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特許7601708光偏向器駆動システム、及び光偏向器駆動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】光偏向器駆動システム、及び光偏向器駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20241210BHJP
   G02B 26/08 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/08 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021083666
(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公開番号】P2022177425
(43)【公開日】2022-12-01
【審査請求日】2024-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】松丸 直也
(72)【発明者】
【氏名】西岡 謙
【審査官】近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-5001(JP,A)
【文献】特開2020-148994(JP,A)
【文献】特開2020-190617(JP,A)
【文献】国際公開第2014/128864(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10
G02B 26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラー部と、前記ミラー部を支持する第1支持部と、前記第1支持部を支持する第2支持部と、前記第1支持部を前記第2支持部に対して揺動軸周りに揺動させる少なくとも1つのアクチュエータと、を備え、
前記アクチュエータは、前記揺動軸の方向に配置された複数の圧電カンチレバーを含み、
前記複数の圧電カンチレバーは、各々の圧電カンチレバーが隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように蛇腹形状に連結されており、
前記圧電カンチレバーのうち前記ミラー部側の圧電カンチレバーの自由端は、前記第1支持部に連結されており、
前記圧電カンチレバーのうち前記第2支持部側の圧電カンチレバーの自由端は、前記第2支持部に連結されており、
前記ミラー部から数えて偶数番目に配置された圧電カンチレバーを屈曲変形させるため、当該偶数番目に配置された圧電カンチレバーに第1駆動信号に対応する第1駆動電圧を印加し、かつ、前記ミラー部から数えて奇数番目に配置された圧電カンチレバーを屈曲変形させるため、当該奇数番目に配置された圧電カンチレバーに第2駆動信号に対応する第2駆動電圧を印加する光偏向器駆動システムであって、
前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号の少なくとも一方を変更する旨の指示が入力された場合、前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号のうち変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングを判定するタイミング判定部と、
前記変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングと判定された場合、前記変更対象の駆動信号に対して前記変更を反映する変更反映部と、を備える光偏向器駆動システム。
【請求項2】
前記変更する旨の指示は、振幅を変更する旨の指示である請求項1に記載の光偏向器駆動システム。
【請求項3】
前記変更する旨の指示は、オフセットを変更する旨の指示である請求項1に記載の光偏向器駆動システム。
【請求項4】
前記変更する旨の指示は、オフセット量を表すオフセットレベルデータであり、
前記オフセット量を立ち上がり時間又は立ち下がり時間で分割するオフセット分割部をさらに備え、
前記変更反映部は、前記分割された時間が経過するごとに、前記変更対象の駆動信号に対して段階的に前記変更を反映する請求項1に記載の光偏向器駆動システム。
【請求項5】
光偏向器のミラー部を揺動軸周りに揺動させるアクチュエータに印加される第1駆動電圧に対応する第1駆動信号及び第2駆動電圧に対応する第2駆動信号の少なくとも一方を変更する旨の指示を入力する変更指示入力ステップと、
前記指示が入力された場合、前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号のうち変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングを判定する判定ステップと、
前記変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングと判定された場合、前記変更対象の駆動信号に対して前記変更を反映する変更反映ステップと、を備える光偏向器駆動方法。
【請求項6】
前記変更する旨の指示は、振幅を変更する旨の指示である請求項5に記載の光偏向器駆動方法。
【請求項7】
前記変更する旨の指示は、オフセットを変更する旨の指示である請求項5に記載の光偏向器駆動方法。
【請求項8】
前記変更する旨の指示は、オフセット量を表すオフセットレベルデータであり、
前記オフセット量を立ち上がり時間又は立ち下がり時間で分割するオフセット分割ステップをさらに備え、
前記変更反映ステップは、前記分割された時間が経過するごとに、前記変更対象の駆動信号に対して段階的に前記変更を反映する請求項5に記載の光偏向器駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光偏向器駆動システム、及び光偏向器駆動方法に関し、特に、オフセット(又は振幅)の変更を反映した場合であっても、光偏向器に異常振動が発生するのを抑制することができる(その結果、光偏向器が走査する光により描画される映像に縞模様が出現するのを抑制することができる)光偏向器駆動システム、及び光偏向器駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光偏向器(アクチュエータ)に印加される駆動信号(駆動電圧)に対してオフセットを実行することにより、光偏向器が走査する光により描画される映像の垂直方向の位置(オフセット量)を変更する映像投射システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-54752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献1においては、オフセット(又は振幅)を変更する旨の指示が入力されたタイミングでオフセット(又は振幅)の変更を反映した場合、変更の前後において駆動信号(駆動電圧)の波形が乱れてしまい、当該波形が乱れた駆動信号(駆動電圧)のエッジに含まれる不要な周波数成分(意図しない周波数成分)によって光偏向器に異常振動が発生し、これに起因して、光偏向器が走査する光により描画される映像に縞模様が出現してしまうとういう課題を見出した。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、オフセット(又は振幅)の変更を反映した場合であっても、光偏向器に異常振動が発生するのを抑制することができる(その結果、光偏向器が走査する光により描画される映像に縞模様が出現するのを抑制することができる)光偏向器駆動システム、及び光偏向器駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる光偏向器駆動システムは、ミラー部と、前記ミラー部を支持する第1支持部と、前記第1支持部を支持する第2支持部と、前記第1支持部を前記第2支持部に対して揺動軸周りに揺動させる少なくとも1つのアクチュエータと、を備え、前記アクチュエータは、前記揺動軸の方向に配置された複数の圧電カンチレバーを含み、前記複数の圧電カンチレバーは、各々の圧電カンチレバーが隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように蛇腹形状に連結されており、前記圧電カンチレバーのうち前記ミラー部側の圧電カンチレバーの自由端は、前記第1支持部に連結されており、前記圧電カンチレバーのうち前記第2支持部側の圧電カンチレバーの自由端は、前記第2支持部に連結されており、前記ミラー部から数えて偶数番目に配置された圧電カンチレバーを屈曲変形させるため、当該偶数番目に配置された圧電カンチレバーに第1駆動信号に対応する第1駆動電圧を印加し、かつ、前記ミラー部から数えて奇数番目に配置された圧電カンチレバーを屈曲変形させるため、当該奇数番目に配置された圧電カンチレバーに第2駆動信号に対応する第2駆動電圧を印加する光偏向器駆動システムであって、前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号の少なくとも一方を変更する旨の指示が入力された場合、前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号のうち変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングを判定するタイミング判定部と、前記変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングと判定された場合、前記変更対象の駆動信号に対して前記変更を反映する変更反映部と、を備える。
【0007】
このような構成により、オフセット(又は振幅)の変更を反映した場合であっても、光偏向器に異常振動が発生するのを抑制することができる(その結果、光偏向器が走査する光により描画される映像に縞模様が出現するのを抑制することができる)。
【0008】
これは、オフセット(又は振幅)を変更する旨の指示が入力されたタイミングでオフセット(又は振幅)の変更を反映するのではなく、変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングと判定された場合、変更対象の駆動信号に対して変更を反映することにより、光偏光器の異常振動の原因となる不要な周波数成分(意図しない周波数成分)を除去することができることによるものである。
【0009】
また、上記光偏向器駆動システムにおいて、前記変更する旨の指示は、振幅を変更する旨の指示であってもよい。
【0010】
