(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】能動騒音制御装置及び車両
(51)【国際特許分類】
G10K 11/178 20060101AFI20241210BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G10K11/178 130
B60R11/02 M
B60R11/02 S
(21)【出願番号】P 2021007158
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】坂本 浩介
【審査官】齊田 寛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-280831(JP,A)
【文献】特開2013-148891(JP,A)
【文献】特開平06-004085(JP,A)
【文献】特開2019-015953(JP,A)
【文献】特開2007-003994(JP,A)
【文献】特開平09-021365(JP,A)
【文献】特開平07-098592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/178
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室内の騒音を低減させるために、制御信号に基づいた相殺音をアクチュエータから出力させる能動騒音制御装置であって、
前記騒音に応じた参照信号に対してフィルタリング処理を行うことにより前記制御信号を生成する第1適応フィルタと、
前記騒音と前記相殺音との干渉による残留騒音を、前記車両の前後方向に沿った前記車両の中心線を中心として前記車室内の一方の側に配された第1マイクロフォンによって検出することにより得られる第1誤差信号と、前記残留騒音を、前記車両の前記中心線を中心として前記車室内の他方の側に配された第2マイクロフォンによって検出することにより得られる第2誤差信号とを加算することによって得られる加算誤差信号と、前記参照信号とに基づいて、前記第1適応フィルタにおけるフィルタ係数を更新する第1フィルタ係数更新部と、
前記アクチュエータから前記第1マイクロフォンまでの音響特性と前記アクチュエータから前記第2マイクロフォンまでの音響特性とに応じたフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことによって前記参照信号を補正する第1音響特性フィルタと、
を備え、
前記第1フィルタ係数更新部は、前記加算誤差信号と、前記第1音響特性フィルタによって補正された前記参照信号とに基づいて、前記第1適応フィルタにおける前記フィルタ係数を更新し、
前記第1誤差信号と前記第2誤差信号とのうちのいずれかに異常が生じているか否かを判定する判定部を更に備え、
前記第1誤差信号と前記第2誤差信号とのうちの一方に異常が生じていることが前記判定部によって判定された場合、前記第1誤差信号と前記第2誤差信号とのうちの他方と、前記第1音響特性フィルタによって補正された前記参照信号とに基づいて、前記第1適応フィルタにおける前記フィルタ係数を前記第1フィルタ係数更新部によって更新させる制御部を更に備える、能動騒音制御装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の能動騒音制御装置において、
前記アクチュエータは、車幅方向の中央に備えられている、能動騒音制御装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の能動騒音制御装置において、
前記第1適応フィルタによって行われる前記フィルタリング処理とは異なるフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことにより、前記車両の前記中心線を中心として前記車室内の前記一方の側に配された一方側アクチュエータに供給される制御信号を生成する第2適応フィルタと、
前記一方側アクチュエータから前記第1マイクロフォンまでの音響特性に応じたフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことによって前記参照信号を補正する第2音響特性フィルタと、
前記第1誤差信号と、前記第2音響特性フィルタによって補正された前記参照信号とに基づいて、前記第2適応フィルタにおけるフィルタ係数を更新する第2フィルタ係数更新部と、
前記一方側アクチュエータから前記第2マイクロフォンまでの音響特性に応じたフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことによって前記参照信号を補正する第3音響特性フィルタと、
前記第2誤差信号と、前記第3音響特性フィルタによって補正された前記参照信号とに基づいて、前記第2適応フィルタにおける前記フィルタ係数を更新する第3フィルタ係数更新部と、
