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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】筒状体加工装置および筒状体加工方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/26 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B21D51/26 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021007977
(22)【出願日】2021-01-21
(65)【公開番号】P2022112235
(43)【公開日】2022-08-02
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391035430
【氏名又は名称】東洋製罐グループエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】宮田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】弓削 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】手塚 秀典
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0168815(US,A1)
【文献】特表2008-532770(JP,A)
【文献】特開2008-044013(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0193796(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状体を搬送経路に沿って巡回搬送させながら当該筒状体に複数工程の加工を施す筒状体加工装置であって、
複数のポケットを有し、前記筒状体に対する複数工程の加工のそれぞれに対応する複数の加工ユニットが周方向に配置され、1つのターレットで異なる複数工程の加工を行う回転可能な加工ターレットと、
前記加工ユニットによって加工された筒状体を前記加工ターレットから受け取って再び同じ加工ターレットの異なるポケットに供給する再位相ユニットとを備え、
前記加工ターレットおよび前記再位相ユニットが、非ループ状の配置ラインに沿って一列に、かつ、前記加工ターレットによって形成される加工路を前記筒状体が1周回以上巡回搬送可能に配置されていることを特徴とする筒状体加工装置。
【請求項2】
前記筒状体加工装置が、未加工の筒状体を供給する供給ユニットをさらに備え、
前記供給ユニットと前記加工ターレットとの間に、前記再位相ユニットが配置されることを特徴とする請求項1に記載の筒状体加工装置。
【請求項3】
前記加工ターレットを1つまたは複数有するとともに前記再位相ユニットを2つ有し、
前記2つの再位相ユニットが、前記配置ラインにおいて全ての前記加工ターレットを挟むように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の筒状体加工装置。
【請求項4】
前記筒状体加工装置が、前記加工ユニットによって加工された筒状体を排出する排出ユニットをさらに備え、
前記供給ユニットおよび/または前記排出ユニットが、前記配置ラインにおいて前記加工ターレットに直接的に隣接配置されていないことを特徴とする請求項2、または、請求項2を引用する請求項3に記載の筒状体加工装置。
【請求項5】
前記供給ユニットが前記配置ラインにおける一端側に配置されるとともに、前記排出ユニットが前記配置ラインにおける他端側に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の筒状体加工装置。
【請求項6】
前記配置ラインにおいて、前記加工ターレットにおける前記筒状体を受け取る位置と前記筒状体を受け渡す位置との当該加工ターレットの回転軸を中心とした角度が180°とされることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の筒状体加工装置。
【請求項7】
複数のポケットを有し、筒状体に対する複数工程の加工のそれぞれに対応する複数の加工ユニットが周方向に配置され、1つのターレットで異なる複数工程の加工を行う回転可能な加工ターレットと、前記加工ユニットによって加工された筒状体を前記加工ターレットから受け取って再び同じ加工ターレットの異なるポケットに供給する再位相ユニットとを、非ループ状の配置ラインに沿って一列に配置した筒状体加工装置における筒状体加工方法であって、
前記加工ターレットによって形成される加工路に沿って、前記筒状体が1周回以上巡回搬送させながら筒状体に複数工程の加工を施すことを特徴とする筒状体加工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状体を搬送経路に沿って巡回搬送させながら当該筒状体に複数工程にわたる加工を施す筒状体加工装置および筒状体加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料缶等に用いられる缶においては、缶胴に缶蓋を巻締める際に缶蓋や巻締め部が缶胴から張り出さないよう、缶胴の外径よりも小さい外径を有する缶蓋を採用し、このために缶胴(筒状体)の開口端に絞り加工を施して開口端を缶蓋の外径に合わせることが行われている。
いわゆるネッキングと称される絞り加工は、缶胴を構成する金属材料が過度のストレスを受けないように、通常、複数工程に分けて段階的に行われる。このような複数工程に分けて段階的に絞り加工を行う筒状体加工装置としては、例えば加工ターレットを複数連結し、1つの加工ターレットにつき1回の絞り加工を行う装置がある。
