(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】吸音パネル
(51)【国際特許分類】
E01F 8/00 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
E01F8/00
(21)【出願番号】P 2021060466
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000192615
【氏名又は名称】日鉄神鋼建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】山本 健次郎
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-069824(JP,A)
【文献】特開2002-285517(JP,A)
【文献】特開平10-237822(JP,A)
【文献】特開2013-023967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高架構造物の裏面に設置される吸音パネルであって、
吸音材と、前記吸音材を収容するケーシングを備え、
前記ケーシングは、
下側に向けられる矩形状の正面板と、
前記正面板から立ち上がる4つの側面板と、
前記側面板の上端に形成されるフランジと、
前記吸音材を挟んで前記正面板の反対側に配置されるとともに前記フランジに載置される背面板と、を有し、
前記背面板は、前記フランジが高架構造物の桁部材に載置された状態で、開閉可能であ
り、
前記背面板は、前記フランジに取り付けられるとともに前記フランジの本体よりも下方に形成される前記フランジの受部に載置され、
前記背面板の上面は、前記フランジと面一であること
を特徴とする吸音パネル。
【請求項2】
前記フランジは、高架構造物の桁部材に固定可能であること
を特徴とする請求項1吸音パネル。
【請求項3】
前記吸音材は、複数に分割されて前記ケーシングに収容されること
を特徴とする請求項1又は2記載の吸音パネル。
【請求項4】
前記背面板の上面は、平坦面であること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の吸音パネル。
【請求項5】
前記背面板の下面は、リブ材が設けられること
を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の吸音パネル。
【請求項6】
前記背面板は、ヒンジ部により前記フランジに取り付けられること
を特徴とする請求項1~5の何れか1項記載の吸音パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
高架構造物の桁下裏面に設置される防護材は、桁材等の状態を点検するために足場機能を要求されることがある。高架構造物の桁下裏面に設置される足場機能を有する防護材に関する技術として、特許文献1~3の技術が開示されている。
【0003】
特許文献1の橋梁防護板は、橋梁の桁間に配置される橋梁防護板であって、中空部を有する上面及び下面が平坦状のアルミニウム製押出形材の幅方向に延在する連接部同士を固定部材である固定ボルトとシールドナットによって連結して互いに連結される押出形材の上面を同一平面状に形成する。
【0004】
特許文献2の吸音システムは、高架道路等の裏面側に吊り下げるH形鋼等の小梁は、間隔をあけて略水平に設置されている。金属製ルーバーは相互に若干の間隔をあけて略平行に複数配置されており、前記小梁の下側フランジの下面側にボルト止めで取り付けられている。吸音材は前記金属製ルーバーの上に載置して設置されており、その上面は小梁の上側フランジの上面と同等レベルに保たれている。前記小梁の上側フランジの上面に歩廊材として金属製波形プレートが敷設され、金属製波形プレートと小梁の交点部分がボルト止めされている。
【0005】
特許文献3の吸音パネルは、露出面となる正面板を含む正面板部材と、正面板と対向する背面板を含む背面板部材とを備え、正面板部材及び背面板部材のそれぞれには、互いに対向する一対の側面板が設けられており、正面板部材の一対の側面板には、正面板の内側に屈曲する内鉤部または外側に屈曲する外鉤部が形成され、背面板部材の一対の側面板には、正面板部材の内鉤部に対応する外鉤部または外鉤部に対応する内鉤部が形成されている。内鉤部と外鉤部とが係合するように、正面板部材と背面板部材の側面板同士が重ね合わせられることで、正面板部材が背面板部材によって吊り支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-205961号公報
【文献】特開2001-220716号公報
【文献】特開2016-69824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、高速道路等の高架構造物の裏面に設置される吸音パネルに収容される吸音材は、ポリエステル等の繊維系のものが用いられ、恒久的なものではない。このため、長期間設置されることで、排気ガス等による吸音材の劣化などにより吸音機能の低下が懸念される。また、開口部の形成された正面板の目詰まりによる吸音機能の低下も懸念される。したがって、吸音材や正面板は定期的に点検、補修、交換する必要がある。
【0008】
