(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241210BHJP
B65H 7/12 20060101ALI20241210BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20241210BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241210BHJP
G03B 27/62 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H04N1/00 567J
B65H7/12
H04N1/12 Z
G03G15/00 107
G03B27/62
(21)【出願番号】P 2021046083
(22)【出願日】2021-03-19
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 拓実
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-100454(JP,A)
【文献】特開2019-193219(JP,A)
【文献】特開2017-075035(JP,A)
【文献】特開2020-152542(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141290(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B65H 7/12
H04N 1/04
G03G 15/00
G03B 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を分離するための分離ローラと、
前記分離ローラに対して媒体の搬送方向下流に、前記搬送方向と直交する方向に沿って配置された複数の媒体検出センサと、
各媒体検出センサに対して前記搬送方向下流にそれぞれ配置され、媒体の重なりを検出するための複数の重なり検出センサと、
前記複数の媒体検出センサ及び前記複数の重なり検出センサの検出結果に基づいて、媒体が綴じ媒体であるか否かを判定する判定部と、
媒体が綴じ媒体であると判定された場合に、
媒体の搬送を停止させる制御部と、を有し、
前記判定部は、前記複数の媒体検出センサのうち最初に媒体を検出した媒体検出センサが媒体を検出した後に、当該媒体検出センサの下流側の重なり検出センサが媒体の重なりを検出せず、且つ、当該重なり検出センサとは異なる重なり検出センサが媒体の重なりを検出した場合に、前記媒体が綴じ媒体であると判定する、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記複数の媒体検出センサのうち最初に媒体を検出した媒体検出センサが媒体を検出した後に、当該媒体検出センサの下流側の重なり検出センサが媒体の重なりを検出した場合に、媒体が綴じ媒体でないと判定する、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記複数の媒体検出センサのうちの最初に媒体を検出した媒体検出センサが媒体を検出した後に、当該媒体検出センサの下流側の重なり検出センサが媒体の重なりを検出し、且つ、当該重なり検出センサとは異なる重なり検出センサも媒体の重なりを検出した場合に、媒体の重送が発生したと判定する、請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記複数の重なり検出センサのうちの所定数の重なり検出センサのみが媒体の重なりを検出した場合に、媒体がカード媒体であると判定する、請求項2又は3に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記複数の媒体検出センサのうち、前記搬送方向と直交する方向において中央部に配置された媒体検出センサは、端部側に配置された媒体検出センサよりも、前記搬送方向においてより下流側に配置されている、請求項1-4の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記中央部に配置された媒体検出センサに対応する重なり検出センサは、前記端部側に配置された媒体検出センサに対応する重なり検出センサよりも、前記搬送方向においてより下流側に配置されている、請求項5に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
媒体を分離するための分離ローラと、前記分離ローラに対して媒体の搬送方向下流に、前記搬送方向と直交する方向に沿って配置された複数の媒体検出センサと、各媒体検出センサに対して前記搬送方向下流にそれぞれ配置され、媒体の重なりを検出するための複数の重なり検出センサと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、
前記複数の媒体検出センサ及び前記複数の重なり検出センサの検出結果に基づいて、媒体が綴じ媒体であるか否かを判定し、
媒体が綴じ媒体であると判定された場合に、
媒体の搬送を停止させる、ことを含み、
前記判定において、前記複数の媒体検出センサのうち最初に媒体を検出した媒体検出センサが媒体を検出した後に、当該媒体検出センサの下流側の重なり検出センサが媒体の重なりを検出せず、且つ、当該重なり検出センサとは異なる重なり検出センサが媒体の重なりを検出した場合に、媒体が綴じ媒体であると判定する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項8】
媒体を分離するための分離ローラと、前記分離ローラに対して媒体の搬送方向下流に、前記搬送方向と直交する方向に沿って配置された複数の媒体検出センサと、各媒体検出センサに対して前記搬送方向下流にそれぞれ配置され、媒体の重なりを検出するための複数の重なり検出センサと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
前記複数の媒体検出センサ及び前記複数の重なり検出センサの検出結果に基づいて、媒体が綴じ媒体であるか否かを判定し、
媒体が綴じ媒体であると判定された場合に、
媒体の搬送を停止させる、ことを前記媒体搬送装置に実行させ、
前記判定において、前記複数の媒体検出センサのうち最初に媒体を検出した媒体検出センサが媒体を検出した後に、当該媒体検出センサの下流側の重なり検出センサが媒体の重なりを検出せず、且つ、当該重なり検出センサとは異なる重なり検出センサが媒体の重なりを検出した場合に、媒体が綴じ媒体であると判定する、
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、媒体を搬送して撮像するスキャナ等の媒体搬送装置は、載置台に重ねられて載置された複数の媒体を順次分離して給送する。しかしながら、複数の媒体がステープル等で綴じられている場合、これらの媒体を分離する際に媒体が破損する可能性がある。そこで、媒体搬送装置において、このような綴じ媒体を適切に検出することが求められている。
【0003】
綴じ媒体の搬送による原稿の破損を防ぐために、超音波センサを用いて給送された媒体の重なりを検出し、媒体の重なりが検出された場合に搬送を停止させる媒体搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
媒体搬送装置において、綴じ媒体をより適切に検出して搬送を停止させることが求められていた。
【0006】
媒体搬送装置、制御方法、制御プログラムの目的は、綴じ媒体を適切に検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る媒体搬送装置は、媒体を分離するための分離ローラと、分離ローラに対して媒体の搬送方向下流に、搬送方向と直交する方向に沿って配置された複数の媒体検出センサと、各媒体検出センサに対して搬送方向下流にそれぞれ配置され、媒体の重なりを検出するための複数の重なり検出センサと、複数の媒体検出センサ及び複数の重なり検出センサの検出結果に基づいて、媒体が綴じ媒体であるか否かを判定する判定部と、媒体が綴じ媒体であると判定された場合に、異常処理を実行する制御部と、を有し、判定部は、複数の媒体検出センサのうち最初に媒体を検出した媒体検出センサが媒体を検出した後に、媒体検出センサの下流側の重なり検出センサが媒体の重なりを検出せず、且つ、重なり検出センサとは異なる重なり検出センサが媒体の重なりを検出した場合に、媒体が綴じ媒体であると判定する。
【0008】
