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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】カートのロックおよび分配装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 10/04 20060101AFI20241210BHJP
   G07F 7/06 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
A47F10/04
G07F7/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021500794
(86)(22)【出願日】2019-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 IL2019050757
(87)【国際公開番号】W WO2020012466
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】260455
(32)【優先日】2018-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】523436355
【氏名又は名称】フリーテイル アクイジション エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Freetail Acquisition LLC
【住所又は居所原語表記】2105 63rd Street, Brooklyn, New York 11204, USA
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レビン アリー
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-117102(JP,A)
【文献】米国特許第03194377(US,A)
【文献】米国特許第04450968(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02466557(EP,A2)
【文献】米国特許第03897863(US,A)
【文献】米国特許第4518072(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第433751(EP,A1)
【文献】国際公開第2017/122108(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F10/00-10/06
G07F7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートを分配およびロックする装置であって、
ロックされたスタック内に配置された複数のカート(201、203、204)のうちの少なくとも1つのカートに機械的に接続されるように適合された接続要素に接続された駆動装置(112、113)と、
前記複数のカート(201、203、204)をロックするように適合されたデュアルレバー機構(100)と、
を有し、
前記デュアルレバー機構(100)は、
ブロックレバー(102)および分配レバー(101)と、
前記分配レバー(101)を前記スタックに対して直線的に前後に移動させるように適合された基部(109)と、
を有し、
前記デュアルレバー機構(100)は、前記ブロックレバー(102)および前記分配レバー(101)のそれぞれを、前記複数のカート(201、203、204)の少なくとも1つのカートの動きをブロックする開位置から、前記複数のカートの動きをブロックしない閉位置に変化するように、1つ以上のエンジン(103、104、110、114)を制御し、
前記デュアルレバー機構(100)は、前記ブロックレバー(102)が前記開位置にあるときに前記スタックをロックするように適合されており、
前記デュアルレバー機構(100)は、
新しいカート(202)が前記ロックされたスタックの端にあるとき、前記1つ以上のエンジン(103、104、110、114)を制御することによって、前記分配レバーおよびブロックレバー(101、102)を前記開位置から前記閉位置および前記閉位置から前記開位置まで移動させ、前記新しいカート(202)を前記ロックされたスタックの端に追加し、前記開位置に変更されたときに前記分配レバーおよび前記ブロックレバー(101、102)の少なくとも1つによって前記スタックから前記新しいカート(202)の移動をブロックし、前記閉位置に変更されたときに前記分配レバーおよび前記ブロックレバー(101、102)の少なくとも1つによって前記新しいカート(202)が前記ロックされたスタックにさらに挿入されることを可能にするように構成され
前記デュアルレバー機構(100)は、前記基部(109)を前記スタックに対して平行に直線的に移動させるように構成される、
カートを分配およびロックする装置。
【請求項2】
前記デュアルレバー機構(100)は、前記新しいカート(202)が前記ロックされたスタックの前記端にあるときに、
前記分配レバー(101)を前記閉位置から前記開位置に変化させて、前記スタックからの前記新しいカート(202)の動きをブロックし、次に、ブロックレバー(102)を前記開位置から前記閉位置に変化させて、前記新しいカート(202)を前記スタックにさらに挿入し、