前記第1適応フィルタによって行われる前記フィルタリング処理と前記第2適応フィルタによって行われる前記フィルタリング処理のいずれとも異なるフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことにより、前記車両の前記中心線を中心として前記車室内の前記他方の側に配された他方側アクチュエータに供給される制御信号を生成する第3適応フィルタと、
前記他方側アクチュエータから前記第1マイクロフォンまでの音響特性に応じたフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことによって前記参照信号を補正する第4音響特性フィルタと、
前記第1誤差信号と、前記第4音響特性フィルタによって補正された前記参照信号とに基づいて、前記第3適応フィルタにおけるフィルタ係数を更新する第4フィルタ係数更新部と、
前記他方側アクチュエータから前記第2マイクロフォンまでの音響特性に応じたフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことによって前記参照信号を補正する第5音響特性フィルタと、
前記第2誤差信号と、前記第5音響特性フィルタにより補正された前記参照信号とに基づいて、前記第3適応フィルタにおける前記フィルタ係数を更新する第5フィルタ係数更新部と、を更に備える、能動騒音制御装置。
【請求項4】
請求項
1に記載の能動騒音制御装置において、
前記アクチュエータは、前記車両の前記中心線を中心として前記車室内の前記一方の側に配された一方側アクチュエータと、前記車両の前記中心線を中心として前記車室内の前記他方の側に配された他方側アクチュエータとを含み、
前記一方側アクチュエータと前記他方側アクチュエータとに、同じ前記制御信号が供給される、能動騒音制御装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の能動騒音制御装置を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、能動騒音制御装置及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の振動センサによって検出された振動に基づいて相殺信号の生成を行う制御ブロックと、相殺信号に基づいて相殺振動を発する複数のスピーカと、相殺振動と振動源からの振動との相殺誤差を検出する複数のマイクロフォンとが備えられた車室内騒音低減装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の振動センサからの入力と、複数のスピーカによる出力と、複数のマイクロフォンからの入力とを扱う能動騒音制御装置は、複雑な制御を要するため、設計コストの増加を招く。また、かかる能動騒音制御装置は、演算量が大きいため、高価なプロセッサを要し、部品コストの増加を招く。
【0005】
本発明の目的は、騒音を良好に低減し得るとともに低コスト化を実現し得る能動騒音制御装置及び車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による能動騒音制御装置は、車両の車室内の騒音を低減させるために、制御信号に基づいた相殺音をアクチュエータから出力させる能動騒音制御装置であって、前記騒音に応じた参照信号に対してフィルタリング処理を行うことにより前記制御信号を生成する第1適応フィルタと、前記騒音と前記相殺音との干渉による残留騒音を、前記車両の前後方向に沿った前記車両の中心線を中心として前記車室内の一方の側に配された第1マイクロフォンによって検出することにより得られる第1誤差信号と、前記残留騒音を、前記車両の前記中心線を中心として前記車室内の他方の側に配された第2マイクロフォンによって検出することにより得られる第2誤差信号とを加算することによって得られる加算誤差信号と、前記参照信号とに基づいて、前記第1適応フィルタにおけるフィルタ係数を更新する第1フィルタ係数更新部と、を備える。
【0007】
本発明の他の態様による車両は、上記のような能動騒音制御装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、騒音を良好に低減し得るとともに低コスト化を実現し得る能動騒音制御装置及び車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】騒音の周波数と騒音の大きさとの関係を示すグラフである。
【
図4】一実施形態による能動騒音制御装置が備えられた車両の一部を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態による能動騒音制御装置が備えられた車両の例を示す平面図である。
【
図7】一本実施形態による能動騒音制御装置の動作の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による能動騒音制御装置及び車両について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。
【0011】
[一実施形態]
一実施形態による能動騒音制御装置及び車両について
図1~
図6を用いて説明する。