実施形態に係る制御方法は、媒体を分離するための分離ローラと、分離ローラに対して媒体の搬送方向下流に、搬送方向と直交する方向に沿って配置された複数の媒体検出センサと、各媒体検出センサに対して搬送方向下流にそれぞれ配置され、媒体の重なりを検出するための複数の重なり検出センサと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、複数の媒体検出センサ及び複数の重なり検出センサの検出結果に基づいて、媒体が綴じ媒体であるか否かを判定し、媒体が綴じ媒体であると判定された場合に、異常処理を実行する、ことを含み、判定において、複数の媒体検出センサのうち最初に媒体を検出した媒体検出センサが媒体を検出した後に、媒体検出センサの下流側の重なり検出センサが媒体の重なりを検出せず、且つ、重なり検出センサとは異なる重なり検出センサが媒体の重なりを検出した場合に、媒体が綴じ媒体であると判定する。
【0009】
実施形態に係る制御プログラムは、媒体を分離するための分離ローラと、分離ローラに対して媒体の搬送方向下流に、搬送方向と直交する方向に沿って配置された複数の媒体検出センサと、各媒体検出センサに対して搬送方向下流にそれぞれ配置され、媒体の重なりを検出するための複数の重なり検出センサと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、複数の媒体検出センサ及び複数の重なり検出センサの検出結果に基づいて、媒体が綴じ媒体であるか否かを判定し、媒体が綴じ媒体であると判定された場合に、異常処理を実行する、ことを媒体搬送装置に実行させ、判定において、複数の媒体検出センサのうち最初に媒体を検出した媒体検出センサが媒体を検出した後に、媒体検出センサの下流側の重なり検出センサが媒体の重なりを検出せず、且つ、重なり検出センサとは異なる重なり検出センサが媒体の重なりを検出した場合に、媒体が綴じ媒体であると判定する。
【発明の効果】
【0010】
実施形態によれば、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムは、綴じ媒体を適切に検出することを可能とする。
【0011】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100の斜視図である。
【
図2】媒体搬送装置100における媒体の搬送経路を説明するための図である。
【
図3】第2媒体センサ115等の配置の例を説明するための図である。
【
図4】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【
図6】媒体読取処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図7】判定処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図8】判定処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図9】判定処理の流れの一例を示すフロー図である。
【
図10】綴じ媒体が搬送された場合の判定結果について説明するための図である。
【
図11】綴じ媒体が搬送された場合の判定結果について説明するための図である。
【
図12】重送が発生した場合の判定結果について説明するための図である。
【
図13】カード媒体が搬送された場合の判定結果について説明するための図である。
【
図14】第2媒体センサ215等の配置の他の例を説明するための図である。
【
図15】綴じ媒体が搬送された場合の判定結果について説明するための図である。
【
図16】カード媒体が搬送された場合の判定結果について説明するための図である。
【
図17】処理回路350の概略構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙又は厚紙等である。また、媒体は、ステープル、紐又はクリップ等によって複数の媒体が綴じられた綴じ媒体、及び、運転免許証やICカード等の、用紙よりも小さく且つ厚いカード媒体を含む。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよく、この場合、搬送される媒体は印刷対象物等である。
【0015】
媒体搬送装置100は、第1筐体101、第2筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0016】
第1筐体101は、媒体搬送装置100の上側に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第2筐体102に係合している。
【0017】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に第2筐体102に係合している。載置台103は、第2筐体102の媒体供給側の側面に、不図示のモータによって略鉛直方向(高さ方向)A1に移動可能に設けられる。載置台103は、媒体を搬送していないときは媒体が容易に載置されるように下端の位置に配置され、媒体を搬送するときは最も上側に載置された媒体が後述するピックローラと接触する位置まで上昇する。排出台104は、排出された媒体を保持可能に第1筐体101上に形成され、排出された媒体を積載する。
【0018】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0019】
図1において矢印A2は媒体搬送方向を示し、矢印A3は媒体排出方向を示し、矢印A4は媒体搬送方向と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の下流のことをいう。
【0020】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。媒体搬送装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、複数の第2媒体センサ115A~C、複数の超音波センサ116A~C、第1~第8搬送ローラ117a~h、第1~第8従動ローラ118a~h、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119b等を有している。以下では、各第2媒体センサ115A~Cを第2媒体センサ115と称する場合がある。また、各超音波センサ116A~Cを超音波センサ116と称する場合がある。また、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bをまとめて撮像装置119と称する場合がある。
【0021】
ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第8搬送ローラ117a~h及び/又は第1~第8従動ローラ118a~hのそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数のピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114、第1~第8搬送ローラ117a~h及び/又は第1~第8従動ローラ118a~hは、それぞれ幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。
【0022】
第1筐体101の、第2筐体102と対向する面は媒体の搬送路の第1ガイド101aを形成し、第2筐体102の、第1筐体101と対向する面は媒体の搬送路の第2ガイド102aを形成する。
【0023】
第1媒体センサ111は、載置台103に、即ち給送ローラ113及びブレーキローラ114より上流側に配置され、載置台103における媒体の載置状態を検出する。第1媒体センサ111は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台103に媒体が載置されているか否かを判別する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、第1媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、第1媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0024】
ピックローラ112は、第1筐体101に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台103に載置された媒体と接触して、その媒体を下流側に向けて給送する。
