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特許7601692基板処理装置、基板処理システム、及びデータ処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理システム、及びデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
H01L21/306 R
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021067672
(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公開番号】P2022162709
(43)【公開日】2022-10-25
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】太田 喬
(72)【発明者】
【氏名】猶原 英司
(72)【発明者】
【氏名】池内 崇
(72)【発明者】
【氏名】平岡 徹也
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-108367(JP,A)
【文献】特開2020-040046(JP,A)
【文献】特開2020-053550(JP,A)
【文献】特開2020-053506(JP,A)
【文献】特開2018-067610(JP,A)
【文献】特開2020-120004(JP,A)
【文献】特開2021-033510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対する処理である基板処理を実行する基板処理装置であって、
前記基板に含まれる対象物の厚みを測定する厚み測定部と、
前記基板処理の実行時における処理条件を出力する学習済みモデルに対して、前記基板処理による処理量の目標値を示す入力データを入力することにより、前記学習済みモデルから前記処理条件を出力させる制御部と、
前記学習済みモデルの構築に用いられた複数の学習用データに基づいて取得された基準データを記憶する記憶部と
を備え、
前記学習用データは、学習時の前記基板処理による処理量を示し、
前記制御部は、
前記基板処理の実行前に、前記厚み測定部に前記対象物の厚みを測定させて、前記基板処理の実行前の前記対象物の厚みを示す処理前測定データを取得し、
前記対象物の厚みの目標値を示す目標データと前記処理前測定データとに基づいて前記入力データを生成し、
前記入力データと前記基準データとを比較して、前記基板処理を実行するか否かを決定する、基板処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記入力データと前記基準データとの比較結果に対する少なくとも1つの閾値を記憶し、
前記制御部は、前記入力データと前記基準データとを比較して前記比較結果を取得し、前記比較結果と前記少なくとも1つの閾値とに基づいて、前記基板処理を実行するか否かを決定する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記比較結果と前記少なくとも1つの閾値とに基づいて、複数の決定項目のうちの1つを選択し、
前記複数の決定項目は、
前記基板処理を実行しないことを決定する第1決定項目と、
前記学習済みモデルから出力された前記処理条件に基づいて前記基板処理を実行するとともに、前記基板処理を実行したことを示す情報を前記記憶部に記憶させることを決定する第2決定項目と、
前記学習済みモデルから出力された前記処理条件に基づいて前記基板処理を実行することを決定する第3決定項目と
を含む、請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも値が小さい第2閾値とを含み、
前記制御部は、
前記比較結果が前記第1閾値より大きい場合、前記第1決定項目を選択し、
前記比較結果が前記第2閾値より大きく、前記第1閾値以下となる場合、前記第2決定項目を選択し、
前記比較結果が前記第2閾値以下となる場合、前記第3決定項目を選択する、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記処理条件として、予め規定された既定条件を更に記憶し、
前記複数の決定項目は、前記既定条件に基づいて前記基板処理を実行するとともに、前記基板処理を実行したことを示す情報を前記記憶部に記憶させることを決定する第4決定項目を更に含む、請求項3に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも値が小さい第2閾値とを含み、
前記制御部は、
前記比較結果が前記第1閾値より大きい場合、前記第1決定項目を選択し、
前記比較結果が前記第2閾値より大きく、前記第1閾値以下となる場合、前記第2決定項目又は前記第4決定項目を選択し、
前記比較結果が前記第2閾値以下となる場合、前記第3決定項目を選択する、請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
設定画面を表示する表示部を更に備え、
前記設定画面は、前記少なくとも1つの閾値を設定するための設定欄を含む、請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
設定画面を表示する表示部を更に備え、
前記設定画面は、前記少なくとも1つの閾値に対して前記複数の決定項目のうちの1つを設定するための第1設定欄を含む、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記設定画面は、前記少なくとも1つの閾値を設定するための第2設定欄を更に含む、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記設定画面は、前記複数の学習用データを数値化したグラフを表示するグラフ表示欄を更に含む、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記設定画面は、前記グラフ表示欄に前記少なくとも1つの閾値を表示する、請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記基板に向けて処理液を吐出するノズルを更に備え、
前記基板処理は、前記ノズルから前記基板に向けて前記処理液を吐出する処理を含む、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記基板処理の実行時に前記ノズルを移動させるノズル移動機構を更に備える、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記処理条件は、前記ノズルの移動速度を含む、請求項13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
前記処理液は、前記対象物をエッチングするエッチング液を含む、請求項12から請求項14のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板に含まれる対象物の厚みを測定する厚み測定装置と、
前記厚み測定装置による前記対象物の厚みの測定後に、前記基板に対する処理である基板処理を実行する基板処理装置と
を備える、基板処理システムであって、
前記基板処理装置は、
前記基板処理の実行時における処理条件を出力する学習済みモデルに対して、前記基板処理による処理量の目標値を示す入力データを入力することにより、前記学習済みモデルから前記処理条件を出力させる制御部と、
前記学習済みモデルの構築に用いられた複数の学習用データに基づいて取得された基準データを記憶する記憶部と
を備え、
前記学習用データは、学習時の前記基板処理による処理量を示し、
前記制御部は、
前記厚み測定装置の測定結果から、前記基板処理の実行前の前記対象物の厚みを示す処理前測定データを取得し、
前記対象物の厚みの目標値を示す目標データと前記処理前測定データとに基づいて前記入力データを生成し、
前記入力データと前記基準データとを比較して、前記基板処理を実行するか否かを決定する、基板処理システム。
【請求項17】
基板に含まれる対象物の厚みを測定する厚み測定装置と、
前記基板に対する処理である基板処理を実行するか否かを決定する決定装置と、
前記基板処理の実行時における処理条件を出力する学習済みモデルに前記処理条件を出力させて、前記基板処理を実行する基板処理装置と
を備える、基板処理システムであって、
前記決定装置は、
前記学習済みモデルの構築に用いられた複数の学習用データに基づいて取得された基準データを記憶する記憶部と、
前記基板処理を実行するか否かを決定する決定部と
を備え、
前記学習用データは、学習時の前記基板処理による処理量を示し、
前記決定部は、
前記厚み測定装置の測定結果から、前記基板処理の実行前の前記対象物の厚みを示す処理前測定データを取得し、
前記対象物の厚みの目標値を示す目標データと前記処理前測定データとに基づいて、前記基板処理による処理量の目標値を示す入力データを生成し、
前記入力データと前記基準データとを比較して、前記基板処理を実行するか否かを決定し、
前記基板処理装置は、前記決定装置により前記基板処理を実行することが決定された場合に、前記学習済みモデルに前記入力データを入力して、前記学習済みモデルから前記処理条件を出力させる制御部を備える、基板処理システム。
【請求項18】
基板に含まれる対象物の厚みを、基板処理の実行前に測定して、前記対象物の厚みの測定結果を示す処理前測定データを取得するステップと、
前記対象物の厚みの目標値を示す目標データと前記処理前測定データとに基づいて、前記基板処理による処理量の目標値を示す入力データを生成するステップと、
学習済みモデルの構築に用いられた複数の学習用データに基づいて取得された基準データと、前記入力データとを比較して、前記基板処理を実行するか否かを決定するステップと
を含み、
前記学習用データは、学習時の前記基板処理による処理量を示し、
前記学習済みモデルは、前記入力データが入力されることにより、前記基板処理の実行時における処理条件を出力する、データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、基板処理システム、及びデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
学習済みモデルを実装する基板処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このような基板処理装置は、学習済みモデルから出力される出力データに基づいて動作する。
【0003】
特許文献1の基板処理装置は、吐出ノズルと、カメラと、制御部とを備える。カメラは、吐出ノズルの先端と、その先端から吐出される処理液とを撮像する。カメラは、基板に対して処理液を吐出する期間に撮像を実行して、複数の画像データを取得する。制御部は、機械学習済みの分類器(学習済みモデル)を有する。分類器は、画像データを複数のカテゴリ(クラス)のうちの一つに分類する。
【0004】
カテゴリは、処理液の吐出状態に応じて設定されている。具体的には、複数のカテゴリは、吐出ノズルから処理液が連続流として流下する正常吐出状態を示すカテゴリと、処理液の吐出停止の際に処理液が液滴として落下するぼた落ち状態を示すカテゴリと、処理液が吐出されていない吐出停止状態を示すカテゴリとを含む。
【0005】
制御部は、分類器による分類の結果(出力データ)に基づいて、処理液の吐出状態を判定する。制御部は、処理液の吐出状態がぼた落ち状態であると判定した場合、作業者にエラーを報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-32409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、学習済みモデルから出力される出力データの信頼性を保証することは困難である。つまり、学習済みモデルの出力データは、最適なデータではない可能性がある。例えば、学習済みモデルが、基板処理の条件である処理条件(設定値)を出力する場合、最適ではない処理条件(最適ではない設定値)が設定される可能性がある。最適ではない処理条件が設定された場合、基板処理後の基板の状態が目標の状態と異なる可能性がある。したがって、学習済みモデルを実装する基板処理装置には、更なる改良の余地がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、学習済みモデルから出力される処理条件の信頼性を保証できる基板処理装置、基板処理システム、及びデータ処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、基板処理装置は、基板に対する処理である基板処理を実行する。当該基板処理装置は、厚み測定部と、制御部と、記憶部とを備える。前記厚み測定部は、前記基板に含まれる対象物の厚みを測定する。前記制御部は、前記基板処理の実行時における処理条件を出力する学習済みモデルに対して、前記基板処理による処理量の目標値を示す入力データを入力することにより、前記学習済みモデルから前記処理条件を出力させる。前記記憶部は、前記学習済みモデルの構築に用いられた複数の学習用データに基づいて取得された基準データを記憶する。前記学習用データは、学習時の前記基板処理による処理量を示す。前記制御部は、前記基板処理の実行前に、前記厚み測定部に前記対象物の厚みを測定させて、前記基板処理の実行前の前記対象物の厚みを示す処理前測定データを取得する。前記制御部は、前記対象物の厚みの目標値を示す目標データと前記処理前測定データとに基づいて前記入力データを生成する。前記制御部は、前記入力データと前記基準データとを比較して、前記基板処理を実行するか否かを決定する。
