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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】タクシー予約支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20241210BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20241210BHJP
   G06Q 50/14 20120101ALI20241210BHJP
【FI】
G06Q50/40
G06Q10/02 300
G06Q50/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020177664
(22)【出願日】2020-10-22
(65)【公開番号】P2022068784
(43)【公開日】2022-05-10
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】今野 勇介
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 陽平
(72)【発明者】
【氏名】滝井 康生
【審査官】佐藤 光起
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-084855(JP,A)
【文献】特開2002-150470(JP,A)
【文献】特開2020-119441(JP,A)
【文献】特開2020-030726(JP,A)
【文献】特開2019-211896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タクシー車両の運行が可能な1つ以上の運行業者と、タクシー車両への乗車を希望する任意のユーザとの間で、運行するタクシーの利用に関する予約の手続きを支援するタクシー予約支援システムであって、
前記運行業者が利用する業者端末との間で通信するための第1通信部と、前記ユーザが利用するユーザ端末との間で通信するための第2通信部と、前記業者端末、及び前記ユーザ端末に対してそれぞれ通信サービスを提供可能なサーバとを備え、
前記サーバは、
出発地、及び目的地を含む複数の運行プランを生成するプラン生成機能と、
前記複数の運行プランの内容を前記業者端末に対して提示すると共に、前記業者端末からの指示に応じて前記複数の運行プランの中の1つ以上を業者選択プランとして選択する業者プラン選択機能と、
選択された前記業者選択プランの内容を前記ユーザ端末に対して提示すると共に、前記ユーザ端末からの指示に応じて選択されたプランをユーザ応募プランとして特定するユーザ応募受付機能と、
前記ユーザ応募プランの応募状況に応じて各プランのタクシー運行を確定し、確定したプランの運行業者に対して該当するプランに従う配車要求を送信すると共に、予約確定の通知を前記確定したプランに応募したユーザの前記ユーザ端末へ送信する配車要求機能と、
を有するタクシー予約支援システム。
【請求項2】
前記配車要求機能は、プラン毎に定めた募集人数と、該当するプランに対するユーザ応募人数、及び/又はユーザ応募口数との比較により、各プランが成立するか否かを識別する、
請求項1に記載のタクシー予約支援システム。
【請求項3】
前記配車要求機能は、不成立と識別した特定プランに応募したユーザに対して、前記特定プランと内容が類似している類似プランへ前記ユーザが応募するための斡旋処理を実施する斡旋機能を備える、
請求項2に記載のタクシー予約支援システム。
【請求項4】
前記斡旋機能は、出発地、及び目的地の少なくとも一方が、前記特定プランと共通の特定エリア内にある他のプランを、前記類似プランとして自動的に選定する、
請求項3に記載のタクシー予約支援システム。
【請求項5】
前記配車要求機能は、各プランに対するユーザ応募人数、又はユーザ応募口数がプラン毎に定めた募集人数に比べて不足している場合には、該当するプランに応募したユーザに対して、応募口数追加申し込みのための勧誘処理を実施する勧誘機能を備える、
請求項2に記載のタクシー予約支援システム。
【請求項6】
前記プラン生成機能は、前記出発地、及び前記目的地の少なくとも一方をエリアとして設定し、
前記ユーザ応募受付機能は、ユーザから前記エリア内における乗車希望地、及び降車希望地を受付可能とする、
請求項1に記載のタクシー予約支援システム。
【請求項7】
前記プラン生成機能は、ユーザ応募人数、及び/又はユーザ応募口数ごとの一人あたりの運賃を運行プランに含め、
前記配車要求機能は、当該運行プランが確定した時点におけるユーザ応募人数、又はユーザ応募口数に応じて運賃を確定する、
請求項1に記載のタクシー予約支援システム。
【請求項8】
タクシー車両の運行が可能な1つ以上の運行業者と、タクシー車両への乗車を希望する任意のユーザとの間で、運行するタクシーの利用に関する予約の手続きを支援するタクシー予約支援システムであって、
前記運行業者が利用する業者端末と、
前記ユーザが利用するユーザ端末と、
前記業者端末、及び前記ユーザ端末に対してそれぞれ通信サービスを提供可能なサーバと、を備え、
前記サーバは、前記業者端末との間で通信するための第1通信部と、
前記ユーザ端末との間で通信するための第2通信部と、
出発地、及び目的地を含む複数の運行プランを生成するプラン生成機能と、
前記複数の運行プランの内容を前記業者端末に対して提示すると共に、前記業者端末からの指示に応じて前記複数の運行プランの中の1つ以上を業者選択プランとして選択する業者プラン選択機能と、
選択された前記業者選択プランの内容を前記ユーザ端末に対して提示すると共に、前記ユーザ端末からの指示に応じて選択されたプランをユーザ応募プランとして特定するユーザ応募受付機能と、
前記ユーザ応募プランの応募状況に応じて各プランのタクシー運行を確定し、確定したプランの運行業者に対して該当するプランに従う配車要求を送信すると共に、予約確定の通知を前記確定したプランに応募したユーザの前記ユーザ端末へ送信する配車要求機能と、
を有するタクシー予約支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タクシー予約支援システムに関し、特に、タクシーの新しい利用方法の提供を支援するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タクシー車両のような車両の利用については、ライドシェアなど従来とは異なる様々な利用形態での運用が提案されている。
