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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】車両用サイドシル構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20241210BHJP
   B60R 3/02 20060101ALI20241210BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20241210BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B60R3/02
B60K1/04 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020177663
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2021095116
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0167610
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔 志 鎬
(72)【発明者】
【氏名】魯 承 浩
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-137354(JP,A)
【文献】特開2017-197093(JP,A)
【文献】特開2017-226353(JP,A)
【文献】特開2008-105567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B60R 3/02
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センターフロアの縁部に結合され、隔壁部材によって区画された第1のキャビティ及び第2のキャビティを有するサイドシルと、
前記サイドシルの第1のキャビティに収容され、衝突荷重によって変形可能な補強材と、
前記サイドシルの第2のキャビティに収容されるコンポーネントと、を含んでなり、
前記第2のキャビティが前記第1のキャビティの上に位置し、
前記センターフロアの下に取り付けられたバッテリーケースをさらに含み、前記バッテリーケースは、締結具によって前記補強材に結合されるサイドマウントを有し、
前記センターフロアの底面に結合されたセンターサイドメンバーをさらに含み、前記サイドシルは、前記センターフロアの縁部に結合される第1のフランジと、前記センターサイドメンバーに結合される第2のフランジとを有することを特徴とする車両用サイドシル構造。
【請求項2】
前記第1のキャビティ及び前記補強材は、車両の幅方向に沿って前記バッテリーケースと水平に整列されることを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドシル構造。
【請求項3】
前記第2のキャビティ及び前記コンポーネントは、前記バッテリーケースより高く位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドシル構造。
【請求項4】
前記サイドシルは、前記第2のキャビティと疎通する開口を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドシル構造。
【請求項5】
前記サイドシルは、車両の室外に向かって面する室外側壁と、車両の室内に向かって面する室内側壁と、前記室外側壁及び前記室内側壁を連結する底壁と、前記センターフロアに水平に整列される上部壁と、前記センターサイドメンバーに向かって延長された中間壁と、を含んでなり、
前記第1のフランジは前記上部壁から延長され、前記第2のフランジは前記中間壁から延長されることを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドシル構造。
【請求項6】
前記底壁は、前記サイドマウントの上に位置し、前記中間壁は、前記バッテリーケースの上面より高く位置することを特徴とする請求項5に記載の車両用サイドシル構造。
【請求項7】
前記サイドシルは、車両の室外に向かって面する室外側壁と、車両の室内に向かって面する室内側壁と、前記室外側壁及び前記室内側壁を連結する底壁と、前記センターフロアに水平に整列される上部壁と、前記センターフロアの中心に向かって延長された延長壁と、前記延長壁から前記センターフロアに向かって延長された補強壁と、を含んでなり、