【0025】
給送ローラ113は、第1筐体101内に、ピックローラ112より下流側に設けられ、ピックローラ112により給送された媒体をさらに下流側に向けて給送する。ブレーキローラ114は、第2筐体102内に、給送ローラ113と対向して配置される。給送ローラ113及びブレーキローラ114は、分離ローラの一例であり、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ113は、ブレーキローラ114に対して上側に配置されており、媒体搬送装置100は、いわゆる上取り方式により媒体を給送する。
【0026】
第2媒体センサ115は、給送ローラ113及びブレーキローラ114より下流側且つ超音波センサ116より上流側に配置される。第2媒体センサ115は媒体検出センサの一例であり、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第2媒体センサ115は、回帰型プリズムセンサであり、発光素子、受光素子及び導光部材を含む。
【0027】
発光素子及び受光素子は、第2ガイド102aを挟んで媒体搬送路の外側に配置される。導光部材は、U字型のプリズム等の導光管であり、第1ガイド101aを挟んで媒体搬送路の外側に、両端が発光素子及び受光素子とそれぞれ対向するように配置される。発光素子は、LED(Light Emitting Diode)等であり、媒体搬送路を挟んで導光部材に向けて光を照射する。受光素子は、発光素子から照射され、且つ、導光部材により導かれた光を受光する。受光素子は、受光した光の強度に応じた電気信号である第2媒体信号を生成して出力する。第2媒体センサ115の位置に媒体が存在する場合、発光素子から照射された光はその媒体により遮光されるため、第2媒体センサ115の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第2媒体信号の信号値は変化する。
【0028】
なお、第2媒体センサ115の構成は上述した例に限られない。例えば、導光部材の代わりにミラー等の反射部材が用いられてもよい。また、第2媒体センサ115は、発光素子と受光素子とのみから構成されてもよい。この場合、発光素子と受光素子とは、媒体搬送路を挟んで相互に対向するように第1筐体101及び第2筐体102にそれぞれ配置される。また、第2媒体センサ115は、第1媒体センサ111と同様の接触検知センサであってもよい。
【0029】
超音波センサ116は、給送ローラ113及びブレーキローラ114より下流側且つ第1~第8搬送ローラ117a~h及び第1~第8従動ローラ118a~hより上流側に配置される。超音波センサ116は、超音波発信器及び超音波受信器を有する。超音波発信器及び超音波受信器は、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器は、第1ガイド101aを挟んで媒体搬送路の外側に配置され、超音波受信器は、第2ガイド102aを挟んで媒体搬送路の外側に配置される。超音波発信器は、超音波を発信する。超音波受信器は、超音波発信器により発信されて媒体を透過した超音波を受信し、受信した超音波の大きさに応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。
【0030】
超音波発信器により発信された超音波は、媒体を透過する際に減衰する。特に、超音波は、複数の媒体を透過する際、複数の媒体の空気層により大きく減衰するため、超音波受信器が受信した超音波の大きさに基づいて媒体の重なりが検出される。超音波センサ116は、媒体の重なりを検出するための重なり検出センサの一例である。
【0031】
第1~第8搬送ローラ117a~h及び第1~第8従動ローラ118a~hは、給送ローラ113及びブレーキローラ114より下流側に設けられ、給送ローラ113及びブレーキローラ114により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。第1~第8搬送ローラ117a~h及び第1~第8従動ローラ118a~hは、それぞれ媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置される。
【0032】
第1撮像装置119aは、媒体搬送方向A2において第1~第2搬送ローラ117a~b及び第1~第2従動ローラ118a~bより下流側、即ち超音波センサ116より下流側に設けられる。第1撮像装置119aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。第1撮像装置119aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置119aは、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0033】
第2撮像装置119bは、媒体搬送方向A2において第1~第2搬送ローラ117a~b及び第1~第2従動ローラ118a~bより下流側、即ち超音波センサ116より下流側に設けられる。第2撮像装置119bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。第2撮像装置119bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置119bは、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0034】
媒体搬送装置100は、第1撮像装置119a及び第2撮像装置119bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0035】
載置台103に載置された媒体は、ピックローラ112、給送ローラ113がそれぞれ媒体給送方向A5、A6に回転することによって、第1ガイド101aと第2ガイド102aとの間を媒体搬送方向A2に向かって搬送される。一方、ブレーキローラ114が媒体給送方向の反対方向A7に回転することによって、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ113と接触している媒体のみが分離される。ブレーキローラ114にはトルクリミッタが設けられる。これにより、載置台103に一つの媒体のみが載置されている場合には、ブレーキローラ114は媒体が媒体搬送方向A2に搬送されることを妨げない。
【0036】
媒体は、第1ガイド101aと第2ガイド102aによりガイドされながら、第1~第2搬送ローラ117a~bが矢印A8~A9の方向に回転することによって、撮像装置119の撮像位置に送り込まれ、撮像装置119によって撮像される。さらに、媒体は、第3~第8搬送ローラ117c~hがそれぞれ矢印A10~A15の方向に回転することによって排出台104上に排出される。排出台104は、第8搬送ローラ117hによって排出された媒体を積載する。
【0037】
図3は、第2媒体センサ115及び超音波センサ116の配置の例を説明するための図である。
図3は、第1筐体101を開いた状態で第2筐体102を上方から見た模式図である。
【0038】
図3に示す例では、3つの第2媒体センサ115A~Cが、ブレーキローラ114に対して媒体搬送方向A2の下流に、搬送方向と直交する幅方向A4に沿って間隔を空けて並べて配置されている。3つの第2媒体センサ115A~Cは、媒体搬送方向A2において、何れも略同一の位置に配置されている。
【0039】
また、
図3に示す例では、3つの超音波センサ116A~Cが、各第2媒体センサ115A~Cに対して媒体搬送方向A2の下流に配置されている。各超音波センサ116A~Cは、幅方向A4において少なくとも一部が各第2媒体センサ115A~Cと重なるように、即ち媒体搬送方向A2から見て少なくとも一部が各第2媒体センサ115A~Cと重なるように配置される。3つの超音波センサ116A~Cは、媒体搬送方向A2において、何れも略同一の位置に配置される。
【0040】
なお、第2媒体センサ115及び超音波センサ116の数は、3つに限定されず、2つ以上の任意の数であればよい。
【0041】
図4は、媒体搬送装置100の概略構成の一例を示す図である。媒体搬送装置100は、上述した構成に加えて、モータ131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0042】