前記分配レバー(101)が前記開位置にあり、前記ブロックレバー(102)が前記閉位置にあるときに、前記分配レバー(101)が基部(109)によって動かされて、前記新しいカート(202)を前記スタック内にさらに挿入し
次いで、前記ブロックレバー(102)が前記閉位置から前記開位置に変更され、前記スタック内の他のカート(201、203、204)とともに前記新しいカート(202)の動きをブロックし、
前記分配レバー(101)および前記ブロックレバー(102)のうちの少なくとも1つは、曲がった形状を有する、
ことによって前記新しいカート(202)を前記ロックされたスタックの前記端に追加するように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記分配レバー(101)および前記ブロックレバー(102)の少なくとも一方が、曲がった形状を有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記デュアルレバー機構(100)は、前記1つ以上のエンジン(103、104、110、114)を制御して、
前記分配レバー(101)を前記閉位置から前記開位置に変更して、前記スタックの前記複数のカート(201、203、204)の移動をブロックし、前記ブロックレバー(102)を前記開位置から前記閉位置に変更して、前記スタックの端にある第1のカート(201)の前記ブロックレバー(102)による後方への移動のブロックを解除できるようにし、
前記第1のカート(201)が前記分配レバー(101)と前記スタックとの間に位置している間に、前記駆動装置(112、113)を使用してカートの前記スタックを後方に駆動し、同時に前記基部(109)によって前記分配レバー(101)を後方に直線的に移動させ、
前記ブロックレバー(102)を前記閉位置から前記開位置に変更し、前記ブロックレバー(102)が、前記第1のカート(201)に続くカート(204)の移動をブロックし、前記スタックの中の1つ以上の他のカート(203、204)が、前記第1のカート(201)と一緒に前記スタックから引き出されないようにし、
前記第1のカート(201)を引くことによって前記スタックから取り出せるように、前記分配レバー(101)を前記開位置から前記閉位置に変更する、
ことによって、前記ロックされたスタックからカートを分配するように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記分配レバー(101)および前記ブロックレバー(102)の少なくとも一方が、前記開位置から前記閉位置へ位置を変化させることによって、前記複数のカート(201、203、204)の少なくとも1つのカートの移動を可能にする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記接続要素は、ロックカート(203)を前記ロックされたスタックの前で保持する留め金(115)を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記分配レバー(101)および前記ブロックレバー(102)の少なくとも一方が、前記1つ以上のエンジン(103、104、110、114)に一連のシャフトによって結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記開位置は、持ち上がった位置であり、前記閉位置は、下がった位置である、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記基部(109)は、リニアアクチュエータ(111)によって直線的に移動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記基部(109)は、レール(108)上を移動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記基部(109)の動きは、少なくとも1つのセンサ(116)によって検出される、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記駆動装置(112、113)が、ステップモータによって動かされる、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記分配レバー(101)および前記ブロックレバー(102)のスリット(118、119)を有する筺体(117)をさらに備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
カートをカートスタックに受け入れる方法であって、
ブロックレバー(102)によってスタックに配置された複数のカート(201、203、204)のうちの第1のカート(201)を保持し、
前記ブロックレバー(102)が開いた位置にあるため、前記ブロックレバー(102)は、前記第1のカート(201)が前記スタックから取り出されるために後方に引かれるのをブロックし、
分配レバー(101)の位置を、新しいカート(202)を前記スタックに追加できる閉位置から、前記分配レバー(101)が前記新しいカート(202)の前記スタックからの引っ張りをブロックする開位置に変更し、
前記ブロックレバー(102)の位置を前記開位置から前記閉位置に変更し、