【0010】
ある実施形態において、前記記憶部は、前記入力データと前記基準データとの比較結果に対する少なくとも1つの閾値を記憶する。前記制御部は、前記入力データと前記基準データとを比較して前記比較結果を取得し、前記比較結果と前記少なくとも1つの閾値とに基づいて、前記基板処理を実行するか否かを決定する。
【0011】
ある実施形態において、前記制御部は、前記比較結果と前記少なくとも1つの閾値とに基づいて、複数の決定項目のうちの1つを選択する。前記複数の決定項目は、第1決定項目、第2決定項目、及び第3決定項目を含む。前記第1決定項目は、前記基板処理を実行しないことを決定する項目である。前記第2決定項目は、前記学習済みモデルから出力された前記処理条件に基づいて前記基板処理を実行するとともに、前記基板処理を実行したことを示す情報を前記記憶部に記憶させることを決定する項目である。前記第3決定項目は、前記学習済みモデルから出力された前記処理条件に基づいて前記基板処理を実行することを決定する項目である。
【0012】
ある実施形態において、前記少なくとも1つの閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも値が小さい第2閾値とを含む。前記制御部は、前記比較結果が前記第1閾値より大きい場合、前記第1決定項目を選択する。前記制御部は、前記比較結果が前記第2閾値より大きく、前記第1閾値以下となる場合、前記第2決定項目を選択する。前記制御部は前記比較結果が前記第2閾値以下となる場合、前記第3決定項目を選択する。
【0013】
ある実施形態において、前記記憶部は、前記処理条件として、予め規定された既定条件を更に記憶する。前記複数の決定項目は、第4決定項目を更に含む。前記第4決定項目は、前記既定条件に基づいて前記基板処理を実行するとともに、前記基板処理を実行したことを示す情報を前記記憶部に記憶させることを決定する項目である。
【0014】
ある実施形態において、前記少なくとも1つの閾値は、第1閾値と、前記第1閾値よりも値が小さい第2閾値とを含む。前記制御部は、前記比較結果が前記第1閾値より大きい場合、前記第1決定項目を選択する。前記制御部は、前記比較結果が前記第2閾値より大きく、前記第1閾値以下となる場合、前記第2決定項目又は前記第4決定項目を選択する。前記制御部は、前記比較結果が前記第2閾値以下となる場合、前記第3決定項目を選択する。
【0015】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、設定画面を表示する表示部を更に備える。前記設定画面は、前記少なくとも1つの閾値を設定するための設定欄を含む。
【0016】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、設定画面を表示する表示部を更に備える。前記設定画面は、前記少なくとも1つの閾値に対して前記複数の決定項目のうちの1つを設定するための第1設定欄を含む。
【0017】
ある実施形態において、前記設定画面は、前記少なくとも1つの閾値を設定するための第2設定欄を更に含む。
【0018】
ある実施形態において、前記設定画面は、前記複数の学習用データを数値化したグラフを表示するグラフ表示欄を更に含む。
【0019】
ある実施形態において、前記設定画面は、前記グラフ表示欄に前記少なくとも1つの閾値を表示する。
【0020】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、前記基板に向けて処理液を吐出するノズルを更に備える。前記基板処理は、前記ノズルから前記基板に向けて前記処理液を吐出する処理を含む。
【0021】
ある実施形態において、上記の基板処理装置は、前記基板処理の実行時に前記ノズルを移動させるノズル移動機構を更に備える。
【0022】
ある実施形態において、前記処理条件は、前記ノズルの移動速度を含む。
【0023】
ある実施形態において、前記処理液は、前記対象物をエッチングするエッチング液を含む。
【0024】
本発明の他の態様によれば、基板処理システムは、厚み測定装置と、基板処理装置とを備える。前記厚み測定装置は、基板に含まれる対象物の厚みを測定する。前記基板処理装置は、前記厚み測定装置による前記対象物の厚みの測定後に、前記基板に対する処理である基板処理を実行する。前記基板処理装置は、制御部と、記憶部とを備える。前記制御部は、前記基板処理の実行時における処理条件を出力する学習済みモデルに対して、前記基板処理による処理量の目標値を示す入力データを入力することにより、前記学習済みモデルから前記処理条件を出力させる。前記記憶部は、前記学習済みモデルの構築に用いられた複数の学習用データに基づいて取得された基準データを記憶する。前記学習用データは、学習時の前記基板処理による処理量を示す。前記制御部は、前記厚み測定装置の測定結果から、前記基板処理の実行前の前記対象物の厚みを示す処理前測定データを取得する。前記制御部は、前記対象物の厚みの目標値を示す目標データと前記処理前測定データとに基づいて前記入力データを生成する。前記制御部は、前記入力データと前記基準データとを比較して、前記基板処理を実行するか否かを決定する。
【0025】
本発明の他の態様によれば、基板処理システムは、厚み測定装置と、決定装置と、基板処理装置とを備える。前記厚み測定装置は、基板に含まれる対象物の厚みを測定する。前記決定装置は、前記基板に対する処理である基板処理を実行するか否かを決定する。前記基板処理装置は、前記基板処理の実行時における処理条件を出力する学習済みモデルに前記処理条件を出力させて、前記基板処理を実行する。前記決定装置は、記憶部と、決定部とを備える。前記記憶部は、前記学習済みモデルの構築に用いられた複数の学習用データに基づいて取得された基準データを記憶する。前記決定部は、前記基板処理を実行するか否かを決定する。前記学習用データは、学習時の前記基板処理による処理量を示す。前記決定部は、前記厚み測定装置の測定結果から、前記基板処理の実行前の前記対象物の厚みを示す処理前測定データを取得する。前記決定部は、前記対象物の厚みの目標値を示す目標データと前記処理前測定データとに基づいて、前記基板処理による処理量の目標値を示す入力データを生成する。前記決定部は、前記入力データと前記基準データとを比較して、前記基板処理を実行するか否かを決定する。前記基板処理装置は、制御部を備える。前記制御部は、前記決定装置により前記基板処理を実行することが決定された場合に、前記学習済みモデルに前記入力データを入力して、前記学習済みモデルから前記処理条件を出力させる。
【0026】
本発明の他の態様によれば、データ処理方法は、基板に含まれる対象物の厚みを、基板処理の実行前に測定して、前記対象物の厚みの測定結果を示す処理前測定データを取得するステップと、前記対象物の厚みの目標値を示す目標データと前記処理前測定データとに基づいて、前記基板処理による処理量の目標値を示す入力データを生成するステップと、学習済みモデルの構築に用いられた複数の学習用データに基づいて取得された基準データと、前記入力データとを比較して、前記基板処理を実行するか否かを決定するステップとを含む。前記学習用データは、学習時の前記基板処理による処理量を示す。前記学習済みモデルは、前記入力データが入力されることにより、前記基板処理の実行時における処理条件を出力する。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る基板処理装置、基板処理システム、及びデータ処理方法よれば、学習済みモデルから出力される処理条件の信頼性を保証できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の模式図である。
図2】基板処理装置が備える処理ユニットの模式図である。
図3】(a)は、プローブ移動処理を示す平面図である。(b)は、厚み測定処理を示す平面図である。
図4】第1ノズルによる基板のスキャン処理を示す平面図である。
図5】スキャン速度情報を示す図である。
図6】第1ノズルの移動速度の一例を示すグラフである。
図7】薬液供給部の模式図である。
図8】基板処理装置が備える制御装置のブロック図である。
図9】基準データの構築に用いられた学習用データセットを示す図である。
図10】複数の学習用データに含まれる処理量のバラつきと閾値との関係を示す図である。
図11】設定画面を示す図である。
図12】基板処理装置の制御装置が実行する処理を示すフロー図である。
図13】判定処理を示すフロー図である。
図14】条件設定処理を示すフロー図である。
図15】基板処理を示すフロー図である。
図16】本発明の実施形態2に係る基板処理装置が備える制御装置のブロック図である。
図17】条件設定処理を示すフロー図である。
図18】本発明の実施形態3に係る基板処理装置の制御装置が実行する処理を示すフロー図である。
図19】追加学習用データの生成処理を示すフロー図である。
図20】本発明の実施形態4に係る基板処理システムを示す図である。
図21】本発明の実施形態5に係る基板処理システムを示す図である。
図22】情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面(図1図22)を参照して本発明の基板処理装置、基板処理システム、及びデータ処理方法に係る実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0030】
本発明に係る基板処理装置、基板処理システム、及びデータ処理方法において基板処理の対象となる「基板」には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種の基板を適用可能である。以下では主として、円盤状の半導体ウエハを基板処理の対象とする場合を例に本発明の実施形態を説明するが、本発明に係る基板処理装置、基板処理システム、及びデータ処理方法は、上記した半導体ウエハ以外の各種の基板に対しても同様に適用可能である。また、基板の形状についても、円盤状に限定されず、本発明に係る基板処理装置、基板処理システム、及びデータ処理方法は、各種の形状の基板に対して適用可能である。
【0031】
[実施形態1]
以下、図1図15を参照して本発明の実施形態1を説明する。まず、図1を参照して本実施形態の基板処理装置100を説明する。図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。詳しくは、図1は、基板処理装置100の模式的な平面図である。基板処理装置100は、基板処理を実行する。より具体的には、基板処理装置100は、枚葉式の装置であり、基板Wごとに基板処理を実行する。基板処理は、基板Wに対する処理である。
【0032】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の処理ユニット1と、流体キャビネット100Aと、複数の流体ボックス100Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。
【0033】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。例えば、ロードポートLPは、研削処理後の基板Wを収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット1との間で基板Wを搬送する。なお、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間に、基板Wを一時的に載置する載置台(パス)を設けて、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間で載置台を介して間接的に基板Wを受け渡しする装置構成としてもよい。
【0034】
複数の処理ユニット1は、複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。複数のタワーTWは、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置される。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理ユニット1(図1では3つの処理ユニット1)を含む。
【0035】
流体キャビネット100Aは、処理液を収容する。流体ボックス100Bはそれぞれ、複数のタワーTWのうちの1つに対応している。流体キャビネット100A内の処理液は、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット1に供給される。
