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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】コネクタ、コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/46 20060101AFI20241210BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01R13/46 A
H01R13/52 301H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021062555
(22)【出願日】2021-04-01
(65)【公開番号】P2022157985
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】三浦 達也
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060707(JP,A)
【文献】特開2004-296452(JP,A)
【文献】特開2018-206501(JP,A)
【文献】特表2022-540526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタと押し込みにより嵌合するコネクタであって、
前記相手コネクタの第1ハウジングが外部に嵌合する嵌合部を有する第2ハウジングと、
前記嵌合部の外周に設けられた環状溝と、
前記環状溝に嵌め込まれた弾性を有する環状のシール部材と、
前記嵌合部の外周であって、前記環状溝又は前記シール部材よりも前記嵌合部の前記相手コネクタが挿入される先端部側に設けられ、前記相手コネクタの前記第1ハウジングの内壁と接触する突起と、
を備え、
前記環状溝に嵌め込まれた前記シール部材は、その外形が、無負荷状態で前記突起よりも外側に出っ張っている、
コネクタ。
【請求項2】
前記嵌合部及び前記第1ハウジングは、導電体により構成されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記嵌合部の外形は、平面視で角に丸みを有する矩形状を有し、
前記突起は、前記矩形状のうちの対向する二辺となる対向する前記嵌合部を構成する外壁に設けられている、
請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第2ハウジングは、前記嵌合部の前記相手コネクタが挿入される先端部とは反対側の後端部から外側に拡がるフランジ部を有し、
前記フランジ部には、前記嵌合部の延び方向に立設された係止壁部と、前記係止壁部から前記嵌合部側に張り出した膨出部とが設けられ、
前記膨出部は、前記相手コネクタの前記第1ハウジングに回転可能に軸支された操作レバーのアーム部に設けられたカム溝に、前記嵌合の際前記操作レバーの回転により係合して前記相手コネクタに前記フランジ部に向けた力を加える、
請求項1~3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
第1ハウジングを備えたプラグコネクタと、
前記第1ハウジングと嵌合する嵌合部を有する第2ハウジングを備えたレセプタクルコネクタと、
を備え、押し込みにより前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとが嵌合するコネクタ装置であって、
前記レセプタクルコネクタは、
前記嵌合部の外周に設けられた環状溝と、
前記環状溝に嵌め込まれた弾性を有する環状のシール部材と、
前記嵌合部の外周であって、前記環状溝又は前記シール部材よりも前記嵌合部の前記プラグコネクタが挿入される先端部側に設けられ、前記プラグコネクタの第1ハウジングの内壁と接触する突起を有し、
前記環状溝に嵌め込まれた前記シール部材は、その外形が、無負荷状態で前記突起よりも外側に出っ張っている、
コネクタ装置。
【請求項6】
前記第1ハウジングの内壁には、前記第1ハウジングの内部空間が、前記嵌合部が挿入される前記第1ハウジングの端部側に拡がるように傾斜が形成されている、
請求項5に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
