(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】SOEC/SOFC型固体酸化物スタック、圧着システム、および熱交換システムを備えるアセンブリ
(51)【国際特許分類】
C25B 13/04 20210101AFI20241210BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241210BHJP
C25B 9/19 20210101ALI20241210BHJP
C25B 9/67 20210101ALI20241210BHJP
C25B 9/77 20210101ALI20241210BHJP
H01M 8/0202 20160101ALI20241210BHJP
H01M 8/0656 20160101ALI20241210BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20241210BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20241210BHJP
H01M 8/248 20160101ALI20241210BHJP
【FI】
C25B13/04 302
C25B9/00 A
C25B9/19
C25B9/67
C25B9/77
H01M8/0202
H01M8/0656
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
H01M8/2465
H01M8/248
(21)【出願番号】P 2020533202
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(86)【国際出願番号】 FR2018053385
(87)【国際公開番号】W WO2019122697
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-06
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シャルロット・ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・プランク
(72)【発明者】
【氏名】ギレム・ルー
【審査官】隅川 佳星
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-041241(JP,A)
【文献】特開2010-251011(JP,A)
【文献】特開2011-076762(JP,A)
【文献】特開2012-182032(JP,A)
【文献】特開2012-186048(JP,A)
【文献】特開2015-041514(JP,A)
【文献】特表2016-522166(JP,A)
【文献】特表2016-537782(JP,A)
【文献】特開2017-022111(JP,A)
【文献】特開2017-111856(JP,A)
【文献】特開2017-212032(JP,A)
【文献】国際公開第2014/156152(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/096752(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0182152(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0143759(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0045702(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00 - 15/08
H01M 8/12 - 8/1286
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリ(100)であって、
- 高温で動作するSOEC/SOFC型固体酸化物スタック(20)であって、
- 陰極、陽極、および前記陰極と前記陽極との間に介装される電解質によって各々形成される複数の電気化学セル(41)と、2つの隣接する電気化学セル(41)の間に各々配置される複数の中間インターコネクタ(42)と、上側エンドプレートと下側エンドプレートとを含み、前記上側エンドプレートと前記下側エンドプレートとの間に前記複数の電気化学セルおよび前記複数の中間インターコネクタが挟装されている、SOEC/SOFC型固体酸化物スタック(20)と、
- 上側圧着プレート(45)と下側圧着プレート(46)とを含む、前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタック(20)のための圧着システム(60)であって、前記上側圧着プレート(45)と前記下側圧着プレート(46)との間に前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタック(20)が挟装され、各圧着プレート(45、46)は、少なくとも2つの圧着穴(54)を含み、前記圧着システム(60)は、
- 前記上側圧着プレート(45)および前記下側圧着プレート(46)を互いに対して組み立てるための、各々が前記上側圧着プレート(45)の圧着穴(54)を貫通し、前記下側圧着プレート(46)の対応する圧着穴(54)を貫通する、少なくとも2つの圧着ロッド(55)と、
- それらの間に前記上側圧着プレート(45)および前記下側圧着プレート(46)を組み立てるために前記少なくとも2つの圧着ロッド(55)と連携する、前記上側圧着プレート(45)および前記下側圧着プレート(46)の各圧着穴(54)における圧着手段(56、57、58)と
をさらに含む、圧着システム(60)と、
- ガス供給および排出のために前記
圧着システム(60)を装備する前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタック(20)を加熱システム(10)に結合するための高温封止結合システム(30)であって、前記結合システム(30)は、
前記下側圧着プレート(46)に対して係脱可能であり、前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタック(20)を電気的に絶縁することを可能にする、高温封止結合システム(30)と
を含む、アセンブリ(100)において、
前記圧着システム(60)を装備する前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタック(20)において、前記圧着システム(60)の前記上側圧着プレート(45)が前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタック(20)の前記上側エンドプレートと接しており、前記圧着システム(60)の前記下側圧着プレート(46)が前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタック(20)の前記下側エンドプレートと接しており、
