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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ポリイミドフィルム及び電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/18 20060101AFI20241210BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
C08J5/18 CFG
C08G73/10
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020153826
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2021042381
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】62/899,379
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519372065
【氏名又は名称】デュポン エレクトロニクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コスタンティノス コータキス
(72)【発明者】
【氏名】ジーン エム.ロッシ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ケイシー ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル トーマス クワスニー
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-186473(JP,A)
【文献】特開2019-119829(JP,A)
【文献】国際公開第2018/016561(WO,A1)
【文献】特開2019-137865(JP,A)
【文献】特開2018-028073(JP,A)
【文献】特開2014-177554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0244927(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00-5/22
C08G 73/00-73/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二無水物とジアミンとを含むポリイミドフィルムであって、
前記二無水物、前記ジアミン、又は前記二無水物と前記ジアミンの両方が、脂環式モノマー、脂肪族モノマー、又は脂環式モノマーと脂肪族モノマーの両方を含み;
50μmのフィルム厚で、少なくとも90のL*、1.25以下のb*、2.25以下の黄色度及び1%未満のヘイズを有し
(a)第1の溶媒の存在下で前記二無水物と前記ジアミンとを重合してポリアミック酸溶液を得ること;
(b)前記ポリアミック酸溶液をイミド化して十分にイミド化された溶液を形成することであって、赤外分光法による決定で、アミド酸基の85%超がポリイミドに変換されていること
(c)前記十分にイミド化された溶液をキャストしてフィルムを形成すること;及び
(d)前記フィルムを乾燥すること;
により形成されるポリイミドフィルム。
【請求項2】
(b)の後且つ(c)の前に、前記十分にイミド化された溶液の不溶性成分を除去するために、前記溶液が濾過される、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項3】
前記二無水物が、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項4】
前記二無水物が、更に、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサヒドロ-4,8-エタノ-1H,3H-ベンゾ[1,2-c:4,5-c’]ジフラン-1,3,5,7-テトロン、3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物、及びメソ-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物からなる群から選択される脂環式二無水物を含む、請求項3に記載のポリイミドフィルム。
【請求項5】
前記ジアミンが、フッ素化芳香族ジアミンを含む、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項6】
前記ジアミンが、1,2-ジアミノエタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,16-ヘキサデカメチレンジアミン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン、イソホロンジアミン、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される脂肪族ジアミンを含む、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項7】
前記ジアミンが、シス-1,3-ジアミノシクロブタン、トランス-1,3-ジアミノシクロブタン、6-アミノ-3-アザスピロ[3.3]ヘプタン、及び3,6-ジアミノスピロ[3.3]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1,4-ジアミン、イソホロンジアミン、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4ジアミン、シス-1,4シクロヘキサンジアミン、トランス-1,4シクロヘキサンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、及びそれらの混合物からなる群から選択される脂環式ジアミンを含む、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項8】
請求項1に記載のポリイミドフィルムを含む電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の分野は、ポリイミドフィルム及び電子デバイスである。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムは、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどのディスプレイ用途で現在使用されている硬質ガラスカバーシートやその他の基材を置き換えることができる可能性を有している。例えば、芳香族ポリイミドは、典型的には非常に熱的に安定であり、320℃を超えるガラス転移温度(Tg)を有しており、次世代のフレキシブルディスプレイに必要な重要な特性である優れた折り畳み性と巻き取り性を有している。ディスプレイ用途で使用されるポリイミドフィルムの場合、高い透過率と低いヘイズを有することに加えて、ポリイミドフィルムは色がニュートラルである必要もある。典型的な仕様では、a*とb*の両方が、CIE L*、a*、b*色空間座標のニュートラル(0)から1色単位以下であることが必要とされる。つまり、a*とb*の絶対値は1未満である必要がある。CIE L*、a*、b*の3つの座標は、(1)色の明度(L*=0は黒を生じさせ、L*=100は拡散白色を示す)、(2)赤色/マゼンタ色と緑色との間の位置(負のa*値は緑色を示し、正の値はマゼンタ色を示す)、及び(3)黄色と青色との間の位置(負のb*値は青色を示し、正の値は黄色を示す)を表す。
【0003】
フッ素化モノマーを含む典型的なポリイミドは、ほぼ無色であるものの、青色又は紫色の波長(400~450nm)の光を吸収し、これがフィルムに透過性の黄色の外観を与える。ポリイミドフィルムの色は、主にポリマー鎖内及びポリマー鎖間の両方で生じ得るHOMO-LUMO遷移に起因する電荷移動吸収により生じる。HOMO-LUMO遷移エネルギーを変更したり、鎖間相互作用を妨げたりするために、様々なアプローチが使用されてきた。1つのアプローチでは、ポリイミドポリマーのHOMO-LUMO遷移エネルギーを変更するためにフッ素化モノマーが使用されるが、これらのポリイミドフィルムには依然として若干の残留黄色がみられる場合がある。そのため、ポリイミドのモノマー組成に応じて、b*は1より大きい場合がある。フィルムのCIE L*、a*、b*色測定はその厚さにも依存することから、25μmを超えるような厚いフィルムではニュートラルな外観を実現することは一層困難である。
【0004】
脂環式及び脂肪族のモノマーは、ポリイミド構造の中に組み込まれた場合に、ポリマーの電子構造及び電荷移動特性を変更することにより、色を抑えることができる。これらのモノマーは、それ自体では、いずれの電荷移動遷移にも寄与しないであろう。しかしながら、ポリアミック酸溶液をキャストし、製造したフィルムを硬化させることによってフィルムが形成されるプロセスでは、かなりの色が生じる。硬化が空気中で行われる場合には、色の発生はより顕著になり、これは二次的な色形成機構が生じていることを示唆する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第5,166,308号明細書
【文献】米国特許第5,298,331号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、ポリイミドフィルムは、二無水物及びジアミンを含む。二無水物、ジアミン、又は二無水物とジアミンの両方は、脂環式モノマー、脂肪族モノマー、又は脂環式モノマーと脂肪族モノマーの両方を含む。ポリイミドフィルムは、50μmのフィルム厚で1.25以下のb*及び2.25以下の黄色度を有する。ポリイミドフィルムは:
(a)第1の溶媒の存在下で二無水物とジアミンとを重合してポリアミック酸溶液を得ること;
(b)ポリアミック酸溶液をイミド化して十分にイミド化された溶液を形成すること;
(c)十分にイミド化された溶液をキャストしてフィルムを形成すること;及び
(d)フィルムを乾燥すること;
により形成される。
【0007】
第2の態様では、電子デバイスは第1の態様のポリイミドフィルムを含む。
【0008】
第3の態様では、ポリイミドフィルムは、二無水物及びジアミンを含む。二無水物、ジアミン、又は二無水物とジアミンの両方は、脂環式モノマー、脂肪族モノマー、又は脂環式モノマーと脂肪族モノマーの両方を含む。ポリイミドフィルムは、50μmのフィルム厚で1.25以下のb*及び2.25以下の黄色度を有する。ポリイミドフィルムは:
(a)第1の溶媒の存在下で二無水物とジアミンとを重合してポリアミック酸溶液を得ること;
(b)ポリアミック酸溶液をイミド化して第1の十分にイミド化された溶液を形成すること;
(c)第1の十分にイミド化された溶液から貧溶媒を用いて固体ポリイミド樹脂を析出させること;
(d)固体ポリイミド樹脂を単離して乾燥すること;
(e)固体ポリイミド樹脂を第2の溶媒に溶解して第2の十分にイミド化された溶液を形成すること;
(f)第2の十分にイミド化された溶液をキャストしてフィルムを形成すること;及び
(g)フィルムを乾燥すること;
により形成される。
【0009】
第4の態様では、電子デバイスは第3の態様のポリイミドフィルムを含む。
【0010】
前述の概要及び以下の詳細な説明は、添付の特許請求の範囲において規定されるように、例示的であり且つ説明的であるに過ぎず、本発明を限定しない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の態様では、ポリイミドフィルムは、二無水物及びジアミンを含む。二無水物、ジアミン、又は二無水物とジアミンの両方は、脂環式モノマー、脂肪族モノマー、又は脂環式モノマーと脂肪族モノマーの両方を含む。ポリイミドフィルムは、50μmのフィルム厚で1.25以下のb*及び2.25以下の黄色度を有する。ポリイミドフィルムは:
(a)第1の溶媒の存在下で二無水物とジアミンとを重合してポリアミック酸溶液を得ること;
(b)ポリアミック酸溶液をイミド化して十分にイミド化された溶液を形成すること;
(c)十分にイミド化された溶液をキャストしてフィルムを形成すること;及び
(d)フィルムを乾燥すること;
により形成される。
【0012】
第1の態様の一実施形態では、(b)の後且つ(c)の前に、十分にイミド化された溶液の不溶性成分を除去するために、溶液が濾過される。
【0013】
第1の態様の別の実施形態では、二無水物は、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態では、二無水物には、更に、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサヒドロ-4,8-エタノ-1H,3H-ベンゾ[1,2-c:4,5-c’]ジフラン-1,3,5,7-テトロン、3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物、及びメソ-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物からなる群から選択される脂環式二無水物が含まれる。
【0014】
第1の態様の更に別の実施形態では、ジアミンとしてはフッ素化芳香族ジアミンが含まれる。特定の実施形態では、フッ素化芳香族ジアミンには、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンが含まれる。
【0015】
第1の態様の更に別の実施形態では、ジアミンには、1,2-ジアミノエタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,16-ヘキサデカメチレンジアミン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン、イソホロンジアミン、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される脂肪族ジアミンが含まれる。
【0016】
第1の態様のまた更に別の実施形態では、ジアミンには、シス-1,3-ジアミノシクロブタン、トランス-1,3-ジアミノシクロブタン、6-アミノ-3-アザスピロ[3.3]ヘプタン、及び3,6-ジアミノスピロ[3.3]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1,4-ジアミン、イソホロンジアミン、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4ジアミン、シス-1,4シクロヘキサンジアミン、トランス-1,4シクロヘキサンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、及びそれらの混合物からなる群から選択される脂環式ジアミンが含まれる。
【0017】
第1の態様の別の実施形態では、ポリイミドフィルムは、10~150μmの範囲の厚さを有する。
【0018】
第1の態様の更に別の実施形態では、ポリイミドフィルムは、少なくとも90のL*及び1%未満のヘイズを有する。
【0019】
第2の態様では、電子デバイスは第1の態様のポリイミドフィルムを含む。
【0020】
第3の態様では、ポリイミドフィルムは、二無水物及びジアミンを含む。二無水物、ジアミン、又は二無水物とジアミンの両方は、脂環式モノマー、脂肪族モノマー、又は脂環式モノマーと脂肪族モノマーの両方を含む。ポリイミドフィルムは、50μmのフィルム厚で1.25以下のb*及び2.25以下の黄色度を有する。ポリイミドフィルムは:
(a)第1の溶媒の存在下で二無水物とジアミンとを重合してポリアミック酸溶液を得ること;
(b)ポリアミック酸溶液をイミド化して第1の十分にイミド化された溶液を形成すること;
(c)第1の十分にイミド化された溶液から貧溶媒を用いて固体ポリイミド樹脂を析出させること;
(d)固体ポリイミド樹脂を単離して乾燥すること;
(e)固体ポリイミド樹脂を第2の溶媒に溶解して第2の十分にイミド化された溶液を形成すること;
(f)第2の十分にイミド化された溶液をキャストしてフィルムを形成すること;及び
(g)フィルムを乾燥すること;
により形成される。
【0021】
第3の態様の一実施形態では、(e)の後且つ(f)の前に、溶液の不溶性成分を除去するために、第2の十分にイミド化された溶液が濾過される。
【0022】
第3の態様の別の実施形態では、第1と第2の溶媒は同じであるか異なる。
【0023】
第3の態様の更に別の実施形態では、二無水物は、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、及びこれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態では、二無水物には、更に、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサヒドロ-4,8-エタノ-1H,3H-ベンゾ[1,2-c:4,5-c’]ジフラン-1,3,5,7-テトロン、3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物、及びメソ-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物からなる群から選択される脂環式二無水物が含まれる。
【0024】
第3の態様の更に別の実施形態では、ジアミンとしてはフッ素化芳香族ジアミンが含まれる。特定の実施形態では、フッ素化芳香族ジアミンには、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンが含まれる。
【0025】
第3の態様の更に別の実施形態では、ジアミンには、1,2-ジアミノエタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,16-ヘキサデカメチレンジアミン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン、イソホロンジアミン、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される脂肪族ジアミンが含まれる。
【0026】
第3の態様のまた更に別の実施形態では、ジアミンには、シス-1,3-ジアミノシクロブタン、トランス-1,3-ジアミノシクロブタン、6-アミノ-3-アザスピロ[3.3]ヘプタン、及び3,6-ジアミノスピロ[3.3]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1,4-ジアミン、イソホロンジアミン、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4ジアミン、シス-1,4シクロヘキサンジアミン、トランス-1,4シクロヘキサンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、及びそれらの混合物からなる群から選択される脂環式ジアミンが含まれる。
【0027】
第3の態様の別の実施形態では、ポリイミドフィルムは、10~150μmの範囲の厚さを有する。
