IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-電線と端子の接続構造 図1
  • 特許-電線と端子の接続構造 図2
  • 特許-電線と端子の接続構造 図3
  • 特許-電線と端子の接続構造 図4
  • 特許-電線と端子の接続構造 図5
  • 特許-電線と端子の接続構造 図6
  • 特許-電線と端子の接続構造 図7
  • 特許-電線と端子の接続構造 図8
  • 特許-電線と端子の接続構造 図9
  • 特許-電線と端子の接続構造 図10
  • 特許-電線と端子の接続構造 図11
  • 特許-電線と端子の接続構造 図12
  • 特許-電線と端子の接続構造 図13
  • 特許-電線と端子の接続構造 図14
  • 特許-電線と端子の接続構造 図15
  • 特許-電線と端子の接続構造 図16
  • 特許-電線と端子の接続構造 図17
  • 特許-電線と端子の接続構造 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電線と端子の接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20241210BHJP
   H01R 4/16 20060101ALN20241210BHJP
   H01R 31/08 20060101ALN20241210BHJP
   H01R 13/42 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
H01R13/24
H01R4/16
H01R31/08 P
H01R13/42 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021106625
(22)【出願日】2021-06-28
(65)【公開番号】P2022051503
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2020157048
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岡野 柊哉
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 一人
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-258086(JP,A)
【文献】特開2020-068125(JP,A)
【文献】特開2020-004521(JP,A)
【文献】特開昭54-034084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/00-4/22
H01R 12/00-12/91
H01R 13/193
H01R 13/24
H01R 13/42
H01R 13/48
H01R 24/00-24/86
H01R 31/06-31/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線と、
前記電線に電気的に接続される端子と、
を備え、
前記端子は、ベース板と、固定端を介して前記ベース板と一体に設けられ少なくとも1つの頂部を有し自由端が前記固定端から離間する方向に変形可能な変形板と、前記変形板の前記固定端と前記頂部との間及び前記頂部と前記自由端との間に前記変形板を貫通して設けられた複数の挿通孔とを有し、
前記電線には、前記固定端側から前記自由端側に向けて複数の前記挿通孔に挿通され、前記変形板の変形により前記変形板と接触し、前記端子と電気的に接続される電気接続部を有する中継端子が電気的に接続され、
前記変形板の自由端側には、複数の前記挿通孔を挿通した前記電気接続部と当接し、前記自由端を前記固定端から離間するように前記変形板を変形させる変形部が設けられている電線と端子の接続構造。
【請求項2】
前記端子が収容され、前記中継端子が挿入されるハウジングを備え、
前記ハウジングには、前記変形板が変形された状態で、前記中継端子に係合し、前記ハウジングに対する前記中継端子の配置位置を保持する係止ランスが設けられている請求項1に記載の電線と端子の接続構造。
【請求項3】
前記ハウジングには、前記変形板が変形し、前記変形板と前記電気接続部とが電気的に接続された状態で、組付可能となる検知部材が組付けられている請求項2に記載の電線と端子の接続構造。
【請求項4】
前記変形板の隣り合う前記挿通孔の間には、前記電気接続部に向けて突出する頂部を有するように屈曲された屈曲部が設けられ、
前記屈曲部の頂部は、前記変形板の変形により前記電気接続部に接触される請求項1から3のいずれか1項に記載の電線と端子の接続構造。
【請求項5】
複数の前記挿通孔の前記電気接続部に接触される縁部には、曲面で形成された曲面部が設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の電線と端子の接続構造。
【請求項6】
複数の前記挿通孔の前記電気接続部を挟んで前記屈曲部の頂部と対向する縁部には、曲面で形成された曲面部が設けられ、
前記曲面部は、前記変形板の変形により前記電気接続部に接触される請求項4に記載の電線と端子の接続構造。
【請求項7】
前記検知部材には、変形した前記変形板と当接し、前記変形板の変形した状態を保持する保持部が設けられている請求項3に記載の電線と端子の接続構造。
【請求項8】
前記変形板の自由端側は、前記電気接続部が乗り越えた状態で、前記電気接続部に接触される請求項1から7のいずれか1項に記載の電線と端子の接続構造。
【請求項9】
前記端子が収容され、前記中継端子が挿入されるハウジングを備え、
前記ハウジングには、前記電気接続部から離間するように形成された凹部が設けられ、
前記変形板の自由端側には、前記電気接続部に向けて突出する頂部を有するように屈曲された第1屈曲部と、前記第1屈曲部より前記固定端側に配置され前記第1屈曲部と連続し前記第1屈曲部の頂部と反対側に向けて突出する頂部を有するように屈曲された第2屈曲部とが設けられ、
前記第1屈曲部の頂部は、前記変形板の変形により前記電気接続部に接触され、
