(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】検査支援装置および検査支援方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20241210BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H05K13/08 Q
(21)【出願番号】P 2020159697
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 賢志郎
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-248796(JP,A)
【文献】特開平08-062275(JP,A)
【文献】特開2015-225905(JP,A)
【文献】特開平07-030298(JP,A)
【文献】国際公開第2014/016959(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/100717(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に装着される部品の保持状態および装着状態のうちの少なくとも一方である部品状態を検査した過去の検査結果に基づいて、今後検査予定の検査予定基板に装着される複数の部品の検査優先度を算出する算出部と、
前記算出部によって算出された前記検査優先度に基づいて、前記検査予定基板に装着される前記複数の部品の中から検査が必要な検査対象部品を案内する案内部と、
を備え
、
前記算出部は、前記部品を採取して前記基板に装着するまでに使用した使用機器、前記使用機器の使用条件、並びに、前記部品の種類のうちの少なくとも前記部品の種類ごとに、過去の検査において検査した複数の前記基板における前記部品状態のばらつき度と比べて、過去の検査において前記部品状態が検査閾値を超えたエラーの発生回数または前記エラーの発生率の重み付けを高くして、前記部品状態を点数化して、前記検査優先度を算出する検査支援装置。
【請求項2】
前記算出部は、過去の検査において前記部品状態が検査閾値を超えたエラーの発生回数または前記エラーの発生率が大きい部品ほど、前記検査優先度を高く算出する請求項1に記載の検査支援装置。
【請求項3】
前記算出部は、過去の検査において検査した複数の前記基板における前記部品状態のばらつき度が大きい部品ほど、前記検査優先度を高く算出する請求項1または請求項2に記載の検査支援装置。
【請求項4】
前記部品状態の前記ばらつき度は、前記部品の目標位置と実際の位置との誤差の平均、および、前記部品の実際の位置の分散のうちの少なくとも一つによって表される請求項3に記載の検査支援装置。
【請求項5】
前記算出部は、過去の検査において前記部品状態が検査閾値を超えたエラーのうち、他の部品の採取および装着に影響を及ぼすことが想定されるエラーの発生回数または当該エラーの発生率の重み付けを他のエラーと比べて高くして、前記部品状態を点数化する請求項
1~請求項
4のいずれか一項に記載の検査支援装置。
【請求項6】
前記案内部は、前記部品状態の点数が高い部品ほど、前記検査対象部品として案内する請求項
1~請求項
5のいずれか一項に記載の検査支援装置。
【請求項7】
前記案内部は、前記部品が装着されている基板イメージを表示装置に表示させて、前記表示装置に表示されている前記基板イメージにおいて、前記検査対象部品を他の部品と識別可能に表示させる請求項1~請求項
6のいずれか一項に記載の検査支援装置。
【請求項8】
前記案内部は、前記検査予定基板に装着される前記複数の部品を表示装置にリスト表示させて、前記表示装置に表示されている前記リスト表示において、前記検査対象部品を他の部品と識別可能に表示させる請求項1~請求項
7のいずれか一項に記載の検査支援装置。
【請求項9】
前記案内部は、前記検査優先度を複数の階級に区分して、所定階級以上の階級に属する前記検査対象部品を階級ごとに識別可能に案内する請求項
7または請求項
8に記載の検査支援装置。
【請求項10】
前記案内部は、過去の検査において検査した複数の前記基板における前記部品状態のばらつき度に基づいて、前記検査対象部品の前記部品状態を検査する際の検査閾値を案内する請求項1~請求項
9のいずれか一項に記載の検査支援装置。
【請求項11】
前記案内部によって案内された前記検査対象部品を検査した検査結果に基づいて、前記案内部による当該検査対象部品の案内の適否を検証する検証部を備える請求項1~請求項
10のいずれか一項に記載の検査支援装置。
【請求項12】
基板に装着される部品の保持状態および装着状態のうちの少なくとも一方である部品状態を検査した過去の検査結果に基づいて、今後検査予定の検査予定基板に装着される複数の部品の検査優先度を算出する算出工程と、
前記算出工程によって算出された前記検査優先度に基づいて、前記検査予定基板に装着される前記複数の部品の中から検査が必要な検査対象部品を案内する案内工程と、
を備え
、
前記算出工程は、前記部品を採取して前記基板に装着するまでに使用した使用機器、前記使用機器の使用条件、並びに、前記部品の種類のうちの少なくとも前記部品の種類ごとに、過去の検査において検査した複数の前記基板における前記部品状態のばらつき度と比べて、過去の検査において前記部品状態が検査閾値を超えたエラーの発生回数または前記エラーの発生率の重み付けを高くして、前記部品状態を点数化して、前記検査優先度を算出する検査支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、検査支援装置および検査支援方法に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の対基板作業結果検査装置は、作業デバイス履歴情報などの履歴情報に基づいて、検査作業の作業手順を決定する。