【0036】
処理ユニット1の各々は、処理液を基板Wの上面に供給する。処理液は、薬液と、リンス液とを含む。本実施形態において、処理ユニット1の各々は、エッチング処理を実行する。薬液は、エッチング液である。基板Wの上面が、エッチング液によってエッチングされる。例えば、処理ユニット1の各々は、研削処理により発生する研削痕をエッチング処理により除去する。
【0037】
エッチング液は、例えば、フッ硝酸(フッ酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合液)、フッ酸、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、又は、燐酸(H3PO4)である。リンス液は、例えば、脱イオン水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、又は、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。
【0038】
続いて制御装置101を説明する。制御装置101は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、及びセンターロボットCRを制御する。制御装置101は、制御部102と、記憶部103とを含む。
【0039】
制御部102は、プロセッサを有する。制御部102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有する。あるいは、制御部102は、汎用演算機又は専用演算器を有してもよい。制御部102は、NCU(Neural Network Processing Unit)を更に有してもよい。
【0040】
記憶部103は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータRP(図8参照)を含む。レシピデータRPは、基板Wの処理内容及び処理手順を規定するレシピを示す。レシピには、基板処理の実行時における処理条件(設定値)が設定される。コンピュータプログラムは、制御プログラムPG(図8参照)、及び学習済みモデルLM(図8参照)を含む。
【0041】
記憶部103は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部103は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部103はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部103に記憶されているコンピュータプログラム及びデータに基づいて、基板処理装置100の各部の動作を制御する。
【0042】
続いて、図1及び図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100を更に説明する。図2は、基板処理装置100が備える処理ユニット1の模式図である。詳しくは、図2は、処理ユニット1の模式的な断面図である。
【0043】
図2に示すように、処理ユニット1は、チャンバー2と、スピンチャック3と、スピンモータ部4と、第1ノズル51と、ノズル移動機構6と、第2ノズル71と、厚み測定部8と、プローブ移動機構9と、複数のガード10(図2では2つのガード10)とを備える。また、基板処理装置100は、薬液供給部5と、リンス液供給部7とを備える。薬液供給部5は、第1供給配管52を有し、リンス液供給部7は、第2供給配管72を有する。制御装置101(制御部102)は、スピンチャック3、スピンモータ部4、薬液供給部5、ノズル移動機構6、リンス液供給部7、厚み測定部8、及びプローブ移動機構9を制御する。
【0044】
チャンバー2は略箱形状を有する。チャンバー2は、基板W、スピンチャック3、スピンモータ部4、第1ノズル51、第1供給配管52の一部、ノズル移動機構6、第2ノズル71、第2供給配管72の一部、厚み測定部8、プローブ移動機構9、及び複数のガード10を収容する。
【0045】
スピンチャック3は、基板Wを水平に保持する。スピンチャック3は、基板保持部の一例である。具体的には、スピンチャック3は、スピンベース31と、複数のチャック部材33とを有する。スピンベース31は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材33を支持する。複数のチャック部材33は、スピンベース31の周縁部に配置される。複数のチャック部材33は、基板Wの周縁部を支持する。複数のチャック部材33により、基板Wが水平な姿勢で保持される。
【0046】
スピンモータ部4は、第1回転軸線AX1を中心として基板Wとスピンチャック3とを一体に回転させる。第1回転軸線AX1は、上下方向に延びる。本実施形態では、第1回転軸線AX1は、略鉛直方向に延びる。第1回転軸線AX1は中心軸の一例であり、スピンモータ部4は基板回転部の一例である。
【0047】
詳しくは、スピンモータ部4は、第1回転軸線AX1を中心としてスピンベース31を回転させる。したがって、スピンベース31は、第1回転軸線AX1を中心として回転する。その結果、スピンチャック3に保持された基板Wが、第1回転軸線AX1を中心として回転する。
【0048】
具体的には、スピンモータ部4は、モータ本体41と、シャフト43と、エンコーダ45とを有する。シャフト43はスピンベース31に結合される。モータ本体41は、シャフト43を回転させる。その結果、スピンベース31が回転する。
【0049】
エンコーダ45は、基板Wの回転速度を検出して、基板Wの回転速度を示す信号(以下、「回転速度信号」と記載する。)を制御装置101(制御部102)に出力する。具体的には、エンコーダ45は、モータ本体41の回転速度を検出する。制御装置101(制御部102)は、回転速度信号に基づいてスピンモータ部4を制御する。
【0050】
第1ノズル51は、基板Wに向けて薬液(エッチング液)を吐出する。本実施形態において、基板処理は、第1ノズル51から基板Wに向けて薬液を吐出する吐出処理を含む。詳しくは、第1ノズル51は、基板Wの上方から、回転中の基板Wに向けて薬液を吐出する。第1ノズル51は、処理液供給部の一例である。例えば、第1ノズル51は、研削処理後の基板Wに向けてエッチング液を吐出して、研削処理後の基板Wの上面を平坦にする。
【0051】
より具体的には、基板Wに含まれる対象物TG(図3参照)に向けて薬液が吐出される。この結果、薬液によって基板Wが処理される。本実施形態の基板処理装置100(処理ユニット1)は、対象物TGにエッチング液を吐出して、対象物TGの厚みを目標厚み(厚みの目標値)にする。
【0052】
対象物TGは、例えば、基板本体(例えば、シリコンからなる基板本体)、基板本体の表面に形成された物質、又は基板Wである。基板本体の表面に形成された物質は、例えば、基板本体と同じ材料の物質(例えば、シリコンからなる層)、又は、基板本体と異なる材料の物質(例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、又はレジスト)である。「物質」は膜を構成していてもよい。
【0053】
薬液供給部5は、第1ノズル51に薬液を供給する。詳しくは、薬液は、第1供給配管52を介して第1ノズル51に供給される。第1供給配管52は、薬液が流通する管状部材である。
【0054】
ノズル移動機構6は、基板処理の実行時に第1ノズル51を移動させる。詳しくは、ノズル移動機構6は、略鉛直方向に沿った第2回転軸線AX2を中心とする周方向に沿って第1ノズル51を移動させる。第1ノズル51は、移動しながら、基板Wに向けて薬液を吐出する。第1ノズル51は、スキャンノズルと称されることがある。
【0055】
具体的には、ノズル移動機構6は、ノズルアーム61と、第1回転軸63と、第1駆動部65とを有する。ノズルアーム61は略水平方向に沿って延びる。ノズルアーム61の先端部に第1ノズル51が配置される。ノズルアーム61は第1回転軸63に結合される。第1回転軸63は、略鉛直方向に沿って延びる。
【0056】
第1駆動部65は、第2回転軸線AX2を中心として第1回転軸63を回転させて、第1回転軸63を中心にノズルアーム61を旋回させる。その結果、第1ノズル51が略水平面に沿って移動する。詳しくは、第1ノズル51は、第2回転軸線AX2を中心とする周方向に沿って、第1回転軸63の周りを移動する。
【0057】
第1駆動部65は、第1ノズル51の回転位置を示す回転位置信号を制御装置101(制御部102)に出力する。例えば、第1駆動部65は、モータ本体と、ホール素子とを含む。ホール素子は、モータ本体の回転位置を検出する。制御装置101(制御部102)は、回転位置信号に基づいて第1駆動部65を制御する。第1駆動部65は、例えば、ステッピングモータを含む。あるいは、第1駆動部65は、モータと、減速機とを含んでもよい。
【0058】
第2ノズル71は、基板Wの上方から、回転中の基板Wにリンス液を供給する。リンス液供給部7は、第2ノズル71にリンス液を供給する。詳しくは、リンス液は、第2供給配管72を介して第2ノズル71に供給される。第2供給配管72は、リンス液が流通する管状部材である。第2ノズル71は、静止した状態でリンス液を吐出する。第2ノズル71は、固定ノズルと称されることがある。なお、第2ノズル71はスキャンノズルであってもよい。
【0059】
ガード10の各々は、略筒形状を有する。複数のガード10は、基板Wから排出された薬液及びリンス液を受け止める。
【0060】
厚み測定部8は、基板Wに含まれる対象物TG(図3参照)の厚みを測定して、測定結果を示す測定信号を生成する。厚み測定部8は、対象物TGの厚みを非接触方式で測定する。測定信号は、制御装置101(制御部102)に入力される。
【0061】
厚み測定部8は、例えば、分光干渉法によって対象物TGの厚みを測定する。具体的には、厚み測定部8は、光学プローブ81と、信号線83と、厚み測定器85とを含む。
【0062】
光学プローブ81は、レンズを有する。信号線83は、光学プローブ81と厚み測定器85とを光学的に接続する。信号線83は、例えば光ファイバーを含む。厚み測定器85は、光源と受光素子とを有する。
【0063】
厚み測定器85の光源が出射した光は、信号線83及び光学プローブ81を介して、基板Wに出射される。基板Wによって反射された光は、光学プローブ81及び信号線83を介して、厚み測定器85の受光素子で受光される。
【0064】
厚み測定器85は、受光素子が受光した光を解析して、対象物TGの厚みの値を算出する。厚み測定器85は、算出した厚みの値を示す測定信号を生成する。
【0065】
プローブ移動機構9は、光学プローブ81を移動させる。詳しくは、プローブ移動機構9は、略鉛直方向に沿った第3回転軸線AX3を中心とする周方向に沿って光学プローブ81を移動させる。
【0066】
具体的には、プローブ移動機構9は、プローブアーム91と、第2回転軸93と、第2駆動部95とを有する。プローブアーム91は略水平方向に沿って延びる。プローブアーム91の先端部に光学プローブ81が配置される。プローブアーム91は第2回転軸93に結合される。第2回転軸93は、略鉛直方向に沿って延びる。
【0067】
第2駆動部95は、第3回転軸線AX3を中心として第2回転軸93を回転させて、第2回転軸93を中心にプローブアーム91を旋回させる。その結果、光学プローブ81が略水平面に沿って移動する。詳しくは、光学プローブ81は、第3回転軸線AX3を中心とする周方向に沿って、第2回転軸93の周りを移動する。
【0068】
第2駆動部95は、光学プローブ81の回転位置を示す回転位置信号を制御装置101(制御部102)に出力する。例えば、第2駆動部95は、モータ本体と、ホール素子とを含む。ホール素子は、モータ本体の回転位置を検出する。制御装置101(制御部102)は、回転位置信号に基づいて第2駆動部95を制御する。第2駆動部95は、例えば、ステッピングモータを含む。あるいは、第2駆動部95は、モータと、減速機とを含んでもよい。
【0069】
続いて、図3(a)、及び図3(b)を参照して、プローブ移動処理と、厚み測定処理とを説明する。プローブ移動処理は、光学プローブ81を測定位置Pへ移動させる処理を示す。測定位置Pは、対象物TGの厚みを測定する位置を示す。図3(a)は、プローブ移動処理を示す平面図である。図3(b)は、厚み測定処理を示す平面図である。
【0070】
まず、図3(a)を参照してプローブ移動処理を説明する。図1を参照して説明した制御部102は、基板処理の実行前に、プローブ移動機構9を制御して、光学プローブ81を測定位置Pへ移動させる。本実施形態では、プローブ移動処理は、基板Wの回転中に実行される。但し、プローブ移動処理は、基板処理の前に実行されればよい。例えば、プローブ移動処理は、基板Wの回転開始前に実行されてもよい。
【0071】
