(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】設備管理システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20241210BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G07B15/00 N
G08G1/14 A
(21)【出願番号】P 2021006085
(22)【出願日】2021-01-18
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】菅原 佑允
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-116090(JP,A)
【文献】特開2020-201874(JP,A)
【文献】特開2019-071042(JP,A)
【文献】特開2003-242538(JP,A)
【文献】特開2020-187636(JP,A)
【文献】特開2007-079782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00-15/06
G08G 1/00-99/00
G07C 1/00- 9/38
G06Q 50/10
G07F 17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有IDと時刻情報とを含む使用状況データをコードに加工してディスプレイに表示する設備端末と、
利用者IDを有し、前記コードから前記使用状況データを取得する携帯端末と、
前記携帯端末から前記使用状況データの提供を受けて、前記利用者IDに関して使用状況の管理と決済とを行う管理サーバと
を備え
前記設備端末は、現在時刻を含む前記使用状況データを周期的に変化する前記コードに加工して前記ディスプレイに表示し、
前記携帯端末は、使用開始時刻に対応する前記使用状況データと、使用終了時刻に対応する前記使用状況データとを、前記管理サーバに送信し、
前記設備端末は、車両検知装置の出力に基いて決定された前記使用開始時刻及び前記使用終了時刻のログを記録する記憶装置を有する、設備管理システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、前記管理サーバに対して前記使用状況データと前記利用者IDとを送信し、
前記管理サーバは、前記携帯端末に対して前記使用状況データに対応する料金情報を送信し、
前記携帯端末は、前記料金情報に基いて決済処理を行う、請求項1に記載の設備管理システム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記設備端末を設置した設備のサービスの予約を受け付ける際に前記携帯端末の前記利用者IDを管理し、設備の利用に関して予約の有無によって料金に差を設ける、請求項1
及び2のいずれか一項に記載の設備管理システム。
【請求項4】
前記設備端末は、駐車場の車室に設置される車室端末機である、請求項1~
3のいずれか一項に記載の設備管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場等の施設の円滑な管理を可能にする設備管理システムに関し、特に2次元コードのようなコードを用いて施設の使用状況等の管理を行う管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車管理システムとして、各駐車区画に2次元コードが張り付けられており、ユーザーが携帯端末を操作して2次元コードを撮影し駐車区画の識別情報を読み取るものが存在する(特許文献1)。この駐車管理システムにおいて、駐車区画の識別情報は、携帯端末が検出した駐車の開始・終了情報とともにサーバ装置に送られ、駐車料金等の算出に利用される。
【0003】
特許文献1のシステムは、駐車の開始及び終了の判定が複雑で、携帯端末への依存度が高く、不正に対する信頼性が高くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、駐車の開始終了の判定が簡易ながら不正防止に対する信頼性が高い設備管理システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための設備管理システムは、固有IDと時刻情報とを含む使用状況データをコードに加工してディスプレイに表示する設備端末と、利用者IDを有し、コードから使用状況データを取得する携帯端末と、携帯端末から使用状況データの提供を受けて、利用者IDに関して使用状況の管理と決済とを行う管理サーバとを備える。ここで、コードは、コード化されたパターン情報であり、例えばQRコード(登録商標)に代表される2次元コードである。
【0007】