例えば、対基板作業結果検査装置は、装着不良率の高いノズルで行った装着対象、長時間使用しているフィーダが関与する装着対象などを、装着不良が発生する可能性の高い対象として、検査対象に選定して検査作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の対基板作業結果検査装置では、複数の検査対象のうち、いずれの検査対象を優先して検査すべきか明確でない。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、検査予定基板に装着される複数の部品の中から検査が必要な検査対象部品を案内可能な検査支援装置および検査支援方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、算出部と、案内部とを備える検査支援装置を開示する。前記算出部は、基板に装着される部品の保持状態および装着状態のうちの少なくとも一方である部品状態を検査した過去の検査結果に基づいて、今後検査予定の検査予定基板に装着される複数の部品の検査優先度を算出する。前記案内部は、前記算出部によって算出された前記検査優先度に基づいて、前記検査予定基板に装着される前記複数の部品の中から検査が必要な検査対象部品を案内する。
【0007】
また、本明細書は、算出工程と、案内工程とを備える検査支援方法を開示する。前記算出工程は、基板に装着される部品の保持状態および装着状態のうちの少なくとも一方である部品状態を検査した過去の検査結果に基づいて、今後検査予定の検査予定基板に装着される複数の部品の検査優先度を算出する。前記案内工程は、前記算出工程によって算出された前記検査優先度に基づいて、前記検査予定基板に装着される前記複数の部品の中から検査が必要な検査対象部品を案内する。
【発明の効果】
【0008】
上記の検査支援装置によれば、算出部と案内部とを備える。よって、検査支援装置は、算出部によって算出された検査優先度に基づいて、検査予定基板に装着される複数の部品の中から検査が必要な検査対象部品を案内することができる。検査支援装置について上述されていることは、検査支援方法についても同様に言える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】対基板作業ラインの構成例を示す構成図である。
【
図3】検査支援装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【
図4】検査支援装置による制御手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】使用機器および部品の種類ごとに部品状態を点数化して、検査優先度が算出された算出例を示す模式図である。
【
図6】基板イメージにおいて、検査対象部品が表示された表示例を示す模式図である。
【
図7】リスト表示において、検査対象部品が表示された表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1-1.対基板作業ラインWL0の構成例
対基板作業ラインWL0では、基板90に所定の対基板作業を行う。対基板作業ラインWL0を構成する対基板作業機WM0の種類および数は、限定されない。
図1に示すように、本実施形態の対基板作業ラインWL0は、印刷機WM1、印刷検査機WM2、部品装着機WM3、リフロー炉WM4および外観検査機WM5の複数(5つ)の対基板作業機WM0を備えており、基板90は、基板搬送装置によって、この順に搬送される。
【0011】
印刷機WM1は、基板90の複数の部品91の装着位置に、はんだを印刷する。印刷検査機WM2は、印刷機WM1によって印刷されたはんだの印刷状態を検査する。
図2に示すように、部品装着機WM3は、印刷機WM1によってはんだが印刷された基板90に複数の部品91を装着する。部品装着機WM3は、一つであっても良く、複数であっても良い。部品装着機WM3が複数設けられる場合は、複数の部品装着機WM3が分担して、複数の部品91を装着することができる。
【0012】
リフロー炉WM4は、部品装着機WM3によって複数の部品91が装着された基板90を加熱し、はんだを溶融させて、はんだ付けを行う。外観検査機WM5は、部品装着機WM3によって装着された複数の部品91の装着状態などを検査する。このように、対基板作業ラインWL0は、複数(5つ)の対基板作業機WM0を用いて、基板90を順に搬送し、検査処理を含む生産処理を実行して基板製品900を生産することができる。なお、対基板作業ラインWL0は、例えば、機能検査機、バッファ装置、基板供給装置、基板反転装置、シールド装着装置、接着剤塗布装置、紫外線照射装置などの対基板作業機WM0を必要に応じて備えることもできる。
【0013】
対基板作業ラインWL0を構成する複数(5つ)の対基板作業機WM0およびライン管理装置LC0は、通信部によって通信可能に接続されている。また、ライン管理装置LC0および管理装置HC0は、通信部によって通信可能に接続されている。通信部は、有線または無線によって、これらを通信可能に接続することができ、通信方法は、種々の方法をとり得る。
【0014】
本実施形態では、複数(5つ)の対基板作業機WM0、ライン管理装置LC0および管理装置HC0によって、構内情報通信網(LAN:Local Area Network)が構成されている。よって、複数(5つ)の対基板作業機WM0は、通信部を介して、互いに通信することができる。また、複数(5つ)の対基板作業機WM0は、通信部を介して、ライン管理装置LC0と通信することができる。さらに、ライン管理装置LC0および管理装置HC0は、通信部を介して、互いに通信することができる。
【0015】
ライン管理装置LC0は、対基板作業ラインWL0を構成する複数(5つ)の対基板作業機WM0の制御を行い、対基板作業ラインWL0の動作状況を監視する。ライン管理装置LC0には、複数(5つ)の対基板作業機WM0を制御する種々の制御データが記憶されている。ライン管理装置LC0は、複数(5つ)の対基板作業機WM0の各々に制御データを送信する。また、複数(5つ)の対基板作業機WM0の各々は、ライン管理装置LC0に動作状況および生産状況を送信する。
