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特許7601619表示制御装置、表示制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20241210BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20241210BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20241210BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G09B29/00 F
G01C21/26 C
H02J9/06 120
H02J3/32
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020199593
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087589
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅井 義博
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/189911(WO,A1)
【文献】特開2012-022399(JP,A)
【文献】特開2018-148679(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022010(WO,A1)
【文献】特開2020-161030(JP,A)
【文献】特開2011-164050(JP,A)
【文献】特開2011-166972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
H02J 9/00-11/00
H02J 3/00- 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画内の複数の建物から識別番号及び外部電源からの給電に関する情報をそれぞれ取得する建物情報取得部と、
前記建物情報取得部で取得したそれぞれの識別番号に対応する地図データ上の位置を特定する位置特定部と、
前記位置特定部で特定された地図データ上の位置に、前記外部電源からの給電に関する情報を加えて表示装置に表示する表示制御部と、
を有し、
前記建物情報取得部は、前記外部電源からの給電が行われているか否かについての情報を取得し、
前記表示制御部は、前記外部電源から給電が行われている建物と、前記外部電源から給電が行われていない建物とを区別して地図データ上に表示すると共に、前記外部電源から給電が行われている建物に対して、前記外部電源の蓄電力量に応じて地図データ上で表示態様を変化させる、表示制御装置。
【請求項2】
前記外部電源は、蓄電池が搭載された車両であり、
前記表示制御部は、前記車両における蓄電池の蓄電力量及び燃料残量の少なくとも一方に応じて地図データ上で表示態様を変化させる請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
建物の利用者から給電依頼を受け付ける給電依頼受付部をさらに備え、
前記表示制御部は、給電依頼受付部によって給電依頼を受け付けた場合、給電依頼した利用者の建物に対して、地図データ上に給電依頼に対応するマークを表示する、請求項1又は2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記建物情報取得部は、区画内における蓄電施設及びガソリンスタンドの少なくとも一方の稼働状況を取得し、
前記表示制御部は、前記建物情報取得部で取得された稼働状況を地図データ上に表示する請求項1~3の何れか1項に記載の表示制御装置。
【請求項5】
区画内の複数の建物から識別番号及び外部電源からのが行われているか否かについての情報をそれぞれ取得し、
取得したそれぞれの識別番号に対応する地図データ上の位置を特定し、
特定された地図データ上の位置に、前記外部電源から給電が行われている建物と、前記外部電源から給電が行われていない建物とを区別して地図データ上に表示すると共に、前記外部電源から給電が行われている建物に対して、前記外部電源の蓄電力量に応じて地図データ上で表示態様を変化させる、
表示制御方法。
【請求項6】
区画内の複数の建物から識別番号及び外部電源からのが行われているか否かについての情報をそれぞれ取得し、
取得したそれぞれの識別番号に対応する地図データ上の位置を特定し、