第1ハウジングを備えたプラグコネクタと、
前記第1ハウジングと嵌合する嵌合部を有する第2ハウジングを備えたレセプタクルコネクタと、
を備え、押し込みにより前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとが嵌合するコネクタ装置であって、
前記レセプタクルコネクタは、
前記嵌合部の外周に設けられた環状溝と、
前記環状溝に嵌め込まれた弾性を有する環状のシール部材と、
を備え、
前記プラグコネクタは、前記第1ハウジングの内壁であって、前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとが嵌合した際の前記環状溝又は前記シール部材よりも奥の位置に設けられ、前記レセプタクルコネクタの前記嵌合部の外周と接触する突起を備え、
前記環状溝に嵌め込まれた前記シール部材は、その外形が、無負荷状態で前記突起よりも外側に出っ張っている、
コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押し込み式のコネクタ及びコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コネクタ装置としては、相手コネクタの第1ハウジングの内部に、コネクタの第2ハウジングが有する嵌合部を嵌合し、両コネクタの端子同士を電気的に接続する押し込み式のコネクタ装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-206501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のコネクタ、コネクタ装置においては、両コネクタの嵌合、抜去を行うため、嵌合部と第1ハウジングとの間には、隙間が設けられる。そのため、相手コネクタがコネクタに対して嵌合方向周りで回転したり位置がずれたりするなど、両コネクタにガタツキが発生する場合があり、コネクタ、コネクタ装置に求められる性能を発揮できない場合があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ガタツキを抑制し、相手コネクタに対するコネクタの相対的な位置関係を安定させることのできるコネクタ、コネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタは、相手コネクタと押し込みにより嵌合するコネクタであって、前記相手コネクタの第1ハウジングが外部に嵌合する嵌合部を有する第2ハウジングと、前記嵌合部の外周に設けられ、前記相手コネクタの前記第1ハウジングの内壁と接触する突起と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明のコネクタ装置は、第1ハウジングを備えたプラグコネクタと、前記第1ハウジングと嵌合する嵌合部を有する第2ハウジングを備えたレセプタクルコネクタと、を備え、押し込みにより前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとが嵌合するコネクタ装置であって、前記嵌合部は、前記嵌合部の外周に設けられ、前記プラグコネクタの第1ハウジングの内壁と接触する突起を有することを特徴とする。
【0008】
本発明のコネクタ装置は、第1ハウジングを備えたプラグコネクタと、前記第1ハウジングと嵌合する嵌合部を有する第2ハウジングを備えたレセプタクルコネクタと、を備え、押し込みにより前記プラグコネクタと前記レセプタクルコネクタとが嵌合するコネクタ装置であって、前記プラグコネクタは、前記第1ハウジングの内壁に設けられ、前記レセプタクルコネクタの前記嵌合部の外周と接触する突起を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明のコネクタは、相手コネクタと押し込みにより嵌合するコネクタであって、前記相手コネクタの第2ハウジングの嵌合部と嵌合する第1ハウジングと、前記第1ハウジングの内壁に設けられ、前記相手コネクタの前記嵌合部の外周と接触する突起と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ガタツキを抑制し、相手コネクタに対するコネクタの相対的な位置関係を安定させるコネクタ、コネクタ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る、嵌合状態にあるコネクタ装置の斜視図である。
