディスプレイ140に表示させる。
【0050】
例えば、心臓弁に関する手術計画の策定が行われる場合には、表示制御機能154は、注目領域に関する情報として、心臓弁の石灰化領域に関する情報を表示させる。
【0051】
また、本実施形態では、表示制御機能154は、注目領域に関する情報を、注目画像における当該注目領域に対応する位置に表示させる。
【0052】
具体的には、表示制御機能154は、予め設定された条件に基づいて、夫々の注目領域に関する情報を、注目画像上の観察領域における対応する位置に表示させる。
【0053】
また、本実施形態では、表示制御機能154は、注目画像に注目領域に関する情報を重畳表示させる。
【0054】
具体的には、表示制御機能154は、注目領域に関する情報のうち注目画像とは異なる断面又は時点に基づいた情報を注目画像面上に投影表示させる。
【0055】
例えば、表示制御機能154は、注目領域に関する情報のうち注目画像とは異なる断面又は時点に基づいた情報を注目画像面上に対して垂直方向に投影表示させる。
【0056】
図5及び6は、第1の実施形態に係る表示制御機能154によって行われる注目領域に関する情報の表示の一例を示す図である。
【0057】
例えば、「観察領域の断面に垂直な方向(Z方向)に存在する注目領域の観察領域に対応する位置を赤色にて表示する」という条件が設定されていたとする。この場合、例えば、図5に示すように、表示制御機能154は、注目画像として特定されているスライス画像S3において、(7,7,S1)の注目領域の観察領域における対応位置である(7,7,S3)の画素を赤色で表示する。なお、図5では、赤色で表示される画素には右下がりの斜線の模様を付している。また、表示制御機能154は、同様に、スライス画像S3において、(5,5,S6)及び(5,5,S7)の注目領域の観察領域における対応位置である(5,5,S3)の画素を赤色で表示する。また、表示制御機能154は、同様に、スライス画像S3において、(4,5,S7)の注目領域の観察領域における対応位置である(4,5,S3)の画素、及び、(4,8,S8)の注目領域の対応位置である(4,8,S3)の画素をそれぞれ赤色で表示する。また、表示制御機能154は、同様に、スライス画像S3において、(7,4,S5)の注目領域の観察領域における対応位置である(7,4,S3)の画素を赤色で表示する。ここで、スライス画像S3において、注目領域に関する情報を表示する画素以外の画素は、元の画素値がそのまま表示される(つまり、画素の表示は変化しない)。なお、図5に示す例では、スライス画像S3において、(7,4,S5)の注目領域の観察領域における対応位置である(7,4,S3)の画素は、既に注目領域として特定されている。このような場合は、表示制御機能154は、当該領域の表示形態を変更しないようにしてもよい。
【0058】
また、他の例として、例えば、「観察領域の断面に垂直な方向(Z方向)の頭方向に存在する注目領域の観察領域に対応する位置を青色にて表示する」という条件が設定されていたとする。この場合、例えば、図6に示すように、(7,7,S1)の注目領域の観察領域における対応位置である(7,7,S3)の画素を青色で表示する。なお、図6では、青色で表示される画素には左下がりの斜線の模様を付している。また、表示制御機能154は、その他の注目領域については、条件に合致しないため、観察領域における対応位置にある画素の表示を変更しない。
【0059】
図7は、第1の実施形態に係る表示制御機能154によって行われる注目領域に関する情報の表示の具体例を示す図である。
【0060】
例えば、図7に示すように、表示制御機能154は、心臓弁に関する手術計画の策定が行われる場合には、心臓弁の石灰化領域に関する情報を、注目画像上の心臓弁を含む領域における対応する位置に表示させる。例えば、表示制御機能154は、上述した方法によって、注目画像上の心臓弁を含む領域における石灰化領域に対応する位置の画素を赤色や青色で表示する。なお、図7では、赤色で表示される画素には右下がりの斜線の模様を付し、青色で表示される画素には左下がりの斜線の模様を付している。
【0061】
なお、表示制御機能154によって用いられる条件としては、上述した条件に限られず、夫々の注目領域に対応する情報を観察領域に表示するための判定ができる条件であれば、どのような条件が用いられてもよい。例えば、「観察断面に対して45度の角度方向に存在する注目領域の観察領域に対応する位置」の表示形態を変更するような条件であってもよいし、「観察領域の断面に垂直な方向(Z方向)において3画素以内に存在する注目領域の観察領域に対応する位置」の表示形態を変更するような条件であってもよい。
【0062】
また、上述した例では、表示制御機能154は、注目領域に関する情報の表示形態として、赤色や青色を用いることとしたが、注目領域における画素値をそのまま用いてもよいし、透過度を設定して本来の画素値の情報を観察できるようにしてもよい。また、表示制御機能154は、色ではなく、テクスチャやパターン等を用いて、注目領域に関する情報を表現してもよい。
【0063】
以上、医用画像表示装置100の処理回路150が有する各処理機能について説明した。ここで、例えば、処理回路145は、プロセッサによって実現される。この場合に、例えば、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路120に記憶される。そして、処理回路150は、記憶回路120に記憶された各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、処理回路145は、各プログラムを読み出した状態で、図1に示す各処理機能を有することとなる。