前記分配レバー(101)を前方に動かして、前記新しいカート(202)を前記スタックに押し込み、同時に前記複数のカート(201、203、204)のうちの少なくとも1つのカートに機械的に接続された駆動装置(112、113)によって前記複数のカート(201、203、204)を前方に駆動し、前記ブロックレバー(102)によって、前記新しいカート(202)が、前記スタックの外への動きをブロックされることを可能にするまで、前記分配レバー(101)を基部(109)と直線的に動かし、
前記ブロックレバー(102)の位置を前記閉位置から前記開位置に変更し、前記ブロックレバーが前記新しいカート(202)が後方に引かれ、前記スタックから取り出されるのをブロックする、
カートをカートスタックに受け入れる方法。
【請求項15】
カートスタックからカートを分配する方法であって、
ブロックレバー(102)によってスタックに配置された複数のカート(201、203、204)のうちの第1のカート(201)を保持し、前記ブロックレバー(102)が開位置にあるため、前記ブロックレバー(102)は、前記第1のカート(201)が前記スタックから取り出されるために後方に引かれるのをブロックし、
分配レバー(101)の位置を閉位置から開位置に変更し、
前記ブロックレバー(102)の位置を前記開位置から閉位置に変更し、
前記複数のカート(201、203、204)のうちの少なくとも1つのカートに機械的に接続された駆動装置(112、113)によって前記複数のカート(201、203、204)を後方に駆動し、
第2のカート(204)が、前記ブロックレバー(102)によって前記第2のカート(204)が後方に引かれて前記スタックから取り出されるのをブロックできる位置まで、前記分配レバー(101)によって前記第1のカートが後方に引かれて前記スタックから取り除かれることをブロックし、
前記ブロックレバー(102)の位置を前記閉位置から前記開位置に変更し、前記ブロックレバー(102)が前記第2のカート(204)が後方に引かれて前記スタックから取り出されるのをブロックし、
前記分配レバー(101)の位置を前記開位置から前記閉位置に変更して、前記第1のカート(201)を後方に引いて前記スタックから取り出せるようにする、
カートスタックからカートを分配する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのいくつかの実施形態においては、カートのロック(Cart Locking)および分配装置(Dispensing Device)に関し、より詳細には、これに限定されないが、カートをブロックするレバーおよび駆動ベルトの協調した動きによって、1つのカートを、別のカートをロックしながら受け入れる、または解放する装置、に関する。
【0002】
<関連出願>
本出願は、イスラエル特許出願第260455号(出願日:2018年7月8日)の優先権を主張し、この文書の内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
ショッピングカートは、使用されないとき、指定されたエリアに、互いに内側に重ねた状態で保管されていることがある。例えば顧客によってカートが必要とされるとき、カートはスタックから引き出される。場合によっては、カートをスタックからロック解除するために(例えばスタック内のカートを次のカートにロックしているチェーンを解放するために)コインおよび/または別の手段を使用しなければならない。別の場合には、カートを解放するためには支払を行わなければならない。
【発明の概要】
【0004】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、スタックに配置されているカートを分配およびロックする装置であって、デュアルレバー機構であって、開姿勢(open position:開位置)にあるとき、スタックに配置されている複数のカートのうちの第1のカートの動きを阻止するロックレバー(locking lever)と、このロックレバーに隣接する基部であって、スタックに対して前方および後方に可動である、基部と、基部に取り付けられている分配レバー(dispensing lever)であって、開姿勢にあるとき複数のカートのうちの第2のカートの動きを阻止する、分配レバーと、を備えているデュアルレバー機構、および、基部と協調して前方および後方に動くことによって、複数のカートを基部の動きに平行に駆動する駆動ベルト、を備えている、装置、を提供する。
【0005】
オプションとして、開姿勢が、持ち上がった姿勢であり、閉姿勢(closed position:閉位置)が、下がった姿勢である。
【0006】
オプションとして、分配レバーおよびブロックレバーの少なくとも一方が、曲がった形状を有する。
【0007】
オプションとして、分配レバーおよびブロックレバーの少なくとも一方が、カートを動かすことができるように開姿勢から閉姿勢に姿勢を変化させる。
【0008】
さらなるオプションとして、姿勢の変化は、エンジン(engine)によって行われる。
【0009】
さらなるオプションとして、姿勢の変化は、電子デバイスによって制御される。
【0010】
さらなるオプションとして、分配レバーは、一連のシャフトによってエンジンに結合されており、一連のシャフトは、エンジンの動作に従って分配レバーの姿勢の変化を実行する。
【0011】
