(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】シャント抵抗器およびシャント抵抗装置
(51)【国際特許分類】
H01C 13/00 20060101AFI20241210BHJP
G01R 15/00 20060101ALI20241210BHJP
G01R 27/02 20060101ALI20241210BHJP
H01C 1/144 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01C13/00 J
G01R15/00 500
G01R27/02 R
H01C1/144
(21)【出願番号】P 2020175107
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【氏名又は名称】金沢 充博
(74)【代理人】
【識別番号】100092406
【氏名又は名称】堀田 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】平沢 浩一
(72)【発明者】
【氏名】豊田 進
(72)【発明者】
【氏名】仲村 圭史
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-204315(JP,A)
【文献】特開2020-145365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 13/00
G01R 15/00
G01R 27/02
H01C 1/144
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料から構成された電極部材
、電極および抵抗体を備えるシャント抵抗器であって、
前記抵抗体は、厚みを有する板状であり、第1抵抗体表面と第2抵抗体表面を有し、
前記電極部材は、
前記抵抗体に接触する接触部位と、
前記接触部位に形成されたスリットと、を備え
ており、
前記接触部位は、前記抵抗体に隣接する第1面および前記第1面とは反対側の第2面を有し、
前記接触部位と前記抵抗体と前記電極とを厚み方向に積層することで、前記第1面は前記第1抵抗体表面に接続され、前記電極は前記第2抵抗体表面に接続される、シャント抵抗器。
【請求項2】
前記スリットは、電流方向に垂直な方向に
長い、請求項1に記載のシャント抵抗器。
【請求項3】
前記スリットは、前記第1面
と前記第2面
を貫通する貫通孔である、請求項1または請求項2に記載のシャント抵抗器。
【請求項4】
抵抗体と、
電極部材と、電極と、前記電極部材に接続された電圧検出配線と、を備え、
前記抵抗体は、厚みを有する板状であり、第1抵抗体表面と第2抵抗体表面を有し、
前記電極部材は、前記抵抗体に接触する接触部位を
有し、
前記接触部位は、前記抵抗体に隣接する第1面および前記第1面とは反対側の第2面を有し、
前記接触部位と前記抵抗体と前記電極とを厚み方向に積層することで、前記第1面は前記第1抵抗体表面に接続され、前記電極は前記第2抵抗体表面に接続され、
前記電極部材は、前記接触部位に形成されたスリットを備えており、
前記電圧検出配線は、前記スリットと前記電極部材のスリット側端部との間の第1配線領域に配置されている、シャント抵抗装置。
【請求項5】
前記シャント抵抗装置は、前記電極部材に接続された電流配線を備えており、
前記電流配線は、前記スリットを挟んで、前記第1配線領域とは反対側の第2配線領域に配置されている、請求項4に記載のシャント抵抗装置。
【請求項6】
前記スリットは、電流方向に垂直な方向に
長い、請求項4または請求項5に記載のシャント抵抗装置。
【請求項7】
前記スリットは、前記第1面
と前記第2面
を貫通する貫通孔である、請求項4~請求項6のいずれか一項に記載のシャント抵抗装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャント抵抗器およびシャント抵抗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電流を抵抗体に流し、その両端の電圧から電流の大きさを検出するシャント抵抗器が存在する(例えば、特許文献1参照)。このようなシャント抵抗器は、円板状の抵抗体と、抵抗体の両面に形成された2つの電極と、を備えている。2つの電極のうちの一方は配線(パッド)に接続されており、他方はボンディングワイヤに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボンディングワイヤに接続された電極は、電位分布を有している。したがって、ボンディングワイヤの接続位置がずれることで、検出される抵抗値やシャント抵抗器の抵抗温度係数(T.C.R)が変化することがある。抵抗温度係数は、温度による抵抗値の変化の割合を示す指標である。