図3(a)に示すように、プローブ移動機構9は、平面視において円弧状の軌跡TJ1に沿って光学プローブ81を移動させることができる。軌跡TJ1は、基板Wのエッジ部EGと基板Wの中心部CTとを通る。エッジ部EGは、基板Wの周縁部を示す。中心部CTは、基板Wのうち第1回転軸線AX1が通る部分を示す。プローブ移動機構9は、所定の測定位置Pまで、軌跡TJ1に沿って光学プローブ81を移動させる。測定位置Pは、図1を参照して説明した記憶部103に予め記憶されている。
【0072】
続いて、図3(b)を参照して厚み測定処理を説明する。厚み測定処理は、基板処理の前に実行される。具体的には、図1を参照して説明した制御部102が、基板処理の実行前に、厚み測定部8に対象物TGの厚みを測定させる。図3(b)に示すように、光学プローブ81は、厚み測定処理の実行中に、測定位置Pに配置される。換言すると、厚み測定処理の実行中に、光学プローブ81の位置は測定位置Pに固定される。
【0073】
厚み測定部8は、測定位置P(一定の位置)で対象物TGの厚みを測定する。厚み測定処理の実行中、基板Wは回転している。したがって、厚み測定部8は、基板Wの周方向CDに沿った対象物TGの厚みを測定する。よって、測定信号は、基板Wの周方向CDにおける対象物TGの厚みの分布を示す。
【0074】
図1を参照して説明した制御部102は、測定信号に基づいて処理前測定データを取得する。処理前測定データは、基板処理の実行前の対象物TGの厚みを示す。より詳しくは、処理前測定データは、対象物TGの厚みの分布を示す。
【0075】
続いて図4を参照して、第1ノズル51による基板Wのスキャン処理を説明する。図4は、第1ノズル51による基板Wのスキャン処理を示す平面図である。
【0076】
図4に示すように、スキャン処理とは、平面視において、対象物TGの表面に対する薬液の着液位置が円弧状の軌跡TJ2を形成するように移動しながら、第1ノズル51が、対象物TGに薬液を吐出する処理のことである。軌跡TJ2は、基板Wの中心部CTを通る。スキャン処理は、基板Wの回転中に実行される。
【0077】
本実施形態では、第1ノズル51は、第1位置X1から第9位置X9まで移動しながら、回転中の基板Wに向けて薬液を吐出する。各位置X1~X9は、軌跡TJ2含まれる。
【0078】
第1位置X1は、薬液の吐出開始位置を示す。第1位置X1における第1ノズル51の移動速度は0mm/sである。したがって、第1位置X1は、スキャン処理の開始位置である。また、第1位置X1は、第1ノズル51の移動開始位置である。
【0079】
第9位置X9は、薬液の吐出停止位置を示す。第9位置X9における第1ノズル51の移動速度は0mm/sである。第9位置X9は、スキャン処理の終了位置である。また、第9位置X9は、第1ノズル51の移動終了位置である。
【0080】
第1ノズル51は、スキャン処理中に、第1位置X1と第9位置X9との間の各中間位置(第2位置X2から第8位置X8までの各位置X2~X8)を通過する。各中間位置は、スキャン処理中に第1ノズル51が移動する移動区間を、複数の区間に分割する。
【0081】
続いて、図5を参照してスキャン速度情報について説明する。スキャン速度情報は、スキャン処理時における第1ノズル51の移動速度の設定値を示す。以下、スキャン処理時における第1ノズル51の移動速度を、「スキャン速度」と記載する場合がある。図5は、スキャン速度情報を示す図である。詳しくは、図5は、図4を参照して説明した各位置X1~X9と、スキャン速度の設定値との関係を示す。
【0082】
図5において、上の欄は、第1ノズル51の移動区間に含まれる各位置X1~X9を示す。詳しくは、上の欄は、第1ノズル51の移動区間の開始位置(第1ノズル51の移動開始位置)、第1ノズル51の移動区間の終了位置(第1ノズル51の移動終了位置)、及び、第1ノズル51の移動区間の開始位置と終了位置との間の複数の中間位置(第1ノズル51が通過する複数の位置)を示す。各位置X1~X9は、基板Wの半径位置で規定される。
【0083】
図5において、下の欄は、スキャン速度の設定値を示す。図5に示すように、スキャン速度情報は、第1ノズル51の移動区間に含まれる各位置X1~X9ごとに、スキャン速度の設定値を示す。以下、第1ノズル51の移動区間に含まれる各位置X1~X9を、「速度設定位置」と記載する場合がある。本実施形態では、スキャン速度情報は、9か所の速度設定位置を示す。
【0084】
図5に示す各速度設定位置は、図4を参照して説明した各位置X1~X9に対応する。なお、図4を参照して説明したように、第1ノズル51の移動区間の開始位置(第1位置X1)において設定されるスキャン速度は、0[mm/s]であり、第1ノズル51の移動区間の終了位置(第9位置X9)において設定されるスキャン速度は、0[mm/s]である。
【0085】
図1を参照して説明した制御部102は、スキャン速度情報に基づいて、図2を参照して説明したノズル移動機構6の第1駆動部65を制御する。その結果、第1ノズル51は、各速度設定位置でのスキャン速度が、スキャン速度情報で規定されているスキャン速度となるように、図4を参照して説明した軌跡TJ2に沿って移動する。
【0086】
続いて、図6を参照して、スキャン処理時における第1ノズル51の移動速度(スキャン速度)について説明する。図6は、第1ノズル51の移動速度の一例を示すグラフである。
【0087】
図6において、縦軸はスキャン速度[mm/s]を示し、横軸は基板Wの半径位置[mm]を示す。図6に示すように、スキャン処理の開始時のスキャン速度は0[mm/s]である。また、スキャン処理の終了時のスキャン速度は0[mm/s]である。
【0088】
図4及び図5を参照して説明したように、スキャン速度は、各速度設定位置(位置X1~X9)ごとに設定されている。その結果、図6に示すように、隣り合う速度設定位置の間で、一方の速度設定位置に対して設定されているスキャン速度から、他方の速度設定位置に対して設定されているスキャン速度まで、スキャン速度が連続的に変化する。
【0089】
例えば、図5に示すように、第3位置X3に対してスキャン速度Y3が設定されており、第4位置X4に対してスキャン速度Y4が設定されている。したがって、第1ノズル51のスキャン速度は、第1ノズル51が第3位置X3から第4位置X4に移動する間に、スキャン速度Y3からスキャン速度Y4へ連続的に変化する。
【0090】
続いて、図7を参照して薬液供給部5を説明する。図7は、薬液供給部5の模式図である。図7に示すように、薬液供給部5は、温度センサ521と、濃度センサ522と、バルブ523と、ミキシングバルブ524と、流量計525と、加熱ヒータ526とを更に有する。
【0091】
温度センサ521は、第1供給配管52を流れる薬液の温度を計測する。以下、第1供給配管52を流れる薬液の温度を、「薬液温度」と記載する。温度センサ521は、薬液温度を示す温度信号を生成する。温度信号は、図1を参照して説明した制御部102に入力される。制御部102は、温度信号に基づいて加熱ヒータ526を制御する。加熱ヒータ526は、第1供給配管52を流れる薬液を加熱する。
【0092】
濃度センサ522は、第1供給配管52を流れる薬液(エッチング液)に含まれるエッチング成分の濃度を測定する。以下、第1供給配管52を流れる薬液に含まれるエッチング成分の濃度を「薬液濃度」と記載する。濃度センサ522は、薬液濃度を示す濃度信号を生成する。濃度信号は、図1を参照して説明した制御部102に入力される。制御部102は、濃度信号に基づいてミキシングバルブ524を制御する。
【0093】
バルブ523は、第1供給配管52に配置される。バルブ523は、第1ノズル51への薬液の供給及び供給停止を切り替える。詳しくは、バルブ523が開くと、第1ノズル51から基板Wに向けて薬液が吐出される。一方、バルブ523が閉じると、薬液の吐出が停止する。
【0094】
また、バルブ523は、第1供給配管52においてバルブ523よりも下流へ流れる薬液の流量を制御する。詳しくは、バルブ523の開度に応じて、バルブ523よりも下流へ流れる薬液の流量が調整される。したがって、バルブ523の開度に応じて、薬液の吐出流量が調整される。バルブ523は、例えば、モータバルブである。
【0095】
ミキシングバルブ524は、第1供給配管52に配置される。ミキシングバルブ524が開くと、第1供給配管52に純水が流入して、薬液が希釈される。したがって、薬液濃度が減少する。
【0096】
流量計525は、薬液の吐出流量を計測する。具体的には、流量計525は、第1供給配管52を流れる薬液の流量を計測する。流量計525は、薬液の吐出流量を示す吐出流量信号を生成する。吐出流量信号は、図1を参照して説明した制御部102入力される。制御部102は、吐出流量信号に基づいてバルブ523を制御する。
【0097】
続いて、図8を参照して制御装置101を説明する。図8は、基板処理装置100が備える制御装置101のブロック図である。図8に示すように、制御装置101は、表示部104と、入力部105とを更に含む。
【0098】
表示部104は各種の情報を表示する。例えば、表示部104は、各種のエラー画面、及び各種の設定画面(入力画面)を表示する。表示部104は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイを有する。
【0099】
入力部105は、作業者からの入力を受け付けて、制御部102に各種の情報を出力する。入力部105は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、及びタッチパネルのような入力装置を含む。タッチパネルは、例えば、表示部104の表示面に配置されて、表示部104と共にグラフィカルユーザーインターフェースを構成してもよい。作業者は、表示部104に設定画面が表示されている際に、入力部105を操作して各種の処理条件又は各種の設定値を入力することができる。
【0100】
続いて、図8を参照して制御部102及び記憶部103を更に説明する。図8に示すように、記憶部103は、制御プログラムPGと、レシピデータRPとを記憶する。レシピデータRPには、基板処理の実行時における各種の処理条件が設定される。例えば、レシピデータRPには、処理条件として、第1ノズル51の移動速度(各速度設定位置におけるスキャン速度)、基板Wの回転速度、薬液温度、薬液濃度、及び薬液の吐出流量の各設定値が設定される。制御部102は、制御プログラムPG及びレシピデータRPに基づいて、基板処理装置100の各部を制御する。
【0101】
例えば、制御部102は、各速度設定位置におけるスキャン速度が設定値と一致するように、図2を参照して説明した第1駆動部65を制御する。同様に、制御部102は、基板Wの回転速度が設定値と一致するように、図2を参照して説明したモータ本体41を制御する。制御部102は、薬液温度が設定値と一致するように、図7を参照して説明した加熱ヒータ526を制御する。制御部102は、薬液濃度が設定値と一致するように、図7を参照して説明したミキシングバルブ524を制御する。制御部102は、薬液の吐出流量が設定値と一致するように、図7を参照して説明したバルブ523を制御する。
【0102】
記憶部103は、学習済みモデルLMを更に記憶する。学習済みモデルLMは、入力データに基づいて、基板処理の実行時における処理条件を出力する。制御部102は、基板処理の開始前に、学習済みモデルLMから出力された処理条件をレシピデータRPに設定する。
【0103】
本実施形態において、学習済みモデルLMは、入力データに基づいてスキャン速度情報を出力する。制御部102は、基板処理の開始前に、入力データを学習済みモデルLMに入力して、学習済みモデルLMからスキャン速度情報を出力させる。そして、学習済みモデルLMから出力されたスキャン速度情報に基づいて、第1ノズル51の移動速度(各速度設定位置におけるスキャン速度)をレシピデータRPに設定する。学習済みモデルLMから出力されるスキャン速度情報は目的変数である。
【0104】
詳しくは、制御部102は、基板処理による処理量の目標値を示す入力データを生成する。学習済みモデルLMに入力される処理量の目標値は説明変数である。本実施形態において、処理量の目標値は、エッチング量の目標値である。エッチング量の目標値は、対象物TGの厚みを目標厚みにするために必要なエッチング量の分布を示す。制御部102は、処理前測定データ(基板処理の実行前の対象物TGの厚みの分布)と、対象物TGの厚みの目標値(目標厚み)を示す目標データとに基づいて入力データを生成する。具体的には、入力データは、基板処理の実行前の対象物TGの厚みの分布と目標厚みとの差分を示す。
【0105】
以下、基板処理の実行前の対象物TGの厚みを、「処理前厚み」と記載する場合がある。同様に、基板処理の実行後の対象物TGの厚みを、「処理後厚み」と記載する場合がある。
【0106】
記憶部103は、基準データREを更に記憶する。基準データREは、学習済みモデルLMの構築に用いられた複数の学習用データLDに基づいて取得される。学習済みモデルLMは、複数の学習用データLDを機械学習することによって構築される。
【0107】
なお、学習済みモデルLMを構築するための機械学習アルゴリズムは、教師あり学習であれば、特に限定されず、例えば、決定木、最近傍法、単純ベイズ分類器、サポートベクターマシン、又は、ニューラルネットワークである。したがって、学習済みモデルLMは、決定木、最近傍法、単純ベイズ分類器、サポートベクターマシン、又は、ニューラルネットワークを含む。機械学習に、誤差逆伝搬法が利用されてもよい。