しかしながら、このような装置には、筒状体のネッキング回数と同じ数の加工ターレットを設ける必要があるので、ネッキング回数の多い缶胴を製造する場合には装置や設備が長大化してより多くの設置スペースが必要になるとともに、メンテナンスの手間が増大してしまう、という問題がある。
【0003】
このような問題を解決するために、例えば特許文献1には、複数の加工ターレットが直列的に配置され、一端側に缶胴が供給される供給位置が設けられるとともに他端側に缶胴が排出される排出位置が設けられた装置において、複数の加工ターレットにおいて複数回の絞り加工を順に施されながら直線状に搬送されて排出位置から排出された半加工状態の缶胴を供給位置まで戻して、再度、複数の加工ターレットに直線状に搬送されて2巡目の複数回の絞り加工を施す装置が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記のような装置においては、各加工ターレットに搬送されて複数回の絞り加工を施されて排出位置から排出された半加工状態の缶胴を供給位置まで戻す搬送手段を別途に設ける必要があり、装置や設備の増大が生じてしまい、結局、より多くの設置スペースが必要になるとともに、メンテナンスの手間が増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-102968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するものであって、その目的は、設置スペースの極大化を伴うことなく加工回数の多い筒状体に対して複数工程の加工を施すことができ、メンテナンス性に優れる筒状体加工装置および筒状体加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の筒状体加工装置は、筒状体を搬送経路に沿って巡回搬送させながら当該筒状体に複数工程の加工を施す筒状体加工装置であって、
複数のポケットを有し、前記筒状体に対する複数工程の加工のそれぞれに対応する複数の加工ユニットが周方向に配置され、1つのターレットで異なる複数工程の加工を行う回転可能な加工ターレットと、
前記加工ユニットによって加工された筒状体を前記加工ターレットから受け取って再び同じ加工ターレットの異なるポケットに供給する再位相ユニットとを備え、
前記加工ターレットおよび前記再位相ユニットが、非ループ状の配置ラインに沿って一列に、かつ、前記加工ターレットによって形成される加工路を前記筒状体が1周回以上巡回搬送可能に配置されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の筒状体加工装置および筒状体加工方法によれば、加工ターレットおよび再位相ユニットが非ループ状の配置ラインに沿って一列に、かつ、加工ターレットによって形成される加工路を筒状体が1周回以上巡回搬送可能に配置されていることにより、同一の加工ターレット内において再位相ユニットによって位相をずらすことによって複数工程の加工を施すことができるため、所期の一連の加工に対する加工ターレットの必要数を低減させることができて設備の長大化を抑制することができるとともに位相をずらすための搬送手段を別途に設ける必要がないので、設置スペースの極大化を伴うことなく加工回数の多い筒状体に対して複数工程の加工を施すことができる。
また、本発明の筒状体加工装置および筒状体加工方法によれば、複数工程の数に対する加工ターレットの必要数が低減させることができ、さらに、加工ターレットおよび再位相ユニットが非ループ状の配置ラインに沿って一列に配置されていることにより、加工ターレットや再位相ユニットの空間的な重複箇所を少なく抑制することができるので、優れたメンテナンス性が得られる。
【0009】
本発明に係る2つの再位相ユニットが配置ラインにおいて全ての加工ターレットを挟むように配置される構成の筒状体加工装置によれば、確実に加工ターレットや再位相ユニットの空間的な重複箇所を少なく抑制することができるので、確実に優れたメンテナンス性を得ることができる。さらに、全ての加工ターレットに対して同一の加工ターレット内で複数工程の加工が可能となるので、所期の一連の加工に対する加工ターレットの必要数を低減させることができ、設備の長大化を抑制することができる。
【0010】
本発明に係る供給ユニットおよび/または排出ユニットが配置ラインにおいて加工ターレットに直接的に隣接配置されていない構成の筒状体加工装置によれば、加工ターレットに供給ユニットや排出ユニットに係るスペースを確保する必要がないため、加工ターレットにおけるそれぞれの加工ユニットの加工角度を広く確保することができ、その結果、当該加工ユニットにおいて施される加工に高い精度を付与することができる。また、生産性が向上し、生産速度を高めることができる。
【0011】
本発明に係る供給ユニットが配置ラインにおける一端側に配置されるとともに排出ユニットが他端側に配置された構成の筒状体加工装置によれば、確実に供給ユニットおよび排出ユニットの加工ターレットとの空間的な重複箇所を少なく抑制することができるので、確実に優れたメンテナンス性を得ることができる。また、生産ラインのレイアウトに高い自由度を得ることができる。
【0012】
本発明に係る加工ターレットにおける筒状体を受け取る位置と筒状体を受け渡す位置との当該加工ターレットの回転軸を中心とした角度が180°の筒状体加工装置によれば、加工ターレットにおけるそれぞれの加工ユニットの加工角度を同一かつ最大に確保することができるので、当該加工ユニットにおいて施される加工に確実に高い精度を付与することができる。また、生産性が向上し、生産速度を高めることができる。
【0013】