【0064】
図8は、第1の実施形態に係る医用画像表示装置100の処理回路150によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0065】
例えば、図8に示すように、処理回路150は、入力インタフェース130を介して利用者から開始指示を受け付けた場合に(ステップS11,Yes)、NWインタフェース110を介して、X線CT装置1又は医用画像保管装置2から被検体のボリュームデータの画像データセットを取得する(ステップS12)。このステップは、取得機能151に対応するステップである。例えば、処理回路150は、取得機能151に対応するプログラムを記憶回路120から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0066】
続いて、処理回路150は、ボリュームデータの画像データセットから観察断面を示す注目画像を特定し(ステップS13)、さらに、注目画像から観察領域を特定する(ステップS14)。このステップは、第1特定機能152に対応するステップである。例えば、処理回路150は、第1特定機能152に対応するプログラムを記憶回路120から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0067】
続いて、処理回路150は、ボリュームデータの画像データセットに基づいて、注目領域を特定する(ステップS15)。このステップは、第2特定機能153に対応するステップである。例えば、処理回路150は、第2特定機能153に対応するプログラムを記憶回路120から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0068】
続いて、処理回路150は、注目画像と、注目領域に関する情報とをディスプレイ140に表示させる(ステップS16)。このステップは、表示制御機能154に対応するステップである。例えば、処理回路150は、表示制御機能154に対応するプログラムを記憶回路120から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0069】
なお、処理回路150は、単一のプロセッサによって実現されるものに限られず、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、処理回路150が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、処理回路150が有する各処理機能は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。また、ここでは、各処理機能に対応するプログラムが単一の記憶回路120に記憶される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、各処理機能に対応するプログラムが複数の記憶回路に分散して記憶され、処理回路150が、各記憶回路から各プログラムを読み出して実行する構成としても構わない。また、各処理機能を実現するソフトウェアは、クラウドをはじめとするネットワークを介したサーバ上で動作してもよい。
【0070】
上述したように、第1の実施形態では、取得機能151は、X線CT装置1又は医用画像保管装置2からボリュームデータの画像データセットを取得する。また、第1特定機能152は、ボリュームデータの画像データセットから観察断面を示す注目画像を特定する。また、第2特定機能153は、ボリュームデータの画像データセットに基づいて、注目領域を特定する。そして、表示制御機能154は、注目画像と、注目領域に関する情報とをディスプレイ140に表示させる。
【0071】
このような構成によれば、ボリュームデータのように観察断面と直交する方向の情報を有する画像データセットに基づいて注目領域を特定し、当該注目領域に関する情報を表示させることで、観察断面以外に存在する注目領域に関する情報を利用者に提示することができる。これにより、医師等の利用者が手術計画の策定を行う際に、注目領域に関する情報をより正確に認識できるようになる。
【0072】
例えば、心臓弁に関する手術計画の策定が行われる場合には、医用画像表示装置100は、ボリュームデータの画像データセットに基づいて、心臓弁の石灰化領域を特定し、当該石灰化領域に関する情報を注目画像とともにディスプレイ140に表示させる。これにより、観察断面以外に存在する石灰化の位置や量の情報を観察断面に分かりやすく表示することができる。この結果、医師等の利用者は、観察断面上で対象となる部位の石灰化の情報をより正確に認識することができるようになり、計測や推定をより正確に行えるようになる。
【0073】
したがって、第1の実施形態によれば、手術計画の策定をより適切に支援することができる。
【0074】
(第1の実施形態の変形例1)
なお、上述した第1の実施形態では、表示制御機能154は、予め設定された条件に基づいて、各々の注目領域に関する情報を同じ表示形態(赤色や青色等)で表示させることとしたが、注目領域に関する情報の表示方法はこれに限られない。