また、上記光偏向器駆動システムにおいて、前記変更する旨の指示は、オフセットを変更する旨の指示であってもよい。
【0011】
また、上記光偏向器駆動システムにおいて、前記変更する旨の指示は、オフセット量を表すオフセットレベルデータであり、前記オフセット量を立ち上がり時間又は立ち下がり時間で分割するオフセット分割部をさらに備え、前記変更反映部は、前記分割された時間が経過するごとに、前記変更対象の駆動信号に対して段階的に前記変更を反映してもよい。
【0012】
本発明にかかる光偏向器駆動方法は、光偏向器のミラー部を揺動軸周りに揺動させるアクチュエータに印加される第1駆動電圧に対応する第1駆動信号及び第2駆動電圧に対応する第2駆動信号の少なくとも一方を変更する旨の指示を入力する変更指示入力ステップと、前記指示が入力された場合、前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号のうち変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングを判定する判定ステップと、前記変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングと判定された場合、前記変更対象の駆動信号に対して前記変更を反映する変更反映ステップと、を備える。
【0013】
このような構成により、オフセット(又は振幅)の変更を反映した場合であっても、光偏向器に異常振動が発生するのを抑制することができる(その結果、光偏向器が走査する光により描画される映像に縞模様が出現するのを抑制することができる)。
【0014】
これは、オフセット(又は振幅)を変更する旨の指示が入力されたタイミングでオフセット(又は振幅)の変更を反映するのではなく、変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングと判定された場合、変更対象の駆動信号に対して変更を反映することにより、光偏光器の異常振動の原因となる不要な周波数成分(意図しない周波数成分)を除去することができることによるものである。
【0015】
また、上記光偏向器駆動方法において、前記変更する旨の指示は、振幅を変更する旨の指示であってもよい。
【0016】
また、上記光偏向器駆動方法において、前記変更する旨の指示は、オフセットを変更する旨の指示であってもよい。
【0017】
また、上記光偏向器駆動方法において、前記変更する旨の指示は、オフセット量を表すオフセットレベルデータであり、前記オフセット量を立ち上がり時間又は立ち下がり時間で分割するオフセット分割ステップをさらに備え、前記変更反映ステップは、前記分割された時間が経過するごとに、前記変更対象の駆動信号に対して段階的に前記変更を反映してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、オフセット(又は振幅)の変更を反映した場合であっても、光偏向器に異常振動が発生するのを抑制することができる(その結果、光偏向器が走査する光により描画される映像に縞模様が出現するのを抑制することができる)光偏向器駆動システム、及び光偏向器駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態である光偏向器駆動システム10の概略構成図である。
図2】1軸非共振・1軸共振タイプの光偏向器1の斜視図である。
図3】(a)図2の光偏向器のI-I線端面を模式的に示す図、(b)II-II線端面を模式的に示す図である。
図4】第3駆動電圧Vx1(駆動信号P)と第4駆動電圧Vx2(駆動信号N)の一例である。
図5】(a)光偏向器の圧電アクチュエータが作動していない状態を示し、(b)圧電アクチュエータが作動している状態を示す図である。
図6】光偏向器1が走査(ラスタースキャン)するレーザー光Rayにより、スクリーン部材20に映像pを描画している様子を表す図である(集光レンズ14、補正ミラー18、投影レンズ23省略)。
図7】光偏向器1に印加される駆動電圧(図7(a)参照)とミラー部2の揺動角度(図7(b)参照)との関係を表す図である。
図8】スクリーン部材20に描画される、縦幅が異なる映像pの例である。
図9】スクリーン部材20に描画される、垂直方向の位置(オフセット量)が異なる映像pの例である。
図10】光偏向器駆動システム10の機能的構成例である。
図11】映像信号処理部116の機能的構成例である。
図12】MEMS駆動部108がミラー部2を第2軸X周りに揺動させる処理のシーケンス図である。
図13】映像pの縦幅を縮小する場合の各信号例(タイムチャート)である。
図14】本発明者らが見出した課題について説明するための図である。
図15】本発明者らが見出した課題について説明するための図である。
図16】光偏向器1に異常振動が発生するのを抑制しつつ、スクリーン部材20に描画される映像の縦幅を変更する処理のシーケンス図である。
図17】光偏向器1に異常振動が発生するのを抑制しつつ、スクリーン部材20に描画される映像のオフセット量を変更する処理のシーケンス図である。
図18】映像pを上方にオフセットする場合の各信号例(タイムチャート)である。
図19】第5信号Nの点線で囲った円内の拡大図である。
図20】映像pの縦幅を拡大する場合の各信号例(タイムチャート)である。
図21】映像pを下方にオフセットする場合の各信号例(タイムチャート)である。
図22】第5信号の変形例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態である光偏向器駆動システム10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態である光偏向器駆動システム10の概略構成図である。
【0022】
図1に示すように、光偏向器駆動システム10は、光源12、光源12が発光する光(例えば、レーザー光)を集光する集光レンズ14、補正ミラー18、集光レンズ14で集光され補正ミラー18で反射されたレーザー光Rayを二次元的に(水平方向及び垂直方向に)走査する光偏向器1、光偏向器1が走査するレーザー光Rayにより映像が描画されるスクリーン部材20、スクリーン部材20に描画された映像を投影する投影レンズ23等を備えている。なお、光偏向器駆動システム10は、光源12が発光する光を走査することにより映像を描画する光偏向器を備えていればどのような構成であってもよい。
【0023】
光源12は、例えば、発光波長が青色域のレーザー光を放出するレーザーダイオード(LD)である。光源12からのレーザー光は、集光レンズ14で集光され(例えばコリメートされ)補正ミラー18で反射されて光偏向器1(ミラー部2)に入射する。補正ミラー18は、スクリーン部材20に描画される映像が歪むのを防止するために設けられる。なお、補正ミラー18は省略してもよい。
【0024】
光偏向器1は、集光レンズ14で集光されたレーザー光を二次元的に(水平方向及び垂直方向に)走査する。光偏向器1が走査するレーザー光により、スクリーン部材20に映像が描画される。スクリーン部材20は、例えば、矩形板形状の蛍光体プレートである。蛍光体プレートは、波長変換部材で、光偏向器1が走査するレーザー光Rayの少なくとも一部を異なる波長の光(例えば、黄色域の光)に変換する。スクリーン部材20に描画された映像は、投影レンズ23により投影される。
【0025】
光偏向器1は、例えば、MEMSスキャナである。光偏向器の駆動方式には大別して圧電方式、静電方式、電磁方式があるが、いずれの方式であってもよい。また、圧電方式には大別して1軸非共振・1軸共振タイプ、2軸非共振タイプ、2軸共振タイプがあるが、いずれの方式であってもよい。
【0026】
以下、代表して、圧電方式(1軸非共振・1軸共振タイプ)の光偏向器1について説明する。
【0027】
図2は、1軸非共振・1軸共振タイプの光偏向器1の斜視図である。
【0028】
光偏向器1は、ミラー部2と、一対の第1圧電アクチュエータ31,32と、第1支持部4と、一対の第2圧電アクチュエータ51,52と、第2支持部6とを備える。なお、光変更器1は、駆動信号(駆動電圧)に対してオフセット(又は振幅)の変更を反映した場合、当該光変更器1において意図しない異常振動(異常共振)が発生するのであれば、どのよう構成であってもよい。
【0029】
ミラー部2は、入射した光を反射する円形の反射面2aと、反射面2aを支持する円形の反射面支持体2bとを備える。
【0030】
反射面支持体2bは、シリコン基板で構成される。反射面支持体2bには、その両端から外側へ延びた一対のトーションバー21,22が連結されている。
【0031】
第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれが半円弧形状に形成され、互いにミラー部2を囲むように空隙を隔てて配置されている。第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれの一方の端部が一方のトーションバー21を挟んで対向して連結され、それぞれの他方の端部が他方のトーションバー22を挟んで対向して連結されている。
【0032】
第1支持部4は、矩形の枠形状に形成されており、ミラー部2と第1圧電アクチュエータ31,32とを囲むように設けられている。第1支持部4は、第1圧電アクチュエータ31,32の円弧部の中心位置の外側に連結されており、第1圧電アクチュエータ31,32を介してミラー部2を支持している。
【0033】
第2圧電アクチュエータ51,52は、第1支持部4を挟んで対向して配置されている。第2圧電アクチュエータ51,52は、それらの先端部が、第1支持部4のトーションバー21,22と直交する方向の一対の両側にそれぞれ連結されている。
【0034】
第2支持部6は、矩形の枠形状に形成されており、第1支持部4と第2圧電アクチュエータ51,52とを囲むように設けられている。第2支持部6には、第2圧電アクチュエータ51,52の、第1支持部4と連結されていない側の一対の他端がそれぞれ連結されている。これにより、第2支持部6は、第2圧電アクチュエータ51,52を介して第1支持部4を支持している。
【0035】
次に、第1圧電アクチュエータ31,32の詳細な構成について説明する。第1圧電アクチュエータ31,32は、それぞれが、圧電駆動によって屈曲変形するように構成された第1圧電カンチレバー31A,32Aを備える。詳細には、第1圧電アクチュエータ31,32のうちの一方の第1圧電アクチュエータ31が一方の第1圧電カンチレバー31Aを備え、第1圧電アクチュエータ31,32のうちの他方の第1圧電アクチュエータ32が他方の第1圧電カンチレバー32Aを備える。第1圧電アクチュエータ31,32は、第1圧電カンチレバー31A,32Aの屈曲変形により、トーションバー21,22を介して、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動可能となっている。