図2】実施形態に係る、嵌合状態を解除したコネクタ装置の斜視図である。
図3】実施形態に係るコネクタ装置の正面図である。
図4図3のA-A断面図である。
図5】実施形態に係るコネクタ装置の平面図である。
図6図5のB-B断面図である。
図7】実施形態に係るレセプタクルコネクタの斜視図である。
図8】実施形態に係るレセプタクルコネクタの分解斜視図である。
図9】実施形態に係るレセプタクルコネクタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
[構成]
図1は、実施形態に係る、嵌合状態にあるコネクタ装置の斜視図である。図2は、実施形態に係る、嵌合状態を解除したコネクタ装置の斜視図である。
【0013】
以下の実施形態において、説明の便宜上、両コネクタ2、3の嵌合・抜去方向をZ(Z1、Z2)方向とし、Z方向に直交し、電気ケーブル4が延びる方向をX(X1、X2)方向とし、X及びZ方向に直交する方向をY(Y1、Y2)方向とする。Z2方向が嵌合方向であり、Z1方向が抜去方向である。なお、各方向は、コネクタ装置1を構成する部位の相対的な位置関係を説明するためのものであり、絶対的な方向を示すものではない。Y方向を左右方向、特にY1方向を左方向、或いは相対的にY1側を左側と称し、Y2方向を右方向、或いは相対的にY2側を右側とも称する場合がある。Z方向のうち、相対的にZ1側を上方又は上側、上、相対的にZ2側を下方、下側、下又は底側と称する場合がある。
【0014】
図1及び図2に示すように、コネクタ装置1は、プラグコネクタ2とレセプタクルコネクタ3とを備える。プラグコネクタ2は、電気ケーブル4の一端に接続して使用され、レセプタクルコネクタ3は、モータその他の装置の筐体の表面に設置されて使用され、本実施形態では、産業機器用のサーボモータに設置することができる。プラグコネクタ2とレセプタクルコネクタ3は、押し込み式のコネクタである。すなわち、プラグコネクタ2とレセプタクルコネクタ3は、Z2方向の押し込みにより互いに嵌合することで、両コネクタ2、3が有する端子同士が互いに電気的に接続される。さらに換言すれば、押し込み式のコネクタは、螺合により嵌合及び端子の電気的接続が確保されるコネクタを含まない。
【0015】
図3は、コネクタ装置の正面図であり、図4は、図3のA-A断面図である。図5は、コネクタ装置の平面図であり、図6は、図5のB-B断面図である。
【0016】
図1図4に示すように、プラグコネクタ2は、第1ハウジング20、操作レバー21、クランプ受け部22、クランプ23、ガスケット24、クランプ部材25、端子等を含み構成されている。クランプ23は、第1ハウジング20に固定されたクランプ受け部22、及び、ガスケット24、クランプ部材25を介して電気ケーブル4をプラグコネクタ2に固定する。クランプ受け部22は、そのX2方向の端部にゴム等の弾性を有する環状のシール部材50を介在させた状態で、ネジ51等の固定部材により第1ハウジング20に固定されている(例えば、図4参照)。図1図2及び図4に示すように、クランプ23は、樹脂製の絶縁材料で構成された筒状部材である。ガスケット24は、リング状のゴム等の弾性部材であり、クランプ部材25は、樹脂等の絶縁材料で構成された筒状部材である。ガスケット24の一部が、図4に示すように、クランプ受け部22のX1方向の端部に設けられた凹部22aに嵌め込まれ、ガスケット24の残りの部分が、クランプ部材25のX2方向の端部に設けられた凹部25aに嵌め込まれ、ガスケット24及びクランプ部材25の周囲からクランプ23を嵌め込み、電気ケーブル4をガスケット24、クランプ部材25、クランプ23に通した状態で螺合等により電気ケーブル4を第1ハウジング20に対して固定する。コネクタ装置1には、電気ケーブル4として本実施形態では、電源用ケーブルと信号用ケーブルの2本設けられているが、電気ケーブル4の種類や本数は特に限定されない。
【0017】