前記第2屈曲部の頂部は、前記変形板の変形により前記凹部に収容される請求項8に記載の電線と端子の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線と端子の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線と端子の接続構造としては、電線と、電線に電気的に接続される端子とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この電線と端子の接続構造では、端子に、ベース板の固定端としての折り返し部からベース板に向けて折り返された電線挿通孔を有する変形板としての弾性接続片が形成されている。
【0003】
この弾性接続片は、折り返し部から山状に相対向に傾斜して一対設けられている。この一対の弾性接続片は、山状の頂部を加圧することによって、折り返し部と反対側の自由端が、折り返し部から離間する方向に変形する。
【0004】
このような電線と端子の接続構造では、一対の弾性接続片の電線挿通孔に、折り返し部側から自由端側に向けて電線が挿通される。この状態で、山状の頂部を加圧することにより、一対の弾性接続片が変形し、電線が、ベース板と一対の弾性接続片とに接触して、電線と端子とが電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-9600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1のような電線と端子の接続構造では、変形板の複数の挿通孔に電線が挿通された状態で、変形板の頂部を加圧することによって、変形板を変形させ、電線と端子とを電気的に接続している。このため、上記特許文献1のような電線と端子の接続構造では、複数の挿通孔に電線を挿通する作業と、変形板を変形させる作業とが、別々に行われているので、作業工数が多く、組付性が低下していた。
【0007】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、組付性を向上することができる電線と端子の接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る電線と端子の接続構造は、電線と、前記電線に電気的に接続される端子と、を備え、前記端子は、ベース板と、固定端を介して前記ベース板と一体に設けられ少なくとも1つの頂部を有し自由端が前記固定端から離間する方向に変形可能な変形板と、前記変形板の前記固定端と前記頂部との間及び前記頂部と前記自由端との間に前記変形板を貫通して設けられた複数の挿通孔とを有し、前記電線には、前記固定端側から前記自由端側に向けて複数の前記挿通孔に挿通され、前記変形板の変形により前記変形板と接触し、前記端子と電気的に接続される電気接続部を有する中継端子が電気的に接続され、前記変形板の自由端側には、複数の前記挿通孔を挿通した前記電気接続部と当接し、前記自由端を前記固定端から離間するように前記変形板を変形させる変形部が設けられている。
【0009】
前記端子が収容され、前記中継端子が挿入されるハウジングを備え、前記ハウジングには、前記変形板が変形された状態で、前記中継端子に係合し、前記ハウジングに対する前記中継端子の配置位置を保持する係止ランスが設けられていることが好ましい。
【0010】
前記ハウジングには、前記変形板が変形し、前記変形板と前記電気接続部とが電気的に接続された状態で、組付可能となる検知部材が組付けられていることが好ましい。
【0011】
前記変形板の隣り合う前記挿通孔の間には、前記電気接続部に向けて突出する頂部を有するように屈曲された屈曲部が設けられ、前記屈曲部の頂部は、前記変形板の変形により前記電気接続部に接触されることが好ましい。
【0012】
複数の前記挿通孔の前記電気接続部に接触される縁部には、曲面で形成された曲面部が設けられていることが好ましい。
【0013】
複数の前記挿通孔の前記電気接続部を挟んで前記屈曲部の頂部と対向する縁部には、曲面で形成された曲面部が設けられ、前記曲面部は、前記変形板の変形により前記電気接続部に接触されることが好ましい。
【0014】
前記検知部材には、変形した前記変形板と当接し、前記変形板の変形した状態を保持する保持部が設けられていることが好ましい。
【0015】
前記変形板の自由端側は、前記電気接続部が乗り越えた状態で、前記電気接続部に接触されることが好ましい。
【0016】
前記端子が収容され、前記中継端子が挿入されるハウジングを備え、前記ハウジングには、前記電気接続部から離間するように形成された凹部が設けられ、前記変形板の自由端側には、前記電気接続部に向けて突出する頂部を有するように屈曲された第1屈曲部と、前記第1屈曲部より前記固定端側に配置され前記第1屈曲部と連続し前記第1屈曲部の頂部と反対側に向けて突出する頂部を有するように屈曲された第2屈曲部とが設けられ、前記第1屈曲部の頂部は、前記変形板の変形により前記電気接続部に接触され、前記第2屈曲部の頂部は、前記変形板の変形により前記凹部に収容されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、組付性を向上することができる電線と端子の接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る電線と端子の接続構造の変形板が変形する前の側面図である。
図2】第1実施形態に係る電線と端子の接続構造の変形板が変形した後の側面図である。
図3】第1実施形態に係る電線と端子の接続構造の端子の斜視図である。
図4】第1実施形態に係る電線と端子の接続構造の一部を断面とした斜視図である。
図5】第1実施形態に係る電線と端子の接続構造の要部拡大断面図である。
図6】第2実施形態に係る電線と端子の接続構造のハウジングに端子を収容するときの斜視図である。
図7】第2実施形態に係る電線と端子の接続構造の斜視図である。
図8図7の一部を断面とした図である。
図9】第2実施形態に係る電線と端子の接続構造の断面図である。
図10図9の要部拡大図である。
図11】第2実施形態に係る電線と端子の接続構造の中継端子が中途挿入状態であるときの断面図である。
図12図11の斜視図である。
図13】第3実施形態に係る電線と端子の接続構造の断面図である。
図14図13の要部拡大図である。
図15】第3実施形態に係る電線と端子の接続構造の中継端子が中途挿入状態であるときの断面図である。
図16】第4実施形態に係る電線と端子の接続構造の断面図である。
図17】第4実施形態に係る電線と端子の接続構造の中継端子を挿入しているときの要部拡大断面図である。
図18図16の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本実施形態に係る電線と端子の接続構造について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0020】
