(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】空間的に変化する誘電材料の製造のための方法、この方法によって作製される物品、およびその使用
(51)【国際特許分類】
B29C 64/124 20170101AFI20241210BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20241210BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241210BHJP
H01Q 15/08 20060101ALI20241210BHJP
H01P 3/16 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B29C64/124
B33Y80/00
B33Y10/00
H01Q15/08
H01P3/16
(21)【出願番号】P 2021518751
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(86)【国際出願番号】 US2019056971
(87)【国際公開番号】W WO2020081954
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-17
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521138305
【氏名又は名称】ロジャーズ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トレヴァー・ポリドーレ
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・クラビホ
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・バールス
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0025203(US,A1)
【文献】特開2003-344629(JP,A)
【文献】国際公開第2015/102938(WO,A1)
【文献】特開平10-006346(JP,A)
【文献】国際公開第2005/002833(WO,A1)
【文献】米国特許第06076324(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0263823(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107415235(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/124
B33Y 10/00
B33Y 80/00
H01Q 15/08
H01P 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイス用のポリマー構造の製造のステレオリソグラフィ方法であって、前記方法は、
一定量の液体放射線硬化性組成物を提供するステップと、
前記液体放射線硬化性組成物の一部をあるパターンで活性化放射線で照射して、前記ポリマー構造の第1の層を形成するステップと、
前記第1の層を前記液体放射線硬化性組成物と接触させるステップと、
前記液体放射線硬化性組成物をあるパターンで前記活性化放射線で照射して、前記第1の層上に第2の層を形成するステップと、
前記接触させるステップおよび前記照射するステップを繰り返して、前記ポリマー構造を形成するステップと
を含み、
前記ポリマー構造は、
複数のユニットセルを含み、各ユニットセルは、隣接するユニットセルと一体的に接続され、
各ユニットセルは、前記照射するステップによって形成される複数のトラスによって画定され、前記トラスは、それらのそれぞれの端部で互いに一体的に接続され、
各ユニットセルの前記トラスは、10GHz、23℃、および50%の相対湿度で測定して、1より大きく20以下の範囲内で上限および下限を有する空間的に勾配のある比誘電率を提供するように一端から他端へ連続的に変化する断面を有している、方法。
【請求項2】
前記比誘電率の勾配は、連続勾配である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記勾配は、10GHz、23℃、および50%の相対湿度で測定して、1より大きく10以下の範囲内で上限および下限を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー構造に、空気以外の誘電材料を含浸させるステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記液体放射線硬化性組成物は、熱硬化性成分を含み、前記方法は、前記ポリマー構造を熱硬化させるステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー構造を導電基板と接触させるステップと、前記ポリマー構造を熱硬化させるステップと、を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー構造の少なくとも2つの交互の層および前記導電基板の少なくとも2つの層を接触させて積層体を形成するステップと、前記積層体において前記ポリマー構造を熱硬化させるステップと、をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ポリマー構造を備える電子デバイスであって、前記ポリマー構造は、
複数のユニットセルを含む誘電材料の統一体を備え、各ユニットセルは、それらのそれぞれの端部で互いに一体的に接続された複数のトラスを含み、各ユニットセルは、前記ユニットセルのうちの隣接する1つと一体的に接続され、
誘電材料の前記統一体の平均誘電率は、前記統一体の一部から前記統一体の他の部分へと変化し、
各ユニットセルの前記トラスは、10GHz、23℃、および50%の相対湿度で測定して、1より大きく20以下の範囲内で上限および下限を有する空間的に勾配のある比誘電率を提供するように一端から他端へ連続的に変化する断面を有している、電子デバイス。
【請求項9】
誘電材料の前記統一体の前記平均誘電率は、前記統一体の内側部分から前記統一体の外側部分への方向に減少する、請求項
8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