さらなるオプションとして、ブロックレバーは、一連のシャフトによってエンジンに結合されており、一連のシャフトは、エンジンの動作に従ってブロックレバーの姿勢の変化を実行する。
【0012】
オプションとして、基部は、リニアアクチュエータ(linear actuator)を介してエンジンによって可動である。
【0013】
オプションとして、基部は、レールの上を可動である。
【0014】
オプションとして、基部の動きが、少なくとも1つのセンサによって検出される。
【0015】
オプションとして、駆動ベルトは、ベルトエンジンによって動作するベルトホイールによって動かされる。
【0016】
オプションとして、ベルトエンジンはステップモータである。
【0017】
オプションとして、本装置は、分配レバーおよびブロックレバーのためのスリットを有する筺体、さらに備えている。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、カートをカートスタックに受け入れる方法であって、スタックに配置されている複数のカートのうちの第1のカートをロックレバーによって保持するステップであって、ロックレバーが開姿勢にありしたがって第1のカートがスタックの外に移動することをロックレバーが阻止する、ステップと、第2のカートがスタックの外に移動することを阻止するために分配レバーの姿勢を閉姿勢から開姿勢に変化させるステップであって、第2のカートが、スタックの終端部に新たに置かれている、ステップと、ロックレバーの姿勢を開姿勢から閉姿勢に変化させるステップと、分配レバーを前方に動かして第2のカートをスタックに押し込むステップと、複数のカートを駆動ベルトによって同時に駆動するステップであって、したがって第2のカートをロックレバーの背後に位置させることができる、ステップと、ブロックレバーの姿勢を閉姿勢から開姿勢に変化させるステップであって、したがって第2のカートがスタックの外に移動することをブロックレバーが阻止する、ステップと、を含む、方法、を提供する。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、カートスタックからカートを分配する方法であって、スタックに配置されている複数のカートのうちの第1のカートをロックレバーによって保持するステップであって、ロックレバーが開姿勢にありしたがって第1のカートがスタックの外に移動することをロックレバーが阻止する、ステップと、分配レバーの姿勢を閉姿勢から開姿勢に変化させるステップと、ロックレバーの姿勢を開姿勢から閉姿勢に変化させるステップと、複数のカートを駆動ベルトによって駆動するステップであって、したがって複数のカートのうちの次のカートがロックレバーの背後に位置し、かつ第1のカートが分配レバーの背後でブロックされる、ステップと、ブロックレバーの姿勢を閉姿勢から開姿勢に変化させるステップであって、したがって次のカートがスタックの外に移動することをブロックレバーが阻止する、ステップと、第1のカートをスタックから取り出すことができるように、分配レバーの姿勢を開姿勢から閉姿勢に変化させるステップと、を含む、方法、を提供する。
【0020】
特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術および/または科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様のまたは等価な方法および材料を、本発明の実施形態の実践または試験に使用することができるが、例示的な方法および/または材料を下記に記載する。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先する。加えて、材料、方法、および実施例は単なる例示であり、必ずしも限定を意図するものではない。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態について、その例示のみを目的として添付の図面を参照して本明細書に記載する。以下、特に図面を詳細に参照して示す細部は、例示を目的とし、また本発明の実施形態の詳細な説明を目的とすることを強調する。同様に、図面と共に説明を見ることで、本発明の実施形態をどのように実践し得るかが当業者には明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明のいくつかの実施形態に係る、カートを分配する装置の概略図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態に係る、図1の装置の内部機構の概略図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態に係る、スタックにカートを受け入れる方法を概略的に表している流れ図である。
図4A】本発明のいくつかの実施形態に係る、図3の方法に従ってさまざまな姿勢にある分配レバーおよびブロックレバーの概略図である。
図4B】本発明のいくつかの実施形態に係る、図3の方法に従ってさまざまな姿勢にある分配レバーおよびブロックレバーの概略図である。
図4C】本発明のいくつかの実施形態に係る、図3の方法に従ってさまざまな姿勢にある分配レバーおよびブロックレバーの概略図である。
図4D】本発明のいくつかの実施形態に係る、図3の方法に従ってさまざまな姿勢にある分配レバーおよびブロックレバーの概略図である。
図4E】本発明のいくつかの実施形態に係る、図3の方法に従ってさまざまな姿勢にある分配レバーおよびブロックレバーの概略図である。