【0028】
第3態様の更に別の実施形態では、ポリイミドフィルムは、少なくとも90%のL*及び1%未満のヘイズを有する。
【0029】
第4の態様では、電子デバイスは第3の態様のポリイミドフィルムを含む。
【0030】
多くの態様及び実施形態について上述してきたが、例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。本明細書を読んだ後、当業者は、他の態様及び実施形態が、本発明の範囲から逸脱せずに可能であることを理解する。本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から、及び特許請求の範囲から明らかであろう。
【0031】
文脈に応じて、本明細書で使用される「ジアミン」は、以下を意味することが意図されている:(i)未反応の形態(即ちジアミンモノマー)、(ii)部分的に反応した形態(即ちジアミンモノマーに由来するか起因するオリゴマー又は他のポリマー前駆体の一部分又は複数部分)、或いは(iii)完全に反応した形態(ジアミンモノマーに由来するか起因するポリマーの一部分又は複数部分)を意味することを意図する。ジアミンは、本発明の実施において選択される具体的な実施形態に応じて、1つ以上の部位で官能化されていてもよい。
【0032】
実際、用語「ジアミン」は、ジアミン成分中のアミン部位の数に関して制限する(又は文字通り解釈される)ことを意図していない。例えば、上の(ii)及び(iii)には、2個、1個、又は0個のアミン部位を有し得るポリマー系材料が含まれる。或いは、ジアミンが更なるアミン部位で官能化されていてもよい(二無水物と反応してポリマー鎖を成長させるモノマー末端のアミン部位に加えて)。このような更なるアミン部位は、ポリマーを架橋するために、又はポリマーに他の官能基を付与するために使用できるであろう。
【0033】
同様に、本明細書で使用される場合、用語「二無水物」は、ジアミンと反応する(補完的な)成分を意味することが意図されており、これは、組み合わせで反応して中間体(これはその後ポリマーへと硬化し得る)を形成することができる。文脈に応じて、本明細書で使用される場合、「無水物」は、無水物部位自体だけでなく、以下のような無水物部位の前駆体も意味する場合がある:(i)一対のカルボン酸基(これは脱水又は同様のタイプの反応によって無水物へと変換可能である)、或いは(ii)無水物官能基に変換することができる酸ハロゲン化物(例えば塩化物)エステル官能基(又は現在知られているか、将来開発される任意の他の官能基)。
【0034】
文脈に応じて、「二無水物」は以下を意味し得る:(i)未反応の形態(即ち無水物官能基が真の無水物形態であるか前駆体無水物形態であるかに関わらず、上の段落で説明した二無水物モノマー)、(ii)部分的に反応した形態(即ち二無水物モノマーから反応したかこれに起因するオリゴマー又は他の部分的に反応した又は前駆体のポリマー組成物の一部分又は複数部分)、又は(iii)完全に反応した形態(二無水物モノマー由来であるかこれに起因するポリマーの一部分又は複数部分)。
【0035】
二無水物は、本発明の実施において選択される特定の実施形態に応じて、1つ以上の部位で官能化することができる。実際、用語「二無水物」は、二無水物成分中の無水物部位の数に関して制限する(又は文字通り解釈される)ことを意図していない。例えば、(i)、(ii)、及び(iii)(上の段落中)には、無水物が前駆体状態であるか反応した状態であるかに応じて、2個、1個、又は0個の無水物部位を有し得る有機物質が含まれる。或いは、二無水物成分が更なる無水物型の部位で官能化されていてもよい(ジアミンと反応してポリマーを与える無水物部位に加えて)。このような更なる無水物部位は、ポリマーを架橋するために、或いはポリマーに他の官能基を付与するために使用できるであろう。
【0036】
本明細書に記載されるものと似ている又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験において用いることができるが、好適な方法及び材料は、本明細書に記載される。
【0037】
量、濃度、又は他の値又はパラメーターが、範囲、好ましい範囲、又はより上方の好ましい値及び下方の好ましい値の一覧のいずれかとして示される場合、これは、範囲が個別に開示されているかどうかに関わらず、任意の上限範囲又は好ましい値、及び任意の下限範囲又は好ましい値の任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示していると理解されるべきである。ある範囲の数値が本明細書において列挙される場合、特に明記しない限り、その範囲は、それの終点、並びにその範囲内の全ての整数及び分数を包含することを意図する。本発明の適用範囲が、範囲を明確にする場合に列挙された具体的な値に限定されることは意図されない。
【0038】
特定のポリマーの記載において、出願人らは、それらを作製するために使用されるモノマー又はそれらを作製するために使用されるモノマーの量により、場合によりポリマーを参照することが理解されるべきである。このような記載は、最終ポリマーを記述するために用いられる特定の命名法を含まなくてもよいか又はプロダクト-バイ-プロセス専門用語を含有しなくてもよく、一方、モノマー及び量へのいかなるこのような言及も、ポリマーがそれらのモノマー又はその量のモノマーから製造されること、並びに対応するポリマー及びそれの組成物を意味すると解釈されるべきである。
【0039】
本明細書における材料、方法、及び実施例は例示的であるに過ぎず、明確に述べられる場合を除き、限定的であることを意図しない。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「包含する(includes)」、「包含する(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」又はそれらのいかなる他の変形も、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素の一覧を含む方法、プロセス、物品、又は装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確にリストアップされない、又はこのような方法、プロセス、物品、又は装置に固有の他の要素を包含し得る。更に、明確にそれとは反対のことが述べられていない限り、「又は」は、包括的な又はを意味し、排他的な又はを意味しない。例えば、条件A又はBは、以下のうちのいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(又は存在し)且つBが偽である(又は存在しない)、Aが偽であり(又は存在せず)且つBが真である(又は存在する)並びにA及びBが両方とも真である(又は存在する)。
【0041】
また、「1つの(a)」又は「1つの(an)」の使用は、本発明の要素及び成分を記載するために用いられる。これは、便宜上及び本発明の一般的な意味を与えるために行われるに過ぎない。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形は、明らかにそうではないことを意味していない限り、複数形も包含する。
【0042】
有機溶媒
本発明のポリマーの合成に有用な有機溶媒は、好ましくは、ポリマー前駆体材料を溶解することができる。このような溶媒は、225℃未満などの比較的低い沸点を有する必要もあり、そのためポリマーは適度の(即ち、より便利でよりコストがかからない)温度で乾燥させることができる。210、205、200、195、190、又は180℃未満の沸点が好ましい。
【0043】
有用な有機溶媒としては:N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、メチルエチルケトン(MEK)、N、N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチル尿素(TMU)、グリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン(モノグリム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、1,2-ビス-(2-メトキシエトキシ)エタン(トリグリム)、γ-ブチロラクトン、及びビス-(2-メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、ヒドロキシエチルアセテートグリコールモノアセテート、アセトン、及びそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、好ましい溶媒としては、N-メチルピロリドン(NMP)及びジメチルアセトアミド(DMAc)が挙げられる。
【0044】
ジアミン
一実施形態では、ポリイミドフィルムの形成に適したジアミンとしては、1,2-ジアミノエタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,4-ジアミノブタン、1,5ジアミノペンタン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン(DMD)、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン(DDD)、1,16-ヘキサデカメチレンジアミン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン、及びそれらの組み合わせなどの脂肪族ジアミンを挙げることができる。本発明の実施に適した他の脂肪族ジアミンとしては、6~12個の炭素原子を有するものが挙げられ、或いは現像性と柔軟性の両方が維持される限り長鎖ジアミンと短鎖ジアミンの組み合わせが挙げられる。長鎖脂肪族ジアミンは柔軟性を高めることができる。