【0005】
そこで、本発明は、電圧検出用の配線の接続位置によるシャント抵抗器の特性のばらつきを抑制することができるシャント抵抗器およびシャント抵抗装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、導電性材料から構成された電極部材を備えるシャント抵抗器が提供される。前記電極部材は、抵抗体に接触する接触部位と、前記接触部位に形成されたスリットと、を備える。
【0007】
一態様では、前記スリットは、電流方向に垂直な方向に延びている。
一態様では、前記接触部位は、前記抵抗体に隣接する第1面および前記第1面とは反対側の第2面を有しており、前記スリットは、前記第1面および前記第2面に接続された貫通孔である。
【0008】
一態様では、抵抗体と、前記抵抗体に接触する接触部位を備える電極部材と、前記電極部材に接続された電圧検出配線と、を備えるシャント抵抗装置が提供される。前記電極部材は、前記接触部位に形成されたスリットを備えており、前記電圧検出配線は、前記スリットと前記電極部材のスリット側端部との間の第1配線領域に配置されている。
【0009】
一態様では、前記シャント抵抗装置は、前記電極部材に接続された電流配線を備えており、前記電流配線は、前記スリットを挟んで、前記第1配線領域とは反対側の第2配線領域に配置されている。
一態様では、前記スリットは、電流方向に垂直な方向に延びている。
一態様では、前記接触部位は、前記抵抗体に隣接する第1面および前記第1面とは反対側の第2面を有しており、前記スリットは、前記第1面および前記第2面に接続された貫通孔である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スリットを接触部位に形成することにより、電圧検出用の配線の接続位置によるシャント抵抗器の特性のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】電流検出用のシャント抵抗器の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】電流検出用のシャント抵抗器の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3】実装ランドパターンの一実施形態を示す図である。
【
図4】
図3に示す実装ランドパターンに実装されたシャント抵抗装置を示す図である。
【
図5】本実施形態におけるスリットを形成したシャント抵抗器の有効性を検証するため、抵抗値およびT.C.Rの測定位置を説明する図である。
【
図6】シャント抵抗器の抵抗値の測定位置による変化を示すグラフである。
【
図7】シャント抵抗器のT.C.Rの測定位置による変化を示すグラフである。
【
図8】シャント抵抗器の他の実施形態を示す図である。
【
図9】シャント抵抗器の他の実施形態を示す図である。
【
図10】
図3に示す実装ランドパターンに、
図9に示すシャント抵抗器を実装して構成されたシャント抵抗装置の一実施形態を示す図である。
【
図11】
図3に示す実装ランドパターンに、
図9に示すシャント抵抗器を実装して構成されたシャント抵抗装置の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0013】
図1および
図2は、電流検出用のシャント抵抗器の一実施形態を示す斜視図である。
図1および
図2に示すように、シャント抵抗器1は、所定の厚みと幅を有する板状(薄板状)の抵抗体5と、導電性材料から構成された板状(薄板状)の電極6と、導電性材料から構成された電極部材10と、を備えている。
【0014】
抵抗体5の材料の一例として、Cu-Mn-Ni系合金やNi-Cr系合金などの低抵抗合金材が挙げられる。電極6および電極部材10の材料の一例として、高導電性金属である銅(Cu)が挙げられる。
【0015】
抵抗体5は、第1抵抗体表面5aと、第1抵抗体表面5aの反対側の面である第2抵抗体表面5bと、を有している。電極部材10は、第1抵抗体表面5aに接続されており、電極6は、第2抵抗体表面5bに接続されている。すなわち、電極6、抵抗体5、および電極部材10は、この順にシャント抵抗器1の厚さ方向に積層されている。