第1ハウジング20は、導電体により構成され、ここでは、箱型形状を有するように成形された金属製のダイキャストである。第1ハウジング20の内部には、レセプタクルコネクタ3の後述の嵌合部31が嵌合する。第1ハウジング20の内壁20aには、第1ハウジング20の内部空間が、嵌合部31が挿入される第1ハウジング20の端部20b側に拡がるように傾斜が形成されている。
【0018】
第1ハウジング20の内部には、電気ケーブル4と電気的に接続される端子を収容した内部嵌合部が設けられている。内部嵌合部は、第1ハウジング20内に設けられた内部ハウジング201、内部ハウジング201に保持された端子(不図示)を含む。内部ハウジング201は、例えば樹脂等の絶縁部材であり、端子を保持する。内部ハウジング201は、内部ハウジング201に設けられた穴(不図示)に端子を圧入により保持しても良いし、一体成形により保持しても良い。端子は、レセプタクルコネクタ3の端子と電気的に接続される導電体である。この端子は、本実施形態では、電源用端子と信号用端子とを含む。そのため、第1ハウジング20内部には、左右の2つの内部ハウジング201が設けられている。電源用端子は、左側の内部ハウジング201に保持され、信号用端子は、右側の内部ハウジング201に保持される。内部嵌合部(又は左右の内部ハウジング201)は、電源用端子、信号用端子を含むZ2方向に延びる凸部201aをそれぞれ有し、当該凸部201aが対応する、後述のレセプタクルコネクタ3の内部ハウジング301の凹部に嵌合することで、両コネクタ2、3の端子同士が電気的に接続される(図4参照)。
【0019】
第1ハウジング20には、その正面20cに左右方向に延び、当該正面20cから突出した引っかけ部20dが設けられ、その左右の側面20eの中央付近に回転軸20fがY方向に沿って設けられている。
【0020】
図1及び図2に示すように、操作レバー21は、第1ハウジング20の一方の側面20eから他方の側面20eに渡って第1ハウジング20の形状に沿ったU字形状を有し、プラグコネクタ2とレセプタクルコネクタ3の嵌合状態を維持可能にし、また、当該嵌合状態を解除可能にする。
【0021】
具体的には、操作レバー21は、Y方向に延びるカバー部211と、カバー部211の両端から回転軸20fに向かって延び左右の側面20eを覆う一対のアーム部212と、を有する。カバー部211は、図1に示すように、両コネクタ2、3の嵌合状態を維持するときには第1ハウジング20の正面20cを覆い、図2に示すように、両コネクタ2、3の嵌合状態を解除したときには、第1ハウジング20の上面20gを覆う。
【0022】
アーム部212には、軸孔212aが形成された軸受け部212bが設けられており、この軸孔212aに回転軸20fが挿通されることにより、操作レバー21は、第1ハウジング20に対して回転可能に軸支されている。操作レバー21は、回転軸20f回りに所定角度(例えば、90°)回転可能である。操作レバー21は、図1に示す嵌合状態を維持する位置(以下、「第1の位置」ともいう。)から図2に示す嵌合状態を解除した位置(以下、「第2の位置」ともいう。)へ回転可能であり、逆に、第2の位置から第1の位置への回転も可能である。
【0023】
図2及び図6に示すように、アーム部212には、カム溝212cが設けられている。カム溝212cは、両コネクタ2、3の嵌合の際に操作レバー21の回転によりレセプタクルコネクタ3の後述する膨出部34と係合し、操作レバー21はレセプタクルコネクタ3の後述する第2ハウジング30に固定され、プラグコネクタ2はレセプタクルコネクタ3に対して係止される。また、カム溝212cは、アーム部212の外側の一部が凹んで形成されている。すなわち、アーム部212は、カバー部211から軸受け部212bとアーム212dとが分岐しており、操作レバー21の回転の際、アーム212dの縁が膨出部34と摺動接触する。図6に示すように、アーム212dの先端部212eは膨出部34側に膨出しており、特に、嵌合の際の操作レバー21の回転により、先端部212eを介してプラグコネクタ2は、膨出部34からの抗力を受けてレセプタクルコネクタ3側(Z2方向)への力が付与される。また、アーム212dは、その先端部212eにより、嵌合後は、操作レバー21の不要の回動を防止する。
【0024】
カバー部211には、弾性を有し、内側に突出した爪部211aが設けられており、操作レバー21が下まで下げられたとき、すなわち、第1の位置に位置したとき、第1ハウジング20の正面20cに設けられた引っかけ部20dに引っ掛かり、操作レバー21の不要の回動を防止する。