上記設備管理システムによれば、コードによって固有IDと時刻情報とを含む使用状況データを携帯端末から管理サーバに送信するので、駐車の開始や終了の判定に関して複雑な処理が不要となり、携帯端末や利用者への依存度を低くしながら決済等に関する信頼性を高めた設備管理システムを提供することができる。
【0008】
本発明の具体的な側面によれば、上記設備管理システムにおいて、設備端末は、現在時刻を含む使用状況データを周期的に変化するコードに加工してディスプレイに表示する。この場合、コードの生成処理が簡易になり、携帯端末によってコードを取り込んだタイミングを固有IDに関連付けて認証することができる。
【0009】
本発明の別の側面によれば、携帯端末は、使用開始時刻に対応する使用状況データと、使用終了時刻に対応する使用状況データとを、管理サーバに送信する。この場合、管理サーバは、使用開始時刻及び使用終了時刻を確認することができ、設備の利用時間を決定することができ、利用時間に対応する料金を計算することができる。なお、コードが現在時刻に関する情報を含む場合、この現在時刻に関する情報は、携帯端末がディスプレイを撮影するタイミングであり、使用開始時刻や使用終了時刻の判定に利用することができる。
【0010】
本発明のさらに別の側面によれば、携帯端末は、管理サーバに対して使用状況データと利用者IDとを送信し、管理サーバは、携帯端末に対して使用状況データに対応する料金情報を送信し、携帯端末は、料金情報に基いて決済処理を行う。この場合、携帯端末から管理サーバに送信された使用開始時刻及び使用終了時刻を基準として決済が行われる。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、設備端末は、使用開始時刻及び使用終了時刻のログを記録する記憶装置を有する。携帯端末がディスプレイを撮影するタイミングを使用開始時刻や使用終了時刻として用いる場合、撮影タイミングを故意にずらすことで不正が可能になるので、その対策として別の基準で使用開始時刻及び使用終了時刻を記録することで不正抑止の資料とすることができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、管理サーバは、設備端末を設置した設備のサービスの予約を受け付ける際に携帯端末の利用者IDを管理し、設備の利用に関して予約の有無によって料金に差を設ける。この場合、予約者を優遇することで設備管理システムを効率的に運用することができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、設備端末は、駐車場の車室に設置される車室端末機である。管理システムは、駐車場に適用され、車室の使用時間等の管理に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態の設備管理システムを説明する概念図である。
【
図2】駐車場装置を説明する概念的な平面図である。
【
図3】(A)は、個々の車室に設置される車室装置を説明する斜視図であり、(B)は、車室装置の構造を説明する概念図であり、(C)は、車室装置の動作を制御する情報処理装置を説明する概念的なブロック図である。
【
図5】(A)は、管理サーバを説明するブロック図であり、(B)は、利用者端末を説明するブロック図である。
【
図6】設備管理システムの動作の概要について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、本発明に係る一実施形態の設備管理システムについて説明する。
【0016】
図1に示す第1実施形態の設備管理システム100は、駐車場PAの利用について運用管理を行う駐車場管理システムである。設備管理システム100は、駐車場PAに設置される駐車場装置10と、駐車場PAから離れた場所に設置される管理サーバ80と、駐車場PAの利用者又は予約者が所持する携帯端末である利用者端末UT1,UT2,…とで構成される。管理サーバ80及び利用者端末UT1,UT2,…は、通信ネットワークNTを介して通信可能に接続されている。この通信ネットワークNTは、具体的にはインターネットである。管理サーバ80は、利用者端末UT1等を介して駐車場装置10を間接的に管理することができ、駐車場装置10自体は、通信ネットワークNTに接続する必要がない。説明の便宜上、
図1では単一の駐車場PAを示しているが、本実施形態の設備管理システム100は、図示の駐車場PAを含む複数の駐車場について並列的に運用管理を行うものである。
【0017】
利用者端末UT1は、駐車場PAを構成する各車室PSに設けられた車室管理端末22から直接的に使用状況データSIを取得する。使用状況データSIの取得は、電波を利用した通信ではなく、2次元コード化された画像の読み取りによって行われる。利用者端末UT1等によって取得された使用状況データSIは、管理サーバ80に転送され、駐車場PAの利用料金の精算等に利用される。
【0018】