(第1実施形態)
図1図5を用いて第1実施形態について説明する。
【0021】
本実施形態に係る電線と端子の接続構造1は、電線3と、電線3に電気的に接続される端子5とを備えている。
【0022】
また、端子5は、ベース板7と、固定端9を介してベース板7と一体に設けられ少なくとも1つの頂部11を有し自由端13が固定端9から離間する方向に変形可能な変形板15とを有する。さらに、端子5は、変形板15の固定端9と頂部11との間及び頂部11と自由端13との間に変形板15を貫通して設けられた複数の挿通孔17を有する。
【0023】
また、電線3には、固定端9側から自由端13側に向けて複数の挿通孔17に挿通され、変形板15の変形により変形板15と接触し、端子5と電気的に接続される電気接続部19を有する中継端子21が電気的に接続されている。
【0024】
そして、変形板15の自由端13側には、複数の挿通孔17を挿通した電気接続部19と当接し、自由端13を固定端9から離間するように変形板15を変形させる変形部23が設けられている。
【0025】
また、本実施形態に係る電線と端子の接続構造1は、端子5が収容され、中継端子21が挿入されるハウジング25を備えている。そして、ハウジング25には、変形板15が変形された状態で、中継端子21に係合し、ハウジング25に対する中継端子21の配置位置を保持する係止ランス27が設けられている。
【0026】
さらに、ハウジング25には、変形板15が変形し、変形板15と電気接続部19とが電気的に接続された状態で、組付可能となる検知部材29が組付けられている。
【0027】
図1図5に示すように、電線と端子の接続構造1は、電線3と、中継端子21と、端子5と、ハウジング25と、検知部材29とを備えている。
【0028】
図1図2図4に示すように、電線3は、導電性材料からなる芯線と、芯線の外周を覆う絶縁被覆とを有する被覆電線からなる。なお、芯線は、複数の素線が撚られた撚り線や1本の単線であってもよい。この電線3の一端側は、例えば、機器や電源などに電気的に接続されている。このような電線3の他端側は、絶縁被覆が所定長さ剥がされ、芯線が露出される端末処理が施される。この電線3の芯線には、中継端子21が電気的に接続される。
【0029】
図1図2図4に示すように、中継端子21は、導電性材料からなり、電線接続部31と、電気接続部19とを備えている。電線接続部31は、被覆圧着部33と、芯線圧着部35とを備えている。
【0030】
被覆圧着部33は、一対の加締め片からなり、電線3の端末部において、電線3の絶縁被覆を加締める。この被覆圧着部33を電線3の絶縁被覆に加締めることにより、中継端子21が電線3に固定される。
【0031】
芯線圧着部35は、電気接続部19と被覆圧着部33との間に設けられた一対の加締め片からなり、電線3の端末部において、電線3の絶縁被覆から露出された芯線を加締めて圧着される。この芯線圧着部35を電線3の芯線に圧着させることにより、中継端子21が電線3に電気的に接続される。
【0032】
電気接続部19は、電線接続部31と連続する一部材で形成され、電線3の長さ方向に沿って棒状に延設された雄型の接続部となっている。この電気接続部19は、端子5に対して、変形板15の固定端9側から自由端13側に向けて複数の挿通孔17を挿通して配置され、変形された変形板15と接触することにより、端子5と電気的に接続される。
【0033】
図1図5に示すように、端子5は、導電性材料からなり、ベース板7と、変形板15と、複数の挿通孔17と、変形部23とを備えている。なお、本実施形態においては、端子5は、複数の電線3を電気的に接続するジョイント端子となっている。
【0034】
ベース板7は、長方形状に形成され、短辺が電線3の長さ方向に沿って配置され、長辺が複数の電線3の配列方向に沿って配置される。このベース板7には、一方の長辺に向けて開口し、中央近傍を底部とするように、スリット8が、複数の挿通孔17に対する中継端子21の電気接続部19の挿通方向に沿って形成されている。このスリット8は、ベース板7の長辺に沿って複数配列されている。この複数のスリット8の配列の間隔は、中継端子21の電気接続部19が複数の挿通孔17を挿通するときに、電気接続部19がスリット8に干渉しない間隔に設定されている。加えて、1つの変形板15が変形するときに、隣り合う変形板15が連動して変形することを回避できるように、複数のスリット8の間隔が設定されている。このようなスリット8が設けられたベース板7の一方の長辺には、固定端9を介して複数の変形板15が連続する一部材で形成されている。
【0035】
複数の変形板15は、それぞれ第1傾斜板37と、第2傾斜板39とを有する。
【0036】
第1傾斜板37は、固定端9を介してベース板7と連続する一部材で形成されている。この第1傾斜板37は、固定端9から頂部11に向けて上り傾斜となるように、固定端9と頂部11とを連結している。
【0037】
第2傾斜板39は、頂部11を介して第1傾斜板37と連続する一部材で形成されている。この第2傾斜板39は、頂部11から自由端13に向けて第1傾斜板37と対称形状の下り傾斜となるように、頂部11と自由端13とを連結している。
【0038】
このような変形板15は、ベース板7が固定された状態で、自由端13側を固定端9から離間する方向に押圧することによって、第1傾斜板37と第2傾斜板39との間に形成された頂部11の角度を大きくするように変形する。なお、変形板15の変形は、変形した状態が維持される塑性変形であってもよく、自由端13側の押圧を解除することによって、自由端13が固定端9側に向けて復元する弾性変形であってもよい。このような変形板15には、複数の挿通孔17が設けられている。
【0039】
複数の挿通孔17は、変形板15において、第1傾斜板37と第2傾斜板39とに、それぞれ1つずつ貫通して形成され、変形板15の全体に一対設けられている。この挿通孔17の幅は、中継端子21の電気接続部19が挿通可能なように、電気接続部19の径と同等に設定されている。また、挿通孔17の形状は、中継端子21の電気接続部19が挿通された状態で、変形板15が変形可能なように、第1傾斜板37及び第2傾斜板39の長さ方向に伸びる長円状に形成されている。なお、変形板15の幅に、変形板15の剛性を保持できるような余裕がある場合には、挿通孔17を、中継端子21の電気接続部19の径より大きな真円状に形成してもよい。
【0040】