吸音材の点検等を道路側(足場の外側)から実施する場合には、例えば道路側に高所作業車を設置する方法が考えられるが、交通規制をかける必要があり、更には作業範囲が高所作業車のブームに可動域に制限されるため、労力や費用が増大してしまう。また、吸音材を点検等するための足場を別途組み立てる方法も考えられるが、別途足場を組み立てるのは労力や費用が増大してしまう。
【0009】
特許文献1の開示技術では、単なる足場パネルであり、吸音機能を有していない。このため、足場パネルの下面側に吸音材を別途取り付ける必要がある。しかしながら、別途取り付けた吸音材を足場内から交換するためには、パネル自体を足場内に引き込んだ上で、正面板を取り外す必要がある。このため、作業に時間がかかることに加え、パネルを引き込んだ場所が開口してしまい、この開口から作業者の転落や工具等の落下の危険性がある。したがって、足場内から吸音材を交換する際の安全性を確保することが難しい。
【0010】
特許文献2の開示技術では、足場内から吸音材を交換するために足場材となる金属製波形プレートを取り外す必要がある。しかしながら、この金属製プレートを取り外してしまうと、足場機能が喪失してしまい、金属製波形プレートを取り外した箇所を誤って踏み抜いてしまうと、転落や落下の危険性がある。したがって、足場内から吸音材を交換する際の安全性を確保することが難しい。
【0011】
特許文献3の開示技術では、内鉤部と外鉤部とが係合するように、正面板部材と背面板部材の側面板同士が重ね合わせられるため、そもそも吸音パネルごと足場内に引き込むことができず、足場内から吸音材を交換することができない。
【0012】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、足場内から吸音材を交換する際の安全性を確保することが可能となる吸音パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る吸音パネルは、高架構造物の裏面に設置される吸音パネルであって、吸音材と、前記吸音材を収容するケーシングを備え、前記ケーシングは、下側に向けられる矩形状の正面板と、前記正面板から立ち上がる4つの側面板と、前記側面板の上端に形成されるフランジと、前記吸音材を挟んで前記正面板の反対側に配置されるとともに前記フランジに載置される背面板と、を有し、前記背面板は、前記フランジが高架構造物の桁部材に載置された状態で、開閉可能であり、前記背面板は、前記フランジに取り付けられるとともに前記フランジの本体よりも下方に形成される前記フランジの受部に載置され、前記背面板の上面は、前記フランジと面一であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、足場内から吸音材を交換する際の安全性を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る吸音パネル1が取り付けられる高架構造物9を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る吸音パネルを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る吸音パネルを桁軸方向から示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る吸音パネルを桁幅方向から示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る吸音パネルの設置方法を説明するための図であって、一方の第1フランジを一方の梁材の梁下フランジに載置した状態を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る吸音パネルの設置方法を説明するための図であって、他方の第1フランジを他方の梁材の梁下フランジに載置した状態を示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る吸音パネルの設置方法を説明するための図であって、一対の第1フランジを一対の梁材の梁下フランジに固定した状態を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る吸音材の交換方法を説明するための図であって、背面板を開いた状態を示す図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る吸音材の交換方法を説明するための図であって、
図9(a)は、吸音材を撤去する前を示す図であり、
図9(b)は、吸音材を撤去する状態を示す図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る吸音材の交換方法を説明するための図であって、
図10(a)は、新たな吸音材を設置する状態を示す図であり、
図10(b)は、荒波吸音材を設置した後を示す図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る吸音パネルのリブ材の効果を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係る吸音パネルを桁幅方向から示す図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係る吸音パネルを桁幅方向から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した吸音パネル及び吸音材の交換方法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