【0108】
例えば、ニューラルネットワークは、入力層、単数又は複数の中間層、及び、出力層を含む。具体的には、ニューラルネットワークは、ディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN:Recurrent Neural Network)、又は、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)であり、ディープラーニングを行う。例えば、ディープニューラルネットワークは、入力層、複数の中間層、及び、出力層を含む。
【0109】
制御部102は、入力データと基準データREとに基づいて判定処理を実行する。判定処理は、基板処理を実行するか否かを決定するための処理である。具体的には、制御部102は、入力データと基準データREとを比較して、基板処理を実行するか否かを決定する。
【0110】
制御部102は、基板処理を実行することを決定した場合、入力データを学習済みモデルLMに入力する。そして、学習済みモデルLMから出力されたスキャン速度情報に基づいて第1ノズル51の移動速度(各速度設定位置におけるスキャン速度)をレシピデータRPに設定した後、処理ユニット1を制御して、処理ユニット1に基板処理を実行させる。
【0111】
一方、制御部102は、基板処理を実行しないことを決定した場合、入力データを学習済みモデルLMに入力することなく、処理ユニット1による基板処理の実行を停止させる。そして、表示部104に、エラー画面を表示させる。エラー画面は、エラーが発生したことを作業者に報知する画面である。
【0112】
続いて、図9を参照して基準データREを説明する。図9は、基準データREの構築に用いられた学習用データセットLDSを示す図である。図9に示すように、学習用データセットLDSは、複数の学習用データLDを含む。
【0113】
学習用データLDはそれぞれ、スキャン速度情報と、処理量情報とを含む。スキャン速度情報及び処理量情報は、互いに関連付けられている。学習用データLDは、学習対象の基板に対して基板処理を実行することにより生成される。以下、学習対象の基板を、「学習対象基板」と記載する場合がある。
【0114】
スキャン速度情報は、学習対象基板に対して基板処理を実行する際に設定された各速度設定位置のスキャン速度を示す。処理量情報は、学習時の基板処理による処理量を示す。具体的には、処理量は、学習対象基板の処理前厚みと処理後厚みとの差分を示す。本実施形態において、処理量は、エッチング量である。詳しくは、処理量情報は、学習対象基板の処理前厚みの分布と処理後厚みの分布との差分を示す。したがって、処理量情報は、学習時のエッチング処理によるエッチング量の分布を示す。
【0115】
基準データREは、各学習用データLDの処理量情報に基づいて取得される。例えば、基準データREは、複数の学習用データLDに含まれる処理量の平均値であってもよい。あるいは、基準データREは、複数の学習用データLDに含まれる処理量のうちから選定されてもよい。あるいは、基準データREは、作業者が、複数の学習用データLDに含まれる処理量に基づいて作成してもよい。
【0116】
以上、図1図9を参照して説明したように、制御部102は、学習時の基板処理による処理量に基づいて取得された基準データ(基準データRE)と、処理量の目標値(入力データ)とを比較して、基板処理を実行するか否かを決定する。したがって、学習済みモデルLMから出力される処理条件の信頼性を保証することができる。
【0117】
例えば、処理量の目標値(入力データ)が、学習時に取得していない処理量に対応する場合、最適ではない処理条件(予期せぬ処理条件)が学習済みモデルLMから出力される可能性がある。これに対し、本実施形態によれば、制御部102は、処理量の目標値(入力データ)が、学習時に取得していない処理量に対応する場合に、基板処理を実行しないことを決定することができる。したがって、最適ではない処理条件(予期せぬ処理条件)が学習済みモデルLMから出力されることを防ぐことができる。また、制御部102は、処理量の目標値(入力データ)が、学習時に取得した処理量に対応する場合に、基板処理を実行することを決定することができる。この場合、最適ではない処理条件(予期せぬ処理条件)が学習済みモデルLMから出力される可能性は低い。したがって、学習済みモデルLMから出力される処理条件の信頼性を保証することができる。
【0118】
なお、学習用データLDは、処理量(エッチング量)が目標の処理量(目標のエッチング量)と一致しないことを示す情報、あるいは、処理量が許容範囲内の値でないことを示す情報を更に含んでもよい。
【0119】
続いて、図8を参照して制御部102が実行する判定処理について更に説明する。図8に示すように、記憶部103は、閾値THを更に記憶する。閾値THは、入力データと基準データREとの比較結果に対する閾値である。制御部102は、入力データと基準データREとを比較して比較結果を取得し、比較結果と閾値THとに基づいて、基板処理を実行するか否かを決定する。
【0120】
本実施形態において、閾値THは、基準データREと入力データとのユークリッド距離に対する閾値を示す。制御部102は、基準データREと入力データとのユークリッド距離を算出する。そして、算出したユークリッド距離と閾値THとを比較して、ユークリッド距離が閾値THより大きい場合に、基板処理を実行しないことを決定し、ユークリッド距離が閾値TH以下の場合に、基板処理を実行することを決定する。以下、基準データREと入力データとのユークリッド距離を、「第1ユークリッド距離」と記載する場合がある。
【0121】
より具体的には、基準データREは正規化されている。制御部102は、入力データを正規化し、基準データREと正規化後の入力データとのユークリッド距離(第1ユークリッド距離)を算出する。正規化された基準データREは、各学習用データLDの処理量を、その平均値又は最低値で正規化することにより取得することができる。同様に、制御部102は、入力データの平均値又は最低値を取得して、入力データをその平均値又は最低値で正規化する。
【0122】
本実施形態によれば、閾値THを用いて、基板処理を実行するか否かを決定することができる。したがって、基板処理を実行するか否かを容易に決定することができる。
【0123】
続いて図8及び図10を参照して、制御部102が実行する判定処理を更に説明する。図10は、複数の学習用データLDに含まれる処理量のバラつきと閾値THとの関係を示す図である。
【0124】
図10において、横軸は、ユークリッド距離を示す。縦軸は、横軸に含まれる各ユークリッド距離に対応する学習用データLDの数を示す。グラフGRは、複数の学習用データLDに含まれる処理量のバラつきを示す。
【0125】
グラフGRは、各学習用データLDの処理量を正規化し、正規化された基準データREと各学習用データLDの正規化後の処理量とのユークリッド距離を算出することにより取得される。以下、学習用データLDの処理量と基準データREとのユークリッド距離を、「第2ユークリッド距離」と記載する場合がある。
【0126】
本実施形態において、閾値THは、第1閾値TH1と、第2閾値TH2とを含む。制御部102は、入力データと基準データREとを比較して比較結果を取得し、比較結果と閾値TH(第1閾値TH1及び第2閾値TH2)とに基づいて、複数の決定項目のうちの1つを選択する。
【0127】
複数の決定項目は、第1決定項目~第3決定項目を含む。第1決定項目は、基板処理を実行しないことを決定する項目である。第2決定項目は、学習済みモデルLMから出力された処理条件に基づいて基板処理を実行するとともに、基板処理を実行したことを示すフラグ情報を記憶部103に記憶させることを決定する項目である。第3決定項目は、学習済みモデルLMから出力された処理条件に基づいて基板処理を実行することを決定する項目である。なお、第3決定項目では、基板処理を実行したことを示すフラグ情報は付与しない。
【0128】
第1閾値TH1の値Aは、第2ユークリッド距離の最大値よりも大きい値に設定される。つまり、第1閾値TH1は、複数の学習用データLDの処理量に含まれない処理量に対応する。換言すると、第1閾値TH1は、学習時に取得していない処理量に対応する。したがって、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1よりも大きい場合に入力データを学習済みモデルLMに入力すると、学習済みモデルLMから予期しない処理条件が出力される可能性が高い。
【0129】
本実施形態において、制御部102は、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1よりも大きい場合に、第1決定項目を選択して、基板処理を実行しないことを決定する。したがって、学習済みモデルLMから出力される処理条件が最適でない可能性がある場合に、学習済みモデルLMに入力データが入力されない。これにより、信頼性を保証できない処理条件が学習済みモデルLMから出力されることを防ぐことができる。よって、学習済みモデルLMから出力される処理条件の信頼性を保証することができる。
【0130】
第2閾値TH2の値Bは、学習用データLDの数が少ない領域の値に設定される。学習用データLDの数が少ない領域は、学習時に取得していない処理量が多い領域を示す。学習時に取得していない処理量が多い領域に含まれる処理量が入力データである場合、学習済みモデルLMから最適な処理条件が出力されない可能性が若干ある。したがって、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1以下であり、第2閾値TH2よりも大きい場合に入力データを学習済みモデルLMに入力すると、学習済みモデルLMから最適ではない処理条件(予期せぬ処理条件)が出力される可能性が若干ある。換言すると、学習済みモデルLMから出力される処理条件の信頼性が若干低い。
【0131】
制御部102は、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1以下であり、第2閾値TH2よりも大きい場合に、第2決定項目を選択して、学習済みモデルLMから出力された処理条件に基づいて基板処理を実行するとともに、基板処理を実行したことを示すフラグ情報を記憶部103に記憶させることを決定する。したがって、基板処理後の基板Wに含まれる対象物TGの厚みや上面の状態が所期の厚みや状態と異なる場合に、作業者は、その原因を検証することができる。
【0132】
なお、制御部102は、ユークリッド距離が第2閾値TH2以下の場合に、第3決定項目を選択して、学習済みモデルLMから出力された処理条件に基づいて基板処理を実行することを決定する。この場合、基板処理を実行したことを示すフラグ情報は記憶部103に記憶させない。
【0133】
続いて図8及び図11を参照して設定画面SEを説明する。図11は、設定画面SEを示す図である。図11に示すように、表示部104は、設定画面SEを表示する。設定画面SEは、グラフ表示欄111と、第1設定欄112~第4設定欄115とを含む。
【0134】
第1設定欄112は、作業者が入力部105を操作して第1閾値TH1の値Aを入力する入力欄である。第2設定欄113は、作業者が入力部105を操作して第2閾値TH2の値Bを入力する入力欄である。なお、図11は、第1設定欄112及び第2設定欄113に入力する数値がパーセンテージで表示される場合を例示している。具体的には、第1設定欄112及び第2設定欄113には、基準データREからのユークリッド距離を平均二乗偏差に換算した値に相当するパーセンテージが表示される。
【0135】
第3設定欄114は、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1よりも大きい場合に基板処理装置100に実行させる動作を入力する入力欄である。換言すると、第3設定欄114は、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1よりも大きい場合に制御部102に選択させる決定項目を入力する入力欄である。図11に示す「処理停止」は、第1決定項目に対応する。
【0136】
第4設定欄115は、第1ユークリッド距離が第2閾値TH2より大きく、第1閾値TH1以下の場合に基板処理装置100に実行させる動作を入力する入力欄である。換言すると、第4設定欄115は、第1ユークリッド距離が第2閾値TH2より大きく、第1閾値TH1以下の場合に制御部102に選択させる決定項目を入力する入力欄である。図11に示す「処理継続」は、第2決定項目に対応する。
【0137】
グラフ表示欄111には、グラフGRと、横軸と、縦軸とが表示される。本実施形態において、グラフGRは、エッチング量のバラつきを示す。横軸は、ユークリッド距離を示す。縦軸は、横軸に含まれる各ユークリッド距離に対応する学習用データLDの数を示す。本実施形態において、グラフ表示欄111には、第1設定欄112及び第2設定欄113に入力された第1閾値TH1及び第2閾値TH2が更に表示される。