【0045】
一実施形態では、ポリイミドフィルムの形成に適したジアミンとしては、シクロブタンジアミン(例えばシス-及びトランス-1,3-ジアミノシクロブタン、6-アミノ-3-アザスピロ[3.3]ヘプタン、及び3,6-ジアミノスピロ[3.3]ヘプタン)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1,4-ジアミン、イソホロンジアミン、及びビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4ジアミン)などの脂環式ジアミン(完全に又は部分的に飽和であってもよい)を挙げることができる。他の脂環式ジアミンとしては、シス-1,4シクロヘキサンジアミン、トランス-1,4シクロヘキサンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシルアミン)、ビス(アミノメチル)ノルボルナンを挙げることができる。
【0046】
一実施形態では、ポリイミドフィルムを形成するのに適したジアミンとしては、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、トリフルオロメチル-2,4-ジアミノベンゼン、トリフルオロメチル-3,5-ジアミノベンゼン、2,2’-ビス-(4-アミノフェニル)-ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジアミノ-2,2’-トリフルオロメチルジフェニルオキシド、3,3’-ジアミノ-5,5’-トリフルオロメチルジフェニルオキシド、9.9’-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-トリフルオロメチル-2,2’-ジアミノビフェニル、4,4’-オキシ-ビス-[2-トリフルオロメチル)ベンゼンアミン](1,2,4-OBABTF)、4,4’-オキシ-ビス-[3-トリフルオロメチル)ベンゼンアミン]、4,4’-チオ-ビス-[(2-トリフルオロメチル)ベンゼン-アミン]、4,4’-チオビス[(3-トリフルオロメチル)ベンゼンアミン]、4,4’-スルホキシル-ビス-[(2-トリフルオロメチル)ベンゼンアミン、4,4’-スルホキシル-ビス-[(3-トリフルオロメチル)ベンゼンアミン]、4,4’-ケト-ビス-[(2-トリフルオロメチル)ベンゼンアミン]、1,1-ビス[4’-(4”-アミノ-2”-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]シクロペンタン、1,1-ビス[4’-(4”-アミノ-2”-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、2-トリフルオロメチル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル;1,4-(2’-トリフルオロメチル-4’,4”-ジアミノジフェノキシ)-ベンゼン、1,4-ビス(4’-アミノフェノキシ)-2-[(3’,5’-ジトリフルオロメチル)フェニル]ベンゼン、1,4-ビス[2’-シアノ-3’(“4-アミノフェノキシ)フェノキシ]-2-[(3’,5’-ジトリフルオロ-メチル)フェニル]ベンゼン(6FC-ジアミン)、3,5-ジアミノ-4-メチル-2’,3’,5’,6’-テトラフルオロ-4’-トリ-フルオロメチルジフェニルオキシド、2,2-ビス[4’(4”-アミノフェノキシ)フェニル]フタレイン-3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)アニリド(6FADAP)、及び3,3’,5,5’-テトラフルオロ-4,4’-ジアミノ-ジフェニルメタン(TFDAM)などのフッ素化芳香族ジアミンを更に挙げることができる。特定の実施形態では、フッ素化ジアミンは2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)である。
【0047】
一実施形態では、p-フェニレンジアミン(PPD)、m-フェニレンジアミン(MPD)、2,5-ジメチル-1,4-ジアミノベンゼン、2,5-ジメチル-1,4-フェニレンジアミン(DPX)、2,2-ビス-(4-アミノフェニル)プロパン、1,4-ナフタレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、4,4’-ジアミノビフェニル、4,4”-ジアミノターフェニル、4,4’-ジアミノベンズアニリド、4,4’-ジアミノフェニルベンゾエート、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(MDA)、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、ビス-(4-(4-アミノフェノキシ)フェニルスルホン(BAPS)、4,4’-ビス-(アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-イソプロピリデンジアニリン、2,2’-ビス-(3-アミノフェニル)プロパン、N,N-ビス-(4-アミノフェニル)-n-ブチルアミン、N,N-ビス-(4-アミノフェニル)メチルアミン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、m-アミノベンゾイル-p-アミノアニリド、4-アミノフェニル-3-アミノベンゾエート、N,N-ビス-(4-アミノフェニル)アニリン、2,4-ジアミノトルエン、2,5-ジアミノトルエン、2,6-ジアミノトルエン、2,4-ジアミン-5-クロロトルエン、2,4-ジアミン-6-クロロトルエン、2,4-ビス-(ベータ-アミノ-t-ブチル)トルエン、ビス-(p-ベータ-アミノ-t-ブチルフェニル)エーテル、p-ビス-2-(2-メチル-4-アミノペンチル)ベンゼン、m-キシリレンジアミン、及びp-キシリレンジアミンなどの任意の数の追加のジアミンをポリイミドフィルムの形成において使用することができる。
【0048】
他の有用なジアミンとしては、1,2-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,2-ビス-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1-(4-アミノフェノキシ)-3-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス-(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1-(4-アミノフェノキシ)-4-(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス-(4-[4-アミノフェノキシ]フェニル)プロパン(BAPP)、2,2’-ビス-(4-フェノキシアニリン)イソプロピリデン、2,4,6-トリメチル-1,3-ジアミノベンゼン、及び2,4,6-トリメチル-1,3-ジアミノベンゼンが挙げられる。
【0049】
二無水物
一実施形態では、ポリイミドフィルムの形成において任意の数の適切な二無水物を使用することができる。二無水物は、それらの四酸形態で(又は四酸のモノ、ジ、トリ、又はテトラエステルとして)、或いはそれらのジエステル酸ハロゲン化物(塩化物)として使用することができる。しかし、いくつかの実施形態では、一般的に二無水物形態は酸やエステルよりも反応性が高いため、二無水物形態が好ましい場合がある。
【0050】
好適な二無水物の例としては、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2-(3’,4’-ジカルボキシフェニル)5,6-ジカルボキシベンズイミダゾール二無水物、2-(3’,4’-ジカルボキシフェニル)5,6-ジカルボキシベンゾオキサゾール二無水物、2-(3’,4’-ジカルボキシフェニル)5,6-ジカルボキシベンゾチアゾール二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ-[2,2,2]-オクテン-(7)-2,3,5,6-テトラカルボン酸-2,3,5,6-二無水物、4,4’-チオ-ジフタル酸無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホキシド二無水物(DSDA)、ビス(3,4-ジカルボキシフェニルオキサジアゾール-1,3,4)p-フェニレン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)2,5-オキサジアゾール1,3,4-二無水物、ビス2,5-(3’,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル)1,3,4-オキサジアゾール二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA)、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)チオエーテル二無水物、ビスフェノールA二無水物(BPADA)、ビスフェノールS二無水物、ビス-1,3-イソベンゾフランジオン、1,4-ビス(4,4’-オキシフタル酸無水物)ベンゼン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、シクロペンタジエニルテトラカルボン酸二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ペリレン3,4,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3-ビス-(4,4’-オキシジフタル酸無水物)ベンゼン、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,6-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロロナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン-1,8,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ピラジン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、及びチオフェン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0051】