特定された地図データ上の位置に、前記外部電源から給電が行われている建物と、前記外部電源から給電が行われていない建物とを区別して地図データ上に表示すると共に、前記外部電源から給電が行われている建物に対して、前記外部電源の蓄電力量に応じて地図データ上で表示態様を変化させる、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、災害情報を取得可能な通信部を備え、取得した情報をテレビジョン表示部及び電子ペーパーに表示する災害時対応ステーション装置が開示されている。また、特許文献1の災害時対応ステーション装置では、停電時に商用電源部に代わって蓄電池から複数の構成機器に電力を供給することで、継続して災害時対応ステーション装置を稼働できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-114153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、商用電力の供給が停止した停電時にバッテリを搭載した車両などの外部電源から建物へ給電することが可能な設備がシステムを備えた建物がある。このような建物では、停電時であっても継続して建物内の電気機器を利用することができる。しかしながら、地域内で給電を必要としている建物を判別できないため、停電時に給電が必要な建物に早期に給電するには改善の余地がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、停電時に給電が必要な建物に早期に給電することができる表示制御装置、表示制御方法及びプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る表示制御装置は、区画内の複数の建物から識別番号及び外部電源からの給電に関する情報をそれぞれ取得する建物情報取得部と、前記建物情報取得部で取得したそれぞれの識別番号に対応する地図データ上の位置を特定する位置特定部と、前記位置特定部で特定された地図データ上の位置に、前記外部電源からの給電に関する情報を加えて表示装置に表示する表示制御部と、を有する。
【0007】
第1態様に係る表示制御装置では、建物情報取得部は、区画内の複数の建物から識別番号及び外部電源からの給電に関する情報をそれぞれ取得する。また、位置特定部は、建物情報取得部で取得したそれぞれの識別番号に対応する地図データ上の位置を特定する。そして、表示制御部は、位置特定部で特定された地図データ上の位置に、外部電源からの給電に関する情報を加えて表示装置に表示する。これにより、住民が表示装置を見るだけで、区画内の建物のそれぞれに対して、外部電源からの給電に対する情報を把握することができる。なお、ここでいう「外部電源からの給電に関する情報」とは、外部電源からの給電中であるか否かについての情報に限定されず、外部電源の蓄電力量の残量などを広く含む概念である。
【0008】
第2態様に係る表示制御装置は、第1態様において、前記建物情報取得部は、前記外部電源からの給電が行われているか否かについての情報を取得し、前記表示制御部は、前記建物情報取得部により前記外部電源から給電が行われている建物と、前記外部電源から給電が行われていない建物とを区別して地図データ上に表示する。
【0009】
第2態様に係る表示制御装置では、住民が表示装置を見るだけで、外部電源から給電が行われていない建物を把握することができる。これにより、給電が行われていない建物へ早期に電気自動車及びハイブリッド自動車などを向かわせることができる。
【0010】
第3態様に係る表示制御装置は、第2態様において、前記表示制御部は、前記外部電源から給電が行われている建物に対して、前記外部電源の蓄電力量に応じて地図データ上で表示態様を変化させる。
【0011】
第3態様に係る表示制御装置では、外部電源の蓄電力量に応じて地図データ上の表示態様が変化するため、表示装置を一見するだけで蓄電力量が少なくなっている建物を把握することができる。
【0012】
第4態様に係る表示制御装置は、第3態様において、前記外部電源は、蓄電池が搭載された車両であり、前記表示制御部は、前記車両における蓄電池の蓄電力量及び燃料残量の少なくとも一方に応じて地図データ上で表示態様を変化させる。
【0013】
第4態様に係る表示制御装置では、表示装置を一見するだけで車両の蓄電池の蓄電力量及び燃料残量の少なくとも一方を把握することができる。
【0014】
第5態様に係る表示制御装置は、第1態様~第4態様の何れか1の態様において、建物の利用者から給電依頼を受け付ける給電依頼受付部をさらに備え、前記表示制御部は、給電依頼受付部によって給電依頼を受け付けた場合、給電依頼した利用者の建物に対して、地図データ上に給電依頼に対応するマークを表示する。
【0015】
第5態様に係る表示制御装置では、地図データ上に給電依頼のマークが表示されることで、表示装置を一見するだけで給電を要求している建物を把握することができる。
【0016】
第6態様に係る表示制御装置は、第1態様~第5態様の何れか1の態様において、前記建物情報取得部は、区画内における蓄電施設及びガソリンスタンドの少なくとも一方の稼働状況を取得し、前記表示制御部は、前記建物情報取得部で取得された稼働状況を地図データ上に表示する。