【0075】
例えば、表示制御機能154は、上述した条件とは別に予め設定された条件(以下、第2の条件)に基づいて、夫々の注目領域に関する情報の表示形態を制御してもよい。
【0076】
例えば、表示制御機能154は、注目画像に投影される注目領域に関する情報と注目画像との空間的又は時間的な距離、或いは、注目画像に投影される注目領域に関する情報と注目画像との位置関係に基づいて、注目領域に関する情報の表示形態を制御する。
【0077】
または、例えば、表示制御機能154は、注目領域に関する情報の画素値に基づいて、注目画像上に投影される注目領域に関する情報の表示形態を制御する。
【0078】
一例として、例えば、表示制御機能154は、観察断面からの距離に応じて、注目領域に関する情報の表示形態を変更してもよい。
【0079】
図9は、第1の実施形態の変形例1に係る表示制御機能154によって行われる注目領域に関する情報の表示の一例を示す図である。
【0080】
例えば、第2の条件として「注目領域が観察断面からの距離が1~2スライスの場合は赤色、3~4スライスの場合は青色、5スライス以上の場合は緑色」という条件が設定されていたとする。この場合、表示制御機能154は、図4に示した(7,7,S1)及び(7,4,S5)の注目領域については、観察領域からの距離が2スライスであるため、例えば、図9に示すように、注目画像として特定されているスライス画像S3において、当該注目領域の観察領域における対応位置である(7,7,S3)及び(7,4,S3)の画素をそれぞれ赤色で表示する。なお、図9では、赤色で表示される画素には右下がりの斜線の模様を付している。また、表示制御機能154は、図4に示した(5,5,S6)、(5,5,S7)及び(4,5,S7)の注目領域については、観察領域からの距離が3又は4スライスであるため、スライス画像S3において、当該注目領域の観察領域における対応位置である(5,5,S3)及び(4,5,S3)の画素をそれぞれ青色に表示する。なお、図9では、青色で表示される画素には左下がりの斜線の模様を付している。また、表示制御機能154は、図4に示した(4,8,S8)の注目領域については、観察領域からの距離が5スライスであるため、スライス画像S3において、当該注目領域の観察領域における対応位置である(4,8,S3)の画素を緑色で表示する。なお、図9では、緑色で表示される画素には点の模様を付している。
【0081】
また、他の例として、例えば、表示制御機能154は、観察断面の各位置に対応する注目領域の数に応じて、注目領域に関する情報の表示形態を変更するようにしてもよい。
【0082】
図10は、第1の実施形態の変形例1に係る表示制御機能154によって行われる注目領域に関する情報の表示の他の一例を示す図である。
【0083】
例えば、第2の条件として「観察領域の位置に対応する注目領域の数が1画素の場合は赤、2画素以上の場合は青」という条件が設定されていたとする。この場合、表示制御機能154は、図4に示した(7,7,S1)、(4,5,S7)及び(4,8,S8)の注目領域については、注目画像として特定されているスライス画像S3において、それぞれの観察領域における対応位置である(7,7,S3)、(4,5,S3)及び(4,8,S3)に対応する注目領域の数が1画素のみが対応しているため、例えば、図10に示すように、当該観察領域の位置の画素をそれぞれ赤色で表示する。なお、図10では、赤色で表示される画素には右下がりの斜線の模様を付している。また、表示制御機能154は、図4に示した(7,4,S3)及び(7,4,S5)並びに(5,5,S6)及び(5,5,S7)の注目領域については、スライス画像S3において、それぞれの観察領域における対応位置である(7,4,S3)及び(5,5,S3)に対応する注目領域の数が2画素であるため、例えば、図10に示すように、当該観察領域の位置の画素を青色で表示する。なお、図10では、青色で表示される画素には左下がりの斜線の模様を付している。
【0084】
また、他の例として、例えば、表示制御機能154は、注目領域の画素値に応じて、注目領域に関する情報の表示形態を変更してもよい。
【0085】
例えば、第2の条件として「注目領域における画素値の大きさが閾値以上であれば赤、閾値未満であれば青」という条件が設定されていたとする。この場合、表示制御機能154は、観察領域の位置に複数の注目領域が対応している場合に、当該複数の注目領域における画素値の平均値や最大値又は合計値を、上述した条件における画素値とする。
【0086】
なお、第2の条件は、上述した例に限られず、それぞれの注目領域に対応する情報を特定の条件に基づいて識別可能となるものであれば、どのような条件であってもよい。
【0087】
例えば、上述した例では、離散的な場合分けに対して色を割り振ることによって表示形態を変更することとしたが、観察断面からの距離や注目領域の数、画素値のような連続的な値を持つものに対して条件を設定する場合には、表示形態を連続的に変化させるように第2の条件を設定してもよい。例えば、255階調のグレースケールを用いて、観察断面からの距離が近い位置に注目領域が存在するほど強い白色を割り当て遠い位置に存在するほど黒色となるように距離の大きさに応じて連続的に色を割り当てるように第2の条件を設定してもよい。また、透過度を連続的に変えるように第2の条件を設定してもよい。
【0088】