モータ131は、一又は複数のモータを含み、処理回路150からの制御信号によって、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び第1~第8搬送ローラ117a~hを回転させて媒体を給送及び搬送させる。なお、第1~第8従動ローラ118a~hは、各搬送ローラの回転に従って従動回転するのでなく、モータからの駆動力によって回転するように設けられてもよい。
【0043】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して読取画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0044】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能且つ非一時的な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0045】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する回路である。処理回路150は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0046】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、第1媒体センサ111、第2媒体センサ115、超音波センサ116、撮像装置119、モータ131、インタフェース装置132及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、モータ131を制御して媒体を搬送し、撮像装置119を制御して入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信する。また、処理回路150は、第2媒体センサ115から受信した第2媒体信号及び超音波センサ116から受信した超音波信号に基づいて、搬送される媒体が綴じ媒体であるか否かを判定する。
【0047】
図5は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0048】
記憶装置140には、制御プログラム141及び判定プログラム142等の各プログラムが記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作することにより、制御部151及び判定部152として機能する。なお、制御部151及び判定部152は、それぞれ処理回路150とは独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0049】
図6は、媒体搬送装置100によって実行される媒体読取処理の動作の例を示すフロー図である。媒体読取処理は、記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて、処理回路150が媒体搬送装置100の各要素と協働することにより実現される。
【0050】
まず、制御部151は、媒体の読取を指示する操作信号を受信するまで待機する(S101)。操作信号は、利用者によって媒体の読取指示が操作装置105に入力されたことに応じて、操作装置105から制御部151に供給される。操作信号は、利用者によって読取指示が情報処理装置に入力されたことに応じて、情報処理装置からインタフェース装置132を介して供給されてもよい。
【0051】
続いて、制御部151は、第1媒体センサ111から出力された第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(S102)。媒体が載置されていない場合(S102-No)、制御部151は、媒体読取処理を終了する。
【0052】
媒体が載置されている場合(S102-Yes)、制御部151は、載置台103を移動させるためのモータを駆動し、媒体を給送可能な位置まで載置台103を上昇させる。制御部151は、モータ131を駆動し、ピックローラ112、給送ローラ113、ブレーキローラ114及び第1~第8搬送ローラ117a~hを回転させ、載置台103に載置された媒体を給送及び搬送させる(S103)。
【0053】
続いて、判定部152は、判定処理を実行する(S104)。判定部152は、判定処理において、搬送された媒体が綴じ媒体であるか否か、及び、重送が発生しているか否か等を判定する。判定処理の詳細は後述する。
【0054】
続いて、制御部151は、判定処理において、搬送された媒体が綴じ媒体であると判定されたか否かを判定する(S105)。搬送された媒体が綴じ媒体であると判定された場合(S105-Yes)、制御部151は、綴じ媒体である旨の通知を出力する(S106)。制御部151は、綴じ媒体である旨の通知を表示装置106に表示させることにより出力し、利用者に通知する。制御部151は、綴じ媒体である旨の通知を示す通知信号を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力し、利用者に通知してもよい。続いて、制御部151は、モータ131を停止させることにより媒体の搬送を停止させ(S112)、媒体読取処理を終了する。なお、綴じ媒体である旨の通知を出力すること、及び、媒体の搬送を停止させることは、異常処理の一例である。
【0055】
制御部151は、綴じ媒体が搬送された場合に媒体の搬送を停止させることにより、媒体のジャムが発生し、媒体の損傷が発生することを抑制できる。また、制御部151は、媒体を綴じていたステープル又はクリップ等が媒体の搬送路に進入し、撮像装置119のガラス面等を傷付けることを抑制できる。これにより、利用者は、搬送される媒体がステープルで綴じられているか否かを媒体搬送前に確認する必要がなくなり、媒体搬送装置100は、利用者の利便性を向上させるとともに、媒体読取処理の処理時間を低減させることができる。
【0056】
搬送された媒体が綴じ媒体でないと判定された場合(S105-No)、制御部151は、媒体の後端が撮像装置119の撮像位置を通過したか否かを判定する(S107)。制御部151は、例えば、各第2媒体センサ115から定期的に第2媒体信号を取得し、何れかの第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第2媒体センサ115の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第2媒体センサ115の位置を通過してから所定時間が経過した時に、媒体の後端が撮像位置を通過したと判定する。所定時間は、媒体が第2媒体センサ115から撮像位置まで搬送される時間にマージンを加えた時間に設定される。媒体の後端がまだ撮像位置を通過していない場合(S107-No)、制御部151は、処理をS104に戻し、S104~S107の処理を繰り返す。
【0057】
媒体の後端が撮像位置を通過した場合(S107-Yes)、制御部151は、撮像装置119から入力画像を取得する。制御部151は、インタフェース装置132を介して、取得した入力画像を情報処理装置に送信する(S108)。
【0058】
続いて、制御部151は、判定処理において、媒体の重送が発生したと判定されたか否かを判定する(S109)。媒体の重送が発生したと判定された場合(S109-Yes)、制御部151は、重送が発生した旨の通知を出力する(S110)。制御部151は、重送が発生した旨の通知を表示装置106に表示させることにより出力し、利用者に通知する。制御部151は、重送が発生した旨の通知を示す通知信号を、インタフェース装置132を介して情報処理装置に送信することにより出力し、利用者に通知してもよい。続いて、制御部151は、モータ131を停止させることにより媒体の搬送を停止させ(S112)、媒体読取処理を終了する。なお、重送が発生した旨の通知を出力すること、及び、媒体の搬送を停止させることは、異常処理の一例である。
【0059】
なお、制御部151は、S108において入力画像が送信されてから所定時間経過後にモータ131を停止させるようにしてもよい。所定時間は、撮像装置119の位置を通過した媒体が媒体搬送装置100から排出されて排出台104に載置されるまでの時間にマージンを加えた時間である。これにより、モータ131が停止した際に媒体が媒体搬送装置100の内部に残留することが抑止される。
【0060】