【0017】
第6態様に係る表示制御装置では、蓄電施設の稼働状況が表示装置に表示されていれば、蓄電施設から車両への充電が可能であるか住民が判断することができる。また、ガソリンスタンドの稼働状況が表示装置に表示されていれば、車両へガソリンを給油可能であるか住民が判断することができる。
【0018】
第7態様に係る表示制御方法は、区画内の複数の建物から識別番号及び外部電源からの給電に関する情報をそれぞれ取得し、取得したそれぞれの識別番号に対応する地図データ上の位置を特定し、特定された地図データ上の位置に、前記外部電源からの給電に関する情報を加えて表示装置に表示する。
【0019】
第8態様に係るプログラムは、区画内の複数の建物から識別番号及び外部電源からの給電に関する情報をそれぞれ取得し、取得したそれぞれの識別番号に対応する地図データ上の位置を特定し、特定された地図データ上の位置に、前記外部電源からの給電に関する情報を加えて表示装置に表示する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明に係る表示制御装置、表示制御方法及びプログラムによれば、停電時に給電が必要な建物に早期に給電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態に係る表示制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る表示制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】実施形態における携帯端末の表示例を示す図である。
図4】実施形態に係る表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5】実施形態における表示態様決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】変形例における携帯端末の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態に係る表示制御装置10について、図面を参照して説明する。図1に示されるように、本実施形態の表示制御装置10は、所定の区画内(地域内)の住民が所持している携帯端末30で動作するアプリケーションを介して、停電時に各住戸(建物)の給電状況などの情報を表示装置としての携帯端末30に表示する装置である。
【0023】
また、以下の説明では一例として、区画内の建物にはそれぞれ、外部電源としての車両から給電が可能な装置が設けられているものとする。具体的には、建物の外壁又は建物の周囲には、車両と接続するためのケーブルが取付けられるケーブル取付部が設けられている。そして、ケーブル取付部にケーブルの一端を取付け、ケーブルの他端を車両に繋ぐことで、建物と車両とを電気的に接続することができるように構成されている。
【0024】
また、建物と車両とを電気的に接続した状態で、所定の操作が行われることによって、車両に搭載されたバッテリ(蓄電池)から建物内の各電気機器へ給電が行われる。なお、建物と車両との接続には、例えばV2H(Vehicle to Home)システムが用いられている。給電は、電気自動車及びプラグインハイブリッド車の充電口にケーブルを接続して給電を行う方式に限定されず、ハイブリッド車両などに搭載されている100Vのアクセサリーコンセントにケーブルを接続して給電を行う方式を採用してもよい。
【0025】
(表示制御装置10のハードウェア構成)
本実施形態の表示制御装置10は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)12、ROM(Read Only Memory)14、RAM(Random Access Memory)16、ストレージ18、通信インタフェース20及び入出力インタフェース22を含んで構成されている。各構成は、バス24を介して相互に通信可能に接続されている。
【0026】
CPU12は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU12は、ROM14又はストレージ18からプログラムを読み出し、RAM16を作業領域としてプログラムを実行する。CPU12は、ROM14又はストレージ18に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0027】
ROM14は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM16は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ18は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する非一時的記録媒体である。本実施形態では、ROM14又はストレージ18には、各種の処理を実行するためのプログラムが格納されている。