前記補強壁は、前記センターフロアに結合されることを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドシル構造。
【請求項8】
前記底壁は、前記サイドマウントの上に位置し、前記延長壁は、前記バッテリーケースの上面より高く位置することを特徴とする請求項7に記載の車両用サイドシル構造。
【請求項9】
前記コンポーネントは、前記第2のキャビティに取り付けられたローラーガイドトラックであることを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドシル構造。
【請求項10】
前記コンポーネントは、前記第2のキャビティに収容ないし展開される構成を有するステップであることを特徴とする請求項1に記載の車両用サイドシル構造。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サイドシル構造に関し、より詳しくは、バッテリー組立体を堅固に支持することができ、衝突荷重を均一に分配することができる車両用サイドシル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
最近になって、環境及び石油資源の枯渇に対する危機の認識が高くなるに伴い、環境に優しい自動車である電気自動車(Electric Vehicle)に対する研究と開発が浮上している。電気自動車にはPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、BEV(Battery Electric Vehicle)、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)などがある。
【0003】
電気自動車は、車体に高電圧バッテリー組立体が取り付けられて(mount)おり、高電圧バッテリー組立体は、一つ以上のバッテリーセル(またはバッテリーモジュール)と、一つ以上のバッテリーセルと係わる電装品と、バッテリーセル及び電装品が取り付けられるバッテリーケースと、バッテリーケースの上部をカバーするカバーと、を含む。バッテリーケースはその内部に複数のクロスメンバーが固定され、複数のクロスメンバーによってバッテリーケースの剛性ないし強度などが強化される。高電圧バッテリー組立体は、車体のフロアパネルに取り付けられる。
【0004】
フロアパネルの両側には一対のサイドシルが取り付けられ、各サイドシルはインナーサイドシル及びアウターサイドシルを含み、アルミニウム押出材からなるサイド補強材が各インナーサイドシルの内部に取り付けられる。バッテリーケースの両側には一対のサイドフランジが設けられ、各サイドフランジがボルト及び円筒形ナット(パイプナット)などによって各サイドシルに結合されることにより、高電圧バッテリー組立体は、各サイドシルに取り付けられる。電気自動車は、航続距離の増大のためにバッテリーのサイズを増大する必要があるだけでなく、衝突からバッテリーを安全に保護する必要がある。
【0005】
一方、スライディングドアが取り付けられる電気自動車は、スライディングドアをガイドするローラーガイドトラックがサイドシルの内部に位置し、そのためバッテリーの幅を減らさなければならない。したがって、バッテリーの容量を増大することができず、そのため電気自動車の航続距離の増大に限界があった。また、サイドシルとセンターフロアの両側に位置したセンターサイドメンバーが物理的に連結されないので、サイドシルの衝突剛性及び支持剛性などが脆弱であり、サイドシルを介して伝えられる衝突荷重を効果的に分配することができないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国登録特許第10-0852061号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような点を考慮してなされたものであって、本発明の目的は、バッテリー組立体を堅固に支持することができ、衝突荷重を均一に分散することができる車両用サイドシル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明による車両用サイドシル構造は、センターフロアの縁部に結合され、隔壁部材によって区画された第1のキャビティ及び第2のキャビティを有するサイドシルと、前記サイドシルの第1のキャビティに収容され、衝突荷重によって変形可能な補強材と、前記サイドシルの第2のキャビティに収容されるコンポーネントと、を含んで構成され、前記第2のキャビティが前記第1のキャビティの上に位置することを特徴とする。