【0138】
本実施形態によれば、閾値THの値(第1閾値TH1の値A及び第2閾値TH2の値B)をユーザーが任意の値に設定することができる。したがって、利便性が向上する。
【0139】
また、第1ユークリッド距離が閾値THの値(第1閾値TH1の値A又は第2閾値TH2の値B)を超えた場合に基板処理装置100に実行させる動作をユーザーが任意に設定することができる。したがって、利便性が向上する。
【0140】
更に、グラフ表示欄111にグラフGRが表示されるため、ユーザーは、閾値THの値を決定し易い。同様に、グラフ表示欄111にグラフGRが表示されるため、ユーザーは、第1ユークリッド距離が閾値THの値(第1閾値TH1の値A又は第2閾値TH2の値B)を超えた場合に基板処理装置100に実行させる動作を決定し易い。
【0141】
また、第1設定欄112及び第2設定欄113に入力された第1閾値TH1及び第2閾値TH2がグラフGR共に更に表示されるため、ユーザーは、閾値THの値を決定し易い。
【0142】
なお、グラフ表示欄111は省略されてもよい。
【0143】
続いて、図1図12を参照して、基板処理装置100の制御装置101(制御部102)が実行する処理を説明する。図12は、基板処理装置100の制御装置101(制御部102)が実行する処理を示すフロー図である。詳しくは、図12は、1枚の基板Wに対して基板処理を実行する際に制御部102が実行する処理を示す。図12に示すように、制御部102が実行する処理は、ステップS1~ステップS9を含む。なお、ステップS1~ステップS9のうち、ステップS4及びステップS5は、データ処理方法に含まれる。
【0144】
図12に示す処理は、作業者が入力部105を操作して基板Wのエッチング処理の開始を指示することにより開始する。作業者が入力部105を操作して基板Wのエッチング処理の開始を指示すると、制御部102は、インデクサーロボットIR及びセンターロボットCRを制御して、処理ユニット1のチャンバー2内へ基板Wを搬入させる(ステップS1)。搬入された基板Wは、スピンチャック3によって保持される(ステップS2)。
【0145】
スピンチャック3が基板Wを保持すると、制御部102は、スピンモータ部4を制御して、基板Wの回転を開始させる(ステップS3)。具体的には、スピンモータ部4は、スピンチャック3と一体に基板Wを回転させる。
【0146】
基板Wの回転数が所定の回転数で安定すると、制御部102は、厚み測定部8を制御して、基板Wに含まれる対象物TGの厚み(処理前厚み)を測定させる(ステップS4)。
【0147】
具体的には、図3(a)を参照して説明したように、制御部102は、プローブ移動機構9を制御して、光学プローブ81を測定位置Pまで移動させる(プローブ移動処理)。そして、厚み測定部8に対象物TGの厚みを測定させる(厚み測定処理)。制御部102は、厚み測定部8の厚み測定器85から出力される測定信号に基づいて、処理前測定データを取得する。処理前測定データは、基板処理の実行前における対象物TGの厚み(処理前厚み)の分布を示す。
【0148】
制御部102は、処理前測定データを取得した後、図8図11を参照して説明した判定処理を実行して、基板処理を実行するか否かを決定する(ステップS5)。
【0149】
制御部102は、基板処理を実行することを決定すると(ステップS5のYes)、学習済みモデルLMに入力データを入力して、スキャン速度情報(処理条件)を取得する。そして、学習済みモデルLMから取得したスキャン速度情報に基づいて、レシピデータRPに各速度設定位置のスキャン速度を設定する(ステップS6)。
【0150】
制御部102は、レシピデータRPに各速度設定位置のスキャン速度を設定した後、基板処理を実行する(ステップS7)。具体的には、図4を参照して説明したスキャン処理を実行する。すなわち、ノズル移動機構6を制御して、第1ノズル51を移動させつつ、薬液供給部5を制御して、第1ノズル51から基板Wに向けて薬液を吐出させる。
【0151】
制御部102は、基板処理の実行後、スピンチャック3による基板Wの保持を解除する。そして、センターロボットCRを制御して、処理ユニット1のチャンバー2内から基板Wを搬出させる(ステップS8)。また、センターロボットCR及びインデクサーロボットIRを制御して、処理ユニット1のチャンバー2から搬出させた基板Wを、複数のロードポートLPのうちの1つまで搬送させる。この結果、図12に示す処理が終了する。
【0152】
制御部102は、基板処理を実行しないことを決定すると(ステップS5のNo)、警報処理を実行して(ステップS9)、図12に示す処理を終了する。警報処理は、基板処理装置100においてエラーが発生したことを報知する処理である。制御部102は、例えば、表示部104にエラー画面を表示させることにより、基板処理装置100においてエラーが発生したことを報知する。
【0153】
続いて図1図13を参照して判定処理(ステップS5)を説明する。図13は、判定処理(ステップS5)を示すフロー図である。図13に示すように、判定処理(ステップS5)は、ステップS51~ステップS54を含む。
【0154】
判定処理(ステップS5)を開始すると、制御部102は、処理前測定データ(処理前厚み)と目標データ(目標厚み)とに基づいて入力データを生成して、基準データREと入力データとのユークリッド距離(第1ユークリッド距離)を取得する(ステップS51)。
【0155】
制御部102は、第1ユークリッド距離を取得すると、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1より大きいか否かを判定する(ステップS52)。制御部102は、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1より大きいと判定した場合(ステップS52のYes)、基板処理を実行しないことを決定する。この結果、判定処理(ステップS5)が終了して、制御部102が実行する処理は、図12を参照して説明したステップS9に進む。
【0156】
制御部102は、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1より大きくないと判定した場合(ステップS52のNo)、第1ユークリッド距離が第2閾値TH2より大きいか否かを判定する(ステップS53)。
【0157】
制御部102は、第1ユークリッド距離が第2閾値TH2より大きいと判定した場合(ステップS53のYes)、基板処理を実行したことを示すフラグ情報を記憶部103に記憶させる。この結果、判定処理(ステップS5)が終了して、制御部102が実行する処理は、図12を参照して説明したステップS6に進む。
【0158】
制御部102が、第1ユークリッド距離は第2閾値TH2より大きくないと判定した場合(ステップS53のNo)、判定処理(ステップS5)が終了して、制御部102が実行する処理は、図12を参照して説明したステップS6に進む。
【0159】
続いて図1図14を参照して条件設定処理(ステップS6)を説明する。図14は、条件設定処理(ステップS6)を示すフロー図である。図14に示すように、条件設定処理(ステップS6)は、ステップS61~ステップS63を含む。
【0160】
条件設定処理(ステップS6)を開始すると、制御部102は、学習済みモデルLMに入力データを入力する(ステップS61)。その結果、学習済みモデルLMからスキャン速度情報(処理条件)が出力されて、制御部102は、スキャン速度情報を取得する(ステップS62)。制御部102は、学習済みモデルLMから取得したスキャン速度情報に基づいて、レシピデータRPに各速度設定位置のスキャン速度を設定する(ステップS63)。この結果、条件設定処理(ステップS6)が終了して、制御部102が実行する処理は、図12を参照して説明したステップS7に進む。
【0161】
続いて図1図15を参照して基板処理(ステップS7)を説明する。図15は、基板処理(ステップS7)を示すフロー図である。図15に示すように、基板処理(ステップS7)は、ステップS71~ステップS73を含む。
【0162】
基板処理(ステップS7)を開始すると、制御部102は、薬液供給部5及びノズル移動機構6を制御して、第1ノズル51を移動させながら、第1ノズル51から基板Wに向けてエッチング液を吐出させる(ステップS71)。この結果、基板Wがエッチングされる(エッチング処理)。
【0163】
基板Wのエッチングが完了すると、制御部102は、リンス液供給部7を制御して、第2ノズル71から基板Wに向けてリンス液を吐出させる(ステップS72)。この結果、基板Wからエッチング液が除去される。具体的には、エッチング液がリンス液によって基板Wの外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。したがって、基板W上のリンス液の液膜が、リンス液の液膜に置換される。
【0164】
エッチング液をリンス液に置換した後、制御部102は、スピンモータ部4を制御して、基板Wを乾燥させる(ステップS73)。この結果、基板処理(ステップS7)が終了して、制御部102が実行する処理は、図12を参照して説明したステップS8に進む。
【0165】
具体的には、制御部102は、基板Wの回転速度を、エッチング処理時及びリンス処理時の回転速度よりも増大させる。この結果、基板W上のリンス液に大きな遠心力が付与され、基板Wに付着しているリンス液が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wからリンス液を除去し、基板Wを乾燥させる。なお、制御部102は、例えば基板Wの高速回転を開始してから所定時間が経過した後に、スピンモータ部4による基板Wの回転を停止させる。
【0166】
以上、図1から図15を参照して本発明の実施形態1を説明した。本実施形態によれば、学習済みモデルLMから出力される処理条件の信頼性を保証することができる。具体的には、学習済みモデルLMから出力される処理条件が最適でない可能性がある場合に、制御部102は、学習済みモデルLMに入力データを入力しない。したがって、信頼性を保証できない処理条件が学習済みモデルLMから出力されることを防ぐことができる。また、本実施形態によれば、学習済みモデルLMから出力される処理条件(スキャン速度情報)が最適でない可能性がある場合に、基板Wが処理されることを防ぐことができる。
【0167】
なお、本実施形態では、処理前厚みを測定したが、処理前厚みに加えて処理後厚みを更に測定してもよい。
【0168】
また、本実施形態では、第1閾値TH1及び第2閾値TH2が設定されたが、第1閾値TH1及び第2閾値TH2のうち、第1閾値TH1のみが設定されてもよい。
【0169】
[実施形態2]
続いて図1図7図9図13、及び図15図17を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、条件設定処理(ステップS6)が実施形態1と異なる。
【0170】
まず図16を参照して、本実施形態の基板処理装置100が備える制御装置101を説明する。図16は、本実施形態の基板処理装置100が備える制御装置101のブロック図である。
【0171】
図16に示すように、記憶部103は、既定スキャン速度情報SCを更に記憶する。既定スキャン速度情報SCは、既定条件の一例である。既定スキャン速度情報SCは、予め規定されたスキャン速度情報を示す。
【0172】
制御部102は、入力データと基準データREとを比較して比較結果を取得し、比較結果と閾値TH(第1閾値TH1及び第2閾値TH2)とに基づいて、複数の決定項目のうちの1つを選択する。
【0173】
本実施形態において、複数の決定項目は、第4決定項目を更に含む。第4決定項目は、既定スキャン速度情報SCに基づいて基板処理を実行するとともに、基板処理を実行したことを示す情報を記憶部103に記憶させることを決定する項目である。作業者は、図11を参照して説明した設定画面SEにおいて、第4設定欄115に、第2決定項目、又は、第4決定項目を入力することができる。
【0174】
なお、第1決定項目は、基板処理を実行しないことを決定する項目である。第2決定項目は、学習済みモデルLMから出力された処理条件に基づいて基板処理を実行するとともに、基板処理を実行したことを示すフラグ情報を記憶部103に記憶させることを決定する項目である。第3決定項目は、学習済みモデルLMから出力された処理条件に基づいて基板処理を実行することを決定する項目である。
【0175】
続いて図17を参照して制御部102が実行する条件設定処理を説明する。図17は、条件設定処理(ステップS6)を示すフロー図である。詳しくは、図17は、設定画面SEの第4設定欄115に第4決定項目が入力された場合における条件設定処理を示す。図17に示す条件設定処理(ステップS6)は、図14に示すステップS61~ステップS63に加えて、ステップS611及びステップS612を更に含む。
【0176】
条件設定処理(ステップS6)を開始すると、制御部102は、基板処理を実行したことを示すフラグ情報が記憶部103に記憶されているか否かを判定する(ステップS611)。基板処理を実行したことを示すフラグ情報は、図13に示すステップS54において、記憶部103に記憶される。