一実施形態では、適切な二無水物としては、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)、ヘキサヒドロ-4,8-エタノ-1H,3H-ベンゾ[1,2-c:4,5-c’]ジフラン-1,3,5,7-テトロン(BODA)、3-(カルボキシメチル)-1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸1,4:2,3-二無水物(TCA)、及びメソ-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物等の脂環式二無水物を挙げることができる。一実施形態では、脂環式二無水物は、ポリイミドの二無水物総含有量を基準として約70モルパーセント以下の量で存在することができる。
【0052】
一実施形態では、ポリイミドフィルムの形成に適した二無水物は、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)及び9,9-ビス(トリフルオロメチル)-2,3,6,7-キサンテンテトラカルボン酸二無水物などのフッ素化二無水物を挙げることができる。特定の実施形態では、フッ素化二無水物は、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)である。
【0053】
ポリイミドフィルム
一実施形態では、ポリイミドフィルムは、ジアミン及び二無水物(モノマー又は他のポリイミド前駆体形態)を溶媒と一緒に混ぜ合わせることでポリアミック酸(ポリアミド酸とも呼ばれる)溶液を形成することにより製造することができる。二無水物及びジアミンは、約0.90~1.10のモル比で組み合わせることができる。それらから形成されるポリアミック酸の分子量は、二無水物とジアミンとのモル比を調整することによって調整することができる。
【0054】
本発明に従ってポリアミック酸溶液を製造するための有用な方法は、それらの中の全ての教示について参照により本明細書に援用される、米国特許第5,166,308号明細書及び同第5,298,331号明細書に見出すことができる。以下のような様々な変形形態も可能である:
(a)ジアミン成分及び二無水物成分が事前に一緒に混合され、その後に混合物が撹拌されている間に溶媒へ少しずつ添加される方法。
(b)溶媒がジアミン成分と二無水物成分との撹拌混合物に添加される方法。(上記の(a)とは反対に)
(c)ジアミンが溶媒中に排他的に溶解され、その後に反応速度を制御することを可能にするような比率で二無水物がそれに添加される方法。
(d)二無水物成分が溶媒中に排他的に溶解され、その後に反応速度を制御することを可能にするような比率でアミン成分がそれに添加される方法。
(e)ジアミン成分及び二無水物成分が溶媒中に別個に溶解させられ、その後にこれらの溶液が反応器内で混合される方法。
(f)過剰なアミン成分を含むポリアミック酸及び過剰な二無水物成分を含む又別のポリアミック酸が事前に形成され、その後に特にノンランダムコポリマー又はブロックコポリマーを作製できるような方法で、反応器内で相互に反応させられる方法。
(g)アミン成分及び二無水物成分の特定部分が最初に反応させられ、その後に残留ジアミン成分が反応させられる、又はその逆の方法。
(h)成分が部分的に又は全体として、任意の順序で溶媒の一部又は全部のいずれかに添加され、更に任意の成分の一部又は全部も溶媒の一部又は全部の溶液として添加され得る方法。
(i)二無水物成分の1つをジアミン成分の1つと最初に反応させて第1のポリアミック酸を生じさせる方法。その後、別の二無水物成分を別のアミン成分と反応させて、第2のポリアミック酸を得る。その後、イミド化の前にいくつかの方法のいずれか1つでアミック酸を結合させる。
【0055】
一実施形態では、ポリアミック酸溶液は、以下のような変換化学物質と組み合わせることができる:(i)脂肪族酸無水物及び/又は芳香族酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水n-酪酸、無水安息香酸、無水トリフルオロ酢酸等)などの1種以上の脱水剤;並びに(ii)脂肪族第三級アミン(トリエチルアミン等)、芳香族第三級アミン(ジメチルアニリン等)、及びヘテロ環第三級アミン(ピリジン、アルファ、ベータ、及びガンマピコリン(2-メチルピリジン、3-メチルピリジン、4-メチルピリジン)、イソキノリン等)などの1種以上の触媒。無水物である脱水物質は、多くの場合、ポリアミック酸中のアミド酸基の量と比べてモル過剰で使用される。使用される無水酢酸の量は、典型的には、ポリアミック酸の当量(繰り返し単位)当たり約2.0~4.0モルである。一般に、匹敵する量の第三級アミン触媒が使用される。
【0056】
一実施形態では、変換化学物質は、イミド化温度を低下させ、イミド化時間を短縮するのを助けることができるイミド化触媒(「イミド化促進剤」と呼ばれる場合もある)であってもよい。典型的なイミド化触媒は、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、イソキノリン、置換ピリジン(メチルピリジン、ルチジン、及びトリアルキルアミン等)、及びヒドロキシ酸(ヒドロキシ安息香酸の異性体等)などの塩基からの範囲であってもよい。ポリアミック酸層の中のこれらの触媒の比率とこれらの濃度は、イミド化の反応速度とフィルムの特性に影響する。
【0057】
一実施形態では、ポリアミック酸溶液は、ポリアミック酸を部分的に又は完全にイミド化し、それをポリイミドに変換するために、任意選択的にイミド化触媒の存在下で加熱することができる。温度、時間、並びにイミド化触媒の濃度及び選択は、ポリアミック酸溶液のイミド化の程度に影響を与える場合がある。好ましくは、溶液は十分にイミド化されるべきである。一実施形態では、十分にポリイミドの溶液では、赤外分光法により決定されるアミド酸基の85%超、90%超、又は95%超がポリイミドに変換されている。
【0058】
一実施形態では、ポリイミドフィルムを形成するために溶媒和混合物(十分にイミド化された溶液)をキャストすることができる。別の実施形態では、溶媒和混合物(第1の十分にイミド化された溶液)は、水又はアルコール(例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)などの貧溶媒を用いて析出させることができ、固体ポリイミド樹脂を単離することができる。例えば、単離は、濾過、デカンテーション、遠心分離、及び上澄み液のデカンテーション、蒸気相での蒸留若しくは溶媒除去によって、又はスラリーから固体析出物を分離するための他の公知の方法によって達成することができる。一実施形態では、触媒を除去するために析出物を洗浄することができる。洗浄後、析出物は十分に乾燥されてもよいが、完全に乾燥される必要はない。ポリイミド析出物は、第2の十分にイミド化された溶液(キャスティング溶液)を形成するためにメチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸メチル、テトラヒドロフラン、アセトン、DMAc、NMP、及びこれらの混合物などの第2の溶媒の中に再び溶解されてもよく、これはキャストされてポリイミドフィルムを形成することができる。
【0059】
キャスティング溶液は、加工助剤(例えばオリゴマー)、酸化防止剤、光安定剤、難燃性添加剤、帯電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、無機フィラー、又は様々な強化剤などの、多数の添加剤のうちのいずれかを更に含み得る。無機フィラーとしては、熱伝導性フィラー、金属酸化物、無機窒化物及び金属炭化物、並びに金属のような導電性フィラーを挙げることができる。一般的な無機フィラーは、アルミナ、シリカ、ダイヤモンド、粘土、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、二酸化チタン、リン酸二カルシウム、及びヒュームド金属酸化物である。ポリジアルキルフルオレンなどの低着色有機フィラーも使用することができる。
【0060】
一実施形態では、十分にイミド化されたポリイミド溶液は、フィルムを形成するためにエンドレスベルト又は回転ドラムなどの支持体上にキャスト又は塗布されてもよい。或いは、これはPET、他の形態のKapton(登録商標)ポリイミドフィルム(例えばKapton(登録商標)HN又はKapton(登録商標)OLフィルム)、又は他のポリマー支持体などのポリマー支持体上にキャストされてもよい。次に、溶媒を含むフィルムは、溶媒を部分的に又は完全に除去するために加熱することによりフィルムへと変換することができる。本発明のいくつかの態様では、フィルムは、完全に乾燥する前に支持体から剥がされる。最終的な乾燥工程は、フィルムの寸法支持又は安定化と共に行うことができる。他の態様では、フィルムは支持体上で直接加熱される。