図4F】本発明のいくつかの実施形態に係る、図3の方法に従ってさまざまな姿勢にある分配レバーおよびブロックレバーの概略図である。
図5A】本発明のいくつかの実施形態に係る、さまざまな状態における図1の装置の概略図である。
図5B】本発明のいくつかの実施形態に係る、さまざまな状態における図1の装置の概略図である。
図5C】本発明のいくつかの実施形態に係る、さまざまな状態における図1の装置の概略図である。
図5D】本発明のいくつかの実施形態に係る、さまざまな状態における図1の装置の概略図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態に係る、スタックからカートを分配する方法を概略的に表している流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、そのいくつかの実施形態においては、カートのロックおよび分配装置に関し、より詳細には、これに限定されないが、カートをブロックするレバーおよび駆動ベルトの協調した動きによって、1つのカートを、別のカートをロックしながら受け入れる、または解放する装置、に関する。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、カート(ショッピングカートなど)のスタックをロックする、スタックにカートを受け入れる、およびスタックからカートを分配する装置、を提供する。カートの受け入れおよび分配は、次のカートをロックしながらカートを解放または受け入れるデュアルレバー機構に基づく。駆動ベルトは、カートをロックするデュアルレバー機構の動作に従ってカートのスタックを後方に動かす、およびカートを前方にスタック内に動かす。デュアルレバー機構は、2つのレバー(ロックレバーと、カートのスタックに対して前方および後方に可動である基部に取り付けられた分配レバー)の協調した動きによって動作する。各レバーは、開姿勢および閉姿勢(例えば、カートをブロックする持ち上がった姿勢と、カートをレバーの上を動かすことのできる下がった姿勢)を有する。初期状態においては、ロックレバーは開姿勢にあり、スタック内の第1のカートをロックしており、一方で分配レバーは閉姿勢にあり、後方位置にある基部上である。
【0025】
カートがスタックに受け入れられるとき(例えば顧客が買物の後にカートを元に戻すとき)には、新しいカートをブロックするため、分配レバーが開姿勢に持ち上がる。ロックレバーは、新しいカートをスタック内に移動させることができるように閉姿勢に下がる。次に基部が、例えばボールねじリニアアクチュエータ(ball screw linear actuator)を介してエンジンによって前方に移動し、したがって分配レバーが新しいカートをスタックに押し込む。駆動ベルトは例えばエンジンによって基部に従って動き、カートのスタックが前方に動くことができ、新しいカートのための空間が形成される。次にロックレバーが開姿勢に持ち上がって新しいカートをブロックし、基部および分配レバーがそれぞれの初期姿勢に動く。
【0026】
カートがスタックから分配されるときには、逆のプロセスが行われる。スタックの第1のカートをブロックするために分配レバーが開姿勢に持ち上がる。ロックレバーが閉姿勢に下がって第1のカートを動かすことができ、代わりに分配レバーが第1のカートをブロックすることができる。次に駆動ベルトがカートのスタックを後方に動かし、したがって第1のカートが分配レバーによってブロックされる。スタック内の次のカートもスタックから引き出されることを阻止するため、次にロックレバーが開姿勢に持ち上がって次のカートをブロックする。第1のカートを取り出すことができるように、分配レバーが閉姿勢に下がる。
【0027】
駆動ベルトおよび基部の動きは、1基または複数のエンジンによって動作させることができる。レバーは、例えばエンジンによって動作させることができ、エンジンをシャフトによってレバーに結合することができる。エンジンは、協調した動きの実行を命令するようにプログラムされた電子デバイスによって制御することができる。分配レバーの動きは、センサ(機械式センサおよび/または磁気式センサ)によって検出することができる。
【0028】
提示した装置は、スーパーマーケットで利用可能なほぼあらゆるカートのタイプおよび/またはサイズに適しており、したがって本装置は、新規のカートまたは特定のカートを取得する必要なしに既存のカートおよびカートライン(cart lines)に使用することができる。本装置の設置では、カートに対する、および/または、カートが保管される地面/床(カートライン)に対する、構造的変更や機械的変更が要求されず、設置前よりも余分なスペースも必要なく、したがって他のカートシステムよりも配備/設置がずっと安価かつ容易である。
【0029】
本装置は、各カートを一意に検出し、したがって顧客がカートを返却すると、システムは顧客のカートが返却されたことを認識するために顧客からの対話を必要としない。さらに本装置は、カートを顧客に物理的かつ能動的に供給し、また、引込みによってカートをスタックに受け入れ、したがって顧客はカートラインに入ってカートを引き出す、または押し込む必要がない。