例えば特許文献1は、カーシェアリングの利用を促進するための監視システムを開示している。管理システムは、ユーザの移動通信端末から通信ネットワークを通じてカーシェアリングの予約手続きを受け付ける予約受付手段と、予約手続きがされたシェアリングカーの所在位置へ移動するために、又はシェアリングカーの返却場所から移動するために、ユーザによる利用が見込まれるタクシー、ライドシェアカー、又はシェアリング自転車のうち何れかを利用することを、シェアリングカーの割引料金の提示とともに、提案するメッセージを移動通信端末に送信する通信手段と、を備えている。
【0003】
また、特許文献2は、高齢者等が利用しやすいサービスを提供する情報処理装置を開示している。サーバは、ユーザを乗せて定額タクシーが所定エリア内で移動した際の対価が、同一のユーザにとって一定となるサービスの提供を支援する。要請受付部は、複数のユーザから、定額タクシーの利用の要請(要請には、事前予約も、即乗車希望も含む)のそれぞれを受け付ける。配車計画部は、複数のユーザのそれぞれからの要請の内容及び当該複数のユーザのそれぞれに設定された区分に基づいて、定額タクシーによる輸送の計画を立案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-144654号公報
【文献】特開2020-46884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タクシーを含む移動手段に対する潜在的な需要は多く存在している。例えば、高齢者が運転免許を返納した結果、マイカーに代わる別の移動手段を必要としている。また、若年層の車離れの結果、マイカーを持たないため気軽に使える何らかの移動手段を必要とする人たちがいる。また、マイカーを持たない子育て世代の人たちが、日常的に気軽に使える移動手段を必要としている。また、地域を訪れた観光客なども、現在のタクシー、バス、電車以外でもっと気軽に使える特定地域内の移動手段を必要としている。
【0006】
一方、タクシーを運行しているタクシー会社などの事業者においては、人件費の高騰、人材確保、法規制強化、年々下がる営業収益などの様々な課題を抱えている。そのため、各タクシー車両が実際に乗客を乗せて運行している実車状態の比率を向上し、売上げを増やしたいと望んでいる。
【0007】
しかし、実際には、タクシー車両は、例えば駅前などに停車して空車状態で多数並んで待機していたり、空車状態でお客を探しながら走行している場合が多い。つまり、上記のようにタクシーなどの移動手段に対する潜在的な需要は多く存在しているにもかかわらず、実際にタクシーを利用している人は比較的少なくなっている。その原因は、移動手段を提供するタクシー会社のサービスの内容と、タクシーなどの移動手段を必要としている潜在的なユーザとの需給関係がうまくマッチングしていないことにあると考えられる。例えば、潜在的なユーザは、タクシーを利用したくても料金が高すぎるためタクシーの利用をあきらめる可能性が高い。
【0008】
そこで、例えば特許文献1のようにカーシェアリングを利用すれば、ユーザ一人あたりのタクシー料金を下げることができるので、潜在的なユーザがタクシーを利用する機会を増やすことが可能になる。しかしながら、現在のカーシェアリングのシステムでは、タクシー会社側の都合や、潜在的なユーザの都合があまり考慮されていない。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タクシー会社側とタクシーの潜在的なユーザとの間の需給関係のマッチングを容易にして、タクシー車両の実車状態の比率を向上するために利用可能なタクシー予約支援システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係るタクシー予約支援システムは、下記(1)~(8)を特徴としている。
(1) タクシー車両の運行が可能な1つ以上の運行業者と、タクシー車両への乗車を希望する任意のユーザとの間で、運行するタクシーの利用に関する予約の手続きを支援するタクシー予約支援システムであって、
前記運行業者が利用する業者端末との間で通信するための第1通信部と、前記ユーザが利用するユーザ端末との間で通信するための第2通信部と、前記業者端末、及び前記ユーザ端末に対してそれぞれ通信サービスを提供可能なサーバとを備え、
前記サーバは、
出発地、及び目的地を含む複数の運行プランを生成するプラン生成機能と、
前記複数の運行プランの内容を前記業者端末に対して提示すると共に、前記業者端末からの指示に応じて前記複数の運行プランの中の1つ以上を業者選択プランとして選択する業者プラン選択機能と、
選択された前記業者選択プランの内容を前記ユーザ端末に対して提示すると共に、前記ユーザ端末からの指示に応じて選択されたプランをユーザ応募プランとして特定するユーザ応募受付機能と、
前記ユーザ応募プランの応募状況に応じて各プランのタクシー運行を確定し、確定したプランの運行業者に対して該当するプランに従う配車要求を送信すると共に、予約確定の通知を前記確定したプランに応募したユーザの前記ユーザ端末へ送信する配車要求機能と、
を有するタクシー予約支援システム。
【0011】
(2) 前記配車要求機能は、プラン毎に定めた募集人数と、該当するプランに対するユーザ応募人数、及び/又はユーザ応募口数との比較により、各プランが成立するか否かを識別する、
上記(1)に記載のタクシー予約支援システム。
【0012】
(3) 前記配車要求機能は、不成立と識別した特定プランに応募したユーザに対して、前記特定プランと内容が類似している類似プランへ前記ユーザが応募するための斡旋処理を実施する斡旋機能を備える、
上記(2)に記載のタクシー予約支援システム。
【0013】
(4) 前記斡旋機能は、出発地、及び目的地の少なくとも一方が、前記特定プランと共通の特定エリア内にある他のプランを、前記類似プランとして自動的に選定する、
上記(3)に記載のタクシー予約支援システム。
【0014】
(5) 前記配車要求機能は、各プランに対するユーザ応募人数、又はユーザ応募口数がプラン毎に定めた募集人数に比べて不足している場合には、該当するプランに応募したユーザに対して、応募口数追加申し込みのための勧誘処理を実施する勧誘機能を備える、
上記(2)に記載のタクシー予約支援システム。
【0015】