(第1実施形態)
吸音パネル1は、
図1に示すように、高架構造物9の裏面に設置される。高架構造物9は、車両等が通行可能な上部構造部91と、上部構造部91を支持する桁部材92と、を主に備える。桁部材92は、桁本体93と、吊材94と、梁材95と、を有する。桁本体93は、桁軸方向Yに延びるアイビーム等が用いられ、断面H形状に形成される。桁本体93は、桁軸方向Yに直交する桁幅方向Xに複数設けられる。吊材94は、桁本体93の側面を挟んで取り付けられる。梁材95は、桁軸方向Yに延びるH形鋼等の梁材であり、梁上フランジ96と、梁下フランジ97と、梁上フランジ96と梁下フランジ97とを繋ぐ梁ウェブ98と、を有する。梁材95は、梁上フランジ96が吊材94にボルト等の接合部材により吊り下げ固定される。以下の実施形態では、吸音パネル1は、高架構造物9における桁部材92の梁材95に設けられるが、本発明に係る吸音パネルは、高架構造物9における桁部材92の桁本体93に設けられてもよい。
【0019】
吸音パネル1は、
図2に示すように、吸音材2と、ケーシング3と、を備える。
【0020】
吸音材2は、ポリエステル等の繊維材からなり、所定の吸音機能を有する。吸音材2は、複数に分割されてケーシング3に収容される。吸音材2は、例えば
図4に示すように、桁軸方向Yで2つの吸音材2a、2bに分割される。分割された吸音材2a、2bは、それぞれ板状等に成形されている。
【0021】
ケーシング3は、吸音材2が収容され、アルミニウム合金等の剛性材料から構成される。ケーシング3は、正面板4と、側面板5と、フランジ6と、背面板7と、を有する。
【0022】
正面板4は、下側に向けて配置され、矩形状に形成される。正面板4は、地上の道路からの騒音を吸音材2に吸収させるためのパンチング孔41が複数形成される。正面板4は、桁幅方向Xの一方側の端部に、被覆材42が固定されている。被覆材42は、鋼板等の板材であり、第1側面板51から突出されるように正面板4に固定されている。
【0023】
側面板5は、正面板4の4辺から立ち上がるように形成される。側面板5は、正面板4の桁幅方向Xの両端に形成される一対の第1側面板51、52と、正面板4の桁軸方向Yの両端に形成される一対の第2側面板53、54と、で構成される。側面板5は、正面板4から折り曲げられて形成されてもよいし、正面板4とは別の鋼板を溶接することにより形成されてもよい。
【0024】
第1側面板51は、正面板4から略垂直に立ち上がる第1立ち上がり部51aと、第1立ち上がり部51aから第1側面板52側に向けて正面板4と平行に形成される平坦部51bと、平坦部51bから略垂直に立ち上がる第2立ち上がり部51cと、を有する。
【0025】
第1側面板52は、正面板4から略垂直に立ち上がる。第2側面板53、54は、正面板4から略垂直に立ち上がる。
【0026】
フランジ6は、側面板5の上端に形成される。フランジ6は、第1側面板51、52の上端に形成される第1フランジ61、62と、第2側面板53、54の上端に形成される第2フランジ63、64と、を有する。
【0027】
第1フランジ61、62は、
図3に示すように、側面板5からケーシング3の外側に向けて延びる。第1フランジ61、62は、側面板5からケーシング3の外側に向けて延びる部分に、固定部材8を取り付けるための貫通孔が形成される。固定部材8は、例えばボルト81と、ナット82と、により構成される。
【0028】
第2フランジ63、64は、
図4に示すように、側面板5からケーシング3の内側と外側の両側に向けて延びる。第2フランジ63、64は、側面板5からケーシング3の外側に向けて延びる部分に、取付部材72を取り付けるための貫通孔が形成される。取付部材72は、例えばボルト73と、ナット74とにより構成される。第2フランジ63、64の下面には、ナット74が予め溶接等により固定されている。
【0029】
背面板7は、吸音材2を挟んで正面板4の反対側に配置される。背面板7は、フランジ6に載置される。背面板7は、パンチング孔が形成されていないものである。背面板7は、上面が平坦状に形成される。背面板7は、下面にリブ材71が溶接等により設けられる。リブ材71は、例えば鋼板等で構成される。背面板7は、アルミ押出材が用いられ、リブ材71と一体成型されるものであってもよい。
【0030】
背面板7は、桁幅方向Xの両端が、第1フランジ61、62に載置される。背面板7は、桁軸方向Yの両端が、第2フランジ63、64に載置され、取付部材72を取り付けるための貫通孔が形成される。背面板7は、取付部材72により第2フランジ63、64に取り付けられる。背面板7は、第2フランジ63、64の下面に固定されたナット74にボルト73を着脱することで、上側から開閉可能に第2フランジ63、64に取り付けられる。
【0031】
次に、第1実施形態に係る吸音パネルの設置方法について説明する。
【0032】
吸音パネルの設置方法では、
図5に示すように、吸音パネル1を準備する。吸音パネル1は、予め背面板7は、取付部材72により第2フランジ63、64に取り付けられ、閉じられた状態である。
【0033】
