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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電気電子機器収納用箱の扉係止部材
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20241210BHJP
   H02B 1/38 20060101ALI20241210BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20241210BHJP
   E05B 5/02 20060101ALI20241210BHJP
   E05B 41/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H02B1/40 B
H02B1/38 D
H05K5/03 D
E05B5/02 Z
E05B41/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021080119
(22)【出願日】2021-05-11
(65)【公開番号】P2022174371
(43)【公開日】2022-11-24
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 孝昭
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-126997(JP,U)
【文献】特開2010-144417(JP,A)
【文献】特開2005-183809(JP,A)
【文献】実開平01-149900(JP,U)
【文献】実開昭55-104179(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/00 - 7/08
H05K 5/00 - 5/06
E05B 1/00 - 85/28
F16B 21/00 - 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け部材に形成した挿通孔部に差し込み回動することで扉を施錠状態とすることが可能な係止部と、
回動操作をすることで係止部を施錠位置から解錠位置に移動させることが可能であり、本体部に対して倒した状態から起こした状態にすることが可能なハンドル部と、
係止部が施錠位置にある状態でハンドル部を倒した場合にハンドル部が位置することになる施錠維持位置から、係止部が解錠位置にある状態でハンドル部を倒した場合にハンドル部が位置することになる解錠維持位置との間に、ハンドル部が倒れたままで移動することを規制する規制部を備える電気電子機器収納用箱の扉係止部材。
【請求項2】
ハンドル部を本体部に対して倒す方向に力を付勢するばね部を備えた請求項1に記載の電気電子機器収納用箱の扉係止部材。
【請求項3】
本体部は、ハンドル部が倒れる位置に施錠状態を示す表示部を形成した請求項1又は2に記載の電気電子機器収納用箱の扉係止部材。
【請求項4】
ハンドル部は、倒れた際に表示部と対向する位置に貫通孔部を有する請求項3に記載の電気電子機器収納用箱の扉係止部材。
【請求項5】
ハンドル部を起こした状態から倒した状態にさせる場合に、ハンドル部が施錠維持位置又は解錠維持位置の何れかに向けて移動することをガイド可能な傾斜部を規制部の表面に備えた請求項1から4の何れかに記載の電気電子機器収納用箱の扉係止部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気電子機器収納用箱の扉を係止するために用いられる扉係止部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
分電盤、配電盤等の盤類には充電部に直接触れることないように内側に中扉が設けられている。作業者は内部の点検や修理のときに限り中扉を開いたりあるいは取り外したりして作業している。このようにして用いられる中扉は中扉係止部材により係止されているが、中扉係止部材には、簡単な操作により係脱ができるものであることと、係止した状態では確実に係止できることが求められる。こうした要請を満足し、中扉を確実に固定するとともに開閉がワンタッチでできるものとして、例えば特許文献1や特許文献2に記載されるようなものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-49400号公報
【文献】特開2005-183809号公報
【0004】
