(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、医用画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20241210BHJP
A61B 8/06 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61B6/03 577
A61B6/03 570A
A61B8/06
(21)【出願番号】P 2021077936
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 岳人
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-094020(JP,A)
【文献】特開平04-256740(JP,A)
【文献】国際公開第2015/104763(WO,A1)
【文献】特表2022-510879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055、 6/00 - 6/58 、
8/00 - 8/15 、
G01T 1/161- 1/166、
G06T 1/00 - 1/40 、 3/00 - 7/90 、
G06V10/00 -20/90 、30/418、40/16 、
40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の撮像手法に基づいて取得される第1の医用画像データと、前記第1の撮像手法とは異なる第2の撮像手法に基づいて取得される第2の医用画像データとを、所定時相で取得する取得部と、
前記第1の医用画像データに基づく
流量又は流速である第1の流体情報と、前記第2の医用画像データに基づく
流量又は流速である第2の流体情報とを算出する算出部と、
前記所定時相における前記第1の流体情報と前記第2の流体情報と
の間で、時間の正規化と血流情報の正規化又は標準化とを行ない、前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間の一致度を算出し、当該一致度に基づいて、前記所定時相から注目時相を特定する評価部と
を備える医用画像処理装置。
【請求項2】
前記算出部は、複数時相の前記第1の医用画像データに基づいて前記第1の流体情報を算出し、また、複数時相の前記第2の医用画像データに基づいて前記第2の流体情報を算出し、
前記評価部は、前記第1の流体情報と前記第2の流体情報とに基づいて、少なくとも前記所定時相
から注目時相を特定する、請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記評価部による評価に応じた出力を行なう出力部を更に備え、
前記算出部は、前記注目時相における、前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データの少なくとも一方に基づいて計測値を算出し、
前記出力部は、前記計測値を表示させる、請求項
1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記注目時相における、前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データの少なくとも一方を表示させる出力部を更に備える、請求項
1又は2に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
第1の撮像手法に基づいて取得される第1の医用画像データと、前記第1の撮像手法とは異なる第2の撮像手法に基づいて取得される第2の医用画像データとを、所定時相で取得する取得部と、
前記第1の医用画像データに基づく流量又は流速である第1の流体情報と、前記第2の医用画像データに基づく流量又は流速である第2の流体情報とを算出する算出部と、
前記所定時相における前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間で血流情報の正規化又は標準化を行ない、前記第1の医用画像データと前記第2の医用画像データとを位置合わせし、対象領域を分割した分割領域ごとの前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間の差分値を、前記所定時相における前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間の一致度として算出し、当該一致度に基づいて、
前記第1の医用画像データと前記第2の医用画像データとに基づく領域から注目領域を特定する
評価部と
を備える医用画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データにおける前記注目領域を強調表示させる出力部を更に備える、請求項
5に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記第1の医用画像データ及び前記第2の医用画像データは3次元データであり、
前記出力部は、前記3次元データにおいて前記注目領域を含む断面を表示させる、請求項
6に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
第1の撮像手法に基づいて取得される第1の医用画像データと、前記第1の撮像手法とは異なる第2の撮像手法に基づいて取得される第2の医用画像データとを、所定時相で取得し
、
前記第1の医用画像データに基づく
流量又は流速である第1の流体情報と、前記第2の医用画像データに基づく
流量又は流速である第2の流体情報とを算出し、
前記所定時相における前記第1の流体情報と前記第2の流体情報と
の間で、時間の正規化と血流情報の正規化又は標準化とを行ない、前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間の一致度を算出し、当該一致度に基づいて、前記所定時相から注目時相を特定する
ことを含む、医用画像処理方法。
【請求項9】
第1の撮像手法に基づいて取得される第1の医用画像データと、前記第1の撮像手法とは異なる第2の撮像手法に基づいて取得される第2の医用画像データとを、所定時相で取得し、
前記第1の医用画像データに基づく流量又は流速である第1の流体情報と、前記第2の医用画像データに基づく流量又は流速である第2の流体情報とを算出し、
前記所定時相における前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間で血流情報の正規化又は標準化を行ない、前記第1の医用画像データと前記第2の医用画像データとを位置合わせし、対象領域を分割した分割領域ごとの前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間の差分値を、前記所定時相における前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間の一致度として算出し、当該一致度に基づいて、前記第1の医用画像データと前記第2の医用画像データとに基づく領域から注目領域を特定する
ことを含む、医用画像処理方法。
【請求項10】
第1の撮像手法に基づいて取得される第1の医用画像データと、前記第1の撮像手法とは異なる第2の撮像手法に基づいて取得される第2の医用画像データとを、所定時相で取得し
、
前記第1の医用画像データに基づく
流量又は流速である第1の流体情報と、前記第2の医用画像データに基づく
流量又は流速である第2の流体情報とを算出し、