この複数の挿通孔17は、変形板15が変形する前の状態で、中継端子21の電気接続部19の挿通方向から見たときに、一致するように第1傾斜板37と第2傾斜板39とに設けられている。このような複数の挿通孔17には、変形板15の固定端9側から自由端13側に向けて中継端子21の電気接続部19が挿通して配置される。
【0041】
この状態で、変形板15が、自由端13が固定端9から離間するように変形すると、複数の挿通孔17の縁部が電気接続部19と接触し、電線3と端子5とが中継端子21を介して電気的に接続される。このような変形板15の変形は、自由端13側に設けられた変形部23によって行われる。
【0042】
変形部23は、自由端13を介して変形板15と連続する一部材で形成されている。この変形部23は、自由端13から頂部11側に向けて屈曲されている。このような変形部23は、複数の挿通孔17を挿通した中継端子21の電気接続部19の先端と当接される。この変形部23と電気接続部19とが当接された状態で、電気接続部19の複数の挿通孔17への挿入を継続すると、変形部23が固定端9から離間する方向に押圧される。
【0043】
この電気接続部19による変形部23の押圧により、変形板15が、自由端13が固定端9から離間するように変形する。この変形板15の変形により、複数の挿通孔17の縁部が電気接続部19と接触し、電線3と端子5とが中継端子21を介して電気的に接続される。このように変形板15に変形部23を設けることにより、電気接続部19の複数の挿通孔17への挿入作業と、変形板15の変形作業とを同時に行うことができ、組付性を向上することができる。
【0044】
ここで、変形板15が変形したときに、端子5と中継端子21との電気的な接触点は、3点であることが好ましい。詳細には、図2に示すように、端子5と中継端子21との電気的な接触点は、電気接続部19と変形部23との接触点と、電気接続部19と複数(ここでは2つ)の挿通孔17,17の頂部11側の縁部との接触点との3点であることが好ましい。このように挿通孔17,17の頂部11側の縁部と電気接続部19とを接触させることで、挿通孔17,17のベース板7側の縁部と電気接続部19とを離間させている。このように挿通孔17,17のベース板7側の縁部と電気接続部19とを離間させることにより、挿通孔17,17に電気接続部19を挿通させるときに、電気接続部19がベース板7側の縁部に引っ掛かることがない。このため、挿通孔17に対する電気接続部19の挿入容易性を向上することができる。
【0045】
このような端子5は、ハウジング25に収容される。
【0046】
図4図5に示すように、ハウジング25は、絶縁性材料からなり、端子5と複数の中継端子21とを収容可能に筐体状に形成されている。このハウジング25は、端子収容部41と、複数の中継収容部43とを備えている。
【0047】
端子収容部41は、端子5の複数の変形板15側が配置され、一面(ここでは上面)側が開口されている。この端子収容部41側に位置するハウジング25の底壁には、複数のスリット8の底部とそれぞれ係合する係止突起42が複数突設されている。なお、係止突起42は、区画壁46に係合溝48を形成させたときに、係合溝48の底部に位置する区画壁46の残存部分となっている。この係止突起42は、スリット8の底部と係合することにより、ハウジング25内で端子5が端子収容部41側に移動することを規制する。このような端子収容部41には、係止突起42とスリット8とが係合した状態で、変形板15の変形を許容する変形スペースが設けられている。
【0048】
このような端子収容部41の両側壁には、端子5のベース板7の厚さと同等に形成された係合溝44がそれぞれ形成されている。この係合溝44は、ベース板7と係合することにより、ハウジング25内で端子5がハウジング25の高さ方向(ベース板7の厚さ方向)に移動することを規制する。加えて、係合溝44の端子収容部41側の底部と、ベース板7の端子収容部41側の端面とが当接することにより、ハウジング25内で端子5が端子収容部41側に移動することを規制する。
【0049】
複数の中継収容部43は、端子収容部41と連通するように、それぞれ端子収容部41側と長さ方向の端子収容部41と反対側とが開口された四角形の筒状に形成されている。この複数の中継収容部43は、隣り合う中継収容部43が区画壁46によって区画されている。このような複数の中継収容部43には、端子収容部41と反対側の開口から中継端子21が挿入される。
【0050】
このような複数の中継収容部43を区画する区画壁46とハウジング25の両側壁には、端子5のベース板7の厚さと同等に形成された係合溝48がそれぞれ形成されている。なお、ハウジング25の両側壁の係合溝48は、端子収容部41の係合溝44と連通されている。この係合溝48は、ベース板7と係合することにより、ハウジング25内で端子5がハウジング25の高さ方向(ベース板7の厚さ方向)に移動することを規制する。このような係合溝48は、中継端子21の挿入側が開口されている。
【0051】
このようなハウジング25には、複数の変形板15を、複数の中継収容部43の開口に配置し、ベース板7を、係合溝48の開口に配置した状態で、端子5が端子収容部41側に向けて挿入され、端子5が収容される。ここで、端子5のベース板7の両側面には、それぞれ圧入突起10が突設されている。この圧入突起10は、ベース板7が係合溝48に挿入された状態で、ハウジング25の両側壁の係合溝48の内面に圧入される。この圧入突起10の係合溝48への圧入により、ハウジング25内で端子5が複数の中継収容部43側に移動することが規制され、ハウジング25からの端子5の脱落が防止される。加えて、圧入突起10の係合溝48への圧入により、ハウジング25内で端子5がハウジング25の幅方向に移動することを規制する。
【0052】
このようなハウジング25に端子5が収容された状態で、中継端子21が、開口から中継収容部43に挿入される。この中継端子21の挿入により、電気接続部19が、変形板15の複数の挿通孔17に挿通され、変形部23と当接し、変形板15を変形させ、電線3と端子5とが中継端子21を介して電気的に接続される。
【0053】
このとき、中継端子21は、中継収容部43内に撓み可能に設けられた係止ランス27に係合され、中継収容部43からの抜け止めがなされ、ハウジング25に対する配置位置が保持される。このため、変形板15が弾性変形するとしても、変形板15の変形状態を保持することができ、電線3と端子5との電気的な接続信頼性を保持することができる。このようなハウジング25には、検知部材29が組付けられる。