【0036】
次に、第2圧電アクチュエータ51,52の詳細な構成について説明する。第2圧電アクチュエータ51,52は、それぞれが、圧電駆動によって屈曲変形するように構成された一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dを備える。詳細には、一対の第2圧電アクチュエータ51,52のうちの一方の第2圧電アクチュエータ51は、4つの圧電カンチレバーからなる一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dで構成される。また、一対の第2圧電アクチュエータ51,52のうちの他方の第2圧電アクチュエータ52は、4つの圧電カンチレバーからなる他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dで構成される。
【0037】
一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dは、その長さ方向が同じになるようにそれぞれの両端部が隣り合うと共に、ミラー部2を第2軸X(第1軸Yに直交する軸。但し、正確に直交している必要はない。)周りに揺動可能に所定の間隔で並んで配置されている。そして、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dは、隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように連結されている。第2軸Xは、本発明の揺動軸の一例である。
【0038】
他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dは、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dと同様に、その長さ方向が同じになるようにそれぞれの両端部が隣り合うと共に、ミラー部2を第2軸X周りに揺動可能に所定の間隔で並んで配置されている。そして、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dは、隣り合う圧電カンチレバーに対して折り返すように連結されている。
【0039】
このように、一方の第2圧電アクチュエータ51及び他方の第2圧電アクチュエータ52は、それを形成する一方の第2圧電カンチレバー51A~51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dが、所謂ミアンダ形状(又は蛇腹形状)に形成されている。
【0040】
一方の第2圧電カンチレバー51A~51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dのうちのミラー部2側(第1支持部4側)に配置されているカンチレバー(以下、「1番目の第2圧電カンチレバー」という)51A,52Aは、その隣り合う第2圧電カンチレバー(以下、「2番目の第2圧電カンチレバー」という)51B,52Bと連結されていない側のそれぞれの一端(自由端)が第1支持部4の外周部に連結されている。
【0041】
同様に、一方の第2圧電カンチレバー51A~51D及び他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dのうちの第2支持部6側に配置されている圧電カンチレバー(以下、「4番目の第2圧電カンチレバー」という)51D,52Dは、その隣り合う第2圧電カンチレバー(以下、「3番目の第2圧電カンチレバー」という)51C,52Cと連結されていない側のそれぞれの一端(自由端)が第2支持部6の内周部に連結されている。
【0042】
これにより、第1支持部4は、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの屈曲変形によって、第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動可能となっている。
【0043】
以降、一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのうち、ミラー部2から数えて奇数番目に配置されたそれぞれの圧電カンチレバー(1番目の第2圧電カンチレバー51A,52A及び3番目の第2圧電カンチレバー51C,52C)を奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cという。
【0044】
また、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cのうち、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dに含まれるものを一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cといい、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dに含まれるものを他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cという。
【0045】
同様に、一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのうち、ミラー部2から数えて偶数番目に配置されたそれぞれの圧電カンチレバー(2番目の第2圧電カンチレバー51B,52B及び4番目の第2圧電カンチレバー51D,52D)を偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dという。
【0046】
また、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dのうち、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dに含まれるものを一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dといい、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dに含まれるものを他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dという。
【0047】
図3は、光偏向器1の模式的な端面図を示す。図3(a)は、図2のI-I線端面図を示す。但し、図3(a)では、第2支持部6を省略して示している。図3(b)は、図2のII-II線端面図を示す。但し、図3(b)では、第2支持部6、及び一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのうち3番目の第2圧電カンチレバー51C,52C及び4番目の第2圧電カンチレバー51D,52Dを省略して示している。
【0048】
3番目の第2圧電カンチレバー51C,52Cは、1番目の第2圧電カンチレバー51A,52Aと同じ構成である。同様に、4番目の第2圧電カンチレバー51D,52Dは、2番目の第2圧電カンチレバー51B,52Bと同じ構成である。
【0049】
第1圧電アクチュエータ31,32を構成する第1圧電カンチレバー31A,32Aのそれぞれと、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのそれぞれとは、起歪体(カンチレバー本体)としての支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2及び上部電極L3を積層した構造の圧電カンチレバーである。
【0050】
なお、圧電カンチレバーの詳細な構造は、支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2、及び上部電極L3が積層されており、これらの下部電極L1、圧電体L2、及び上部電極L3を囲むように層間絶縁膜M1が設けられている。そして、層間絶縁膜M1上に上部電極配線Wが積層され、この上部電極配線Wを囲むようにパッシベーション膜M2が設けられている。
【0051】
なお、上部電極配線Wは、後述するように、第1駆動用上部電極配線Wy、第2駆動用奇数上部電極配線Wo、第2駆動用偶数上部電極配線We、第1検知用上部電極配線Wmy、及び第2検知用上部電極配線Wmxがあり、これらを特に区別する必要が無いときは、上部電極配線Wという。
【0052】
これらの圧電カンチレバー31A,32A,51A~51D,52A~52Dの圧電体L2は、上部電極L3と下部電極L1との間に駆動電圧が印加されることで、圧電駆動により屈曲変形する。これらの圧電カンチレバー31A,32A,51A~51D,52A~52Dは、圧電体L2の屈曲変形に伴って、屈曲変形する。
【0053】
なお、第2圧電アクチュエータ51,52を構成する一対の第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dのそれぞれの隣り合う圧電カンチレバーの連結部は、その隣り合う圧電カンチレバーのそれぞれの支持体Bを一体に連結した部分となっており、その連結部には圧電体L2及び上部電極L3の層は設けられていない。
【0054】
第1支持部4上には、第1検知部71y,72yと、第2検知部71x,72xとが設けられている。第1検知部71y,72yは、第1支持部4上に、当該第1支持部4の第2軸Xに平行な辺(第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの各圧電カンチレバーの長手方向の辺に直交する辺)に沿うように、当該辺の中央部に配置されている。
【0055】
第2検知部71x,72xは、第1支持部4上に、当該第1支持部4の第1軸Yに平行な辺に沿うように、当該辺の中央部に配置されている。第1検知部71y,72yと第2検知部71x,72xは、平面的に互いに分離して設けられている。
【0056】
第1検知部71y,72yは、第1圧電アクチュエータ31,32の圧電駆動によって、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動させるときに、第1支持部4に伝達される第1振動を検知するためのセンサとして設けられている。第2検知部71x,72xは、第2圧電アクチュエータ51,52の圧電駆動によって、第1支持部4を第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動させるときに、第1支持部4に伝達される第2振動を検知するためのセンサとして設けられている。