前記所定時相における前記第1の流体情報と前記第2の流体情報と
の間で、時間の正規化と血流情報の正規化又は標準化とを行ない、前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間の一致度を算出し、当該一致度に基づいて、前記所定時相から注目時相を特定する
各処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項11】
第1の撮像手法に基づいて取得される第1の医用画像データと、前記第1の撮像手法とは異なる第2の撮像手法に基づいて取得される第2の医用画像データとを、所定時相で取得し、
前記第1の医用画像データに基づく流量又は流速である第1の流体情報と、前記第2の医用画像データに基づく流量又は流速である第2の流体情報とを算出し、
前記所定時相における前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間で血流情報の正規化又は標準化を行ない、前記第1の医用画像データと前記第2の医用画像データとを位置合わせし、対象領域を分割した分割領域ごとの前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間の差分値を、前記所定時相における前記第1の流体情報と前記第2の流体情報との間の一致度として算出し、当該一致度に基づいて、前記第1の医用画像データと前記第2の医用画像データとに基づく領域から注目領域を特定する
各処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置、医用画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像データに基づいて流体情報を算出する技術が知られている。例えば、X線CT(Computed Tomography)画像やMRI(Magnetic Resonance Imaging)画像を用いた血流シミュレーションや超音波画像におけるドプラ法などにより、血管や心臓における血流量等の流体情報を算出できる。ここで、同一の被検体を対象とする場合であっても流体情報の算出に用いる医用画像データの撮像手法が異なる場合には、異なる流体情報が算出される場合がある。例えば、X線CT画像に基づいて算出される流体情報と、超音波画像に基づいて算出される流体情報とが異なる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-131645号公報
【文献】特開2014-188323号公報
【文献】特開2018-94020号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】Creigen, Vincent, et al. "Modeling a heart pump" European Study Group Mathematics with Industry 7 (2007)
【文献】Ursino, Mauro. "Interaction between carotid baroregulation and the pulsating heart: a mathematical model." American Journal of Physiology-Heart and Circulatory Physiology 275.5 (1998): H1733-H1747
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、医用画像データに基づいて算出される流体情報に関し、より有用な情報の提供を可能とすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の医用画像処理装置は、取得部と、算出部と、評価部とを備える。取得部は、第1の撮像手法に基づいて取得される第1の医用画像データと、前記第1の撮像手法とは異なる第2の撮像手法に基づいて取得される第2の医用画像データとを、所定時相で取得する。算出部は、前記第1の医用画像データに基づく第1の流体情報と、前記第2の医用画像データに基づく第2の流体情報とを算出する。評価部は、前記所定時相における前記第1の流体情報と前記第2の流体情報とに基づいて、前記所定時相、乃至は、前記第1の医用画像データと前記第2の医用画像データとの少なくとも一方に基づく領域を評価する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置の処理回路による処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る流体情報の算出方法について説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る流体情報の算出方法について説明するための図である。
【
図5】
図5は、
図2のステップS4の詳細を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る血流量及び一致度の算出例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る表示例を示す図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る表示例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係る表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら、医用画像処理装置、医用画像処理方法及びプログラムの実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
本実施形態では、医用画像処理装置20を含んだ医用画像処理システム1を例として説明する。例えば、医用画像処理システム1は、
図1に示すように、医用画像診断装置10、医用画像処理装置20及び画像保管装置30を有する。
図1は、第1の実施形態に係る医用画像処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。医用画像診断装置10、医用画像処理装置20及び画像保管装置30は、ネットワークNWを介して相互に接続される。
【0010】
ネットワークNWを介して接続可能であれば、医用画像処理システム1に含まれる各装置が設置される場所は任意である。例えば、画像保管装置30は、医用画像診断装置10及び医用画像処理装置20が設置されている病院とは異なる病院、或いは他の施設内に設置されていてもよい。即ち、ネットワークNWは、施設内で閉じたローカルネットワークにより構成されてもよいし、インターネットを介したネットワークであってもよい。
【0011】
医用画像診断装置10は、被検体を撮像して医用画像データを収集する装置である。なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。医用画像診断装置10は、例えば、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置、X線診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置等の医用モダリティである。なお、
図1においては単一の医用画像診断装置10を示すが、医用画像処理システム1は、医用画像診断装置10を複数含んでもよい。また、医用画像処理システム1は、複数種類の医用画像診断装置10を含んでもよい。例えば、医用画像処理システム1は、医用画像診断装置10として、X線CT装置と超音波診断装置とを含んでもよい。