【0054】
ここで、中継端子21が係止ランス27に係合された状態では、上述したように、電気接続部19に対する電気的な接触点が、変形部23と、挿通孔17,17の頂部11側の縁部と3点となっている。このような電気的な接触点において、電線3に引っ張り力が加わり、係止ランス27が撓み、電気接続部19が挿通孔17から抜け出る方向に移動し、変形板15が復元されても、接触点の接触が保持されるように頂部11の角度が設定されている。
【0055】
詳細には、頂部11の第1傾斜板37と第2傾斜板39とで成す角度は、中継端子21が係止ランス27に係合された状態で、電気接続部19と挿通孔17,17の頂部11側の縁部とが接触する最低限の角度より大きくなるように設定されている。このように頂部11の角度を設定することにより、電気接続部19が挿通孔17から抜け出る方向に移動し、頂部11の角度が狭くなったとしても、電気接続部19に対する変形部23と、挿通孔17,17の頂部11側の縁部と接触を保持することができる。このため、端子5と中継端子21との電気的な接続信頼性を保持することができる。なお、電気的な接触点を上記のような3点とすることで、電気的な接続信頼性と挿入容易性とを両立することができるため好ましいが、電気的な接触点は、上記のような3点に限らず、2点以下、或いは4点以上であってもよい。
【0056】
図4に示すように、検知部材29は、絶縁性材料からなり、ハウジング25の一面側の開口を閉塞可能な形状に形成されている。この検知部材29は、ハウジング25との間にそれぞれ形成された複数の係止部45を介してハウジング25に組付けられる。このような検知部材29のハウジング25との対向面側には、検出部47が設けられている。
【0057】
検出部47は、検知部材29のハウジング25との対向面に、端子5の複数の変形板15の頂部11と対応する位置に複数配置されている。この検出部47は、検知部材29のハウジング25との対向面からハウジング25側に向けて検知部材29と連続する一部材で突設されている。
【0058】
このような検出部47は、変形板15の変形が不十分であるとき、すなわち、電気接続部19と変形板15との接触が不十分であるとき、変形板15の頂部11と当接する。この検出部47が頂部11と当接した状態では、複数の係止部45が係合することができず、検知部材29をハウジング25に組付けることができない。
【0059】
一方、検出部47は、変形板15の変形が完全に行われているとき、すなわち、電気接続部19と変形板15との接触が十分に行われているとき、変形板15の頂部11と当接することがない。このため、複数の係止部45が係合することができ、検知部材29をハウジング25に組付けることができる。
【0060】
このように検知部材29は、ハウジング25への組付けの可否によって、変形板15の変形状態を検出し、電気接続部19と変形板15との接触状態を検知することができる。このような検知部材29をハウジング25に組付けることにより、電線3と端子5との電気的な接続信頼性を保持することができる。なお、検知部材29がハウジング25に組付けられた状態で、検出部47を変形板15の頂部11と当接させ、変形板15の変形状態を保持するようにしてもよい。
【0061】
このような電線と端子の接続構造1における組付は、まず、ハウジング25に端子5を収容させる。次に、ハウジング25の中継収容部43に、中継端子21を挿入し、変形板15の複数の挿通孔17に、電気接続部19を挿通させる。次に、中継端子21の挿入を継続し、電気接続部19の先端を変形部23に当接させ、変形板15を変形させ、電線3と端子5とを中継端子21を介して電気的に接続させる。そして、ハウジング25に、検知部材29を組付け、検知部材29の組付けの可否によって、電線3と端子5との電気的な接続状態を確認する。
【0062】
このような電線と端子の接続構造1では、電線3に、端子5と電気的に接続される電気接続部19を有する中継端子21が電気的に接続されている。そして、変形板15の自由端13側には、複数の挿通孔17を挿通した電気接続部19と当接し、自由端13を固定端9から離間するように変形板15を変形させる変形部23が設けられている。
【0063】
このため、電気接続部19の複数の挿通孔17への挿入作業と、変形板15の変形作業とを同時に行うことができ、作業工数を削減することができる。従って、このような電線と端子の接続構造1では、組付性を向上することができる。
【0064】
加えて、電線3と端子5とを中継端子21を介して電気的に接続することにより、電線3を複数の挿通孔17に挿通させる必要がない。このため、挿通孔17の形状を変更することなく、様々なサイズの電線3を、端子5に電気的に接続することができる。
【0065】
また、ハウジング25には、変形板15が変形された状態で、中継端子21に係合し、ハウジング25に対する中継端子21の配置位置を保持する係止ランス27が設けられている。このため、中継端子21による変形板15の変形状態を安定して保持することができ、電線3と端子5との電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0066】
さらに、ハウジング25には、変形板15が変形し、変形板15と電気接続部19とが電気的に接続された状態で、組付可能となる検知部材29が組付けられている。このため、ハウジング25に対する検知部材29の組付けの可否によって、電線3と端子5との電気的な接続状態を検知することができる。
【0067】
(第2実施形態)
図6図12を用いて第2実施形態について説明する。
【0068】
本実施形態に係る電線と端子の接続構造101は、変形板15の隣り合う挿通孔17,17の間に、電気接続部19に向けて突出する頂部103を有するように屈曲された屈曲部105が設けられている。そして、屈曲部105の頂部103は、変形板15の変形により電気接続部19に接触される。
【0069】
また、複数の挿通孔17の電気接続部19に接触される縁部には、曲面で形成された曲面部107が設けられている。
【0070】
さらに、複数の挿通孔17の電気接続部19を挟んで屈曲部105の頂部103と対向する縁部には、曲面で形成された曲面部107が設けられている。そして、曲面部107は、変形板15の変形により電気接続部19に接触される。
【0071】
なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0072】