【0057】
第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xは、第1圧電カンチレバー31A,32A及び第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dと同様に、第1支持部4を構成する支持体Bの層上に、下部電極L1、圧電体L2及び上部電極L3を積層した構造になっている。なお、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xにおいても、各圧電カンチレバー31A,32A,51A~51D,52A~52Dと同様に、層間絶縁膜M1、上部電極配線W、パッシベーション膜M2が設けられている。
【0058】
そして、第1支持部4に第1振動又は第2振動が伝達されることで、第1支持部4が屈曲変形したときに、第1検知部71y,72y及び第2検知部71x,72xの圧電体L2がこの屈曲変形の変形量に応じた電圧を出力する。光偏向器1は、このときの電圧値によって、第1支持部4に伝達された振動を検知することができる。
【0059】
本実施形態の光偏向器1の第1支持部4は、ミラー部2を第1軸Y周りで揺動しているときには、第2軸Xに平行な2辺のそれぞれの中央部が屈曲変形しやすいことが、予め行なわれた実験によって分かった。このため、第1検知部71y,72yを当該2辺の中央部に配置している。また、第1支持部4を第2軸X周りで揺動しているときには、第1軸Yに平行な2辺のそれぞれの中央部が屈曲変形しやすいことが、予め行なわれた実験によって分かった。このため、第2検知部71x,72xを当該2辺の中央部に配置している。
【0060】
光偏向器1は、第2支持部6上に、下部電極パッド61a,62aと、第1上部電極パッド61b,62bと、奇数用第2上部電極パッド61c,62cと、偶数用第2上部電極パッド61d,62dと、第1検知用電極パッド61eと、第2検知用電極パッド62eとを備える。
【0061】
下部電極パッド61a,62aのうちの一方の下部電極パッド61aは、一方の第1圧電カンチレバー31Aの下部電極L1、一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dの下部電極L1、及び第1検知部71y,72yの下部電極L1に電気的に接続されている。下部電極パッド61a,62aのうちの他方の下部電極パッド62aは、他方の第1圧電カンチレバー32Aの下部電極L1、他方の第2圧電カンチレバー52A~52Dの下部電極L1、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1に電気的に接続されている。
【0062】
このように、下部電極パッド61a,62aは、第1圧電アクチュエータ31,32、第2圧電アクチュエータ51,52、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xで共通の電極パッドとしている。
【0063】
第1上部電極パッド61b,62bのうちの一方の第1上部電極パッド61bは、一方の第1圧電カンチレバー31Aの上部電極L3に電気的に接続されている。第1上部電極パッド61b,62bのうちの他方の第1上部電極パッド62bは、他方の第1圧電カンチレバー32Aの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0064】
奇数用第2上部電極パッド61c,62cのうちの一方の奇数用第2上部電極パッド61cは、一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cの上部電極L3に電気的に接続されている。奇数用第2上部電極パッド61c,62cのうちの他方の奇数用第2上部電極パッド62cは、他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0065】
偶数用第2上部電極パッド61d,62dのうちの一方の偶数用第2上部電極パッド61dは、一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dの上部電極L3に電気的に接続されている。偶数用第2上部電極パッド61d,62dのうちの他方の偶数用第2上部電極パッド62dは、他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0066】
第1検知用電極パッド61eは、第1検知部71y,72yの上部電極L3に電気的に接続されている。第2検知用電極パッド62eは、第2検知部71x,72xの上部電極L3に電気的に接続されている。
【0067】
以上のような電気的接続により、上部電極L3と下部電極L1との間に駆動電圧が印加された場合に、この印加された上部電極L3と下部電極L1との間に積層された圧電体L2が圧電駆動により屈曲変形する。これにより、この屈曲変形した圧電体L2に応じた支持体B(圧電カンチレバー)が屈曲変形する。
【0068】
また、後述するように、第1支持部4は、伝達された振動による屈曲変形による圧電効果によって第1検知部71y,72yから発生した電圧が、第1検知用電極パッド61eと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力される。同様に、この第1支持部4の屈曲変形による圧電効果によって第2検知部71x,72xから発生した電圧が、第2検知用電極パッド62eと一方の下部電極パッド61aとの間の電位差として出力される。
【0069】
一対の下部電極パッド61a,62aと、第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1とは、シリコン基板上の金属薄膜(本実施形態では2層の金属薄膜、以下、下部電極層ともいう)を、半導体プレーナプロセスを用いて形状加工することにより形成される。この金属薄膜の材料としては、例えば、1層目(下層)にはチタン(Ti)、二酸化チタン(TiO2)又は酸化量が調整された酸化チタン(TiOx)が用いられ、2層目(上層)には白金(Pt)、LaNiO3又はSrRuO3が用いられる。
【0070】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32Aの下部電極L1は、当該第1圧電カンチレバー31A,32Aの支持体B上のほぼ全面に形成される。第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの下部電極L1は、当該第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの支持体B上(各圧電カンチレバーが延在する直線部と連結部とを合わせた全体)のほぼ全面に形成される。
【0071】
第1検知部71y,72yの下部電極L1は、第1支持部4の支持体B上の第1検知部71y,72yが配置される部分に形成される。第2検知部71x,72xの下部電極L1は、第1支持部4の支持体B上の第2検知部71x,72xが配置される部分に形成される。また、第2支持部6上においても同様に、下部電極L1、層間絶縁膜M1、上部電極配線W、パッシベーション膜M2が設けられている。
【0072】
そして、下部電極パッド61a,62aは、第2支持部6上及び第1支持部4上に形成された下部電極L1を介して、第1圧電カンチレバー31A,32Aの下部電極L1、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの下部電極L1、第1検知部71y,72yの下部電極L1、及び第2検知部71x,72xの下部電極L1に、上述したように導通される。
【0073】
第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの圧電体L2は、半導体プレーナプロセスを用いて、下部電極層上の1層の圧電膜(以下、圧電体層ともいう)を形状加工することにより、それぞれの圧電カンチレバーの下部電極L1上に互いに分離して形成されている。この圧電膜の材料としては、例えば、圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が用いられる。
【0074】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32Aの圧電体L2は、各第1圧電カンチレバー31A,32A毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの圧電体L2は、各第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dの延在部分(直線部)において、下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第1検知部71y,72yの圧電体L2は、各第1検知部71y,72y毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。第2検知部71x,72xの圧電体L2は、各第2検知部71x,72x毎に下部電極L1上のほぼ全面に形成されている。
【0075】
「第1上部電極パッド61b,62b、奇数用第2上部電極パッド61c,62c、偶数用第2上部電極パッド61d,62d、第1検知用電極パッド61e、及び第2検知用電極パッド62e」と、「第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの上部電極L3」と、これらを導通する上部電極配線Wは、半導体プレーナプロセスを用いて、圧電体層上の金属薄膜(本実施形態では1層の金属薄膜。以下、上部電極層ともいう)を形状加工することにより形成されている。この金属薄膜の材料としては、例えば白金(Pt)、金(Au)、アルミ(Al)、又はアルミ合金(Al合金)等が用いられる。
【0076】
この場合、第1圧電カンチレバー31A,32A、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52D、第1検知部71y,72y、及び第2検知部71x,72xのそれぞれの上部電極L3は、各圧電カンチレバー毎又は各検知部毎の圧電体L2上のほぼ全面に形成されている。
【0077】