【0028】
通信インタフェース20は、表示制御装置10がネットワークNを介して外部の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、5G、LTE、Wi-Fi(登録商標)、イーサネット(登録商標)などの規格が用いられる。本実施形態では、通信インタフェース20によって表示制御装置10が表示装置としての携帯端末30と通信可能となっている。携帯端末30は、例えば、表示制御装置10の利用者が所持しているスマートフォンであり、この携帯端末30から所定のアプリケーションを起動させることで、表示制御装置10から送信されたデータが表示される。
【0029】
入出力インタフェース(入出力I/F)22は、表示制御装置10と各種の入出力機器とを接続するためのインタフェースである。
【0030】
(表示制御装置10の機能構成)
表示制御装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。表示制御装置10が実現する機能構成について図2を参照して説明する。
【0031】
図2に示されるように、表示制御装置10は、機能構成として、建物情報取得部32、車両情報取得部34、位置特定部36、給電依頼受付部38及び表示制御部40を含んで構成されている。各機能構成は、CPU12がROM14又はストレージ18に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0032】
建物情報取得部32は、区画内の複数の建物から識別番号を取得する。具体的には、区画内の建物には識別番号が付与されており、この識別番号から建物の住所(位置情報)が分かるようになっている。すなわち、それぞれの識別番号と、識別番号に対応する建物の情報とがデータベースに記憶されており、建物情報取得部32は、データベースを参照することで、各識別番号に対応する建物の情報を取得する。
【0033】
ここで、本実施形態では一例として、識別番号に対応する情報として、建物の住所に加えて、建物の利用者が所有している携帯端末30の情報、及び、建物の利用者が所有している車両の情報などがデータベースに記憶されている。
【0034】
また、建物情報取得部32は、区画内の各建物に対して、外部電源からの給電に関する情報を取得する。本実施形態では一例として、建物情報取得部32は、各建物に設けられたセンサ類からの信号を取得することで、車両から建物へ給電が行われている場合に、給電中である信号を取得する。
【0035】
車両情報取得部34は、予めデータベースに登録されている車両の情報を取得する。具体的には、車両の種類に応じた燃料の残量を取得する。例えば、車両が電気自動車である場合、蓄電池に蓄電されている蓄電力量を取得する。また、例えば、車両がハイブリッド車である場合、蓄電池に蓄電されている蓄電力量に加えて、ガソリンなどの液体燃料の残量を取得する。さらに、例えば、車両が燃料電池車である場合、蓄電池に蓄電されている蓄電力量に加えて、水素などの気体燃料の残量を取得する。
【0036】
位置特定部36は、建物情報取得部32で取得したそれぞれの識別番号に対応する地図データ上の位置を特定する。具体的には、位置特定部36は、建物情報取得部32で取得された建物の座標データに基づいて、地図データ上における建物の位置を特定する。ここで、地図データは、外部で作成されたものをサーバなどから取得してもよいが、ストレージ18に予め記憶された地図データを用いてもよい。
【0037】
給電依頼受付部38は、建物の利用者から給電依頼を受け付ける。本実施形態では一例として、給電依頼受付部38は、建物の利用者が携帯端末30の画面上に表示されている自宅を選択することで、給電依頼を受け付ける。また、本実施形態では、建物に給電している車両の蓄電力量が十分にある場合には、給電依頼の操作が禁止されるように構成されている。
【0038】
表示制御部40は、位置特定部36で特定された地図データ上の位置に、外部電源からの給電に関する情報を加えて携帯端末30に表示する。具体的には、表示制御部40は、建物情報取得部32により車両から給電が行われている建物と、車両から給電が行われていない建物とを区別して地図データ上に表示する。また、表示制御部40は、車両から給電が行われている建物に対して、車両の蓄電力量及び燃料残量の少なくとも一方に応じて地図データ上で表示態様を変化させる。以下、図3を参照して携帯端末30の表示例について説明する。
【0039】
図3に示されるように、携帯端末30の表示画面には地図データが表示されている。ここで、本実施形態の表示制御部40は一例として、災害時又は停電時にのみ携帯端末30へ情報が表示可能となるように構成されている。このため、災害時及び停電時を除く通常時にまで他の建物の給電状況が見られないようになっている。