また、例えば、観察断面と注目領域との位置関係に応じて表示形態を変更するように第2の条件を設定してもよい。例えば、観察断面に対して頭方向にあるスライス画像(図4に示したスライス画像S1及びS2)に存在する注目領域については、観察断面における対応位置の画素を赤系統の色で表示し、尾方向にあるスライス画像(図4に示したスライス画像S4~S8)に存在する注目領域については、観察断面における対応位置の画素を青系統の色で表示するように第2の条件を設定してもよい。
【0089】
また、例えば、上述した複数の条件のいくつかを組み合わせた条件を第2の条件として設定してもよい。例えば「注目領域が観察断面からの距離が1~2スライスであり当該注目領域の画素値が閾値以上は緑色」のように複数の条件を組み合わせて第2の条件としてもよい。また、「観察断面からの距離が2以上であり注目領域の画素値が閾値未満との両方の条件を満たす注目領域は観察断面上に表示しない」というように「表示しない」という条件を第2の条件として設定してもよい。
【0090】
また、上述した各種の第2の条件は、ユーザインタフェースを用いて利用者が任意に設定できるようにしてもよい。
【0091】
例えば、表示制御機能154は、観察断面からの距離、観察断面の各位置に対応する注目領域の数、及び、注目領域の画素値の少なくとも一つに関する条件を利用者から受け付け、受け付けた条件に基づいて、注目領域に関する情報の表示形態を変更する。
【0092】
例えば、表示制御機能154は、第2の条件に関する設定値を入力するための設定用画面をディスプレイ140に表示させて、利用者から条件を受け付ける。
【0093】
図11は、第1の実施形態の変形例1に係る表示制御機能154によって表示される設定用画面の一例を示す図である。
【0094】
例えば、図11に示すように、表示制御機能154は、観察断面からの距離、注目領域の画素値(複数の場合は合計)及び注目領域の数の3つの条件の中から一つ又は複数を選択するためのチェックボックスと、各条件の設定値を入力するためのテキストボックスと、選択した条件を満たす注目領域を表示するか、表示しないかを選択するためのチェックボックスとを含む設定用画面をディスプレイ140に表示させる。
【0095】
なお、第2の条件を設定するためのユーザインタフェースは、図11に示す設定用画面に限られず、上述した条件を利用者が設定できれば、どのようなインタフェースであってもよい。例えば、第2の条件を設定するためのユーザインタフェースは、各種論理式(AND,OR,NOT,等)を入力可能とすることで、複雑な条件を設定できるようにしたインタフェースであってもよい。また、例えば、条件ごとに、注目領域に関する情報を表示する際の表示形態(色、テクスチャ、パターン等)を利用者が適宜に設定できるようにしたインタフェースであってもよい。
【0096】
(第1の実施形態の変形例2)
また、上述した第1の実施形態では、第1特定機能152が注目画像及び観察領域を特定した後に、第2特定機能153が注目領域を特定し、表示制御機能154が注目領域に関する情報を表示させることとしたが、注目領域に関する情報の表示タイミングはこれに限られない。
【0097】
例えば、取得機能151がボリュームデータの画像データセットを取得した後に、第2特定機能153が当該画像データセットに基づいて注目領域を特定しておき、利用者から指示されたタイミングで、第1特定機能152が注目画像及び観察領域を特定し、表示制御機能154が注目領域に関する情報を表示させてもよい。
【0098】
この場合には、第2特定機能153は、ボリュームデータの画像データセットのうちの第1特定機能152によって特定された観察領域に対応するデータに基づいて注目領域を特定するのではなく、画像データセットの全てに基づいて注目領域を特定する。そして、表示制御機能154は、第2特定機能153によって特定された注目領域のうち、注目画像上の対応位置が第1特定機能152によって特定された観察領域に含まれる注目領域に関する情報のみを表示させる。
【0099】
これにより、利用者による任意のタイミングで、注目領域に関する情報を表示させることができる。
【0100】
また、例えば、表示制御機能154は、ディスプレイ140の表示画面上に表示されている画像に対して利用者がブラウジングと呼ばれる操作を行うことで、画像をスライス送りしたり、拡大率を変更したりしてもよい。この例では、当該操作に応じて、第1特定機能152によって特定される観察領域が変化することとなる。この場合には、表示制御機能154は、利用者が当該操作を行うたびに注目領域に関する領域を更新してもよいし、利用者からの指示によって注目領域に関する情報の表示を切り替えてもよい。
【0101】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、以下では、第2の実施形態について、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、第1の実施形態と共通する内容については詳細な説明を省略する。
【0102】
上述した第1の実施形態では、表示制御機能154は、注目領域に関する情報を表示させることとしたが、第2の実施形態では、注目領域の少なくとも一部を含む閉領域における注目領域に関する情報をディスプレイ140に表示させる。
【0103】
