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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
H01F27/29 125
H01F27/29 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021092246
(22)【出願日】2021-06-01
(65)【公開番号】P2022184413
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】吉野 花子
(72)【発明者】
【氏名】東田 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】占部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】荒澤 崇
(72)【発明者】
【氏名】浅井 雄悟
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-199840(JP,A)
【文献】特開2020-057706(JP,A)
【文献】国際公開第2015/045955(WO,A1)
【文献】特開2016-149490(JP,A)
【文献】特開2000-195753(JP,A)
【文献】実開平05-087911(JP,U)
【文献】特開2005-251970(JP,A)
【文献】実開昭51-115547(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向を軸方向とする巻芯部と、前記巻芯部の前記第1の方向における一端に位置する第1の鍔部と、前記巻芯部の前記第1の方向における他端に位置する第2の鍔部とを有するドラム型コアと、
前記第1及び第2の鍔部にそれぞれ固定された第1及び第2の端子金具と、
前記巻芯部に巻回され、一端が前記第1の端子金具に継線され、他端が前記第2の端子金具に継線されたワイヤと、を備え、
前記第1及び第2の鍔部は、前記第1の方向及び前記第1の方向と直交する第2の方向に延在する第1の表面を有し、
前記第1及び第2の端子金具は、前記ワイヤが継線される継線部と、前記ドラム型コアに対してバネ性を有する実装部とを有し、
前記継線部及び前記実装部は、前記第1及び第2の方向と直交する第3の方向から見ていずれも前記第1の表面と重なり、
前記継線部は、前記第1及び第2の方向に延在し、前記第1の表面と同方向を向く第2の表面を有し、
前記実装部は、前記第1及び第2の方向に延在し、前記第1の表面と同方向を向く第3の表面を有し、
前記第1の表面と前記第3の表面の距離は、前記第1の表面と前記第2の表面の距離よりも離れており、
前記第1の表面のうち、前記第3の方向から見て前記継線部と重なる部分と前記実装部と重なる部分は、互いに同一平面を構成し、
前記実装部と前記第1の表面は互いに接することなく、前記第3の方向にギャップが形成され、
前記実装部は、第1及び第2の実装部を含み、
前記継線部は、前記第3の方向から見て、前記第1の実装部と前記第2の実装部によって前記第2の方向に挟まれるよう、前記第1の実装部と前記第2の実装部の間に位置することを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
前記実装部は、前記第1の表面と前記第3の表面の間に位置する折り返し部を有することを特徴とする請求項に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記実装部は、前記第1の表面との距離が局所的に近くなるよう折り曲げられた折り曲げ部を有することを特徴とする請求項に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記ワイヤは、前記継線部の前記第2の表面に継線されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記ワイヤは、前記継線部の前記第2の表面とは異なる部分に継線されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関し、特に、ドラム型コアの鍔部に端子金具が固定された構造を有するコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドラム型コアの鍔部に端子金具が固定された構造を有するコイル部品が開示されている。特許文献1において用いる端子金具はL字型形状を有し、鍔部の実装面を覆う部分にワイヤが継線される。しかしながら、特許文献1に記載されたコイル部品を基板に実装すると、ワイヤの端部と基板が干渉するという問題があった。
【0003】
一方、特許文献2には、鍔部に段差を設けることによって、ワイヤの端部と基板の干渉が防止されたコイル部品が開示されている。しかしながら、ワイヤの端部と基板の干渉を確実に防止するためには、鍔部に大きな段差を設ける必要があるため、ドラム型コアの形状が複雑化するだけでなく、ドラム型コアのボリュームが減少するという問題もあった。