そして、第1上部電極パッド61b,62bは、それぞれ、第1圧電カンチレバー31A,32Aの上部電極L3に、第1駆動用上部電極配線Wyを介して、上述したように導通される。また、奇数用第2上部電極パッド61c,62cは、それぞれ、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cの上部電極L3に、第2駆動用奇数上部電極配線Woを介して、上述したように導通される。また、偶数用第2上部電極パッド61d,62dは、それぞれ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dの上部電極L3に、第2駆動用偶数上部電極配線Weを介して、上述したように導通される。
【0078】
また、第1検知用電極パッド61eは、第1検知部71y,72yの上部電極L3に、第1検知用上部電極配線Wmyを介して、上述したように導通される。また、第2検知用電極パッド62eは、第2検知部71x,72xの上部電極L3に、第2検知用上部電極配線Wmxを介して、上述したように導通される。
【0079】
図3に示されるように、第1駆動用上部電極配線Wy、第2駆動用奇数上部電極配線Wo、第2駆動用偶数上部電極配線We、第1検知用上部電極配線Wmy、及び第2検知用上部電極配線Wmxは、平面的に互いに分離して設けられている。また、上部電極配線Wは、上部電極L3との間に形成された層間絶縁膜M1によって絶縁されており、上部電極配線Wを上部電極L3に導通する場合には、当該上部電極配線Wと当該上部電極L3とを導通可能に層間絶縁膜M1に導通部材(例えば、電極ビア等)が形成される。
【0080】
また、パッシベーション膜M2は、半導体プレーナプロセスを用いて、上部電極配線W上に、当該上部電極配線Wを囲うように形成されている。
【0081】
また、反射面支持体2bと、トーションバー21,22と、支持体Bと、第1支持部4と、第2支持部6とは、複数の層から構成される半導体基板(シリコン基板)を形状加工することにより一体的に形成されている。半導体基板を形状加工する手法としては、フォトリソグラフィ技術やドライエッチング技術等を利用した半導体プレーナプロセス及びMEMSプロセスが用いられる。
【0082】
次に、本実施形態の光偏向器1の作動について説明する。まず、第1圧電アクチュエータ31,32により、ミラー部2を第1支持部4に対して第1軸Y周りに揺動させる場合について説明する。
【0083】
この場合には、光偏向器1は、第1圧電アクチュエータ31,32に駆動電圧を印加する。具体的には、一方の第1圧電アクチュエータ31では、一方の第1上部電極パッド61bと一方の下部電極パッド61aとの間に第1駆動電圧Vy1を印加して、一方の第1圧電カンチレバー31Aを駆動させる。また、他方の第1圧電アクチュエータ32では、他方の第1上部電極パッド62bと他方の下部電極パッド62aとの間に第2駆動電圧Vy2を印加して、他方の第1圧電カンチレバー32Aを駆動させる。ここで、第1駆動電圧Vy1と第2駆動電圧Vy2とは、互いに逆位相或いは位相のずれた交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)である。
【0084】
このとき、第1駆動電圧Vy1及び第2駆動電圧Vy2の揺動用の電圧成分は、第1圧電アクチュエータ31,32の垂直方向(図1の上方向U及びその反対の方向である下方向)について、一方の第1圧電カンチレバー31Aと他方の第1圧電カンチレバー32Aとの角度変位が逆方向に発生するように印加する。
【0085】
例えば、第1軸Y周りに揺動するときに、一方の第1圧電アクチュエータ31を上方向に変位させる場合には、一方の第1圧電カンチレバー31Aを上方向に変位させる。一方の第1圧電アクチュエータ31を下方向に変位させるには、一方の第1圧電カンチレバー31Aを下方向に変位させる。
【0086】
また、他方の第1圧電アクチュエータ32についても一方の第1圧電アクチュエータ31と同様に、他方の第1圧電アクチュエータ32を上方向に変位させる場合には、他方の第1圧電カンチレバー32Aを上方向に変位させる。他方の第1圧電アクチュエータ32を下方向に変位させるには、他方の第1圧電カンチレバー32Aを下方向に変位させる。
【0087】
本実施形態の光偏向器1では、「一方の第1圧電アクチュエータ31を上方向に変位させると共に、他方の第1圧電アクチュエータ32を下方向に変位させること」か、又は「一方の第1圧電アクチュエータ31を下方向に変位させると共に、他方の第1圧電アクチュエータ32を上方向に変位させること」で、第1軸Y周りで揺動するとき、大きな偏向角を得ている。このように、本実施形態では、ミラー部2を第1軸Y周りに揺動することができ、所定の第1周波数Fyで所定の第1偏向角の光走査をすることができる。
【0088】
次に、第2圧電アクチュエータ51,52により、第1支持部4を第2支持部6に対して第2軸X周りに揺動させる場合について説明する。
【0089】
この場合には、光偏向器1は、第2圧電アクチュエータ51,52に駆動電圧を印加する。具体的には、一方の第2圧電アクチュエータ51では、一方の奇数用第2上部電極パッド61cと一方の下部電極パッド61aとの間に第3駆動電圧Vx1を印加して、一方の奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51Cを駆動させる。これと共に、一方の第2圧電アクチュエータ51では、一方の偶数用第2上部電極パッド61dと一方の下部電極パッド61aとの間に第4駆動電圧Vx2を印加して、一方の偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51Dを駆動させる。
【0090】
更に、他方の第2圧電アクチュエータ52では、他方の奇数用第2上部電極パッド62cと他方の下部電極パッド62aとの間に第3駆動電圧Vx1を印加して、他方の奇数番目の第2圧電カンチレバー52A,52Cを駆動させる。これと共に、他方の第2圧電アクチュエータ52では、他方の偶数用第2上部電極パッド62dと他方の下部電極パッド62aとの間に第4駆動電圧Vx2を印加して、他方の偶数番目の第2圧電カンチレバー52B,52Dを駆動させる。
【0091】
ここで、第3駆動電圧Vx1と第4駆動電圧Vx2は、互いに逆位相の交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)である。図4は、第3駆動電圧Vx1と第4駆動電圧Vx2の一例である。図4中、実線で記載したノコギリ波が第3駆動電圧Vx1の一例である。以下、第3駆動電圧Vx1を第1駆動信号Pとも呼ぶ。また、図4中、一点鎖線で記載したノコギリ波が第4駆動電圧Vx2の一例である。以下、第4駆動電圧Vx2を第2駆動信号Nとも呼ぶ。なお、第3駆動電圧Vx1と第4駆動電圧Vx2は、互いに位相のずれた交流電圧(例えば正弦波、ノコギリ波等)であってもよい。光偏向器駆動システム10により投影される映像の画角及び偏向方向は2つの駆動信号(第1駆動信号P、第2駆動信号N)の少なくとも一方の振幅及びオフセット量を変更することで可変できる。これにより、揺動の角度やオフセットされる角度を制御することができる。
【0092】
このとき、第3駆動電圧Vx1及び第4駆動電圧Vx2の揺動用の電圧成分は、第2圧電アクチュエータ51,52の垂直方向(図1の上方向U及びその反対の方向である下方向)について、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cと偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dとの角度変位が、逆方向に発生するように設定される。
【0093】
例えば、第2軸X周りに揺動するとき、第2圧電アクチュエータ51,52の先端部を上方向(図1に示す方向U)に変位させる場合には、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cを上方向に変位させ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dを下方向に変位させる。第2圧電アクチュエータ51,52の先端部を下方向に変位させるには、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cを下方向に変位させ、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dを上方向に変位させる。
【0094】
これにより、奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cと、偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52Dとが、互いに逆方向に屈曲変形する。
【0095】
図5は、光偏向器1の一方の第2圧電アクチュエータ51の作動を示す図である。図5(a)は一方の第2圧電アクチュエータ51が作動していない状態を示し、図5(b)は一方の第2圧電アクチュエータ51が作動している状態を示す。
【0096】
図5(b)に示されるように、4番目の一方の第2圧電カンチレバー51Dは、第2支持部6と連結した基端部を支点として、その先端部に下方向の角度変位が発生している。3番目の一方の第2圧電カンチレバー51Cは、4番目の一方の第2圧電カンチレバー51Dの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部に上方向の角度変位が発生している。
【0097】
2番目の一方の第2圧電カンチレバー51Bは、3番目の一方の第2圧電カンチレバー51Cの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部に下方向の角度変位が発生している。1番目の一方の第2圧電カンチレバー51Aは、2番目の一方の第2圧電カンチレバー51Bの先端部と連結した基端部を支点として、その先端部(第1支持部4と連結している)に上方向の角度変位が発生している。これにより、一方の第2圧電アクチュエータ51では、各一方の第2圧電カンチレバー51A~51Dの屈曲変形の大きさを加算した大きさの角度変位が発生する。
【0098】
従って、第1支持部4を第2軸X周りに揺動することができ、所定の第2周波数Fxで所定の第2偏向角の光走査をすることができる。このとき、これらの第2圧電アクチュエータ51,52では、駆動電圧として第2圧電アクチュエータ51,52を含む第1支持部4の機械的な共振周波数付近の周波数の交流電圧を印加して共振駆動させることで、より大きな偏向角で光走査することができる。
【0099】