図1は、能動騒音制御の概要を示す図である。
【0012】
能動騒音制御装置10は、車両12の車室14内の騒音、即ち、振動騒音を低減させるための相殺音をアクチュエータ16から出力させるものである。
【0013】
車室14内の騒音には、例えば、ロードノイズ等が含まれ得る。ロードノイズは、路面から受ける力によって車輪が振動し、車輪の振動がサスペンションを介して車体に伝わることで、車室14内の乗員に伝わる騒音である。
【0014】
車両12には、車両12の振動を検出する振動センサ18、より具体的に、加速度センサが備えられている。振動センサ18によって検出される信号r、即ち、振動を示す信号は、能動騒音制御装置10に供給される。
【0015】
車室14内には、マイクロフォン20が更に備えられている。マイクロフォン20は、アクチュエータ16から出力される相殺音と騒音との干渉による残留騒音(相殺誤差騒音)を検出する。マイクロフォン20によって検出される残留騒音、即ち、誤差信号eは、能動騒音制御装置10に供給される。
【0016】
能動騒音制御装置10は、振動センサ18によって検出される信号rと、マイクロフォン20によって検出される誤差信号eとに基づいて、アクチュエータ16から相殺音を出力させるための制御信号uを生成する。より具体的には、能動騒音制御装置10は、マイクロフォン20によって検出される誤差信号eが最小となるような制御信号uを生成する。マイクロフォン20によって検出される誤差信号eが最小となるような制御信号uに基づいてアクチュエータ16が相殺音を出力するため、車室14内の騒音が当該相殺音によって良好に相殺され得る。こうして、能動騒音制御装置10は、車室14内の乗員に伝わる騒音を低減することができる。
【0017】
ところで、騒音の周波数に応じて、車室14内における騒音の分布が異なる。
図2は、騒音の周波数と騒音の大きさとの関係を示すグラフである。
図3は、騒音の測定箇所を示す平面図である。Point A、即ち、測定ポイントAは、車両12の前後方向に沿った車両12の中心線CLを中心として車室14内の右側に位置している。Point B、即ち、測定ポイントBは、車両12の前後方向に沿った車両12の中心線CL上に位置している。Point C、即ち、測定ポイントCは、車両12の前後方向に沿った車両12の中心線CLを中心として車室14内の左側に位置している。
図2における実線は、測定ポイントBにおける騒音特性を示しており、
図2における点線は、測定ポイントAにおける騒音特性を示しており、
図2における一点鎖線は、測定ポイントCにおける騒音特性を示している。
【0018】
図2から分かるように、80Hz付近及び160Hz付近においては、測定ポイントA、Cと測定ポイントBとで騒音の大きさが著しく相違している。騒音の大きさにこのような著しい相違が生じるのは、これらの周波数の共鳴が車室14内において生じるためである。大きさの分布が車室14内において異なる騒音を的確に相殺すべく、車室14内の左側、右側及び中央における騒音を検出することが考えられる。しかしながら、車室14内の左側、右側及び中央のいずれにもマイクロフォン20を備えた場合には、複雑な制御を要するため、設計コストの増加を招く。また、車室14内の左側、右側及び中央のいずれにもマイクロフォン20を備えた場合には、演算量が大きくなるため、高価なプロセッサを要し、部品コストの増加を招く。本願発明者は、鋭意検討した結果、以下のような能動騒音制御装置10を想到した。
【0019】
図4は、本実施形態による能動騒音制御装置が備えられた車両の一部を示すブロック図である。
図5は、本実施形態による能動騒音制御装置が備えられた車両の例を示す平面図である。
【0020】
図4に示すように、能動騒音制御装置10には、判定部26と、制御部28と、記憶部30と、フィルタ部34A~34Cと、演算部44とが備えられている。フィルタ部一般について説明する際には、符号34を用い、個々のフィルタ部について説明する際には、符号34A~34Cを用いる。
【0021】
能動騒音制御装置10には、不図示の演算装置(演算処理装置)が備えられている。かかる演算装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサによって構成され得るが、これに限定されるものではない。ダイレクト・デジタル・シンセサイザ(DDS、Direct Digital Synthesizer)、デジタル制御発振器(DCO:Digitally Controlled Oscillator)等が演算装置に含まれ得る。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が演算装置に含まれ得る。
【0022】
能動騒音制御装置10には、上述したように記憶部30が備えられている。記憶部30には、不図示の揮発性メモリと、不図示の不揮発性メモリとによって構成され得る。揮発性メモリとしては、例えばRAM等が挙げられ得る。不揮発性メモリとしては、例えばROM、フラッシュメモリ等が挙げられ得る。データ等が、例えば揮発性メモリに記憶され得る。プログラム、テーブル、マップ等が、例えば不揮発性メモリに記憶され得る。