本発明に係る複数工程の少なくとも1つが筒状体の状態を検査する検査工程である構成の筒状体加工装置によれば、検査用のターレットを別途に設ける必要がないので、生産ラインの省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る筒状体加工装置の構成の一例を示す模式図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る筒状体加工装置の構成の一例を示す模式図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係る筒状体加工装置の構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
本発明の第1の実施形態に係る筒状体加工装置100は、筒状体Cを搬送経路に沿って巡回搬送させながら筒状体Cに複数工程の加工を施すものである。筒状体加工装置100は、図1に示すように、筒状体Cに対する加工に対応する加工ユニットが配置されて各工程の加工を行う回転可能な3つの加工ターレット141~143と、加工ターレット141~143間において筒状体Cの受け渡しを行う搬送ユニットとしての2つの搬送ターレット181,182と、加工ユニットによって加工された筒状体Cを両端の加工ターレット141,143から受け取って再び同じ加工ターレット141,143の異なる位相のポケットPに供給する再位相ユニットとしての再位相ターレット151,152とを備える。さらに、未加工の筒状体Cを搬送経路に供給する供給ユニットとしての供給ターレット(図示せず)と、加工ユニットによって加工された筒状体Cを搬送経路から外部に排出する排出ユニットとしての排出ターレット(図示せず)とを備えている。
供給ターレット、再位相ターレット151,152、搬送ターレット181,182、加工ターレット141~143及び排出ターレットには、それぞれ外周部に筒状体Cを個別収容して搬送するポケットPが複数、周方向に略等間隔で設けられている。
【0016】
本実施形態に係る筒状体加工装置100は、全てのターレット(供給ターレット、再位相ターレット151,152、搬送ターレット181,182、加工ターレット141~143及び排出ターレット)が、非ループ状の配置ラインに沿って一列に、かつ、加工ターレット141~143によって形成される加工路を筒状体Cが1周回以上、好ましくは1周回を超えて巡回搬送可能に相互に連結された状態で一方向に並んで配置されている。
具体的には、配置ラインに沿って一端側(図1において左側)から他端側(図1において右側)に向かって供給ターレット、第1の再位相ターレット151、第1の加工ターレット141、第1の搬送ターレット181、第2の加工ターレット142、第2の搬送ターレット182、第3の加工ターレット143、第2の再位相ターレット152および排出ターレットが一列に配置されている。すなわち、本実施形態に係る筒状体加工装置100においては、配置ラインにおいて2つの再位相ターレット151,152が全ての加工ターレット141~143を挟むように配置され、また、配置ラインにおいて供給ターレットが一端側に配置されるとともに排出ターレットが他端側に配置されている。すなわち供給ターレットおよび排出ターレットが配置ラインにおいて加工ターレット141~143に直接的に隣接配置されておらず、供給ターレットと加工ターレット141との間、および、加工ターレット143と排出ターレットとの間に、再位相ターレット151,152がそれぞれ配置されている。なお、本発明において、「加工ターレットに直接的に隣接配置されていない」とは、供給ターレットまたは排出ターレットと、加工ターレットとの間において、筒状体の直接的な受け渡しがなされない配置関係をいう。
本発明において、非ループ状の配置ラインに沿って各ターレットが配置されるとは、図1のように各ターレットの回転軸が必ずしも一直線上に配置された状態には限定されず、例えば各ターレットの回転軸が一方向に伸びる折れ線上に配置された状態とされていてもよい。しかしながら、加工ターレット141~143における各工程の加工角度(加工に使用することができる加工ターレットにおける回転角度)を考慮すると、各ターレットの回転軸が一直線上に配置された状態とされていることが好ましい。
本実施形態では各加工ターレット(141,142,143)間に配置された搬送ターレット(181,182)は各々1つのターレットとされているが、これに限定されず、複数の搬送ターレットで各加工ターレット間の受け渡しを行ってもよい。
【0017】
本実施形態に係る筒状体加工装置100は、全てのターレット(供給ターレット、再位相ターレット151,152、搬送ターレット181,182、加工ターレット141~143及び排出ターレット)が、これらの中心軸が水平方向(x方向)に伸びる状態で互いに水平方向(y方向)に並ぶように回転可能に配置される。このように配置されることにより、鉛直方向(z方向)にターレット同士が重なって配置されることが回避されるので、確実に優れたメンテナンス性が得られる。
【0018】
加工ターレット141(142,143)は、各々、複数のポケットPを有し、筒状体Cに対する複数工程の加工のそれぞれに対応する複数の加工ユニット(図示せず)が周方向に配置され、1つの加工ターレット141(142,143)で異なる複数工程の加工を行う回転可能なものである。
加工ターレット141(142,143)は、ポケットPに保持された筒状体Cを受け取る位置(以下、「受取位置」ともいう。)とこの筒状体Cを受け渡す位置(以下、「受渡位置」ともいう。)との間で移動させるものであり、本実施形態の筒状体加工装置100においては、配置ラインにおいて加工ターレット141(142,143)の受取位置と受渡位置との加工ターレット141(142,143)の回転軸を中心とした角度が180°とされている。