図2を参照して、駐車場装置10について説明する。駐車場装置10は、駐車場PAを構成する車室PSごとに設けられる多数の車室装置20と、これら車室装置20の動作を統括する管理制御装置18とを有する。駐車場PAは、複数の駐車領域AR1~AR3を含み、各駐車領域AR1~AR3には、複数の車室PSが設けられている。駐車場装置10は、通路PW等に付随して案内装置12や監視カメラ14を有する。案内装置12は、管理制御装置18の制御下で動作し、通路PWを走行する車両MOに対して例えば空車階に誘導する方向指示のような案内を行う。監視カメラ14は、管理制御装置18の制御下で動作し、不正利用が想定される状況、具体的には特定の車室PSで出庫を検出したときにから一定期間内において、通路PWを通行する車両を撮影し記録することができる。
【0019】
図3(A)及び3(B)に示すように、車室PSに設けられた車室装置20は、車室管理端末22と車両検知装置24とを有する。車室管理端末22は、車室単位での管理を可能にする車室端末機であり、車室PSの奥に配置されている。車両検知装置24は、輪留めブロック11よりも車室PSの入口側に配置されている。
【0020】
車両検知装置24は、車室管理端末22の制御下で動作する。車両検知装置24は、詳細な説明を省略するが、ループコイル等を含むセンサ24a、検出回路24b等を有し、車室管理端末22から給電されて動作する。車両検知装置24は、これを設置した車室PSに車両が入庫された状態か否かを判定し、判定結果を車室管理端末22に送信する。なお、車両検知装置24は、電界を検出するものに限らず、赤外線、超音波等を用いて車両の有無を検出するものに置き換えることができる。
【0021】
車室管理端末(車室端末機)22は、車室PSごとに設置される設備端末であり、車両の入庫或いは車両の出庫といった車室PSの状態変化を監視するだけでなく、利用者に対するインターフェースとして機能する。車室管理端末22は、カメラ31、第1ディスプレイ32、第2ディスプレイ33、及び情報処理装置34を含む。カメラ31は、情報処理装置34の制御下で動作し、車室PSを撮影する。第1ディスプレイ32は、情報処理装置34の制御下で動作し、使用状況に関する2次元コードTCを表示し、第2ディスプレイ33は、情報処理装置34の制御下で動作し、文字や図形からなる情報を表示する。
【0022】
情報処理装置34は、第1ディスプレイ32を動作させて、車室PSに固有の情報を含む使用状況データSI(
図1参照)をコード化した2次元コードTCの表示を行わせる。また、情報処理装置34は、第2ディスプレイ33を動作させて、駐車場の利用者に対して駐車場利用に際しての注意事項といった案内情報の表示を行わせる。情報処理装置34は、例えばカメラ31によって撮影した車両のナンバープレートの画像から、画像処理回路によって車室PSに入庫した車両の車両登録番号を決定することもできる。
【0023】
情報処理装置34は、車室PSへの入庫を検出した場合に、第1ディスプレイ32の表示面32aに2次元コードTCの表示を開始させる。2次元コードTCは、車室PSに関する使用状況データを加工することによって生成されたものであり、元の使用状況データは、固有IDと時刻情報とを含む。ここで、固有IDは、車室管理端末(設備端末)22が設置された車室PSの管理番号を含み、駐車場PAを特定する情報を含む。時刻情報は、その車室PSにおいて車両検知装置24が車両の入庫を検出した使用開始時刻(入庫時刻)と、2次元コードTCを生成する際の現在時刻とを含むものである。ここで、2次元コードTCは、例えば5分、10分といった時間間隔で周期的に生成されており、2次元コードTCの元になる使用状況データは、固有IDや使用開始時刻(入庫時刻)に関する情報部分に変更はないが、現在時刻に関する情報部分が刻々と変化し、2次元コードTCの表示が定期的に更新されることになる。2次元コードTCの生成に際しては、使用状況データをハッシュ化し暗号化した署名部分を添付することもできる。これにより、利用者端末UT1又は管理サーバ80側で2次元コードTCから読み取ったデータの真正を確認することができ、2次元コードTCの改ざんを防止することができる。なお、2次元コードTC化する使用状況データ自体を暗号化し、管理サーバ80において復号化するようにしてもよい。この場合、利用者端末UTにおいて2次元コードTCの内容をチェックしない。
【0024】
なお、情報処理装置34は、車両検知装置24の出力に基いて車室PSからの出庫を検出した場合、その後に所定時間(例えば5分)が経過したときは、第1ディスプレイ32aによる2次元コードTCの表示を停止する。上記所定時間は、利用者が出庫後に利用者端末UTを用いて2次元コードTCを撮影するための時間として十分な猶予時間を確保したものとなっている。情報処理装置34は、車室PSからの出庫を検出した場合であって上記所定時間が経過する前に車室PSへの入庫を検出した場合、新たな入庫と判断して、第1ディスプレイ32aにおいて新たな2次元コードTCの表示を開始する。情報処理装置34は、車室PSからの出庫を検出した場合、2次元コードTCの表示を現在時刻に応じて変化させることができるが、2次元コードTCの表示を使用終了時刻(出庫時刻)に対応するものに固定することができる。