【0023】
判定部26と、制御部28と、フィルタ部34と、演算部44とは、記憶部30に記憶されているプログラムが演算装置によって実行されることによって実現され得る。
【0024】
図5に示すように、車両12には、振動センサ18が備えられ得る。振動センサ18としては、例えば、加速度センサが用いられ得るが、これに限定されるものではない。加速度センサとしては、例えば3軸加速度センサが用いられ得るが、これに限定されるものではない。
図5においては、1つの振動センサ18が図示されているが、振動センサ18の数は1つに限定されるものではない。振動センサ18によって検出される振動は、参照信号rとして能動騒音制御装置10に供給される。
【0025】
図5に示すように、車室14内には、騒音と相殺音との干渉による残留騒音、即ち、誤差信号eを検出するマイクロフォン20L、20Rが備えられている。マイクロフォン一般について説明する際には符号20を用い、個々のマイクロフォンについて説明する際には符号20L、20Rを用いる。マイクロフォン20Lは、車両12の前後方向に沿った車両12の中心線CL(
図3参照)を中心として車室14内の一方の側、即ち、左側に備えられている。マイクロフォン20Rは、車両12の前後方向に沿った車両12の中心線CLを中心として車室14内の他方の側、即ち、右側に備えられている。
【0026】
図5に示すように、車室14には、制御信号uに基づいた相殺音を出力するアクチュエータ16L、16R、16Cが備えられている。アクチュエータ一般について説明する際には、符号16を用い、個々のアクチュエータについて説明する際には、符号16L、16R、16Cを用いる。アクチュエータ16としては、例えばスピーカが挙げられ得る。アクチュエータ16L、即ち、一方側アクチュエータは、車両12の前後方向に沿った車両12の中心線CLを中心として車室14内の一方の側、即ち、左側に備えられている。アクチュエータ16R、即ち、他方側アクチュエータは、車両12の前後方向に沿った車両12の中心線CLを中心として車室14内の他方の側、即ち、右側に備えられている。アクチュエータ16C、即ち、中央アクチュエータは、車両12の前後方向に沿った車両12の中心線CL上、即ち、車幅方向の中央に備えられている。アクチュエータ16Cとマイクロフォン20Lとの間の距離と、アクチュエータ16Cとマイクロフォン20Rとの間の距離とは、互いに等しい。
【0027】
図4に示すように、フィルタ部34Aには、適応フィルタ36Aと、音響特性フィルタ38A1、38A2と、フィルタ係数更新部40A1、40A2とが備えられている。フィルタ部34Bには、適応フィルタ36Bと、音響特性フィルタ38B1、38B2と、フィルタ係数更新部40B1、40B2とが備えられている。フィルタ部34Cには、適応フィルタ36Cと、音響特性フィルタ38Cと、フィルタ係数更新部40Cとが備えられている。適応フィルタ一般について説明する際には、符号36を用い、個々の適応フィルタについて説明する際には、符号36A、36B、36Cを用いる。音響特性フィルタ一般について説明する際には、符号38を用い、個々の音響特性フィルタについて説明する際には、符号38A1、38A2、38B1、38B2、38Cを用いる。フィルタ係数更新部一般について説明する際には、符号40を用い、個々のフィルタ係数更新部について説明する際には、符号40A1、40A2、40B1、40B2、40Cを用いる。
【0028】
適応フィルタ(第2適応フィルタ)36Aは、参照信号rに対してフィルタリング処理を行うことによって制御信号uLを生成する。適応フィルタ(第3適応フィルタ)36Bは、参照信号rに対してフィルタリング処理を行うことによって制御信号uRを生成する。適応フィルタ(第1適応フィルタ)36Cは、参照信号rに対してフィルタリング処理を行うことによって制御信号uCを生成する。制御信号一般について説明する際には、符号uを用い、個々の制御信号について説明する際には、符号uL、uR、uCを用いる。適応フィルタ36としては、例えばFIR(Finite Impulse Response)フィルタ等が用いられ得るが、これに限定されるものではない。FIRフィルタは、参照信号rに対して畳み込み演算を行うことによって制御信号uを生成し得る。
【0029】
適応フィルタ36Aにおけるフィルタ係数W0は、後述するようにフィルタ係数更新部40A1、40A2によって更新される。適応フィルタ36Bにおけるフィルタ係数W1は、後述するようにフィルタ係数更新部40B1、40B2によって更新される。適応フィルタ36Cにおけるフィルタ係数W2は、後述するようにフィルタ係数更新部40Cによって更新される。適応フィルタ36Aにおけるフィルタ係数W0と、適応フィルタ36Bにおけるフィルタ係数W1と、適応フィルタ36Cにおけるフィルタ係数W2とは、互いに異なることとなる。このため、適応フィルタ36Aによって行われるフィルタリング処理と、適応フィルタ36Bによって行われるフィルタリング処理と、適応フィルタ36Cによって行われるフィルタリング処理とは互いに異なることとなる。