誘電材料の前記統一体の前記平均誘電率は、前記統一体の第1の部分から前記統一体の第2の部分へと周期的に変化する、請求項
8に記載の電子デバイス。
【請求項11】
誘電材料の前記統一体の前記空間的に勾配のある比誘電率は、10GHz、23℃、および50%の相対湿度で測定して、1より大きく10以下である、請求項
8から
10のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項12】
誘電材料の前記統一体と接触して配置された少なくとも1つの導電体をさらに備える、請求項
8から
11のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの導電体は、接着材料を介して誘電材料の前記統一体に接着されている請求項
12に記載の電子デバイス。
【請求項14】
誘電材料の前記統一体は、インピーダンス整合層、誘電体導波路、レンズ、反射アレイ、アンテナ整合構造、スーパーストレート、カプラ、分周器、または誘電体アンテナの少なくとも一部を形成する、請求項
8から
13のいずれか一項に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年10月18日に出願された米国仮出願第62/747,497号の優先権および利益を主張するものであり、この米国仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に開示されるのは、空間的に変化する誘電率を有する構造の付加製造による製造のための方法、この方法によって作製される電子デバイス、および電子物品における電子デバイスの使用である。
【背景技術】
【0003】
事前に選択された誘電率を有する多数の誘電構造が、電子デバイスで用いるために説明されてきた。リューネブルクレンズのような、空間的に変化する誘電率を有する構造の製造のための方法は、解決するのがより難しい問題である。リューネブルクレンズのような構造の製造に取り組む1つの方法は、誘電材料の密度を空間的に変化させることであり、これにより、対応する誘電率の空間的変化が生じる。たとえば、米国特許第5677796号は、球の中心から放射状に延在する複数の穴を開けて、その結果得られる材料の局所密度、したがって、比誘電率を球の中心からの距離の関数として制御することによって形成される誘電勾配を有するリューネブルクレンズを記載している。米国特許第7179844号は、均一であるが異なる誘電率を有する3つの異なる材料を提供し、次いでこれらの材料を層状にして誘電率のステップ勾配を有する構造を提供する3つの異なる複合体の三次元膨張を記載している。これらの方法は遅く、複雑であり、異なる形状および異なる勾配に適応するのが困難である。
【0004】
付加製造(AM:additive manufacturing)(これは三次元(3D)印刷および固体自由形状製作を含む)により、デジタルモデルから事実上あらゆる形状の三次元物体の製造が可能になる。一般に、これは、コンピュータ支援設計(CAD)モデリングソフトウェアで所望の構造のデジタル設計図を作成し、次いでその仮想設計図をデジタル断面にスライスすることによって達成される。これらの断面は、順次層状化プロセスで形成または堆積されて3D構造を作成する。Liangらは、誘電率のステップ勾配を有する構造を作製する付加製造(AM)法を記載している(Liang, Mら、「A 3-D Luneburg lens antenna fabricated by polymer jetting rapid prototyping」、IEEE Transactions on Antennas and Propagation、62(4)、1799~1807)。Liangらは、2つの異なる放射線硬化性組成物(1つは物体用、1つは支持材料用)の薄層をステージ上へ噴射して硬化させる、インク噴射プロセスと同様のポリマー噴射プロセスを記載している。このポリマー噴射プロセスにより、さまざまな全体形状の小さな構造の製造が可能になる。しかしながら、支持材料が同時に置かれ、次いで除去されない限り、オーバーハングが存在することができないという点で、形状は限定される。ポリマーは非常に微細な流れで噴射可能にする一方、同時に硬化時に所望の機械的および電気的特性を提供しなければならないため、このプロセスは用いられるポリマーのタイプに関してさらに限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第5677796号
【文献】米国特許第7179844号
【文献】米国特許第4575330号
【文献】米国特許第4929402号
【文献】米国特許第5104592号
【文献】米国特許第5184307号
【文献】米国特許第5192559号
【文献】米国特許第5234636号
【文献】米国特許第5236637号
【文献】米国特許第5273691号
【文献】WO2014/126837
【文献】WO2016/153711
【文献】米国特許第8232043号
【文献】米国特許第8119214号
【文献】米国特許第7935476号
【文献】米国特許第7767728号
【文献】米国特許第7649029号
【文献】WO2012/129968
【文献】CN102715751
【文献】特開2012-210408号
【文献】米国特許第7824839号
【文献】米国特許第7550246号
【文献】米国特許第7534844号
【文献】WO2017/040883
【文献】米国特許第9205601号
【文献】WO2017/040
【非特許文献】
【0006】
【文献】Liang, Mら、「A 3-D Luneburg lens antenna fabricated by polymer jetting rapid prototyping」、IEEE Transactions on Antennas and Propagation、62(4)、1799~1807