【0016】
図1および
図2において、シャント抵抗器1の厚さ方向は、鉛直方向と平行な方向である。第1方向は、シャント抵抗器1の長さ方向である。第2方向は、シャント抵抗器1の幅方向であり、第1方向に垂直な方向である。
【0017】
電極部材10は、長方形状を有する本体部11と、本体部11から厚さ方向に延びる端子部14と、を備えている。本体部11および端子部14は、一体成形部材である。
【0018】
電極部材10(より具体的には、本体部11)は、抵抗体5に接触する接触部位10aを備えている。
図1の白抜き矢印で示す方向に電極部材10を移動させることにより、電極部材10の接触部位10aは抵抗体5に接続される(
図2参照)。端子部14は、電極部材10の中心線CLに関して、接触部位10aの反対側に配置されている。中心線CLは、シャント抵抗器1の第2方向と平行に延び、かつ電極部材10を二等分する仮想の線分である。
【0019】
端子部14および電極6(および抵抗体5)は、シャント抵抗器1の第1方向において、互いに離間して配置されている。この第1方向は、シャント抵抗器1を通過する電流の電流方向と平行である。
【0020】
電極部材10は、加圧溶接などの溶接、はんだ、金属ナノ粒子(銀ナノ粒子を用いた銀ペーストや、銅ナノ粒子を用いた銅ペースト)などの接続手段により、抵抗体5の第1抵抗体表面5aに接続されてもよい。電極6も同様の接続手段により抵抗体5の第2抵抗体表面5bに接続されてもよい。端子部14および電極6には、はんだ実装を可能とするために、SnめっきやNiめっき等の表面処理が施されている。
【0021】
図1および
図2に示すように、電極部材10は、接触部位10aに形成されたスリット20を備えている。スリット20は、電流方向に垂直な方向(すなわち、第2方向と平行な方向)に延びる長孔である。
【0022】
スリット20は、電極部材10の表面から抵抗体5に達するように貫通している。より具体的には、接触部位10aは、抵抗体5に隣接する第1面21および第1面21とは反対側の第2面22を有しており、スリット20は、これら第1面21および第2面22に接続された貫通孔である。
【0023】
電極部材10は、第1方向における両端部23,24を有している。端部23はスリット20に隣接するスリット側端部であり、端部24はスリット20から離間する反対側端部である。したがって、スリット20とスリット側端部23との間の距離は、スリット20と反対側端部24との間の距離よりも小さい。
【0024】
図2に示すように、スリット20とスリット側端部23との間の配線領域A1(点線で囲まれた枠)には、実装の際に電圧検出配線25が接続される。この電圧検出配線25は、抵抗体5における電位差(第1抵抗体表面5aと、第2抵抗体表面5bとの間に発生する電位差)を検出するための配線(端子)である。抵抗体5、電極部材10、電極部材10に接続された電圧検出配線25は、シャント抵抗装置100を構成している。
【0025】
一実施形態では、電圧検出配線25は、ボンディングワイヤであってもよい。この場合、電極部材10(より具体的には、接触部位10a)の配線領域A1には、ボンディングを可能にする表面処理(例えば、NiPめっきやNiめっき等)が施される。
【0026】
図3は、実装ランドパターンの一実施形態を示す図である。
図4は、
図3に示す実装ランドパターンに実装されたシャント抵抗装置100を示す図である。
図3および
図4に示すように、通電パターン30,31の間には、引き出し線33が配置されており、引き出し線33は、通電パターン31に接続されている。引き出し線33は、抵抗体5の電圧を検出するための電圧検出端子である。
【0027】
通電パターン30,31は、図示しないプリント基板などの回路基板に形成されている。端子部14および電極6のそれぞれは、はんだなどの手段により通電パターン30,31のそれぞれに接続(接合)されている。通電パターン30、シャント抵抗器1、および通電パターン31により電流経路が形成される。本実施形態では、電圧測定装置26を用いて、電圧検出配線25と引き出し線33との間の電位差(すなわち、抵抗体5における電位差)を測定することができる。かかる電位差の測定により電流値が算出される。算出された電流値により、例えば自動車に搭載された各種機器の制御が行われる。
【0028】