【0030】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、必ずしもその用途が、以下の記載に示す、および/または図面および/または実施例で例示する、構成の詳細および要素の配置および/または方法に限定されるものではないことを理解するべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、また、さまざまな手段で実施または実行することが可能である。
【0031】
次に図面を参照し、図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る、カートを分配する装置の概略図である。さらに図2も参照し、図2は本発明のいくつかの実施形態に係る、図1の装置の内部機構の概略図である。
【0032】
装置100は、分配レバー101およびブロックレバー102を含む。レバー101およびレバー102の各々は、開姿勢および閉姿勢(例えば持ち上がった姿勢および下がった姿勢)を有する。図2における分配レバー101に関して示したように、閉姿勢にあるときには、カートをレバーの上を動かすことができ、カートをスタックから引き出して取り出すことができる。図2におけるブロックレバー102に関して示したように、開姿勢にあるときには、カートはレバーによってブロックされ、レバーの上を動かすことができない。オプションとして、分配レバー101および/またはブロックレバー102は、カートのバーをさらに保持してカートが上方に引っぱられることを防止するような形状である(例えば曲がった形状、フック形状、および/またはカートのバーの部分を保持することのできる任意の別の形状)。カートは任意のタイプおよび/またはサイズであってよい(例えばショッピングカート、ショッピングトロリー、および/または任意の別のスタック可能なビークル)。
【0033】
オプションとして、分配レバー101の姿勢および/またはブロックレバー102の姿勢は、閉姿勢から開姿勢に、および/または、開姿勢から閉姿勢に、エンジン103およびエンジン104によって変化する。エンジン103およびエンジン104は、例えばステップモータとすることができる。オプションとして、分配レバー101および/またはブロックレバー102は、一連のシャフトによってエンジン103およびエンジン104に結合されており、これらのシャフトはエンジンの回転運動を姿勢間のレバーの動きに変換する。例えば、分配レバー101は、シャフト105およびシャフト106によってエンジン103に結合されている。エンジン103が回転して分配レバー101が閉姿勢にあるとき、シャフト105およびシャフト106が分配レバー101の下端部を前方に押し、一方でシャフト107が分配レバー101の中央部を上方に押し、したがって分配レバー101が開姿勢に動く。エンジン103が反対方向に回転して分配レバー101が開姿勢にあるときには、シャフト105およびシャフト106が分配レバー101の下端部を後方に引き、一方でシャフト107が分配レバー101の中央部を下方に引き、したがって分配レバー101が閉姿勢に動く。オプションとして、またはこれに代えて、分配レバー101の姿勢および/またはブロックレバー102の姿勢が、アクチュエータによって変化する。
【0034】
分配レバー101、およびオプションとしてさらにエンジン103は、トラック108上を前方および後方に移動する基部109の上に位置している。基部109は、例えばリニアアクチュエータ111(ボールねじリニアアクチュエータなど)を介して、ピストンを介して、および/または直線運動を発生させる任意の他の装置を介して、エンジン110(ステップモータなど)によって前方および/または後方に移動する。
【0035】
カートのスタックは、ベルトホイール113によって動く駆動ベルト112(Kevlarベルトなど)によって前方および後方に動く。これに代えて、カートのスタックを動かすために別の機械的要素(チェーンなど)を使用してもよい。ベルトホイール113は、ベルトエンジン114(ステップモータなど)によって動作させることができる。カートのスタックは、例えばスタックの最後のカート(これはロックカート203として使用されるダミーカートである)を保持する留め金115によって、駆動ベルト112に結合することができる。これに代えて、カートのスタックを押すピンが駆動ベルト112に結合されている。
【0036】
オプションとして、エンジン103、エンジン104、エンジン110、および/またはベルトエンジン114の制御は、装置100に接続されている、または装置100に(例えばヘッドユニット(図には示していない)の内側に)含まれている電子デバイスによって行われる。電子デバイスは、1つ以上のプリント回路、コンピュータ、および/または任意の別の電子制御装置など、任意の種類の電子デバイス、デジタルデバイス、またはコンピューティングデバイスとすることができる。電子デバイスは、カートを分配するシーケンスまたはカートを受け入れるシーケンスに従ってエンジンを動作させるようにプログラムすることができる。
【0037】
オプションとして、基部109および/または駆動ベルト112の動きは、(1つ以上の)センサ116(例えば機械式センサ、磁気式センサ、光学式センサ、および/または任意の別のセンサ)によって検出される。センサ116は、電子デバイスに接続することができ、基部109の動きを確認するためのバックアップとして使用することができる。バックアップが必要であるのは、ステップモータが例えば過負荷に起因して意図せずにリセットされることがあるためである。
【0038】