例えば、心臓弁に関する手術計画の策定が行われる場合には、表示制御機能154は、注目画像と、石灰化領域の少なくとも一部を含む閉領域における石灰化領域に関する情報とを表示させる。
【0104】
例えば、表示制御機能154は、第2特定機能153によって特定された注目領域を用いて所定の計測項目を自動計測し、当該計測によって得られた計測値を注目画像とともに表示させる。例えば、表示制御機能154は、第1特定機能152によって特定された観察領域の中心を中心とし、任意の半径を設定した場合における円柱の内部の注目領域の画素数を計測し、計測された画素数を注目画像とともに表示する。ここで、円柱の内部は、閉領域の一例である。また、円柱の内部の注目領域の画素数は、閉領域における石灰化領域に関する情報の一例である。
【0105】
図12は、第2の実施形態に係る表示制御機能154によって行われる閉領域に関する情報の表示の一例を示す図である。
【0106】
例えば、図12に示すように、表示制御機能154は、図4に示した例において、観察領域(図4に太枠で示す領域R1)の中心である(5,6,S3)の画素を中心として設定し、半径として1.5画素を設定し、円柱の底面をスライス画像S1及びスライス画像S8に設定する。なお、これらの設定は、ユーザインタフェースを用いて利用者によって任意に設定されてもよいし、予め設定されてもよい。また、これらの設定は、観察領域の大きさや注目領域の分布に応じて自動で設定されてもよい。
【0107】
図12では、スライス画像S1~S8それぞれにおいて、設定された円柱の表面に対応する円の円周を破線で示している。ここで、当該円周の内部に一部又は全部が含まれる画素は、(5,5,S6)、(4,5,S7)及び(5,5,S7)である。したがって、表示制御機能154は、円柱の内部に存在する注目領域の画素数として3を表示する。このとき、例えば、表示制御機能154は、(4,5,S7)のように一部だけが円周の内部に含まれている画素については、円周の内部に含まれている割合に応じた値に変換してもよい。例えば、(4,5,S7)の画素の円周の内部に含まれる割合が0.6である場合には、表示制御機能154は、円柱の内部に存在する注目領域の画素数として2.6を表示する。
【0108】
なお、計測の範囲として設定される閉領域の形状は、円柱に限られず、どのような形状に設定されてもよい。例えば、閉領域の形状は、観察領域の形状に合わせて観察領域に相似な形状に設定されてもよいし、球や直方体に設定されてもよい。または、観察領域そのもの(つまり観察領域全体)が計測対象の閉領域として設定されてもよい。
【0109】
また、計測項目の値も、注目領域に関する情報であれば、どのような値であってもよい、例えば、画素数ではなく注目領域の画素値の合計値としてもよいし、中心から各注目領域に対するベクトルの合成ベクトルを算出してもよい。なお、ベクトル量を算出する場合は、表示制御機能154は、注目画像上に矢印等の記号を用いてベクトルの大きさと向きを可視化してもよい。
【0110】
また、表示制御機能154は、注目領域の数、及び、注目領域の画素値の少なくとも一つに関する条件を利用者から受け付け、受け付けた条件に基づいて、閉領域を設定して表示してもよい。
【0111】
この場合、例えば、表示制御機能154は、観察領域の中心を中心とし、円柱の内部に存在する注目領域の画素数が利用者から受け付けた画素数になった際の円周を計算してもよい。
【0112】
図13は、第2の実施形態に係る表示制御機能154によって行われる閉領域に関する情報の表示の他の一例を示す図である。
【0113】
例えば、図13に示すように、表示制御機能154は、図4に示した例において、観察領域(図4に太枠で示す領域R1)の中心である(5,6,S3)の画素を中心として円柱を設定する。そして、表示制御機能154は、円柱の半径を徐々に広げながら円柱の内部に存在する注目領域の画素数を算出し、算出した画素数が3.5となった際の円周を計算する。なお、これらの設定は、ユーザインタフェースを用いて利用者によって任意に設定されてもよいし、予め設定されてもよい。例えば、注目領域の画素数を3.5とすることが利用者によって設定される。
【0114】
図13では、スライス画像S1~S8それぞれにおいて、円柱の内部に存在する注目領域の画素数が3.5となった際の円柱の表面に対応する円の円周を破線で示している。ここで、(5,5,S6)及び(5,5,S7)の画素については、それぞれ、画素の全部が円柱の内部に含まれているため画素数が1と算出される。また、(4,5,S7)の画素については、画素の9割が円柱の内部に含まれているため画素数が0.9と算出される。また、(7,7,S1)及び(4,8,S8)の画素については、それぞれ、画素の3割が円柱の内部に含まれているため画素数が0.3と算出される。この場合に、画素数の合計が3.5となり、この場合の円周は直径4である。したがって、表示制御機能154は、4πを計測値として計算して表示する。
【0115】
なお、上述した例では、表示制御機能154は、円柱の内部に存在する注目領域の画素数に基づいて円周を計算することとしたが、画素値に基づいて円周を計算してもよい。また、例えば、表示制御機能154は、中心からの距離に応じた値を重みとして各画素値に乗じた値に基づいて円周を計算してもよい。
【0116】
また、計測値として計算される値はどのような値であってもよい。例えば、円柱の直形の大きさであってもよいし、円の面積や円柱の体積であってもよい。
【0117】