【0025】
図7は、レセプタクルコネクタの斜視図であり、図8は、レセプタクルコネクタの分解斜視図である。図9は、レセプタクルコネクタの平面図である。
【0026】
レセプタクルコネクタ3は、第2ハウジング30、突起35、環状溝36、シール部材37、シールシート部材38、内部ハウジング301、端子302を有する。
【0027】
第2ハウジング30は、導電体により構成されており、ここでは例えば金属製のダイキャストである。第2ハウジング30は、アース接続することができる。第2ハウジング30は、嵌合部31、フランジ部32、係止壁部33、膨出部34を有する。
【0028】
図7及び図8に示すように、嵌合部31は、筒形状を有し、Z方向に延びて設けられている。嵌合部31のZ1側の端部が先端部であり、Z2側の端部が後端部である。図2及び図4に示すように、嵌合部31は、先端部側から第1ハウジング20の内部に嵌合する。嵌合部31の外形は、平面視で角に丸みを有する矩形状を有する。すなわち、嵌合部31を構成する外壁は平面視で角に丸みを有する矩形状を有する。また、嵌合部31の外形は、平面視で第1ハウジング20よりも若干小さく、嵌合部31の外周と第1ハウジング20の内壁20aとの間には隙間が設けられている。
【0029】
図8に示すように、嵌合部31の内部には、Z方向に貫通する貫通孔311が設けられ、貫通孔311には、左右に空間を隔てる壁312が設けられている。そのため、貫通孔311には、壁312により左右に貫通孔311a、311bが形成されている。貫通孔311a、311bには、内部ハウジング301が収容される。
【0030】
内部ハウジング301は、樹脂等の絶縁部材で構成され、端子302を保持する。端子302は、プラグコネクタ2の端子と電気的に接続される導体である。端子302は、本実施形態では、電源用端子302a、信号用端子302b、アース端子302cを含む。電源用端子302aは、電源用の電気ケーブル4に電気的に接続される端子である。信号用端子302bは、信号用の電気ケーブル4に電気的に接続される端子である。アース端子302cは、アース接続される端子である。本実施形態では、電源用端子302a及びアース端子302cは、左側の内部ハウジング301に保持され、信号用端子302bは、右側の内部ハウジング301に保持される。図4に示すように、内部ハウジング301は、Z1側の端部に凹部301aを有し、この凹部301aにプラグコネクタ2の凸部201aがそれぞれ嵌合する。これにより、両コネクタ2、3の端子を電気的に接続することができる。
【0031】
フランジ部32は、嵌合部31の相手コネクタであるプラグコネクタ2が挿入される先端部(すなわち、嵌合部31のZ1側の端部)とは反対側の後端部(すなわち、嵌合部31のZ2側の端部)から外側に拡がる。換言すれば、フランジ部32は、平面視して矩形状を有する。フランジ部32は、レセプタクルコネクタ3が設置される設置対象機器にレセプタクルコネクタ3を固定する部位である。本実施形態では、フランジ部32の四隅にネジ孔32aが設けられており、このネジ孔32aに不図示のネジ等の固定部材を挿入し締結することでレセプタクルコネクタ3を設置対象機器に固定することができる。フランジ部32の上面には、第1ハウジング20が嵌合部31に嵌合してZ2方向に押し込まれると第1ハウジング20の端部20bが当接する(図4参照)。
【0032】
係止壁部33は、フランジ部32に嵌合部31の延び方向(Z1方向)に立設されている。本実施形態では、係止壁部33は、一対の板状体であり、その平面をZX方向と平行にして嵌合部31を挟んでフランジ部32に設けられている。ここでは、係止壁部33は、平面視で矩形状の短辺となる嵌合部31の外壁の外側に配置されている。係止壁部33は、その先端部(Z1側端部)がテーパー状に形成されている。
【0033】