続いて、制御部151は、第1媒体センサ111から出力された第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(S111)。媒体が載置されている場合(S111-Yes)、制御部151は、処理をS104に戻し、S104~S111の処理を繰り返す。媒体が載置されていない場合(S111-No)、制御部151は、モータ131を停止させて(S112)、媒体読取処理を終了する。
【0061】
図7~
図9は、判定処理の動作の例を示すフロー図である。判定処理は、
図6のS104において実行される。
【0062】
判定部152は、判定処理の実行中に、判定処理と並行して、定期的に各第2媒体センサ115が媒体を検出したか否かを判定する。判定部152は、定期的に各第2媒体センサ115から第2媒体信号を取得し、各第2媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、その第2媒体センサ115が媒体を検出したと判定する。また、判定部152は、判定処理の実行中に、判定処理と並行して、定期的に各超音波センサ116が媒体の重なりを検出したか否かを判定する。判定部152は、定期的に各超音波センサ116から超音波信号を取得し、各超音波信号の信号値が、重なり閾値以下である場合に、その超音波センサ116が媒体の重なりを検出したと判定する。重なり閾値は、一枚のPPC(Plain Paper Copier)用紙が搬送された場合に出力される超音波信号の信号値と、二枚のPPC用紙が搬送された場合に出力される超音波信号の信号値との間の値に設定される。
【0063】
まず、
図7に示すように、判定部152は、複数の第2媒体センサ115のうちの何れかの第2媒体センサ115が媒体を検出するまで待機する(S201)。
【0064】
何れかの第2媒体センサ115が媒体を検出した場合、判定部152は、その第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116が媒体の重なりを検出したか否かを判定する(S202)。第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116とは、その第2媒体センサ115に対応して配置された超音波センサ116であり、媒体搬送方向A2の上流側から見て少なくとも一部がその第2媒体センサ115と重なるように配置された超音波センサ116である。判定部152は、その第2媒体センサ115が媒体を検出してから第1時間が経過するか、その超音波センサ116が媒体の重なりを検出するまで、その超音波センサ116が媒体の重なりを検出したか否かの判定を継続する。第1時間は、媒体が第2媒体センサ115から超音波センサ116まで搬送される時間にマージンを加えた時間に設定される。
【0065】
第1時間が経過するまでにその超音波センサ116が媒体の重なりを検出しなかった場合(S202-No)、
図8に示すように、判定部152は、他の第2媒体センサ115が媒体を検出したか否かを判定する(S203)。他の第2媒体センサ115とは、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115とは異なる第2媒体センサ115である。判定部152は、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115が媒体を検出してから第2時間が経過するか、他の各第2媒体センサ115が媒体を検出するまで、他の各第2媒体センサ115が媒体を検出したか否かの判定を継続する。第2時間は、媒体搬送装置100が保証する最大角度だけ媒体が傾いて搬送された場合に媒体の先端が各第2媒体センサ115の位置に到達する時間差にマージンを加えた時間に設定される。
【0066】
第2時間が経過するまでに他の第2媒体センサ115の全てが媒体を検出しなかった場合(S203-No)、判定部152は、媒体がレシート等の小型媒体であり且つ媒体の重送が発生していないと判定し(S204)、判定処理を終了する。小型媒体は、少なくとも一つの辺の長さが、複数の第2媒体センサ115の配置間隔より短い媒体である。
【0067】
第2時間が経過するまでに他の第2媒体センサ115の何れかが媒体を検出した場合(S203-Yes)、判定部152は、媒体を検出した第2媒体センサ115の下流側の各超音波センサ116が媒体の重なりを検出したか否かを判定する(S205)。判定部152は、他の第2媒体センサ115が媒体を検出してから第1時間が経過するか、各超音波センサ116が媒体の重なりを検出するまで、各超音波センサ116が媒体の重なりを検出したか否かの判定を継続する。
【0068】
第1時間が経過するまでに何れかの超音波センサ116が媒体の重なりを検出した場合(S205-Yes)、判定部152は、媒体が綴じ媒体であると判定し(S206)、判定処理を終了する。このように、判定部152は、複数の第2媒体センサ115及び複数の超音波センサ116の検出結果に基づいて、媒体が綴じ媒体であるか否かを判定する。特に、判定部152は、複数の第2媒体センサ115のうち最初に媒体を検出した第2媒体センサ115が媒体を検出した後にその第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116が媒体の重なりを検出せず且つその超音波センサ116とは異なる超音波センサ116が媒体の重なりを検出した場合に、媒体が綴じ媒体であると判定する。
【0069】
第1時間が経過するまでに全ての超音波センサ116が媒体の重なりを検出しなかった場合(S205-No)、判定部152は、媒体が通常の媒体であり且つ媒体の重送が発生していないと判定し(S207)、判定処理を終了する。通常の媒体とは、綴じ媒体及びカード媒体ではなく、且つ、小型媒体より大きい媒体をいう。
【0070】
第1時間が経過するまでに、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116が媒体の重なりを検出した場合(S202-Yes)、
図9に示すように、判定部152は、媒体が綴じ媒体でないと判定する(S208)。このように、判定部152は、複数の第2媒体センサ115のうち最初に媒体を検出した第2媒体センサ115が媒体を検出した後に、その第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116が媒体の重なりを検出した場合に、媒体が綴じ媒体でないと判定する。
【0071】
続いて、判定部152は、他の第2媒体センサ115が媒体を検出したか否かを判定する(S209)。判定部152は、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115が媒体を検出してから第2時間が経過するか、他の第2媒体センサ115が媒体を検出するまで、他の第2媒体センサ115が媒体を検出したか否かの判定を継続する。
【0072】
第2時間が経過するまでに他の第2媒体センサ115の全てが媒体を検出しなかった場合(S209-No)、判定部152は、媒体がカード媒体であり且つ媒体の重送が発生していないと判定し(S210)、判定処理を終了する。カード媒体は厚みが大きいため、カード媒体を通過した超音波は大きく減衰し、超音波信号の信号値は重なり閾値以下になる可能性がある。但し、カード媒体のサイズは小さいため、判定部152は、複数の第2媒体センサ115が媒体を検出したか否かを判定することによって、媒体の重送が発生しているかカード媒体が搬送されているかを精度良く判別することができる。
【0073】
第2時間が経過するまでに他の第2媒体センサ115の何れかが媒体を検出した場合(S209-Yes)、判定部152は、媒体を検出した第2媒体センサ115の下流側の各超音波センサ116が媒体の重なりを検出したか否かを判定する(S211)。判定部152は、他の第2媒体センサ115が媒体を検出してから第1時間が経過するか、各超音波センサ116が媒体の重なりを検出するまで、各超音波センサ116が媒体の重なりを検出したか否かの判定を継続する。
【0074】
第1時間が経過するまでに何れかの超音波センサ116が媒体の重なりを検出しなかった場合(S211-No)、判定部152は、通常の媒体と小型媒体による重送が発生したと判定し(S212)、判定処理を終了する。この場合、判定部152は、媒体にシール、切手等の貼付物が貼付されており、媒体の重送が発生していないと判定してもよい。
【0075】