オプションとして、分配レバー101の姿勢変化および/またはブロックレバー102の姿勢変化は、(1つ以上の)センサ120(例えばスナップアクションスイッチ(snap action switches)、および/または、任意の機械式センサ、磁気式センサ、光学式センサ、および/または他のセンサ)によって検出される。センサ120は電子デバイスに接続することができ、センサ116に関して上述したようにバックアップとして使用することができる。
【0039】
次に図3を参照し、図3は、本発明のいくつかの実施形態に係る、スタックにカートを受け入れる方法を概略的に表している流れ図である。さらに図4A図4B図4C図4D図4E図4Fも参照し、これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係る、図3の方法に従ってさまざまな姿勢にある分配レバー101およびブロックレバー102の概略図である。
【0040】
最初に、301および図4Aに示したように、スタックに配置されている複数のカートのうちの第1のカート201(カートのバーのみを示してある)が、ブロックレバー102によって保持される。この初期状態においては、図2にも示したように、分配レバー101は閉姿勢にあり、基部109とともに後方位置にある。
【0041】
次に図5A図5B図5C図5Dを参照し、これらの図は、本発明のいくつかの実施形態に係る、さまざまな状態における図1の装置の概略図である。
【0042】
オプションとして、装置100の内部機構は、筺体117によって囲まれている。オプションとして、筺体117は、分配レバー101が筺体から突き出すことを可能にするスリット118と、ブロックレバー102が筺体から突き出すことを可能にするスリット119とを含む。スリット118は、分配レバー101が前方および後方に動くことができるように、より長い。
【0043】
次に、302、図4B、および図5Aに示したように、新しいカート202がスタックの終端部に新たに配置される。新しいカート202がスタックの外に移動することを阻止するため、分配レバー101の姿勢が閉姿勢から開姿勢に変化する。
【0044】
次に、303、図4C、および図5Bに示したように、新しいカート202をスタックに挿入することができるように、ブロックレバー102の姿勢が開姿勢から閉姿勢に変化する。
【0045】
次に、304、図4D、および図5Cに示したように、分配レバー101が基部109によって前方に動き、新しいカート202をスタックに押し込む。同時に、駆動ベルト112がロックカート203と一緒に前方に動き、したがって新しいカート202をスタックと一緒にレバー101によって内側に押してブロックレバー102の背後に位置させることができる。
【0046】
次に、305、図4E、および図5Dに示したように、ブロックレバー102の姿勢が閉姿勢から開姿勢に変化し、したがってブロックレバー102が、スタック内の新しいカート202および他のカートが動くことを阻止する。
【0047】
最後に、306、図4F、および図1に示したように、分配レバー101の姿勢が開姿勢から閉姿勢に変化し、分配レバー101が基部109によって後方に動く。この結果としての状態は、301および図4Aに示した初期状態に似ており、したがってスタックに別の新しいカートを追加することができる、またはスタックからカートを分配することができる。
【0048】
次に図6を参照し、図6は、本発明のいくつかの実施形態に係る、スタックからカートを分配する方法を概略的に表している流れ図である。これは、スタックにカートを受け入れるプロセスとは逆のプロセスである。
【0049】
最初に、601に示したように、スタックに配置されている複数のカートのうちの第1のカート201が、ブロックレバー102によって保持される。この初期状態においては、図1にも示したように、分配レバー101は閉姿勢にあり、基部109とともに後方位置にある。
【0050】
次に、602に示したように、第1のカート201がスタックの外に移動することを阻止するため、分配レバー101の姿勢が閉姿勢から開姿勢に変化する。オプションとして、図5Dに示したように、分配レバー101が基部109によって前方に動く。
【0051】
次に、603および図5Cに示したように、第1のカート201を後方に動かすことができるように、ブロックレバー102の姿勢が開姿勢から閉姿勢に変化する。
【0052】
次に、604および図5Bに示したように、駆動ベルト112が、ロックカート203を介してカートのスタックを後方に駆動し、したがって次のカート204がブロックレバー102の背後に位置し、第1のカート201が分配レバー101の背後に位置する。同時に分配レバー101が基部109によって後方に移動する。
【0053】
次に、605および図5Aに示したように、ブロックレバー102の姿勢が姿勢から姿勢に変化し、したがってブロックレバー102は、スタック内の次のカート204および他のカートが動くことを阻止し、したがってこれらのカートは第1のカート201と一緒にスタックから引き出すことができない。
【0054】
次に、606に示したように、分配レバー101の姿勢が姿勢から姿勢に変化し、したがって第1のカート201をスタックから取り出すことができる(例えば顧客がカートをスタックから引き出すことによる)。この結果としての状態は、601、図4A、および図1に示した初期状態に似ている。
【0055】