【0012】
画像保管装置30は、医用画像診断装置10によって収集された医用画像データを保管する画像データベースである。例えば、画像保管装置30は、任意の記憶装置を装置内又は装置外に備え、ネットワークNWを介して医用画像診断装置10から取得した医用画像データを、データベースの形態で管理する。例えば、画像保管装置30は、PACS(Picture Archiving and Communication System)のサーバである。また、画像保管装置30は、医用画像処理システム1とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
【0013】
医用画像処理装置20は、医用画像診断装置10によって収集された医用画像データを取得し、後述する各種の処理を行なう装置である。例えば、医用画像処理装置20は、
図1に示すように、メモリ21、ディスプレイ22、入力インタフェース23及び処理回路24を備える。
【0014】
メモリ21は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ21は、医用画像データを記憶する。また、メモリ21は、医用画像処理装置20に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。
【0015】
ディスプレイ22は、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ22は、デスクトップ型でもよいし、医用画像処理装置20本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ディスプレイ22における表示の制御については後述する。
【0016】
入力インタフェース23は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路24に出力する。例えば、入力インタフェース23は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インタフェース23は、医用画像処理装置20本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インタフェース23は、モーションキャプチャによりユーザからの入力操作を受け付ける回路であっても構わない。一例を挙げると、入力インタフェース23は、トラッカーを介して取得した信号やユーザについて収集された画像を処理することにより、ユーザの体動や視線等を入力操作として受け付けることができる。また、入力インタフェース23は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用画像処理装置20とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路24へ出力する電気信号の処理回路も、入力インタフェース23の例に含まれる。
【0017】
処理回路24は、制御機能24a、取得機能24b、算出機能24c、評価機能24d及び出力機能24eを実行することで、医用画像処理装置20全体の動作を制御する。取得機能24bは、取得部の一例である。算出機能24cは、算出部の一例である。評価機能24dは、評価部の一例である。出力機能24eは、出力部の一例である。
【0018】
例えば、処理回路24は、制御機能24aに対応するプログラムをメモリ21から読み出して実行することにより、入力インタフェース23を介してユーザから受け付けた各種の入力操作に基づいて、取得機能24b、算出機能24c、評価機能24d、出力機能24eといった各種の機能を制御する。
【0019】
また、処理回路24は、取得機能24bに対応するプログラムをメモリ21から読み出して実行することにより、被検体に関する医用画像データを取得する。また、処理回路24は、算出機能24cに対応するプログラムをメモリ21から読み出して実行することにより、医用画像データに基づく流体情報を算出する。また、処理回路24は、評価機能24dに対応するプログラムをメモリ21から読み出して実行することにより、流体情報に基づく評価を実行する。また、処理回路24は、出力機能24eに対応するプログラムをメモリ21から読み出して実行することにより、評価機能24dによる評価の結果に基づいて各種情報の出力を行なう。取得機能24b、算出機能24c、評価機能24d及び出力機能24eによる処理の詳細については後述する。
【0020】
図1に示す医用画像処理装置20においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ21へ記憶されている。処理回路24は、メモリ21からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路24は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
【0021】
なお、
図1においては単一の処理回路24にて、制御機能24a、取得機能24b、算出機能24c、評価機能24d及び出力機能24eが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路24を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路24が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0022】
また、処理回路24は、ネットワークNWを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路24は、メモリ21から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、医用画像処理装置20とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、
図1に示す各機能を実現する。
【0023】
以上、医用画像処理装置20を含んだ医用画像処理システム1の構成例について説明した。かかる構成の下、医用画像処理装置20における処理回路24は、医用画像データに基づいて算出される流体情報に関し、より有用な情報の提供を可能とする。
【0024】
以下、
図2のフローチャートに沿って、処理回路24が行なう処理について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る医用画像処理装置20の処理回路24による処理の一例を示すフローチャートである。
【0025】
まず、取得機能24bは、被検体に関する医用画像データを取得する(ステップS1)。具体的には、取得機能24bは、第1の撮像手法に基づいて取得される第1の医用画像データと、第1の撮像手法とは異なる第2の撮像手法に基づいて取得される第2の医用画像データとを取得する。
【0026】
ここでは一例として、第1の医用画像データとしてX線CT画像I1が取得され、第2の医用画像データとして超音波画像I2が取得される場合について説明する。この場合、医用画像処理システム1は、医用画像診断装置10として、少なくともX線CT装置と超音波診断装置とを含む。X線CT装置は、被検体からX線CT画像I1を収集する。また、超音波診断装置は、被検体から超音波画像I2を収集する。
【0027】