【0009】
前記センターフロアの下に取り付けられたバッテリーケースをさらに含み、前記バッテリーケースは、締結具によって前記補強材に結合されるサイドマウントを有することを特徴とする。
【0010】
前記第1のキャビティ及び前記補強材は、車両の幅方向に沿って前記バッテリーケースと水平に整列されることを特徴とする。
【0011】
前記第2のキャビティ及び前記コンポーネントは、前記バッテリーケースより高く位置することを特徴とする。
【0012】
前記サイドシルは、前記第2のキャビティと疎通する開口を有することを特徴とする。
【0013】
前記センターフロアの底面に結合されたセンターサイドメンバーをさらに含み、前記サイドシルは、前記センターフロアの縁部に結合される第1のフランジと、前記センターサイドメンバーに結合される第2のフランジとを有することを特徴とする。
【0014】
前記サイドシルは、車両の室外に向かって面する室外側壁と、車両の室内に向かって面する室内側壁と、前記室外側壁及び前記室内側壁を連結する底壁と、前記センターフロアに水平に整列される上部壁と、前記センターサイドメンバーに向かって延長された中間壁と、を含むことができる。前記第1のフランジは前記上部壁から延長され、前記第2のフランジは前記中間壁から延長されることを特徴とする。
【0015】
前記底壁は、前記サイドマウントの上に位置し、前記中間壁は、前記バッテリーケースの上面より高く位置することを特徴とする。
【0016】
前記サイドシルは、車両の室外に向かって面する室外側壁と、車両の室内に向かって面する室内側壁と、前記室外側壁及び前記室内側壁を連結する底壁と、前記センターフロアに水平に整列される上部壁と、前記センターフロアの中心に向かって延長された延長壁と、前記延長壁から前記センターフロアに向かって延長された補強壁と、を含むことができる。前記補強壁は、前記センターフロアに結合されることを特徴とする。
【0017】
前記底壁は、前記サイドマウントの上に位置し、前記延長壁は、前記バッテリーケースの上面より高く位置することを特徴とする。
【0018】
前記コンポーネントは、前記第2のキャビティに取り付けられたローラーガイドトラックであることを特徴とする。
【0019】
前記コンポーネントは、前記第2のキャビティに収容ないし展開される構成を有するステップであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、バッテリー組立体のバッテリーケースが結合される補強材を収容する第1のキャビティとコンポーネントを収容する第2のキャビティとを有し、第2のキャビティが第1のキャビティより高く位置することによって、車両の衝突が発生したとき、第2のキャビティに収容されたローラーガイドトラックなどのコンポーネントがバッテリー組立体を直接的に打撃することを予め遮断するので、バッテリー組立体を安全に保護することができる。
【0021】
本発明によれば、バッテリー組立体のバッテリーケースの縁部がサイドシルの室内側壁及びセンターサイドメンバー(または延長壁)により保護できる。よって、バッテリーケースの幅が従来の技術に比べて増大し、バッテリー組立体の容量が増大できる。また、バッテリーケースの幅の増大に伴い、バッテリーケースの高さ及びセンターフロアの高さを従来の技術に比べて低めることができ、センターフロアを平坦化することができるので、車両の乗客室を十分確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明による車体の底面図である。
図2図1のA-A線の断面図である。
図3図2のB部分を拡大図で、車両用サイドシル構造を示す。
図4】側面衝突が発生したとき、図3のローラーガイドトラックが衝突荷重によりセンターサイドメンバーに向けて移動した状態を示す図である。
図5】本発明の他の実施形態を示す車両用サイドシル構造の図である。
図6】本発明のさらに他の実施形態を示す車両用サイドシル構造の図で、サイドシルの第2のキャビティにステップが収容された状態を示す。
図7図6の車両用サイドシル構造において、ステップが部分的に展開された状態を示す図である。
図8図7の車両用サイドシル構造において、ステップが完全に展開された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一部の実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。なお、各図の参照符号は、同一の構成要素に対しては同一の符号を付与した。