本実施形態の筒状体加工装置100に係る加工ターレット141~143のポケットPの数は各々20個とされている。加工ターレット141~143の各々のポケットP数は、所期の一連の加工を施すために必要な工程数や加工ターレット数、再位相ターレット数、生産速度などによっても異なり、複数の加工ターレット141~143が互いに異なる数のポケットPを有する構成であってもよい。
加工ターレット141~143の各ポケットPは複数の位相のいずれかに分類されるように分割されている。本実施形態の筒状体加工装置100においては、加工路の1周回目の往路(0.5周回目)に対応する位相(0.5)、加工路の1周回目の復路に対応する位相(1.0)、加工路の2周回目の往路(1.5周回目)に対応する位相(1.5)、加工路の2周回目の復路に対応する位相(2.0)および加工路の3周回目の往路(2.5周回目)に対応する位相(2.5)のいずれかに分類される。図1において、加工ターレット141~143の各ポケットPに保持された筒状体Cを示す丸線内に、位相数を入れて示した。また、図1においては、便宜上、再位相ターレット151,152および搬送ターレット181,182の各ポケットPに保持された筒状体Cを示す丸線内にも、第1の再位相ターレット151の筒状体Cの受け取り位置Gと第2の再位相ターレット152の筒状体Cの受け渡し位置Hを境界として各位相にあるものとして分類した位相数を入れた。
【0019】
本発明において、搬送経路とは、筒状体Cの供給ターレットからの供給位置(本実施形態においては第1の再位相ターレット151の筒状体Cの受け取り位置G)から排出ターレットへの排出位置(本実施形態においては第2の再位相ターレット152の受け渡し位置H)に至る連続的な経路をいい、加工路とは、加工ターレット141~143の回転によって形成される、スタート位置(本実施形態においては第1の加工ターレット141の受取位置)から全ての加工ターレット141~143の周縁上を1回通過して再びスタート位置に戻る搬送経路中の断続的な経路をいう。
図1において、加工路の1周回とは、第1の加工ターレット141の受取位置S1から、第1の加工ターレット141の上部側の周縁、第2の加工ターレット142の上部側の周縁および第3の加工ターレット143の上部側の周縁をこの順に経た後、第3の加工ターレット143の下部側の周縁、第2の加工ターレット142の下部側の周縁および第1の加工ターレット141の下部側の周縁をこの順に経てスタート位置(第1の加工ターレット141の受取位置S1)に戻る経路である。また、加工路を筒状体Cが1周回を超えて巡回搬送されるとは、上記の1周回を経た後、少なくとも2周回目の第1の加工ターレット141の上部側の周縁を経るように搬送されることをいう。
本実施形態に係る筒状体加工装置100においては、配置ラインにおいて供給ターレットが一端側に配置されるとともに排出ターレットが他端側に配置されているので、筒状体Cは加工路を(n+0.5)周回する構成とされる。nは自然数である。従って、加工路の周回数(n+0.5)と加工ターレット数mの2倍を掛けた数が最大工程数となる。すなわち、3基の加工ターレット141~143を用いて加工路を2.5周回する本実施形態に係る筒状体加工装置100においては、最大工程数は15工程となる。実際に加工を行う工程数は、最大工程数と同じではなくてもよく、最大工程数には余り(空き工程)が生じてもよい。
加工路の周回数は、所期の一連の加工を施すために必要な工程数や加工ターレット数、各加工ターレットのポケットP数、再位相ターレット数などによっても異なる。
【0020】
加工ユニットは、互いに異なる複数工程の加工段階ごとに設けられて筒状体Cの保持および加工を行うものであり、本発明の筒状体加工装置100においては、1つの加工ターレット141(142,143)に異なる加工段階に対応する複数の加工ユニットが設けられ、1つの加工ターレット141(142,143)および当該加工ターレット141(142,143)に設けられた複数の加工ユニットは、1つの共通の回転可能な軸に接続されている。
加工ユニット数は、所期の一連の加工に必要な工程数に基づいて決定される。本実施形態の筒状体加工装置100においては、加工路を2.5周回して14工程(+空き工程1工程)の加工を行うので、各位相に対応して、第1の加工ターレット141および第2の加工ターレット142にそれぞれ20基、第3の加工ターレット143に16基であって筒状体加工装置100の全体で56基の加工ユニットが設けられる。具体的には、第1の加工ターレット141には1番目(位相(0.5)に対応)、6番目(位相(1.0)に対応)、7番目(位相(1.5)に対応)、12番目(位相(2.0)に対応)、13番目(位相(2.5)に対応)の加工段階に対応する加工ユニットがそれぞれ4基ずつ設けられ、第2の加工ターレット142には2番目(位相(0.5)に対応)、5番目(位相(1.0)に対応)、8番目(位相(1.5)に対応)、11番目(位相(2.0)に対応)、14番目(位相(2.5)に対応)の加工段階に対応する加工ユニットがそれぞれ4基ずつ設けられ、第3の加工ターレット143には3番目(位相(0.5)に対応)、4番目(位相(1.0)に対応)、9番目(位相(1.5)に対応)、10番目(位相(2.0)に対応)の加工段階に対応する加工ユニットがそれぞれ4基ずつ設けられ、この第3の加工ターレット143には、さらに15番目の空き工程(位相(2.5)に対応)すなわち搬送されるのみの保持ユニットが設けられている。
【0021】