図5は、本実施形態におけるスリット20を形成したシャント抵抗器1の有効性を検証するため、抵抗値およびT.C.Rの測定位置を説明する図である。
図6は、シャント抵抗器1の抵抗値の測定位置による変化を示すグラフである。
図7は、シャント抵抗器1のT.C.Rの測定位置による変化を示すグラフである。
【0029】
図6は、スリット20の幅の大きさ(1.5mm~4.5mm)および測定位置(1.5mm、3.0mm、3.7mm、5.0mm)を変化させたときの抵抗値のシミュレーション結果を示している。
図7は、スリット20の幅の大きさ(1.5mm~4.5mm)および測定位置(1.5mm、3.0mm、3.7mm、5.0mm)を変化させたときのT.C.Rのシミュレーション結果を示している。
【0030】
本実施形態では、シャント抵抗器1の設定抵抗値は、100μΩである。抵抗値およびT.C.Rの測定位置は、位置0mmを基準位置(中心線CL(
図1参照)上の電極部材10の中心位置)としたとき、この基準位置からスリット側端部23までの距離に相当する。
【0031】
図6の横軸は抵抗値の測定位置を示しており、
図6の縦軸は抵抗値[mΩ]を示している。
図6から明らかなように、電極部材10の基準位置側の位置においては、スリット20の幅の大きさが大きくなるほど、抵抗値は大きくなる。測定位置が電極部材10の基準位置から離れるほど、抵抗値が小さくなる。したがって、スリット20の幅の大きさを変更することにより、抵抗値を変更することができる。その一方で、スリット20の位置よりもスリット側端部23の位置においては、スリット20の幅の大きさが大きくなると、抵抗値は小さくなるが、それほど大きく変化しない。
【0032】
このことから、スリット20の位置よりも基準位置側の位置に電圧検出配線25を接続(ボンディング)する場合、電圧検出配線25の接続位置によって抵抗値特性が変化する。その一方で、スリット20の位置よりもスリット側端部23の位置に電圧検出配線25を接続(ボンディング)する場合、電圧検出配線25の接続位置に応じて抵抗値特性はほとんど変化しない。したがって、シャント抵抗器1の特性のばらつきを抑制するために、スリット20の位置よりもスリット側端部23側の位置に電圧検出配線25を接続することが望ましい。
【0033】
図6のシミュレーション結果には示されていないが、スリット20を形成する位置に応じて、抵抗値は変更可能である。つまり、スリット20を基準位置側の位置に形成すると、抵抗値は大きくなり、スリット20をスリット側端部23側の位置に形成すると、抵抗値は小さくなる。
【0034】
図7の横軸はT.C.Rの測定位置を示しており、
図7の縦軸はT.C.R[ppm/deg]を示している。
図7から明らかなように、電極部材10の基準位置側の位置においては、スリット20の幅の大きさが大きくなるほど、T.C.Rはプラス側になる。測定位置が電極部材10の基準位置から離れるほど、T.C.Rがマイナス側になる。したがって、スリット20の幅の大きさを変更することにより、T.C.Rを変更することができる。その一方で、スリット20の位置よりもスリット側端部23の位置においては、スリット20の幅の大きさが大きくなると、T.C.Rはマイナスになる。測定位置が変わってもT.C.Rはほとんど変化しない。
【0035】
このことから、スリット20の位置よりも基準位置側の位置に電圧検出配線25を接続(ボンディング)する場合、電圧検出配線25の接続位置によってT.C.R特性が変化する。その一方で、スリット20の位置よりもスリット側端部23の位置に電圧検出配線25を接続(ボンディング)する場合、電圧検出配線25の接続位置に応じてT.C.R特性はほとんど変化しない。したがって、シャント抵抗器1の特性のばらつきを抑制するために、スリット20の位置よりもスリット側端部23側の位置に電圧検出配線25を接続することが望ましい。
【0036】
図7から明らかなように、スリット20の幅の大きさを変更することにより、T.C.R特性を変更することができる。特に、
図7に示すように、スリット20の幅の大きさの変更に起因するT.C.R特性は、基準位置側の位置よりもスリット側端部23の位置において顕著に変化する。
【0037】
図7のシミュレーション結果には示されていないが、スリット20を形成する位置に応じて、T.C.Rは変更可能である。つまり、スリット20を基準位置側の位置に形成すると、T.C.Rはプラス側に調整され、スリット20をスリット側端部23側の位置に形成すると、T.C.Rはマイナス側に調整される。
【0038】