【0061】
ポリイミドフィルムの厚さは、フィルムの意図する目的又は最終用途の仕様に応じて調整することができる。一実施形態では、ポリイミドフィルムは、約10~約150μm、又は約10~約100μm、又は約25~約80μmの範囲の総厚さを有する。
【0062】
一実施形態では、ポリイミドフィルムは、D65照明と10°の観察者を使用して、デュアルビーム分光光度計で360~780nmの波長範囲にわたって全透過モードで測定した場合、約50μmのフィルム厚で、約1.25未満、又は約1.0未満、又は約0.8未満のb*を有する。一実施形態では、ポリイミドフィルムは、ASTM E313に記載の手順を使用して測定した場合に、約50μmのフィルム厚で約2.25未満、又は約2.0未満、又は約1.75未満の黄色度(YI)を有する。
【0063】
用途
一実施形態では、ポリイミドフィルムは、有機電子デバイスなどの電子デバイス用途の多くの層のために使用することができる。このような層の非限定的な例としては、デバイス基材、タッチパネル、カラーフィルターシート用基材、カバーフィルムなどが挙げられる。各用途のための特定の材料の特性要件は、固有であり、本明細書に開示したポリイミドフィルムのための適切な組成及び加工条件によって対応することができる。コーティングされたフィルムを有することから恩恵を受け得る有機電子デバイスには、(1)電気エネルギーを放射へ変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、照明デバイス、照明器具又はダイオードレーザー)、(2)エレクトロニクスプロセスによって信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光伝導セル、フォトレジスター、フォトスイッチ、フォトトランジスター、光電管、赤外検出器、バイオセンサー)、(3)放射を電気エネルギーへ変換するデバイス(例えば、光起電デバイス又は太陽電池)、(4)1つの波長の光をより長い波長の光に変換するデバイス(例えば、ダウンコンバート蛍光体デバイス);及び(5)1つ以上の有機半導体層を含む1つ以上の電子部品を含むデバイス(例えば、トランジスター又はダイオード)が含まれるが、それらに限定されない。
【0064】
本発明の有利な特性は、本発明を例示するが、それを限定しない、以下の実施例を参照することによって見ることができる。全ての部及び百分率は、特に明記しない限り、重量による。
【実施例
【0065】
試験方法
CIE L*、a*、b*色及び黄色度の測定
色測定は、ColorQuest(登録商標)XEデュアルビーム分光光度計(Hunter Associates Laboratory,Inc.,Reston,VA)を使用し、D65照明と10°の観察者を使用して、360~780nmの波長範囲にわたって全透過モードで行った。黄色度(YI)は、ASTM E313に記載の手順を使用して測定した。
【0066】
透過率及びヘイズ
透過率及びヘイズは、Haze-Guard Plus(BYK-Gardner GmbH,Germany)を使用して測定した。ヘイズはASTM1003に記載の方法を使用して前方散乱光を収集することにより、透過率で測定した。パーセントヘイズは、入射ビームから平均2.5°より大きく外れる光の量を測定することにより決定した。
【0067】
イミド化率
溶液からポリイミドフィルムをキャストし、25℃(10ミリトール)で16時間乾燥した。減衰全反射フーリエ変換赤外(ATR-FTIR)分光測定を、FTIR分光計(NicoletTM iS50,Thermo Fisher Scientific,Inc.,Waltham,MA)に取り付けられた単回反射型ゲルマニウムATRアクセサリを用いて行った。1492cm-1(内部標準として使用される芳香族伸縮)に対する1365cm-1(ポリイミドC-N)での強度の比を使用して、100%硬化と定義された標準硬化方法で調製したサンプルに対しての硬化を特性評価した。全体のイミド化率を決定するためにフィルムの両面を測定した。
【0068】
厚さ
接触式FISCHERSCOPE MMS PC2モジュラー測定システム厚さ計(Fisher Technology Inc.,Windsor,CT)を使用して、フィルムの外形を横切る5つの位置で、コーティングされたサンプルとコーティングされていないサンプルを測定することにより、コーティング厚さを決定した。
【0069】
比較例1及び比較例2
CBDA0.4/6FDA0.6//TFMB1.0のモノマー組成を有する比較例1及び2(CE1~CE2)のポリアミック酸(PAA)溶液では、500mlの窒素パージされたレジンケトルの中に、61.2547gのトリフルオロメチルベンジジン(TFMB、セイカ株式会社、和歌山精化工業株式会社、日本)を381.96gのジメチルアセトアミド(DMAc、HPLCグレード)と共に入れた。50.5138gの4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA、Synasia Inc.,Metuchen,NJ)及び14.7049gのシクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物(CBDA、Wilshire Technologies,Princeton,NJ)を5~10分間隔で3つの一定分量で添加した。追加の94.49gのDMAcを添加した。これらの添加の間、反応混合物を40℃に保持した。
【0070】
6重量%の6FDAのDMAc溶液を少量添加して、ポリマーを約975ポアズ(重量平均分子量、Mw=290,480ダルトン、PDI2.17)に重合した(「仕上げた」)。
【0071】
遠心遊星ミキサー(THINKY USA,Laguna Hills,CA)を使用してポリアミック酸を脱気し、プレポリマーからのガスを2000rpmで2分間、続いて2200rpmで2分間強制脱気した。ポリマーの更なる脱気が必要な場合、この手順を繰り返した。
【0072】
47.00gのこのポリアミック酸のDMAc溶液を冷凍庫に入れ、約-5℃に冷却した。3.48gのb-ピコリン(Sigma-Aldrich,Milwaukee,WI)と3.81gの無水酢酸(Sigma-Aldrich)を約-5℃でポリアミック酸混合物と混ぜ合わせた。β-ピコリン及び無水酢酸を含むポリアミック酸混合物を、溶液のイミド化を最小限に抑えるために-5~-10℃に維持した。これを混合し、遠心遊星ミキサーを使用して脱気し、プレポリマーからのガスを2000rpmで1分間、続いて2200rpmで30秒間強制脱気した。
【0073】
25ミルのクリアランスを有するドクターブレードを使用して、溶液を25℃でガラス板上にキャストし、硬化後約2ミルのフィルムを製造した。ガラス基板上のフィルムを80℃に30分間加熱し、その後ガラス表面から持ち上げ、4×8インチのピンフレームに取り付けた。取り付けたフィルムを炉(ThermolyneTM F6000ボックス炉、Thermo Fisher Scientific,Inc.,Waltham,MA)に入れた。炉を窒素でパージし、次の温度プロトコルに従って加熱した:
25~45℃(5℃/分)、45℃で5分間保持;
45~150℃(20℃/分)、150℃で10分間保持;
150~250℃(20℃/分)、250℃で10分間保持;
250~300℃(20℃/分)、300℃で5分間保持。
300℃に5分間加熱した後、フィルムをオーブンから「高温」で取り出し、空気中で放冷した。
【0074】
実施例1
実施例1(E1)では、十分にイミド化されたポリイミド溶液(ポリイミドアミック酸溶液)を調製するために、CE1/CE2からの60.83gのPAA溶液を、窒素パージされた500mlのレジンケトルに入れた。4.50gのβ-ピコリン及び4.93gの無水酢酸をPAA溶液と混合した。追加の6.21gのDMAcを添加した。反応混合物を加熱せずに30分間撹拌し、次いで80℃に1時間加熱して溶液をイミド化した。43.0gの冷却したポリマー溶液を、ブレンダー内の100gの高速撹拌されているメタノールに注ぎ入れた。粉砕したポリマー固体をブレンダーの中で10分間撹拌した後、濾過により回収した。ポリマーを25℃で約16時間真空乾燥した。乾燥したポリマーを43.19gのDMAcに添加し、遠心遊星ミキサー中で混合して溶液を得た。赤外線データは、ポリマーがポリイミド形態に十分に変換されていること(96.1%)を示している。
【0075】
遠心遊星ミキサーを使用して溶液を脱気し、ポリマーからのガスを2000rpmで2分間、続いて2200rpmで2分間、強制脱気した。ポリマーの更なる脱気が必要な場合、この手順を繰り返した。
【0076】
20ミルのクリアランスを有するドクターブレードを使用して、溶液を25℃でガラス板上にキャストし、約2ミルの硬化フィルムを製造した。ガラス基板上のフィルムを80℃に30分間加熱し、その後ガラス表面から持ち上げ、4×8インチのピンフレームに取り付けた。取り付けたフィルムを炉に入れた。炉を窒素でパージし、CE1/CE2について上で記載したものと同じ温度プロトコルに従って加熱した。300℃に5分間加熱した後、フィルムをオーブンから「高温」で取り出し、空気中で放冷した。
【0077】
実施例2