【0030】
音響特性フィルタ38A1は、アクチュエータ16Lからマイクロフォン20Lまでの音響特性(伝達特性)に応じたフィルタリング処理を参照信号rに対して行うことによって参照信号rを補正する。アクチュエータ16Lからマイクロフォン20Lまでの音響特性、即ち、伝達特性C^00は、予め取得されている。音響特性フィルタ38A2は、アクチュエータ16Lからマイクロフォン20Rまでの音響特性に応じたフィルタリング処理を参照信号rに対して行うことによって参照信号rを補正する。アクチュエータ16Lからマイクロフォン20Rまでの音響特性、即ち、伝達特性C^01は、予め取得されている。
【0031】
音響特性フィルタ38B1は、アクチュエータ16Rからマイクロフォン20Lまでの音響特性に応じたフィルタリング処理を参照信号rに対して行うことによって参照信号rを補正する。アクチュエータ16Rからマイクロフォン20Lまでの音響特性、即ち、伝達特性C^10は、予め取得されている。音響特性フィルタ38B2は、アクチュエータ16Rからマイクロフォン20Rまでの音響特性に応じたフィルタリング処理を参照信号rに対して行うことによって参照信号rを補正する。アクチュエータ16Rからマイクロフォン20Rまでの音響特性、即ち、伝達特性C^11は、予め取得されている。
【0032】
音響特性フィルタ38Cは、アクチュエータ16Cからマイクロフォン20Lまでの音響特性と、アクチュエータ16Cからマイクロフォン20Rまでの音響特性とに応じたフィルタリング処理を参照信号rに対して行うことによって参照信号rを補正する。即ち、音響特性フィルタ38Cは、アクチュエータ16Cから一対のマイクロフォン20L、20Rまでの音響特性に応じたフィルタリング処理を参照信号rに対して行うことによって参照信号rを補正する。アクチュエータ16Cからマイクロフォン20Lまでの音響特性、即ち、伝達特性C^20は、予め取得されている。アクチュエータ16Cからマイクロフォン20Rまでの音響特性、即ち、伝達特性C^21は、予め取得されている。アクチュエータ16Cから一対のマイクロフォン20L、20Rまでの音響特性、即ち、伝達特性C^22は、以下のような式(1)によって表され得る。
【0033】
C^22=C^20+C^21 ・・・(1)
【0034】
即ち、アクチュエータ16Cからマイクロフォン20Lまでの音響特性と、アクチュエータ16Cからマイクロフォン20Rまでの音響特性とを加算することにより得られる加算音響特性に基づいて、アクチュエータ16Cから一対のマイクロフォン20L、20Rまでの音響特性が得られる。
【0035】
フィルタ係数更新部40A1は、残留騒音をマイクロフォン20Lによって検出することによって得られる誤差信号eLと、音響特性フィルタ38A1によって補正された参照信号rとに基づいて、適応フィルタ36Aにおけるフィルタ係数W0を更新する。より具体的には、フィルタ係数更新部40A1は、残留騒音をマイクロフォン20Lによって検出することによって得られる誤差信号eLが最小となるように、適応フィルタ36Aにおけるフィルタ係数W0を更新する。
【0036】
フィルタ係数更新部40A2は、残留騒音をマイクロフォン20Rによって検出することによって得られる誤差信号eRと、音響特性フィルタ38A2によって補正された参照信号rとに基づいて、適応フィルタ36Aにおけるフィルタ係数W0を更新する。より具体的には、フィルタ係数更新部40A2は、残留騒音をマイクロフォン20Rによって検出することによって得られる誤差信号eRが最小となるように、適応フィルタ36Aにおけるフィルタ係数W0を更新する。
【0037】
誤差信号一般について説明する際には、符号eを用い、個々の誤差信号について説明する際には、符号eL、eR、eCを用いる。フィルタ係数一般について説明する際には、符号Wを用い、個々のフィルタ係数について説明する際には、符号W0、W1、W2を用いる。フィルタ係数Wの更新においては、例えば、Filtered-X LMSアルゴリズムが用いられ得るが、これに限定されるものではない。
【0038】
フィルタ係数更新部40B1は、残留騒音をマイクロフォン20Lによって検出することによって得られる誤差信号eLと、音響特性フィルタ38B1によって補正された参照信号rとに基づいて、適応フィルタ36Bにおけるフィルタ係数W1を更新する。より具体的には、フィルタ係数更新部40B1は、残留騒音をマイクロフォン20Lによって検出することによって得られる誤差信号eLが最小となるように、適応フィルタ36Bにおけるフィルタ係数W1を更新する。
【0039】
フィルタ係数更新部40B2は、残留騒音をマイクロフォン20Rによって検出することによって得られる誤差信号eRと、音響特性フィルタ38B2によって補正された参照信号rとに基づいて、適応フィルタ36Bにおけるフィルタ係数W1を更新する。より具体的には、フィルタ係数更新部40B2は、残留騒音をマイクロフォン20Rによって検出することによって得られる誤差信号eRが最小となるように、適応フィルタ36Bにおけるフィルタ係数W1を更新する。