前記結合システム(30)は、
-
前記下側圧着プレート(46
)の対応する連通穴(34)に面する位置に置かれる捕集穴(33)が各々設けられている、ガス供給および排出のための少なくとも2つの捕集ダクト(32)を備える、捕集器(31)と、
- 捕集穴(33)と対応する連通穴(34)との間に各々置かれる少なくとも2つのシール(35)と
を含むことを特徴とする、アセンブリ(100)。
【請求項2】
前記少なくとも2つのシール(35)は、マイカから作られることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも2つのマイカシール(35)の厚さは、0.3mm以下であることを特徴とする、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記捕集器(31)の前記少なくとも2つの捕集ダクト(32)の前記捕集穴(33)は、封止部を結合するために前記少なくとも2つのシール(35)に対して印加される応力が、前記圧着システム(60)を装備する前記
SOEC/SOFC型固体酸化物スタック(20)の重量によってのみ加えられるように、前記下側圧着プレート(46)の対応する連通穴(34)に面する位置に置かれることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記捕集器(31)は、前記圧着システム(60)の圧着ロッド(55)が完全に貫通することができる少なくとも1つの固定スルーホール(70)を含むことと、前記結合システム(30)は、前記少なくとも1つの固定スルーホール(70)を通過した前記圧着ロッド(55)の部分と連携す
る前記下側圧着プレート(46
)に前記捕集器(31)を固定するための固定手段(38)を含むこととを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記圧着ロッド(55)はネジ山付きであることと、前記固定手段(38)は固定用ナットであることとを特徴とする、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記ネジ山付き圧着ロッド(55)および/または前記固定用ナット(38)は、高温焼付防止ペーストでコーティングされることを特徴とする、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記捕集器(31)の前記少なくとも2つの捕集ダクト(32)は各々、封止された係脱可能なコネクタ(90)を通し
て前記下側圧着プレート(46
)と結合されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記封止された係脱可能なコネクタ(90)は、高温封止結合システムによって形成され、前記システムは、
-
前記下側圧着プレート(46
)と一体化され、前記スタック(20)の内部連通ダクト(37)に固定されている、ネジ山付きベースと呼ばれるその外面上に少なくとも部分的にねじが切られている中空ベース(91)であって、前記ネジ山付きベース(91)は連通穴(34)を含む、中空ベース(91)と、
- 前記捕集器(31)と一体化され、前記捕集器(31)の捕集ダクト(32)に固定されている、平滑ベースと呼ばれる、少なくとも部分的に滑らかな外面を有する中空ベース(92)であって、前記平滑ベース(92)は捕集穴(33)を含み、前記平滑ベース(92)および前記ネジ山付きベース(91)は、互いに流体的に連通するように互いに面する位置に置かれる、中空ベース(92)と、
- ネジ/ナットシステムを形成するように前記ネジ山付きベース(91)と連携することができ、前記平滑ベース(92)に関して摺動することができるネジ山付きナット(93)であって、その内面上に、前記ネジ山付きベース(91)の前記ネジ山と連携する第1のネジ山付き部分(93a)と、前記平滑ベース(92)の前記滑らかな外面と摺動可能に接触する第2の平滑部分と(93b)を含む、ネジ山付きナット(93)と
を含むことを特徴とする、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記平滑ベース(92)、前記ネジ山付きナット(93)、および前記ネジ山付きベース(91)は、ニッケル基超合金、および/またはオーステナイトステンレス鋼から作られることを特徴とする、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
システムであって、
- 請求項1から10のいずれか一項に記載のアセンブリ(100)と、
- ガス供給および排出のための前記アセンブリ(100)の前記結合システム(30)を通る前記アセンブリ(100)の前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタック(20)と結合されている、加熱システム(10)と
を含むことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ「高温電解」(HTE)および「高温蒸気電解」(HTSE)と称される、高温水(HTW)電解、特に、高温水蒸気(HTWV)電解、二酸化炭素(CO2)電解の、さらには高温水(HTW)と二酸化炭素(CO2)との共電解の、一般的分野に関する。
【0002】
より正確には、本発明は、「固体酸化物型電解セル」(SOEC)と通常称される、高温固体酸化物電解槽の分野に関する。
【0003】
本発明は、「固体酸化物型燃料電池」(SOFC)と通常称される、高温固体酸化物型燃料電池の分野にも関する。
【0004】
したがって、より一般的には、本発明は、高温で動作するSOEC/SOFC型固体酸化物スタック(stack)の分野に関係する。
【0005】
より正確には、本発明は、SOEC/SOFC型固体酸化物スタック、このスタックのための圧着システム(clamping system)、および、このスタックのための高温封止結合システム(high temperature sealed coupling system)を備えるアセンブリ(assembly)、ならびに、そのようなアセンブリ、およびそのような結合システム(coupling system)を通じて前記スタックと結合される加熱システムを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0006】
SOEC型高温固体酸化物型電解槽の範囲内において、目的は、電流により、同じ電気化学デバイス内で、水蒸気(H2O)を二水素(H2)と二酸素(O2)とに変換し、および/または二酸化炭素(CO2)を一酸化炭素(CO)と二酸素(O2)とにさらに変換することである。SOFC型高温固体酸化物型燃料電池の範囲内で、この動作は、二水素(H2)および二酸素(O2)、典型的には空気と天然ガス、すなわちメタン(CH4)とを供給されることによって電流と熱とを発生することの逆である。簡単にするため、次の説明では、水電解を行うSOEC型高温固体酸化物型電解槽の動作を特に取りあげる。しかしながら、この動作は、二酸化炭素(CO2)電解に、さらには高温水(HTW)と二酸化炭素(CO2)との共電解にも、適用可能である。さらに、この動作は、SOFC型高温固体酸化物型燃料電池の場合に置換可能である。