X線CT画像I1と超音波画像I2とは、X線CT装置及び超音波診断装置により、所定時相で収集される。ここで、所定時相は、所定の時点、或いは、心拍や呼吸等における所定の位相である。例えば、X線CT画像I1と超音波画像I2とは、同じ被検体に対して同時に撮像することにより、同じ時点の画像が収集される。即ち、X線CT画像I1と超音波画像I2とは、同時に(同じ日時に)撮像された画像であってよい。また、例えば、X線CT画像I1と超音波画像I2とは、心電同期や心音同期、呼吸同期等により、被検体における周期的な動きの中での同じ位相を特定し、各画像を当該位相において撮像することにより、同じ位相の画像が収集される。即ち、X線CT画像I1と超音波画像I2とは、心拍や呼吸等における位相が一致するように撮像された画像であれば、同時に撮像された画像でなくてもよい。
【0028】
また、取得機能24bは、X線CT装置及び超音波診断装置から、X線CT画像I1及び超音波画像I2を取得する。なお、取得機能24bは、X線CT装置及び超音波診断装置から直接的に各種医用画像データを取得してもよいし、画像保管装置30等の他の装置を介して医用画像データを取得してもよい。
【0029】
ここで、取得機能24bは、X線CT画像I1及び超音波画像I2を所定時相で取得する。例えば、取得機能24bは、同時に収集されたX線CT画像I1及び超音波画像I2を取得し、或いは、心電同期等によって同じ位相にて撮像されたX線CT画像I1及び超音波画像I2を取得する。ここで、X線CT画像I1及び超音波画像I2は、複数の時相にて撮像された時系列の画像の場合がある。この場合、取得機能24bは、少なくとも1つの時相が共通するように、X線CT画像I1及び超音波画像I2を取得する。
【0030】
以下では一例として、被検体の僧帽弁を撮像対象として各種医用画像データが収集され、僧帽弁を流れる血流について流体情報が算出される場合について説明する。例えば、取得機能24bは、X線CT画像I1として、僧帽弁について撮像された4D-CT画像を取得する。即ち、取得機能24bは、X線CT画像I1として、複数時相について撮像された複数の3Dデータを取得する。例えば、取得機能24bは、時相T1~T6の6時相で撮像された、6時相分の3Dデータを含む4D-CT画像を取得する。これら時相T1~T6のそれぞれは、例えば心電同期や心音同期により、被検体の心臓の動きに対応付けられる。このような対応関係は、例えばX線CT画像I1の付帯情報(DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)ヘッダなど)として記憶し、或いはメモリ21に記憶することができる。同様に、取得機能24bは、超音波画像I2を取得する。超音波画像I2は、例えば上述した時相T1~T6の一部又は全部の時相で収集される。
【0031】
一例を挙げると、取得機能24bは、入力インタフェース23を介してユーザから受け付けた指示をトリガとして、医用画像データの取得を行なう。或いは、取得機能24bは、医用画像診断装置10によって新たに収集された医用画像データを自動的に取得してもよい。例えば、取得機能24bは、画像保管装置30を監視しておき、新たな医用画像データが画像保管装置30に記憶された場合に、当該医用画像データを取得することとしてもよい。
【0032】
また、取得機能24bは、新たに収集された医用画像データが所定の条件を満たす場合に、当該医用画像データを取得することとしてもよい。当該所定の条件は、医用画像データの状態を判定できる条件であればどのような条件であってもよい。例えば、取得機能24bは、撮像プロトコルを当該所定の条件とし、心臓を対象とする撮像プロトコルで医用画像データが撮像された場合に当該医用画像データを取得することとしてもよい。また、例えば、取得機能24bは、再構成方法を当該所定の条件とし、医用画像データが拡大再構成された場合に当該医用画像データを取得することとしてもよい。また、取得機能24bは、例えば撮像プロトコルと再構成方法等、複数の条件を組み合わせて所定の条件とし、当該所定の条件を満たす場合に医用画像データを取得することとしてもよい。
【0033】
なお、ステップS2以降で医用画像データ以外の患者情報を使用する場合、取得機能24bは、当該患者情報を更に取得することができる。例えば、ステップS2等における流体情報の算出には、血圧や体重、血液検査値等の患者情報が計算パラメータとして使用される場合がある。かかる場合、取得機能24bは、電子カルテシステムにて管理される被検体のカルテや、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiology Information System)等から必要な患者情報を取得することができる。
【0034】
次に、算出機能24cは、X線CT画像I1に基づく流体情報を算出し(ステップS2)、また、超音波画像I2に基づく流体情報を算出する(ステップS3)。ステップS2とステップS3とを行なう順序は任意であり、並行して行なうこととしてもよい。
【0035】
まず、ステップS2について説明する。例えば、算出機能24cは、X線CT画像I1に基づいて、僧帽弁を通過する血流量を算出する。ここで、血流量の算出には、既知の任意の手法を用いることができる。以下、X線CT画像I1に基づいて算出された血流量を、血流量R1とも記載する。
【0036】
例えば、算出機能24cは、ナビエスストークス方程式や連続の式、マクスウェル方程式、状態方程式等の必要な方程式を連立し、当該方程式に対して各種パラメータを入力することで、対象とする流体情報を数値的に求めることができる。また、例えば、算出機能24cは、ウインドケッセルモデルや脈波伝搬モデル等に基づいて、予め生体の循環動態を模擬した電気回路モデルを設計しておき、当該電気回路モデルに対して対象となる臓器の形態情報や患者情報を入力することで、対象とする流体情報を求めてもよい。
図3に電気回路モデルの一例を示す。
図3は、第1の実施形態に係る流体情報の算出方法について説明するための図である。
【0037】
まず、算出機能24cは、生体の循環動態を模擬した、
図3の電気回路モデルを設計し、メモリ21に保存する。例えば、血流量は電流に、血液を押し出す力(血圧)は電圧に模擬することができる。また、ヘマトクリット値等の血液検査値に基づいて、各位置の電気抵抗を設定することができる。当該電気回路モデルは、例えば非特許文献1や非特許文献2に示される方法に基づいて構築することができる。
【0038】
例えば、算出機能24cは、
図4に示すように、DBから、被検体の体重、最高血圧、最低血圧、ヘマトクリット値等のパラメータを取得し、電気回路モデルに入力する。
図4は、第1の実施形態に係る流体情報の算出方法について説明するための図である。また、
図4におけるDBは、画像保管装置30や電子カルテシステム、RIS、HISなどの各種データベースである。
【0039】