【0040】
演算部44は、残留騒音をマイクロフォン20Lによって検出することによって得られる誤差信号eLと、残留騒音をマイクロフォン20Rによって検出することによって得られる誤差信号eRとを加算する。演算部44、即ち、加算器は、誤差信号eLと誤差信号eRとを加算することによって得られる加算誤差信号eCをフィルタ係数更新部40Cに供給する。
【0041】
図6は、加算誤差信号の例を示すグラフである。
図6における横軸は周波数を示しており、
図6における縦軸は信号の大きさを示している。
図6における実線は、残留騒音をマイクロフォン20Lによって検出することによって得られる誤差信号eLと、残留騒音をマイクロフォン20Rによって検出することによって得られる誤差信号eRとを加算することにより得られた加算値を2で除算したものである。即ち、
図6における実線は、残留騒音をマイクロフォン20Lによって検出することによって得られる誤差信号eLと、残留騒音をマイクロフォン20Rによって検出することによって得られる誤差信号eRとの平均値である。
図6における点線は、車幅方向の中央にマイクロフォンを配した場合に当該マイクロフォンによって検出される残留騒音を示
す。図6から分かるように、両者の差は極めて小さい。このため、マイクロフォン20Lによって検出される誤差信号eLと、マイクロフォン20Rによって検出される誤差信号eRとを加算することにより得られる加算誤差信号eCを用いても、騒音の抑制の精度に特段の問題は生じない。
【0042】
フィルタ係数更新部40Cは、演算部44から供給される加算誤差信号eCと、音響特性フィルタ38Cによって補正された参照信号rとに基づいて、適応フィルタ36Cにおけるフィルタ係数W2を更新する。より具体的には、フィルタ係数更新部40Cは、加算誤差信号eCが最小となるように、適応フィルタ36Cにおけるフィルタ係数W2を更新する。
【0043】
適応フィルタ36Aから出力される制御信号uL、即ち、フィルタ部34Aから出力される制御信号uLが、パワーアンプ15Lを介してアクチュエータ16Lに供給される。適応フィルタ36Bから出力される制御信号uR、即ち、フィルタ部34Bから出力される制御信号uRが、パワーアンプ15Rを介してアクチュエータ16Rに供給される。適応フィルタ36Cから出力される制御信号uC、即ち、フィルタ部34Bから出力される制御信号uCが、パワーアンプ15Cを介してアクチュエータ16Cに供給される。
【0044】
判定部(異常判定部)26は、マイクロフォン20Lによって取得される誤差信号eLと、マイクロフォン20Rによって取得される誤差信号eRとのうちのいずれかに、異常が生じているか否かを判定し得る。かかる異常としては、例えば、マイクロフォン20と能動騒音制御装置10との間の配線における断線、マイクロフォン20の故障等が挙げられるが、これに限定されるものでない。判定部26は、誤差信号eLの大きさが音量閾値VTH以上であり、誤差信号eRの大きさが音量閾値VTH未満であり、且つ、このような状態が時間閾値TTH以上継続する場合、以下のような判定を行う。即ち、このような場合、判定部26は、マイクロフォン20Rによって取得される誤差信号eRに異常が生じていると判定する。判定部26は、誤差信号eRの大きさが音量閾値VTH以上であり、誤差信号eLの大きさが音量閾値VTH未満であり、且つ、このような状態が時間閾値TTH以上継続する場合、以下のような判定を行う。即ち、このような場合、判定部26は、マイクロフォン20Lによって取得される誤差信号eLに異常が生じていると判定する。判定部26による判定結果は、制御部28に供給される。
【0045】
誤差信号eLと誤差信号eRとのうちの一方に異常が生じていることが判定部26によって判定された場合、制御部28は、以下のような制御を行い得る。即ち、このような場合、制御部28は、誤差信号eLと誤差信号eRとのうちの他方と、音響特性フィルタ38Cによって補正された参照信号rとに基づいて、適応フィルタ36Cにおけるフィルタ係数W2をフィルタ係数更新部40Cによって更新させる。
【0046】
次に、本実施形態による能動騒音制御装置の動作の例について
図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態による能動騒音制御装置の動作の例を示すフローチャートである。
【0047】
まず、ステップS1において、判定部26は、誤差信号eLに異常が生じているか否かを判定する。誤差信号eLに異常が生じている場合(ステップS1においてYES)、ステップS3に遷移する。誤差信号eLに異常が生じていない場合(ステップS1においてNO)、ステップS2に遷移する。
【0048】
ステップS2において、判定部26は、誤差信号eRに異常が生じているか否かを判定する。誤差信号eRに異常が生じている場合(ステップS2においてYES)、ステップS4に遷移する。誤差信号eRに異常が生じていない場合(ステップS2においてNO)、
図7に示す処理が完了する。
【0049】