ところが、特許文献1のようなねじ式では、手動でのねじの付け外しになるため作業性が悪い。また、特許文献2のようにレバーを起こすことでフックの被係止部との係止を解除する構造では、中扉に閉じる方向の圧力が加わると、フックが被係止部に係止する位置に移動してしまう。このため、大きい分電盤を寝かせた状態で中扉を開けるためにレバーを起こして係止を解除しても、手を離すと中扉の重さにより、勝手に再度係止状態に戻ってしまうことがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、操作の手間を抑制しつつ、外力からの影響で勝手にロックがかかることを抑制した電気電子機器収納用箱の扉係止部材とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、受け部材に形成した挿通孔部に差し込み回動することで扉を施錠状態とすることが可能な係止部と、回動操作をすることで係止部を施錠位置から解錠位置に移動させることが可能であり、本体部に対して倒した状態から起こした状態にすることが可能なハンドル部と、係止部が施錠位置にある状態でハンドル部を倒した場合にハンドル部が位置することになる施錠維持位置から、係止部が解錠位置にある状態でハンドル部を倒した場合にハンドル部が位置することになる解錠維持位置との間に、ハンドル部が倒れたままで移動することを規制する規制部を備える電気電子機器収納用箱の扉係止部材とする。
【0007】
また、ハンドル部を本体部に対して倒す方向に力を付勢するばね部を備えた構成とすることが好ましい。
【0008】
また、本体部は、ハンドル部が倒れる位置に施錠状態を示す表示部を形成した構成とすることが好ましい。
【0009】
また、ハンドル部は、倒れた際に表示部と対向する位置に貫通孔部を有する構成とすることが好ましい。
【0010】
また、ハンドル部を起こした状態から倒した状態にさせる場合に、ハンドル部が施錠維持位置又は解錠維持位置の何れかに向けて移動することをガイド可能な傾斜部を規制部の表面に備えた構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、操作の手間を抑制しつつ、外力からの影響で勝手にロックがかかることを抑制した電気電子機器収納用箱の扉係止部材とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態における中扉係止部材が取り付けられた盤の正面図である。ただし、外扉は開いた状態である。
図2】実施形態における中扉係止部材と、中扉係止部材に係止可能な受け部材の斜視図である。ただし、係止部を解錠位置にし、ハンドル部を起こしている。
図3】実施形態における中扉係止部材と、中扉係止部材に係止可能な受け部材の斜視図である。ただし、係止部を解錠位置にし、ハンドル部を倒し解錠維持位置に配置している。
図4】実施形態における中扉係止部材と、中扉係止部材に係止可能な受け部材の斜視図である。ただし、係止部を施錠位置にし、ハンドル部を起こしている。
図5】実施形態における中扉係止部材と、中扉係止部材に係止可能な受け部材の斜視図である。ただし、係止部を施錠位置にし、ハンドル部を倒し施錠維持位置に配置している。
図6】受け部材と中扉係止部材により中扉をロック状態としたことを表す断面図である。
図7】中扉係止部材の斜視図である。ただし、ばね部が見えるように一部断面を描いている。
図8】変形例の中扉係止部材を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。図1乃至図6に示されていることから理解されるように、本実施形態の扉係止部材1は、電気電子機器収納用箱に備えられるものであり、受け部材4に形成した挿通孔部40に差し込み回動することで中扉83を施錠状態とすることが可能な係止部19を備えている。また、回動操作をすることで係止部19を施錠位置から解錠位置に移動させることが可能であり、本体部11に対して倒した状態から起こした状態にすることが可能なハンドル部12を備えている。また、係止部19が施錠位置にある状態でハンドル部12を倒した場合にハンドル部12が位置することになる施錠維持位置から、係止部19が解錠位置にある状態でハンドル部12を倒した場合にハンドル部12が位置することになる解錠維持位置との間に、ハンドル部12が倒れたままで移動することを規制する規制部13を備えている。このため、操作の手間を抑制しつつ、外力からの影響で勝手にロックがかかることを抑制した扉係止部材1とすることが可能となる。より具体的には、ハンドル部12を倒していれば、不意に外力が加わっても係止部19が解錠位置から施錠位置に移動してしまうことを抑制することが可能となる。また、ハンドル部12を倒した状態とできることで、扉係止部材1を小型化することができる。勿論、盤8を倒した状態として重力により中扉83が閉まる方向に力が加わっても、勝手に施錠状態になることを防ぐことができる。
【0014】
実施形態の扉係止部材1は、図1に示すように盤8の中扉83の上下に取り付けられている。中扉83は盤8の盤本体81に対して、回動可能に支えられているが、扉係止部材1を利用することで、中扉83を必要時以外は閉じた状態とすることができる。なお、盤8の外形の一部となる外扉82も盤本体81に回動可能に取り付けられている。この外扉82を閉じていれば、扉係止部材1に触れなくなる。
【0015】
扉係止部材1は、本体部11と、本体部11に対して移動可能なハンドル部12と、受け部材4と係止可能な係止部19を備えている。ハンドル部12は中扉83の表面側に位置するものであるが、ハンドル部12を操作することによって、中扉83の裏面側に位置する係止部19を移動させることができる。このようなことを可能とするため、第一軸部18の一端側にハンドル部12を設けるとともに他端側に係止部19を設けており、ハンドル部12を動かして第一軸部18を回動させることにより係止部19を移動させることができるようにしている。