(6) 前記プラン生成機能は、前記出発地、及び前記目的地の少なくとも一方をエリアとして設定し、
前記ユーザ応募受付機能は、ユーザから前記エリア内における乗車希望地、及び降車希望地を受付可能とする、
上記(1)に記載のタクシー予約支援システム。
【0016】
(7) 前記プラン生成機能は、ユーザ応募人数、及び/又はユーザ応募口数ごとの一人あたりの運賃を運行プランに含め、
前記配車要求機能は、当該運行プランが確定した時点におけるユーザ応募人数、又はユーザ応募口数に応じて運賃を確定する、
上記(1)に記載のタクシー予約支援システム。
【0017】
(8) タクシー車両の運行が可能な1つ以上の運行業者と、タクシー車両への乗車を希望する任意のユーザとの間で、運行するタクシーの利用に関する予約の手続きを支援するタクシー予約支援システムであって、
前記運行業者が利用する業者端末と、
前記ユーザが利用するユーザ端末と、
前記業者端末、及び前記ユーザ端末に対してそれぞれ通信サービスを提供可能なサーバと、を備え、
前記サーバは、前記業者端末との間で通信するための第1通信部と、
前記ユーザ端末との間で通信するための第2通信部と、
出発地、及び目的地を含む複数の運行プランを生成するプラン生成機能と、
前記複数の運行プランの内容を前記業者端末に対して提示すると共に、前記業者端末からの指示に応じて前記複数の運行プランの中の1つ以上を業者選択プランとして選択する業者プラン選択機能と、
選択された前記業者選択プランの内容を前記ユーザ端末に対して提示すると共に、前記ユーザ端末からの指示に応じて選択されたプランをユーザ応募プランとして特定するユーザ応募受付機能と、
前記ユーザ応募プランの応募状況に応じて各プランのタクシー運行を確定し、確定したプランの運行業者に対して該当するプランに従う配車要求を送信すると共に、予約確定の通知を前記確定したプランに応募したユーザの前記ユーザ端末へ送信する配車要求機能と、
を有するタクシー予約支援システム。
【0018】
上記(1)および(8)の構成のタクシー予約支援システムによれば、タクシー車両の運行サービスを提供する運行業者においては、サーバ側が提示した複数の運行プランの中から提供可能なサービスのプランを状況に応じて選択することができる。一方、タクシー車両の運行サービスを利用したいユーザは、ユーザ端末を利用してサーバと接続することにより、運行業者が提供可能なサービスのプランを閲覧することができる。また、利用したいプランを見つけたユーザは、所定の情報を前記サーバへ送信することにより、該当するプランへ応募することができる。各プランへのユーザの実際の応募状況に応じて、サーバが各プランのタクシー運行を確定し、配車要求を運行業者に対して送信する。これにより、タクシー車両の運行サービスを提供する運行業者とそのサービスを利用したい各ユーザとのマッチングが可能になり、各プランの実現が可能になる。
【0019】
上記(2)の構成のタクシー予約支援システムによれば、サーバは、プラン毎のユーザ応募状況に応じて、該当するプランが成立するか否かを適切に識別できる。すなわち、各プランでタクシー車両を運行するのに見合う売上げが得られるか否かは、実際に乗車するユーザの人数、応募口数や、一人あたりの料金、一口あたりの料金などに応じて大きく変化する。したがって、募集人数、ユーザ応募人数、ユーザ応募口数などを比較することで、適切な判断が可能になる。したがって、例えば、プランに対する上限・下限の乗客数とユーザ応募人数とを比較して、ユーザからの応募数が最少催行(募集)人数を上回っているかあるいは同数かなどが判断される。
【0020】
上記(3)の構成のタクシー予約支援システムによれば、不成立になってしまった特定プランに応募したユーザに対して、別の類似プランを用意することができる。類似プランはユーザが応募した特定プランと内容が類似しているので、この類似プランに当該ユーザが応募する可能性は高く、プラン毎の需要と供給のマッチングをうまく調整することが容易になる。
【0021】
上記(4)の構成のタクシー予約支援システムによれば、選定される類似プランは、出発地、又は目的地が特定プランと共通の特定エリア内にあるので、不成立になってしまった特定プランに応募したユーザは、特定プランの代わりとして類似プランに応募する可能性が高い。
【0022】
上記(5)の構成のタクシー予約支援システムによれば、勧誘機能に従って当該ユーザが応募口数追加申し込みをすれば、不成立の可能性のある特定プランを成立に変更することが可能になる。これにより、プラン毎の需要と供給のマッチングをうまく調整することが容易になる。
【0023】
上記(6)の構成のタクシー予約支援システムによれば、運行プランの出発地および目的地をエリアによって特定することにより、当該プランが成立になる可能性を高めることができる。
【0024】
上記(7)の構成のタクシー予約支援システムによれば、ユーザは、ユーザ応募人数、及び/又はユーザ応募口数ごとの一人あたりの運賃を予め把握できるので、ユーザ応募人数、及び/又はユーザ応募口数が少なくなったとしても、支払うべき運賃はユーザが予め把握している範囲内となり、ユーザが応募をキャンセルする可能性を低減できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のタクシー予約支援システムによれば、タクシー会社側とタクシーの潜在的なユーザとの間の需給関係のマッチングを容易にして、タクシー車両の実車状態の比率を向上することが可能になる。
【0026】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の実施形態に係るタクシー予約支援システム全体の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、タクシー予約支援システムの主要な動作例を示すシーケンス図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、それぞれ具体的な運行プランの表示例を示す正面図である。
図4図4は、タクシー予約支援システムにおける予約管理の処理手順を示すフローチャートである。
図5図5は、タクシー予約支援システムにおける斡旋処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、タクシーメータ車載器の構成例を示すブロック図である。
図7図7(a)及び図7(b)は、それぞれタクシーメータ車載器の画面表示例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0029】