第1時間が経過するまでに全ての超音波センサ116が媒体の重なりを検出した場合(S211-Yes)、判定部152は、通常の媒体同士による重送が発生したと判定し(S213)、判定処理を終了する。このように、判定部152は、複数の第2媒体センサ115のうちの最初に媒体を検出した第2媒体センサ115が媒体を検出した後に、その第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116が媒体の重なりを検出し、且つ、その超音波センサ116とは異なる超音波センサ116も媒体の重なりを検出した場合に、媒体の重送が発生したと判定する。これにより、判定部152は、媒体の重送が発生したか否かを高精度に判定することができる。
【0076】
なお、S209において、判定部152は、媒体を検出した第2媒体センサ115の数が特定数未満である場合に、S210で媒体がカード媒体であると判定し、媒体を検出した第2媒体センサ115の数が特定数以上である場合に、処理をS211へ移行してもよい。特定数は2以上の数に予め設定される。その場合、判定部152は、媒体を検出した第2媒体センサ115の数が特定数未満である場合にも、媒体を検出した各第2媒体センサ115の下流側の各超音波センサ116が媒体の重なりを検出したか否かを判定してもよい。判定部152は、媒体を検出した各第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116の何れかが媒体の重なりを検出しなかった場合、小型媒体同士による重送が発生したと判定する。一方、判定部152は、媒体を検出した各第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116の全てが媒体の重なりを検出した場合、媒体がカード媒体であると判定する。このように、判定部152は、複数の超音波センサ116のうちの所定数の超音波センサ116のみが媒体の重なりを検出した場合に、媒体がカード媒体であると判定する。これにより、判定部152は、搬送される媒体がカード媒体であるか否かを高精度に判定することができる。
【0077】
また、S203~S204の処理は省略され、S205において、判定部152は、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116以外の超音波センサ116が媒体の重なりを検出したか否かを判定してもよい。同様に、S209~S210の処理は省略され、S211において、判定部152は、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116以外の超音波センサ116が媒体の重なりを検出したか否かを判定してもよい。また、S209~S211の処理が省略され、判定部152は、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116が媒体の重なりを検出した場合、媒体の重送が発生したと判定してもよい。
【0078】
以下では、
図3に示したセンサ配置の例において、各種の媒体が搬送された場合の第2媒体センサ115及び超音波センサ116の検出結果について説明する。
【0079】
図10(A)~(D)は、綴じ媒体が搬送された場合のセンサの検出結果の例について説明するための模式図である。
図10(A)は、複数の媒体が綴じられた綴じ媒体M1が給送されて、媒体搬送方向A2における先端部が給送ローラ113及びブレーキローラ114の位置に到達した状態を上方から見た図である。綴じ媒体M1は、媒体搬送方向A2における下流側の一端(右上端)を綴じ位置Sとして綴じられている。
【0080】
図10(B)は、
図10(A)から時間が経過した状態を示す図である。綴じ媒体M1の最も上側に綴じられ、給送ローラ113と接触している媒体M2は、給送ローラ113によって媒体搬送方向A2に押し出される。一方、綴じ媒体M1の、給送ローラ113と接触していない媒体M3は、ブレーキローラ114によって搬送方向A2とは反対方向への力を受け、その場にとどめられる。その結果、
図10(B)に示すように、媒体M2は、綴じ位置Sを中心として、幅方向A4において綴じ位置Sとは反対側の端部(左上端)が媒体搬送方向A2に進行するように回転し、幅方向A4において綴じ位置Sの反対側に配置された第2媒体センサ115Aの位置に到達する。これにより、第2媒体センサ115A~Cのうち、第2媒体センサ115Aが最初に媒体を検出する。
【0081】
図10(C)は、
図10(B)からさらに時間が経過した状態を示す図である。媒体M2は給送ローラ113によって媒体搬送方向A2にさらに押し出される。その結果、
図10(C)に示すように、媒体M2は、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115Aの下流側の超音波センサ116Aの位置に到達する。この状態では、超音波センサ116Aの位置には媒体M2のみが到達しているため、超音波センサ116Aは媒体の重なりを検出しない。
【0082】
媒体M2が媒体搬送方向A2に押し出されたことにより、媒体M3は綴じ位置Sにおいて、媒体M2から媒体搬送方向A2に引かれる力を受ける。同時に、媒体M3は、ブレーキローラ114によって媒体搬送方向A2とは反対方向への力を受ける。その結果、
図10(C)に示すように、媒体M3はブレーキローラ114との接点を中心として、幅方向A4における綴じ位置S側の端部(右上端)が媒体搬送方向A2に進行するように回転する。
【0083】
図10(D)は、
図10(C)からさらに時間が経過した状態を示す図である。給送ローラ113によって媒体M2は媒体搬送方向A2にさらに押し出される。また、媒体M3は、綴じ位置Sを介して媒体M2に引かれ、ブレーキローラ114の回転力に抗して媒体搬送方向A2に進行する。その結果、媒体M3は、幅方向A4において綴じ位置S側に配置された超音波センサ116Cの位置に到達する。超音波センサ116Cの位置では媒体M2と媒体M3が重なるため、超音波センサ116Cは重なりを検出する。
【0084】
図10(A)~(D)に示したように、綴じ媒体M1が搬送された場合、幅方向A4において綴じ位置Sの反対側に配置された第2媒体センサ115Aが最初に媒体を検出する。そして、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115Aの下流側の超音波センサ116Aは媒体の重なりをすぐには検出せず、幅方向A4において綴じ位置S側に配置された超音波センサ116Cが媒体の重なりをすぐに検出する。なお、綴じ媒体が搬送された場合の第2媒体センサ115及び超音波センサ116の検出結果の例は、上述した例に限られない。
【0085】
図11(A)及び(B)は、
図10に示した例よりも小さい綴じ媒体M1が搬送された場合のセンサの検出結果について説明するための図である。
図11(A)は、
図10(B)に対応する状態を示す図である。
図11(A)に示すように、綴じ媒体M1の最も上側に綴じられた媒体M2は綴じ位置Sを中心として回転し、幅方向A4において綴じ位置Sの反対側に配置された第2媒体センサ115Aの位置に到達する。これにより、第2媒体センサ115A~Cのうち、第2媒体センサ115Aが最初に媒体を検出する。
【0086】
図11(B)は、
図10(D)に対応する状態を示す図である。
図11(B)に示すように、媒体M3は、綴じ位置Sを介して媒体M2に引かれ、ブレーキローラ114の回転力に抗して媒体搬送方向A2に進行する。
図10(D)に示した例よりも媒体M3の幅が小さいため、
図11(B)に示すように、媒体M3は幅方向A4において綴じ位置S側に配置された超音波センサ116Cの位置には到達せず、中央部に配置された超音波センサ116Bの位置に到達する。超音波センサ116Bの位置では媒体M2と媒体M3が重なるため、超音波センサ116Bは重なりを検出する。
【0087】
図11(A)~(B)に示したように、小さい綴じ媒体M1が搬送された場合、幅方向A4において綴じ位置Sの反対側に配置された第2媒体センサ115Aが最初に媒体を検出する。そして、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115Aの下流側の超音波センサ116Aは媒体の重なりをすぐには検出せず、幅方向A4において中央部に配置された超音波センサ116Bが媒体の重なりをすぐに検出する。
【0088】
図10及び
図11を用いて説明したように、媒体の大きさに応じて異なる超音波センサ116が媒体の重なりを検出する。しかしながら、何れの場合でも、綴じ媒体が搬送された場合は、媒体を最初に検出した第2媒体センサ115の下流側の超音波センサ116は媒体の重なりをすぐには検出せず、その超音波センサ116とは異なる超音波センサ116が媒体の重なりをすぐに検出する。したがって、判定処理のS202、S203及びS205により、綴じ媒体が適切に検出される。