なお、本実施形態では、表示制御機能154は、計測の範囲として設定した閉領域を示す情報(図12及び13に示す例では破線)を注目画像上に表示してもよいし、表示しなくてもよい。また、表示制御機能154は、利用者の指示に基づいて、閉領域を示す情報の表示/非表示を切り替えてもよい。
【0118】
また、本実施形態では、表示制御機能154は、第1の実施形態で説明した注目領域に関する情報に加えて、上述した閉領域に関する情報をさらに表示させてもよいし、注目領域に関する情報に替えて、閉領域に関する情報を表示させてもよい。
【0119】
上述したように、第2の実施形態では、表示制御機能154は、注目領域の少なくとも一部を含む閉領域における注目領域に関する情報を表示させる。
【0120】
このような構成によれば、医師等の利用者が手術計画の策定を行う際に、特定の指標(例えば、量)を満たす注目領域を含む閉領域を容易に認識できるようになる。
【0121】
したがって、第2の実施形態によっても、手術計画の策定をより適切に支援することができる。
【0122】
(第2の実施形態の変形例)
なお、上述した第2の実施形態では、表示制御機能154は、注目領域に関する情報を表示させることとしたが、例えば、注目領域に関する情報以外の重要な情報をさらに表示させてもよい。
【0123】
例えば、表示制御機能154は、観察対象が大動脈弁である場合には、ボリュームデータの画像データセットから大動脈の輪郭を抽出し、当該輪郭を示す情報を注目画像にさらに表示させてもよい。
【0124】
または、例えば、表示制御機能154は、ボリュームデータの画像データセットから大動脈弁輪(Annulus)を抽出し、当該大動脈弁輪を示す情報を弁輪径とともに注目画像にさらに表示させてもよい。
【0125】
図14は、第2の実施形態の変形例1に係る表示制御機能154によって行われる大動脈弁輪を示す情報の表示の一例を示す図である。
【0126】
例えば、図14に示すように、表示制御機能154は、図12に示した情報に加えて、大動脈弁輪の輪郭を示す情報を、注目画像として特定されたスライス画像S3上に表示する。なお、図14では、表示制御機能154によって表示させる大動脈弁輪の輪郭を示す情報を一点鎖線で示している。また、図14では、大動脈弁輪の輪郭を示す情報を各スライス画像に投影して表示した場合の例を示している。
【0127】
これにより、観察断面上で注目領域による影響をより精密に評価できるようになる。
【0128】
(第1及び第2の実施形態の変形例)
また、上述した第1及び第2の実施形態では、心臓弁に関する手術計画の策定が行われる場合について説明したが、各実施形態が対象とする解剖構造は心臓弁に限られない。
【0129】
例えば、冠動脈に関する手術計画の策定が行われる場合には、第2特定機能153は、冠動脈におけるプラークの位置を注目領域として特定し、表示制御機能154は、特定されたプラークに関する情報を観察断面上に表示してもよい。この場合に、表示制御機能154は、プラークの濃度や大きさに応じて情報の表示形態を変更してもよい。
【0130】
また、例えば、複数の血管を含む解剖構造に関する手術計画の策定が行われる場合には、観察断面と観察断面方向における血管の位置との関係を把握したいことがある。この場合には、第2特定機能153は、主要な血管の位置を注目領域として特定し、表示制御機能154は、特定された主要な血管に関する情報を観察断面上に表示してもよい。
【0131】
また、例えば、放射線治療に関する治療計画の策定が行われる場合には、放射線の照射方向における他の臓器の位置関係を把握したいことがある。この場合には、第2特定機能153は、照射方向に存在する重要臓器(例えば、脳に対する照射における眼球の位置)の位置を注目領域として特定し、表示制御機能154は、特定された重要臓器に関する情報を照射野に対応する断面上に表示してもよい。
【0132】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、以下では、第3の実施形態について、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、第1の実施形態と共通する内容については詳細な説明を省略する。
【0133】
上述した第1の実施形態では、医用画像表示装置100は、1時点のボリュームデータの画像データセットに基づいて注目領域に関する情報を表示することとしたが、第2の実施形態では、複数時点の画像データの画像データセットに基づいて、注目領域に関する情報を表示する。
【0134】
具体的には、取得機能151は、NWインタフェース110を介して、X線CT装置1又は医用画像保管装置2から被検体の複数時点の画像データの画像データセットを取得する。ここで、複数時点の画像データは、X線CT装置1によって撮像されたCT画像である。
【0135】
例えば、心臓や肺の検査では、1回の検査において、4D撮影といわれる撮像法によって時間軸方向に複数の時点の画像が撮像される。例えば、取得機能151は、そのように撮像された複数時点の画像の画像データセットを取得する。または、例えば、1回の検査では1つの画像が撮像されるが、定期的な経過観察によって複数回の検査が実施されている場合に、当該複数回の検査で撮像された複数時点の画像の画像データセットを取得してもよい。
【0136】
図15は、第3の実施形態に係る取得機能151によって取得される複数時点の画像データの画像データセットの一例を示す図である。