また、第1支持部4を第2軸X周りに揺動する場合には、上述したように交流電圧を印加する必要はなく、直流電圧を印加してもよい。この場合、第2圧電カンチレバー51A~51D,52A~52Dで発生する屈曲変形の大きさは、直流電圧の大きさに応じて線形的に変化する。従って、例えば交流電圧を印加して圧電カンチレバーを共振駆動させる場合と異なり、直流電圧の大きさを制御することで第2圧電アクチュエータ51,52から任意の出力を得ることができる。
【0100】
このように、光偏向器1では、第2軸X周りに揺動する場合には、駆動電圧として印加した直流電圧の大きさに応じて線形的に偏向角を制御することができるので、任意の速度で任意の偏向角を得ることができる。
【0101】
また、第2圧電アクチュエータ51,52は、それぞれがミアンダ形状(又は蛇腹形状)に形成されている。これによって、各圧電カンチレバーの屈曲変形が累積されるように形成されている。このため、第2圧電アクチュエータ51,52は、第1圧電アクチュエータ31,32に比べて大きな偏向角を得やすい。
【0102】
このため、本実施形態では、第1圧電アクチュエータ31,32によって揺動する場合には、なるべく大きな偏向角を得るために、第1圧電アクチュエータ31,32の上方向又は下方向の変位を変化させる周波数、すなわち第1周波数Fyが、光偏向器1(特に、圧電カンチレバー等)の構造や材料等によって決定される共振周波数になるように設定している。
【0103】
また、第2圧電アクチュエータ51,52は、ミアンダ形状(又は蛇腹形状)に形成されており、第1圧電アクチュエータ31,32に比べて揺動しやすい。このため、第2周波数Fxは、第1周波数Fyに比べて充分に低く設定されている。本実施形態では、例えば、第1周波数Fyを30kHz、第2周波数Fxを60Hzに設定している。
【0104】
図6は、光偏向器1が走査(ラスタースキャン)するレーザー光Rayにより、スクリーン部材20に映像pを描画している様子を表す図である(集光レンズ14、補正ミラー18、投影レンズ23省略)。
【0105】
以上のように、ミラー部2が第1支持部4に対して第1軸Yを中心に揺動することにより、図6に示すように、ミラー部2に入射する光源12からのレーザー光Rayが第1方向(例えば水平方向)に走査される。
【0106】
また、ミラー部2が第2支持部6に対して第2軸Xを中心に揺動することにより、図6に示すように、ミラー部2に入射する光源12からのレーザー光Rayが第2方向(例えば垂直方向)に走査される。
【0107】
図7は、光偏向器1に印加される駆動信号(図7(a)参照)とミラー部2の揺動角度(図7(b)参照)との関係を表す図である。
【0108】
なお、光偏向器1においては、交互に配置されているカンチレバー(奇数番目の第2圧電カンチレバー51A,51C,52A,52Cと偶数番目の第2圧電カンチレバー51B,51D,52B,52D)の変位量が同じ場合に、すなわち、第1駆動信号Pと第2駆動信号Nの電圧が同じ場合に、ミラー部2は、基準位置(=角度0°。図7(b)参照)に位置する。第2軸Xを中心とするミラー部2の動き(揺動)は、駆動信号から見ると2つの信号の差動信号(第1駆動信号Pから第2駆動信号Nを引き算した信号)と同じ動きとなる。すなわち、差動信号が0Vの時、ミラー部2は、基準位置(=角度0°。図7(b)参照)に位置する。
【0109】
以上のように、光偏向器1が走査するレーザー光Rayにより、スクリーン部材20に映像pが描画される。
【0110】
その際、第1駆動信号P及び第2駆動信号N(図4参照)の少なくとも一方の振幅を変更することにより、図8に示すように、光偏向器1が走査するレーザー光Rayによりスクリーン部材20に描画される映像pの縦幅(図8中、符号H1~H3参照)を変更することができる。図8は、スクリーン部材20に描画される、縦幅が異なる映像pの例である。
【0111】
また、第1駆動信号P及び第2駆動信号N(図4参照)の少なくとも一方のオフセット(オフセット量)を変更することにより、図9に示すように、光偏向器1が走査するレーザー光Rayによりスクリーン部材20に描画される映像pの垂直方向の位置(オフセット量)を変更することができる。図9は、スクリーン部材20に描画される、垂直方向の位置(オフセット量)が異なる映像pの例である。
【0112】
次に、光偏向器駆動システム10の機能的構成例について説明する。
【0113】
図10は、光偏向器駆動システム10の機能的構成例である。
【0114】
図10に示すように、光偏向器駆動システム10は、映像信号入力部102、映像信号処理部116、映像信号蓄積部104、MEMS駆動部108、センサ信号入力部110、光源駆動部114を備えている。
【0115】
映像信号入力部102には、当該映像入力部102に接続される外部装置(図示せず)が出力する映像信号が入力される。
【0116】
映像信号蓄積部104には、映像信号入力部102に入力された映像信号(映像)が蓄積される。
【0117】
映像信号処理部116は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)であり、映像信号蓄積部104に蓄積された映像信号(映像)に基づいて、当該映像をスクリーン部材20に描画するため、光偏向器1(第1圧電アクチュエータ31,32、第2圧電アクチュエータ51,52)を駆動する駆動信号及び光源12を駆動する駆動信号を生成する。
【0118】
その際、映像信号処理部116は、センサ信号入力部110に入力されるセンサ信号(例えば、第1検知部71y,72y、第2検知部71x,72xそれぞれが検知した電圧)が目標値に一致するように例えば光偏向器1を駆動する駆動信号を調整する(フィードバック制御)。
【0119】
MEMS駆動部108は、映像信号処理部116が生成した第1圧電アクチュエータ駆動用の駆動信号をD/A変換し(さらに増幅し)、第1駆動電圧Vy1、第2駆動電圧Vy2として光偏向器1(第1圧電アクチュエータ31,32)に印加する。また、MEMS駆動部108は、映像信号処理部116が生成した第2圧電アクチュエータ駆動用の駆動信号をD/A変換し(さらに増幅し)、第3駆動電圧Vx1(第1駆動信号P)、第4駆動電圧Vx2(第2駆動信号N)として光偏向器1(第2圧電アクチュエータ51,52)に印加する。
【0120】
光源駆動部114は、映像信号処理部116が生成した光源駆動用の駆動信号をD/A変換し(さらに増幅し)、光源12に印加する。
【0121】
次に、映像信号処理部116の機能的構成例について説明する。
【0122】
図11は、映像信号処理部116の機能的構成例である。
【0123】
図11に示すように、映像信号処理部116は、波形生成部81、計算部82、タイミング判定部83、振幅制御部84、オフセット分割部85、オフセットレベル制御部86、第1加算部87、第2加算部88を備えている。これらは、映像信号処理部116(CPU又はDSP)が所定プログラムを実行することにより実現される。なお、これらの一部又は全部はハードウエアにより実現してもよい。
【0124】
波形生成部81は、波形データを出力する。図13(a)、図18(h)、図20(a)及び図21(h)が波形データの一例である。波形データは、例えば、60Hzのノコギリ波である。波形データは、例えば、メモリ等の記憶部(図示せず)に予め記憶されている。
【0125】
計算部82は、振幅データ、時間データ、オフセットレベルデータを出力する。図13(b)及び図20(b)が振幅データの一例である。振幅データは、駆動信号の振幅を表す。
【0126】
時間データには、立ち上がり時間を表す時間データ(立ち上がり時間)と立ち下がり時間を表す時間データ(立ち下がり時間)がある。図18(b)及び図21(b)が時間データ(立ち上がり時間)の一例、図18(c)及び図21(c)が時間データ(立ち下がり時間)の一例である。具体的には、時間データ(立ち上がり時間)は図18(h)及び図21(h)中の時間t2を表し、時間データ(立ち下がり時間)は図18(h)及び図21(h)中の時間t1を表す。図18(a)及び図21(a)がオフセットレベルデータの一例である。オフセットレベルデータは、オフセット量offsetを表す。
【0127】
タイミング判定部83は、変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングを判定する。また、タイミング判定部83は、第1信号P(図13(c)参照)及び第1信号N(図13(d)参照)を出力する。第1信号Pは、振幅データが表す振幅と同じ振幅を表す。同様に、第1信号Nは、振幅データが表す振幅と同じ振幅を表す。また、タイミング判定部83は、第4信号P(図21(f)参照)及び第4信号N(図18(g)参照)を出力する。第4信号Pは、offset/t2ごとに立ち上がる連続パルスである。同様に、第4信号Nは、offset/t1ごとに立ち上がる連続パルスである。
【0128】
振幅制御部84は、第2信号P(図13(e)参照)及び第2信号N(図13(f)参照)を生成し、この生成した第2信号P及び第2信号Nを出力する。第2信号Pは、波形データ(図13(a)参照)の振幅を、第1信号Pが表す振幅と同じ振幅に調整することにより生成される。同様に、第2信号Nは、波形データ(図13(a)参照)の位相を逆にした(180度逆にした)波形データの振幅を、第1信号Nが表す振幅と同じ振幅に調整することにより生成される。
【0129】
オフセット分割部85は、計算部82が出力するオフセットレベルデータが表すオフセット量offsetを立ち上がり時間t2又は立ち下がり時間t1で分割する。オフセット分割部85は、第3信号P(図21(d)参照)及び第3信号N(図18(e)参照)を出力する。第3信号Pは、オフセットレベルデータが表すオフセット量offset/立ち上がり時間t2を表す。第3信号Nは、オフセットレベルデータが表すオフセット量offset/立ち下がり時間t1を表す。
【0130】
オフセットレベル制御部86は、分割された時間(例えば、オフセット量offset/立ち下がり時間t1)が経過するごとに、当該オフセットレベル制御部86が出力する第5信号Nが表す数値を所定量(例えば、1)ずつカウントアップする(例えば、図18(j)に示すオフセット量を反映する場合)。なお、オフセットレベル制御部86は、分割された時間(例えば、オフセット量offset/立ち上がり時間t2)が経過するごとに、当該オフセットレベル制御部86が出力する第5信号Nが表す数値を所定量(例えば、1)ずつカウントダウンする場合もある(例えば、図21(j)に示すオフセット量を反映する場合)。
【0131】
第1加算部87は、これに入力される第2信号Pをそのまま第1駆動信号Pとして出力する。但し、第1加算部87は、これに第5信号Pが入力されている場合、第2信号Pに第5信号Pを加算し(変更を反映し)、この加算後(変更反映後)の第2信号Pを第1駆動信号Pとして出力する。