また、算出機能24cは、DBから取得されたX線CT画像I1に基づいて、左心房及び左心室の領域を特定し、各領域の容積を算出する。また、算出機能24cは、X線CT画像I1に基づいて、僧帽弁の領域を特定し、弁口面積を算出する。例えば、算出機能24cは、左心房や左心室、僧帽弁といった各領域が示す、X線CT画像I1における各画素の座標情報を取得する。具体的な処理として、算出機能24cは、入力インタフェース23を介して、各領域の位置の指定を手動で受け付けることにより、各領域を特定することができる。或いは、算出機能24cは、既知の領域抽出技術により、X線CT画像I1に描出される解剖学的構造に基づいて各領域を特定してもよい。既知の領域抽出技術としては、例えば、CT値に基づく大津の二値化法、領域拡張法、スネーク法、グラフカット法、ミーンシフト法などを例示することができる。なお、前述した手法はあくまで一例であって、本処理はX線CT画像I1から各領域を特定できればどのような手法でもよい。例えば、機械学習技術(深層学習を含む)により、X線CT画像I1から各領域を特定してもよい。例えば、僧帽弁について収集された医用画像データを入力側データとし、当該医用画像データにおいて読影医等が特定した僧帽弁の領域を出力側データとしてニューラルネットワークに学習させることで、入力された医用画像データから僧帽弁の領域を特定するように機能付けられた学習済みモデルを構築することができる。算出機能24cは、このような学習済みモデルを用いて各領域を特定することもできる。次に、算出機能24cは、特定した各領域から、左心房及び左心室の容積と、僧帽弁の弁口面積とを算出する。これら容積及び面積は、例えば各領域が示す画素の画素数から算出可能である。
【0040】
算出機能24cは、被検体の体重や左心房容積等の各種パラメータを電気回路モデルに入力することで、僧帽弁を通過する血流量R1を算出することができる。なお、算出機能24cは、
図4のDBから取得できないパラメータについて、文献値や既知の実験値を適宜用いることしてもよい。
【0041】
ステップS2の血流量R1の算出処理は、例えば、時相T1~T6のX線CT画像I1のそれぞれに対して実施される。この場合、時相T1~T6のX線CT画像I1のそれぞれに対応する血流量R1が算出される。或いは、ステップS2の血流量R1の算出処理は1つの時相に基づいて行われ、その後に他の時相の血流量R1が推定されてもよい。例えば、算出機能24cは、時相T1のX線CT画像I1から弁口面積等の形態情報を取得して血流量R1を算出し、当該算出結果に基づいて他の時相の血流量R1を推定してもよい。当該推定には、例えば、流体構造練成(FSI解析)を用いることができる。また、算出機能24cは、時相T1~T6のうちの一部についてのみ、血流量R1を算出してもよい。また、算出機能24cは、より細かい時相の血流量R1を算出してから、時相T1~T6に対応する血流量R1を特定してもよい。
【0042】
次に、ステップS3について説明する。例えば、算出機能24cは、
図4に示すようにDBから超音波画像I2を取得し、当該超音波画像I2に基づいて、僧帽弁を通過する血流量R2を算出する。ここで、血流量R2の算出には、既知の任意の手法を用いることができる。例えば、算出機能24cは、パルスドプラ法やPISA(Proximal Isovelocity Surface Area)法などに基づいて、僧帽弁を通過する血流量R2を算出することができる。
【0043】
例えば、超音波診断装置による撮像時、超音波プローブから被検体に対して送信された超音波は、音響インピーダンスの不連続面で反射されるともに、血液等の移動体で反射された場合にはドプラ効果による周波数偏移を受け、反射波データとして受信される。超音波診断装置は、このような反射波データに基づき、超音波画像I2として、移動体の運動情報を示すドプラ画像を生成することができる。ドプラ画像は、例えば、各位置における血液の移動方向及び移動速度を示すデータである。即ち、ドプラ画像は、各位置の速度ベクトルを示すデータである。算出機能24cは、僧帽弁について撮像されたドプラ画像に基づいて、僧帽弁を通過する血流量R2を算出することができる。具体的には、算出機能24cは、僧帽弁の領域を特定し、当該領域における各位置の速度ベクトルを、時間及び位置について積分することで、血流量R2を算出することができる。
【0044】
ここで、超音波画像I2は、時相T1~T6のそれぞれについて収集されてもよいし、時相T1~T6の一部について収集されてもよいし、時相T1~T6と異なる時相について更に収集されてもよい。また、算出機能24cは、超音波画像I2が収集された時相の全てについて血流量R2を算出してもよいし、時相T1~T6についてのみ血流量R2を算出してもよい。
【0045】
次に、評価機能24dは、時相を評価する(ステップS4)。以下、ステップS4について
図5を用いて説明する。
図5は、
図2のステップS4の詳細を示すフローチャートである。
【0046】
まず、評価機能24dは、ステップS2で算出されたX線CT画像I1に基づく血流量R1と、ステップS3で算出された超音波画像I2に基づく血流量R2とについて、時間の正規化を行なう(ステップS401)。例えば、評価機能24dは、X線CT画像I1に基づく血流量R1と超音波画像I2に基づく血流量R2とを、心臓の動きに基づいて対応付ける。具体的には、評価機能24dは、心電(R波などの特徴的な心電の情報)に基づいて、血流量R1と血流量R2とを対応付ける。ここで、血流量R1と血流量R2とで時間分解能が異なる場合がある。例えば、X線CT画像I1に基づく血流量R1が時相T1~T6について算出されている場合に、超音波画像I2に基づく血流量R2が時相T1~T6より細かい間隔で算出されている場合がある。ここで、評価機能24dは、被検体のR-R間隔が一定であると仮定することで、R波などの特徴的な信号からの経過時間R-R間隔における割合から、各血流量の時間間隔を正規化して対応付けることができる。
【0047】
次に、評価機能24dは、血流情報の正規化を行なう(ステップS402)。即ち、評価機能24dは、X線CT画像I1に基づく血流量R1と超音波画像I2に基づく血流量R2とを比較可能とするために、血流量の大きさを正規化する。
【0048】
例えば、評価機能24dは、最大値が1、最小値が0となるように、血流量R1及び血流量R2をそれぞれ変換する。具体的には、時相Xにおける血流量R1又は血流量R2を血流量Qxとし、血流量Qxを、下記の式(1)に基づいて血流量Yxに変換する。Qmaxは血流量の最大値であり、Qminは血流量の最小値である。
【0049】
【0050】
上記式(1)に基づく手法は一例であり、ステップS2で得られる情報とステップS3で得られる情報とを同じ基準で比較可能となれば、ステップS402の正規化にはどのような方法を用いてもよい。
【0051】
また、ステップS402においては、ステップS2で得られる情報とステップS3で得られる情報とを標準化により比較可能としてもよい。より具体的には、平均値が0で分散が1となるように、各時点の血流量を変換する。つまり、時相Xにおける血流量R1又は血流量R2を血流量Qxとし、血流量Qxを、下記の式(2)に基づいて血流量Zxに変換する。Qaveは各時相における血流量の平均値であり、QSDは各時相における血流量の標準偏差である。
【0052】
【0053】
次に、評価機能24dは、X線CT画像I1に基づく血流量と超音波画像I2に基づく血流量との間で一致度を算出する(ステップS403)。即ち、評価機能24dは、ステップS401及びステップS402で正規化又は標準化した各時相の血流量R1と、ステップS401及びステップS402で正規化又は標準化した各時相の血流量R2とを比較し、各時相における一致度を算出する。
【0054】
X線CT画像I1に基づく血流量R1、及び、超音波画像I2に基づく血流量R2の一例を
図6に示す。
図6においては、正規化又は標準化した血流量R1を実線で示し、正規化又は標準化した血流量R2を破線で示す。例えば、評価機能24dは、時相T1~T6のそれぞれについて、血流量R1と血流量R2との間の差分値をそれぞれ算出し、当該差分値を一致度とすることができる。また、例えば、評価機能24dは、より比較しやすくするために、差分値を、最大値を1、最小値を0として正規化してもよい。例えば