【0004】
これに対し、特許文献3に記載されたコイル部品は、端子金具の実装部をドラム型コアの鍔部から浮かせることによってワイヤの端部と基板の干渉を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-006438号公報
【文献】特開2017-199841号公報
【文献】特許6065122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載されたコイル部品は、端子金具の継線部がドラム型コアの幅方向における外側に突出していることから、実装面積が大きくなってしまうばかりでなく、継線部に外力が加わりやすいため破損しやすいという問題があった。
【0007】
したがって、本発明は、ドラム型コアを複雑な形状とすることなく、且つ、端子金具に突出部を設けることなく、ワイヤの端部と基板の干渉が防止されたコイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるコイル部品は、第1の方向を軸方向とする巻芯部、巻芯部の第1の方向における一端に位置する第1の鍔部及び巻芯部の第1の方向における他端に位置する第2の鍔部を有するドラム型コアと、第1及び第2の鍔部にそれぞれ固定された第1及び第2の端子金具と、巻芯部に巻回され、一端が第1の端子金具に継線され、他端が第2の端子金具に継線されたワイヤとを備え、第1及び第2の鍔部は、第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向に延在する第1の表面を有し、第1及び第2の端子金具は、ワイヤが継線される継線部と、ドラム型コアに対してバネ性を有する実装部とを有し、継線部及び実装部は、第1及び第2の方向と直交する第3の方向から見ていずれも第1の表面と重なり、継線部は、第1及び第2の方向に延在し、第1の表面と同方向を向く第2の表面を有し、実装部は、第1及び第2の方向に延在し、第1の表面と同方向を向く第3の表面を有し、第1の表面と第3の表面の距離は、第1の表面と第2の表面の距離よりも離れていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ドラム型コアを複雑な形状とすることなく、且つ、端子金具に突出部を設けることなく、ワイヤの端部と基板の干渉を防止することが可能となる。しかも、実装部がバネ性を有していることから、ドラム型コアと基板の熱膨張係数の差によってハンダに応力が加わっても、バネ性を有する実装部によって応力が緩和されることから、ハンダにクラックが生じにくくなる。
【0010】
本発明において、第1の表面のうち、第3の方向から見て継線部と重なる部分と実装部と重なる部分は、互いに同一平面を構成しても構わない。これによれば、ドラム型コアの形状がよりシンプルになるとともに、ドラム型コアのボリュームを十分に確保することが可能となる。
【0011】
本発明において、実装部と第1の表面は互いに接することなく、第3の方向にギャップが形成されていても構わない。これによれば、高いバネ性を得ることが可能となる。
【0012】
本発明において、実装部は第1及び第2の実装部を含み、継線部は、第1の実装部と第2の実装部の間に位置していても構わない。これによれば、実装強度がより高められる。
【0013】
本発明において、実装部は、第1の表面と第3の表面の間に位置する折り返し部を有していても構わないし、第1の表面との距離が局所的に近くなるよう折り曲げられた折り曲げ部を有していても構わない。これらによれば、コイル部品を基板に実装した後、第3の方向への外力が加わった場合であっても、ドラム型コアが破損しにくくなる。
【0014】
本発明において、ワイヤは、継線部の第2の表面に継線されていても構わないし、継線部の第2の表面とは異なる部分に継線されていても構わない。前者によればワイヤの継線作業が容易となり、後者によればワイヤの端部と基板がより干渉しにくくなる。
【発明の効果】
【0015】
このように、本発明によれば、ドラム型コアを複雑な形状とすることなく、且つ、端子金具に突出部を設けることなく、ワイヤの端部と基板の干渉が防止されたコイル部品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の第1の実施形態によるコイル部品1の外観を示す略斜視図である。
図2図2は、コイル部品1の略分解斜視図である。
図3図3は端子金具30Aの形状を説明するための図であり、(a)は略斜視図、(b)はyz正面図、(c)はxz側面図である。
図4図4は、コイル部品1を基板6に実装した状態を示す略斜視図である。
図5図5は、本発明の第2の実施形態によるコイル部品2の外観を示す略斜視図である。
図6図6は端子金具50Aの形状を説明するための図であり、(a)は略斜視図、(b)はyz正面図、(c)はxz側面図である。
図7図7は、コイル部品2を基板6に実装した状態を示す略斜視図である。
図8図8は、本発明の第3の実施形態によるコイル部品3の外観を示す略斜視図である。
図9図9は、端子金具30Bの形状を説明するための部分的な略斜視図である。