ステップS3において、制御部28は、音響特性フィルタ38Cによって補正された参照信号rと、誤差信号eRとに基づいて、適応フィルタ36Cにおけるフィルタ係数W2をフィルタ係数更新部40Cによって更新させる。
【0050】
ステップS4において、制御部28は、音響特性フィルタ38Cによって補正された参照信号rと、誤差信号eLとに基づいて、適応フィルタ36Cにおけるフィルタ係数W2をフィルタ係数更新部40Cによって更新させる。
【0051】
【0052】
このように、本実施形態では、一方の側に配されたマイクロフォン20Lによって検出される誤差信号eLと、他方の側に配されたマイクロフォン20Rによって検出される誤差信号eRとを加算することによって、加算誤差信号eCが取得される。加算誤差信号eCは、車幅方向の中央における残留騒音に対応している。そして、こうして得られる加算誤差信号eCが最小となるように、適応フィルタ36Cにおけるフィルタ係数W2が更新される。本実施形態によれば、車幅方向の中央にマイクロフォンを別途設けることを要することなく、車幅方向の中央における残留騒音を的確に低減し得る。本実施形態によれば、制御の複雑化を抑制し得るため、設計コストを抑制し得る。また、本実施形態によれば、演算量の増加を抑制し得るため、高価なプロセッサを要さず、部品コストを抑制し得る。従って、本実施形態によれば、騒音を良好に低減し得るとともに低コスト化を実現し得る能動騒音制御装置10を提供することができる。
【0053】
[変形実施形態]
本発明についての好適な実施形態を上述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態では、中央アクチュエータ16Cが備えられている場合を例に説明したが、中央アクチュエータ16Cが備えられていなくてもよい。この場合には、一方側アクチュエータ16Lと他方側アクチュエータ16Rとに、同じ制御信号が供給されるようにすればよい。即ち、モノラルの音が一対のアクチュエータ16L、16Rで出力されるようにすれば、中央アクチュエータ16Cが備えられなくてもよい。但し、より効果的に騒音を低減する観点からは、中央アクチュエータ16Cが備えられていることが好ましい。
【0055】
上記実施形態をまとめると以下のようになる。
【0056】
能動騒音制御装置(10)は、車両(12)の車室(14)内の騒音を低減させるために、制御信号(uC)に基づいた相殺音をアクチュエータ(16C)から出力させる能動騒音制御装置であって、前記騒音に応じた参照信号(r)に対してフィルタリング処理を行うことにより前記制御信号を生成する第1適応フィルタ(34C)と、前記騒音と前記相殺音との干渉による残留騒音を、前記車両の前後方向に沿った前記車両の中心線(CL)を中心として前記車室内の一方の側に配された第1マイクロフォン(20L)によって検出することにより得られる第1誤差信号(eL)と、前記残留騒音を、前記車両の前記中心線を中心として前記車室内の他方の側に配された第2マイクロフォン(20R)によって検出することにより得られる第2誤差信号(eR)とを加算することによって得られる加算誤差信号(eC)と、前記参照信号とに基づいて、前記第1適応フィルタにおけるフィルタ係数(W2)を更新する第1フィルタ係数更新部(40C)と、を備える。このような構成によれば、一方の側に配された第1マイクロフォンによって検出される第1誤差信号と、他方の側に配された第2マイクロフォンによって検出される第2誤差信号とを加算することによって、車幅方向の中央における残留騒音に対応する加算誤差信号が取得される。そして、こうして得られる加算誤差信号が最小となるように、第1適応フィルタにおけるフィルタ係数が更新される。このような構成によれば、車幅方向の中央にマイクロフォンを別途設けることを要することなく、車幅方向の中央における残留騒音が的確に低減され得る。このような構成によれば、制御の複雑化を抑制し得るため、設計コストを抑制し得る。また、このような構成によれば、演算量の増加を抑制し得るため、高価なプロセッサを要さず、部品コストを抑制し得る。従って、このような構成によれば、騒音を良好に低減し得るとともに低コスト化を実現し得る能動騒音制御装置を提供することができる。
【0057】
前記アクチュエータから前記第1マイクロフォンまでの音響特性(C^20)と前記アクチュエータから前記第2マイクロフォンまでの音響特性(C^21)とに応じたフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことによって前記参照信号を補正する第1音響特性フィルタ(38C)を更に備え、前記第1フィルタ係数更新部は、前記加算誤差信号と、前記第1音響特性フィルタによって補正された前記参照信号とに基づいて、前記第1適応フィルタにおける前記フィルタ係数を更新するようにしてもよい。このような構成によれば、アクチュエータから一対のマイクロフォンまでの音響特性に応じたフィルタリング処理が第1音響特性フィルタによって行われるため、演算量を抑制しつつ、効果的に騒音を抑制することができる。
【0058】