実施例2(E2)では、E1について記載したものと同じ手順を使用して溶液を形成し、フィルムを作製したが、異なる加熱プロファイルを使用して最終硬化のためにより低い温度で停止した。取り付けたフィルムを炉に入れ、次いでこれを窒素でパージし、以下の温度プロトコルに従って加熱した:
25~45℃(5℃/分)、45℃で5分間保持;
45~150℃(20℃/分)、150℃で10分間保持;
150~250℃(20℃/分)、250℃で15分間保持.
250℃に15分間加熱した後、フィルムをオーブンから「高温」で取り出し、空気中で放冷した。
【0078】
比較例3及び比較例4:
比較例3及び4(CE3~CE4)では、CE1~CE2について上述したPAA溶液を遠心遊星ミキサーを使用して脱気し、プレポリマーからのガスを2000rpmで2分間、続いて2200rpmで2分間、強制脱気した。ポリマーの更なる脱気が必要な場合、この手順を繰り返した。
【0079】
25ミルのクリアランスを有するドクターブレードを使用して、溶液を25℃でガラス板上にキャストし、約2ミルの硬化フィルムを製造した。ガラス基板上のフィルムを80℃に30分間加熱し、その後ガラス表面から持ち上げ、4×8インチのピンフレームに取り付けた。取り付けたフィルムを炉に入れた。炉を窒素でパージし、CE1/CE2について上で記載したものと同じ温度プロトコルに従って加熱した。300℃に5分間加熱した後、フィルムをオーブンから「高温」で取り出し、空気中で放冷した。
【0080】
CE1~CE4及びE1~E2のフィルムについて表1に示されているように、全てCBDA0.4/6FDA0.6//TFMB1.0の同じモノマー組成であり、E1及びE2は、優れた透明度(L*)及び低いヘイズを維持しながらも、抑えられた色(b*)及び低い黄色度(YI)を有する優れた光学特性を与えた。E1とCE1~CE2との比較は、特に興味深く、驚くべきものである。フィルムのポリマー、触媒、触媒濃度、及び加熱手順は同一であったものの、E1では、フィルムを形成するためのキャストと加熱の前に、触媒がイミド化溶液から分離(除去)された。CE1~CE2では、触媒はポリアミック酸から除去されず、ポリアミック酸溶液はキャストの前に(イミド化の抑制を補助するため)-5~-10℃に維持され、3つ全て(E1及びCE1~CE2)は同じ方法でキャスト及び硬化されている。CE3及びCE4は、これらの同じモノマー組成物に対して無触媒熱イミド化プロセスを使用すると、優れた透明性と低いヘイズを有するフィルムを製造できるが、これらの色と黄色度はE1及びE2のポリイミド溶液を使用して製造したフィルムよりもはるかに大きいことを示している。
【0081】
【表1】
【0082】
実施例3
実施例3(E3)では、150mlのTHINKY容器の中で、0.428gの3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA、三菱ケミカル株式会社)、1.998gのCBDA、2.586gの6FDA、及び5.663gのTFMBを、30.998gのDMAcと混合し、BPDA0.083/CBDA0.583/6FDA0.33//TFMB1.0のモノマー組成を有するポリアミック酸溶液を調製した。容器をローラーミルの上に12時間置き、混合物を反応させてポリアミック酸溶液を形成した。続いて、溶液を遠心遊星ミキサーで5分間撹拌し、その後、重量分率(溶液中の固体モノマー濃度)が16重量%になるように、これを16gのDMAcで希釈し、材料を遠心遊星ミキサーで更に5分間混合し、その後ロールミルに更に2時間置いた。
【0083】
66.63gのポリアミック酸溶液に、4.085gのβ-ピコリン及び4.478gの無水酢酸を添加した。ポリアミック酸混合物をより大きい250mlのTHINKYカップに移し、更に80.3gのDMAcを添加して混合物を更に希釈し、溶液の最終重量分率をモノマーと触媒の総含有量を基準として6.8重量%にした。ポリアミック酸混合物を遠心遊星ミキサーに2000rpmで5分間入れ、イミド化反応を開始した。その間、触媒を含むポリアミック酸溶液は、溶液の撹拌によりわずかに温かくなった。
【0084】
遠心遊星ミキサーを使用して溶液を脱気し、ポリマーからのガスを2000rpmで2分間、続いて2200rpmで2分間、強制脱気した。ポリマーの更なる脱気が必要な場合、この手順を繰り返した。
【0085】
20ミルのクリアランスを有するドクターブレードを使用して、溶液を25℃でガラス板上にキャストし、約2ミルの硬化フィルムを製造した。ガラス基板上のフィルムを110℃に60分間加熱し、その後ガラス表面から持ち上げ、4×8インチのピンフレームに取り付けた。取り付けたフィルムを炉に入れた。炉を窒素でパージし、次の温度プロトコルに従って加熱した:
25~45℃(5℃/分)、45℃で5分間保持;
45~150℃(20℃/分)、150℃で10分間保持;
150~220℃(20℃/分)、220℃で15分間保持。
【0086】
220℃に15分間加熱した後、フィルムをオーブンから「高温」で取り出し、空気中で放冷した。
【0087】
実施例4
実施例4(E4)では、ポリアミック酸及びポリイミド樹脂の調製についてE1に関して記載したものと同じであるが以下の相違がある手順を使用した。66.713gのTFMBを479.66gのDMAc、36.571gの6FDA、及び24.219gのCBDAと共に添加して、CBDA0.6/6FDA0.4//TFMB1.0のモノマー組成を有するポリアミック酸溶液を調製した。
【0088】
6重量%の6FDAのDMAc溶液を少量追加して、ポリマーを1475ポアズ(重量平均分子量、Mw=363,739ダルトン、PDI2.18)に「仕上げた」。
【0089】
E1で説明したように、ポリアミック酸の一部をポリイミドに変換し、ポリマーを析出によって単離し、乾燥した樹脂を溶解してフィルムへとキャストしたが、次の違いを有していた。窒素パージした500mlのレジンケトル中の103.50gのポリアミック酸溶液に、8.268gのβ-ピコリンと9.064gの無水酢酸を入れた。11.75gのポリイミド樹脂を45.0gのDMAcと合わせ、混合して溶液を得てからフィルムとしてキャストした。
【0090】
取り付けたフィルムを炉に入れた。炉を窒素でパージし、次の温度プロトコルに従って加熱した:
25~45℃(5℃/分)、45℃で5分間保持;
45~150℃(20℃/分)、150℃で10分間保持;
150~250℃(20℃/分)、250℃で15分間保持。
250℃に15分間加熱した後、フィルムをオーブンから「高温」で取り出し、空気中で放冷した。
【0091】
比較例5
CBDA0.6/6FDA0.4//TFMB1.0のモノマー組成を有する比較例5(CE5)のPAA溶液では、窒素パージした1リットルのレジンケトルに、618.55gのDMAcと共に50gのTFMBを入れた。27.411gの6FDAと18.151gのCBDAを5~10分間隔で3つの一定分量で添加した。追加の154.64gのDMAcを添加して、11重量%の溶液を調製した。これらの添加の間、反応混合物を40℃に保持した。6FDAモノマーを少量追加して、ポリマーを約26ポアズに「仕上げた」。
【0092】
遠心遊星ミキサーを使用して少量のポリアミック酸を脱気し、プレポリマーからのガスを2000rpmで2分間、続いて2200rpmで2分間、強制脱気した。ポリマーの更なる脱気が必要な場合、この手順を繰り返した。
【0093】
40ミルのクリアランスを有するドクターブレードを使用して、溶液を25℃でPETフィルム上にキャストし、硬化後約2ミルのフィルムを製造した。PET基材上のフィルムを50℃及び80℃に30分間加熱し、その後基材から持ち上げ、4×8インチのピンフレームに取り付けた。取り付けたフィルムを炉(HTMA6/28,Carbolite Gero Ltd.,Newtown,PA)の中に入れた。炉を窒素でパージし、次の温度プロトコルに従って加熱した:
25~45℃(5℃/分)、45℃での保持なし;
45~150℃(7℃/分)、150℃で10分間保持;
150~250℃(7℃/分)、250℃で10分間保持;
250~320℃(7℃/分)、320℃で5分間保持。
320℃に5分間加熱した後、フィルムをオーブンから「高温」で取り出し、空気中で放冷した。フィルムは脆く、オーブンの中で粉々になった。
【0094】
実施例5
ODPA0.1/CBDA0.6/6FDA0.3//TFMB1.0のモノマー組成を有する実施例5(E5)では、E1で説明したものと同じ手順であるがポリアミック酸溶液の調製に関して以下の違いを有する手順を使用した。35.0gのTFMBを529.5gのDMAc溶媒と共に入れた。14.39gの6FDA、12.71gのCBDA、及び3.35gの4,4’-オキシジフタル酸無水物(ODPA、Wilshire Technologies)。追加の0.13gの6FDAモノマーを1グラムのDMAcで添加して、ポリマーの粘度と分子量を増加させた。
【0095】
E1で説明したように、ポリアミック酸をポリイミド溶液に変換し、ポリマーを析出によって単離し、乾燥した樹脂を溶解してフィルムへとキャストしたが、次の違いを有していた。窒素パージしたレジンケトル中の595gのポリアミック酸溶液に、26.02gのβ-ピコリンと28.52gの無水酢酸を添加した。乾燥した樹脂をE1に記載の通りにDMAcに溶解した。
【0096】
取り付けたフィルムを炉に入れた。炉を窒素でパージし、次の温度プロトコルに従って加熱した:
25~45℃(5℃/分)、45℃で5分間保持;
45~150℃(20℃/分)、150℃で10分間保持;
150~250℃(20℃/分)、250℃で15分間保持。
250℃に15分間加熱した後、フィルムをオーブンから「高温」で取り出し、空気中で放冷した。
【0097】