図10図10は、本発明の第4の実施形態によるコイル部品4の外観を示す略斜視図である。
図11図11は、端子金具50Bの形状を説明するための部分的な略斜視図である。
図12図12は、本発明の第5の実施形態によるコイル部品5の主要部の構成を示す部分的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0018】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態によるコイル部品1の外観を示す略斜視図である。また、図2は、コイル部品1の略分解斜視図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、第1の実施形態によるコイル部品1は、ドラム型コア10と、板状コア20と、ドラム型コア10の第1の鍔部11に固定された端子金具30Aと、ドラム型コア10の第2の鍔部12に固定された端子金具40Aと、ドラム型コア10の巻芯部13に巻回されたワイヤWとを備えている。ワイヤWの一端は端子金具30Aに継線され、ワイヤWの他端は端子金具40Aに継線されている。ドラム型コア10の巻芯部13はx方向を軸方向としており、軸方向における一方の端部に鍔部11が設けられ、軸方向における他方の端部に鍔部12が設けられている。ドラム型コア10は、Ni-Zn系フェライトなど透磁率の高い磁性材料によって構成される。板状コア20は、ドラム型コア10と同様、Ni-Zn系フェライトなど透磁率の高い磁性材料によって構成され、接着剤などを用いて鍔部11,12に固定されることにより、ループ状の閉磁路を形成する。本発明において、板状コア20を用いることは必須でないが、板状コア20を用いることによりインダクタンスを大幅に高めることが可能となる。
【0020】
図3は端子金具30Aの形状を説明するための図であり、(a)は略斜視図、(b)はyz正面図、(c)はxz側面図である。図示しないが、端子金具40Aについても同じ形状を有している。
【0021】
端子金具30Aは銅などの良導体からなる金属部品であり、図3に示すように、継線部31、実装部32及び継線部31と実装部32を繋ぐ接続部33を有している。端子金具40Aについても、継線部41、実装部42及び接続部43を有している。継線部31はワイヤWの端部が継線される部分であり、実装部32はコイル部品1を基板に実装する際にランドパターンに接続される部分である。接続部33はyz面を主面とする板状体であり、図1に示すように、yz面を構成する鍔部11の外側面を覆う。継線部31及び実装部32は、接続部33の端部がx方向に折り曲げられた部分であり、それぞれxy面を構成する表面S2,S3を有している。表面S2と表面S3は、z方向に高さHだけ離れている。表面S2はワイヤWの端部が継線される面であり、表面S3は基板のランドパターンと向かい合う面であり、いずれも鍔部11の表面S1と同方向を向いている。
【0022】
鍔部11に対する端子金具30Aの固定は、xy面を構成する鍔部11の表面S1に塗布した接着剤などによって行うことができる。端子金具30Aを鍔部11に固定すると、継線部31及び実装部32はz方向から見て鍔部11と重なり、接続部33はx方向から見て鍔部11と重なる。端子金具30Aのy方向における幅は、鍔部11のy方向における幅よりも狭く、これにより端子金具30Aは、鍔部11からy方向に突出する部分を有さない。そして、継線部31は接着剤などを介して鍔部11の表面S1に直接固定される一方、実装部32は鍔部11の表面S1と接しておらず、実装部32と鍔部11の表面S1の間にはz方向のギャップが形成される。これにより、実装部32はドラム型コア10に対してバネ性を持つことになる。
【0023】
図4は、本実施形態によるコイル部品1を基板6に実装した状態を示す略斜視図である。
【0024】
図4に示すように、本実施形態によるコイル部品1を基板6に実装する場合、基板6の表面に形成されたランドパターンP1と端子金具30Aの実装部32の表面S3が向かい合い、基板6の表面に形成されたランドパターンP2と端子金具40Aの実装部42の表面S3が向かい合うよう、コイル部品1が搭載される。ランドパターンP1,P2と実装部32,42は、ハンダ7を介して電気的及び機械的に接続される。ここで、鍔部11,12の表面S1と実装部32,42の表面S3のz方向における距離は、鍔部11,12の表面S1と継線部31,41の表面S2のz方向における距離よりも高さHだけ離れていることから、コイル部品1を基板6に実装すると、基板6と継線部31,41の表面S2の間には、高さHに対応するギャップが形成される。このため、継線部31,41の表面S2に継線されたワイヤWの端部が基板6と干渉することがない。
【0025】