図6に示すように、評価機能24dは、血流量R1と血流量R2との間の差分値が「0」である場合に一致度が「1」となり、血流量R1と血流量R2との間の差分値が大きくなるほど一致度が「0」に近付くように、正規化してもよい。
【0055】
また、例えば、評価機能24dは、予め差分値の範囲を定めて、一定の範囲の差分値に対して離散的に、一致度としての値を割り当ててもよい。例えば、評価機能24dは、血流量R1と血流量R2との間の差分値が「0~1[ml/s]」の場合は一致度「5」、差分値が「1~2[ml/s]」の場合は一致度「4」、差分値が「2~3[ml/s]」の場合は一致度「3」、差分値が「3~4[ml/s]」の場合は一致度「2」、差分値が「4~5[ml/s]」の場合は一致度「1」、差分値が「5[ml/s]以上」の場合は一致度「0」としてもよい。
【0056】
血流量R1と血流量R2との差分値によって一致度を評価する場合について説明したが、血流量R1と血流量R2との類似性を評価できればどのような方法でもよい。例えば、血流量R1に対する血流量R2の比率によって、一致度を評価することとしてもよい。
【0057】
ここで、出力機能24eは、上述した各種の血流量や一致度の出力を行なってもよい。例えば、出力機能24eは、ユーザからの指示に応じて、血流量や一致度をディスプレイ22に表示させる。例えば、出力機能24eは、
図6に示したように、正規化又は標準化した血流量R1及び血流量R2、及び、一致度の時間方向の変化をグラフとして表示させてもよい。また、算出機能24cは、血流量R1や血流量R2の値を時相T1~T6についてのみ算出し、出力機能24eは、
図7に示すように、時相T1~T6それぞれの血流量R1及び血流量R2、及び、一致度の時間方向の変化を折れ線グラフとして表示させてもよい。また、
図6及び
図7では、血流量R1及び血流量R2を正規化又は標準化して表示させる例を示したが、出力機能24eは、
図8に示すように正規化又は標準化する前の状態で、血流量R1及び血流量R2を表示させてもよい。
図7及び
図8は、第1の実施形態に係る表示例を示す図である。
【0058】
次に、評価機能24dは、算出した一致度に基づいて注目時相の特定を行なう(ステップS404)。例えば
図6に示した場合、評価機能24dは、最も一致度の高い時相である時相T2を、注目時相として特定する。
【0059】
一致度が高い時相は、複数の方法により算出された血流量が相対的に類似していることを示すため、より信頼できる血流量を示していると言える。例えば、X線CT画像I1に基づく血流量R1は、電気回路モデルを使用して算出される。また、超音波画像I2に基づく血流量R2は、ドプラ法に基づいて算出される。このように、血流量R1と血流量R2とは異なる計算アルゴリズムの下で算出されるところ、各血流量にはその計算アルゴリズム特有の誤差が含まれる。また、X線CT画像I1や超音波画像I2には、画像アーチファクトやノイズが含まれる場合があるところ、画像アーチファクトやノイズが生じた時相での血流量は正しい値から乖離してしまっている場合がある。ここで、血流量R1と血流量R2とが一致している場合には、計算アルゴリズム特有の誤差や画像アーチファクト等の影響が小さく、血流量R1と血流量R2とがともに正しい値をとっている場合が多い。従って、一致度が高い時相とは、信頼できる結果が得られた時相であり、評価機能24dは、このような時相を注目すべき時相として特定することができる。
【0060】
もちろん、算出された一致度に基づいて注目時相を特定するのであれば、どのような特定方法であってもよい。例えば、評価機能24dは、一致度が高い値を維持する期間が閾値より長くなる場合に、当該期間を注目時相として特定してもよい。また、例えば、評価機能24dは、心臓の拡張期の中で一致度が高くなる時相を、注目時相として特定してもよい。
【0061】
図2に戻って説明を続ける。算出機能24cは、評価機能24dによって特定された注目時相の医用画像データに基づいて計測値を算出し、出力機能24eは、当該計測値をディスプレイ22に表示させる。
【0062】
即ち、算出機能24cは、注目時相における、X線CT画像I1及び超音波画像I2の少なくとも一方に基づいて計測値を算出する。例えば、算出機能24cは、注目時相のX線CT画像I1において特定された、ステップS2の僧帽弁の領域に基づいて、僧帽弁の弁葉の面積を算出する。僧帽弁に関する計測値について他の例を挙げると、算出機能24cは、弁輪周長、前尖長、後尖長などを算出してもよいし、弁口面積を算出してもよい。
【0063】
また、算出機能24cは、僧帽弁周囲の臓器との関係に係る形態特徴を算出してもよい。例えば、算出機能24cは、大動脈弁とのなす角度や、弁輪から冠動脈への最短距離などを算出してもよい。また、例えば、算出機能24cは、卵円孔から僧帽弁重心までの距離を算出してもよい。
【0064】
なお、注目時相に基づいて計測値の算出及び表示を行なう例について説明したが、出力機能24eは、計測値以外の形態情報を表示させることもできる。例えば、出力機能24eは、注目時相におけるX線CT画像I1及び超音波画像I2の少なくとも一方を選択して、ディスプレイ22に表示させることとしてもよい。例えば、4D-CT画像が収集された場合には、各時相のX線CT画像I1がディスプレイ22に順に表示される。ここで、出力機能24eは、注目時相におけるX線CT画像I1を最初に表示させるよう制御してもよい。
【0065】
上述したように、第1の実施形態によれば、取得機能24bは、第1の撮像手法に基づいて取得される第1の医用画像データと、第1の撮像手法とは異なる第2の撮像手法に基づいて取得される第2の医用画像データとを、所定時相で取得する。また、算出機能24cは、第1の医用画像データに基づく第1の流体情報と、第2の医用画像データに基づく第2の流体情報とを算出する。また、評価機能24dは、所定時相における第1の流体情報と第2の流体情報とに基づいて、当該所定時相を評価する。これにより、医用画像処理装置20は、医用画像データに基づいて算出される流体情報に関して、より有用な情報の提供を行なうことができる。
【0066】
例えば、医用画像処理装置20は、異なる撮像手法に基づく流体情報の間の一致度に基づいて注目時相を特定することにより、当該注目時相における流体情報の信頼度が高いことをユーザに通知することができる。更に、医用画像処理装置20は、当該注目時相における計測値や医用画像データ等の形態情報をユーザに提供することもできる。このように、医用画像処理装置20は、医用画像データに基づいて算出される流体情報に関して、信頼度の高い流体情報や形態情報など、より有用な情報の提供を行なうことができる。
【0067】
また、従来、僧帽弁等の心臓弁について、その形態や流体の状態を評価するための適切な心位相を選択することは困難であった。これに対し、医用画像処理装置20は、信頼度の高い流体情報が得られた時相を注目時相として特定し、ユーザに提示することができる。ユーザは、当該注目時相に基づいて、診断や治療計画、治療効果判定等をより適切に実施することができる。
【0068】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、所定時相における第1の流体情報と第2の流体情報とに基づいて、当該所定時相を評価する場合について説明した。これに対し、第1の医用画像データと第2の医用画像データとの少なくとも一方に基づく領域を評価する場合について説明する。第2の実施形態に係る医用画像処理システム1は、
図1に示した医用画像処理システム1と同様の構成を有し、取得機能24b、算出機能24c、評価機能24d及び出力機能24eによる処理の一部が相違する。以下、上述の実施形態において説明した点については、