【0040】
図3では一例として、建物H1~H11と、建物F1~F6が地図データ上に表示されている。建物H1~H11は、区画内の住民の住宅に対応しており、建物F1~F6は、各種の施設に対応している。なお、以下の説明において、建物H1~H11を区別せず用いる場合、単に建物Hと記載する。また、建物F1~F6を区別せず用いる場合、単に建物Fと記載する。
【0041】
建物H1~H11は、見易さを考慮して同じ形状及び大きさで表示しているが、これに限定されず、実際の住宅の外形に基づいて表示してもよい。また、本実施形態では、住宅の給電状況のみを表示するように構成されているため、施設の建物F1~F6については、同じ表示態様(表示色)で表示されている。
【0042】
ここで、建物H1、H4、H5、H10は、比較的暗い色である第一表示色で表示されている。これらの建物Hは、車両から給電が行われていない建物である。具体的には、車両と建物Hとが接続されておらず、他の外部電源も接続されていない建物、又は、車両と建物Hとが接続されているが、車両の蓄電池の蓄電力量がゼロ又はゼロに近い状態の建物である。
【0043】
建物H3、H6、H8は、第一表示色よりも、やや明るい第二表示色で表示されており、図3では説明の便宜上、ハッチングで示している。これらの建物は、車両から給電が行われており、かつ、車両から給電可能な電力量が少なくなっている建物である。車両から給電可能な電力量は、車両情報取得部34により取得された情報に基づいて算出される。具体的には、建物Hに給電している車両が電気自動車の場合には、蓄電池の蓄電力量が所定の閾値以下の場合に、給電可能な電力量が少ないと判断される。また、建物Hに給電している車両がハイブリッド車又は燃料電池車の場合には、燃料(ガソリン、水素など)の残量から発電可能な電力量を算出し、この発電可能な電力量と、蓄電池の蓄電力量との合計が、所定の閾値以下の場合に、給電可能な電力量が少ないと判断される。
【0044】
一方、建物H2、H7、H9、H11は、第二表示色よりも明るい第三表示色で表示されている。これらの建物Hは、車両から給電が行われており、かつ、車両から給電可能な電力量が十分に確保されている建物である。具体的には、建物Hに給電している車両が電気自動車の場合には、車両の蓄電池の蓄電力量が所定の閾値よりも多い場合である。また、建物Hに給電している車両がハイブリッド車又は燃料電池車の場合には、発電可能な電力量と蓄電池の蓄電力量との合計が、所定の閾値よりも多い場合である。
【0045】
以上のように、表示制御部40は、建物H1~H11に対して、車両からの給電に関する情報を反映して携帯端末30に表示している。なお、表示態様は、所定の時間毎に更新される。
【0046】
また、表示制御部40は、給電依頼受付部38によって給電依頼を受け付けた場合、給電依頼した利用者の建物Hに対して、地図データ上に給電依頼に対応するマークMを表示する。図3では、建物H3の位置にマークMが表示されている。これは、給電依頼受付部38によって建物H3の利用者から給電依頼を受け付けた場合に表示されるマークである。
【0047】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0048】
(表示制御処理の一例)
図4は、表示制御装置10による表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。この給電対象切替処理は、CPU12がROM14又はストレージ18からプログラムを読み出して、RAM16に展開して実行することによって実行される。なお、以下に説明する表示制御処理は、停電によって商用電力の供給が停止された状態で、利用者が携帯端末30を介して所定のアプリケーションを起動することで実行される。また、アプリケーションが起動されている間は、所定の時間毎に表示制御処理が実行される。
【0049】
図5に示されるように、CPU12は、ステップS102で各建物Hから情報を取得する。具体的には、CPU12は、建物情報取得部32の機能により、区画内の複数の建物の識別番号と、車両からの給電に関する情報とを取得する。
【0050】
CPU12は、ステップS104で各車両から情報を取得する。具体的には、CPU12は、車両情報取得部34の機能により、車両の種類に応じた燃料の残量を取得する。
【0051】
CPU12は、ステップS106で表示態様決定処理のサブルーチンを実行し、地図データ上の建物H1~H11に対して、決定された色で表示する。表示態様決定処理の詳細については後述する。
【0052】
CPU12は、ステップS108で給電依頼が有ったか否かについて判定する。具体的には、CPU12は、給電依頼受付部38の機能により、建物Hの利用者から給電依頼を受け付けた場合に、給電依頼が有ったと判定してステップS110の処理へ移行する。