【0089】
図12(A)及び(B)は、カード媒体が搬送された場合のセンサの検出結果について説明するための模式図である。
図12(A)は、カード媒体M4が給送されて、第2媒体センサ115の位置に到達した状態を示す図である。
図12(A)に示すように、カード媒体M4は幅方向A4において中央部の第2媒体センサ115Bの位置に到達しているため、第2媒体センサ115Bは媒体を検出する。
【0090】
図12(B)は、
図12(A)から時間が経過した状態を示す図である。
図12(B)に示すように、カード媒体M4は、媒体を検出した第2媒体センサ115Bの下流側の超音波センサ116Bの位置に到達している。カード媒体M4は通常の媒体よりも厚いため、超音波センサ116Bは媒体の重なりを検出する。
図12(B)に示すように、カード媒体M4は通常の媒体よりも幅方向A4において小さいため、幅方向A4において端部側に位置する第2媒体センサ115A、C及び超音波センサ116A、Cの位置には到達しない。そのため、第2媒体センサ115A、Cは媒体を検出せず、超音波センサ116A、Cは媒体の重なりを検出しない。
【0091】
図12を用いて説明したように、カード媒体M4が搬送された場合、幅方向A4において中央部に位置する第2媒体センサ115Bのみが媒体を検出する。そして、媒体を検出した第2媒体センサ115Bの下流側の超音波センサ116Bのみが媒体の重なりを検出する。
【0092】
なお、
図12に示した例ではカード媒体M4の幅が隣接する第2媒体センサ115の間の幅方向A4における距離よりも小さいため、一つの第2媒体センサ115のみが媒体を検出し、一つの超音波センサ116のみが媒体の重なりを検出した。しかしながら、カード媒体の幅と第2媒体センサ115の幅方向における距離との関係によっては、複数の第2媒体センサ115が媒体を検出し、又は、複数の超音波センサ116が媒体の重なりを検出する場合がある。すなわち、カード媒体が搬送された場合には、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115を含む所定数(
図12に示す例では、1つ)の第2媒体センサ115のみが媒体を検出し、媒体を検出した各第2媒体センサ115の下流側の超音波センサのみが媒体の重なりを検出する。所定数は、媒体搬送装置100がサポートするカード媒体の幅と第2媒体センサ115の幅方向における距離との関係に基づいて適宜定められる。したがって、判定処理のS202及びS209により、カード媒体が適切に検出される。
【0093】
図13(A)及び(B)は、重送が発生した場合のセンサの検出結果について説明するための模式図である。
図13(A)は、複数の媒体M5が重なって搬送されて、第2媒体センサ115の位置に到達した状態を示す図である。
図13(A)に示すように、媒体M5が第2媒体センサ115A~Cの位置に到達しているため、第2媒体センサ115A~Cは略同時に媒体を検出する。以下では、第2媒体センサ115Aが最初に媒体を検出したものとして説明する。
【0094】
図13(B)は、
図13(A)から時間が経過した状態を示す図である。
図13(B)に示すように、媒体M5は重なった状態で媒体搬送方向A2に搬送され、超音波センサ116A~Cの位置に到達する。これにより、超音波センサ116A~Cは、媒体の重なりをそれぞれ検出する。
【0095】
図13を用いて説明したように、重送が発生した場合には、最初に媒体を検出した第2媒体センサ115Aの下流側に位置する超音波センサ116Aが媒体の重なりを検出するとともに、他の超音波センサ116A、Cも媒体の重なりを検出する。したがって、判定処理のS202及びS211により、重送の発生が適切に検出される。
【0096】
以上説明したように、実施形態に係る媒体搬送装置100は、複数の第2媒体センサ115と複数の超音波センサ116を利用して、搬送される媒体が綴じ媒体であるか否かを判定する。これにより、媒体搬送装置100は、綴じ媒体を適切に検出することを可能とする。
【0097】
また、媒体搬送装置100は、媒体の浮き上がりを検出することなく、綴じ媒体を検出する。これにより、媒体搬送装置100は、綴じ媒体を精度良く検出することを可能とする。また、媒体搬送装置100は、一般的な媒体搬送装置が有する媒体検出センサ及び重なり検出センサのみを用いて綴じ媒体を検出するため、装置コスト及び部品実装スペースの増大を抑制しつつ、綴じ媒体を検出することを可能とする。
【0098】
図14は、他の第2媒体センサ215及び超音波センサ216の配置の例を説明するための図である。
【0099】
図14に示す例では、複数の第2媒体センサ115A~C及び複数の超音波センサ116A~Cの代わりに、複数の第2媒体センサ215A~D及び複数の超音波センサ216A~Dが設けられる。以下では、各第2媒体センサ215A~Dを第2媒体センサ215と称する場合がある。また、各超音波センサ216A~Dを超音波センサ216と称する場合がある。各第2媒体センサ215は、第2媒体センサ115と同様の構成を有する。また、各超音波センサ216は、超音波センサ116と同様の構成を有する。
【0100】
4つの第2媒体センサ215A~Dは、搬送方向と直交する幅方向A4に沿って間隔を空けて並べて配置されている。4つの第2媒体センサ215A~Dのうち、幅方向A4において中央部に配置された第2媒体センサ215B及びCは、端部側に配置された第2媒体センサ215A及びDよりも、媒体搬送方向A2においてより下流側に配置されている。
【0101】
4つの超音波センサ216A~Dは、各第2媒体センサ215A~Dに対して媒体搬送方向A2の下流側に配置される。各超音波センサ216A~Dは、幅方向A4において少なくとも一部が各第2媒体センサ215A~Dと重なるように、即ち媒体搬送方向A2から見て少なくとも一部が各第2媒体センサ215A~Dと重なるように配置される。4つの超音波センサ216A~Dのうち、幅方向A4において中央部に配置された超音波センサ216B及びCは、端部側に配置された超音波センサ216A及びDよりも、媒体搬送方向A2においてより下流側に配置されている。
【0102】
なお、第2媒体センサ215及び超音波センサ216の数は、4つに限定されず、3つ以上の任意の数であればよい。
【0103】
図14に示す例では、幅方向A4においてブレーキローラ114よりも外側に配置された第2媒体センサ215A及びDは、ブレーキローラ114の媒体搬送方向A2における下流端よりも下流側に配置されている。このような例に限られず、第2媒体センサ215A及びDは、ブレーキローラ114の媒体搬送方向A2における下流端よりも上流側に配置されてもよい。また、第2媒体センサ215A及びDの下流側にそれぞれ位置する超音波センサ216A及びDが、ブレーキローラ114の媒体搬送方向A2における下流端よりも上流側となるように配置されてもよい。
【0104】
図15(A)~(D)は、
図14に示したセンサ配置の例において、綴じ媒体が搬送された場合のセンサの検出結果について説明するための図である。
図15(A)は、綴じ媒体M1が、載置台103で片側(綴じ位置S側)に寄せて載置されて搬送され、媒体搬送方向A2における先端部が給送ローラ113及びブレーキローラ114の位置に到達した状態を示す図である。
【0105】
図15(B)は、
図15(A)から時間が経過した状態を示す図である。綴じ媒体M1の最も上側に綴じられ、給送ローラ113と接触している媒体M2は、給送ローラ113によって媒体搬送方向A2に押し出される。一方、綴じ媒体M1の、給送ローラ113と接触していない媒体M3は、ブレーキローラ114によって媒体搬送方向A2とは反対方向への力を受け、その場にとどめられる。その結果、
図15(B)に示すように、媒体M2は綴じ位置Sを中心として、幅方向A4において綴じ位置Sとは反対側の端部(左上端)が媒体搬送方向A2に進行するように回転し、幅方向A4において中央部に配置された第2媒体センサ215Bの位置に到達する。これにより、第2媒体センサ215A~Dのうち、第2媒体センサ215Bが最初に媒体を検出する。
【0106】
図15(C)は、
図15(B)からさらに時間が経過した状態を示す図である。媒体M2は給送ローラ113によって媒体搬送方向A2にさらに押し出される。媒体M2が媒体搬送方向A2に押し出されたことにより、媒体M3は綴じ位置Sにおいて、媒体M2から媒体搬送方向A2に引かれる力を受ける。同時に、媒体M3は、ブレーキローラ114によって媒体搬送方向A2とは反対方向への力を受ける。その結果、