図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
第2の実施形態においても、
図2のステップS1と同様、取得機能24bは、医用画像データを取得する。但し、取得機能24bは、複数時相の医用画像データを取得しなくてもよい。例えば、取得機能24bは、X線CT画像I1として、4D-CT画像でなく、1時相のCT画像を取得してもよい。即ち、第1の医用画像データと第2の医用画像データとで時相が対応付いていれば、取得機能24bは、第1の医用画像データと第2の医用画像データとを1時相分のみ取得することとしてもよい。
【0070】
また、
図2のステップS2と同様、算出機能24cは、X線CT画像I1に基づく流体情報を算出する。例えば、算出機能24cは、僧帽弁を通過する血流量R1を算出する。血流量R1の算出方法は上述した通り任意であるが、算出機能24cは、僧帽弁の弁口の各位置における血流量R1をそれぞれ算出する。即ち、算出機能24cは、血流量R1として、僧帽弁における総流量ではなく、僧帽弁の弁口における血流量の分布を求める。例えば、算出機能24cは、弁口の示す領域に対応する画素ごとに、血流量R1を算出する。また、例えば、算出機能24cは、一定の基準に基づいて弁口の示す領域を分割し、分割した領域ごとに血流量R1を算出する。即ち、算出機能24cは、1つの医用画像データに対して1つの領域の血流量を算出するのではなく、弁口の示す領域のような対象領域を複数の領域に分割して、分割した領域ごとに血流量R1を算出する。
【0071】
また、
図2のステップS3と同様、算出機能24cは、超音波画像I2に基づく流体情報を算出する。例えば、算出機能24cは、僧帽弁を通過する血流量R2を算出する。血流量R2の算出方法は上述した通り任意であるが、算出機能24cは、血流量R1と同様に、僧帽弁の弁口の各位置における血流量R2をそれぞれ算出する。例えば、算出機能24cは、ドプラ画像の画素値に基づいて、弁口の示す領域に対応する画素ごとに血流量R2を算出する。
【0072】
また、
図2のステップS4に代えて、評価機能24dは、X線CT画像I1と超音波画像I2との少なくとも一方に基づく領域を評価する。例えば、評価機能24dは、X線CT画像I1における領域を評価する。また、例えば、評価機能24dは、超音波画像I2における領域を評価する。ここで、X線CT画像I1と超音波画像I2との位置合わせを行なう場合、X線CT画像I1における領域と超音波画像I2における領域とは等価なものとなり、特に区別する必要はなくなる。以下、X線CT画像I1と超音波画像I2との位置合わせを行なう場合について説明する。X線CT画像I1と超音波画像I2との位置合わせには、既知の変形位置合わせ手法を用いることができる。このような変形位置合わせ手法としては、例えば、FFD(Free-Form Deformation)手法や、LDDMM手法(Large Deformation Diffeomorphic Metric Mapping)手法などを例示することができる。
【0073】
また、評価機能24dは、
図5のステップS402と同様、血流情報の正規化を行なう。例えば、評価機能24dは、各時相における血流量R1と血流量R2とを比較可能とするために、血流量の大きさを正規化又は標準化する。
【0074】
次に、評価機能24dは、正規化又は標準化した血流量R1と、正規化又は標準化した血流量R2とを比較し、一致度を算出する。当該処理は、対象領域を分割した領域ごとに行なうことができる。言い換えると、当該処理は、対象領域における各位置について行なうことができる。例えば、当該処理は、対象領域を分割した領域それぞれにおける中心位置を計算点として実行することができる。
【0075】
例えば、評価機能24dは、対象領域を分割した領域ごとに血流量R1と血流量R2との間の差分値をそれぞれ算出し、当該差分値を各領域の一致度とすることができる。また、例えば、評価機能24dは、より比較しやすくするために、差分値を、最大値を1、最小値を0として正規化してもよい。また、例えば、評価機能24dは、予め差分値の範囲を定めて、一定の範囲の差分値に対して離散的に、一致度としての値を割り当ててもよい。なお、流量R1と血流量R2との差分値によって一致度を評価する場合について説明したが、血流量R1と血流量R2との類似性を評価できればどのような方法でもよい。
【0076】
ここで、出力機能24eは、上述した各種の血流量や一致度の出力を行なってもよい。例えば、出力機能24eは、ユーザからの指示に応じて、血流量や一致度をディスプレイ22に表示させる。
【0077】
例えば、出力機能24eは、
図9に示すように、一致度の分布を示す画像を表示させることができる。具体的には、
図9では、僧帽弁の領域を図示する。例えば、出力機能24eは、X線CT画像I1に基づいて特定された僧帽弁の領域から、当該領域の形状を示すメッシュを生成し、ディスプレイ22に表示させる。更に、出力機能24eは、当該メッシュと重畳させて、僧帽弁の弁口の各位置における一致度の分布を色分けして表示させる。
【0078】
なお、
図9では、一致度を2色で示している。具体的には、
図9では、一致度を「0~1」の数値範囲で算出し、僧帽弁の弁口において一致度が「0.5~1」となる領域と「0~0.5」となる領域とを色分けして図示している。ここで、出力機能24eは、一致度の高い位置を強調表示してもよい。例えば、
図9において、出力機能24eは、一致度が「0.5~1」となる領域を、一致度が「0~0.5」となる領域よりも目立つ色で表示させてもよい。また、例えば、
図9において、出力機能24eは、一致度が「0.5~1」となる領域には着色をし、一致度が「0~0.5」となる領域には着色をしないこととしてもよい。
【0079】
勿論、表示態様については種々の変形が可能である。例えば、出力機能24eは、「0~1」の数値範囲を3段階以上に分割し、一致度の分布を3色以上で図示してもよい。また、例えば、出力機能24eは、連続値で算出された一致度を、連続的に変化する色で図示してもよい。即ち、出力機能24eは、一致度をグラデーションで示してもよい。また、
図9では、僧帽弁の領域の形状を示すメッシュに重畳させて一致度を図示する場合を示したが、出力機能24eは、X線CT画像I1や超音波画像I2に重畳させて一致度を図示することとしてもよい。例えば、出力機能24eは、
図10に示すように、X線CT画像I1において僧帽弁が現れる断面を表示させ、当該断面上に、一致度を重畳表示させてもよい。また、出力機能24eは、X線CT画像I1において僧帽弁が現れる断面を表示させ、当該断面上に、僧帽弁の領域の形状を示すメッシュ、及び、一致度を重畳表示させてもよい。
【0080】
また、出力機能24eは、一致度の図示に代えて又は加えて、血流量を図示してもよい。例えば、出力機能24eは、
図9に示したメッシュやX線CT画像I1に重畳させて、血流量R1の分布を図示することができる。また、例えば、出力機能24eは、
図9に示したメッシュや超音波画像I2に重畳させて、血流量R2の分布を図示することができる。
【0081】
次に、評価機能24dは、算出した一致度に基づいて注目領域の特定を行なう。例えば、評価機能24dは、最も一致度の高い領域を、注目領域として特定する。一致度が高い領域は、複数の方法により算出された血流量が相対的に類似していることを示すため、より信頼できる血流量を示していると言える。もちろん、算出された一致度に基づいて注目領域を特定するのであれば、どのような特定方法であってもよい。例えば、評価機能24dは、一致度が閾値を超えるとともに、所定の面積を超える一続きの領域を、注目領域として特定してもよい。