【0053】
一方、CPU12は、ステップS108で給電依頼を受け付けていない場合には、給電依頼が無かったと判定する。この場合、ステップS108が否定判定となり表示制御処理を終了させる。
【0054】
CPU12は、ステップS110で給電依頼を受け付けた建物にマークMを表示する。具体的には、CPU12は、表示制御部40の機能により、地図データ上の該当する建物に給電を要請するマークMを表示する。
【0055】
(表示態様決定処理)
図5は、表示制御装置10による表示態様決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。この表示態様決定処理は、CPU12がROM14又はストレージ18からプログラムを読み出して、RAM16に展開して実行することによって実行される。
【0056】
CPU12は、ステップS202で車両から建物Hへの給電中であるか否かについて判定する。具体的には、CPU12は、建物情報取得部32で取得された情報に基づいて、車両から給電が行われている場合には、給電中であると判定してステップS204の処理へ移行する。一方、CPU12は、ステップS202で車両から建物Hへの給電が行われていない場合には、ステップS206の処理へ移行し、ステップS206で当該建物Hが第一表示色に設定される。建物H1、H4、H5、H10は、ステップS206の処理によって第一表示色に設定される。
【0057】
CPU12は、ステップS204で車両の蓄電力量が閾値よりも多いか否かについて判定する。具体的には、CPU12は、車両情報取得部34の機能により取得した車両の蓄電力量が所定の閾値よりも多い場合には、ステップS210の処理へ移行する。この際、CPU12は、車両がハイブリッド車又は燃料電池車である場合、発電可能な電力量と蓄電池の蓄電力量との合計から蓄電力量を算出する。
【0058】
一方、CPU12は、ステップS204で車両の蓄電力量が所定の閾値以下である場合には、ステップS208の処理へ移行し、ステップS208で当該建物Hが第二表示色に設定される。建物H3、H6、H8は、ステップS208の処理によって第二表示色に設定される。
【0059】
CPU12は、ステップS204で車両の蓄電力量が所定の閾値よりも多い場合には、ステップS210の処理で第三表示色に設定される。建物H2、H7、H9、H11は、ステップS210の処理によって第三表示色に設定される。
【0060】
以上のように、本実施形態の表示制御装置10では、停電時に、表示制御部40の機能により、車両からの給電に関する情報が携帯端末30に表示される。これにより、住民が携帯端末30を見るだけで、区画内の建物Hのそれぞれに対して、車両からの給電に対する情報を把握することができる。
【0061】
特に、本実施形態では、住民が携帯端末30を見るだけで、車両から建物Hへの給電が行われていない建物を把握することができる。また、建物Hへの給電が行われている場合でも、車両の蓄電力量が少なくなっている建物を把握することができる。これにより、給電が必要な建物Hへ早期に電気自動車及びハイブリッド自動車などを向かわせることができる。
【0062】
また、本実施形態では、給電依頼を受け付けた際に、地図データ上に給電依頼のマークMを表示する。これにより、住民が携帯端末30を一見するだけで給電を要求している建物Hを把握することができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、給電依頼受付部38は、建物Hに給電している車両の蓄電力量が十分にある場合には、給電依頼の操作が禁止される。これにより、給電が必要な利用者のみが給電を依頼可能となり、不正な利用を抑制することができる。
【0064】
さらにまた、本実施形態では、災害時又は停電時にのみ携帯端末30へ情報が表示可能となるため、通常時に建物Hの給電状況が見られることがなく、プライバシーを確保することができる。
【0065】
(変形例)
次に、変形例に係る表示制御装置について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0066】
変形例に係る表示制御装置は、第1実施形態と同様に図2に示される機能構成を含んで構成されているが、建物情報取得部32及び表示制御部40の機能が一部異なる。
【0067】
建物情報取得部32は、図6に示されるように、住宅である建物H1~H11に加えて、施設である建物F1~F7の情報を取得する。具体的には、本実施形態の建物情報取得部32は、区画内における蓄電施設及びガソリンスタンドの少なくとも一方を含む施設の稼働状況を取得する。
【0068】
また、表示制御部40は、建物情報取得部32で取得された施設F1~F7の稼働状況を地図データ上に表示する。以下、図6を参照して携帯端末30の表示例について説明する。