【0016】
なお、実施形態の係止部19は第一軸部18の径方向外側に突出する部分であり、二つの係止部19が第一軸部18の回動中心に対して正反対の方向に延びるように構成されている。このため、受け部材4側に設けられた挿通孔部40は第一軸部18を挿入可能な丸穴部41から係止部19を挿入可能な切り欠き部42が延びるような形態とされている。
【0017】
ところで、実施形態の扉係止部材1は、ハンドル部12を回動操作することで係止部19を施錠位置から解錠位置に移動させることが可能である。また、解錠位置から施錠位置に移動させることも可能である。係止部19を挿通孔部40に挿入した状態でハンドル部12を90度程度回し、係止部19を解錠位置から施錠位置に移動させれば、係止部19が受け部材4の内側に位置して、受け部材4と扉係止部材1を分離できない状態とすることができる。なお、係止部19を挿通孔部40に挿入させた状態であっても、係止部19が解錠位置にあれば、ロックは掛かっていない状態であるため、中扉83の開閉動作を自在に行うことができる。
【0018】
ところで、実施形態のハンドル部12は本体部11に対して倒した状態から起こした状態にすることが可能である。ハンドル部12を倒した状態のままでは、係止部19を施錠位置から解錠位置に移動させることができない。また、係止部19を解錠位置から施錠位置に移動させることもできない。このようなことを可能とするため、実施形態では、係止部19が施錠位置にある状態でハンドル部12を倒した場合にハンドル部12が位置することになる施錠維持位置から、係止部19が解錠位置にある状態でハンドル部12を倒した場合にハンドル部12が位置することになる解錠維持位置との間に、ハンドル部12が倒れたままで移動することを規制する規制部13を備えている。実施形態の規制部13は本体部11に設けられている。
【0019】
係止部19を施錠位置から解錠位置に若しくは解錠位置から施錠位置に移動させるためには、ハンドル部12を起こして操作すればよい。このことから理解されるように、係止部19を施錠位置と解錠位置との間で切り替えるにはハンドル部12を起こすという作業が必要であるため、自然に係止部19が解錠位置から施錠位置に切り替わってしまうことを抑制することができる。なお、実施形態のハンドル部12は本体部11に設けられた第二軸部21を回動中心として起こしたり倒したりすることができる。
【0020】
図7に示すことから理解されるように、実施形態においては、ハンドル部12を本体部11に対して倒す方向に力を付勢するばね部14を備えた構成としている。したがって、ハンドル部12が自然に起きてしまうことを抑制することができる。また、ハンドル部12を起こした状態でハンドル部12から手を放しても、ばね部14の力によりハンドル部12を倒した状態にすることができるので、人がハンドル部12を倒す動作をしなくても、ハンドル部12が施錠位置と解錠位置間を回動することを防ぐ状態にすることができる。
【0021】
なお、図8に示す規制部13は、ハンドル部12を起こした状態から倒した状態にさせる場合に、ハンドル部12が施錠維持位置又は解錠維持位置の何れかに向けて移動することをガイド可能な傾斜部17を備えている。このため、ハンドル部12を施錠位置と解錠位置の間で倒した場合でも施錠維持位置又は解錠維持位置の何れかへガイドすることができる。
【0022】
ところで、実施形態の本体部11は、ハンドル部12が倒れる位置に施錠状態を示す表示部15を形成している。このため、係止部19が施錠位置にある状態なのか、解錠位置にある状態なのかの判断がしやすくなる。
【0023】
表示部15においては、係止部19が施錠位置にあるのか、解錠位置にあるのかを判別しやすいように、色分けして表示してもよい。また、「開」「閉」のように文字を表示してもよい。なお、ハンドル部12を倒す先に表示部15を設けることで、係止部19が施錠位置と解錠位置のいずれにあるのかを明確に認識することができる。
【0024】
また、実施形態のハンドル部12は、倒れた際に表示部15と対向する位置に貫通孔部16を有するように構成されている。このため、ハンドル部12を倒した状態で表示部15を視認することが可能となる。
【0025】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、係止部を施錠位置から解錠位置に移動させる回動角度は90度である必要は無い。ただし、180度以内が好ましい。
【0026】
実施形態では、ハンドル部を倒した場合に、本体部の一面と中扉の間にハンドル部が位置することになるように構成されているが、そのような構成でなくても良い。
【0027】
また、実施形態の扉係止部材は中扉を係止するものであるが、その他の扉を係止するものであっても良い。
【符号の説明】
【0028】
1 扉係止部材
4 受け部材
11 本体部
12 ハンドル部
13 規制部
14 ばね部
15 表示部
16 貫通孔部
17 傾斜部
18 第一軸部
19 係止部
40 挿通孔部
83 中扉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8