【0025】
図3(C)は、情報処理装置34を説明する概念的なブロック図である。情報処理装置34は、主制御回路34aと、記憶回路34bと、通信回路34cとを有する。主制御回路34aは、記憶回路34bに格納されたプログラムに基いて動作する。このプログラムには、通信回路34cを介してカメラ31、ディスプレイ32,33等を動作させる機能、最新の使用状況データを確認しつつ最新の使用状況データから2次元コードTCを生成する機能、車両検知装置24の検出結果を監視する機能が含まれるとともに、通信回路34cを介して複数の車室装置20を束ねる管理制御装置18と通信して指令を受け付け、情報を送信する機能を有する。
【0026】
記憶回路34bは、主制御回路34aの制御下で車室PSの使用開始時刻及び使用終了時刻のログを記録する記憶装置である。ここで、使用開始時刻及び使用終了時刻は、車両検知装置24の出力に基いて決定される入庫時刻及び出庫時刻である。使用開始時刻及び使用終了時刻のログは、上位の管理制御装置18に送信され一括して管理される。利用者が利用者端末UTによって第1ディスプレイ32を撮影するタイミングを使用終了時刻として用いる場合、撮影タイミングを故意にずらすことで不正が可能になるので、その対策として別の基準で取得した入庫時刻及び出庫時刻を使用開始時刻及び使用終了時刻として記録することで不正抑止の資料とすることができる。
【0027】
図4を参照して、は、主制御装置18aと、記憶装置18bと、通信装置18cとを有する。主制御装置18aは、車室装置20と交信し、各車室装置20が適切に動作するように統括的な制御を行うとともに、案内装置12や監視カメラ14を適宜動作させる。記憶装置18bのソフトウェア格納部18zには、管理制御装置18を動作させるプログラムが格納されている。主制御装置18aは、いずれかの車室PSに設置された車室装置20において出庫を検出した場合、該当する車室PSの周辺の監視カメラ14を一定期間動作させて撮影画像を記憶装置18bに保管する。撮影画像は、対応する車室PSの使用開始時刻及び使用終了時刻のログと紐づけられて保管される。
【0028】
図5(A)は、管理サーバ80を説明する概念図である。管理サーバ80は、システム管理者の管理下で動作するコンピュータであり、利用者端末UTから使用状況データの提供を受けて利用者IDに関して使用状況の管理と決済とを行う。管理サーバ80は、具体的には、車室の固有ID及び利用者IDを特定して、駐車場の利用時間管理、料金精算、予約受付等を行う。管理サーバ80は、主制御装置81と、記憶装置82と、通信装置84とを有する。管理サーバ80は、通信装置84により、
図1に示す通信ネットワークNTを経由して利用者端末UTと通信する。記憶装置82には、管理サーバ80を動作させるプログラムが格納され、設備管理システム100の運用を可能にする。
【0029】
利用者が駐車場の利用を終了する際に、管理サーバ80は、利用者が所持する利用者端末UTから精算処理の要求を受け付けオンラインで電子決済を行う。管理サーバ80は、利用者端末UTから精算処理の要求を受ける際に、2次元コードTCを復号化した一組の使用状況データを受け取るとともに、会員情報として利用者IDを受け取る。管理サーバ80は、一組の使用状況データに含まれる使用開始時刻及び使用終了時刻つまり入庫時刻及び現在時刻に関するデータから利用料金を計算し、利用者端末UTに対して利用料金を含む料金情報を送信する。管理サーバ80は、利用者端末UTから料金情報に対する応答として決済関連情報を受け取り、電子マネー等を扱う金融事業者のシステムに決済を依頼する。記憶装置82には、以上のような動作を可能にするため、駐車場管理データべース82aが格納され、駐車場管理データべース82aには、駐車場情報領域82d、利用者情報領域82f、決済情報領域82g等が設けられている。駐車場管理データべース82aには、これまでに受け付けた使用状況データが固有IDごとに蓄積されている。利用者情報領域82fには、利用者に関する情報として、利用者IDとこれに紐づけられた端末情報とが記録されている。管理サーバ80は、利用者情報領域82fを参照して管理サーバ80に接続した利用者端末UTが利用者IDを有する適正な会員のものであるか否かを判断することができる。決済情報領域82gには、各車室の固有IDに紐づけて、利用者を特定する利用者ID、利用時間、料金情報、精算結果等を決済情報として管理する。その他、記憶装置82には、利用者端末UTの要求に応じてオンラインで電子決済を行うためのアプリケーションソフトやデータが格納されている。
【0030】