【0007】
水電解を行うためには、高温、典型的には、600℃から1000℃の間の温度で行うことが有利であり、その理由は、液体水を電解するより水蒸気を電解する方が有利だからであり、その理由は、反応に必要なエネルギーの一部が、電力に比べて安価である、熱によってもたらされ得るからである。
【0008】
高温水(HTW)電解を行うために、SOEC型高温固体酸化物型電解槽は、基本ユニットのスタックからなり、各基本ユニットは、互いの上に重ねて載せられた3つの陽極層/電解質層/陰極層と、バイポーラプレートまたはインターコネクタとも呼ばれる、金属合金の相互接続プレートとからなる固体酸化物型電解セル、または電気化学セルを含む。各電気化学セルは、2枚の相互接続プレートの間に挟装される。したがって、SOEC型高温固体酸化物型電解槽は、電気化学セルおよびインターコネクタの交互スタックである。SOFC型高温固体酸化物型燃料電池は、基本ユニットの同じスタックからなる。この高温技術は可逆性を有するので、同じスタックは、電解モードで動作して、水と電力とから水素と酸素とを発生し、燃料電池モードで動作して、水素と酸素とから電力を発生させることができる。
【0009】
各電気化学セルは電解質/電極アセンブリに対応し、これは典型的には、イオン伝導性中心層によって電解質が形成されるセラミック多層アセンブリであり、この層は高密度の固体であって、封止され、電極を形成する両方の多孔質層の間に挟装される。さらなる層が存在することができるが、これはすでに説明されている層のうちの1つまたは複数を改善するためにのみ使用され得ることに留意されたい。
【0010】
相互接続デバイス、電気デバイス、および流体デバイスは、電気的な観点からは、基本ユニットのスタック内の基本ニットの各電気化学セルの接続を確実にし、面とセルの陰極との間の、および他の面と次のセルの陽極との間の電気的接触を保証し、それにより、流体の観点からは、セルの各々の生産を組み合わせる、電子伝導体である。したがって、インターコネクタは電流給電および捕集機能を確実にし、分配および/または捕集のために、ガス循環区画の境界を定める。
【0011】
より正確には、インターコネクタの主要機能は、電流の流れを確実にすることであるが、各セルの付近におけるガス循環(すなわち、HTW電解のために抽出される注入水蒸気、水素、および酸素、SOFCセルのために注入された水素および抽出された水を含む空気と燃料)も確実にし、それぞれセルの陽極側および陰極側のガス循環区間である、2つの隣接するセルの陽極区画および陰極区画を分離することである。
【0012】
特に、SOEC型高温固体酸化物型電解槽について、陰極区画は、電気化学反応の生成物である、水蒸気と水素とを含むが、陽極区画は、存在するとすればパージガスと、電気化学反応の他方の生成物である、酸素とを含む。SOFC型高温固体酸化物型燃料電池については、陽極区画は燃料を含むが、陰極区画は酸化剤を含む。
【0013】
高温水(HTW)蒸気電解を行うために、水蒸気(H2O)が陰極区画内に注入される。セルに印加される電流の効果の下で、水蒸気としての水分子の解離は、水素電極(陰極)と電解質との間の界面のところで行われる、すなわち、この解離は、二水素ガス(H2)と酸素イオン(O2-)とを発生する。二水素(H2)は捕集され、水素区画から放出される。酸素イオン(O2-)は電解質中を移動し、電解質と酸素電極(陽極)との間の界面のところで二酸素(O2)として再結合される。空気などの、パージガスは、陽極のところで循環し、それにより、陽極のところにガス形態で発生する酸素を捕集することができる。
【0014】
固体酸化物型燃料電池(SOFC)の動作を確実にするために、空気(酸素)がセルの陰極区画内に注入され、水素が陽極区画内に注入される。空気からの酸素は解離してイオンO2-に変化する。これらのイオンは、陰極の電解質中を移動して陽極に移動し、酸化物水素へと移動し、電気の同時発生により水を形成する。SOFCセルにおいて、さらにはSOEC電解において、水蒸気が二水素(H2)区画内に配置される。極性だけが反転される。
【0015】
例として、
図1は、SOEC型高温固体酸化物電解槽の動作の理論を示す概略図を表す。そのような電解槽の機能は、次の電気化学反応に従って水蒸気を水素と酸素とに変換することである。
2H
2O→2H
2+O
2。
【0016】
この反応は、電解槽セル内で電気化学的に行われる。
図1に示されているように、各基本電解セル1は、固体電解質3のいずれかに側に置かれている、陰極2および陽極4によって形成される。両方の電極(陰極と陽極)2および4は、多孔質材料から作られた、電子および/またはイオン伝導体であり、電解質3はガス気密性、電子絶縁性、およびイオン伝導性を有する。電解質3は、特に、陰イオン伝導体、より正確には、イオンO
2-の陰イオン伝導体であるものとしてよく、電解槽は、したがって、陽子電解質(H
+)とは反対に、陰イオン電解槽と呼ばれる。
【0017】
電子伝導体の各々とイオン伝導体との間の界面のところで電気化学反応が生じる。
【0018】
陰極2において、半反応は次のとおりである。
2H2O+4e-→2H2+2O2-。
【0019】
陽極4において、半反応は次のとおりである。
2O2-→O2+4e-。
【0020】
両方の電極2および4の間に介装される電解質3は、陽極4と陰極2との間に生じる電位差によって引き起こされる電場の効果の下でイオンO2-に対する移動の場所である。
【0021】
図1の大括弧内に例示されているように、陰極内に投入される水蒸気には、水素H
2が同伴し、生成され、産出物として回収される水素は、水蒸気に同伴し得る。同様に、点線で例示されているように、空気などのパージガスは、投入物としてさらに注入され、生成された酸素を放出することができる。パージガス注入のさらなる機能は、温度調節器の役割を果たすことである。
【0022】
基本電解槽、または電解反応装置は、陰極2、電解質3、および陽極4と、電気分配機能、水圧分配機能、および熱分配機能を確実にする2つのインターコネクタとを備える、上で説明されているような基本セルからなる。
【0023】
生成される水素および酸素の流量を増やすために、いくつかの基本電解セルを、インターコネクタで分離することによって、積み重ねることが知られている。全体は、電解槽(電解反応装置)のための電源およびガス供給源を支持する2つの終端相互接続プレートの間に位置決めされる。
【0024】
したがって、SOEC型高温固体酸化物電解槽は、少なくとも1つの、一般的に複数の、積み重ねられた電解セルを備え、各基本セルは電解質、陰極、および陽極によって形成され、電解質は陽極と陰極との間に介装される。