しかも、実装部32,42は鍔部11,12の表面S1に直接固定されておらず、これによりバネ性を有していることから、コイル部品1を基板6に実装した後、温度変化が生じても、ハンダ7に加わる応力が実装部32,42のバネ性によって緩和される。このため、コイル部品1の実装信頼性が高められる。また、鍔部11,12の表面S1は、段差が設けられることなく平坦面であり、z方向から見て継線部31,41と重なる部分と実装部32,42と重なる部分が互いに同一平面を構成することから、ドラム型コア10の形状がよりシンプルになるとともに、ドラム型コア10のボリュームも十分に確保される。さらに、継線部31,41と重なる部分にランドパターンを設ける必要がないことから、ランドパターンによって生じる浮遊容量成分も低減する。
【0026】
<第2の実施形態>
図5は、本発明の第2の実施形態によるコイル部品2の外観を示す略斜視図である。
【0027】
図5に示すように、第2の実施形態によるコイル部品2は、端子金具30A,40Aの代わりに端子金具50A,60Aが用いられている点において、第1の実施形態によるコイル部品1と相違している。その他の基本的な構成は第1の実施形態によるコイル部品1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0028】
図6は端子金具50Aの形状を説明するための図であり、(a)は略斜視図、(b)はyz正面図、(c)はxz側面図である。図示しないが、端子金具60Aについても同じ形状を有している。
【0029】
図6に示すように、端子金具50Aは、継線部51、実装部52,53及び継線部51と実装部52,53を繋ぐ接続部54を有している。継線部51は、実装部52と実装部53の間に位置する。端子金具60Aについても、継線部61、実装部62,63及び継線部61と実装部62,63を繋ぐ接続部64を有している。継線部51はワイヤWの端部が継線される部分であり、実装部52,53はコイル部品2を基板に実装する際にランドパターンに接続される部分である。接続部54はyz面を主面とする板状体であり、図5に示すように、yz面を構成する鍔部11の外側面を覆う。継線部51及び実装部52,53は、接続部54の端部がx方向に折り曲げられた部分であり、それぞれxy面を構成する表面S2,S3を有している。表面S2と表面S3は、z方向に高さHだけ離れている。表面S2はワイヤWの端部が継線される面であり、表面S3は基板のランドパターンと向かい合う面である。
【0030】
鍔部11に対する端子金具50Aの固定は、xy面を構成する鍔部11の表面S1に塗布した接着剤などによって行うことができる。端子金具50Aを鍔部11に固定すると、継線部51及び実装部52,53はz方向から見て鍔部11と重なり、接続部54はx方向から見て鍔部11と重なる。端子金具50Aのy方向における幅は、鍔部11のy方向における幅よりも狭く、これにより端子金具50Aは、鍔部11からy方向に突出する部分を有さない。そして、継線部51は接着剤などを介して鍔部11の表面S1に直接固定される一方、実装部52,53は鍔部11の表面S1と接しておらず、実装部52,53と鍔部11の表面S1の間にはz方向のギャップが形成される。これにより、実装部52,53はドラム型コア10に対してバネ性を持つことになる。
【0031】
図7は、本実施形態によるコイル部品2を基板6に実装した状態を示す略斜視図である。
【0032】
図7に示すように、本実施形態によるコイル部品2を基板6に実装する場合、基板6の表面に形成されたランドパターンP1と端子金具50Aの実装部52,53の表面S3が向かい合い、基板6の表面に形成されたランドパターンP2と端子金具60Aの実装部62,63の表面S3が向かい合うよう、コイル部品2が搭載される。ランドパターンP1,P2と実装部52,53,62,63は、ハンダ7を介して電気的及び機械的に接続される。ランドパターンP1は、実装部52と向かい合う部分と実装部53と向かい合う部分に分かれていても構わない。同様に、ランドパターンP2は、実装部62と向かい合う部分と実装部63と向かい合う部分に分かれていても構わない。第1の実施形態と同様、鍔部11,12の表面S1と実装部52,53,62,63の表面S3のz方向における距離は、鍔部11,12の表面S1と継線部51,61の表面S2のz方向における距離よりも高さHだけ離れていることから、コイル部品2を基板6に実装すると、基板6と継線部51,61の表面S2の間には、高さHに対応するギャップが形成される。このため、継線部51,61の表面S2に継線されたワイヤWの端部が基板6と干渉することがない。
【0033】
しかも、実装部52,53,62,63は鍔部11,12の表面S1に直接固定されておらず、これによりバネ性を有していることから、コイル部品2を基板6に実装した後、温度変化が生じても、ハンダ7に加わる応力が実装部52,53,62,63のバネ性によって緩和される。このため、コイル部品2の実装信頼性が高められる。さらに、ランドパターンP1に2つの実装部52,53が接続され、ランドパターンP2に2つの実装部62,63が接続されることから、第1の実施形態よりも高い実装強度を得ることが可能となる。
【0034】
<第3の実施形態>
図8は、本発明の第3の実施形態によるコイル部品3の外観を示す略斜視図である。
【0035】