<システム全体の構成例>
図1は、本発明の実施形態に係るタクシー予約支援システム100全体の構成例を示すブロック図である。
【0030】
タクシー予約支援システム100の機能の中核を成すタクシークラウドサービス10は、データセンタ50内のコンピュータ上に配置されている。本実施形態では、データセンタ50内のWebサーバ11、予約管理サーバ12、及び運行プランDB(データペース)13がタクシークラウドサービス10の機能を果たす。
【0031】
タクシークラウドサービス10は、通信可能なコンピュータのハードウェアと、サーバとして動作するために必要な基本ソフトウェア(OS)と、このタクシークラウドサービスの機能を提供するための動作を実現するアプリケーションソフトウェアとで構成される。
【0032】
タクシー車両の運行業務が可能なタクシー会社のような運行業者は、業者毎にそれぞれ保有している運行業者端末20-1、20-2、20-3、・・・を利用してタクシークラウドサービス10にアクセスしこのサービスを利用することができる。
【0033】
各運行業者端末20-1、20-2、20-3、・・・は、例えば一般的なパーソナルコンピュータのように通信機能を備えた端末であり、公共の通信回線を利用し、インターネット21を介してデータセンタ50内のWebサーバ11、又は予約管理サーバ12と接続し通信することができる。また、各運行業者端末20-1、20-2、20-3、・・・には、タクシークラウドサービス10を利用するための専用のアプリケーションソフトウェアまたはWEBブラウザが予め組み込まれている。
【0034】
タクシー会社のような運行業者は、タクシークラウドサービス10を利用することにより、このサービスが事前に用意した運行プランの中から所望の運行プランを選択することができる。また、選択した運行プランに関して、タクシーの乗客となる任意のユーザからのプラン予約を支援して貰うためのサービスを受けることができる。
【0035】
一方、様々な目的のための移動手段としてタクシーを利用する乗客となる可能性のある各ユーザは、通信機能を備えた自分のユーザ端末30-1、30-2、30-3、・・・を利用してタクシークラウドサービス10にアクセスし、このサービスを利用することができる。
【0036】
ユーザ端末30-1、30-2、30-3、・・・としては、例えばスマートホン、携帯電話端末、ノートパソコン、デスクトップパソコンのように様々な端末を利用できる。ユーザが携帯型のユーザ端末30を利用する場合には、このユーザ端末30はその無線通信機能を利用していずれかの無線基地局22-1、22-2、・・・と接続し、更にインターネット21を経由してデータセンタ50内のWebサーバ11、又は予約管理サーバ12と接続し、タクシークラウドサービス10にアクセスすることができる。
【0037】
タクシーのユーザは、タクシークラウドサービス10を利用することにより、自分が外出する際の移動手段として利用可能なタクシーの運行サービスを、Webサーバ11が提示するプランの一覧の中から選択することができる。また、選択したプランへの予約の応募をすることができる。なお、後に説明するように、各プランが実際に実現するか否かはユーザの応募状況などに応じて変化する場合がある。
【0038】
タクシーメータ車載器40-1、40-2、40-3、・・・は、タクシー会社のような各運行業者が管理している各タクシー車両に搭載される。各タクシーメータ車載器40-1、40-2、40-3、・・・は、タクシークラウドサービス10を利用するために必要な機能を備えている。すなわち、各タクシーメータ車載器40が無線通信機能を備えており、タクシークラウドサービス10との間でいつでも通信することが可能であり、タクシークラウドサービス10が提供するサービスを利用できる。これにより、各タクシー車両はタクシークラウドサービス10が予約を決定したプランのスケジュールに従って配車し、予約した各ユーザを乗客として乗せて運行するサービスを実現できる。なお、車載機器40-1、40-2、・・・はタクシーメータではなくとも同等の機能を有するタブレットやスマートフォンであれば本サービスの提供・運用を可能とする。
【0039】
<システムの主要な動作例>
図2は、タクシー予約支援システム100の主要な動作例を示すシーケンス図である。
タクシー予約支援システム100に含まれるタクシークラウドサービス10は、図2中に示した各ステップS11、S13、S15、S17、S19、及びS20の機能を備えている。また、タクシークラウドサービス10を利用可能なタクシー会社などの担当者が運行業者端末20を操作することにより、図2中の各ステップS12、S14を実行できる。また、タクシークラウドサービス10を利用可能な任意のユーザがユーザ端末30を操作することにより、図2中の各ステップS16、S18を実行できる。
【0040】
タクシークラウドサービス10の予約管理サーバ12は、タクシー車両を利用して乗客を運行するサービスに関する様々な種類の運行プランを自動的に生成する(S11)。これらの運行プランは、タクシークラウドサービス10における人工知能(AI)などを利用した様々な需要予測、利便性の考慮などに基づいて自動的に生成される情報であり、実際に運行業者が採用するかどうかは未定であり、各々のプランが実現するかどうかも未定である。また、タクシーメータ車載器40により記録された乗降地のデータをデータベースに集め、運行プランの生成時にこのデータを利用してもよい。
【0041】
タクシークラウドサービス10が生成した各運行プランは、運行プランDB13上に登録され保持される。詳細については後述するが、各運行プランは少なくとも出発地、及び目的地を含む各地点を表す情報や、運行の日程などを表す情報を含んでいる。
【0042】
タクシー会社などの担当者は、運行業者端末20をインターネット21を介してタクシークラウドサービス10と接続し、必要な情報の検索及び取得を実施する(S12)。
タクシークラウドサービス10は、S11で生成した様々な運行プランの情報を接続先の運行業者端末20に対して提示する(S13)。
【0043】
タクシー会社などの担当者は、例えば日時毎の自社内タクシー車両の空き具合、各乗務員の空き具合、タクシー車両の運行にかかるコストなどを考慮しながら、タクシークラウドサービス10が提示した多数の運行プラン候補の中から、運行サービスを提供可能な適切な運行プランを選択する。このとき、運行業者端末20に提示されたプランは、タクシー会社などの担当者によって、日時や最少催行人数などを手動で調節することも可能である。そして選択したプランを示す情報を運行業者端末20がタクシークラウドサービス10に通知する(S14)。