【0016】
管理装置HC0は、少なくとも一つのライン管理装置LC0を管理する。例えば、ライン管理装置LC0によって取得された対基板作業機WM0の動作状況および生産状況は、必要に応じて、管理装置HC0に送信される。管理装置HC0には、記憶装置DS0が設けられている。記憶装置DS0は、対基板作業機WM0が取得した種々の取得データを保存することができる。例えば、対基板作業機WM0によって撮像された種々の画像データは、取得データに含まれる。対基板作業機WM0によって取得された稼働状況の記録(ログデータ)などは、取得データに含まれる。また、記憶装置DS0は、基板製品900の生産に関する種々の生産情報を保存することができる。
【0017】
1-2.部品装着機WM3の構成例
部品装着機WM3は、基板90に複数の部品91を装着する。
図2に示すように、部品装着機WM3は、基板搬送装置11、部品供給装置12、部品移載装置13、部品カメラ14、基板カメラ15および制御装置16を備えている。
【0018】
基板搬送装置11は、例えば、ベルトコンベアなどによって構成され、基板90を搬送方向(X軸方向)に搬送する。基板90は、回路基板であり、電子回路、電気回路、磁気回路などが形成される。基板搬送装置11は、部品装着機WM3の機内に基板90を搬入し、機内の所定位置に基板90を位置決めする。基板搬送装置11は、部品装着機WM3による複数の部品91の装着処理が終了した後に、基板90を部品装着機WM3の機外に搬出する。
【0019】
部品供給装置12は、基板90に装着される複数の部品91を供給する。部品供給装置12は、基板90の搬送方向(X軸方向)に沿って設けられる複数のフィーダ121を備えている。複数のフィーダ121の各々は、複数の部品91が収納されるキャリアテープをピッチ送りさせて、フィーダ121の先端側に位置する供給位置において部品91を採取可能に供給する。また、部品供給装置12は、チップ部品などと比べて比較的大型の電子部品(例えば、リード部品など)を、トレイ上に配置した状態で供給することもできる。
【0020】
部品移載装置13は、ヘッド駆動装置131および移動台132を備えている。ヘッド駆動装置131は、直動機構によって移動台132を、X軸方向およびY軸方向に移動可能に構成されている。移動台132には、クランプ部材によって装着ヘッド20が着脱可能(交換可能)に設けられている。装着ヘッド20は、少なくとも一つの保持部材30を用いて、部品供給装置12によって供給される部品91を採取し保持して、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90に部品91を装着する。保持部材30は、例えば、吸着ノズル、チャックなどを用いることができる。
【0021】
部品カメラ14および基板カメラ15は、公知の撮像装置を用いることができる。部品カメラ14は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の上向きになるように、部品装着機WM3の基台に固定されている。部品カメラ14は、保持部材30に保持されている部品91を下方から撮像することができる。基板カメラ15は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の下向きになるように、部品移載装置13の移動台132に設けられている。基板カメラ15は、基板90を上方から撮像することができる。部品カメラ14および基板カメラ15は、制御装置16から送出される制御信号に基づいて撮像を行う。部品カメラ14および基板カメラ15によって撮像された画像の画像データは、制御装置16に送信される。
【0022】
制御装置16は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置16には、部品装着機WM3に設けられる各種センサから出力される情報、画像データなどが入力される。制御装置16は、制御プログラムおよび予め設定されている所定の装着条件などに基づいて、各装置に対して制御信号を送出する。
【0023】
例えば、制御装置16は、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90を基板カメラ15に撮像させる。制御装置16は、基板カメラ15によって撮像された画像を画像処理して、基板90の位置決め状態を認識する。また、制御装置16は、部品供給装置12によって供給された部品91を保持部材30に採取させ保持させて、保持部材30に保持されている部品91を部品カメラ14に撮像させる。制御装置16は、部品カメラ14によって撮像された画像を画像処理して、部品91の保持姿勢を認識する。
【0024】
制御装置16は、制御プログラムなどによって予め設定される装着予定位置の上方に向かって、保持部材30を移動させる。また、制御装置16は、基板90の位置決め状態、部品91の保持姿勢などに基づいて、装着予定位置を補正して、実際に部品91を装着する装着位置を設定する。装着予定位置および装着位置は、位置(X軸座標およびY軸座標)の他に回転角度を含む。
【0025】
制御装置16は、装着位置に合わせて、保持部材30の目標位置(X軸座標およびY軸座標)および回転角度を補正する。制御装置16は、補正された目標位置において補正された回転角度で保持部材30を下降させて、基板90に部品91を装着する。制御装置16は、上記のピックアンドプレースサイクルを繰り返すことによって、基板90に複数の部品91を装着する装着処理を実行する。
【0026】
1-3.検査支援装置70の構成例
例えば、部品装着機WM3の基板カメラ15を用いて、基板90に装着されている部品91の装着状態を検査する場合がある。これにより、部品装着機WM3は、早期に部品91の装着状態の不良を発見することができる。しかしながら、検査する部品91の数が増加するほど、検査に要する所要時間が増大し易くなり、部品装着機WM3による基板製品900の生産時間が長くなり易い。