本発明において、「複数工程の加工」は、絞り加工工程(ネッキング工程)などの筒状体Cの物理的な変形を伴う変形工程に限定されず、検査工程などの非変形工程を含む。本実施形態においては、加工路に沿った加工順の1番目~12番目が各段階の絞り加工工程であり、13番目が開口端において缶蓋を巻き締めるためのフランジを成形するフランジング工程、14番目が絞り加工の出来ばえなどの筒状体Cの状態を例えばライトテスタなどによって検査する検査工程とされている。また、複数工程には、これ以外の開口端において耳などの不要部分を切り落とすトリミング工程、キャップを巻き締めるネジ部を成形するネジ加工工程、開口端を丸めるカール工程等を設けてもよい。複数工程は、全てが変形工程であってもよい。
加工ユニットが絞り加工を行うものである場合、加工ユニットは、例えば、筒状体Cの開口端を加工するためのダイと、ダイに対して加工ターレット141(142,143)の軸方向に対向配置されて、筒状体Cの他端を支持してダイと共に保持する保持部とを有するものとすることができる。ダイの形状は、対応する加工段階(絞り段階)に応じたものとされる。
【0022】
再位相ターレット151,152は、各々、外周に筒状体Cを保持するポケットPを複数有するターレットよりなる。ポケットPは、例えば吸引によってターレットの周縁部に筒状体Cを保持する構成のものとすることができる。ポケットPにおける筒状体Cの保持機構は、吸引によるものに限定されず、磁気パッドや機械的な挟み込みシステムの構造のものであってもよい。
再位相ターレット151,152は、加工ユニットによって加工された筒状体Cを隣接配置される第1の加工ターレット141または第3の加工ターレット143から受け取って再び同じ第1の加工ターレット141または第3の加工ターレット143の異なる位相のポケットPに選択的に供給する再位相機能を有する回転可能なものである。再位相ターレット151,152のポケットP数は、再位相すべき隣接配置された第1の加工ターレット141または第3の加工ターレット143で施されるべき複数工程の数(本実施形態に係る第1の加工ターレット141および第3の加工ターレット143においては空き工程も含めて各々5工程)をQ、自然数をrとしたとき、(rQ+1)個とされる。このようなポケットP数の再位相ターレット151,152によれば、同じ周速度で回転することによって簡単に異なる位相のポケットPへと位相をずらして筒状体Cを供給することができる。本実施形態の筒状体加工装置100に係る再位相ターレット151,152のポケットPの数は各々16個とされている。
また、本実施形態に係る筒状体加工装置100においては、再位相ターレット151,152は、再位相機能の他に搬送機能を有する。具体的には、第1の再位相ターレット151は供給ターレットから供給される筒状体Cを受け取って第1の加工ターレット141まで搬送する機能を有し、第2の再位相ターレット152は、第3の加工ターレット143から排出されるべき筒状体Cを受け取って排出ターレットに受け渡す機能を有する。
本発明において、再位相ユニットはターレットを用いたものに限定されず、加工ターレットに対して筒状体を再位相させることができる機能を有していれば、例えばエアフローコンベア等を用いたものであってもよい。
【0023】
供給ターレットおよび排出ターレットは、各々、外周に筒状体Cを保持するポケットPを複数有するターレットよりなる。ポケットPは、例えば吸引によってターレットの周縁部に筒状体Cを保持する構成のものとすることができる。ポケットPにおける筒状体Cの保持機構は、吸引によるものに限定されず、磁気パッドや機械的な挟み込みシステムの構造のものであってもよい。
本発明において、供給ユニットはターレットを用いたものに限定されず、再位相ターレット151に所定の間隔で断続的に筒状体Cを供給可能であれば、例えばエアフローコンベアやスパイラル、シュート等を用いたものであってもよい。また、排出ユニットも、再位相ターレット152から所定の間隔で排出される筒状体Cを外部に排出することができれば、ターレットを用いたものに限定されない。
【0024】
搬送ターレット181,182は、各々、外周に筒状体Cを保持するポケットPを複数有し、加工ユニットによって加工された筒状体Cを隣接配置される加工ターレット141~143から受け取って反対側に隣接配置される加工ターレット141~143の同じ位相のポケットPに供給する回転可能なターレットよりなる。ポケットPは、例えば吸引によってターレットの周縁部に筒状体Cを保持する構成のものとすることができる。ポケットPにおける筒状体Cの保持機構は、吸引によるものに限定されず、磁気パッドや機械的な挟み込みシステムの構造のものであってもよい。
搬送ユニットとしては、加工ターレット間において同位相で筒状体Cを搬送可能であれば、例えばエアフローコンベア等を用いたものであってもよい。
【0025】
供給ターレット、再位相ターレット151,152、加工ターレット141~143、搬送ターレット181,182及び排出ターレットは、それぞれ、適宜の駆動源により直接あるいは機械的に伝動機構を介して回転駆動され、これらの回転速度すなわちポケットPの移動速度、及び、各ポケットPの連動タイミングは、各ターレット間で筒状体Cが円滑に受け渡されるように調整可能に設計されている。
各加工ターレット141~143は、同一方向(図1において時計回り)に略同一の周速度で同期して回転され、各再位相ターレット151,152及び搬送ターレット181,182は、加工ターレット141~143とは反対方向(図1において反時計回り)に略同一の周速度で回転されて、これら加工ターレット141~143と、再位相ターレット151,152または搬送ターレット181,182との間で連続的に筒状体Cの受け渡しが行われるよう構成されている。
【0026】
本発明の筒状体加工方法は、以上のような筒状体加工装置100を用いて、141~143によって形成される加工路に沿って例えば一端が開口された有底円筒形状の筒状体Cが1周回以上巡回搬送されながら筒状体Cの開口端に複数工程の加工を施すように行われる。