膨出部34は、一対の係止壁部33のZ1側の端部から嵌合部31側に張り出して設けられた突起である。図6に示すように、膨出部34の断面形状は、フランジ部32側程先細ったテーパー形状を有する。膨出部34は、操作レバー21が回転により下げられると、カム溝212cに入り込んで係合する。すなわち、膨出部34は、アーム212d上に位置し、アーム212dの上縁と摺動接触することになるため、アーム212d(操作レバー21)を介して相手コネクタであるプラグコネクタ2にフランジ部32に向けた力(Z2方向の力)を加えることができる。このようにして、両コネクタ2、3を嵌合し、プラグコネクタ2がレセプタクルコネクタ3にロックされた状態となり、嵌合状態を維持した状態となる。この状態となる位置が第1の位置である。一方、操作レバー21が所定角度上げられると、膨出部34はカム溝212cから抜けてカム溝212c(アーム212d)との係止関係が解除され、嵌合状態を解除した状態となる。この状態となる位置が第2の位置である。すなわち、操作レバー21の回転により、軸受け部212bが、係止壁部33のテーパー状の上部を摺動して載り上げる。なお、プラグコネクタ2が係止された後に、軸受け部212b側に突出したアーム212dの先端部212eが、膨出部34の縁に引っ掛かり、操作レバー21のロック状態を強化するようにしても良い。
【0034】
図7及び図8に示すように、突起35は、嵌合部31の外周に設けられ、嵌合部31の外側に膨出している。具体的には、突起35は、嵌合部31のプラグコネクタ2が挿入される先端部側に先細った傾斜を有する。突起35は、相手コネクタであるプラグコネクタ2と嵌合した際、第2ハウジング30の内壁20aと接触する(図4参照)。そのため、嵌合部31がアース接続されることにより、第1ハウジング20もアース接続することができる。図9に示すように、本実施形態では、突起35は、平面視で矩形状のうちの二辺となる対向する嵌合部31の外壁に設けられており、ここでは、矩形状のうちの長辺となる対向する外壁のそれぞれに、間隔を空けて少なくとも2つ設けられている。なお、突起35の数や突起35を設ける箇所は、これらに限定されない。例えば、突起35は、矩形状の長辺、短辺となる嵌合部31の外壁にそれぞれ1以上設けられていても良いし、矩形状の短辺となる嵌合部31の外壁のみに設けられていても良い。
【0035】
環状溝36は、嵌合部31の外周であって、突起35よりもフランジ部32側に設けられている。ここでは、図8に示すように、環状溝36は、嵌合部31の後端部側に嵌合部31の周りに環状に設けられた溝である。
【0036】
シール部材37は、ゴム等の弾性を有する弾性部材である。シール部材37は、環状であり、環状溝36に嵌め込まれる。シール部材37は、例えば、パッキンである。シール部材37の厚みは、シール部材37が環状溝36に嵌め込まれ、無負荷の状態で突起35よりも外側に出っ張る程度である。換言すれば、シール部材37の外形は、平面視すると嵌合部31の相似形であり、突起35を含めた嵌合部31よりも外側に一回り大きい。図4に示すように、シール部材37は、第1ハウジング20が嵌合部31に嵌合した際に、第1ハウジング20の内壁20aにより内側に圧縮され、第1ハウジング20の内壁20aと1周にわたって密着するとともに、シール部材37が圧縮されることにより、第1ハウジング20の内壁20aと突起35が物理的に接触する。
【0037】
シールシート部材38は、フランジ部32の底面に敷かれる環状のシート部材である。ここでは、シールシート部材38の外形は、平面視すると矩形状であり、フランジ部32の平面視した外形と略一致する。このシールシート部材38は、ゴムなどの弾性を有する材料で構成される。シールシート部材38は、例えば、パッキンである。フランジ部32が設置対象機器に固定される際に、フランジ部32のネジ孔32aとシールシート部材38に設けられたネジ孔38aと位置合わせしてこれらのネジ孔32a、38aにネジ等の固定部材が挿通され、締結されることで、締結力によりシールシート部材38がZ方向に圧縮されて設置対象機器にレセプタクルコネクタ3が固定される。
【0038】
[作用・効果]
(1)本実施形態のコネクタは、相手コネクタ(プラグコネクタ2)と押し込みにより嵌合するコネクタ(レセプタクルコネクタ3)であって、相手コネクタの第1ハウジング20が外部に嵌合する嵌合部31を有する第2ハウジング30と、嵌合部31の外周に設けられ、相手コネクタの第1ハウジング20の内壁20aと接触する突起35と、を備えるようにした。
【0039】
これにより、突起35が第1ハウジング20の内壁20aと嵌合部31との間に介在するので、ガタツキを抑制し、相手コネクタに対するコネクタの相対的な位置関係を安定させることができる。