【0027】
また、対基板作業ラインWL0は、複数(5つ)の対基板作業機WM0の各々の稼働率が比較的高く、複数(5つ)の対基板作業機WM0の各々における基板製品900の生産時間を均一化することが望ましい。そのため、部品装着機WM3は、必要最小限の部品91を検査対象部品91tとして選定することが好ましい。上述されていることは、例えば、部品装着機WM3の部品カメラ14を用いて、保持部材30に保持されている部品91の保持状態を検査する場合についても同様に言える。
【0028】
そこで、本実施形態の対基板作業ラインWL0には、検査支援装置70が設けられている。検査支援装置70は、検査予定基板90pに装着される複数の部品91の中から検査が必要な検査対象部品91tを案内する。検査支援装置70は、種々の演算装置に設けることができる。例えば、検査支援装置70は、ライン管理装置LC0、管理装置HC0、部品装着機WM3の制御装置16などに設けることができる。検査支援装置70は、クラウド上に形成することもできる。
図3に示すように、本実施形態の検査支援装置70は、管理装置HC0に設けられている。
【0029】
検査支援装置70は、制御ブロックとして捉えると、算出部71と、案内部72とを備えている。検査支援装置70は、検証部73を備えることもできる。
図3に示すように、本実施形態の検査支援装置70は、算出部71と、案内部72と、検証部73とを備えている。
【0030】
また、本実施形態の検査支援装置70は、
図4に示すフローチャートに従って、制御を実行する。算出部71は、ステップS11に示す処理を行う。案内部72は、ステップS12に示す処理を行う。検証部73は、ステップS15に示す処理を行う。なお、本実施形態では、検査プログラムの作成時に案内部72がステップS12に示す処理を行う。検査プログラム作成装置は、ステップS13に示す処理を行う。既述したように、対基板作業ラインWL0は、ステップS14に示す処理を行う。
【0031】
1-3-1.算出部71
算出部71は、基板90に装着される部品91の保持状態および装着状態のうちの少なくとも一方である部品状態を検査した過去の検査結果に基づいて、今後検査予定の検査予定基板90pに装着される複数の部品91の検査優先度を算出する(
図4に示すステップS11)。
【0032】
例えば、部品91の保持状態は、保持部材30に保持された部品91の目標保持位置と、実際の保持位置との誤差によって表すことができる。目標保持位置と実際の保持位置との誤差には、X軸方向の位置、Y軸方向の位置および回転角度のうちの少なくとも一つの誤差が含まれる。これらの誤差は、部品カメラ14によって撮像された画像を画像処理して算出される。
【0033】
また、部品91の装着状態は、基板90に装着された部品91の目標装着位置と、実際の装着位置との誤差によって表すことができる。目標装着位置と実際の装着位置との誤差には、X軸方向の位置、Y軸方向の位置および回転角度のうちの少なくとも一つの誤差が含まれる。これらの誤差は、基板カメラ15によって撮像された画像を画像処理して算出される。また、これらの誤差は、外観検査機WM5の検査カメラによって撮像された画像を画像処理して算出することもできる。
【0034】
部品状態を検査した検査結果は、種々の記憶装置に記憶しておくことができる。本実施形態では、部品状態の検査結果は、
図1および
図3に示す記憶装置DS0に記憶される。部品装着機WM3または外観検査機WM5は、部品状態の検査結果が得られたときに、部品状態の検査結果を記憶装置DS0に逐次記憶させることができる。また、部品装着機WM3または外観検査機WM5は、所定数の部品状態の検査結果が得られたときに、所定数の部品状態を記憶装置DS0に記憶させることもできる。算出部71は、記憶装置DS0から過去の検査結果を取得することができる。
【0035】
検査予定基板90pは、部品状態を検査した過去の検査結果を活用することが可能な基板90であれば良く、限定されない。例えば、部品状態を検査した基板90と同種の基板90は、検査予定基板90pに含まれる。部品状態を検査した基板90と基板種は異なるが、部品状態を検査した部品91の部品種と同種の部品91が装着される基板90は、検査予定基板90pに含まれる。
【0036】
例えば、過去の検査において部品状態が検査閾値を超えたエラーの発生回数またはエラーの発生率が大きい部品91ほど、検査予定基板90pにおいてもエラーが発生する可能性が高く、検査する必要性が高い。そこで、算出部71は、過去の検査において部品状態が検査閾値を超えたエラーの発生回数またはエラーの発生率が大きい部品91ほど、検査優先度を高く算出すると良い。これにより、算出部71は、エラーの発生回数またはエラーの発生率が大きく検査が必要な部品91の検査優先度を高めることができる。なお、エラーの発生率は、エラーの発生回数を、部品91の採取回数または装着回数で除算して算出される。
【0037】
また、過去の検査において検査した複数の基板90における部品状態のばらつき度が大きい部品91ほど、検査予定基板90pにおいても部品状態のばらつき度が大きくなる可能性が高く、検査する必要性が高い。そこで、算出部71は、過去の検査において検査した複数の基板90における部品状態のばらつき度が大きい部品91ほど、検査優先度を高く算出すると良い。これにより、算出部71は、部品状態のばらつき度が大きく検査が必要な部品91の検査優先度を高めることができる。
【0038】
例えば、部品状態のばらつき度は、部品91の目標位置と実際の位置との誤差の平均、および、部品91の実際の位置の分散のうちの少なくとも一つによって表される。具体的には、部品91の保持状態のばらつき度は、既述した目標保持位置と実際の保持位置との誤差の平均によって表される。例えば、100枚の基板90の上記誤差が誤差ME1~誤差ME100で表される場合、部品91の保持状態のばらつき度は、誤差ME1~誤差ME100を加算した加算値を、基板90の枚数100で除算して算出される。