【0137】
例えば、図15に示すように、本実施形態では、取得機能151は、4つの時点T1~T4のボリュームデータを含み、かつ、各ボリュームデータが頭尾方向に順に並んだ8つのスライス画像S1~S8を含む画像データセットを取得したとする。ここで、各ボリュームデータに含まれる各スライス画像は、第1の実施形態と同様に、X方向に10画素及びY方向に10画素を含むこととする。
【0138】
第1特定機能152は、取得機能151によって取得された複数時点の画像データの画像データセットから観察断面を示す注目画像を特定する。また、第1特定機能152は、注目画像から観察領域をさらに特定する。なお、第1の特定機能142が注目画像及び観察画像を特定する方法は、第1の実施形態で説明した方法と同様である。
【0139】
図16は、第3の実施形態に係る第1特定機能152によって行われる注目画像及び観察領域の特定の一例を示す図である。
【0140】
例えば、図16に示すように、本実施形態では、第1特定機能152は、図15に示した時点T1~T4のボリュームデータの画像データセットから時点T3のスライス画像S3を注目画像として特定したとする。また、第1特定機能152は、注目画像として特定したスライス画像S3におけるX座標が3~7の範囲かつY座標が4~8の範囲の領域を観察領域(図16において太枠で示す領域)として特定したとする。なお、図16では、説明の簡略化のため、各時点におけるスライス画像S3のみを示している。
【0141】
第2特定機能153は、取得機能151によって取得された複数時点の画像データの画像データセットに基づいて、注目領域を特定する。ここで、第2特定機能153は、ボリュームデータの画像データセットのうちの第1特定機能152によって特定された観察領域に対応するデータに基づいて、注目領域を特定する。なお、第2特定機能153が注目領域を特定する方法は、第1の実施形態で説明した方法と同様である。
【0142】
具体的には、本実施形態では、第2特定機能153は、複数時点のボリュームデータそれぞれから注目領域を取得する。例えば、図16で黒色を付けた画素の位置に対応する領域を注目領域として特定したとする。すなわち、第2特定機能153は、図16に示した時点T1のスライス画像S3における(7,7,S3)、時点T2のスライス画像S3における(3,9,S3)、時点T3のスライス画像S3における(7,4,S3)、時点T4のスライス画像S3における(4,6,S3)及び(5,6,S3)をそれぞれ注目領域として特定したとする。なお、図16では、説明の簡略化のため、スライス画像S3のみで注目領域を示しているが、実際には、全てのスライス画像から注目領域が特定される。
【0143】
表示制御機能154は、第1特定機能152によって特定された注目画像と、第2特定機能153によって特定された注目領域に関する情報とをディスプレイ140に表示させる。また、表示制御機能154は、注目領域に関する情報を、注目画像における当該注目領域に対応する位置に表示させる。
【0144】
具体的には、表示制御機能154は、予め設定された条件に基づいて、異なる時点で撮像された画像における夫々の注目領域に関する情報を、注目画像上の観察領域における対応する位置に表示させる。
【0145】
図17は、第3の実施形態に係る表示制御機能154によって行われる注目領域に関する情報の表示の一例を示す図である。
【0146】
例えば、「観察領域を含む画像の撮像時点の以外の時点に撮像された画像における注目領域の観察領域の各画素に対応する位置を赤色にて表示する」という条件が設定されていたとする。この場合、例えば、図17に示すように、表示制御機能154は、時点T1のスライス画像S3における(7,7,S3)の注目領域の観察領域に対する対応位置であるT3の(7,7,S3)の画素を赤色で表示する。また、表示制御機能154は、同様に、時点T4のスライス画像S3における(4,6,S3)及び(5,6,S3)に対応する時点T3のスライス画像S3における(4,6,S3)及び(5,6,S3)の画素をそれぞれ赤色で表示する。なお、図17では、赤色で表示される画素には右下がりの斜線の模様を付し、青色で表示される画素には左下がりの斜線の模様を付している。
【0147】
なお、表示制御機能154によって用いられる条件としては、上述した条件に限られず、夫々の注目領域に対応する情報を観察領域に表示するための判定ができる条件であれば、どのような条件が用いられてもよい。
【0148】
上述したように、第3の実施形態では、取得機能151は、X線CT装置1又は医用画像保管装置2から複数時点の画像データの画像データセットを取得する。また、第1特定機能152は、複数時点の画像データの画像データセットから観察断面を示す注目画像を特定する。また、第2特定機能153は、複数時点の画像データの画像データセットに基づいて、注目領域を特定する。そして、表示制御機能154は、注目画像と、注目領域に関する情報とをディスプレイ140に表示させる。
【0149】
このような構成によれば、複数時点の画像データのように時間軸方向の情報を有する画像データセットに基づいて注目領域を特定し、当該注目領域に関する情報を表示させることで、観察断面以外に存在する注目領域に関する情報を利用者に提示することができる。これにより、医師等の利用者が手術計画の策定を行う際に、注目領域に関する情報をより正確に認識できるようになる。