管理サーバ80は、利用者が所持する利用者端末UTから駐車場利用に関する予約登録の要求を受け付けることができる。管理サーバ80は、予約登録を受け付ける際に、利用者端末UTに紐づけられた利用者IDを管理し、利用者IDや予約期間を駐車場情報領域82dに記録する。予約に対応する駐車場利用後にオンラインで電子決済を行う際には、予約の有無によって利用料金に差を設けることや、オンライン決済の受付を拒否することができる。
【0031】
管理サーバ80は、駐車場装置10が通信ネットワークNTに接続されている場合、駐車場利用に関する予約を駐車場装置10に対してオンラインで通知することができる。管理サーバ80は、駐車場装置10から駐車場の使用開始時刻及び使用終了時刻のログを撮影画像とともに受け取ることができる。一方、管理サーバ80又はこれと連携する機構又は組織は、駐車場装置10が通信ネットワークNTに接続されていない場合、駐車場利用に関する予約を電子メール、電話連絡、郵便物といった間接的な手段で駐車場装置10又はその管理者に通知することができる。管理サーバ80は、駐車場装置10から駐車場の使用開始時刻及び使用終了時刻のログ等を間接的な手段で受け取ることができる。
【0032】
図5(B)は、利用者端末UTを説明する概念図である。利用者端末UTは、
図1に示す設備管理システム100の利用者が所持する携帯端末である。利用者端末UTには、管理サーバ80に対する事前登録によって利用者IDが設定されている。利用者端末UTは、主制御装置71と、記憶装置72と、インターフェース装置73と、通信装置74とを有する。利用者端末UTは、通信装置74により、
図1に示す通信ネットワークNTを経由して管理サーバ80と通信する。利用者端末UTに組み込まれた記憶装置72のソフトウェア格納部72aにおいて、利用者端末UTを動作させる基本的なプログラム上で動作するアプリケーションソフトとして、駐車場利用・アプリケーション等を含む複数のソフトウェアが格納されている。駐車場利用・アプリケーションは、記憶装置72に保管された利用者IDを用いて管理サーバ80に接続し、駐車場の予約や精算を含む利用処理を可能にする。駐車場利用・アプリケーションは、2次元コードTCを読み取って使用状況データを再生するリーダ機能を有し、車室を特定する固有ID、入庫時刻、現在時刻等を含む一組の使用状況データを管理サーバ80に送信する。ここで、現在時刻は、利用者端末UTを用いて2次元コードTCを取り込んだタイミングであり、自己申告の出庫時刻又は使用終了時刻ということができる。使用状況データを送信した利用者端末UTは、管理サーバ80から料金情報の提示を受け、管理サーバ80に対して料金の支払いを承認する決済処理を行う。なお、駐車場利用・アプリケーションは、すべてが記憶装置72に保持されている必要はなく、ウェブ・アプリケーションやクラウド・アプリケーションであってもよい。また、駐車場利用・アプリケーションによる料金の支払いには、スマホ決済と呼ばれるスマートフォンを利用した公知の様々な決済システムを用いることができ、駐車場利用・アプリケーションと連携する決済用アプリケーションによって管理されている事前チャージ分から支払いを行うことや、決済用アプリケーションに予めカード情報を入力したクレジットカードやデビットカードによって口座支払い行うことができる。
【0033】
図6を参照して、管理サーバ80、利用者端末UT等で行われる駐車場の利用及び管理に関する一連の動作について説明する。
【0034】
まず、利用の予約の場面SC1では、利用者の操作に応じて、利用者端末UTが、管理サーバ80に対して駐車場利用に関する予約登録の要求を送信し(ステップS11)、管理サーバ80は、予約登録を受け付けて記憶装置82に記録し、利用者端末UTに対して登録完了の通知を送信する(ステップS12)。登録完了の通知には、駐車場を特定する情報や駐車場の利用期間に関する情報が含まれる。
【0035】
利用開始の場面SC2では、駐車場PAの車室装置20において、車両検知装置24を利用して入庫検出が行われる(ステップS21)。車室装置20は、入庫を検出した場合、第1ディスプレイ32において2次元コードTCの表示を開始する(ステップS22)。2次元コードTCは、既述のように一組の使用状況データから生成され、一組の使用状況データは、車室の固有IDと、使用開始時刻としての入庫時刻と、2次元コードTCを生成した際の現在時刻とを含む。2次元コードTCの表示は、周期的に更新され、表示が行われている現在時刻を略反映したものとなる。なお、駐車場の利用者は、車室に入庫するだけであり、利用開始時に利用者端末UT等の機器を操作する必要はない。
【0036】