具体的には、まず、未加工の筒状体Cが、供給ターレットによって、適宜の駆動機構によって回転される第1の再位相ターレット151の、第1の加工ターレット141の位相(0.5)のポケットPに受け渡し可能なポケットPに断続的に受け渡される。そして、第1の再位相ターレット151のポケットPに保持された未加工の筒状体Cは、第1の再位相ターレット151の回転に伴って、第1の加工ターレット141の受取位置S1において加工路の1周回目の往路に対応する位相(0.5)に係るポケットPに搬送され、受取位置S1において第1の加工ターレット141の1番目の加工段階に対応する加工ユニットに受け渡される。この加工ユニットに受け渡された筒状体Cは、第1の加工ターレット141の回転に伴って、上部側の周縁を通って第1の加工ターレット141における受渡位置T1に搬送される。この時、第1の加工ターレット141の回転に伴って、図示しない駆動手段によって加工ユニットが駆動されて、筒状体Cに1番目の加工段階の加工が施される。そして、1番目の加工段階の加工を終えた筒状体Cは、第1の加工ターレット141の受渡位置T1で第1の搬送ターレット181に受け渡されて、第1の搬送ターレット181の回転に伴って、第2の加工ターレット142における受取位置S2において加工路の1周回目の往路に対応する位相(0.5)に係るポケットPに搬送され、受取位置S2で第2の加工ターレット142の2番目の加工段階に対応する加工ユニットに受け渡される。この加工ユニットに受け渡された筒状体Cは、第1の加工ターレット141における加工及び搬送と同様にして、上部側の周縁を通って受渡位置T2に搬送されながら、加工ユニットによって2番目の加工段階の加工が施される。そして、2番目の加工段階の加工を終えた筒状体Cは、受渡位置T2で第2の搬送ターレット182に受け渡されて、第2の搬送ターレット182の回転に伴って、第3の加工ターレット143における受取位置S3において加工路の1周回目の往路に対応する位相(0.5)に係るポケットPに搬送され、受取位置S3で第3の加工ターレット143の3番目の加工段階に対応する加工ユニットに受け渡される。この加工ユニットに受け渡された筒状体Cは、第1の加工ターレット141における加工及び搬送と同様にして、上部側の周縁を通って受渡位置T3に搬送されながら、加工ユニットによって3番目の加工段階の加工が施される。そして、3番目の加工段階の加工を終えた筒状体Cは、受渡位置T3で第2の再位相ターレット152に受け渡され、1周回目の往路が終了する。第2の再位相ターレット152に受け渡された筒状体Cは、第2の再位相ターレット152の回転に伴って、第3の加工ターレット143における受渡位置T3と同じ位置である受取位置S4において次の位相(加工路の1周回目の復路に対応する位相(1.0))に係るポケットPに搬送され、受取位置S4において第3の加工ターレット143の4番目の加工段階に対応する加工ユニットに受け渡される。
【0027】
この加工ユニットに受け渡された筒状体Cは、第3の加工ターレット143の回転に伴って、下部側の周縁を通って第3の加工ターレット143における受渡位置T4に搬送される。この時、第3の加工ターレット143の回転に伴って、図示しない駆動手段によって加工ユニットが駆動されて、筒状体Cに4番目の加工段階の加工が施される。そして、4番目の加工段階の加工を終えた筒状体Cは、第3の加工ターレット143の受渡位置T4で第2の搬送ターレット182に受け渡されて、第2の搬送ターレット182の回転に伴って、第2の加工ターレット142における受取位置S5において加工路の1周回目の復路に対応する位相(1.0)に係るポケットPに搬送され、受取位置S5で第2の加工ターレット142の5番目の加工段階に対応する加工ユニットに受け渡される。この加工ユニットに受け渡された筒状体Cは、下部側の周縁を通って受渡位置T5に搬送されながら、加工ユニットによって5番目の加工段階の加工が施される。そして、5番目の加工段階の加工を終えた筒状体Cは、受渡位置T5で第1の搬送ターレット181に受け渡されて、第1の搬送ターレット181の回転に伴って、第1の加工ターレット141における受取位置S6において加工路の1周回目の復路に対応する位相(1.0)に係るポケットPに搬送され、受取位置S6で第1の加工ターレット141の6番目の加工段階に対応する加工ユニットに受け渡される。この加工ユニットに受け渡された筒状体Cは、下部側の周縁を通って受渡位置T6に搬送されながら、加工ユニットによって6番目の加工段階の加工が施される。そして、6番目の加工段階の加工を終えた筒状体Cは、受渡位置T6で第1の再位相ターレット151に受け渡され、1周回目の復路が終了する。第1の再位相ターレット151に受け渡された筒状体Cは、第1の再位相ターレット151の回転に伴って、第1の加工ターレット141における受渡位置T6と同じ位置である受取位置S1において次の位相(加工路の2周回目の往路に対応する位相(1.5))に係るポケットPに搬送される。
2周回目も、加工路の2周回目の往路に対応する位相(1.5)および復路に対応する位相(2.0)に係るポケットPにおいて加工ターレット141~143の回転に伴って第1の加工ターレット141、第2の加工ターレット142、第3の加工ターレット143、第3の加工ターレット143、第2の加工ターレット142および第1の加工ターレット141の順に搬送されながら7番目~12番目の加工段階の加工が施される。
3周回目は、加工路の3周回目の往路に対応する位相(2.5)に係るポケットPにおいて加工ターレット141~143の回転に伴って第1の加工ターレット141および第2の加工ターレット142の順に搬送されながら13番目および14番目の加工段階の加工が施され、第3の加工ターレット143においては通過するのみで無加工で搬送され、第2の再位相ターレット152を介して排出ターレットに受け渡され、筒状体加工装置100の外部に搬出され、蓋の巻締めや梱包等の次工程に搬出される。