【0039】
また、部品91の保持状態のばらつき度は、既述した実際の保持位置の分散によって表すこともできる。例えば、100枚の基板90の実際のX軸方向の保持位置が保持位置X1~保持位置X100で表される場合、部品91の保持状態のばらつき度は、保持位置X1~保持位置X100の分散として算出される。X軸方向の保持位置について上述されていることは、Y軸方向の保持位置および回転角度についても同様に言える。
【0040】
同様に、部品91の装着状態のばらつき度は、既述した目標装着位置と実際の装着位置との誤差の平均によって表される。また、部品91の装着状態のばらつき度は、既述した実際の装着位置の分散によって表すこともできる。このように、部品状態のばらつき度は、種々の統計的な情報によって表すことができる。
【0041】
さらに、過去の検査において検査した同種の部品91であっても、部品91を採取して基板90に装着するまでに使用した使用機器UM0、使用機器UM0の使用条件などによっては、検査結果が異なる場合がある。また、検査優先度は、利便性が高いことが好ましい。
【0042】
そこで、算出部71は、部品91を採取して基板90に装着するまでに使用した使用機器UM0、使用機器UM0の使用条件、並びに、部品91の種類のうちの少なくとも部品91の種類ごとに部品状態を点数化して、検査優先度を算出すると良い。これにより、案内部72は、使用機器UM0、使用機器UM0の使用条件、並びに、部品91の種類のうちの少なくとも部品91の種類に合致する検査優先度を取得することができ、部品状態が点数化されていない場合と比べて、検査優先度の利便性が向上する。
【0043】
使用機器UM0は、部品91を採取して基板90に装着するまでに使用した機器であれば良く、限定されない。例えば、
図2に示すフィーダ121、保持部材30、装着ヘッド20、部品カメラ14などは、使用機器UM0に含まれる。また、部品供給装置12においてフィーダ121がセットされている位置(スロット位置)、フィーダ121のキャリアテープの送り速度、装着ヘッド20の移動速度、部品カメラ14の撮像条件(例えば、光源の種類、光の照射方向、露光時間、絞り値)などは、使用機器UM0の使用条件に含まれる。さらに、対基板作業機WM0の雰囲気温度、湿度などは、使用機器UM0の使用条件に含まれる。また、部品91の部品種、型式、ベンダ(製造メーカ)、製造ロットなどは、部品91の種類に含まれる。
【0044】
図5は、使用機器UM0および部品91の種類ごとに部品状態を点数化して、検査優先度が算出された算出例を示している。同図に示す使用機器UM1、使用機器UM2は、使用機器UM0に含まれる。部品種P1、部品種P2および部品種P3は、部品91の種類に含まれる。また、パラメータPM1は、部品91の装着状態のばらつき度であって、目標装着位置と実際の装着位置との誤差の平均を示している。パラメータPM2は、部品91の装着状態のばらつき度であって、実際の装着位置の分散を示している。パラメータPM3は、エラーの発生回数を示している。
【0045】
例えば、使用機器UM1を使用して基板90に装着された部品種P1の部品91は、パラメータPM1についての部品状態の点数が2点、パラメータPM2についての部品状態の点数が4点、パラメータPM3についての部品状態の点数が20点であることを示している。また、合計点数は、26点(2点、4点および20点の合計)であり、当該部品91の検査優先度は、26点であることを示している。上述されていることは、他の使用機器UM0および部品種の組み合わせについても同様に言える。
【0046】
過去の検査におけるエラーの発生回数またはエラーの発生率は、過去の検査におけるエラーの発生状況を示しており、検査した複数の基板90における部品状態のばらつき度と比べて、重要度が高い。そこで、算出部71は、過去の検査において検査した複数の基板90における部品状態のばらつき度と比べて、過去の検査において部品状態が検査閾値を超えたエラーの発生回数またはエラーの発生率の重み付けを高くして、部品状態を点数化すると良い。これにより、算出部71は、過去の検査におけるエラーの発生回数またはエラーの発生率を重視した検査優先度を算出することができる。
【0047】
例えば、部品状態のばらつき度は、ばらつき度の大きさに応じて、0点~5点とすることができる。つまり、部品状態のばらつき度は、最もばらつき度が大きい場合に5点とし、最もばらつき度が小さい場合に0点とする。これに対して、例えば、エラーの発生回数は、エラーが1回発生するごとに、10点とすることができる。この重み付けの結果、
図5に示すように、いずれの使用機器UM0および部品種の組み合わせにおいても、パラメータPM3についての部品状態の点数は、パラメータPM1およびパラメータPM2についての部品状態の点数と比べて、高くなっている。
【0048】
また、他の部品91の採取および装着に影響を及ぼすことが想定されるエラーは、他のエラーと比べて、重要度が高い。そこで、算出部71は、過去の検査において部品状態が検査閾値を超えたエラーのうち、他の部品91の採取および装着に影響を及ぼすことが想定されるエラーの発生回数または当該エラーの発生率の重み付けを他のエラーと比べて高くして、部品状態を点数化すると良い。これにより、算出部71は、他の部品91の採取および装着に影響を及ぼすことが想定されるエラーを重視した検査優先度を算出することができる。
【0049】
例えば、隣接する装着部位の間の距離が短くなるほど、部品状態のばらつき度は、小さくする必要がある。つまり、上記の隣接する装着部位では、一の装着部位における部品91の保持状態のばらつき度が他の装着部位における部品91の装着処理に影響を及ぼす場合がある。同様に、一の装着部位における部品91の装着状態のばらつき度が他の装着部位における部品91の装着処理に影響を及ぼす場合がある。
【0050】