図8に示すように、第3の実施形態によるコイル部品3は、端子金具30A,40Aの代わりに端子金具30B,40Bが用いられている点において、第1の実施形態によるコイル部品1と相違している。その他の基本的な構成は第1の実施形態によるコイル部品1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0036】
図9は、端子金具30Bの形状を説明するための部分的な略斜視図である。
【0037】
図9に示すように、端子金具30Bは、実装部32が表面S1とS3の間に位置する折り返し部34を有している点において、上述した端子金具30Aと相違している。折り返し部34は、実装部32の先端を内側に180°折り曲げた部分であり、本実施形態においては鍔部11の表面S1と接していない。端子金具40Bについても、同様の折り返し部44を有している。
【0038】
このように、本実施形態によるコイル部品3は、端子金具30B,40Bが折り返し部34,44を有していることから、基板6に実装した後、コイル部品3にz方向の外力が加わると、折り返し部34,44が鍔部11,12の表面S1と接することにより、ドラム型コア10のz方向における変位が抑制される。これにより、外力によってドラム型コア10がz方向に大きく変位することによる破損が生じにくくなる。
【0039】
尚、本実施形態においては、端子金具30B,40Bの折り返し部34,44が鍔部11,12の表面S1と接していないが、折り返し部34,44を有する実装部32,42はそれ自体バネ性を有することから、両者が接していても構わない。
【0040】
<第4の実施形態>
図10は、本発明の第4の実施形態によるコイル部品4の外観を示す略斜視図である。
【0041】
図10に示すように、第4の実施形態によるコイル部品4は、端子金具50A,60Aの代わりに端子金具50B,60Bが用いられている点において、第2の実施形態によるコイル部品2と相違している。その他の基本的な構成は第2の実施形態によるコイル部品2と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0042】
図11は、端子金具50Bの形状を説明するための部分的な略斜視図である。
【0043】
図11に示すように、端子金具50Bは、実装部52,53の一部が鍔部11の表面S1に向けて折り曲げられた折り曲げ部55,56を有する点において、上述した端子金具50Aと相違している。これにより、実装部52,53は、折り曲げ部55,56において鍔部11の表面S1との距離が局所的に近くなっている。本実施形態においては、折り曲げ部55,56が鍔部11の表面S1とは接していない。端子金具60Bについても、同様の折り曲げ部65,66を有している。
【0044】
このように、本実施形態によるコイル部品4は、端子金具50B,60Bが折り曲げ部55,56,65,66を有していることから、基板6に実装した後、コイル部品4にz方向の外力が加わると、折り曲げ部55,56,65,66が鍔部11,12の表面S1と接することにより、ドラム型コア10のz方向における変位が抑制される。これにより、外力によってドラム型コア10がz方向に大きく変位することによる破損が生じにくくなる。
【0045】
尚、本実施形態においては、端子金具50B,60Bの折り曲げ部55,56,65,66が鍔部11,12の表面S1と接していないが、折り曲げ部55,56,65,66を有する実装部52,53,62,63はそれ自体バネ性を有することから、両者が接していても構わない。
【0046】
<第5の実施形態>
図12は、本発明の第5の実施形態によるコイル部品5の主要部の構成を示す部分的な側面図である。
【0047】
図12に示すように、第5の実施形態によるコイル部品5は、ワイヤWの一端が継線部31の表面S2に形成されておらず、ハンダなどの導電性部材70を介して継線部31の表面S4に継線されている。図示しないが、ワイヤWの他端についても同様である。その他の基本的な構成は第1の実施形態によるコイル部品1と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。継線部31の表面S4は、鍔部11の表面S1と向かい合うxy面であり、表面S1と表面S4の間に導電性部材70が設けられている。そして、この導電性部材70にワイヤWの端部が接続されている。このような構成によれば、コイル部品5を基板6に実装した場合に、ワイヤWと基板6の干渉がより生じにくくなる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0049】
1~5 コイル部品
6 基板
7 ハンダ
10 ドラム型コア
11,12 鍔部
13 巻芯部
20 板状コア
30A,30B,40A,40B,50A,50B,60A,60B 端子金具
31,41,51,61 継線部
32,42,52,53,62,63 実装部
33,43,54,64 接続部
34,44 折り返し部
55,56,65,66 折り曲げ部
70 導電性部材
P1,P2 ランドパターン
S1~S4 表面
W ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12