【0044】
タクシークラウドサービス10は、運行業者端末20から通知された情報に基づき、当該業者が選択した運行プランを、ユーザ(乗客の候補)に提供可能な運行プランとして運行プランDB13に登録する(S15)。
【0045】
ユーザ(乗客)は、ユーザ端末30に組み込まれた専用のアプリケーションソフトウェア(アプリ)または一般的なWEBブラウザを利用し、インターネット21を経由してタクシークラウドサービス10にアクセスすることができる。そこで、例えば日常生活における一時的な移動手段や、旅行など様々なイベントにおける移動手段としてタクシーの利用を希望するユーザは、希望する運行プランについてユーザ端末30で検索を実施する(S16)。
【0046】
タクシークラウドサービス10は、ユーザ端末30からのアクセスに対して、S15で登録されたユーザ(乗客)に提供可能な運行プランの一覧を提示する(S17)。
【0047】
ユーザ端末30で検索しているユーザは、自分の行動予定における出発地、目的地、時間帯、移動にかかる予算などを考慮しながら、タクシークラウドサービス10が提示した運行プラン一覧の中から、適切なプランを選択して応募の申し込みのためにユーザ端末30の操作を実施する(S18)。これにより、ユーザ端末30は、ユーザが選択した運行プランへ応募するための情報をタクシークラウドサービス10に送信する。
【0048】
タクシークラウドサービス10は、ユーザ端末30から送信される情報に基づき、当該ユーザが選択した運行プランへの応募受け付けを開始する(S19)。
【0049】
タクシークラウドサービス10は、運行プランへの応募受け付けを開始すると、少なくともユーザからの応募を受け付けた各運行プランを管理するために、例えば定期的に「予約管理」を実行する(S20)。そして、運行の実施が確定した運行プランに対しては、当該プランに関する配車要求C1を該当する業者の運行業者端末20へ、又は事前に登録された特定の宛先へ送信する。同時に、予約確定の通知C2を当該プランに応募した特定のユーザのユーザ端末30へ、又は事前に登録された特定の宛先へ送信する。「予約管理」の詳細については後述する。
【0050】
<運行プランの具体例>
<表示例>
図3(a)及び図3(b)は、それぞれ具体的な運行プランP1、及びP2の表示例を示す正面図である。
【0051】
例えば、ユーザがユーザ端末30を操作して図2のステップS16でプラン候補を検索する際に、図3(a)のような1つの運行プランP1の情報や、図3(b)のような1つの運行プランP2の情報をユーザ端末30の画面に表示して確認することができる。
【0052】
図3(a)及び図3(b)の例では、各運行プランP1、P2は、代表イメージ61、プラン名称情報62、料金情報63、出発地/目的地情報64、日程情報65、及び募集条件情報66を含んでいる。
【0053】
代表イメージ61は、例えば該当するプランにおける目的地の代表的な風景を表す写真などの情報である。プラン名称情報62については、該当するプランの目的や行き先のようにユーザがプランの内容を把握しやすい名称が割り当てられる。料金情報63については、当該プランにおける乗客一人あたりの運行料金、又は応募一口あたりの運行料金が明示される。
【0054】
出発地/目的地情報64は、出発地、及び目的地の場所、具体的にはそれらの地点を表す駅名や、店舗名などの情報である。日程情報65は、運行する日付、出発時刻、到着時刻、目的地での滞在時間(往復の場合)などの情報を含む。
【0055】
募集条件情報66は、例えば図3(a)及び図3(b)のように、該当するプランの運行サービスを実現するために必要な乗客の最少人数、及び/又は最小口数と、一人あたりの料金、及び/又は一口あたりの料金とで構成される。
【0056】
<運行プランの募集方式>
一例として長期のマッチング期間を設けて(クラウドファンディング形式)募集する。ここで、例えば募集に対して一定水準の応募がない場合は、タクシーを運行する業者が採算割れになる可能性があるため、運行を中止する場合がある。但し、運賃収入以外に、例えば国や地方自治体などからの経済支援があり、実質運賃が行政が認可した運賃を下回らないようであれば、一定水準の応募がない場合でも運行を実現することが可能である。
長期のマッチング期間を設けて募集する場合には、乗客一人単位で、又は応募一口単位でプランの予約ができることとする。また、一人が複数口の料金を支払うことで一人で複数口の予約ができることとする。
また、運行プランの成立/不成立判定時に、ユーザ応募口数が募集する口数の下限に満たない場合には、不足している口数を、既に応募しているユーザに割りあてるようにしてもよい。このような募集方式の場合には、一人あたりの運賃が最大でいくらになるかを運行プランに明記しておくようにする。
【0057】
<運行プランの料金>
同一のタクシーに複数人が相乗りする状況を前提とした相乗り料金を適用し、通常のタクシーに比べて低単価の料金で利用可能にする。
運賃は事前に確定しておく。
募集する人数/口数の上限が増える度に単価が下がるように運賃・料金制も採用することも可能にする。
【0058】
<運行プランで定めること、明記すること>
場所:出発地、目的地、解散地点など
時間:出発予定時刻、目的地到着予定時刻、目的地滞在時間、解散予定時刻など
金額:一人あたり/一口あたりの運賃
人数/口数:最大、最小など
なお、金額については、最終的に応募した人数ごとの一人あたりの運賃を列記するようにしてもよい。
【0059】
<運行プランの募集期間>
ユーザ(乗客)が予約可能な期間は、プラン毎に運行業者(タクシー会社等)が決定できることとする。一例として、運行予定の2ヶ月程度前の時点から予約の申し込みを受け付け可能とし、1週間前の時点で募集を終了して当該プランを確定する。
【0060】
<予約管理の処理手順>
図4は、タクシー予約支援システム100における予約管理の処理手順を示すフローチャートである。タクシークラウドサービス10の予約機能を処理する予約管理サーバ12は、図2のステップS19において、各プランの募集期間が終了する前に例えば図4に示した処理手順を実行する。図4の処理手順について以下に説明する。
【0061】