このような装着部位において、X軸方向の保持位置、Y軸方向の保持位置および回転角度のうちの少なくとも一つが検査閾値を超えると、他の部品91の採取および装着に影響を及ぼし易い。上述されていることは、上記の隣接する装着部位において、X軸方向の装着位置、Y軸方向の装着位置および回転角度のうちの少なくとも一つが検査閾値を超えたエラーについても同様に言える。
【0051】
1-3-2.案内部72
案内部72は、算出部71によって算出された検査優先度に基づいて、検査予定基板90pに装着される複数の部品91の中から検査が必要な検査対象部品91tを案内する(
図4に示すステップS12)。
【0052】
案内部72は、部品状態の点数が高い部品91ほど、検査対象部品91tとして案内することができる。
図5に示す例では、使用機器UM2を使用して基板90に装着された部品種P1の部品91は、検査優先度を示す合計点数が47点であり、最も合計点数が高い。使用機器UM1を使用して基板90に装着された部品種P1の部品91は、検査優先度を示す合計点数が26点であり、上述した部品91の次に合計点数が高い。使用機器UM2を使用して基板90に装着された部品種P3の部品91は、検査優先度を示す合計点数が25点であり、上述した2つの部品91の次に合計点数が高い。他の使用機器UM0および部品種の組み合わせは、検査優先度を示す合計点数が20点未満である。
【0053】
よって、例えば、検査優先度を示す合計点数が20点以上の部品91を検査対象部品91tとして案内する場合、案内部72は、上述した3つの部品91を検査対象部品91tとして案内する。なお、検査優先度は、複数の階級に区分することができる。
図5に示す例では、検査優先度は、3つの階級に区分されている。具体的には、検査優先度を示す合計点数が40点以上の部品91は、判定結果Aで示されている。また、検査優先度を示す合計点数が20点以上40点未満の部品91は、判定結果Bで示されている。検査優先度を示す合計点数が20点未満の部品91は、判定結果Cで示されている。
【0054】
判定結果Aは、判定結果Bと比べて、検査の必要度が高く、検査予定基板90pにおいて、検査が必要であることを示している。判定結果Bは、判定結果Aと比べて、検査の必要度が低いが、検査が推奨されることを示している。判定結果Cは、判定結果Bと比べて、検査の必要度が低く、検査の必要がないことを示している。
【0055】
例えば、案内部72は、部品91が装着されている基板イメージIM0を表示装置80に表示させて、表示装置80に表示されている基板イメージIM0において、検査対象部品91tを他の部品91と識別可能に表示させることができる。表示装置80は、公知の表示装置を用いることができる。表示装置80は、管理装置HC0、ライン管理装置LC0、対基板作業機WM0などに設けることができる。
図1および
図3に示すように、本実施形態の表示装置80は、管理装置HC0に設けられている。
【0056】
図6は、基板イメージIM0において、検査対象部品91tが表示された表示例を示している。同図の部品91aは、
図5に示す使用機器UM1を使用して検査予定基板90pに装着する部品種P1の部品91を示している。同様に、部品91bは、
図5に示す使用機器UM1を使用して検査予定基板90pに装着する部品種P2の部品91を示している。部品91cは、
図5に示す使用機器UM1を使用して検査予定基板90pに装着する部品種P3の部品91を示している。部品91dは、
図5に示す使用機器UM2を使用して検査予定基板90pに装着する部品種P1の部品91を示している。部品91eは、
図5に示す使用機器UM2を使用して検査予定基板90pに装着する部品種P2の部品91を示している。部品91fは、
図5に示す使用機器UM2を使用して検査予定基板90pに装着する部品種P3の部品91を示している。
【0057】
図5に示す例では、3つの部品91(部品91a、部品91dおよび部品91f)が検査対象部品91tである。よって、案内部72は、表示装置80に表示されている基板イメージIM0において、検査対象部品91tである上述した3つの部品91(部品91a、部品91dおよび部品91f)を他の部品91と識別可能に表示させる。同図では、図示の便宜上、検査対象部品91tが実線で示されており、他の部品91が破線で示されている。
【0058】
案内部72は、検査対象部品91tを他の部品91と識別可能に表示させることができれば良く、表示方法は限定されない。例えば、案内部72は、表示色の相違、マーカーの有無およびアイコンの相違のうちの少なくとも一つによって、検査対象部品91tと他の部品91の表示方法を異ならせることができる。
【0059】
案内部72は、例えば、他の部品91の表示色と比べて作業者が着目し易い表示色(例えば、黄色、赤色など)によって、検査対象部品91tを表示させることができる。また、マーカーおよびアイコンについても同様であり、案内部72は、作業者が着目し易い表示色、形態、表示画面内の移動、点滅表示など種々の形態によって、検査対象部品91tを他の部品91と識別可能に表示させることができる。
【0060】
図6では、マーカーに相当する矢印MK0が検査対象部品91tに対して表示されている。また、表示装置80に表示される部品91のイメージは、アイコンに相当する。さらに、検査対象部品91tには、図形FP0が付されている。図形FP0は、既述したアイコンに相当する。同図に示す例では、図形FP0は、視覚的に注意喚起を促す感嘆符が用いられている。
【0061】
また、
図6では、検査対象部品91tおよび他の部品91を識別する文字情報がさらに表示されている。検査対象部品91tを識別する文字情報は、他の部品91を識別する文字情報と比べて大きく表示されている。案内部72は、文字情報についても、マーカーおよびアイコンと同様の方法によって表示させることができる。また、案内部72は、作業者がポインタを検査対象部品91tに合わせたときに、過去の検査におけるエラーの発生回数またはエラーの発生率を表示させることもできる。同様に、案内部72は、作業者がポインタを検査対象部品91tに合わせたときに、過去の検査における部品状態のばらつき度を表示させることもできる。