【0040】
(2)嵌合部31及び第1ハウジング20は、導電体により構成するようにした。これにより、突起35を介して両コネクタ2、3のハウジング20、30を導通させることができるので、両コネクタ2、3をアース接続することができる。また、突起35によりガタツキを抑制できるので、例えば嵌合状態で電気ケーブル4が動かされたとしても、安定的に両コネクタ2、3の導通を保つことができる。そのため、本実施形態のコネクタ3(コネクタ装置1)がサーボモータなどの産業機器に用いられる場合、雷サージ等の過電流が発生してもアースに流すことができる。なお、第2ハウジング30に金属ばねなどの外部部材を取り付けてアース接続を確保する技術もあるが、外部部材を取り付ける分、部品点数及び組立工数が増えるのに対し、本実施形態によれば、部品点数及び組立工数を減らすことができる。
【0041】
(3)嵌合部31の外形は、平面視で角に丸みを有する矩形状を有し、突起35は、矩形状のうちの対向する二辺となる対向する嵌合部31を構成する外壁に設けるようにした。これにより、相手コネクタであるプラグコネクタ2の嵌合方向周りの回転を抑制することができ、安定的に両コネクタ2、3のハウジング20、30同士の接触を確保することができる。
【0042】
(4)突起35は、矩形状のうちの長辺となる対向する外壁のそれぞれに、間隔を空けて少なくとも2つ設けるようにした。これにより、相手コネクタであるプラグコネクタ2の嵌合方向周りの回転を抑制することができ、さらに安定的に両コネクタ2、3のハウジング20、30同士の接触を確保することができる。
【0043】
(5)突起35は、嵌合部31の相手コネクタが挿入される先端部側に先細った傾斜を有するようにした。これにより、相手コネクタ(プラグコネクタ2)と嵌合し易くすることができる。
【0044】
(6)第2ハウジング30は、嵌合部31の相手コネクタ(プラグコネクタ2)が挿入される先端部とは反対側の後端部から外側に拡がるフランジ部32を有し、フランジ部32には、嵌合部31の延び方向に立設された係止壁部33と、係止壁部33から嵌合部31側に張り出した膨出部34とが設けられ、膨出部34は、相手コネクタの第1ハウジング20に回転可能に軸支された操作レバー21のアーム部212に設けられたカム溝212cに、嵌合の際に操作レバー21の回転により係合して相手コネクタにフランジ部32に向けた力を加えるようにした。
【0045】
これにより、相手コネクタとの嵌合を補助することができる。すなわち、押し込みにより嵌合するコネクタ装置1においては、人の力で奥まで差し込むことが難しい場合がある。このような場合であっても、操作レバー21の回転により膨出部34と操作レバー21のアーム部212に設けられたカム溝212cとが係合し、操作レバー21を介して相手コネクタをコネクタ(レセプタクルコネクタ3)の方に引き込む力を与えることができ、嵌合の補助をすることができる。
【0046】
(7)嵌合部31の外周であって、突起35よりもフランジ部32側に設けられた環状溝36と、環状溝36に嵌め込まれた弾性を有する環状のシール部材37と、を備えるようにした。これにより、防水性能を確保することができる。
【0047】
すなわち、嵌合部31と第1ハウジング20の内壁20aとの間の隙間で両者に密着するようにシール部材37が圧縮され、シール部材37よりも突起35側の防水性能を確保することができる。また、突起35が相手コネクタの第1ハウジング20の内壁20aに接触するので相手コネクタの第1ハウジング20の内壁20aと第2ハウジング30の嵌合部31の外周との間のスペーサとなる。そのため、第1ハウジング20と第2ハウジング30との隙間を嵌合部31周りで均一にすることができる。その結果、シール部材37の圧縮量を嵌合部31周りで均一にすることができ、防水性能を安定的に確保することができる。言い換えれば、シール部材37への圧縮負担を軽減することができるとともに、両コネクタ2、3同士の位置関係が相対的に偏ることによって、シール部材37の特定箇所が過度に圧縮され、その反対側の箇所の圧縮量が小さくなるといった事態を抑制できるので、シール部材37への過度な負担の軽減と安定的な防水性能を確保することができる。
【0048】