利用終了の場面SC3では、車室に戻って来た利用者が、利用者端末UTを操作して駐車場利用・アプリケーションを起動し、出庫の意思表示をし、第1ディスプレイ32に表示された2次元コードTCを読み取る(ステップS31)。利用者端末UTは、2次元コードTCから一組の使用状況データを再生し、利用者IDを用いて管理サーバ80に接続し、管理サーバ80に対して一組の使用状況データに含まれる固有ID、入庫時刻、現在時刻(出庫時刻又は使用終了時刻に相当)等を送信する(ステップS32)。この際、管理サーバ80は、使用状況データに含まれる出庫時刻と管理サーバ80が管理する現在時刻との時間差が大きくないことを確認し、時間差が大きい場合、利用者端末UTに警告を通知することができる。管理サーバ80は、受信した一組の使用状況データから利用料金を計算して利用料金を含む料金情報を通知し(ステップS33)、利用者端末UTは、管理サーバ80に対して料金の支払いを承認する決済処理を行う(ステップS34)。管理サーバ80は、利用者端末UTの承認を受けて金融事業者のシステムに決済を依頼し、利用料金を受け取る(ステップS35)。なお、駐車場の利用について予約があった場合、管理サーバ80は、割り引いた利用料金を利用者端末UTに提示し支払いを受ける。或いは、駐車場の利用について予約がなかった場合、例えば会員としての利用者IDを有しないで決済しようとした場合、管理サーバ80は、通常よりも高額の利用料金を請求することができる。つまり、設備管理システム100は、予約専用に限るものではない。なお、駐車場PAにおいて、予約専用の車室PSからなるエリアを設けることもできる。
【0037】
利用者は、2次元コードTCの読取りの前後において、駐車中の車室から車両を出庫させる。車室装置20は、車両検知装置24を動作させており、車両検知装置24の出力に基いて出庫が検出される(ステップS36)。車室装置20は、出庫検出があった場合、所定時間待って、第1ディスプレイ32による2次元コードTCの表示を停止させる(ステップS37)。
【0038】
以上で説明した第1実施形態の設備管理システム100は、固有IDと時刻情報とを含む使用状況データSIを2次元コードTCに加工して第1ディスプレイ32に表示する車室管理端末(設備端末)22と、利用者IDを有し、2次元コードTCから使用状況データを取得する利用者端末(携帯端末)UTと、利用者端末UTから使用状況データの提供を受けて、利用者IDに関して使用状況の管理と決済とを行う管理サーバ80とを備える。本設備管理システム100によれば、2次元コードTCによって固有IDと時刻情報とを含む使用状況データを利用者端末(携帯端末)UTから管理サーバ80に送信するので、駐車の開始や終了の判定に関して複雑な処理が不要となり、利用者端末UT又は利用者への依存度を低くしながら決済等に関する信頼性を高めた設備管理システム100を提供することができる。
【0039】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0040】
以上では、設備管理システム100が駐車場管理システムである場合について説明したが、設備管理システム100の管理対象は、駐車場に限らず、駐輪場の利用や、娯楽施設等の各種施設の入退室に関するものとすることができる。
【0041】
2次元コードは、バーコードのような1次元コードに置き換えることができるが、これらに限らず、様々な図形化されたコードに置き換えることができる。
【0042】
以上では、利用終了に際して第1ディスプレイ32に表示された2次元コードTCを利用者端末UTによって読み取るとしたが、利用開始に際して第1ディスプレイ32に表示された2次元コードTCを利用者端末UTによって読み取る工程を増やすこともできる。この場合、2次元コードTCは、使用開始時刻又は入庫時刻に関する情報を含まないものとすることができる。
【0043】
車室に設置される車室管理端末(車室端末機)22については、カメラ31や第2ディスプレイ33を必須のものとして組み込む必要はなく、省略することができる。
【0044】
以上では、管理サーバ80が決済の仲介を行うとしたが、利用者端末UTによって決済を完了し、管理サーバ80に対して決済を完了したことを通知するシステムとすることができる。このように、管理サーバ80が利用者端末UTによる決済処理を確認することも、管理サーバ80における決済処理に含まれるものとする。
【0045】
図6の説明では、利用開始の前に予約を行う前提で説明を行っているが、利用開始後であって利用終了前の段階で、利用者端末UTから管理サーバ80に対して利用者登録や予約登録を行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
10…駐車場装置、14…監視カメラ、18…管理制御装置、20…車室装置、22…車室管理端末、24…車両検知装置、31…カメラ、32…第1ディスプレイ、33…第2ディスプレイ、34…情報処理装置、34a…主制御回路、34b…記憶回路、34c…通信回路、71…主制御装置、72…記憶装置、73…インターフェース装置、74…通信装置、80…管理サーバ、81…主制御装置、82…記憶装置、82a…駐車場管理データべース、82d…駐車場情報領域、82f…利用者情報領域、82g…決済情報領域、84…通信装置、100…設備管理システム、MO…車両、NT…通信ネットワーク、PA…駐車場、PS…車室、SI…使用状況データ、SP…車室、TC…2次元コード、UT1,UT2,UT…利用者端末