オプションとして、基部109および駆動ベルト112を1基のエンジンによって動かすことができる。例えば、ウォームねじ歯車(worm screw gear)を駆動ベルト112に結合することができ、エンジン110に結合されているウォームホイール歯車(worm wheel gear)によって動かすことができる。オプションとして、カップリング機構(coupling mechanism)を使用して、エンジン110に駆動ベルト112を結合する、およびエンジン110から駆動ベルト112を結合解除することができる。
【0056】
オプションとして、装置100および/または電子デバイスはインタフェースに接続されており、インタフェースは、顧客が例えば支払によってカートをロック解除することを可能にする。インタフェースは、例えば、画面、入力モジュール、支払方法、識別方法、および/または任意の他の機能を含むことができる。
【0057】
本発明のさまざまな実施形態の記述は、説明を目的として提示したものであり、あらゆる実施形態を網羅する、または開示した実施形態に限定することを意図していない。当業者には、記載した実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正形態および変形形態が明らかであろう。本明細書において使用されている専門用語は、実施形態の原理、実際の応用、また市場において見られる技術に対する技術的改善点を最もよく説明するように、またはこの技術分野における通常の技術を有する者が本明細書に開示されている実施形態を理解することができるように、選択されている。
【0058】
本出願から発生する特許権の存続期間中、数多くの関連するカートおよび/またはトロリーが開発されることが予測されるが、用語「カート(cart)」および「トロリー(trolley)」の範囲は、このようなあらゆる新規の技術を含むものとする。
【0059】
「具備する(comprises)」、「具備している(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語およびその活用形は、「限定されるものではないが、含む(including but not limited to)」を意味する。この用語は、用語「からなる」および「から実質的になる」を包含する。
【0060】
「から実質的になる」という句は、組成物または方法が追加の成分および/またはステップを含み得ることを意味する。但しこれは、追加の成分および/またはステップが、請求項に記載の組成物または方法の基本的かつ新規の特性を実質的に変更しない場合に限られる。
【0061】
本明細書において、単数形を表す「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数をも対象とする。例えば、「化合物(a compound)」または「少なくとも1種の化合物」には、複数の化合物が含まれ、それらの混合物をも含み得る。
【0062】
語「例示的な」は、本明細書においては、「例、一例、または説明としての役割を果たす」を意味する目的で使用されている。「例示的な」として説明されている実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましい、または有利であるとは解釈されないものとする、および/または、他の実施形態の特徴を組み込むことが排除されないものとする。
【0063】
語「オプションとして」は、本明細書においては、「いくつかの実施形態において設けられ、他の実施形態では設けられない」を意味する目的で使用されている。本発明の任意の特定の実施形態は、互いに矛盾しない限りは複数の「オプションの」特徴を含むことができる。
【0064】
明確さのために別個の実施形態に関連して記載した本発明の所定の特徴はまた、1つの実施形態において、これら特徴を組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔さのために1つの実施形態に関連して記載した本発明の複数の特徴はまた、別々に、または任意の好適な部分的な組み合わせ、または適当な他の記載された実施形態に対しても提供され得る。さまざまな実施形態に関連して記載される所定の特徴は、その要素なしでは特定の実施形態が動作不能でない限り、その実施形態の必須要件であると捉えてはならない。
【0065】
本発明をその特定の実施形態との関連で説明したが、多数の代替、修正および変種が当業者には明らかであろう。したがって、そのような代替、修正および変種の全ては、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内に含まれることを意図するものである。
【0066】
本明細書で言及した全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許および特許出願のそれぞれについて具体的且つ個別の参照により本明細書に組み込む場合と同程度に、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、本願におけるいかなる参考文献の引用または特定は、このような参考文献が本発明の先行技術として使用できることの容認として解釈されるべきではない。また、各節の表題が使用される範囲において、必ずしも限定として解釈されるべきではない。
【0067】
これに加えて、本出願の(1つ以上の)優先権文書は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図5C
図5D
図6