(8)本実施形態のコネクタ装置1は、第1ハウジング20を備えたプラグコネクタ2と、第1ハウジング20と嵌合する嵌合部31を有する第2ハウジング30を備えたレセプタクルコネクタ3と、を備え、押し込みによりプラグコネクタ2とレセプタクルコネクタ3とが嵌合するコネクタ装置1であって、嵌合部31は、嵌合部31の外周に設けられ、プラグコネクタ2の第1ハウジング20の内壁20aと接触する突起35を有するようにした。また、第1ハウジング20の内壁20aには、第1ハウジング20の内部空間が、嵌合部31が挿入される第1ハウジング20の端部20b側に拡がるように傾斜が形成されるようにした。これにより、相手コネクタ(の第1ハウジング20)に嵌合部31が挿入される際に、挿入が浅いうちは第1ハウジング20の内壁20aが突起35と接触せず、奥(Z2側)に向けて挿入していくことで突起35を第1ハウジング20の内壁20aと接触させることができ、嵌合し易くすることができる。
【0049】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。また、本発明は、上記実施形態及び下記の他の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせた形態も包含する。さらに、これらの実施形態を発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができ、その変形も本発明に含まれる。
【0050】
例えば、上記実施形態では、突起35をレセプタクルコネクタ3の嵌合部31に設けるようにしたが、プラグコネクタ2の第1ハウジング20に設けるようにしても良い。
【0051】
すなわち、他の実施形態に係るコネクタ装置1は、第1ハウジング20を備えたプラグコネクタ2と、第1ハウジング20と嵌合する嵌合部31を有する第2ハウジング30を備えたレセプタクルコネクタ3と、を備え、押し込みによりプラグコネクタ2とレセプタクルコネクタ3とが嵌合するコネクタ装置1であって、プラグコネクタ2は、第1ハウジング20の内壁20aに設けられ、レセプタクルコネクタ3の嵌合部31の外周と接触する突起35を備えるようにしても良い。
【0052】
また、相手コネクタ(レセプタクルコネクタ3)と押し込みにより嵌合するコネクタ(プラグコネクタ2)であって、相手コネクタの第2ハウジング30の嵌合部31と嵌合する第1ハウジング20と、第1ハウジング20の内壁20aに設けられ、相手コネクタの嵌合部31の外周と接触する突起35と、を備えたコネクタも本発明の範囲内である。
【0053】
また、このように、突起35を第1ハウジング20の内壁20aに設ける場合、突起35は、第1ハウジング20の内壁20aのうち、両コネクタ2、3が嵌合した際に、環状溝36又はシール部材37よりも嵌合部31の先端部側となるように設けるようにする。また、この場合、第1ハウジング20の内壁20aに傾斜を形成した上記実施形態に代えて、嵌合部31は、プラグコネクタ2が挿入される先端側が先細った傾斜(すなわちテーパ)を有するようにしても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 コネクタ装置
2 プラグコネクタ
20 第1ハウジング
201 内部ハウジング
201a 凸部
20a 内壁
20b 端部
20c 正面
20d 引っかけ部
20e 側面
20f 回転軸
20g 上面
21 操作レバー
211 カバー部
211a 爪部
212 アーム部
212a 軸孔
212b 軸受け部
212c カム溝
212d アーム
212e 先端部
22 クランプ受け部
22a 凹部
23 クランプ
24 ガスケット
25 クランプ部材
25a 凹部
3 レセプタクルコネクタ
30 第2ハウジング
301 内部ハウジング
302 端子
302a 電源用端子
302b 信号用端子
302c アース端子
31 嵌合部
311 貫通孔
311a 貫通孔
311b 貫通孔
312 壁
32 フランジ部
32a ネジ孔
33 係止壁部
34 膨出部
35 突起
36 環状溝
37 シール部材
38 シールシート部材
4 電気ケーブル
50 シール部材
51 ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9