図6図12に示すように、端子5は、導電性材料からなり、ベース板109と、変形板15と、複数の挿通孔17と、変形部23とを備えている。なお、本実施形態においては、端子5は、複数の電線3を電気的に接続するジョイント端子となっている。
【0073】
ベース板109は、長方形状に形成され、短辺が電線3の長さ方向に沿って配置され、長辺が複数の電線3の配列方向に沿って配置される。ベース板109の長さ方向の両側は、ハウジング25の端子収容部41の係合溝44に係合される。ベース板109と係合溝44との係合により、ハウジング25内において、端子5が高さ方向、前後方向、左右方向に移動することが規制される。なお、ベース板109は、係合溝44に圧入してもよい。ベース板109には、固定端9を介して複数の変形板15が連続する一部材で形成されている。
【0074】
複数の変形板15は、それぞれ第1傾斜板37と、第2傾斜板39とに加えて、屈曲部105を有する。屈曲部105は、隣り合う挿通孔17,17の間に配置され、第3傾斜板111と、第4傾斜板113と、頂部103とを備えている。
【0075】
第3傾斜板111は、頂部115を介して第1傾斜板37と連続する一部材で形成されている。第3傾斜板111は、頂部115で電気接続部19側に向けて屈曲させることにより、頂部115から自由端13側に向けて下り傾斜となるように、第1傾斜板37と対称形状に傾斜されている。
【0076】
第4傾斜板113は、頂部117を介して第2傾斜板39と連続する一部材で形成されている。第4傾斜板113は、頂部117で電気接続部19側に向けて屈曲させることにより、頂部117から固定端9側に向けて下り傾斜となるように、第2傾斜板39と対称形状に傾斜されている。
【0077】
頂部103は、第3傾斜板111の頂部115と第4傾斜板113の頂部117との反対側で、第3傾斜板111と第4傾斜板113とを連結している。頂部103は、第3傾斜板111と第4傾斜板113とを電気接続部19側に向けて屈曲させることにより、電気接続部19に向けて突出されている。頂部103の電気接続部19側の面は、曲面状に形成されている。頂部103は、隣り合う挿通孔17,17の間に配置されている。
【0078】
このような屈曲部105が設けられた変形板15を有する端子5は、ベース板109を係合溝44に係合させることにより、ハウジング25の端子収容部41に収容される。ハウジング25に収容された端子5は、ハウジング25に中継端子21が挿入されることにより、複数の挿通孔17に中継端子21の電気接続部19が挿通される。複数の挿通孔17を挿通した電気接続部19は、先端が変形部23に当接される。電気接続部19と変形部23とが当接された状態で、電気接続部19の複数の挿通孔17への挿入を継続すると、変形部23が固定端9から離間する方向に押圧される。
【0079】
電気接続部19による変形部23の押圧により、変形板15が、自由端13が固定端9から離間するように変形する。変形板15の変形により、屈曲部105の頂部103が電気接続部19と接触する。加えて、変形板15の変形により、複数の挿通孔17において、電気接続部19を挟んで屈曲部105の頂部103と対向する縁部が電気接続部19と接触する。屈曲部105の頂部103及び複数の挿通孔17の縁部と電気接続部19との接触により、電線3と端子5とが中継端子21を介して電気的に接続される。
【0080】
このような端子5では、変形板15が変形したときに、端子5と中継端子21との電気的な接触点が4点となっている。詳細には、電気接続部19に対して、変形部23と、複数(ここでは2つ)の挿通孔17,17の屈曲部105の頂部103と対向する縁部と、屈曲部105の頂部103との4点が接触する。このように変形板15に、電気接続部19と接触する屈曲部105を設けることにより、端子5と中継端子21との電気的な接触点を増やすことができ、端子5と中継端子21との電気的な接続信頼性を向上することができる。また、接触点を屈曲部105の頂部103とすることにより、端子5と中継端子21との表面に施されためっき同士の接触となり母材の酸化による抵抗上昇を防止することができる。加えて、屈曲部105の頂部103を曲面状に形成することにより、電気接続部19との接触による傷付きや摩耗粉の発生などを抑制することができる。また、複数の挿通孔17の電気接続部19を挟んで屈曲部105の頂部103と対向する縁部を電気接続部19に接触させている。このため、変形板15が変形したときに、複数の挿通孔17の縁部と屈曲部105の頂部103とで電気接続部19を挟み込むことができ、電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0081】
ここで、挿通孔17の電気接続部19と接触する縁部は、母材が露出していることがあり、母材の酸化による抵抗上昇が発生する可能性がある。加えて、挿通孔17の電気接続部19と接触する縁部が鋭利であると、挿通孔17の縁部と電気接続部19とが接触したときに、傷付きや摩耗粉の発生などを引き起こす可能性がある。そこで、挿通孔17の電気接続部19と接触する縁部には、曲面で形成された曲面部107が設けられている。
【0082】
曲面部107は、挿通孔17の縁部において、変形板15が変形したときに、電気接続部19と接触する部分(ここでは電気接続部19を挟んで屈曲部105の頂部103と対向する部分)に設けられている。曲面部107は、挿通孔17の電気接続部19と接触する部分をフランジ状に形成し、フランジ状の部分に曲げ加工を施すことによって曲面状に形成されている。このように挿通孔17の電気接続部19と接触する部分を曲面部107とすることにより、端子5と中継端子21との表面に施されためっき同士の接触となり母材の酸化による抵抗上昇を防止することができる。加えて、挿通孔17の縁部と電気接続部19とが接触したときに、傷付きや摩耗粉の発生などを抑制することができる。
【0083】
なお、曲面部107の曲げ加工は、複数の挿通孔17に電気接続部19を挿通するときに、フランジ状の端部が電気接続部19との干渉を避ける位置に配置されるように、曲げ方向が設定されている。詳細には、曲面部107は、屈曲部105側に向けて曲げられ、端部が電気接続部19から離間するように曲げられている。このように曲げ加工を施すことにより、複数の挿通孔17に電気接続部19を挿通するときに、曲面部107の端部が電気接続部19と干渉することがなく、複数の挿通孔17に安定して電気接続部19を挿通することができる。
【0084】