【0177】
制御部102は、フラグ情報が記憶部103に記憶されていると判定した場合(ステップS611のYes)、既定スキャン速度情報SCに基づいて、レシピデータRPに各速度設定位置のスキャン速度を設定する(ステップS612)。この結果、条件設定処理(ステップS6)が終了して、制御部102が実行する処理は、図12を参照して説明したステップS7に進む。
【0178】
制御部102は、フラグ情報が記憶部103に記憶されていないと判定した場合(ステップS611のNo)、図14を参照して説明したステップS61~ステップS63の各処理を実行する。この結果、条件設定処理(ステップS6)が終了して、制御部102が実行する処理は、図12を参照して説明したステップS7に進む。
【0179】
以上、図1図7図9図13、及び図15図17を参照して本発明の実施形態2を説明した。本実施形態によれば、実施形態1と同様に、学習済みモデルLMから出力される処理条件の信頼性を保証することができる。
【0180】
また、既に説明したように、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1以下であり、第2閾値TH2よりも大きい場合に入力データを学習済みモデルLMに入力した場合、学習済みモデルLMから予期せぬスキャン速度情報が出力される可能性が若干ある。これに対し、本実施形態によれば、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1以下であり、第2閾値TH2よりも大きい場合に、既定スキャン速度情報SCに基づいて、レシピデータRPに各速度設定位置のスキャン速度を設定することができる。したがって、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1以下であり、第2閾値TH2よりも大きい場合に、予期せぬスキャン速度がレシピデータRPに設定されることを防ぐことができる。
【0181】
[実施形態3]
続いて図1図11及び図13図19を参照して本発明の実施形態3について説明する。但し、実施形態1、2と異なる事項を説明し、実施形態1、2と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態3は、制御部102が追加学習用データを生成する点で実施形態1、2と異なる。
【0182】
図18は、本実施形態に係る基板処理装置100の制御装置101(制御部102)が実行する処理を示すフロー図である。図18に示す処理は、図12に示すステップS1~ステップS9に加えて、ステップS10及びステップS20を更に含む。
【0183】
なお、本実施形態では、乾燥処理(図15のステップS73)の終了時に、スピンモータ部4による基板Wの回転を停止させない。例えば、制御部102は、乾燥処理の後、基板Wの回転速度を、エッチング処理時及びリンス処理時の回転速度まで減少させる。
【0184】
制御部102は、基板処理の実行後(ステップS7)、基板処理を実行したことを示すフラグ情報が記憶部103に記憶されているか否かを判定する(ステップS10)。
【0185】
制御部102は、フラグ情報が記憶部103に記憶されていると判定した場合(ステップS10のYes)、追加学習用データを生成する(ステップS20)。制御部102は、追加学習用データの生成後、スピンモータ部4による基板Wの回転を停止させる。そして、図12を参照して説明したステップS8を実行する。この結果、図18に示す処理が終了する。
【0186】
制御部102は、フラグ情報が記憶部103に記憶されていないと判定した場合(ステップS10のNo)、スピンモータ部4による基板Wの回転を停止させる。そして、図12を参照して説明したステップS8を実行する。この結果、図18に示す処理が終了する。
【0187】
続いて図19を参照して追加学習用データの生成処理(ステップS20)を説明する。図19は、追加学習用データの生成処理(ステップS20)を示すフロー図である。図19に示すように、追加学習用データの生成処理(ステップS20)は、ステップS21~ステップS23を含む。
【0188】
制御部102は、追加学習用データの生成処理(ステップS20)を開始すると、厚み測定部8を制御して、基板Wに含まれる対象物TGの厚み(処理後厚み)を測定させる(ステップS21)。
【0189】
具体的には、図3(a)を参照して説明したように、制御部102は、プローブ移動機構9を制御して、光学プローブ81を測定位置Pまで移動させる(プローブ移動処理)。そして、厚み測定部8に対象物TGの厚みを測定させる(厚み測定処理)。制御部102は、厚み測定部8の厚み測定器85から出力される測定信号に基づいて、処理後測定データを取得する。処理後測定データは、基板処理の実行後における対象物TGの厚み(処理後厚み)の分布を示す。
【0190】
制御部102は、処理後測定データを取得した後、処理前測定データと処理後測定データとに基づいて処理量を取得する(ステップS22)。具体的には、処理量は、処理前厚みと処理後厚みとの差分を示す。
【0191】
制御部102は、処理量を取得すると、追加学習用データを生成する(ステップS23)。追加学習用データは、図9を参照して説明した学習用データLDと同様に、スキャン速度情報、及び処理量情報を含む。制御部102は、レシピデータRPに設定した各速度設定位置のスキャン速度と、処理量とに基づいて、追加学習用データを生成する。
【0192】
制御部102は、追加学習用データの生成後、スピンモータ部4による基板Wの回転を停止させる。その結果、追加学習用データの生成処理(ステップS20)が終了して、制御部102が実行する処理は、図18に示すステップS8に進む。
【0193】
以上、図1図11及び図13図19を参照して本発明の実施形態3を説明した。本実施形態によれば、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1以下であり、第2閾値TH2よりも大きい場合に、追加学習用データを生成することができる。既に説明したように、第2閾値TH2の値Bは、学習用データLDの数が少ない領域の値に設定される。したがって、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1以下であり、第2閾値TH2よりも大きい場合に、追加学習用データを生成することにより、追加学習の際に、学習用データLDの数が少ない領域の学習用データLDの数を増やすことができる。この結果、学習済みモデルLMの予測の精度が向上する。
【0194】
なお、本実施形態では、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1以下であり、第2閾値TH2よりも大きい基板Wを、追加学習の対象としたが、基板処理を実行した全ての基板Wを追加学習の対象としてもよい。この場合、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1以下となる基板Wが全て追加学習の対象となる。
【0195】
また、追加学習用データは、処理量(エッチング量)が目標の処理量(目標のエッチング量)と一致しないことを示す情報、あるいは、処理量が許容範囲内の値でないことを示す情報を更に含んでもよい。この場合、制御部102は、処理量(エッチング量)が入力データ(目標のエッチング量)と一致しているか否かを判定する。あるいは、制御部102は、処理量が許容範囲内の値であるか否かを判定する。
【0196】
[実施形態4]
続いて図1図20を参照して本発明の実施形態4について説明する。但し、実施形態1~3と異なる事項を説明し、実施形態1~3と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態4は、対象物TGの厚みが基板処理装置100の外部の装置で測定される点で実施形態1~3と異なる。
【0197】
図20は、本実施形態の基板処理システム1000を示す図である。図20に示すように、本実施形態の基板処理システム1000は、基板処理装置100と、膜厚測定装置200とを備える。膜厚測定装置200は、厚み測定装置の一例である。
【0198】
膜厚測定装置200は、基板処理の実行前の基板Wに含まれる対象物TGの厚みを測定する。基板処理装置100は、膜厚測定装置200による対象物TGの厚みの測定後に、基板処理を実行する。
【0199】
詳しくは、基板処理装置100の制御部102は、膜厚測定装置200の測定結果を取得する。例えば、基板処理装置100と膜厚測定装置200とを通信可能に接続して、膜厚測定装置200から基板処理装置100へ、膜厚測定装置200の測定結果を示すデータを送信してもよい。通信媒体は、通信ケーブルであってもよいし、無線であってもよい。あるいは、データを保持する媒体を用いて、基板処理装置100の制御部102に膜厚測定装置200の測定結果を取得させてもよい。例えば、データを保持する媒体として、コンパクトディスク又はDVDのような光ディスク、あるいはUSBメモリのような記憶装置を用いてもよい。
【0200】
基板処理装置100の制御部102は、膜厚測定装置200の測定結果から処理前測定データ(基板処理の実行前の対象物TGの厚みの分布)を取得する。そして、実施形態1~3において説明したように、対象物TGの厚みの目標値(目標厚み)を示す目標データと処理前測定データとに基づいて入力データを生成し、入力データと基準データREとを比較して、基板処理を実行するか否かを決定する。
【0201】
なお、本実施形態において、基板処理装置100は、厚み測定部8を備えてもよいし、備えていなくてもよい。
【0202】
以上、図1図20を参照して本発明の実施形態4を説明した。本実施形態によれば、実施形態1~3と同様に、学習済みモデルLMから出力される処理条件の信頼性を保証することができる。
【0203】
[実施形態5]
続いて図1図19図21、及び図22を参照して本発明の実施形態5について説明する。但し、実施形態1~4と異なる事項を説明し、実施形態1~4と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態4は、基板処理を実行するか否かを基板処理装置100の外部の装置が決定する点で実施形態1~4と異なる。
【0204】
図21は、本実施形態の基板処理システム1000を示す図である。図21に示すように、本実施形態の基板処理システム1000は、基板処理装置100と、膜厚測定装置200と、情報処理装置300とを備える。膜厚測定装置200は、厚み測定装置の一例である。また、情報処理装置300は、決定装置の一例である。
【0205】
膜厚測定装置200は、基板処理の実行前の基板Wに含まれる対象物TGの厚みを測定する。情報処理装置300は、膜厚測定装置200の測定結果を取得する。例えば、情報処理装置300と膜厚測定装置200とを通信可能に接続して、膜厚測定装置200から情報処理装置300へ、膜厚測定装置200の測定結果を示すデータを送信してもよい。通信媒体は、通信ケーブルであってもよいし、無線であってもよい。あるいは、データを保持する媒体を用いて、情報処理装置300に膜厚測定装置200の測定結果を取得させてもよい。例えば、データを保持する媒体として、コンパクトディスク又はDVDのような光ディスク、あるいはUSBメモリのような記憶装置を用いてもよい。
【0206】
情報処理装置300は、膜厚測定装置200の測定結果に基づいて、基板処理を実行するか否かを決定する。具体的には、情報処理装置300は、図8図11を参照して説明した判定処理を実行して、基板処理を実行するか否かを決定する。
【0207】
基板処理装置100は、情報処理装置300から、判定結果と、学習済みモデルLMに入力する入力データとを取得する。判定結果は、基板処理を実行するか否かを示す。例えば、情報処理装置300と基板処理装置100とを通信可能に接続して、情報処理装置300から基板処理装置100へ、判定結果を示すデータ、及び入力データを送信してもよい。通信媒体は、通信ケーブルであってもよいし、無線であってもよい。あるいは、データを保持する媒体を用いて、基板処理装置100に判定結果及び入力データを取得させてもよい。例えば、データを保持する媒体として、コンパクトディスク又はDVDのような光ディスク、あるいはUSBメモリのような記憶装置を用いてもよい。
【0208】
基板処理装置100は、情報処理装置300により基板処理を実行することが決定された場合、実施形態1~4において説明したように、学習済みモデルLMに入力データを入力する。そして、学習済みモデルLMから出力された処理条件に基づいて、基板処理を実行する。
【0209】
なお、情報処理装置300により基板処理を実行することが決定された場合にのみ、基板処理装置100が入力データを取得してもよい。
【0210】
続いて、図22を参照して情報処理装置300の構成を説明する。図22は、情報処理装置300の構成を示すブロック図である。図22に示すように、情報処理装置300は、処理部301と、記憶部302と、表示部303と、入力部304とを備える。情報処理装置300は、例えば、サーバ又はパーソナルコンピュータ(PC)である。但し、情報処理装置300は、演算処理が可能な機器である限り、特に限定されない。