【0062】
案内部72は、検査優先度を複数の階級に区分して、所定階級以上の階級に属する検査対象部品91tを階級ごとに識別可能に案内することができる。既述したように、
図5に示す例では、検査優先度は、3つの階級に区分されており、検査対象部品91tが属する階級は、判定結果Aおよび判定結果Bで示されている。案内部72は、既述した方法によって、判定結果Aで示される階級に属する検査対象部品91t(部品91d)の表示方法と、判定結果Bで示される階級に属する検査対象部品91t(部品91aおよび部品91f)の表示方法とを異ならせる。
【0063】
例えば、案内部72は、判定結果Aで示される階級に属する検査対象部品91t(部品91d)を赤色の表示色で表示させ、判定結果Bで示される階級に属する検査対象部品91t(部品91aおよび部品91f)を黄色の表示色で表示させることができる。また、判定結果Aで示される階級に属する検査対象部品91t(部品91d)に付されている図形FP0は、二つの感嘆符が用いられ、判定結果Bで示される階級に属する検査対象部品91t(部品91aおよび部品91f)に付されている図形FP0は、一つの感嘆符が用いられている。
【0064】
案内部72は、検査予定基板90pに装着される複数の部品91を表示装置80にリスト表示LD0させて、表示装置80に表示されているリスト表示LD0において、検査対象部品91tを他の部品91と識別可能に表示させることもできる。
図7は、リスト表示LD0において、検査対象部品91tが表示された表示例を示している。同図では、部品91a~部品91fがリスト表示されている。部品91a~部品91fは、基板イメージIM0において既述した部品91a~部品91fに対応している。
【0065】
この場合、案内部72は、表示装置80に表示されているリスト表示LD0において、検査対象部品91tである既述した3つの部品91(部品91a、部品91dおよび部品91f)を他の部品91と識別可能に表示させる。同図においても、図示の便宜上、検査対象部品91tが実線で示されており、他の部品91が破線で示されている。また、案内部72は、基板イメージIM0において既述した表示方法と同様の方法で、検査対象部品91tを他の部品91と識別可能に表示させることができる。さらに、案内部72は、検査優先度を複数の階級に区分して、所定階級以上の階級に属する検査対象部品91tを階級ごとに識別可能に案内することもできる。
【0066】
案内部72は、過去の検査において検査した複数の基板90における部品状態のばらつき度に基づいて、検査対象部品91tの部品状態を検査する際の検査閾値TH0を案内することもできる。既述したように、例えば、部品状態のばらつき度は、部品91の目標位置と実際の位置との誤差の平均、および、部品91の実際の位置の分散のうちの少なくとも一つによって表すことができる。
【0067】
図8は、検査閾値TH0の案内例を示している。同図に示す案内例では、所定の検査対象部品91tの検査データについて、現在の検査閾値TH0と、検査閾値TH0の候補と、検査閾値TH0を変更するデータを選択可能な選択ボックスとが表示されている。例えば、データ1は、所定の検査対象部品91tのX軸方向の装着位置の許容範囲である。現在の検査閾値TH0は、下限値が検査閾値TH11であり、上限値が検査閾値TH12である。データ2は、所定の検査対象部品91tのY軸方向の装着位置の許容範囲である。現在の検査閾値TH0は、下限値が検査閾値TH21であり、上限値が検査閾値TH22である。データ3は、所定の検査対象部品91tの回転角度の許容範囲である。現在の検査閾値TH0は、下限値が検査閾値TH31であり、上限値が検査閾値TH32である。
【0068】
例えば、案内部72は、検査対象部品91tの過去の検査結果のうち、エラーが発生しなかった検査結果(良品の検査結果)について、複数の基板90における部品状態のばらつき度を算出する。案内部72は、算出されたばらつき度に基づいて、検査閾値TH0の候補を案内する。例えば、100枚の良品の基板90の上記誤差が誤差DE1~誤差DE100で表される場合、部品91の装着状態のばらつき度は、誤差DE1~誤差DE100を加算した加算値を、基板90の枚数100で除算して算出される。
【0069】
案内部72は、検査閾値TH0の候補の上限値と下限値の平均値が、装着状態のばらつき度と一致するように、検査閾値TH0の候補の上限値および下限値を算出する。また、現在の検査閾値TH0の上限値と下限値の平均値の絶対値と、検査閾値TH0の候補の上限値と下限値の平均値の絶対値との差が所定値以上のときに、案内部72は、検査閾値TH0の候補を案内するようにしても良い。同図では、例えば、データ1について検査閾値TH0の候補が案内されている。検査閾値TH0の候補は、下限値が検査閾値TH13であり、上限値が検査閾値TH14である。
【0070】
本実施形態では、作業者が同図に示す選択ボックスを選択することにより、変更する検査データを選択することができる。案内部72は、作業者によって検査データが選択され、変更ボタンが選択されたときに、作業者によって選択された検査データの変更処理を許可する。案内部72は、検査データが一つも選択されないとき、または、作業者が戻るボタンを選択したときに、変更処理を不許可とする。
【0071】
また、案内部72は、検査データの変更の適否を判断する管理者の承認を受けたときに、作業者によって選択された検査データの変更処理を許可することもできる。逆に、案内部72は、管理者の承認を受けられなかったときに、作業者によって選択された検査データの変更処理を不許可とすることもできる。この場合、案内部72は、管理者の承認が受けられず、変更処理が行われない旨を表示することができる。
【0072】