【0025】
すでに示されているように、1つまたは複数の電極と電気的に接触している流体および電気相互接続デバイスは、一般的に、電流給電および捕集機能を確実にし、1つまたは複数のガス循環区画の境界を定める。
【0026】
したがって、いわゆる陰極区画の機能は、電流および水蒸気を分配し、さらに接触している陰極のところで水素を回収することである。
【0027】
いわゆる陽極区画の機能は、電流を分配し、さらには場合によってはパージガスを使用して、接触している陽極のところで発生する酸素を回収することである。
【0028】
図2は、従来技術によるSOEC型高温固体酸化物電解槽の基本ユニットの分解図を表している。電解槽は、インターコネクタ5と交互に積み重ねられた、固体酸化物(SOEC)型の複数の基本電解セルC1、C2を備える。各セルC1、C2は、陰極2.1、2.2および陽極(セルC2の陽極4.2のみが表されている)からなり、それらの間に電解質(セルC2の電解質3.2のみが表されている)が配設される。
【0029】
インターコネクタ5は、陰極50区画と陽極51区画との間の分離を確実にする金属合金の構成要素であり、インターコネクタ5と隣接する陰極2.1との間、およびインターコネクタ5と隣接する陽極4.2との間にそれぞれ含まれる容積によって画成される。これは、セルへのガスの分配も確実にする。各基本ユニット内への水蒸気の注入は、陰極区画50内で行われる。陰極2.1、2.2のところで発生した水素および残留水蒸気を捕集することは、セルC1、C2の下流の陰極区画50内で、水蒸気をそれによって解離した後に行われる。陽極4.2で発生した酸素を捕集することは、セルC1、C2の下流の陽極区画51内で、水蒸気をそれによって解離した後に行われる。インターコネクタ5は、陽極4.2と陰極2.1との間にある、隣接する電極と直接接触することによってセルC1とセルC2との間の電流の流れを確実にする。
【0030】
高温固体酸化物電解槽(SOEC)の動作条件は、固体酸化物型燃料電池(SOFC)の動作条件に非常に近いので、技術的制限は同じである。
【0031】
したがって、高温で動作するそのようなSOEC/SOFC型固体酸化物スタックの適切な動作は、主に、これ以降述べられる要求条件を満たすことを必要とする。
【0032】
第1に、2つの連続するインターコネクタの間の電気的絶縁が、そうしないと電気化学セルが短絡するので必要であるが、セルとインターコネクタとの間に適切な電気的接触および十分な接触表面積も必要である。セルとインターコネクタとの間でオーム抵抗を可能な限り低くすることが目標とされる。
【0033】
加えて、陽極区画と陰極区画との間に封止が設けられるべきであり、そうしないと、発生するガスの再結合が生じ、効率を低下させ、もっぱらスタックを損傷するホットスポットが発生する。
【0034】
最後に、生成物の投入および回収の両方として適切なガス分配を行うことが重要であり、そうしないと、効率低下、異なる基本ユニット内の圧力および温度の不均質、または電気化学セルの許容できない劣化すら生じる。
【0035】
高温で動作する高温電解(SOEC)または燃料電池(SOFC)スタック内の出入りするガスは、
図3を参照しつつ例示されているような炉の適切なデバイスを通じて管理することができる。
【0036】
したがって、炉10は低温部分PFと高温部分PCとを備え、後者は高温電解(SOEC)または燃料電池(SOFC)のための炉底部11、ガス注入口および排出口を管理するためのループチューブ12、ならびにスタックを備える。
【0037】
ガス供給および排出デバイスの結合は、特に二重リング機械式圧着コネクタ、VCR(登録商標)金属シール表面封止コネクタ、溶接継手、またはさらにパーティションの封止ブッシングを通じて、低温部分PFのところで行われることが最も多い。
【0038】
二重リング機械式圧着接続の場合、両方のリングがチューブの封止機能と圧着機能とを分離する。前部リングは封止を形成するが、後部リングは前部リングが軸方向に前進することを可能にし、チューブの実際の圧着を半径方向に施す。この原理は、非常に良好なチューブ圧着および非常に良好なガス漏れ封止を達成することを可能にする。さらに、その取り付けは容易であり、振動によって引き起こされる疲労に対する非常に良好な耐性を有する。係脱は、溶接がない場合に即座になされる。しかしながら、その大きな欠点は、まさに、後部リング、前部リング、およびチューブが接合部を分離不能にする拡散溶接によって溶接することができるような高温耐久性がない点である。
【0039】
金属シール表面封止接続VCR(登録商標)の場合、封止は、シールがオスナットまたは六角頭本体部をメスナットで締め付けた後に2つのフランジによって圧縮されるときに達成される。この原理は、異なるシール(ニッケル、銅、ステンレス鋼、...)を使用する可能性が最も適切な構成に依存する非常に良好な封止、およびこれらの動作時のシール交換による容易な装着/係脱を可能にする。しかしながら、この解決方法は高温では適当でなく、その動作は約537℃のみの最高温度を許容する。
【0040】
溶接継手の場合、全体的封止は、TIG(タングステン不活性ガス)タイプの方法によって、または軌道溶接機、すなわちロータリーノズルと結合されたTIG方法によってチューブを溶接することによって達成される。しかしながら、炉10内に装着されているスタック20での溶接作業は、チューブを周に溶接することができるように接近することがしにくいので非常に面倒である。
【0041】
最後に、センサ、プローブ、電気信号、およびチューブを通すためにパーティションの封止ブッシングを使用する、約870℃の温度に耐える結合システムがある。パーティションのこれらの封止ブッシングは、配管、容器、またはカバーの壁にねじ込まれるステンレス鋼316Lネジ山付きコネクタの形態をとる。それらのバージョンに応じて、これらのブッシングは異なるタイプ、サイズ、および直径を有する、1つまたは複数の貫通要素を収容する。したがって、これらのブッシングは、要素が途絶することなく貫通することを可能にし、また両方の要素の封止接合を許さない。
【0042】
炉10の低温部分PFにおけるガス供給および排出デバイスの結合は大きな欠点であるが、それは、これらの低温部分PFが炉10に対して抵抗性を有しているとは言えず、他にもあるがとりわけ交換器、絶縁体、凝縮器などの周辺機器によって妨げられるからである。これは、係脱および再利用をしやすくしたい場合に高温部分PCに継手を形成することを優先すべきであることを意味している。
【0043】
さらに、炉10のエンクロージャを使用して入口ガスを予熱することでも、長さが約2.5から3mのループチューブ12が炉10の発熱抵抗の放射を利用することになるが、これにより、チューブが限定された空間内で正しい場所に到達することを確実にするために曲げプロセスが複雑になる。
【0044】