予約管理サーバ12は、ユーザからの応募があった運行プランのそれぞれについて、当該プランにおける募集人数/口数(募集条件情報66に相当)の上限および下限と、実際にユーザからの応募を受け付けた応募人数/口数とを比較する(S21)。そして、応募人数/口数が募集人数/口数の上限および下限の両方の範囲内である場合は、S21からS28に進み、当該運行プランの運行が成立することを確定する。
【0062】
予約管理サーバ12は、S21の条件を満たさない場合には、次のS22で類似している他の運行プランとの間で人数/口数調整を行うための斡旋処理を実施する。つまり、当該プランに応募したユーザの応募人数/口数が募集人数/口数の下限に未達の場合には、類似する他のプランの応募者が当該プランに乗り換えるための再予約をするように斡旋する。逆に、当該プランに応募したユーザの応募人数/口数が、募集人数/口数の上限を超えて応募することはできない。上限に達している場合には、当該プランに応募しようとしたユーザを、類似する他のプランへ斡旋する。この斡旋処理の具体例については後述する。
【0063】
予約管理サーバ12は、S22で斡旋処理が完了した後で、再び当該プランにおける募集人数/口数の下限と、実際にユーザからの応募を受け付けた応募人数/口数とを比較する(S23)。そして、応募人数/口数が募集人数/口数の範囲内の場合には、S23からS28に進み、当該運行プランの運行が成立することを確定する。
【0064】
予約管理サーバ12は、S23で応募人数/口数が募集人数/口数の下限よりも不足している場合には、次のS24で、当該運行プランに既に応募しているユーザに対して、応募口数の追加購入を促すための勧誘処理を実行する。
【0065】
予約管理サーバ12は、S24で勧誘処理が完了した後で、再び当該プランにおける募集人数/口数の下限と、実際にユーザからの応募を受け付けた応募人数/口数とを比較する(S25)。そして、応募人数/口数が募集人数/口数の範囲内の場合には、S25からS28に進み、当該運行プランの運行が成立することを確定する。
【0066】
予約管理サーバ12は、S25で応募人数/口数が募集人数/口数の下限よりも不足している場合には、次のS26で、当該運行プランについて、応募水準の下限に未達の状態で運行する状況であることをタクシー会社へ連絡する。
【0067】
予約管理サーバ12は、乗客の応募人数/口数が募集人数/口数に対して未達の状況のまま当該運行プランを実施するか否かを自動的に識別する。例えば、乗客が支払う運賃以外の収入として、国や地方自治体からの補助金などをタクシー会社等の運行業者が受け取り可能な場合やその他の収益が見込めるような場合には、全体の収入と運行にかかるコストとを比較し、運行業者に損失が発生しない結果となるように、様々な条件を考慮して予約管理サーバ12が判断する。
【0068】
予約管理サーバ12は、当該運行プランを実施する場合はS27からS28に進み、当該運行プランの運行が成立することを確定する。当該運行プランを実施しない場合はS27からS29に進み、当該運行プランが不成立であることを確定する。
【0069】
予約管理サーバ12は、S28で当該運行プランの運行が成立することを確定した場合には、図2に示したように当該運行プランを申し込んだタクシー会社等の運行業者の運行業者端末20に対して、プランの配車要求C1を送信する。また、当該運行プランの予約に応募したユーザのユーザ端末30に対して予約確定の通知C2を送信する。
【0070】
一方、S29で当該運行プランの運行の不成立が確定した場合には、予約管理サーバ12は、当該運行プランを申し込んだタクシー会社や、当該運行プランの予約に応募したユーザに対して当該運行プランが不成立であることを通知する(図示せず)。
【0071】
なお、図4に示した予約管理の他に、以下に示すような付帯サービスを予約管理サーバ12が実施することも可能である。
【0072】
(1)ユーザが各運行プランに応募する際に、同乗する予定の他のユーザの属性、例えば年齢区分、性別など個人情報が守られる範囲の情報を、既に登録された情報に基づいて当該ユーザに対して公開することが可能である。
(2)各ユーザが希望する運行プランを、他のユーザが閲覧可能な状態でインターネット上の特定の場所に掲載して、当該運行プランへの同乗者を募集するサービスを実施することが可能である。または、各ユーザが希望する運行プランを、タクシー会社に掲載依頼を発信することが可能である。この場合、ユーザからの掲載依頼は運行業者端末20に対して通知される。タクシー会社が当該掲載依頼を受託し、掲載を選択すると、他のユーザが閲覧可能な状態でインターネット上の特定の場所に掲載される。
(3)上記(2)の情報を掲載する場所に、任意の広告を掲載する箇所を追加して、広告の掲載によりユーザ等が副次収入を獲得できるような機能を設けることが可能である。
(4)タクシークラウドサービス10により予約したユーザが、実際に運行プランでタクシーに乗車した後で、当該ユーザがタクシーの乗務員や他のユーザを評価する機能や、その評価結果を反映した数値などを様々なユーザが閲覧可能な状態でインターネット上の特定の場所に掲載する機能を設けることが可能である。
(5)各ユーザが予約可能な運行プランとして、定期券や回数券の利用が可能なサービスを提供することも可能である。
【0073】
<斡旋処理の処理手順>
図5は、タクシー予約支援システム100における斡旋処理(S22)の処理手順を示すフローチャートである。図5の斡旋処理について以下に説明する。
【0074】
タクシークラウドサービス10の予約管理サーバ12は、運行プランDB13で管理している多数の運行プランの中からユーザが応募した1つの運行プランを特定し(S31)、当該運行プランにおける出発地、及び目的地のエリアを特定する(S32)。
【0075】
例えば、出発地、又は目的地の地点に対応付けられた地名、町名などに該当するエリアや、各地点を中心とし、その中心位置からの距離が所定以内の円形などの領域内に含まれる範囲を当該エリアとする。
【0076】
予約管理サーバ12は、運行プランDB13上で管理されている多数の運行プランの中から、出発地がS32で特定した出発地のエリアと一致、又は類似している運行プランを検索し条件に適合するものを全て抽出する(S33)。
【0077】
予約管理サーバ12は、運行プランDB13上で管理されている多数の運行プランの中から、目的地がS32で特定した目的地のエリアと一致、又は類似している運行プランを検索し条件に適合するものを全て抽出する(S34)。
【0078】