このような端子5が収容されたハウジング25には、中継端子21が挿入された後、検知部材29が組付けられる。なお、検知部材29は、ヒンジ119を介してハウジング25の端子収容部41を開閉可能に設けられている。
【0085】
図11図12に示すように、ハウジング25に対する中継端子21の挿入が不十分であると、中継端子21に係止ランス27が係合されない。中継端子21に係止ランス27が係合していない状態では、変形板15の変形が不十分であり、端子収容部41内における変形板15の頂部115,117の高さが高くなっている。変形板15の頂部115,117の高さが高くなっている状態で検知部材29をハウジング25に組付けると、検出部47が頂部115,117(ここでは頂部117のみ)と当接する。検出部47が頂部117と当接した状態では、複数の係止部45が係合することができず、検知部材29をハウジング25に組付けることができない。このため、変形板15の変形が不十分であり、電線3と端子5との電気的な接続状態が不十分であることを検知することができる。
【0086】
図7図9に示すように、ハウジング25に対する中継端子21の挿入が十分であると、中継端子21に係止ランス27が係合される。中継端子21に係止ランス27が係合している状態では、変形板15の変形が十分であり、端子収容部41内における変形板15の頂部115,117の高さが低くなっている。変形板15の頂部115,117の高さが低くなっている状態で検知部材29をハウジング25に組付けると、検出部47が頂部115,117と当接しない。検出部47が頂部115,117と当接しない状態では、複数の係止部45が係合することができ、検知部材29をハウジング25に組付けることができる。このため、変形板15の変形が十分であり、電線3と端子5との電気的な接続状態が十分であることを検知することができる。なお、検知部材29がハウジング25に組付けられた状態で、検出部47を変形板15の頂部115,117と当接させ、変形板15の変形状態を保持するようにしてもよい。
【0087】
このような電線と端子の接続構造101では、変形板15の隣り合う挿通孔17,17の間に、電気接続部19に向けて突出する頂部103を有するように屈曲された屈曲部105が設けられている。そして、屈曲部105の頂部103は、変形板15の変形により電気接続部19に接触される。
【0088】
このため、端子5と中継端子21との電気的な接触点を増やすことができ、端子5と中継端子21との電気的な接続信頼性を向上することができる。また、接触点を屈曲部105の頂部103とすることにより、端子5と中継端子21との表面に施されためっき同士の接触となり母材の酸化による抵抗上昇を防止することができる。
【0089】
また、複数の挿通孔17の電気接続部19に接触される縁部には、曲面で形成された曲面部107が設けられている。このため、端子5と中継端子21との表面に施されためっき同士の接触となり母材の酸化による抵抗上昇を防止することができる。また、挿通孔17の縁部と電気接続部19とが接触したときに、傷付きや摩耗粉の発生などを抑制することができる。
【0090】
さらに、複数の挿通孔17の電気接続部19を挟んで屈曲部105の頂部103と対向する縁部には、曲面で形成された曲面部107が設けられている。そして、曲面部107は、変形板15の変形により電気接続部19に接触される。このため、変形板15が変形したときに、複数の挿通孔17の曲面部107と屈曲部105の頂部103とで電気接続部19を挟み込むことができ、電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0091】
(第3実施形態)
図13図15を用いて第3実施形態について説明する。
【0092】
本実施形態に係る電線と端子の接続構造201は、検知部材29に、変形した変形板15と当接し、変形板15の変形した状態を保持する保持部203が設けられている。
【0093】
なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0094】
図13図15に示すように、検知部材29には、検出部47から端子収容部41側に向けて突出する保持部203が設けられている。保持部203には、変形板15が変形したときに、第1傾斜板37と同一傾斜となるように傾斜された当接面205が設けられている。保持部203の当接面205は、ハウジング25に検知部材29が組付けられた状態で、変形した変形板15の第1傾斜板37と固定端9側から当接する。この保持部203と第1傾斜板37との当接により、変形した変形板15が固定端9側に向けて復元することがなく、変形板15の変形した状態を保持することができる。このため、変形板15の変形した状態を安定して保持することができ、端子5と中継端子21との電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0095】
なお、図15に示すように、変形板15の変形が不十分であるとき、ハウジング25に検知部材29を組付けると、保持部203の先端が変形板15の頂部115と当接する。保持部203が頂部115と当接した状態では、複数の係止部45(図12参照)が係合することができず、検知部材29をハウジング25に組付けることができない。このため、変形板15の変形が不十分であり、電線3と端子5との電気的な接続状態が不十分であることを検知することができる。なお、検知部材29は、ハウジング25に対してヒンジ119(図9参照)を介して連結されていないが、検知部材29をヒンジ119を介してハウジング25に連結させてもよい。
【0096】
このような電線と端子の接続構造201では、検知部材29に、変形した変形板15と当接し、変形板15の変形した状態を保持する保持部203が設けられている。このため、変形板15の変形した状態を安定して保持することができ、端子5と中継端子21との電気的な接続信頼性を保持することができる。
【0097】
(第4実施形態)
図16図18を用いて第4実施形態について説明する。
【0098】
本実施形態に係る電線と端子の接続構造301は、変形板15の自由端13側が、電気接続部19が乗り越えた状態で、電気接続部19に接触される。
【0099】