さらに、スタック20を係脱できるようにして別の場所で操作できるようにし、それによって、「プラグ&プレイ」(PnP)タイプの特徴を持たせたい場合、継手は、最初に、たとえば弓のこを使用して、機械的に壊されるべきであり、新しい継手は、スタック20を別の炉に置くように準備すべきであるが、取り扱い作業が非常に面倒なものとなる。
【0045】
最後に、そのようなスタック20は非常に脆く、配置を変えるときに可能な限り作業を少なくする必要があることに留意されたい。したがって、振動および衝撃は特に回避されるべきであり、またひっくり返すことも回避されるべきである。
【0046】
前に説明した結合の解決方法では、上で述べたニーズを満たすことができない。特に、二重リング機械式圧着コネクタは高温で溶接される。溶接では、溶接の複雑さ(接近が困難)のせいで説明されている問題が解決されず、係脱のためにチューブを切断せざるを得ない。
【0047】
従来技術の結合の解決方法では、炉10からスタック20を取り外して別の炉10に再接続することができない、すなわち、接合部を機械的に壊さずに、「プラグ&プレイ」の特徴を使用することができず、したがって、取り付け/係脱を担当する作業者に、退屈な曲げる作業、結合する作業、および合わせる作業を強いることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【文献】フランス特許出願第FR3045215A1号
【文献】フランス特許出願第1750009号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0049】
本発明の目的は、従来技術の実施形態に関する前述のニーズおよび欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【0050】
特に、本発明は、高温電解(SOEC)または燃料電池(SOFC)スタック、特に、フランス特許出願第FR 3 045 215 A1号で説明されているような「プラグ・アンド・プレイ」(PnP)タイプの特徴(自己圧着システム)を有するスタックの結合の特定の設計の性能を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0051】
そこで、本発明の一目的は、その態様のうちの1つによれば、アセンブリであって、
- 高温で動作するSOEC/SOFC型固体酸化物スタックであって、
- 陰極、陽極、および陰極と陽極との間に介装される電解質によって各々形成される複数の電気化学セルと、2つの隣接する電気化学セルの間に各々配置される複数の中間インターコネクタとを
含む、SOEC/SOFC型固体酸化物スタックと、
- 上側圧着プレートと下側圧着プレートとを含む、SOEC/SOFC型固体酸化物スタックのための圧着システムであって、上側圧着プレートと下側圧着プレートとの間にSOEC/SOFC型固体酸化物スタックが挟装され、各圧着プレートは、少なくとも2つの圧着穴を含む、圧着システムは、
- それらの間に上側圧着プレートおよび下側圧着プレートを組み立てるための、各々が上側圧着プレートの圧着穴を貫通し、下側圧着プレートの対応する圧着穴を貫通する、少なくとも2つの圧着ロッドと、
- それらの間に上側圧着プレートおよび下側圧着プレートを組み立てるために前記少なくとも2つの圧着ロッドと連携する上側圧着プレートおよび下側圧着プレートの各圧着穴における圧着手段と
をさらに含む、圧着システムと、
- ガス供給および排出のために前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタックを加熱システム、特に炉に結合するための高温封止結合システムであって、この結合システムは、有利には係脱可能であり、有利には前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタックを電気的に絶縁することを可能にする、アセンブリにおいて、
結合システムは、
- 上側圧着プレートおよび下側圧着プレートのうちの少なくとも一方の対応する連通穴に面する位置に置かれる捕集穴が各々設けられている、ガス供給および排出のための少なくとも2つの捕集ダクトを備える捕集器、または多岐管と、
- 捕集穴(33)と対応する連通穴(34)との間に各々置かれる少なくとも2つのシール(35)と
を含むことを特徴とするアセンブリである。
【0052】
本発明によるアセンブリは、次の特徴のうちの1つまたは複数を、単独で、または技術的に可能な任意の組合せにより、さらに備えることができる。
【0053】
有利には、連通穴は、圧着システムの下側圧着プレートに属し得る。したがって、本発明は、有利には、この圧着システムの下側圧着プレートを使用して、スタックをシステム内の捕集器上に素早く取り付けること、およびその一方で封止され、係脱可能な流体嵌合を可能にすることができる。
【0054】
加えて、有利には、シールは、自律圧着システムを装備するスタックと、捕集器との間の封止を確実にすることを可能にする。シールは、特に、円環形状を有し得る。
【0055】
結合システムは、有利には係脱可能であり、したがって、温度サイクリングの後に再利用することができ、シールのみが係脱/再装着毎に交換することが可能である。
【0056】
結合システムは、有利には、二重リング金属コネクタまたはVCR(登録商標)タイプの従来技術の従来の解決方法では可能でない、アセンブリの残り部分、特に加熱システムに関して前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタックの電気的絶縁を可能にする。
【0057】
SOEC/SOFC型固体酸化物スタックは、上側エンドプレートと下側エンドプレートとを含むことができ、上側エンドプレートと下側エンドプレートとの間に複数の電気化学セルおよび複数の中間インターコネクタが挟装される。
【0058】
好ましくは、前記少なくとも2つのシールは、マイカから作られ得る。マイカシールの使用には、以下で詳しく述べるような複数の利点がある。第1に、0℃から900℃の範囲の温度に関して、スタックと、炉などの加熱システムとの間のガス供給および排出結合部の封止が確実になされるようにできる。シールの幾何学的形状は、頑丈な封止を確実にするのに十分であるマイカでの圧縮応力を確実するように最適化され得る。この応力は、マイカの厚さに依存する。したがって、たとえば、厚さ約0.25mmのマイカシールでは、印加される圧縮応力は少なくとも13MPaとし得る。
【0059】
加えて、マイカシールは、加熱システムに関してスタックを電気的に絶縁することを可能にする。
【0060】
さらに、マイカシールは、高温金属平面状部分の溶接、さらには数回の温度サイクリングを回避することによって結合部を繰り返し係脱/再装着することを可能にする。
【0061】
前記少なくとも2つのマイカシールの厚さは、好ましくは、0.3mm以下とし得る。マイカシールのそのような厚さ値により、低温および高温の両方の封止を達成することを可能にする。
【0062】
代替的に、前記少なくとも2つのシールは金属から作られ得る。
【0063】