【0211】
処理部301は、プロセッサを有する。処理部301は、例えば、CPU、又はMPUを有する。あるいは、処理部301は、汎用演算機又は専用演算器を有してもよい。
【0212】
記憶部302は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、基準データREを含む。本実施形態において、データは、閾値THを更に含む。処理部301は、記憶部302に記憶されているコンピュータプログラム及びデータに基づいて、各種の演算処理を実行する。
【0213】
記憶部302は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部302は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部302はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0214】
表示部303は各種の情報を表示する。本実施形態において、表示部303は、図11を参照して説明した設定画面SEを表示する。表示部303は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイを有する。
【0215】
入力部304は、作業者からの入力を受け付けて、処理部301に各種の情報を出力する。入力部304は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、及びタッチパネルのような入力装置を含む。タッチパネルは、例えば、表示部303の表示面に配置されて、表示部303と共にグラフィカルユーザーインターフェースを構成してもよい。
【0216】
作業者は、表示部303に設定画面SEが表示されている際に、入力部304を操作して、図11を参照して説明した第1設定欄112及び第2設定欄113に、第1閾値TH1及び第2閾値TH2の値をそれぞれ入力することができる。また、入力部304を操作して、図11を参照して説明した第3設定欄114及び第4設定欄115に、基板処理装置100に実行させる動作をそれぞれ入力することができる。
【0217】
処理部301は、決定部の一例である。処理部301は、実施形態1~4において説明した基板処理装置100の制御部102と同様に、膜厚測定装置200の測定結果から処理前測定データ(基板処理の実行前の対象物TGの厚みの分布)を取得する。そして、対象物TGの厚みの目標値(目標厚み)を示す目標データと処理前測定データとに基づいて入力データを生成し、入力データと基準データREとを比較して、基板処理を実行するか否かを決定する。具体的には、処理部301は、入力データと基準データREとを比較して比較結果を取得し、比較結果と閾値THとに基づいて、基板処理を実行するか否かを決定する。
【0218】
以上、図1図19図21、及び図22を参照して本発明の実施形態5を説明した。本実施形態によれば、実施形態1~4と同様に、学習済みモデルLMから出力される処理条件の信頼性を保証することができる。
【0219】
以上、図面(図1図22)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0220】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0221】
例えば、図1図22を参照して説明した実施形態では、基板Wを保持する構成として、基板Wを挟持する挟持式のチャックについて説明したが、基板Wを保持する構成は、基板Wを水平に保持できる限り、特に限定されない。例えば、スピンチャック3は、バキューム式のチャックであってもよいし、ベルヌーイ式のチャックであってもよい。
【0222】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、作業者が第1閾値TH1の値を設定したが、第1閾値TH1の値は、予め規定された既定値であってもよい。同様に、図1図22を参照して説明した実施形態では、作業者が第2閾値TH2の値を設定したが、第2閾値TH2の値は、予め規定された既定値であってもよい。
【0223】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1よりも大きい場合における基板処理装置100の動作を作業者が設定したが、第1ユークリッド距離が第1閾値TH1よりも大きい場合における基板処理装置100の動作は、予め規定されていてもよい。同様に、図1図22を参照して説明した実施形態では、第1ユークリッド距離が第2閾値TH2よりも大きく、第1閾値TH1以下である場合における基板処理装置100の動作を作業者が設定したが、第1ユークリッド距離が第2閾値TH2よりも大きく、第1閾値TH1以下である場合における基板処理装置100の動作は、予め規定されていてもよい。
【0224】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、閾値THとして、2つの閾値(第1閾値TH1及び第2閾値TH2)が設定されたが、3つ以上の閾値が設定されてもよい。
【0225】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、基準データREと入力データとを比較してユークリッド距離(第1ユークリッド距離)を算出したが、基準データREと入力データとを比較して、基準データREと入力データとの類似度を算出してもよい。具体的には、DTW(Dynamic time warping)により、基準データREと入力データとの類似度を算出してもよいし、DDTW(Derivative DTW)により、基準データREと入力データとの類似度を算出してもよい。この場合、学習用データLDの処理量と基準データREとのユークリッド距離(第2ユークリッド距離)に替えて、DTW又はDDTWにより、学習用データLDの処理量と基準データREとの類似度が算出される。
【0226】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、表示部104がエラー画面を表示することにより、作業者にエラーが報知されたが、エラーの報知はエラー画面の表示に限定されない。例えば、基板処理装置100は、スピーカーを備え得る。この場合、制御部102は、スピーカーからエラー音を出力させてもよい。あるいは、基板処理装置100は、ランプを備え得る。この場合、制御部102は、ランプを点滅させて作業者にエラーを報知してもよいし、ランプを点灯させて作業者にエラーを報知してもよい。
【0227】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、スキャン速度情報は、各速度設定位置のスキャン速度を示したが、スキャン速度情報は、スキャン速度の設定値を1つだけ示してもよい。この場合、第1ノズル51は、第1ノズル51の移動区間の開始位置から終了位置まで一定速度で移動する。
【0228】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、処理条件として、第1ノズル51の移動速度が設定されたが、第1ノズル51と基板Wとの相対的な移動速度が設定されてもよい。なお、基板Wが回転する場合、第1ノズル51と基板Wとの相対的な移動速度は、回転する基板Wの表面と第1ノズル51との相対的な移動速度を示す。例えば、相対的な移動速度は、第1ノズル51の速度成分(ベクトル)と、回転する基板Wにおいて第1ノズル51と対向する部分の速度成分(ベクトル)との和を示す。ここで、基板Wの速度成分は、周方向CDの速度を示す。
【0229】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、第1ノズル51が旋回したが、第1ノズル51は、直線移動してもよい。
【0230】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、第1ノズル51はスキャンノズルであったが、第1ノズル51は固定ノズルであってもよい。この場合、処理ユニット1は、ノズル移動機構6に替えて、基板Wを移動させる基板移動機構を備える。レシピデータRPには、スキャン速度に替えて、基板Wの移動速度が設定される。この場合、学習済みモデルLMは、基板Wの移動速度を示す基板速度情報を出力する。制御部102は、基板速度情報に基づいて、基板移動機構を制御する。基板速度情報は、スキャン速度情報と同様に、基板Wが移動する移動区間を複数の区間に分割する各位置(各基板位置)ごとに設定された基板Wの移動速度を示してもよい。なお、基板Wは旋回してもよいし、直線移動してもよい。
【0231】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、基板Wの処理中に第1ノズル51のみが移動したが、第1ノズル51と基板Wとが移動してもよい。この場合、処理ユニット1は、ノズル移動機構6に加えて、基板Wを移動させる基板移動機構を更に備える。レシピデータRPには、スキャン速度と共に、基板Wの移動速度が設定される。この場合、学習済みモデルLMは、スキャン速度情報に加えて、基板Wの移動速度を規定する基板速度情報を出力する。制御部102は、基板速度情報に基づいて、基板移動機構を制御する。
【0232】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、対象物TGの厚みを測定する際に、光学プローブ81は、測定位置P(一定の位置)に固定されたが、対象物TGの厚みを測定する際に、光学プローブ81が移動してもよい。この場合、図3(a)に示すように、平面視において、対象物TGに対する厚みの測定位置が円弧状の軌跡TJ1を形成するように光学プローブ81が移動する。
【0233】
具体的には、対象物TGの厚みを測定する際に、光学プローブ81は、平面視において、基板Wの中心部CTとエッジ部EGとの間を移動しながら、対象物TGに向けて光を出射する。この結果、軌跡TJ1に含まれる各測定位置において、対象物TGの厚みが測定される。各測定位置は、基板Wの各半径位置に対応している。したがって、厚み測定処理により、基板Wの径方向における対象物TGの厚みの分布が測定される。
【0234】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、学習済みモデルLMは目的変数としてスキャン速度情報を出力したが、スキャン速度情報に替えて、又はスキャン速度情報に加えて、処理量に影響する他の処理条件を出力してもよい。例えば、学習済みモデルLMは、他の処理条件として、基板Wの回転速度、薬液温度、薬液濃度、及び薬液の吐出流量のうちの少なくとも1つを出力してもよい。
【0235】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、薬液はエッチング液であったが、薬液は、エッチング液に限定されない。薬液は、基板Wを処理する液体であればよい。例えば、薬液は、対象物TGを除去する除去液であってもよい。除去液を用いることにより、特定の膜を除去する処理や、異物が混入している特定の膜を除去する処理を実行することができる。除去液は、基板Wに対してレジスト除去処理を実行する場合、例えば、硫酸過酸化水素水混合液(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:SPM)である。レジスト除去処理とは、半導体基板の表面から、レジストを除去する処理のことである。
【0236】
また、図1図22を参照して説明した実施形態では、基板処理はエッチング処理を含むが、基板処理はエッチング処理に限定されない。例えば、基板処理は、成膜処理を含み得る。基板処理装置100が成膜処理を実行する場合、処理液は、例えば、SPM、又はオゾン水である。この場合、基板Wに酸化膜が形成される。また、処理量は、成膜量を示す。
【0237】
また、図1図22を参照して説明した実施形態において、基板処理装置100は、基板Wごとに基板処理を実行する枚葉式の装置であったが、基板処理装置100は複数の基板Wに対して同時に基板処理を実行するバッチ式の装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0238】
本発明は、基板を処理する分野に有用である。
【符号の説明】
【0239】
6 :ノズル移動機構
8 :厚み測定部
51 :第1ノズル
100 :基板処理装置
102 :制御部
103 :記憶部
104 :表示部
111 :グラフ表示欄
112 :第1設定欄
113 :第2設定欄
114 :第3設定欄
115 :第4設定欄
200 :膜厚測定装置
300 :情報処理装置
301 :処理部
302 :記憶部
1000 :基板処理システム
GR :グラフ
LD :学習用データ
LM :学習済みモデル
RE :基準データ
SC :既定スキャン速度情報
SE :設定画面
TG :対象物
TH :閾値
TH1 :第1閾値
TH2 :第2閾値
W :基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22