図15(C)に示すように、媒体M3はブレーキローラ114との接点を中心として、幅方向A4における綴じ位置S側の端部(右上端)が媒体搬送方向A2に進行するように回転する。
【0107】
図15(D)は、
図15(C)からさらに時間が経過した状態を示す図である。給送ローラ113によって媒体M2は媒体搬送方向A2にさらに押し出される。また、媒体M3は、綴じ位置Sを介して媒体M2に引かれ、ブレーキローラ114の回転力に抗して媒体搬送方向A2に進行する。その結果、媒体M3は、幅方向A4において綴じ位置S側に配置された超音波センサ216Dの位置に到達する。超音波センサ216Dの位置では媒体M2と媒体M3が重なるため、超音波センサ216Dは重なりを検出する。
【0108】
図15(A)~(D)に示したように、綴じ媒体M1が搬送された場合、第2媒体センサ215Bが最初に媒体を検出する。そして、最初に媒体を検出した第2媒体センサ215Bの下流側の超音波センサ216Bは媒体の重なりをすぐには検出せず、幅方向A4において綴じ位置S側に配置された超音波センサ216Dが媒体の重なりをすぐに検出する。
【0109】
特に、本実施形態では、幅方向A4の両端に配置された第2媒体センサ215A、D及び超音波センサ216A、Dは、中央部に配置された第2媒体センサ215B、C及び超音波センサ216B、Cより上流側に配置される。上記したように、綴じ媒体M1が綴じ位置S側に寄せて搬送される場合、分離された媒体M2の先端は、中央部に配置された第2媒体センサ215B、Cによって最初に検出される。一方、綴じ媒体M1の綴じ位置Sは、幅方向A4の端部に配置された超音波センサ216Dと対向するため、綴じ媒体M1の重なりは、超音波センサ216Dによって検出される。本実施形態では、幅方向A4の端部に配置された超音波センサ216Dが上流側に配置されることにより、判定部152は、媒体の重なりをより早期に検出し、媒体の搬送をより早期に停止でき、媒体の損傷の発生を抑制することが可能となる。また、幅方向A4の中央部に配置された超音波センサ216B、Cが下流側に配置されることにより、上流側に残った媒体M3の先端が、中央部に配置された超音波センサ216B、Cの位置に到達するまでには十分な時間がかかる。そのため、判定部152は、綴じ媒体が搬送されているにも関わらず、綴じられていない媒体の重送が発生したと誤って判定し、媒体の搬送を停止させずに媒体を損傷させることを抑制できる。
【0110】
また、複数の第2媒体センサ215及び複数の超音波センサ216の配置間隔が小さくなることにより、媒体搬送装置は、幅方向A4における綴じ媒体のサイズが小さい場合でも綴じ媒体を良好に検出することが可能となり、綴じ媒体の検出精度を向上させることが可能となる。
【0111】
図16(A)~(B)は、
図14に示したセンサ配置の例において、カード媒体が搬送された場合のセンサの検知結果について説明するための模式図である。
図16(A)は、カード媒体M4が給送されて、第2媒体センサ215の位置に到達した状態を示す図である。
図16(A)に示すように、カード媒体M4は幅方向A4において中央部の第2媒体センサ215B及びCの位置に到達しているため、第2媒体センサ215B及びCは媒体を検出する。
【0112】
図16(B)は、
図16(A)から時間が経過した状態を示す図である。
図16(B)において、カード媒体M4は、媒体を検出した第2媒体センサ215B及びCの下流側の超音波センサ216B及びCの位置に到達している。カード媒体M4は通常の媒体よりも厚いため、超音波センサ216B及びCは媒体の重なりをそれぞれ検出する。一方で、カード媒体M4は通常の媒体よりも幅方向A4において小さいため、第2媒体センサ215A、D及び超音波センサ216A、Dの位置には到達しない。そのため、第2媒体センサ215A、Dは媒体を検出せず、超音波センサ216A、Dは媒体の重なりを検出しない。
【0113】
図16を用いて説明したように、カード媒体M4が搬送された場合、幅方向A4において中央部に位置する第2媒体センサ215B及びCのみが媒体を検出する。そして、媒体を検出した第2媒体センサ215B及びCの下流側の超音波センサ216B及びCのみが媒体の重なりを検出する。すなわち、カード媒体が搬送された場合には、最初に媒体を検出した第2媒体センサ215を含む所定数(
図16に示す例では、2つ)の第2媒体センサ215のみが媒体を検出し、媒体を検出した各第2媒体センサ215の下流側の超音波センサ216のみが媒体の重なりを検出する。
【0114】
このように、媒体搬送装置は、媒体搬送方向A2において、複数の第2媒体センサ215及び複数の超音波センサ216をずらして配置した場合も、綴じ媒体を適切に検出することを可能とする。
【0115】
なお、上述した実施形態では、重なり検出センサとして超音波センサが用いられていたが、重なり検出部として、媒体の厚さを検出する厚さセンサが用いられてもよい。厚さセンサは、各超音波センサが配置される位置に配置される。厚さセンサは、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器のペアと、他方の側に設けられた発光器及び受光器のペアとを含む。厚さセンサは、一方のペアが媒体の一方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間と、他方のペアが媒体の他方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間とから、各ペアと媒体の各面までの距離を検出する。厚さセンサは、二つのペアの間の距離から、検出した各距離を減算した減算値を示す信号を、媒体の厚さに応じた厚さ信号として生成する。
【0116】
その場合、判定処理において、判定部152は、定期的に各厚さセンサから厚さ信号を取得し、各厚さ信号の信号値が、厚さ閾値以上である場合に、その厚さセンサが媒体の重なりを検出したと判定する。厚さ閾値は、一枚のPPC用紙が搬送された場合に出力される厚さ信号の信号値と、二枚のPPC用紙が搬送された場合に出力される厚さ信号の信号値との間の値に設定される。
【0117】
また、上述した実施形態では、給送ローラ113がブレーキローラ114の上側に配置されて載置台103に載置された媒体を上側から順に給送していたが、載置台に載置された媒体を下側から順に給送するように、給送ローラがブレーキローラの下側に配置されてもよい。
【0118】
図17は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路350の概略構成を示す図である。処理回路350は、媒体搬送装置100の処理回路150の代わりに用いられ、媒体読取処理を実行する。処理回路350は、制御回路351及び判定回路352等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0119】
制御回路351は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路351は、操作装置105から操作信号を、第1媒体センサ111から第1媒体信号を、判定回路352から判定処理における判定結果を受信し、受信した各信号及び判定結果に基づいてモータ131を制御する。また、制御回路351は、撮像装置119から入力画像を受信し、記憶装置140に記憶するとともにインタフェース装置132を介して情報処理装置へ送信する。
【0120】
判定回路352は、判定部の一例であり、判定部152と同様の機能を有する。判定回路352は、第2媒体センサ115及び超音波センサ116からそれぞれ第2媒体信号、超音波信号を受信する。判定回路352は、受信した各信号に基づいて、媒体が綴じ媒体であるか否か、及び、媒体の重送が発生したか否かを判定し、判定結果を制御回路351に出力する。
【0121】
以上説明したように、媒体搬送装置は、処理回路350を用いる場合においても、綴じ媒体を適切に検出することを可能とする。
【0122】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。例えば、上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0123】
100 媒体搬送装置
113 給送ローラ
115 第2媒体センサ
116 超音波センサ
151 制御部
152 判定部