予約管理サーバ12は、S33、S34のいずれかで抽出したそれぞれの運行プランについて、日程や時間帯がS31の応募プランとどの程度類似しているかを表す類似度を算出する(S35)。
【0079】
予約管理サーバ12は、S33、S34のいずれかで抽出した運行プランの一覧を、S35で算出した類似度がより近い順番に従い並べた状態で出力する(S36)。このような運行プランの一覧がユーザ端末30の画面に表示される。
【0080】
予約管理サーバ12は、処理中の運行プランに応募している特定ユーザが、当該プランから別のプランの予約に乗り換えるための入力操作を受け付ける(S37)。すなわち、当該プランを予約しているユーザの応募人数/口数が不足しているか、あるいは募集が終了している場合に、当該ユーザが当該プランから類似している他のプランに予約を変更するように斡旋し、プラン毎の応募人数/口数が適正になるように調整を試みる。実際に予約を変更するかどうかは各ユーザ自身の判断により決まる。
なお、この斡旋処理機能は、図2のS16にて、ユーザが検索したプランが見つからなかった場合に対しても適用可能である。
【0081】
<タクシーメータ車載器の構成例>
図6は、タクシーメータ車載器40の構成例を示すブロック図である。図6に示したタクシーメータ車載器40は、通常のタクシー車両に搭載されているタクシーメータと同様の機能の他に、前述のタクシークラウドサービス10を利用した予約済みの運行プランに応じたタクシー運行サービスを実施できるように追加された機能を搭載している。
【0082】
図6に示したタクシーメータ車載器40は、制御部41、無線通信部42、表示器43、及び操作部44を備えている。また、制御部41はクラウドとの連携機能41a、予約状況確認機能41b、運行情報表示機能41c、及び乗客認証機能41dを備えている。
【0083】
クラウドとの連携機能41aは、無線通信部42を介してインターネット21上のタクシークラウドサービス10と接続し、タクシークラウドサービス10が提供する各種機能をタクシーメータ車載器40が利用できるように連携制御を行う。
【0084】
予約状況確認機能41bは、タクシークラウドサービス10に登録され予約されている運行プランのうち、タクシー会社における所定の配車手続きにより当車載器を搭載したタクシー車両に割り当てられている運行プランについて、各乗客の予約状況や予約番号を管理するための機能を有している。各運行プランを予約したユーザに対しては予約の際に予約番号が割り当てられるので、その番号をタクシーメータ車載器40が取得して表示器43の画面に表示できる。
【0085】
運行情報表示機能41cは、当車載器を搭載したタクシー車両に割り当てられている運行プランについて、予約時間の数時間前~数十分前のタイミングで、予約内容の自動表示を実行する機能を有している。この表示タイミングは、タクシー会社ごとに設定可能である。これにより出発場所、解散場所、時間、行き先、乗車人数などの運行情報が表示器43の画面に表示される。
【0086】
乗客認証機能41dは、当タクシーの乗務員が予約内容に従って当タクシーに乗客を乗せる際に、予約者本人の確認を行うための認証機能を有している。例えば表示器43の画面に表示可能なテンキーを乗務員が操作して各乗客の予約番号などを入力することにより、乗客認証機能41dがクラウドとの連携機能41aを介してタクシークラウドサービス10と連携し、予約者本人の認証を実行する。
【0087】
<車載器の画面表示例>
図7(a)及び図7(b)は、それぞれタクシーメータ車載器40の画面表示例を示す正面図である。なお、図7(a)や図7(b)のような表示は、タクシー車両内に搭載されるタブレット端末やスマートフォンに表示するようにしてもよい。
例えば、当車載器を搭載したタクシー車両に割り当てられている運行プランについて、予約時間の数時間前~数十分前のタイミングになると、運行情報表示機能41cの制御により、図7(a)のような画面が表示器43に表示される。
【0088】
図7(a)の例では、当車載器を搭載したタクシー車両において数時間後に開始が予約されている特定の運行プランの内容として、行き先を表すプラン名称や、出発時刻、乗車人数が表示されている。図7(a)の画面を表示することにより、予約したプラン内容を乗客が確認することもできる。
【0089】
各乗客がタクシー車両に乗車する際には、乗客認証機能41dにより図7(b)のような画面が表示器43に表示される。すなわち、当該プランの運賃総額や、乗客の支払金額や、入力に使用するテンキーなどが画面に表示される。このテンキーで予約番号などを入力することで、予約した乗客の本人確認を実施できる。
【0090】
なお、図7(a)や図7(b)のような表示は、タクシー車両内に搭載されるタブレット端末やスマートフォンなどの画面に表示するようにしてもよい。
【0091】
以上の説明においては、予約管理サーバ12は、出発地および目的地が定まった運行プランを生成するようになっているが、運行プランの出発地および目的地をエリアにより特定するようにしてもよい。この場合、予約管理サーバ12は、ユーザ端末30から、エリア内の乗車希望地および降車希望地が入力されるようにする。また、運行業者端末20に対しては、配車要求の際に、エリア内で乗客をどの順番で乗車あるいは降車させるかを定めた情報を併せて提供するようにしてもよい。運行プランの出発地および目的地をエリアにより特定することにより、運行が成立になる可能性を高めることができる。
【0092】
以上に説明したように、本発明の実施形態に係るタクシー予約支援システム100は、タクシーの運行サービスを提供可能なタクシー会社等の運行業者が、運行業者端末20でタクシークラウドサービス10を利用できる。そして、実際のタクシー車両の実車率の推移から、タクシー車両や乗務員の余剰が見込まれるような状況では、タクシー会社がタクシークラウドサービス10が提示した様々な運行プランへの運行サービス提供を実施することにより、タクシー車両の実車率を向上させると共に売上げを伸ばすことが可能になる。
【0093】
また、比較的安い料金でのタクシー利用を望む様々なユーザも、自分のユーザ端末30を利用してタクシークラウドサービス10を利用できる。このタクシークラウドサービス10が各ユーザに提示する運行プランは、基本的には複数の乗客が同じ車両に相乗りする運行サービスであるため、それぞれの乗客が支払う運賃は比較的安くなる。また、様々な種類の運行プランの中から各ユーザが自分の目的や状況に合わせて都合の良いプランを選択できる。また、各ユーザは自分の予定に合わせて適当な時期に事前に予約することができる。