前記第1誤差信号と前記第2誤差信号とのうちのいずれかに異常が生じているか否かを判定する判定部(26)を更に備え、前記第1誤差信号と前記第2誤差信号とのうちの一方に異常が生じていることが前記判定部によって判定された場合、前記第1誤差信号と前記第2誤差信号とのうちの他方と、前記第1音響特性フィルタによって補正された前記参照信号とに基づいて、前記第1適応フィルタにおける前記フィルタ係数を前記第1フィルタ係数更新部によって更新させる制御部(28)を更に備えるようにしてもよい。このような構成によれば、一対のマイクロフォンのうちのいずれかに異常が生じている場合であっても、異常が生じているマイクロフォンによる悪影響を抑制しつつ、騒音を良好に低減し得る。
【0059】
前記アクチュエータは、車幅方向の中央に備えられているようにしてもよい。このような構成によれば、車室内の騒音を良好に低減し得る能動騒音制御装置を提供することができる。
【0060】
前記第1適応フィルタによって行われる前記フィルタリング処理とは異なるフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことにより、前記車両の前記中心線を中心として前記車室内の前記一方の側に配された一方側アクチュエータ(16L)に供給される制御信号(uL)を生成する第2適応フィルタ(36A)と、前記一方側アクチュエータから前記第1マイクロフォンまでの音響特性(C^00)に応じたフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことによって前記参照信号を補正する第2音響特性フィルタ(38A1)と、前記第1誤差信号と、前記第2音響特性フィルタによって補正された前記参照信号とに基づいて、前記第2適応フィルタにおけるフィルタ係数(W0)を更新する第2フィルタ係数更新部(40A1)と、前記一方側アクチュエータから前記第2マイクロフォンまでの音響特性(C^01)に応じたフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことによって前記参照信号を補正する第3音響特性フィルタ(38A2)と、前記第2誤差信号と、前記第3音響特性フィルタによって補正された前記参照信号とに基づいて、前記第2適応フィルタにおける前記フィルタ係数を更新する第3フィルタ係数更新部(40A2)と、前記第1適応フィルタによって行われる前記フィルタリング処理と前記第2適応フィルタによって行われる前記フィルタリング処理のいずれとも異なるフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことにより、前記車両の前記中心線を中心として前記車室内の前記他方の側に配された他方側アクチュエータ(16R)に供給される制御信号(uR)を生成する第3適応フィルタ(36B)と、前記他方側アクチュエータから前記第1マイクロフォンまでの音響特性(C^10)に応じたフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことによって前記参照信号を補正する第4音響特性フィルタ(38B1)と、前記第1誤差信号と、前記第4音響特性フィルタによって補正された前記参照信号とに基づいて、前記第3適応フィルタにおけるフィルタ係数(W1)を更新する第4フィルタ係数更新部(40B1)と、前記他方側アクチュエータから前記第2マイクロフォンまでの音響特性(C^11)に応じたフィルタリング処理を前記参照信号に対して行うことによって前記参照信号を補正する第5音響特性フィルタ(38B2)と、前記第2誤差信号と、前記第5音響特性フィルタにより補正された前記参照信号とに基づいて、前記第3適応フィルタにおける前記フィルタ係数を更新する第5フィルタ係数更新部(40B2)と、を更に備えるようにしてもよい。このような構成によれば、良好に騒音を低減し得る能動騒音制御装置を提供し得る。
【0061】
前記アクチュエータは、前記車両の前記中心線を中心として前記車室内の前記一方の側に配された一方側アクチュエータと、前記車両の前記中心線を中心として前記車室内の前記他方の側に配された他方側アクチュエータとを含み、前記一方側アクチュエータと前記他方側アクチュエータとに、同じ前記制御信号が供給されるようにしてもよい。このような構成によれば、車幅方向の中央にアクチュエータを備えることを要しないため、低コスト化に資することができる。
【0062】
車両は、上記のような能動騒音制御装置を備える。
【符号の説明】
【0063】
10:能動騒音制御装置 12:車両
14:車室 15C、15L、15R:パワーアンプ
16L:一方側アクチュエータ 16R:他方側アクチュエータ
16C:中央アクチュエータ 18:振動センサ
20L、20R:マイクロフォン 26:判定部
28:制御部 30:記憶部
34A~34C:フィルタ部 36A~36C:適応フィルタ
38A1、38A2、38B1、38B2、38C:音響特性フィルタ
40A1、40A2、40B1、40B2、40C:フィルタ係数更新部
44:演算部 A~C:測定ポイント
CL:中心線 W0~W2:フィルタ係数
eC、eL、eR:誤差信号 uC、uL、uR:制御信号