たとえば、前記少なくとも2つのシールは、実質的に矩形の形状の断面を有するバイデルタタイプ(bi-delta type)Oリングシールであってよく、その矩形の形状の断面の2つの対向する長い辺は各々、実質的に三角形の形状の突出する環状部分を含み、両方の突出部分は、互いに重ね合わされる。
【0064】
前記少なくとも2つのシールは、さらに、C字形の断面を有する、Cリングタイプシールとすることができる。
【0065】
加えて、捕集器の前記少なくとも2つの捕集ダクトの捕集穴は、封止部を結合するために前記少なくとも2つのシールに対して印加される応力が、圧着システムを装備するスタックの重量によってのみ加えられるように、下側圧着プレートの対応する連通穴に面する位置に置かれ得る。
【0066】
さらに、捕集器は、少なくとも1つの固定スルーホールを含むことができ、このスルーホールを圧着システムの圧着ロッドが完全に貫通することができる。さらに、結合システムは、前記少なくとも1つの固定穴を通過した圧着ロッドの部分と連携する上側および下側圧着プレートのうちの前記少なくとも一方に捕集器を固定するための固定手段を含むことができる。
【0067】
圧着ロッドは、有利には、ネジ山付きとすることができる。さらに、固定手段は固定用ナットとし得る。ネジ山付き圧着ロッドおよび/または固定用ナットは、高温焼付防止ペーストでコーティングされ得る。
【0068】
加えて、捕集器の前記少なくとも2つの捕集ダクトは各々、封止された係脱可能なコネクタを通して上側および下側圧着プレートのうちの前記少なくとも一方と結合され得る。
【0069】
係脱可能な封止されたコネクタは、高温封止結合システムによって形成され得、
- 上側および下側圧着プレートのうちの前記少なくとも一方と一体化され、スタックの内部連通ダクトに固定されているネジ山付きベースと呼ばれるその外面上に少なくとも部分的にねじが切られている中空ベースであって、ネジ山付きベースは連通穴を含む、中空ベースと、
- 捕集器と一体化され、捕集器の捕集ダクトに固定されている平滑ベースと呼ばれる、少なくとも部分的に滑らかな外面を有する中空ベースであって、平滑ベースは、捕集穴を含み、平滑ベースおよびネジ山付きベースは、互いに流体的に連通するように互いに面する位置に置かれる、中空ベースと、
- ネジ/ナットシステムを形成するようにネジ山付きベースと連携することができ、平滑ベースに関して摺動することができるネジ山付きナットであって、その内面上に、ネジ山付きベースのネジ山と連携する第1のネジ山付き部分と、平滑ベースの滑らかな外面と摺動可能に接触する第2の平滑部分とを含む、ネジ山付きナットとを備える。
【0070】
加えて、平滑ベース、ネジ山付きナット、およびネジ山付きベースは、ニッケル基超合金、特にインコネル600、および/またはオーステナイトステンレス鋼、特にステンレス鋼316Lタイプから作ることができる。
【0071】
さらに、本発明の別の目的は、その態様のうちの別の態様によれば、システムであって、
- すでに定義されているようなアセンブリと、
- ガス供給および排出のためのアセンブリの結合システムを通るアセンブリの前記SOEC/SOFC型固体酸化物スタックと結合されている、加熱システム、特にオーブンと
を含むことを特徴とするシステムである。
【0072】
本発明によるアセンブリおよびシステムは、説明で述べた特徴のうちのいずれかを、単独で、または他の特徴との技術的に可能な任意の組合せにより、含むことができる。
【0073】
本発明は、その非限定的な例示的実装形態の以下の詳細な説明を読むだけでなく、添付の図面の概略図および部分図も調べると、より良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】高温固体酸化物電解槽(SOEC)の動作の理論を示す概略図である。
【
図2】従来技術によるインターコネクタを備える高温固体酸化物電解槽(SOEC)の一部の分解概略図である。
【
図3】高温で動作する高温電解(SOEC)または燃料電池(SOFC)スタックが置かれている炉のアーキテクチャの原理を例示する図である。
【
図4】本発明によるアセンブリに対するSOEC/SOFC型固体酸化物スタックの一例をその圧着システムと共に表す斜視図である。
【
図5A】本発明によるアセンブリの第1の例示的な実施形態を示す側面組み立て図である。
【
図5B】本発明によるアセンブリの第1の例示的な実施形態を示す部分断面図である。
【
図5C】本発明によるアセンブリの第1の例示的な実施形態を示す分解斜視図である。
【
図6A】本発明によるアセンブリの第2の例示的な実施形態を示す側面組み立て図である。
【
図6B】本発明によるアセンブリの第2の例示的な実施形態を示す部分断面図である。
【
図6C】本発明によるアセンブリの第2の例示的な実施形態を示す分解斜視図である。
【
図7A】本発明によるアセンブリの第3の例示的な実施形態を示す側面組み立て図である。
【
図7B】本発明によるアセンブリの第3の例示的な実施形態を示す部分断面図である。
【
図7C】本発明によるアセンブリの第3の例示的な実施形態を示す分解斜視図である。
【
図8A】本発明によるアセンブリに対するシールの第1の代替的形態を示す斜視図である。
【
図8B】本発明によるアセンブリに対するシールの第1の代替的形態を示す部分断面図である。
【
図9】本発明によるアセンブリに対するシールの第2の代替的形態を示す斜視図および部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
これらの図全体を通して、同一の参照符号は、同一のまたは類似の要素を指定し得る。
【0076】
さらに、図に表されている様々な部分は、図を判読しやすくするために、必ずしも同一の縮尺で描かれているとは限らない。
【0077】
図1から
図3は、本発明の従来技術および技術的背景に関係する部分において、すでに説明済みである。
図1および
図2について、水蒸気H
2Oの供給、二水素H
2、酸素O
2、空気、および電流の分配および回収に対する記号および矢印は、わかりやすくし、正確さを期し、表されているデバイスの動作を例示するために示されていると述べている。
【0078】
さらに、所与の電気化学セルのすべての構成要素(陽極/電解質/陰極)は好ましくはセラミックであることに留意されたい。高温SOEC/SOFC型スタックの動作温度は、加えて典型的には600から1000℃の間である。
【0079】
さらに、「上側」および「下側」という任意選択の用語は、ここでは、SOEC/SOFC型スタックの通常の向き方向に沿って理解されなければならない。
【0080】
図4を参照すると、例示的なアセンブリ80が図解されており、これはSOEC/SOFC型固体酸化物スタック20および圧着システム60を備え、このアセンブリ80は、
図5A~
図5C、
図6A~
図6C、および
図7A~
図7Cを参照しつつ以下で説明されているように、本発明によるアセンブリ100に一体化され得る。
【0081】