【0024】
図1及び図2に示す通り、本発明の実施形態に係る車体1のフロア構造は、センターフロア2と、センターフロア2の両側縁部に結合された一対のサイドシル11と、センターフロア2の下に取り付けられたバッテリー組立体5と、を含むことができる。センターフロア2は、車体の底をなすように車体の下部に配置されてよく、センターフロア2の底面には一対のセンターサイドメンバー9が取り付けられてよく、一対のセンターサイドメンバー9は、車体1の幅方向に沿って離隔されてよい。各センターサイドメンバー9は、対応するサイドシル(corresponding side sill)11に対し個別的に隣接して配置されてよい。各センターサイドメンバー9は、対応するサイドシル11よりセンターフロア2の中心に近く位置してよい。各センターサイドメンバー9は、車両の長手方向に沿って延長されてよい。各センターサイドメンバー9は、フロントサイドメンバー9a及びリアサイドメンバー9bに一体的に連結されてよい。各サイドシル11は、車体1の長手方向に沿って延長されてよく、一対のサイドシル11は、締結具、溶接などによってセンターフロア2の両側縁部に個別的に結合されてよい。
【0025】
図3に示す通り、本発明の実施形態に係る車両用サイドシル構造10は、隔壁部材14によって区画された第1のキャビティ21及び第2のキャビティ22を有するサイドシル11と、サイドシル11の第1のキャビティ21に取り付けられた補強材12と、サイドシル11の第2のキャビティ22に取り付けられたコンポーネント51、60と、を含むことができる。
【0026】
各サイドシル11は、センターフロア2の縁部に結合される第1のフランジ11aと、センターサイドメンバー9に結合される第2のフランジ11bとを有することができる。第1のフランジ11aは、溶接、締結具などによってセンターフロア2の各縁部に結合されてよく、第2のフランジ11bは、溶接、締結具などによってセンターサイドメンバー9に結合されてよい。このように、各サイドシル11は、第2のフランジ11bによってセンターサイドメンバー9に直接的かつ物理的に連結されるので、各サイドシル11の衝突性能及び支持剛性などを改善することができる。車両の側面衝突の際、衝突荷重が各サイドシル11を通じてセンターサイドメンバー9側に伝えられてよく、センターサイドメンバー9に伝えられた衝突荷重は、センターサイドメンバー9の長手方向に沿って分散されることにより消滅ないし吸収されてよい。
【0027】
各サイドシル11はキャビティを有してよく、各サイドシル11のキャビティは、隔壁部材14によって第1のキャビティ21及び第2のキャビティ22に区画されてよい。第1のキャビティ21は、補強材12を収容する構成を有してよく、補強材12は、複数のブラケットによって第1のキャビティ21に取り付けられてよい。第2のキャビティ22は、スライディングドアのローラーをガイドするローラーガイドトラック(図3から図5を参照)51、車両の室外に向かって展開可能なステップ60などの多様なコンポーネントを収容することができる。
【0028】
第1のキャビティ21は、バッテリー組立体5のバッテリーケース6に対し、車両の幅方向に沿って水平に整列されてよく、第2のキャビティ22が第1のキャビティ21の上に位置するため、第2のキャビティ22は、車両の高さ方向に沿ってバッテリー組立体5より高く位置してよい。よって、車両の衝突が発生したとき、第2のキャビティ22に取り付けられたコンポーネント51、60がバッテリー組立体5を直接的に打撃することを予め遮断することができる。特に、第2のキャビティ22及びコンポーネント51、60は、車両の幅方向に沿ってセンターサイドメンバー9と水平に整列されてよく、そのため、車両の衝突が発生したとき、衝突荷重によって移動するコンポーネント51、60がセンターサイドメンバー9を打撃することにより、バッテリー組立体5のバッテリーケース6は安全に保護される。
【0029】
各サイドシル11は、スライディングドアのローラーキャリアまたはステップ60などが通過する開口13を有してよく、開口13は、第2のキャビティ22と疎通することができる。補強材12は、複数のリブを有するため、衝突荷重によって変形可能な構造の構成を有してよい。補強材12は、押出工程を介して作製された圧縮材であってよい。補強材12は、アルミニウムまたはアルミニウム合金の材質で作製されてよい。補強材12は、サイドシル11の長手方向に沿って延長されてよい。
【0030】