【0028】
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態に係る筒状体加工装置100においては、加工ターレットが3基、再位相ターレットが2基および搬送ターレットが2基設けられた構成のものであるが、本発明の筒状体加工装置は、各ターレットは上記の数には限定されず、所期の一連の加工に必要とされる複数工程の数によって適宜に決定することができる。以下に説明する第2の実施形態に係る筒状体加工装置200は、図2に示されるように、加工ターレットを2基、再位相ターレットを2基および搬送ターレットを1基有し、第1の実施形態に係る筒状体加工装置100から第2の加工ターレット142および第2の搬送ターレット182を省いたことの他は、同様の構成を有するものである。
本発明の第2の実施形態に係る筒状体加工装置200は、筒状体Cに対する加工に対応する加工ユニットが複数配置されて各工程の加工を行う回転可能な2つの加工ターレット241,242と、加工ターレット241,242間において筒状体Cの受け渡しを行う搬送ターレット281と、加工ユニットによって加工された筒状体Cを加工ターレット241,242から受け取って再び同じ加工ターレット241,242の異なる位相のポケットPに供給する再位相ターレット251,252とを備える。さらに、未加工の筒状体Cを搬送経路に供給する供給ユニットとしての供給ターレット(図示せず)と、加工ユニットによって加工された筒状体Cを搬送経路から外部に排出する排出ユニットとしての排出ターレット(図示せず)とを備えている。
供給ターレット、再位相ターレット251,252、搬送ターレット281、加工ターレット241,242及び排出ターレットは、それぞれ第1の実施形態に係る筒状体加工装置100の供給ターレット、再位相ターレット151,152、搬送ターレット181、加工ターレット141,143及び排出ターレットとそれぞれ同じ構成のものである。
【0029】
本実施形態に係る筒状体加工装置200は、全てのターレット(供給ターレット、再位相ターレット251,252、搬送ターレット281、加工ターレット241,242及び排出ターレット)が、非ループ状の配置ラインに沿って一列に、かつ、加工ターレット241,242によって形成される加工路を筒状体Cが1周回以上巡回搬送可能に相互に連結された状態で一方向に並んで配置されている。
具体的には、配置ラインに沿って一端側(図2において左側)から他端側(図2において右側)に向かって供給ターレット、第1の再位相ターレット251、第1の加工ターレット241、搬送ターレット281、第2の加工ターレット242、第2の再位相ターレット252および排出ターレットが一列に配置されている。
【0030】
加工ターレット241,242の各ポケットPは複数の位相のいずれかに分類されるように分割されている。本実施形態の筒状体加工装置200においては、加工路の1周回目の往路(0.5周回目)に対応する位相(0.5)、加工路の1周回目の復路に対応する位相(1.0)、加工路の2周回目の往路(1.5周回目)に対応する位相(1.5)、加工路の2周回目の復路に対応する位相(2.0)および加工路の3周回目の往路(2.5周回目)に対応する位相(2.5)のいずれかに分類される。図2において、加工ターレット241,242の各ポケットP内に、位相数を入れて示した。また、図2においては、便宜上、再位相ターレット251,252および搬送ターレット281の各ポケットP内にも、第1の再位相ターレット251の筒状体Cの受け取り位置と第2の再位相ターレット252の筒状体Cの受け渡し位置を境界として各位相にあるものとして分類した位相数を入れた。
【0031】
本実施形態の筒状体加工装置200においては、加工路を2.5周回して10工程の加工を行うので、各位相に対応して、第1の加工ターレット241および第2の加工ターレット242にそれぞれ20基であって筒状体加工装置200の全体で40基の加工ユニットが設けられる。具体的には、第1の加工ターレット241には1番目(位相(0.5)に対応)、4番目(位相(1.0)に対応)、5番目(位相(1.5)に対応)、8番目(位相(2.0)に対応)、9番目(位相(2.5)に対応)の加工段階に対応する加工ユニットがそれぞれ4基ずつ設けられ、第2の加工ターレット242には2番目(位相(0.5)に対応)、3番目(位相(1.0)に対応)、6番目(位相(1.5)に対応)、7番目(位相(2.0)に対応)、10番目(位相(2.5)に対応)の加工段階に対応する加工ユニットがそれぞれ4基ずつ設けられている。この筒状体加工装置200においては、空き工程すなわち搬送されるのみの工程は存在しない。
本実施形態においては、加工路に沿った加工順の1番目~8番目が各段階の絞り加工工程であり、9番目がフランジング工程、10番目が検査工程とされている。
【0032】
上記のような筒状体加工装置200においては、未加工の筒状体Cが、供給ターレットによって、適宜の駆動機構によって回転される第1の再位相ターレット251の、第1の加工ターレット241の位相(0.5)のポケットPに受け渡し可能なポケットPに断続的に受け渡され、第1の実施形態の筒状体加工装置100と同様にして加工ターレット241,242によって形成される加工路を2.5周回しながら1~10番目の加工段階の加工が施されて排出ターレットに受け渡され、筒状体加工装置200の外部に搬出され、蓋の巻締めや梱包等の次工程に搬出される。
【0033】
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態に係る筒状体加工装置300は、図3に示されるように、加工ターレットを1基および再位相ターレットを2基有し、第1の実施形態に係る筒状体加工装置100から第2の加工ターレット142、第3の加工ターレット143および搬送ターレット181,182を省いたことの他は、同様の構成を有するものである。