有利には、アセンブリ80は、フランス特許出願第FR 3 045 215 A1号において説明されているアセンブリの構造と似た構造を有する、すなわち、スタック20は「プラグ&プレイ」(PnP)タイプの特徴を有する。
【0082】
また、以下で説明されている本発明の異なる実施形態と共通の仕方で、
図4からわかるように、アセンブリ80は、高温で動作するSOEC/SOFC型固体酸化物スタック20を備える。
【0083】
このスタック20は、陰極、陽極、および陰極と陽極との間に介装される電解質によって各々形成される複数の電気化学セル41と、2つの隣接する電気化学セル41の間に各々配置される複数の中間インターコネクタ42とを備える。電気化学セル41および中間インターコネクタ42のこのアセンブリは、「スタック」とも呼ばれ得る。
【0084】
さらに、スタック20は、それぞれ上側スタックエンドプレート43および下側スタックエンドプレート44とも呼ばれる、上側エンドプレート43と下側エンドプレート44とを備え、これらの間に複数の電気化学セル41および複数の中間インターコネクタ42が挟装される、すなわち、これらの間にスタックがある。
【0085】
加えて、アセンブリ80は、上側圧着プレート45と下側圧着プレート46とを備える、SOEC/SOFC型固体酸化物スタック20に対する圧着システム60も具備し、これらのプレートの間にSOEC/SOFC型固体酸化物スタック20が挟装される。
【0086】
圧着システム60の各圧着プレート45、46は、4つの圧着穴54を備える。
【0087】
さらに、圧着システム60は、上側圧着プレート45の圧着穴54を貫通し、下側圧着プレート46の対応する圧着穴54を貫通して、上側圧着プレート45および下側圧着プレート46を互いに組み付けることを可能にする、4本の圧着ロッド55、すなわちタイロッドをさらに備える。
【0088】
圧着システム60は、上側圧着プレート45および下側圧着プレート46を互いに組み付けるために圧着ロッド55と連携する上側圧着プレート45および下側圧着プレート46の各圧着穴54のところに圧着手段56、57、58をさらに備える。
【0089】
より正確には、圧着手段は、上側圧着プレート45の各圧着穴54のところで、圧着穴54に挿通される対応する圧着ロッド55と連携する第1の圧着ナット56を含む。さらに、圧着手段は、下側圧着プレート46の各圧着穴54のところで、圧着ワッシャ58に関連する第2の圧着ナット57を含み、これらは圧着穴54に挿通される対応する圧着ロッド55と連携する。圧着ワッシャ58は、第2の圧着ナット57と下側圧着プレート46との間に配置される。
【0090】
本発明によるアセンブリ100は、加えて、スタック20と加熱システム、特に、前に説明したように、炉10との間にガス供給および排出のためのスタック20に対する高温封止結合システム30を備える。
図5A~
図7Cでは、結合システム30に対する異なる可能性を説明することができる。
【0091】
したがって、本発明により、本発明のすべての実施形態に共通の仕方で、スタック20に対する高温封止結合システム30は、捕集器31、または多岐管とも呼ばれるものを備える。この捕集器31は、ガス供給および排出のための4つの捕集ダクト32を備える。各捕集ダクト32は、下側圧着プレート46に面する捕集器31の表面内に開いている捕集穴33を備える。
【0092】
加えて、スタック20の自律圧着システム60の下側圧着プレート46は、たとえば
図5B、
図6B、および
図7Bを見るとわかるように、スタック20の内部連通ダクト37の連通穴34を備える。
【0093】
有利には、捕集穴33は、ガス供給および排出のためにスタック20と捕集器31との間の流体的結合を可能にするように連通穴34に面する位置に置かれる。
【0094】
さらに、シール35は、有利には、各捕集穴33とその対応する連通穴34との間に置かれ、結合封止を保証する。
【0095】
図5A、
図5B、および
図5Cは、それぞれ、本発明によるアセンブリ100の第1の例示的な実施形態を示す側面組み立て図、部分断面図、および分解斜視図を表している。
【0096】
この第1の例では、捕集器31の捕集ダクト32の捕集穴33は、結合封止のためにシール35に対して印加される応力が、自律圧着システム60を装備するスタック20の重量のみによって加えられるように、下側圧着プレート46の対応する連通穴34に面する位置に置かれる。
【0097】
言い換えると、シール35における封止を保証するためにスタック20およびその自律圧着システム60の重量のみが使用される。
【0098】
したがって、有利には、システム内のスタック20の取り外しおよび配置を容易に、特に、シール35、特にそれ以降消耗品であるマイカシールを変えるだけで、行うことが可能であり、したがってスタック20とシステムとの間の封止が十分になされることを確実にする。
【0099】
この第1の例示的な実施形態において、自律圧着システム60を装備するスタック20の自重のみが、スタック20と炉10との間のガス供給および排出結合部の封止を確実にする、すなわち、シール35、特にマイカのシールの材料の厚さ、接触表面積、および圧着システム60を装備するスタック20の重量の関数として決定済み応力を印加するために使用される。
【0100】
しかしながら、スタック20の自重が、必要な応力をシール35に対して印加して高温での十分な封止、すなわち、特に2.10-5Pa.m3.s-1より低い測定された漏れを確実にするのに十分でない場合、次に説明されている実施形態により代替的結合が提供され得る。
【0101】
そこで、
図6A、
図6B、および
図6Cは、それぞれ、本発明によるアセンブリ100の第2の例示的な実施形態を示す側面組み立て図、部分断面図、および分解斜視図を表している。
【0102】
この第2の実施形態において、自律圧着システム60のタイロッドまたは圧着ロッド55は、結合すること、特に全体がねじ込まれることを可能にするために、有利に使用される。したがって、これらはシール35にさらなる荷重を加えるために使用することができ、これは固定用ナット38に加えられる決定された圧着トルクを通じて制御される。
【0103】
より正確には、
図6Cを見るとよくわかるように、捕集器31は、圧着システム60の4本の圧着ロッド55が挿入される4つの固定スルーホール70を備える。
【0104】
さらに、4つの固定用ナット38が使用され、下側圧着プレート46上に捕集器31を組み立てるために4本の圧着ロッド55上にねじ込まれる。
【0105】
有利には、マイカまたはセラミック要素などの電気的絶縁要素(図示せず)は、圧着ロッド55上の荷重を回復する固定用ナット38、圧着ロッド55、および捕集器31の間に挿入され、システムに関するスタック20の電気的絶縁を保持することができる。
【0106】
また有利には、圧着ロッド55および/または固定用ナット38のネジ山は、捕集器31を圧着ロッド55に置き圧着する前に、係脱を容易にすることができ、ネジ山の拡散溶接を回避することができる高温焼付防止ペーストでコーティングすることができる。
【0107】