バッテリー組立体5は、一つ以上のバッテリーセル(またはバッテリーモジュール)及びバッテリーセルと係わる電装品を収容するバッテリーケース6を含むことができる。バッテリーケース6は、サイドシル11に連結される一対のサイドマウント7を有することができる。各サイドマウント7は、ボルトなどの締結具8及び貫通パイプなどによって補強材12に結合されてよい。これにより、バッテリー組立体5は、一対のサイドマウント7を通じて一対のサイドシル11に連結及び支持される。
【0031】
各サイドシル11の第1のキャビティ21及び補強材12は、車両の幅方向に沿ってバッテリー組立体5のバッテリーケース6と水平に整列されてよく、これにより、バッテリー組立体5の側面は、各サイドシル11及び補強材12によって安全に保護される。補強材12は、第1の部分12aと、第1の部分12aに一体的に連結された第2の部分12bとを含むことができる。バッテリーケース6のサイドマウント7が締結具8によって第1の部分12aに結合されてよく、第1の部分12aの断面積が第2の部分12bの断面積より大きくてよく、これによってバッテリーケース6のサイドマウント7の結合剛性が強化される。
【0032】
隔壁部材14は、第1のキャビティ21に収容される補強材12の断面輪郭と第2のキャビティ22に取り付けられるコンポーネント51、60の形状及び構造などに対応する形状を有してよい。これにより、隔壁部材14は、第1のキャビティ21の断面形状(cross-sectional shape)及び第2のキャビティ22の断面形状を決めることができる。
【0033】
図3及び図4に示す通り、サイドシル11は、車両の室外に向かって面する室外側壁31と、車両の室内に向かって面する室内側壁32と、室外側壁31及び室内側壁32を連結する底壁33と、センターフロア2に水平に整列される上部壁34と、センターサイドメンバー9に向かって延長された中間壁35と、を含むことができる。第1のフランジ11aは、上部壁34から上向きに延長されてよく、第2のフランジ11bは、中間壁35から上向きに延長されてよい。中間壁35は、隔壁部材14の少なくとも一部と同一の平面上に位置してよい。中間壁35は、センターサイドメンバー9の底と同一の平面上に位置してよい。室内側壁32及び中間壁35は互いに直交してよい。
【0034】
底壁33は、バッテリーケース6のサイドマウント7上に位置してよく、室内側壁32は、バッテリーケース6の側壁と対向してよく、中間壁35は、上部壁34及び底壁33の間で水平に延長されてよく、中間壁35及びセンターサイドメンバー9は、バッテリーケース6の上面より高く位置してよく、バッテリーケース6の縁部は、室内側壁32及び中間壁35の間に位置してよい。これにより、サイドシル11の室内側壁32がバッテリーケース6の側面をカバーすることができ、サイドシル11の中間壁35及びセンターサイドメンバー9がバッテリーケース6の上面縁部をカバーすることにより、バッテリーケース6の縁部はサイドシル11及びセンターサイドメンバー9によって安全に保護される。
【0035】
このように、本発明は、バッテリー組立体5のバッテリーケース6の縁部がサイドシル11の室内側壁32及び中間壁35、センターサイドメンバー9により保護される。よって、バッテリーケース6の幅が従来の技術に比べて増大できるので、バッテリー組立体5の容量が増大される。また、バッテリーケース6の幅の増大に伴い、バッテリーケース6の高さ(H1)及びセンターフロア2の高さ(H2)を従来の技術に比べて低めることができ、センターフロア2を平坦化することができるので、車両の乗客室を十分確保することができる。
【0036】
図3及び図4に示す通り、スライディングドアのローラーをガイドするローラーガイドトラック51がサイドシル11の第2のキャビティ22に取り付けられてよく、第2のキャビティ22及びローラーガイドトラック51がバッテリー組立体5より高く位置してよい。すなわち、第2のキャビティ22及びローラーガイドトラック51がバッテリー組立体5と水平に整列されないので、車両の衝突が発生したとき、ローラーガイドトラック51がバッテリー組立体5を打撃することが防止される。
【0037】
図4に示す通り、車両の衝突が発生したとき、衝突荷重がサイドシル11の第1のキャビティ21に収容された補強材12とサイドシル11の第2のキャビティ22に取り付けられたローラーガイドトラック51に分配されてよく、補強材12は、伝えられた衝突荷重(IMPACT LOAD)によって変形することで伝えられた衝突荷重を吸収することができ、ローラーガイドトラック51は、伝えられた衝突荷重によってセンターサイドメンバー9に向けて移動することで、衝突荷重がセンターサイドメンバー9を通じて消滅ないし吸収される。