スリット20を形成することによる追加的な効果は、次の通りである。特許文献1(すなわち、特開2018-170478号公報)のシャント抵抗器において、抵抗値を変更する方法の1つとして、抵抗体を切削する方法が挙げられる。例えば、抵抗体の側面を切削することにより、抵抗体の断面積(すなわち、電流経路)を減少させて、抵抗値を増加させる。しかしながら、このような方法では、抵抗体に残留応力が発生することがある。このような残留応力は、回路基板に実装した後に、抵抗値が変動する原因となるおそれがある。本実施形態によれば、スリット20を形成することにより、抵抗体5を切削することなく、抵抗値を変更することができる。したがって、残留応力に起因する抵抗値の変動は生じない。
【0039】
図8および
図9は、シャント抵抗器1の他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成は、上述した実施形態と同じであるのでその重複する説明を省略する。
図8および
図9に示すように、電極部材50は、上述した実施形態に係る電極部材10よりも小さなサイズを有している。より具体的には、電極部材50は、電極部材10よりも第1方向において、短い長さを有している。
【0040】
電極部材50は、その全体において、抵抗体5に接触する接触部位50aを備えている。
図8の白抜き矢印で示す方向に電極部材50を移動させることにより、電極部材50の接触部位50aは抵抗体5に接続される(
図9参照)。
図9に示すように、電極部材50は抵抗体5および電極6と同一のサイズを有している。
【0041】
電極部材50の表面(
図9の点線で囲まれた面(言い換えれば、接触部位50aの全体の面))には、ボンディングを可能にする表面処理(例えば、NiPめっきやNiめっき等)が施される。電極6には、はんだ実装を可能とするために、SnめっきやNiめっき等の表面処理が施されている。
【0042】
上述した実施形態と同様に、スリット20は、電流方向に垂直な方向に延びる長孔である。電極部材50の接触部位50aは、抵抗体5に隣接する第1面51および第1面51とは反対側の第2面52を有しており、スリット20は、これら第1面51および第2面52に接続された貫通孔である。
【0043】
図10は、
図3に示す実装ランドパターンに、
図9に示すシャント抵抗器を実装して構成されたシャント抵抗装置100の一実施形態を示す図である。
図10に示す実施形態では、シャント抵抗装置100は、電極部材50に接続された電圧検出配線25および電流配線55を備えている。
【0044】
図10に示すように、電圧検出配線25は、スリット20とスリット側端部53との間の配線領域A1(点線で囲まれた枠)に配置されている。電流配線55はスリット20を挟んで配線領域A1とは反対側の配線領域A2(点線で囲まれた枠)に配置されている。この配線領域A2は、スリット20と反対側端部54との間の領域である。
【0045】
図10に示す実施形態では、電流配線55は、複数(
図10では、4つ)のボンディングワイヤであるが、電流配線55の数は本実施形態には限定されない。電流配線55は、通電パターン30および電極部材50に接続されている。通電パターン30、電流配線55、シャント抵抗器1、および通電パターン31により、電流経路が形成される。
【0046】
図11は、
図3に示す実装ランドパターンに、
図9に示すシャント抵抗器を実装して構成されたシャント抵抗装置100の他の実施形態を示す図である。
図11に示す実施形態では、シャント抵抗装置100は、複数のボンディングワイヤから構成された電流配線55の代わりに、クリップ状端子から構成された電流配線56を備えている。
図10および
図11に示すように、シャント抵抗装置100は、電流配線として、複数のボンディングワイヤおよびクリップ状端子の少なくとも1つを備えてもよい。
【0047】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0048】
1 シャント抵抗器
5 抵抗体
5a 第1抵抗体表面
5b 第2抵抗体表面
6 電極
10 電極部材
10a 接触部位
11 本体部
14 端子部
20 スリット
21 第1面
22 第2面
23 スリット側端部
24 反対側端部
25 電圧検出配線
26 電圧測定装置
30 通電パターン
31 通電パターン
33 引き出し線
50 電極部材
50a 接触部位
51 第1面
52 第2面
53 スリット側端部
54 反対側端部
55 電流配線
56 電流配線