この焼付防止ペーストは、耐食性高温組み立て潤滑焼付防止ペーストとすることができ、他にもあるがとりわけ熱機関のネジ山、高温ガス用の多岐管、バーナー、弁、ディスクブレーキ、スパークプラグ、排気ファスナー、ローラー、ボルト、カラーなどの極端に高い温度または腐食性の高い雰囲気に曝される部品のブロッキング過剰および摩耗を回避することを可能にするようなものであってよい。これは、金属部品を保護し、その係脱を確実にするために銅、アルミニウム、およびグラファイトに基づく配合を有し得る。これは、たとえば、Wurth Companyが販売している機械部品用に50%のクロム粉末3と銅グリースとの混合物からなるPyrox Thermique Materiauxが販売しているグリーングリースであってよい。
【0108】
さらに、
図7A、
図7B、および
図7Cは、それぞれ、本発明によるアセンブリ100の第3の例示的な実施形態を示す側面組み立て図、部分断面図、および分解斜視図を表している。
【0109】
この第3の例では、捕集器31の4つの捕集ダクト32は、係脱可能な封止されたコネクタ90を通じて圧着システム60の下側圧着プレート46に結合される。そのようなコネクタは、特に、フランス特許出願第17 50009号において説明されている。
【0110】
より正確には、各封止された係脱可能なコネクタ90は、高温封止結合システムによって形成される。このシステムは、第1に、下側圧着プレート46と一体化され、スタック20の内部連通ダクト37に固定されている、ネジ山付きベースと呼ばれる外面上に部分的にネジ山を付けられた中空ベース91を備える。さらに、ネジ山付きベース91は、前に説明されているような連通穴34を備える。
【0111】
さらに、システムは、捕集器31と一体化され、捕集器31の捕集ダクト32に固定されている、平滑ベースと呼ばれる滑らかな外面を備える中空ベース92も具備する。さらに、平滑ベース92は、前に説明されているような捕集穴33を備える。
【0112】
したがって、平滑ベース92およびネジ山付きベース91は、互いに流体的に連通するように互いに面する位置に置かれる。
【0113】
最後に、システムは、ネジ山付きベース91と連携してネジ/ナットシステムを形成することができ、平滑ベース92に関して摺動することができる、ネジ山付きナット93を備える。
図7Bを見るとわかるように、ネジ山付きナット93は、その内面に、ネジ山付きベース91のネジ山と連携する第1のネジ山付き部分93aと、平滑ベース92の滑らかな外面と摺動可能に接触している第2の滑らかな部分93bとを備える。
【0114】
有利には、平滑ベース92、ネジ山付きナット93、およびネジ山付きベース91は、ニッケル基超合金、特にインコネル600タイプ、および/またはオーステナイトステンレス鋼、特にステンレス鋼316Lタイプから作ることができる。
【0115】
ネジ山付きベース91は、スタック20および圧着システム60を備えるアセンブリ80の一部となり得るように製造されたときに圧着システム60の下側圧着プレート46内で溶接または機械加工されることによって留められ得る。
【0116】
ネジ山付きナット93は、次いで、有利には、捕集器31と一体であってよく、平滑ベース92を通るスタック20に対する支持平面であり得る。ネジ山付きナット93は、遊びを設けて平滑ベース92上に摺動可能に装着される。
【0117】
平滑ベース92は、次いで、捕集器31に溶接されることによって留められ得る。
【0118】
したがって、捕集器31の平滑ベース92と下側圧着プレート46のネジ山付きベース91との間の平面/平面タイプの接触を得ることが可能であり、ネジ/ナット結合部の封止を確実にするためにベース91および92の両方の間にシール35が挿入される。したがって、シール35への封止に必要な応力を確実にすることを可能にするのがネジ/ナット圧着トルクである。
【0119】
必要ならば、第2のシール35、特に第2のマイカワッシャを、ネジ山付きナット93と平滑ベース92との間に挿入して、スタック20の電気的絶縁を保証することも可能である。
【0120】
ネジ山付きナット93の呼び径は、M20とM30との間とし得る。実際、太いネジ山および著しいピッチは、ネジ山の間の拡散溶接を回避することを可能にし得る。
【0121】
加えて、ネジ山付きベース91は、15から30mmの間の高さ、および20から30mmの間の直径を有することができる。
【0122】
さらに、平滑ベース92は、45から70mmの間の高さ、および30mmの最大直径を有することができる。
【0123】
ネジ山付きナット93の第1のネジ山付き部分93aおよび/またはネジ山付きベース91のネジ山は、さらに、高温耐性焼付防止剤で覆うことができる。この焼付防止剤は、圧着ロッド55および/または固定用ナット38のネジ山をコーティングするための前に説明した焼付防止ペーストなどであってよい。
【0124】
前に説明したすべての例において、シール35は、好ましくはマイカで作られる。
【0125】
しかしながら、別の材料で作られたシール35、たとえば、金属Oリングシールを提供することも可能である。
【0126】
図8Aおよび
図8Bは、たとえばバイデルタタイプOリングシール35を有する可能性も例示している。
図8Bを見るとわかるように、このバイデルタタイプシールは、実質的に矩形の形状の断面を有し、その矩形の形状の断面の両方の長い辺が各々、実質的に三角形の形状の突出する環状部分35aを含むことを特徴とする。さらに、これら2つの突出部分35は、互いに重ね合わされる。
【0127】
図9は、加えて、Cリングタイプシールの形態をとる、すなわち、C字形の断面を有する、Oリングシール35を有する可能性を例示している。
【0128】
もちろん、本発明は、単に説明しただけの例示的な実施形態に限定されない。当業者であれば、様々な修正形態を加えることができる。
【符号の説明】
【0129】
C1、C2 基本電解セル
1 基本電解セル
2 陰極
2.1、2.2 陰極
3 固体電解質
3.2 電解質
4 陽極
4.2 陽極
5 インターコネクタ
10 炉
11 炉底部
12 ループチューブ
20 SOEC/SOFC型固体酸化物スタック
30 高温封止結合システム
31 捕集器
32 捕集ダクト
33 捕集穴
34 連通穴
35 シール
35a 実質的に三角形の形状の突出する環状部分
37 内部連通ダクト
38 固定用ナット
41 電気化学セル
42 中間インターコネクタ
43 上側スタックエンドプレート
44 下側スタックエンドプレート
45 上側圧着プレート
46 下側圧着プレート
50 陰極
51 陽極
54 圧着穴
55 圧着ロッド
56、57、58 圧着手段
56 第1の圧着ナット
57 第2の圧着ナット
58 圧着ワッシャ
60 圧着システム
70 固定スルーホール
80 アセンブリ
90 係脱可能な封止されたコネクタ
91 中空ベース、ネジ山付きベース
92 中空ベース、平滑ベース
93 ネジ山付きナット
93a 第1のネジ山付き部分
93b 第2の滑らかな部分
100 アセンブリ