先ず、吸音パネルの設置方法では、吸音パネル1の第1フランジ61を、一方の梁材95の梁下フランジ97に載置する。このとき、第1フランジ61と第1側面板51の平坦部51bとの間に梁下フランジ97が差し込まれるように、第1フランジ61を一方の梁材95の梁下フランジ97に載置する。
【0034】
次に、吸音パネルの設置方法では、
図6に示すように、吸音パネル1の第1フランジ62を、他方の梁材95の梁下フランジ97に載置する。このとき、吸音パネル1の被覆材42が、隣接する吸音パネル1’の正面板4’に跨るように配置される。このため、道路側(下側)から吸音パネル1を見たときに、一方の梁材95が被覆材42により、被覆される。また、吸音パネル1の正面板4の端部は、隣接する吸音パネル1”の被覆材42”が跨るように配置される。このため、道路側(下側)から吸音パネル1を見たときに、他方の梁材95が被覆材42”により、被覆される。
【0035】
次に、吸音パネルの設置方法では、
図7に示すように、梁下フランジ97の下面に予め固定されたナット82に、ボルト81を螺合し、第1フランジ61、62を梁下フランジ97にそれぞれ固定する。吸音パネル1の第1フランジ62を、他方の梁材95の梁下フランジ97に載置する。なお、第1フランジ61、62を梁下フランジ97にそれぞれ固定部材8により固定するのは任意であり、省略してもよい。
【0036】
以上により、第1実施形態に係る吸音パネルの設置方法が完了する。
【0037】
次に、第1実施形態に係る吸音材の交換方法について説明する。
【0038】
吸音材の交換方法では、予め吸音パネル1の第1フランジ61、62が梁下フランジ97に載置された状態から開始する。また、吸音材の交換方法では、予め背面板7は、予め取付部材72により第2フランジ63、64に取り付けられ、閉じられた状態である。
【0039】
先ず、吸音材の交換方法では、
図8に示すように、第1フランジ61、62を高架構造物9の桁部材92(梁下フランジ97)に載置した状態で、ボルト73をナット74から取り外し、背面板7を開く。これにより、
図9(a)に示すように、ケーシング3に収容された吸音材2が上側に露出された状態となる。
【0040】
次に、吸音材の交換方法では、ケーシング3に収容された吸音材2を撤去する。ここで、第2フランジ63、64は、ケーシング3の内側に延びて形成されるため、吸音材2が桁軸方向Yで分割されていない場合、吸音材2を撤去する際に第2フランジ63、64に接触して撤去作業が行いにくい。この点、ケーシング3に収容された吸音材2は、
図9(b)に示すように、桁軸方向Yで吸音材2a、2bに分割されている。このため、分割された吸音材2aを湾曲させることにより、吸音材2を撤去する際に、第2フランジ63、64への接触を回避することができる。このため、吸音材2の撤去作業を容易に行うことが可能となる。分割された吸音材2aを撤去した後、分割された吸音材2bを撤去する。吸音材2を撤去した際に、正面板4を上面側から点検することができる。
【0041】
次に、吸音材の交換方法では、吸音材2を撤去した箇所に、新たな吸音材2を設置し、新たな吸音材2に交換する。新たな吸音材2に交換する際には、分割された新たな吸音材2bをケーシング3に設置する。そして、分割された新たな吸音材2aを湾曲させながら、ケーシング3に設置する。これにより、新たな吸音材2を設置する際に、第2フランジ63、64への接触を回避することができる。このため、新たな吸音材2の設置作業を容易に行うことが可能となる。
【0042】
次に、吸音材の交換方法では、新たな吸音材2に交換した後に、背面板7を閉じる。背面板7を閉じる際には、背面板7を第2フランジ63、64に載置した上で、背面板7を第2フランジ63、64に取付部材72により取り付ける。
【0043】
以上により、第1実施形態に係る吸音材の交換方法が完了する。
【0044】
本実施形態によれば、吸音材2と、吸音材2を収容するケーシング3を備え、ケーシング3は、下側に向けられる矩形状の正面板4と、正面板4から立ち上がる4つの側面板5と、側面板5の上端に形成されるフランジ6と、吸音材2を挟んで正面板4の反対側に配置されるとともにフランジ6に載置される背面板7と、を有し、背面板7は、フランジ6が高架構造物9の桁部材92に載置された状態で、開閉可能である。これにより、吸音材2を交換する際に、正面板4が高架構造物9の桁下裏面に残置されるものとなる。このため、吸音材2を交換する際の吸音パネル1の足場機能を確保でき、作業者の転落や工具等の落下を防止することができる。このため、足場内から吸音材2を交換する際の安全性を確保することが可能となる。
【0045】
また、本実施形態によれば、吸音材2を撤去した際に、正面板4のパンチング孔41の目詰まり等の点検や補修(目詰まりの除去)を足場内から安全に実施することができる。
【0046】
本実施形態によれば、フランジ6は、高架構造物9の桁部材92に固定可能である。これにより、フランジ6と桁部材92とを強固に固定できる。このため、背面板7を開閉した際であっても吸音パネル1の足場機能をより強固にすることができる。
【0047】
本実施形態によれば、吸音材2は、複数に分割されてケーシング3に収容される。これにより、吸音材2を交換する作業を容易に行うことが可能となる。
【0048】
本実施形態によれば、背面板7の上面は、平坦面である。これにより、作業者の歩行や点検、交換の際に用いる資材等を運搬する台車の走行を、より容易に行うことが可能となる。このため、吸音材2の交換作業を容易に行うことが可能となる。