【0038】
図5は、本発明の他の実施形態に係る車両用サイドシル構造10を示す図である。図5に示す通り、サイドシル11は、室内側壁32からセンターフロア2の中心に向かって延長された延長壁36と、延長壁36からセンターフロア2に向かって延長された補強壁37とを含むことができる。延長壁36及び補強壁37は車両の長手方向に沿って延長されてよく、延長壁36と室内側壁32は互いに直交してよい。図5の実施形態は第2のフランジが省略され、図3及び図4に示されている中間壁35及びセンターサイドメンバー9の役割を補強壁37及び延長壁36が代替することができる。
【0039】
すなわち、延長壁36は、図3の中間壁35及びセンターサイドメンバー9が単一体を形成した構造であってよい。延長壁36は、隔壁部材14の少なくとも一部と同一の平面上に位置してよい。延長壁36は、バッテリーケース6の上面の一部をカバーすることができる長さを有してよい。補強壁37の上端はフランジ37aを有してよく、フランジ37aは、溶接などによってセンターフロア2の底面に結合されてよい。よって、サイドシル11は、延長壁36及び補強壁37により支持剛性及び衝突性能を改善することができる。
【0040】
延長壁36は、上部壁34及び底壁33の間で水平に延長されてよい。延長壁36は、バッテリーケース6の上面より高く位置してよく、バッテリーケース6の縁部は、室内側壁32及び延長壁36の間に位置してよい。これにより、サイドシル11の室内側壁32がバッテリーケース6の側面をカバーすることができ、サイドシル11の延長壁36がバッテリーケース6の上面縁部をカバーすることにより、バッテリーケース6の縁部はサイドシル11及び延長壁36によって安全に保護される。このように、本発明は、バッテリー組立体5のバッテリーケース6の縁部がサイドシル11の室内側壁32及び延長壁36によって保護される。よって、バッテリーケース6の幅が従来の技術に比べて増大できるので、バッテリー組立体5の容量が増大される。また、バッテリーケース6の幅の増大に伴い、バッテリーケース6の高さ及びセンターフロア2の高さを従来の技術に比べて低めることができ、センターフロア2を平坦化することができるので、車両の乗客室を十分確保することができる。
【0041】
図6から図8は、本発明のさらに他の実施形態に係る車両用サイドシル構造10を示す図である。図6に示す通り、乗車/下車を補助するステップ60がサイドシル11の第2のキャビティ22に取り付けられてよく、ステップ60は、第2のキャビティ22に収容される収容位置(図6)と、第2のキャビティ22から車両の室外に向かって完全に展開される展開位置(図8)との間に移動することができる。ステップ60は、第2のキャビティ22に取り付けられた第1のステップ部材61と、第1のステップ部材61に対して摺動及び枢動可能に取り付けられた第2のステップ部材62と、第2のステップ部材62に枢動可能に取り付けられた第3のステップ部材63と、を含むことができる。
【0042】
図6に示す通り、ステップ60が収容位置に位置すれば、第1のステップ部材61、第2のステップ部材62、第3のステップ部材63が互いに重畳され、第2のキャビティ22に収容されてよい。図7に示す通り、ステップ60が第2のキャビティ22から部分的に展開されれば、第2のステップ部材62が第1のステップ部材61に沿って車両の室外に向けて摺動されてよい。図8に示す通り、ステップ60が展開位置に位置すれば、第3のステップ部材63が第2のステップ部材62に対して枢動することにより、第3のステップ部材63は水平に広げられてよい。
【符号の説明】
【0043】
1 車体
2 センターフロア
5 バッテリー組立体
6 バッテリーケース
7 サイドマウント
8 締結具
9 センターサイドメンバー
9a フロントサイドメンバー 9b リアサイドメンバー
10 車両用サイドシル構造
11 サイドシル
11a 第1のフランジ
11b 第2のフランジ
12 補強材
12a 第1の部分
12b 第2の部分
13 開口
14 隔壁部材
21 第1のキャビティ
22 第2のキャビティ
31 室外側壁
32 室内側壁
33 底壁
34 上部壁
35 中間壁
36 延長壁
37 補強壁
37a フランジ
51 ローラーガイドトラック
60 ステップ
61 第1のステップ部材
62 第2のステップ部材
63 第3のステップ部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8