【0069】
建物F1、F3~F6は、建物H2、H7、H9、H11と同様に第三表示色で表示されている。このため、これらの建物F1~F6は、外部電源から給電が行われており、かつ、給電可能な電力量が十分に確保されている建物となっている。
【0070】
一方、建物F2は、建物H3、H6、H8と同様に第二表示色で表示されている。このため、建物F2は、車両から給電が行われており、かつ、車両から給電可能な電力量が少なくなっている建物となっている。また、建物F2には、マークMが表示されているため、給電依頼受付部38によって建物F2の利用者から給電依頼を受け付けた状態となっている。
【0071】
ここで、建物F1には、Gの文字が表示されており、建物F1がガソリンスタンドであることが視認できるようになっている。また、建物F7は、充電スタンドを模したアイコンで表示されており、建物F7が蓄電施設であることが視認できるようになっている。さらに、本変形例では一例として、建物F7に蓄電力量の残量が数字で表示されている。例えば、図6では、蓄電力量の残量が45%になっていることが分かる。
【0072】
以上のように、本変形例では、表示制御部40によって蓄電施設である建物F7の稼働状況が携帯端末30に表示される。これにより、蓄電施設から車両への充電が可能であるか住民が判断することができる。
【0073】
また、本変形例では、ガソリンスタンドである建物F1の稼働状況が表示装置に表示されている。これにより、車両へガソリンを給油可能であるか住民が判断することができる。その他の作用については第1実施形態と同様である。
【0074】
以上、実施形態及び変形例に係る表示制御装置10について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、給電依頼を受け付けた場合に、地図データ上にマークMを表示させたが、これに加えて、他のマークを表示してもよい。
【0075】
一例として、給電可能な車両を保有している利用者から給電可能である信号を受信した場合に、地図データ上に給電可能な車両を表示してもよい。この場合、給電できない建物の住民が、給電可能な車両の保有者に直接給電依頼を行うことができる。
【0076】
このとき、給電を行った際の報酬などを予め設定できるようにしてもよい。例えば、電子マネーなどの仮想通過や、商品の代金の一部として利用できるポイントなどを報酬に設定してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、給電依頼を受け付けた建物にマークMのみを表示したが、これに限定されない。例えば、建物に予め給電の優先度を設定しておき、給電の優先度に応じてマークMの表示態様を変化させてもよい。一例として、優先度の高い建物については、緊急度が高いことが分かるように、他のマークMと比較してより明るい色で表示してもよい。また、マークMを点滅して表示してもよい。
【0078】
さらに、上記実施形態では、給電の状況に応じて、第一表示色、第二表示色及び第三表示色で表示したが、これに限定されず、他の表示態様で表示してもよい。例えば、それぞれの建物に対して、蓄電力量の残量に応じて色が付いている面積が変化する表示を行ってもよい。この場合、蓄電力量の残量が50%である建物では、地図データ上の建物のアイコンの半分だけ色が付いていることとなり、直感的に蓄電力量の残量を把握することができる。
【0079】
さらにまた、上記実施形態では、表示装置として携帯端末30に表示を行う構成について説明したが、これに限定されない。例えば、建物内に据え付けられたモニタなどに表示してもよく、車両の車室内に設けられたモニタに表示してもよい。
【0080】
また、上記実施形態でCPU12がソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路などが例示される。また、上記処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせなど)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0081】
さらに、上記実施形態では、ストレージ18を記録部としたが、これに限定されない。例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの非一時的記録媒体を記録部としてもよい。この場合、これらの記録媒体に各種プログラムを格納してもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 表示制御装置
30 携帯端末(表示装置)
32 建物情報取得部
36 位置特定部
38 給電依頼受付部
40 表示制御部
H1~H11 建物
F1~F7 建物
図1
図2
図3
図4
図5
図6