【0132】
第2加算部88は、これに入力される第2信号Nをそのまま第2駆動信号Nとして出力する。但し、第2加算部88は、これに第5信号Nが入力されている場合、第2信号Nに第5信号Nを加算し(変更を反映し)、この加算後(変更反映後)の第2信号Nを第2駆動信号Nとして出力する。
【0133】
次に、MEMS駆動部108がミラー部2を第2軸X周りに揺動させる処理について説明する。
【0134】
図12は、MEMS駆動部108がミラー部2を第2軸X周りに揺動させる処理のシーケンス図である。図13は映像pの縦幅を縮小する場合の各信号例(タイムチャート)である。
【0135】
まず、図8(a)に示す縦幅H1の映像pを描画する際に、MEMS駆動部108がミラー部2を第2軸X周りに揺動させる処理について説明する。
【0136】
以下、前提として、図12に示すように、波形生成部81が出力した波形データ(図13(a)参照)がタイミング判定部83及び振幅制御部84に入力されているものとする(ステップS1、S2)。また、計算部82が出力した振幅h1を表す振幅データ(図13(b)参照)がタイミング判定部83に入力されているものとする(ステップS3)。
【0137】
まず、タイミング判定部83は、これに振幅h1を表す振幅データが入力されると(ステップS3)、振幅データが表す振幅h1と同じ振幅を表す第1信号P(図13(c)参照)及び第1信号N(図13(d)参照)を出力する(ステップS4)。タイミング判定部83が出力した第1信号P及び第1信号Nは、振幅制御部84に入力される(ステップS4)。
【0138】
次に、振幅制御部84は、これに第1信号P及び第1信号Nが入力されると(ステップS4)、第2信号P(図13(e)参照)及び第2信号N(図13(f)参照)を生成し(ステップS5)、この生成した第2信号P及び第2信号Nを出力する(ステップS6、S7)。第2信号Pは、波形データ(図13(a)参照)の振幅を、第1信号Pが表す振幅h1と同じ振幅に調整することにより生成される。同様に、第2信号Nは、波形データ(図13(a)参照)の位相を逆にした(180度逆にした)波形データの振幅を、第1信号Nが表す振幅h1と同じ振幅に調整することにより生成される。振幅制御部84が出力した第2信号Pは、第1加算部87に入力される(ステップS6)。一方、振幅制御部84が出力した第2信号Nは、第2加算部88に入力される(ステップS7)。
【0139】
第1加算部87は、これに第2信号Pが入力されると(ステップS6)、第2信号Pをそのまま出力する(ステップS8)。第1加算部87が出力した第2信号Pは、MEMS駆動部108に入力される(ステップS8)。
【0140】
一方、第2加算部88は、これに第2信号Nが入力されると(ステップS7)、第2信号Nをそのまま出力する(ステップS9)。第2加算部88が出力した第2信号Nは、MEMS駆動部108に入力される(ステップS9)。
【0141】
MEMS駆動部108は、これに振幅h1の第2信号Pが入力されると(ステップS8)、この振幅h1の第2信号PをD/A変換し(さらに増幅し)、第3駆動電圧Vx1(第1駆動信号P)として光偏向器1に印加する(ステップS11)。また、MEMS駆動部は、これに振幅h1の第2信号Nが入力されると(ステップS9)、この振幅h1の第2信号NをD/A変換し(さらに増幅し)、第4駆動電圧Vx2(第2駆動信号N)として光偏向器1に印加する(ステップS12)。
【0142】
これにより、ミラー部2が第2軸Xを中心に振幅データが表す振幅h1に応じた範囲内で揺動する。これにより、図8(a)に示す縦幅H1の映像pが描画される。
【0143】
次に、本発明者らが見出した課題について説明する。
【0144】
図14図15は、本発明者らが見出した課題について説明するための図である。
【0145】
スクリーン部材20に描画される映像の縦幅は、駆動信号(例えば、第2信号P及び第2信号N)の振幅を変更することにより、例えば図8に示すように変更することができる。また、スクリーン部材20に描画される映像のオフセット量は、第2信号P(及び第2信号N)に第5信号P(及び第5信号N)を加算又は減算することにより、例えば図9に示すように変更することができる。
【0146】
光偏向器1は複数の固有振動モードを有し、光偏向器1に固有振動数に近い周波数成分を含む信号を印加した場合、共振現象が発生する。共振現象は小さい印加電圧で大きな光偏向器1(ミラー部2)の変位を生むため、光偏向器1に印加する駆動信号(駆動電圧)は制御されていない共振(異常振動)を誘導しないような信号である必要がある。
【0147】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、オフセット(又は振幅)を変更する旨の指示が入力されたタイミングでオフセット(又は振幅)の変更を反映した場合、変更の前後において駆動信号(駆動電圧)の波形が乱れてしまい(図14参照)、当該波形が乱れた駆動信号(駆動電圧)のエッジに含まれる不要な周波数成分(意図しない周波数成分)によって光偏向器1に異常振動が発生し、これに起因して、光偏向器1が走査する光により描画される映像pに縞模様(図15参照)が出現してしまうとういう課題を見出した。
【0148】
次に、光偏向器1に異常振動が発生するのを抑制しつつ、スクリーン部材20に描画される映像の縦幅を変更する処理について説明する。
【0149】
図16は、光偏向器1に異常振動が発生するのを抑制しつつ、スクリーン部材20に描画される映像の縦幅を変更する処理のシーケンス図である。
【0150】
以下、スクリーン部材20に描画される映像の縦幅を変更する処理として、図8(a)に示す映像pの縦幅H1を、図8(b)に示す映像pの縦幅H2に変更(縮小)する処理について説明する。
【0151】
以下、前提として、図12に示すステップS1~S12の処理が実行されることにより、図8(a)に示す縦幅H1の映像pがスクリーン部材20に描画されているものとする。
【0152】
まず、タイミング判定部83は、これに現在入力されている振幅h1を表す振幅データと異なる振幅h2を表す振幅データ(図13(b)参照)が入力されると(ステップS20)、第2信号P(図13(e)参照)について電圧が最も小さくなるタイミングか否かを判定する(ステップS21)。現在入力されている振幅h1を表す振幅データと異なる振幅h2を表す振幅データは、例えば、ユーザが所定操作を行うことにより入力される。この現在入力されている振幅h1を表す振幅データと異なる振幅h2を表す振幅データが本発明の振幅を変更する旨の指示の一例である。
【0153】
タイミング判定部83は、第2信号Pについて電圧が最も小さくなるタイミング(図13(e)中、符号P1参照)が到来するまで待機する(ステップS21:NO)。このようなタイミングは波形データでの電圧が最も小さくなるタイミングと一致しているため、波形データより求めることができる。
【0154】
タイミング判定部83は、第2信号Pについて電圧が最も小さくなるタイミング(図13(e)中、符号P1参照)であると判定すると(ステップS21:YES)、振幅データが表す振幅h2と同じ振幅を表す第1信号P(図13(c)参照)を出力する(ステップS22)。タイミング判定部83が出力した第1信号Pは、振幅制御部84に入力される(ステップS22)。
【0155】
また、タイミング判定部83は、第2信号N(図13(f)参照)について電圧が最も小さくなるタイミングか否かを判定する(ステップS23)。タイミング判定部83は、第2信号N(図13(f)参照)について電圧が最も小さくなるタイミング(図13(f)中、符号P2参照)が到来するまで待機する(ステップS23:NO)。第2信号Nは波形データと逆位相の波形であるため、このようなタイミングは波形データでの電圧が最も大きくなるタイミングと一致しており、波形データより求めることができる。
【0156】
タイミング判定部83は、第2信号Nについて電圧が最も小さくなるタイミング(図13(f)中、符号P2参照)であると判定すると(ステップS23:YES)、振幅データが表す振幅h2と同じ振幅を表す第1信号N(図13(d)参照)を出力する(ステップS24)。タイミング判定部83が出力した第1信号Nは、振幅制御部84に入力される。
【0157】
次に、振幅制御部84は、これに第1信号Pが入力されると(ステップS22)、振幅h2の第2信号P(図13(e)参照)を生成し(ステップS25)、この生成した振幅h2の第2信号Pを出力する(ステップS26)。振幅h2の第2信号Pは、波形データ(図13(a)参照)の振幅を、第1信号Pが表す振幅h2と同じ振幅に調整することにより生成される。ステップS25が本発明の変更反映部の一例である。振幅制御部84が出力した第2信号Pは、第1加算部87に入力される(ステップS26)。
【0158】
また、振幅制御部84は、これに第1信号Nが入力されると(ステップS24)、振幅h2の第2信号N(図13(f)参照)を生成し(ステップS27)、この生成した振幅h2の第2信号Nを出力する(ステップS28)。振幅h2の第2信号Nは、波形データ(図13(a)参照)の位相を逆にした(180度逆にした)波形データの振幅を、第1信号Nが表す振幅h2と同じ振幅に調整することにより生成される。ステップS27が本発明の変更反映部の一例である。振幅制御部84が出力した振幅h2の第2信号Nは、第2加算部88に入力される(ステップS28)。
【0159】
第1加算部87は、これに第2信号Pが入力されると(ステップS26)、第2信号Pをそのまま出力する(ステップS29)。第1加算部87が出力した第2信号Pは、MEMS駆動部108に入力される(ステップS29)。
【0160】
一方、第2加算部88は、これに第2信号Nが入力されると(ステップS28)、第2信号Nをそのまま出力する(ステップS30)。第2加算部88が出力した第2信号Nは、MEMS駆動部108に入力される(ステップS30)。
【0161】
MEMS駆動部108は、これに振幅h2の第2信号Pが入力されると(ステップS29)、この振幅h2の第2信号PをD/A変換し(さらに増幅し)、第3駆動電圧Vx1(第1駆動信号P)として光偏向器1に印加する(ステップS31)。また、MEMS駆動部は、これに振幅h2の第2信号Nが入力されると(ステップS30)、この振幅h2の第2信号NをD/A変換し(さらに増幅し)、第4駆動電圧Vx2(第2駆動信号N)として光偏向器1に印加する(ステップS32)。
【0162】
これにより、ミラー部2が第2軸Xを中心に振幅データが表す振幅h2に応じた範囲内で揺動する。これにより、図8(b)に示す縦幅H2の映像pが描画される。