【0094】
したがって、例えば運転免許を返納した高齢者、マイカーを持たない若年層や、子育て世代の人たちなどが、日常的に気軽に使える移動手段としてタクシークラウドサービス10の運行プランを利用できる。また、地域を訪れた観光客なども、タクシークラウドサービス10の運行プランを利用することで、低料金で気軽に使える移動手段を確保できる。これにより、タクシーの潜在的な需要を発掘すると共に、タクシーの運行に関する需要と供給とのバランスを調整することが容易になる。
【0095】
ここで、上述した本発明の実施形態に係るタクシー予約支援システムの特徴をそれぞれ以下[1]~[8]に簡潔に纏めて列記する。
[1] タクシー車両の運行が可能な1つ以上の運行業者と、タクシー車両への乗車を希望する任意のユーザとの間で、運行するタクシーの利用に関する予約の手続きを支援するタクシー予約支援システム(100)であって、
前記運行業者が利用する業者端末(運行業者端末20)との間で通信するための第1通信部(S13,S15)と、前記ユーザが利用するユーザ端末(30)との間で通信するための第2通信部(S17,S19)と、前記業者端末、及び前記ユーザ端末に対してそれぞれ通信サービスを提供可能なサーバ(Webサーバ11又は予約管理サーバ12)とを備え、
前記サーバは、
出発地、及び目的地を含む複数の運行プランを生成するプラン生成機能(S11)と、
前記複数の運行プランの内容を前記業者端末に対して提示すると共に、前記業者端末からの指示に応じて前記複数の運行プランの中の1つ以上を業者選択プランとして選択する業者プラン選択機能(S13,S15)と、
選択された前記業者選択プランの内容を前記ユーザ端末に対して提示すると共に、前記ユーザ端末からの指示に応じて選択されたプランをユーザ応募プランとして特定するユーザ応募受付機能(S17,S19)と、
前記ユーザ応募プランの応募状況に応じて各プランのタクシー運行を確定し、確定したプランの運行業者に対して該当するプランに従う配車要求(C1)を送信する配車要求機能(S20)と、
を有するタクシー予約支援システム。
【0096】
[2] 前記配車要求機能は、プラン毎に定めた募集人数と、該当するプランに対するユーザ応募人数、及び/又はユーザ応募口数との比較により、各プランが成立するか否かを識別する(S21)、
上記[1]に記載のタクシー予約支援システム。
【0097】
[3] 前記配車要求機能は、不成立と識別した特定プランに応募したユーザに対して、前記特定プランと内容が類似している類似プランへ前記ユーザが応募するための斡旋処理を実施する斡旋機能(S22)を備える、
上記[2]に記載のタクシー予約支援システム。
【0098】
[4] 前記斡旋機能は、出発地、及び目的地の少なくとも一方が、前記特定プランと共通の特定エリア内にある他のプランを、前記類似プランとして自動的に選定する(S33~S36)、
上記[3]に記載のタクシー予約支援システム。
【0099】
[5] 前記配車要求機能は、各プランに対するユーザ応募人数、又はユーザ応募口数がプラン毎に定めた募集人数に比べて不足している場合には、該当するプランに応募したユーザに対して、応募口数追加申し込みのための勧誘処理を実施する勧誘機能(S23,S24)を備える、
上記[2]に記載のタクシー予約支援システム。
【0100】
[6] 前記プラン生成機能は、前記出発地、及び前記目的地の少なくとも一方をエリアとして設定し、
前記ユーザ応募受付機能は、ユーザから前記エリア内における乗車希望地、及び降車希望地を受付可能とする、
上記[1]に記載のタクシー予約支援システム。
【0101】
[7] 前記プラン生成機能は、ユーザ応募人数、及び/又はユーザ応募口数ごとの一人あたりの運賃を運行プランに含め、
前記配車要求機能は、当該運行プランが確定した時点におけるユーザ応募人数、又はユーザ応募口数に応じて運賃を確定する、
上記[1]に記載のタクシー予約支援システム。
【0102】
[8] タクシー車両の運行が可能な1つ以上の運行業者と、タクシー車両への乗車を希望する任意のユーザとの間で、運行するタクシーの利用に関する予約の手続きを支援するタクシー予約支援システム(100)であって、
前記運行業者が利用する業者端末(運行業者端末20)と、
前記ユーザが利用するユーザ端末(30)と、
前記業者端末、及び前記ユーザ端末に対してそれぞれ通信サービスを提供可能なサーバ(Webサーバ11又は予約管理サーバ12)と、を備え、
前記サーバは、前記業者端末(運行業者端末20)との間で通信するための第1通信部(S13,S15)と、
前記ユーザ端末(30)との間で通信するための第2通信部(S17,S19)と、
出発地、及び目的地を含む複数の運行プランを生成するプラン生成機能(S11)と、
前記複数の運行プランの内容を前記業者端末に対して提示すると共に、前記業者端末からの指示に応じて前記複数の運行プランの中の1つ以上を業者選択プランとして選択する業者プラン選択機能(S13,S15)と、
選択された前記業者選択プランの内容を前記ユーザ端末に対して提示すると共に、前記ユーザ端末からの指示に応じて選択されたプランをユーザ応募プランとして特定するユーザ応募受付機能(S17,S19)と、
前記ユーザ応募プランの応募状況に応じて各プランのタクシー運行を確定し、確定したプランの運行業者に対して該当するプランに従う配車要求(C1)を送信する配車要求機能(S20)と、
を有するタクシー予約支援システム。
【符号の説明】
【0103】
10 タクシークラウドサービス
11 Webサーバ
12 予約管理サーバ
13 運行プランDB
20,20-1,20-2,20-3 運行業者端末
21 インターネット
22-1,22-2 無線基地局
30,30-1,30-2,30-3 ユーザ端末
40,40-1,40-2,40-3 タクシーメータ車載器
41 制御部
41a クラウドとの連携機能
41b 予約状況確認機能
41c 運行情報表示機能
41d 乗客認証機能
42 無線通信部
43 表示器
44 操作部
50 データセンタ
61 代表イメージ
62 プラン名称情報
63 料金情報
64 出発地/目的地情報
65 日程情報
66 募集条件情報
100 タクシー予約支援システム
C1 プランの配車要求
C2 予約確定の通知
P1,P2 運行プラン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7