【0082】
次に、出力機能24eは、特定された注目領域を強調表示させる。例えば、出力機能24eは、特定された注目領域が最も大きく表示される断面を再構成して表示してもよい。具体的には、注目領域が面として特定されている場合、出力機能24eは、注目領域に平行で且つ注目領域を通る断面についてMPR(Multi-Planar Reconstruction)処理を行ない、当該MPR画像をディスプレイ22に表示させる。即ち、出力機能24eは、注目領域を含む断面を表示させる。また、出力機能24eは、拡大率を変更し、注目領域を拡大表示させてもよい。
【0083】
また、特定された注目領域は、各種後解析を実施する際に利用することもできる。例えば、注目領域のみを解析対象としてもよい。例えば、注目領域おける血流量を合算し、更に、弁口面積と当該注目領域の面積との比率に合わせた倍率を乗じて、当該被検体における血流量として算出してもよい。
【0084】
上述したように、第2の実施形態によれば、算出機能24cは、第1の医用画像データに基づく第1の流体情報と、第2の医用画像データに基づく第2の流体情報とを算出する。また、評価機能24dは、第1の流体情報と第2の流体情報との間の一致度を算出し、当該一致度に基づいて注目領域を特定する。これにより、医用画像処理装置20は、医用画像データに基づいて算出される流体情報に関して、より有用な情報の提供を行なうことができる。
【0085】
例えば、医用画像処理装置20は、異なる撮像手法に基づく流体情報の間の一致度に基づいて注目領域を特定することにより、当該注目領域における流体情報の信頼度が高いことをユーザに通知することができる。更に、医用画像処理装置20は、当該注目領域を強調表示させ、その形態情報をユーザに提供することもできる。これにより、ユーザは、より信頼性の高い流体情報の位置を、容易に確認できるようになる。また、医用画像処理装置20は、注目領域を利用した後解析の結果をユーザに提供することもできる。このように、医用画像処理装置20は、医用画像データに基づいて算出される流体情報に関して、より有用な情報の提供を行なうことができる。
【0086】
上述した実施形態では、流体情報の一例として血流量について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、算出機能24cは、血流情報として、予め定める一定方向の範囲の血流量を算出してもよい。より具体的には、算出機能24cは、血流情報として、僧帽弁における逆流量や順流量を算出してもよい。また、例えば、算出機能24cは、血流情報として、僧帽弁を通過する血流量の総量ではなく、僧帽弁の一部の領域又は位置を通過する血流量を算出してもよい。また、例えば、算出機能24cは、血流情報として、流速を算出してもよい。一例を挙げると、算出機能24cは、僧帽弁を通過する血流の流速の平均値や中央値を算出してもよい。
【0087】
また、僧房弁を対象に実施する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、各種血管における血流や、食道内の食物の流れ、尿管における尿の流れ、頭部の脳せき髄液の流れ等についても同様に適用が可能である。即ち、異なる撮像手法の医用画像データに基づいて、第1及び第2の流体情報を算出することができる生体器官であれば、上述した実施形態は適用可能である。
【0088】
また、X線CT画像I1に基づく流体情報及び超音波画像I2に基づく流体情報を算出機能24cが算出する場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、各医用画像データの撮像時等において流体情報が算出されて電子カルテシステム等のDBに保存されている場合、算出機能24cは、流体情報を算出することに代えて、流体情報を当該DBから取得することとしてもよい。
【0089】
また、第1の流体情報及び第2の流体情報の例として、X線CT画像I1に基づく流体情報及び超音波画像I2に基づく流体情報について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線CT画像I1に基づく流体情報に代えて、MRI画像に基づく流体情報を算出する場合であってもよい。例えば、
図2のステップS2においてMRI画像に基づく流体情報を算出し、当該流体情報と、超音波画像I2に基づく流体情報とに基づいて、ステップS4における時相の評価を行なうこととしてもよい。
【0090】
また、第1の実施形態では注目時相を特定する場合について説明し、第2の実施形態では注目領域を特定する場合について説明したが、注目時相と注目領域との双方を特定する場合であってもよい。即ち、評価機能24dは、第1の流体情報と第2の流体情報とに基づいて、所定時相、及び、第1の医用画像データと第2の医用画像データとの少なくとも一方に基づく領域の双方を特定してもよい。例えば、評価機能24dは、第1の流体情報と第2の流体情報との間の一致度を算出し、当該一致度に基づいて、特定の時相における特定の領域を、注目時相且つ注目領域として特定してもよい。
【0091】
また、これまで、第1の医用画像データ及び第2の医用画像データが異なる医用モダリティで収集される場合について説明したが、第1の医用画像データ及び第2の医用画像データは、異なる撮像手法で収集されていれば、同種の医用モダリティで収集されていてもよい。例えば、第1の医用画像データ及び第2の医用画像データは、異なる造影条件で収集されたX線CT画像であってもよい。また、例えば、第1の医用画像データ及び第2の医用画像データは、異なる再構成方法で再構成されたX線CT画像であってもよい。また、例えば、第1の医用画像データ及び第2の医用画像データは、異なるパルスシーケンスで収集されたMRI画像であってもよい。
【0092】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0093】
また、
図1においては、単一のメモリ21が処理回路24の各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数のメモリ21を分散して配置し、処理回路24は、個別のメモリ21から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリ21にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0094】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0095】
また、上述した実施形態で説明した医用画像処理方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0096】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、医用画像データに基づいて算出される流体情報に関し、より有用な情報の提供を可能とすることができる。
【0097】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0098】
1 医用画像処理システム
10 医用画像診断装置
20 医用画像処理装置
21 メモリ
22 ディスプレイ
23 入力インタフェース
24 処理回路
24a 制御機能
24b 取得機能
24c 算出機能
24d 評価機能
24e 出力機能
30 画像保管装置