【0150】
したがって、第3の実施形態によっても、手術計画の策定をより適切に支援することができる。
【0151】
(第3の実施形態の変形例)
なお、上述した第3の実施形態では、表示制御機能154は、取得機能151によって取得された全ての画像データにおける注目領域のうちの条件を満たす注目領域について情報を表示させることとしたが、例えば、臨床的に重要な時点の画像データにおける注目領域のみついて情報を表示させてもよい。
【0152】
この場合には、第1特定機能152は、取得機能151によって取得された複数時点の画像データの画像データセットから少なくとも一つの重要な画像データをさらに特定する。
【0153】
また、表示制御機能154は、第1特定機能152によって特定された少なくとも一つの重要な画像データにおける注目領域に関する情報のみをディスプレイ140に表示させる。
【0154】
例えば、心臓を対象とする検査であれば、第1特定機能152は、拡張末期や収縮初期の時点の画像データを特定し、表示制御機能154は、当該画像データから特定された注目領域に関する情報のみを表示してもよい。この場合に、第1特定機能152は、拡張末期や収縮初期の時点は、DICOMヘッダに付帯情報として保存されている心電同期撮像時の心位相の情報に基づいて特定してもよいし、左心室の容量を既知の画像処理技術によって算出し、当該容量に基づいて特定してもよい。
【0155】
また、例えば、定期的な経過観察により複数回の検査が実施されている場合は、第1特定機能152は、初回の検査又は治療後の検査の画像データを特定し、表示制御機能154は、当該画像データから特定された注目領域のみを表示してもよい。
【0156】
また、例えば、第1特定機能152は、利用者から注目領域を特定する画像データの指定を受け付けることで、重要な画像データを特定してもよい。
【0157】
なお、本変形例では、第2特定機能153は、第1特定機能152によって特定された画像データのみから領域情報を特定するようにしてもよい。これにより、必要な時点の画像データのみから注目領域が特定されるため、計算コストを削減することができる。
【0158】
(第1及び第3の実施形態の変形例)
また、上述した第1の実施形態と第3の実施形態とは組み合わせて実施されてもよい。
【0159】
例えば、表示制御機能154は、複数時点のボリュームデータの画像データセットに基づいて、ボリュームデータごとに、第1の実施形態で説明した方法により、注目画像として特定されている1時点のスライス断面に対応する他の各時点のスライス断面に注目領域を対応付ける。さらに、表示制御機能154は、第3の実施形態で説明した方法により、他の各時点のライス断面に対応付けた注目領域に関する情報を、注目画像として特定されている1時点のスライス断面に対応付けて表示する。
【0160】
また、上述した実施形態及び変形例で説明した医用画像表示装置100の構成は、X線CT装置1等の医用画像診断装置のコンソール装置や医用画像保管装置2に適用することも可能である。その場合には、上述した取得機能151、第1特定機能152、第2特定機能153及び表示制御機能154と同等の機能が、医用画像診断装置のコンソール装置に含まれる処理回路や医用画像保管装置2に含まれる処理回路に実装される。
【0161】
なお、上述した実施形態及び変形例では、本明細書における取得部、第1特定部、第2特定部及び表示制御部を、それぞれ、処理回路の取得機能、第1特定機能、第2特定機能及び表示制御機能によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における取得部、第1特定部、第2特定部及び表示制御部は、実施形態で述べた取得機能、第1特定機能、第2特定機能及び表示制御機能によって実現する他にも、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0162】
また、上述した実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0163】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各処理機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0164】
また、上述した実施形態及び変形例において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0165】
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0166】
なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。
【0167】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、手術計画の策定をより適切に支援することができる。
【0168】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0169】
100 医用画像表示装置
150 処理回路
151 取得機能
152 第1特定機能
153 第2特定機能
154 表示制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17