表2は、BPDA0.083/CBDA0.583/6FDA0.33//TFMB1.0(E3)、CBDA0.6/6FDA0.4//TFMB1.0(E4)、及びODPA0.1/CBDA0.6/6FDA0.3//TFMB1.0(E5)などの様々な芳香族/脂肪族二無水物モノマー組成を使用して、優れた光学特性を有するポリイミドフィルムを製造できることを示している。CE5は、E4と同じモノマー組成を用いるが触媒を使用しない熱イミド化プロセスを使用してPAA溶液から直接ポリイミドフィルムを形成すると、望ましい光学特性を有するフィルムが製造されないことを示している。
【0098】
【表2】
【0099】
実施例6
CBDA0.6/6FDA0.4//TFMB0.75/HMDA0.25のモノマー組成を有する実施例6(E6)のPAA溶液では、窒素パージしたグローブボックス内の300mlのビーカーに4.497gのTFMBと0.985gの4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(HMDA、Sigma Aldrich)を89gのDMAcと共に入れた。2.199gのCBDAと3.320gの6FDAを5~10分間隔で3つの一定分量で添加した。これらの添加の間、反応混合物を40℃に保持した。重量平均分子量Mw=156,000g/mol、分散度2.14まで、反応を40℃で一晩保持した。
【0100】
E6については、十分にイミド化されたポリイミド溶液(ポリイミドアミック酸溶液)を調製するために、4.36gのβ-ピコリンと4.78gの無水酢酸をPAA溶液と混合した。反応混合物を40℃で30分間撹拌し、次いで80℃に3時間加熱して溶液をイミド化した。室温のポリマー溶液100gをブレンダー内の300mlのメタノール(Sigma Aldrich)の中に注ぎ入れ、高速撹拌してポリマー固体を粉砕した。粉砕したポリマー固体をブレンダー内で10分間撹拌した後、濾過により回収した。その後、ポリマー固体を追加のメタノール100mlで洗浄した。ポリマーを一晩風乾した。
【0101】
E6では、5gの乾燥したポリマー樹脂を45gのDMAcに添加し、遠心遊星ミキサーで混合して溶液を得た。遠心遊星ミキサーを使用して溶液を脱気し、ポリマーからのガスを2000rpmで10分間、強制脱気した。
【0102】
溶液を25℃でガラス基板上にキャストして、1~2ミルの硬化フィルムを製造した。ガラス基板上のフィルムを80℃に25分間加熱し、放冷し、その後ガラス表面から持ち上げ、8×12インチのフレームに取り付けた。取り付けたフィルムを炉に入れた。炉を120~250℃(16℃/分)に加熱し、次いで250℃で20分間保持した。250℃に20分間加熱した後、フィルムをオーブンから「高温」で取り出し、空気中で放冷した。
【0103】
実施例7
CBDA0.6/6FDA0.4//TFMB0.75/IPDA0.25のモノマー組成を有する実施例7(E7)のPAA溶液では、窒素パージしたグローブボックス内の300mlのビーカーに、4.575gのTFMBと0.811gのイソホロンジアミン(IPDA、TCI America,Portland,OR)を89gのDMAcと共に入れた。2.237gのCBDAと3.378gの6FDAを5~10分間隔で3つの一定分量で添加した。これらの添加の間、反応混合物を40℃に保持した。重量平均分子量Mw=272,000g/mol、分散度2.68まで、反応を40℃で一晩保持した。
【0104】
E7については、十分にイミド化されたポリイミド溶液(ポリイミドアミック酸溶液)を調製するために、4.44gのβ-ピコリンと4.86gの無水酢酸をPAA溶液と混合した。反応混合物を40℃で30分間撹拌し、次いで80℃に3時間加熱して溶液をイミド化した。室温のポリマー溶液100gをブレンダー内の300mlのメタノールの中に注ぎ入れ、高速撹拌してポリマー固体を粉砕した。粉砕したポリマー固体をブレンダー内で10分間撹拌した後、濾過により回収した。その後、ポリマー固体を追加のメタノール100mlで洗浄した。ポリマーを一晩風乾した。
【0105】
E7では、5gの乾燥したポリマー樹脂を45gのDMAcに添加し、遠心遊星ミキサーで混合して溶液を得た。遠心遊星ミキサーを使用して溶液を脱気し、ポリマーからのガスを2000rpmで10分間、強制脱気した。
【0106】
溶液を25℃でガラス基板上にキャストして、1~2ミルの硬化フィルムを製造した。ガラス基板上のフィルムを80℃に25分間加熱し、放冷し、その後ガラス表面から持ち上げ、8×12インチのフレームに取り付けた。取り付けたフィルムを炉に入れた。炉を120~250℃(16℃/分)に加熱し、次いで250℃で20分間保持した。250℃に20分間加熱した後、フィルムをオーブンから「高温」で取り出し、空気中で放冷した。
【0107】
表3は、CBDA0.6/6FDA0.4//TFMB0.75/HMDA0.25(E6)及びCBDA0.6/6FDA0.4//TFMB0.75/IPDA0.25(E7)などの様々な芳香族/脂肪族二無水物と芳香族/脂肪族ジアミンモノマーの組成を使用して優れた光学特性を有するポリイミドフィルムを製造できることを示している。
【0108】
【表3】
【0109】
実施例8
6FDA0.6/CBDA0.4//TFMB0.75/PDA0.25のモノマー組成を有する実施例8(E8)のPAA溶液にでは、窒素パージされたグローブボックス内で、オーバーヘッドメカニカルミキサーを備えた300mlのビーカーに、181.2gの無水DMAc、18.021gのTFMB、及び1.391gの1,3-プロパンジアミン(PDA)を入れる。モノマーが完全に溶解するまで溶液を撹拌する。20.000gの6FDAと5.886gのCBDAを撹拌されている溶液に一度に添加する。反応混合物を室温で一晩、又は最低18時間撹拌する。
【0110】
溶液をイミド化するために、29.21gのβ-ピコリンと28.37gの無水酢酸をPAAに添加する。溶液を40℃に加熱し、一晩又は最低18時間撹拌する。1000gのメタノールを室温のポリマー混合物にゆっくり添加することによって析出を行う。固体を真空濾過により回収し、24時間風乾し、最後に真空下で150℃で8時間乾燥する。
【0111】
フィルムは、脱気した15~30重量%のポリマーのDMAc溶液をガラス基板上にドクターブレードコーティングし、80℃で30分間、又はフィルムが粘着性を失ってガラスから剥がれるまでフィルムを乾燥させることにより形成することができる。剥がしたフィルムをフレームに取り付け、150~250℃で15分かけて加熱する。フィルムを取り外し、室温まで放冷する。
【0112】
実施例9
6FDA0.6/CBDA0.4//TFMB0.75/BDA0.25のモノマー組成を有する実施例9(E9)のPAA溶液では、窒素パージされたグローブボックス内で、オーバーヘッドメカニカルミキサーを備えた300mlのビーカーに、182.2gの無水DMAc、18.021gのTFMB、及び1.654gの1,4-ブタンジアミン(BDA)を入れる。モノマーが完全に溶解するまで溶液を撹拌する。20.000gの6FDAと5.886gのCBDAを撹拌されている溶液に一度に添加する。反応混合物を室温で一晩、又は最低18時間撹拌する。
【0113】
溶液をイミド化するために、29.21gのβ-ピコリンと28.37gの無水酢酸をPAAに添加する。溶液を40℃に加熱し、一晩又は最低18時間撹拌する。1000gのメタノールを室温のポリマー混合物にゆっくり添加することによって析出を行う。固体を真空濾過により回収し、24時間風乾し、最後に真空下で150℃で8時間乾燥する。
【0114】
フィルムは、脱気した15~30重量%のポリマーのDMAc溶液をガラス基板上にドクターブレードコーティングし、80℃で30分間、又はフィルムが粘着性を失ってガラスから剥がれるまでフィルムを乾燥させることにより形成することができる。剥がしたフィルムをフレームに取り付け、150~250℃で15分かけて加熱する。フィルムを取り外し、室温まで放冷する。
【0115】
E8及びE9は、様々な芳香族/脂肪族二無水物と芳香族/脂肪族ジアミンモノマーの組成を使用して製造されたポリイミドフィルムの追加の実施例である。
【0116】
概要において上に記載された行為の全てが必要とされるわけではないこと、特定の行為の一部が必要とされなくてもよいこと、及び記載されるものに加えて、更なる行為が行われてもよいことに留意されたい。更に、行為のそれぞれがリストアップされる順番は、必ずしも、それらが行われる順番であるわけではない。本明細書を読めば、当業者は、それらの具体的なニーズ又は要望のためにどの行為を用いることができるかを決定することができるであろう。
【0117】
前述の明細書において、本発明は具体的な実施形態に関連して説明されてきた。しかしながら、当業者は、以下の特許請求の範囲に説明されるような本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができることを十分理解する。本明細書で開示される全ての特徴は、同一、均等又は同様の目的に有用な他の特徴によって置き換えられてもよい。従って、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示に関連し、全てのそのような改変形態が本発明の範囲内に含まれるように意図される。
【0118】
利益、他の利点、及び問題の解決策が特定の実施形態に関して前述された。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及びなんらかの利益、利点、又は解決策を生じさせるか又はより顕著にさせ得るいかなる要素も、特許請求の範囲のいずれか又は全ての重要な、必要な、又は本質的な特徴又は要素と解釈されるべきではない。