本実施形態では、案内部72は、検査プログラムの作成時に検査対象部品91tを案内する。これにより、検査プログラムの作成が容易になる。また、作業者が検査対象部品91tを選定する場合、作業者の経験や知識によって選定される検査対象部品91tにばらつきが生じる可能性がある。本実施形態では、案内部72によって検査対象部品91tが案内されるので、一意的に検査対象部品91tを選定することができる。
【0073】
さらに、案内部72は、部品状態の点数が高い部品91ほど、検査対象部品91tとして案内する。よって、必要度の低い検査が省略され易くなり、検査支援装置70は、検査対象数を抑制して、検査時間の増大を抑制することができる。また、誤装着の可能性が高い部品91が検査対象部品91tに設定され易くなり、検査装置(部品装着機WM3または外観検査機WM5)は、誤装着を早期に発見できるようになる。
【0074】
さらに、対基板作業機WM0が基板製品900を生産する際に使用する生産プログラムの切り替わりのタイミングで、検査プログラムを切り替えることにより、生産状況の変化に合わせた検査対象の変更が容易になる。例えば、切り替わり後の生産プログラムに関連付けられている情報(検査予定基板90pで使用予定の機器、当該機器の使用条件、検査予定基板90pに装着される部品91に関する情報など)に基づいて、案内部72は、検査対象部品91tを案内することができる。
【0075】
図6および
図7に示す例では、案内部72は、検査対象部品91tである3つの部品91(部品91a、部品91dおよび部品91f)を案内し、検査プログラムが作成される。検査プログラムが上記の作成された検査プログラムに切り替わることにより、検査対象が上記の3つの部品91(部品91a、部品91dおよび部品91f)に変更される。
【0076】
検査プログラム作成装置は、検査プログラムを作成する(
図4に示すステップS13)。検査プログラムが作成されると、対基板作業機WM0は、検査処理を含む生産処理を実行して基板製品900を生産する。この際、検査装置(部品装着機WM3または外観検査機WM5)は、検査結果を含む種々の情報を取得し、記憶装置DS0に記憶させる(
図4に示すステップS14)。
【0077】
例えば、部品91の保持状態(X軸方向の位置、Y軸方向の位置および回転角度)、部品91の装着状態(X軸方向の位置、Y軸方向の位置および回転角度)、部品状態が検査閾値を超えたエラーの有無は、上記情報に含まれる。使用機器UM0、使用機器UM0の使用条件、部品91の種類は、上記情報に含まれる。部品91の装着回数、一度エラーが発生した部品91の再装着の有無は、上記情報に含まれる。このようにして、過去の検査結果が蓄積される。
【0078】
なお、案内部72は、検査プログラムの作成時以外にも、検査対象部品91tを案内することができる。例えば、案内部72は、ライン管理装置LC0において生産実績を確認する際に、検査対象部品91tを案内することもできる。これにより、作業者は、検査対象部品91tの生産実績を容易に確認することができる。このように、案内部72は、基板製品900が生産された後に検査対象部品91tを案内することもできる。
【0079】
1-3-3.検証部73
検証部73は、案内部72によって案内された検査対象部品91tを検査した検査結果に基づいて、案内部72による当該検査対象部品91tの案内の適否を検証する(
図4に示すステップS15)。
【0080】
例えば、案内部72によって案内された検査対象部品91tを検査した結果、エラーの発生回数またはエラーの発生率が、案内部72によって案内されなかった部品91(良品に相当)より大きかったと仮定する。この場合、検証部73は、案内部72による当該検査対象部品91tの案内が適当であったと検証する。逆に、案内部72によって案内された検査対象部品91tを検査した結果、エラーの発生回数またはエラーの発生率が、案内部72によって案内されなかった部品91(良品に相当)と同等であったと仮定する。この場合、検証部73は、案内部72による当該検査対象部品91tの案内が不適当であったと検証する。上述されていることは、部品状態のばらつき度についても同様に言える。
【0081】
検証部73は、案内部72による当該検査対象部品91tの案内が不適当であったと検証した場合、例えば、当該検査対象部品91tの検査優先度が低下するように、部品状態を点数化する際の重み付けを調整することができる。これにより、当該検査対象部品91tは、検査対象として選定され難くなる。
【0082】
また、例えば、案内部72によって案内されなかった部品91を別途検査した結果、エラーの発生回数またはエラーの発生率が、不良品と同等(良品より大きい)であったと仮定する。この場合、検証部73は、案内部72による検査対象部品91tの案内漏れがあったと検証する。例えば、検証部73は、当該部品91の検査優先度が高くなるように、部品状態を点数化する際の重み付けを調整することができる。これにより、当該部品91は、検査対象として選定され易くなる。
【0083】
2.検査支援方法
検査支援装置70について既述されていることは、検査支援方法についても同様に言える。具体的には、検査支援方法は、算出工程と、案内工程とを備えている。算出工程は、算出部71が行う制御に相当する。案内工程は、案内部72が行う制御に相当する。また、検査支援方法は、検証工程を備えることができる。検証工程は、検証部73が行う制御に相当する。
【0084】
3.実施形態の効果の一例
検査支援装置70によれば、算出部71と案内部72とを備える。よって、検査支援装置70は、算出部71によって算出された検査優先度に基づいて、検査予定基板90pに装着される複数の部品91の中から検査が必要な検査対象部品91tを案内することができる。検査支援装置70について上述されていることは、検査支援方法についても同様に言える。
【符号の説明】
【0085】
70:検査支援装置、71:算出部、72:案内部、73:検証部、
80:表示装置、90:基板、90p:検査予定基板、91:部品、
91t:検査対象部品、UM0:使用機器、IM0:基板イメージ、
LD0:リスト表示、TH0:検査閾値。