本発明の第3の実施形態に係る筒状体加工装置300は、筒状体Cに対する加工に対応する加工ユニットが複数配置されて各工程の加工を行う回転可能な加工ターレット341と、加工ユニットによって加工された筒状体Cを加工ターレット341から受け取って再び同じ加工ターレット341の異なる位相のポケットPに供給する再位相ターレット351,352とを備える。さらに、未加工の筒状体Cを搬送経路に供給する供給ユニットとしての供給ターレット(図示せず)と、加工ユニットによって加工された筒状体Cを搬送経路から外部に排出する排出ユニットとしての排出ターレット(図示せず)とを備えている。
供給ターレット、再位相ターレット351,352、加工ターレット341及び排出ターレットは、それぞれ第1の実施形態に係る筒状体加工装置100の供給ターレット、再位相ターレット151,152、加工ターレット141及び排出ターレットとそれぞれ同じ構成のものである。
【0034】
本実施形態に係る筒状体加工装置300は、全てのターレット(供給ターレット、再位相ターレット351,352、加工ターレット341及び排出ターレット)が、非ループ状の配置ラインに沿って一列に、かつ、加工ターレット341によって形成される加工路を筒状体Cが1周回以上巡回搬送可能に相互に連結された状態で一方向に並んで配置されている。
具体的には、配置ラインに沿って一端側(図3において左側)から他端側(図3において右側)に向かって供給ターレット、第1の再位相ターレット351、加工ターレット341、第2の再位相ターレット352および排出ターレットが一列に配置されている。
【0035】
加工ターレット341の各ポケットPは複数の位相のいずれかに分類されるように分割されている。本実施形態の筒状体加工装置300においては、加工路の1周回目の往路(0.5周回目)に対応する位相(0.5)、加工路の1周回目の復路に対応する位相(1.0)、加工路の2周回目の往路(1.5周回目)に対応する位相(1.5)、加工路の2周回目の復路に対応する位相(2.0)および加工路の3周回目の往路(2.5周回目)に対応する位相(2.5)のいずれかに分類される。図3において、加工ターレット341の各ポケットP内に位相数を入れて示した。また、図3においては、便宜上、再位相ターレット351,352の各ポケットPにも、第1の再位相ターレット351の筒状体Cの受け取り位置と第2の再位相ターレット352の筒状体Cの受け渡し位置を境界として各位相にあるものとして分類した位相数を入れた。
【0036】
本実施形態の筒状体加工装置300においては、加工路を2.5周回して5工程の加工を行うので、各位相に対応して、加工ターレット341に20基の加工ユニットが設けられる。具体的には、1番目(位相(0.5)に対応)、2番目(位相(1.0)に対応)、3番目(位相(1.5)に対応)、4番目(位相(2.0)に対応)、5番目(位相(2.5)に対応)の加工段階に対応する加工ユニットがそれぞれ4基ずつ、全て加工ターレット341に設けられている。この筒状体加工装置300においては、空き工程すなわち搬送されるのみの工程は存在しない。
本実施形態においては、加工路に沿った加工順の1番目~3番目が各段階の絞り加工工程であり、4番目がフランジング工程、5番目が検査工程とされている。
【0037】
上記のような筒状体加工装置300においては、未加工の筒状体Cが、供給ターレットによって、適宜の駆動機構によって回転される第1の再位相ターレット351の、加工ターレット341の位相(0.5)のポケットPに受け渡し可能なポケットPに断続的に受け渡され、第1の実施形態の筒状体加工装置100と同様にして加工ターレット341によって形成される加工路を2.5周回しながら1~5番目の加工段階の加工が施されて排出ターレットに受け渡され、筒状体加工装置300の外部に搬出され、蓋の巻締めや梱包等の次工程に搬出される。
【0038】
以上、本発明の第1の実施形態に係る筒状体加工装置100~第3の実施形態に係る筒状体加工装置300およびこれを用いた筒状体加工方法について説明したが、本発明の筒状体加工装置や筒状体加工方法は上記の実施形態に限定されるものではない。
例えば、加工ターレット数や加工路の周回数、搬送ユニットや再位相ユニットの数および配置位置は、必要な工程数に応じて適宜設定されればよい。
具体的には、各ターレットの配置関係は、配置ラインにおいて加工ターレットと再位相ターレットとの間に搬送ターレットが配置された構成とすることもできる。また、全ての加工ターレットおよび全ての再位相ターレットが配置ラインにおいて一方向に配置されていれば、供給ターレットや排出ターレットが搬送ターレットに隣接配置されて搬送ターレットとの間で筒状体の供給/排出を行う構成とすることもできる。
また、各ターレットの配置関係は、配置ラインにおいて供給ターレットが一端側に配置されるとともに排出ターレットが他端側に配置された構成であってもよいが、供給ターレットおよび排出ターレットがともに一端側(またはともに他端側)に配置された構成としてもよい。配置ラインにおいて供給ターレットおよび排出ターレットがともに一端側に配置された構成の筒状体加工装置においては、筒状体は加工路をn周回(nは自然数である。)する構成とされる。
【符号の説明】
【0039】
100 ・・・筒状体加工装置
141,142,143・・・加工ターレット
151,152 ・・・再位相ターレット
181,182 ・・・搬送ターレット
200 ・・・筒状体加工装置
241,242 ・・・加工ターレット
251,252 ・・・再位相ターレット
281 ・・・搬送ターレット
300 ・・・筒状体加工装置
341 ・・・加工ターレット
351,352 ・・・再位相ターレット
C ・・・筒状体
P ・・・ポケット
図1
図2
図3