【0049】
本実施形態によれば、背面板7の下面は、リブ材71が設けられる。これにより、作業者が歩行等した際の背面板7のたわみを抑制することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、背面板7の下面は、リブ材71が設けられる。これにより、
図11に示すように、正面板4から入射する音Sは、吸音材2に吸音された後、リブ材71に反射させることができる。このため、ケーシング3内部における音Sの反射回数を増加させて拡散効果を高めることができ、正面板4の外側に抜け出る音Sを減衰させることができる。
【0051】
本実施形態によれば、第1側面板51は、正面板4から略垂直に立ち上がる第1立ち上がり部51aと、第1立ち上がり部51aから第1側面板52側に向けて正面板4と平行に形成される平坦部51bと、平坦部51bから略垂直に立ち上がる第2立ち上がり部51cと、を有する。これにより、桁部材92の下側の空間にもケーシング3が配置されるものとなる。このため、当該ケーシング3に吸音材2を収容できるため、吸音効率を向上させることが可能となる。
【0052】
本実施形態によれば、正面板4に、側面板5よりも突出される被覆材42が設けられる。これにより、一の吸音パネル1を桁部材92に載置した際に、一の吸音パネル1の被覆材42が隣接する他の吸音パネル1’に跨るように配置され、桁部材92が被覆材42により被覆される。その結果、密閉性を確保することが可能となる。また、吸音面積を確保することができるため、吸音効率を向上させることが可能となる。
【0053】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る吸音パネル1では、
図12に示すように、背面板7は、下面にリブ材71が溶接等により設けられる。リブ材71は、例えばL字状に形成されるアングル材等で構成される。背面板7は、アルミ押出材が用いられ、リブ材71と一体成型されるものであってもよい。
【0054】
本実施形態によれば、背面板7の下面は、断面L字状のリブ材71が設けられる。これにより、正面板4から入射する音Sは、吸音材2に吸音された後、断面L字状のリブ材71に反射させることができる。このため、ケーシング3内部における音Sの反射回数を更に増加させて拡散効果を高めることができ、正面板4の外側に抜け出る音Sを更に減衰させることができる。
【0055】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る吸音パネル1では、
図13に示すように、背面板7は
、桁軸方向Yの両端が、第2フランジ63、64に載置される。背面板7は、桁軸方向Yの一端側がヒンジ部75により第2フランジ63に取り付けられる。背面板7は、ヒンジ部75により上側から開閉可能に第2フランジ63に取り付けられる。背面板7は、桁軸方向Yの他端側が第2フランジ64に載置される。この第2フランジ64には、第2フランジ64本体よりも下方に形成される受部64aを有し、受部64aに背面板7が載置される。これにより、背面板7の上面は、第2フランジ63、64と面一となる。
【0056】
本実施形態によれば、背面板7は、フランジ6が高架構造物9の桁部材92に載置された状態で、ヒンジ部75により開閉可能である。これにより、背面板7の下面は、断面L字状のリブ材71が設けられる。これにより、吸音材2を交換する際に、正面板4が高架構造物9の桁下裏面に残置されるものとなる。このため、吸音材2を交換する際の吸音パネル1の足場機能を確保でき、作業者の転落や工具等の落下を防止することができる。このため、足場内から吸音材2を交換する際の安全性を確保することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態によれば、背面板7は、ヒンジ部75により開閉可能である。これにより、背面板7の開閉作業がより容易となる。吸音材2の交換作業を容易に行うことが可能となる。
【0058】
以上、この発明の実施形態のいくつかを説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、これらの実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。さらに、この発明は、上記いくつかの実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記いくつかの実施形態のそれぞれは、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 :吸音パネル
2 :吸音材
3 :ケーシング
4 :正面板
41 :パンチング孔
42 :被覆材
5 :側面板
51 :第1側面板
52 :第1側面板
53 :第2側面板
54 :第2側面板
6 :フランジ
61 :第1フランジ
62 :第1フランジ
63 :第2フランジ
64 :第2フランジ
7 :背面板
71 :リブ材
72 :取付部材
73 :ボルト
74 :ナット
75 :ヒンジ部
8 :固定部材
81 :ボルト
82 :ナット
9 :高架構造物
91 :上部構造部
92 :桁部材
93 :桁本体
94 :吊材
95 :梁材
96 :梁上フランジ
97 :梁下フランジ
98 :梁ウェブ