また、ハウジング25には、電気接続部19から離間するように形成された凹部303が設けられている。さらに、変形板15の自由端13側には、電気接続部19に向けて突出する頂部305を有するように屈曲された第1屈曲部307が設けられている。さらに、変形板15の自由端13側には、第1屈曲部307より固定端9側に配置され第1屈曲部307と連続し第1屈曲部307の頂部305と反対側に向けて突出する頂部309を有するように屈曲された第2屈曲部311が設けられている。そして、第1屈曲部307の頂部305は、変形板15の変形により電気接続部19に接触される。また、第2屈曲部311の頂部309は、変形板15の変形により凹部303に収容される。
【0100】
なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0101】
図16図18に示すように、ハウジング25の端子収容部41には、電気接続部19から離間するように形成された凹部303が設けられている。凹部303には、変形板15の固定端9側から自由端13側に向けて下り傾斜となる傾斜面313が形成されている。凹部303を有する端子収容部41には、端子5が収容される。
【0102】
端子5には、自由端13側に、第1屈曲部307と、第2屈曲部311とが設けられている。第1屈曲部307は、変形部23の先端側を、電気接続部19に向けて突出する頂部305を有するように屈曲されて形成されている。第1屈曲部307の頂部305の電気接続部19側の面は、曲面状に形成されている。第2屈曲部311は、第1屈曲部307より固定端9側である変形部23と第2傾斜板39との間に設けられ、第1屈曲部307と連続している。第2屈曲部311は、変形部23と第2傾斜板39との間を、第1屈曲部307の頂部305と反対側である凹部303側に向けて突出する頂部309を有するように屈曲されて形成されている。
【0103】
このような第1屈曲部307と第2屈曲部311とを有する端子5は、複数の挿通孔17に電気接続部19が挿通されると、変形部23と電気接続部19とが当接する。変形部23と電気接続部19との当接により、変形板15が、自由端13が固定端9から離間するように変形する。電気接続部19の複数の挿通孔17への挿入を継続すると、電気接続部19が第1屈曲部307の頂部305を乗り越える。電気接続部19が第1屈曲部307の頂部305を乗り越えると、第1屈曲部307の頂部305が電気接続部19に接触する。第1屈曲部307の頂部305を電気接続部19に接触させることにより、端子5と中継端子21との表面に施されためっき同士の接触となり母材の酸化による抵抗上昇を防止することができる。加えて、第1屈曲部307の頂部305を曲面状に形成することにより、電気接続部19との接触による傷付きや摩耗粉の発生などを抑制することができる。
【0104】
一方、電気接続部19が第1屈曲部307の頂部305を乗り越えるとき、変形板15の変形により、第2屈曲部311の頂部309が傾斜面313と摺動し、凹部303内に収容される。第2屈曲部311の頂部309が凹部303に収容された状態では、電気接続部19に対して、屈曲部105の頂部103と、第1傾斜板37の挿通孔17の曲面部107と、第1屈曲部307の頂部305との3点が接触する。この接触により、電線3と端子5とが中継端子21を介して電気的に接続される。なお、変形板15の変形した状態は、中継端子21に係止ランス27が係合することによって保持される。
【0105】
このように電気接続部19が変形板15の自由端13側を乗り越えることにより、変形部23と電気接続部19との当接による変形板15の変形力を低減することができ、中継端子21の挿入力を低減することができる。また、第2屈曲部311の頂部309を凹部303に収容するように変形板15を変形させることにより、変形板15の変形力をさらに低減することができ、中継端子21の挿入力をさらに低減することができる。なお、ハウジング25に凹部303を設けずに、電気接続部19が変形板15の自由端13側を乗り越えるようにしてもよい。この場合には、電気接続部19が自由端13側を乗り越えた状態で、電気接続部19に対して、屈曲部105の頂部103と、複数(ここでは2つ)の挿通孔17の曲面部107と、第1屈曲部307の頂部305との4点が接触する。なお、検知部材29は、ハウジング25に対してヒンジ119(図9参照)を介して連結されていないが、検知部材29をヒンジ119を介してハウジング25に連結させてもよい。
【0106】
このような電線と端子の接続構造301では、変形板15の自由端13側が、電気接続部19が乗り越えた状態で、電気接続部19に接触される。このため、変形部23と電気接続部19との当接による変形板15の変形力を低減することができ、中継端子21の挿入力を低減することができる。
【0107】
また、第1屈曲部307の頂部305は、変形板15の変形により電気接続部19に接触される。さらに、第2屈曲部311の頂部309は、変形板15の変形により凹部303に収容される。このため、変形板15の変形力をさらに低減することができ、中継端子21の挿入力をさらに低減することができる。加えて、第1屈曲部307の頂部305を電気接続部19に接触することにより、端子5と中継端子21との表面に施されためっき同士の接触となり母材の酸化による抵抗上昇を防止することができる。
【0108】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0109】
例えば、本実施形態に係る電線と端子の接続構造では、端子が、ジョイント端子となっているが、これに限るものではない。例えば、端子は、ベース板に、電線が電気的に接続される電線接続部が設けられた接続端子、或いは、ベース板に、相手端子が接続される電気接続部が設けられた中継端子などであってもよい。
【0110】
また、複数の挿通孔は、2つとなっているが、これに限らず、例えば、変形板に複数の頂部を有する複数の傾斜板を設け、複数の傾斜板にそれぞれ挿通孔を設けるなど、挿通孔を3つ以上設けてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1,101,201,301 電線と端子の接続構造
3 電線
5 端子
7,109 ベース板
9 固定端
11,115,117 頂部
13 自由端
15 変形板
17 挿通孔
19 電気接続部
21 中継端子
23 変形部
25 ハウジング
27 係止ランス
29 検知部材
103 屈曲部の頂部
105 屈曲部
107 曲面部
203 保持部
303 凹部
305 第1屈曲部の頂部
307 第1屈曲部
309 第2屈曲部の頂部
311 第2屈曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18