【0163】
以上のように、振幅を変更する旨の指示が入力されたタイミング(ステップS20)で振幅の変更を反映するのではなく、変更対象の駆動信号(第2信号P、第2信号N)について電圧が最も小さくなるタイミングと判定された場合(ステップS21:YES、ステップS23:YES)、変更対象の駆動信号に対して変更を反映する(ステップS25、S27)。振幅を変更する旨の指示が入力されたタイミングから、変更対象の駆動信号(第2信号P、第2信号N)について電圧が最も小さくなるタイミングまでの間は変更前のふり幅を維持して駆動される。
【0164】
これにより、振幅の変更を反映した場合であっても、光偏向器1に異常振動が発生するのを抑制することができる(その結果、光偏向器が走査する光により描画される映像に縞模様が出現するのを抑制することができる)。
【0165】
以上、図13に示す各信号を用いることにより、図8(a)に示す映像pの縦幅H1を、図8(b)に示す映像pの縦幅H2に変更(縮小)する処理について説明したが、これに限らない。例えば、図20に示す各信号を用いることにより、図8(a)に示す映像pの縦幅H1を、図8(c)に示す映像pの縦幅H3に変更(拡大)することができる。図20は、映像pの縦幅を拡大する場合の各信号例(タイムチャート)である。
【0166】
次に、光偏向器1に異常振動が発生するのを抑制しつつ、スクリーン部材20に描画される映像のオフセット量を変更する処理について説明する。
【0167】
図17は、光偏向器1に異常振動が発生するのを抑制しつつ、スクリーン部材20に描画される映像のオフセット量を変更する処理のシーケンス図である。図18は、映像pを上方にオフセットする場合の各信号例(タイムチャート)である。
【0168】
以下、スクリーン部材20に描画される映像のオフセット量を変更する処理として、図9(a)に示す映像pを、図9(b)に示すように上方にオフセットする処理について説明する。
【0169】
以下、前提として、図17に示すステップS1~S12の処理が実行されることにより、図9(a)に示す映像pがスクリーン部材20に描画されているものとする。なお、図17に示すステップS1~S12は、図12に示すステップS1~S12と同様である。
【0170】
まず、オフセット分割部85は、これに現在入力されているオフセット量を表すオフセットデータと異なるオフセット量を表すオフセットレベルデータ(図18(a)参照)及び時間データ(図18(b)、図18(c)参照)が入力されると(ステップS40)、第3信号N(図18(e)参照)を出力する(ステップS41)。現在入力されているオフセット量を表すオフセットデータと異なるオフセット量を表すオフセットレベルデータは、例えば、ユーザが所定操作を行うことにより入力される。この現在入力されているオフセット量を表すオフセットデータと異なるオフセット量を表すオフセットレベルデータが本発明のオフセットを変更する旨の指示の一例である。第3信号Nは、オフセットレベルデータが表すオフセット量offset/立ち下がり時間t1を表す。オフセット分割部85が出力する第3信号Nは、タイミング判定部83に入力される(ステップS41)。
【0171】
タイミング判定部83は、これに第3信号Nが入力されると、第2信号N(図18(l)参照)について電圧が最も小さくなるタイミングか否かを判定する(ステップS42)。タイミング判定部83は、第2信号Nについて電圧が最も小さくなるタイミング(図18(l)中、符号P3参照)が到来するまで待機する(ステップS42:NO)。
【0172】
タイミング判定部83は、第2信号Nについて電圧が最も小さくなるタイミング(図18(l)中、符号P3参照)であると判定すると(ステップS42:YES)、第4信号N(図18(g)参照)を出力する(ステップS43)。第4信号Nは、オフセット量offset/立ち下がり時間t1ごとに立ち上がる連続パルスである。タイミング判定部83が出力する第4信号Nは、オフセットレベル制御部86に入力される。
【0173】
オフセットレベル制御部86は、分割された時間(オフセット量offset/立ち下がり時間t1)が経過するごとに(ステップS44:YES)、すなわち、第4信号Nが立ち上がるタイミング(図18(g)参照)ごとに、当該オフセットレベル制御部86が出力する第5信号Nが表す数値を所定量(例えば、1)ずつカウントアップする(ステップS45)。
【0174】
オフセットレベル制御部86は、カウントアップがoffsetに達するまで(ステップS47:YES)ステップS44~S46の処理を繰り返し実行する(ステップS47:NO)。その結果、図19に示すように、第5信号Nは、分割された時間(オフセット量offset/立ち下がり時間t1)が経過するごとに、所定量ずつカウントアップされる階段状の信号となる。オフセットレベル制御部86が出力した第5信号Nは、第2加算部88に入力される。
【0175】
第2加算部88は、これに第5信号Nが入力されると(ステップS46)、第2信号Nに第5信号Nを加算し(変更を反映し。ステップS48)、この加算後(変更反映後)の第2信号Nを第2駆動信号Nとして出力する(ステップS9)。その際、第2加算部88に入力される第5信号Nは、分割された時間(オフセット量offset/立ち下がり時間t1)が経過するごとに、所定量ずつカウントアップされる階段状の信号であるため(図19参照)、変更対象の駆動信号(第2信号N)に対して段階的に(徐々に)変更が反映される。ステップS48が本発明の変更反映部の一例である。第2加算部88が出力した第2信号Nは、MEMS駆動部108に入力される(ステップS9)。
【0176】
MEMS駆動部108は、これに変更が反映された第2信号Nが入力されると(ステップS9)、この変更が反映された第2信号NをD/A変換し(さらに増幅し)、第4駆動電圧Vx2(第2駆動信号N)として光偏向器1に印加する(ステップS12)。また、MEMS駆動部108は、これに第2信号Pが入力されると(ステップS8)、この第2信号PをD/A変換し(さらに増幅し)、第3駆動電圧Vx1(第1駆動信号P)として光偏向器1に印加する(ステップS11)。
【0177】
これにより、図9(a)に示す映像pを、図9(b)に示すように上方にオフセットすることができる。
【0178】
以上のように、オフセットを変更する旨の指示が入力されたタイミング(ステップS40)でオフセットの変更を反映するのではなく、変更対象の駆動信号(例えば、第2信号N)について電圧が最も小さくなるタイミングと判定された場合(ステップS42:YES)、変更対象の駆動信号に対して段階的に(徐々に)変更を反映する(ステップS43~S47)。
【0179】
これにより、オフセットの変更を反映した場合であっても、光偏向器1に異常振動が発生するのを抑制することができる(その結果、光偏向器が走査する光により描画される映像に縞模様が出現するのを抑制することができる)。
【0180】
以上、図18に示す各信号を用いることにより、図9(a)に示す映像pを、図9(b)に示すように上方にオフセットする処理について説明したが、これに限らない。例えば、図21に示す各信号を用いることにより、図9(a)に示す映像pを、図9(c)に示すように下方にオフセットすることができる。図21は、映像pを下方にオフセットする場合の各信号例(タイムチャート)である。
【0181】
以上説明したように、本実施形態によれば、オフセット(又は振幅)の変更を反映した場合であっても、光偏向器1に異常振動が発生するのを抑制することができる(その結果、光偏向器が走査する光により描画される映像に縞模様が出現するのを抑制することができる)。
【0182】
これは、オフセット(又は振幅)を変更する旨の指示が入力されたタイミングでオフセット(又は振幅)の変更を反映するのではなく、変更対象の駆動信号について電圧が最も小さくなるタイミングと判定された場合、変更対象の駆動信号に対して変更を反映することにより、光偏光器1の異常振動の原因となる不要な周波数成分(意図しない周波数成分)を除去することができることによるものである。
【0183】
次に変形例について説明する。
【0184】
図22は、第5信号の変形例について説明する図である。
【0185】
上記実施形態では、ステップS44~S47の処理(オフセットの変更を反映する処理)を1周期の間に実行する例について説明したが、これに限らない。例えば、図22に示すように、ステップS44~S47の処理(オフセットの変更を反映する処理)を複数周期の間に実行してもよい。
【0186】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0187】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0188】
1…光偏向器、2…ミラー部、2a…反射面、2b…反射面支持体、4…第1支持部、6…第2支持部、10…光偏向器駆動システム、12…光源、14…集光レンズ、18…補正ミラー、20…スクリーン部材、21、22…トーションバー、23…投影レンズ、31…第1圧電アクチュエータ、31A…第1圧電カンチレバー、32…第1圧電アクチュエータ、32A…第1圧電カンチレバー、51…第2圧電アクチュエータ、51A
…第2圧電カンチレバー、51B…第2圧電カンチレバー、51C…第2圧電カンチレバー、51D…第2圧電カンチレバー、52…第2圧電アクチュエータ、52A…第2圧電カンチレバー、52B…第2圧電カンチレバー、52C…第2圧電カンチレバー、52D…第2圧電カンチレバー、61a…下部電極パッド、61b…第1上部電極パッド、61c…奇数用第2上部電極パッド、61d…偶数用第2上部電極パッド、61e…第1検知用電極パッド、62a…下部電極パッド、62b…第1上部電極パッド、62c…奇数用第2上部電極パッド、62d…偶数用第2上部電極パッド、62e…第2検知用電極パッド、71x…第2検知部、71y…第1検知部、72x…第2検知部、72y…第1検知部、81…波形生成部、82…計算部、83…タイミング判定部、84…振幅制御部、85…オフセット分割部、86…オフセットレベル制御部、87…第1加算部、88…第2加算部、102…映像信号入力部、104…映像信号蓄積部、108…MEMS駆動部、110…センサ信号入力部、114…光源駆動部、116…映像信号処理部、B…支持体、Fx…第2周波数、Fy…第1周波数、H1~H3…縦幅、L1…下部電極、L2…圧電体、L3…上部電極、M1…層間絶縁膜、M2…パッシベーション膜
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