【文献】「Photoacid Generator Selection Guide for the electronics industry and energy curable coatings」、BASF 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、材料にわたって誘電率が空間的に変化する誘電性ポリマー構造の製造のための効率的で柔軟な方法の必要性が本技術分野において依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示されるのは、空間的に勾配のある誘電率を有するポリマー構造の製造のための方法であり、この方法は、ある容量の液体放射線硬化性組成物を提供するステップと、液体放射線硬化性組成物の一部をあるパターンで活性化放射線で照射してポリマー構造の層を形成するステップと、層を液体放射線硬化性組成物と接触させるステップと、液体放射線硬化性組成物をあるパターンで活性化放射線で照射して第1の層上に第2の層を形成するステップと、接触および照射を繰り返してポリマー構造を形成するステップと、を含み、ポリマー構造は複数のユニットセルを含み、各ユニットセルは隣接するユニットセルと一体的に接続され、各ユニットセルは照射によって形成される複数のトラスによって画定され、トラスはそのそれぞれの端部で互いに一体的に接続され、各ユニットセルのトラスは、空間的に勾配のある誘電率を提供するように寸法が決められている。
【0009】
上の方法によって作製されるポリマー構造も開示されている。
【0010】
他の一態様において、電子デバイスは、ポリマー構造を備え、ポリマー構造は、複数のユニットセルを含む誘電材料の統一体を含み、各ユニットセルは、それらのそれぞれの端部で互いに一体的に接続された複数のトラスを含み、各ユニットセルは、ユニットセルのうちの隣接する1つと一体的に接続され、誘電材料の統一体の平均誘電率は、統一体の第1の部分から統一体の第2の部分へと変化する。
【0011】
誘電材料の統一体が、インピーダンス整合層、誘電体導波路、レンズ、反射アレイ、アンテナ整合構造、スーパーストレート、カプラ、分周器、または誘電体アンテナの少なくとも一部を形成する、ポリマー構造を含む電子デバイスも記載されている。
【0012】
上述および他の特徴は、次の図、詳細な説明、例、および請求項によって例示されている。
【0013】
次の図は例示的な態様であり、これらは本開示の態様を示すために提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】ポリマー構造の立方格子ユニットセルの概略斜視図である。
【
図1B】
図1Aに示すような複数の立方格子ユニットセルを含むポリマー構造の概略斜視図である。
【
図2A】ポリマー構造のオクテット格子ユニットセルの概略斜視図である。
【
図2B】
図2Aに示すような複数のオクテット格子ユニットセルを含むポリマー構造の概略斜視図である。
【
図3A】例示的な実施形態のトラスの概略断面図である。
【
図3B】例示的な実施形態のトラスの概略断面図である。
【
図3C】例示的な実施形態のトラスの概略断面図である。
【
図3D】例示的な実施形態のトラスの概略断面図である。
【
図3E】例示的な実施形態のトラスの概略断面図である。
【
図3F】例示的な実施形態のトラスの概略断面図である。
【
図4A】例示的な実施形態のトラスの概略側面図である。
【
図4B】例示的な実施形態のトラスの概略側面図である。
【
図4C】例示的な実施形態のトラスの概略側面図である。
【
図4D】例示的な実施形態のトラスの概略側面図である。
【
図5】オクテットユニットセルについてDk対トラス径を示すグラフである。
【
図6A】例示的な実施形態のポリマー構造の形状の概略図である。
【
図6B】例示的な実施形態のポリマー構造の形状の概略図である。
【
図6C】例示的な実施形態のポリマー構造の形状の概略図である。
【
図6D】例示的な実施形態のポリマー構造の形状の概略図である。
【
図6E】例示的な実施形態のポリマー構造の形状の概略図である。
【
図6F】例示的な実施形態のポリマー構造の形状の概略図である。
【
図6G】例示的な実施形態のポリマー構造の形状の概略図である。
【
図6H】例示的な実施形態のポリマー構造の形状の概略図である。
【
図6I】例示的な実施形態のポリマー構造の形状の概略図である。
【
図6J】例示的な実施形態のポリマー構造の形状の概略図である。
【
図7A】例示的な実施形態のポリマー形状の概略断面図である。
【
図7B】例示的な実施形態のポリマー形状の概略断面図である。
【
図7C】例示的な実施形態のポリマー形状の概略断面図である。
【
図7D】例示的な実施形態のポリマー形状の概略断面図である。
【
図7E】例示的な実施形態のポリマー形状の概略断面図である。
【
図8】X方向におけるトラス径の増加によりX方向に増加するステップ勾配誘電率を有するポリマー構造の概略斜視図である。
【
図9】X方向におけるトラス径の増加によりX方向に増加する連続勾配誘電率を有するポリマー構造の概略斜視図である。
【
図10A】例示的な実施形態のポリマー構造の誘電勾配の概略図である。
【
図10B】例示的な実施形態のポリマー構造の誘電勾配の概略図である。
【
図10C】例示的な実施形態のポリマー構造の誘電勾配の概略図である。
【
図10D】例示的な実施形態のポリマー構造の誘電勾配の概略図である。
【
図10E】例示的な実施形態のポリマー構造の誘電勾配の概略図である。
【
図10F】例示的な実施形態のポリマー構造の誘電勾配の概略図である。
【
図11】一実施形態による、電子構造またはデバイス、特に電磁構造またはデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ステレオリソグラフィ装置(SLA)付加製造を用いて、ポリマー材料にわたって誘電率が変化するポリマー構造を効率的に得ることができるということが本発明者らによって発見された。特に、SLA法を用いて、各格子のサイズを変化させて誘電率の対応する変化を提供する、開放格子セル構造を有するポリマー構造を提供することができる。この方法により、さまざまな構成およびさまざまな形状で事前に選択された誘電率勾配を有する構造の迅速で効率的な製造が可能になる。この方法はまた、異なるポリマーおよびポリマー組成物の使用に適している。5G用途で有用なポリマー構造を製造することができる。
【0016】
SLAは、本技術分野において、光学製造、光固化、および樹脂印刷とも呼ばれる。前述の方法のいずれかが本明細書で用いられ、まとめて「SLA」法と呼ぶことができる。これらの方法において、液体樹脂の連続する薄層が、光源を用いて、底層から始まって頂層へ、または頂層から始まって低層へ、選択的に光重合される。このプロセスは、たとえば、米国特許第4575330号、米国特許第4929402号、米国特許第5104592号、米国特許第5184307号、米国特許第5192559号、米国特許第5234636号、米国特許第5236637号、および米国特許第5273691号に記載されている。
【0017】
直接/レーザ書き込みおよびデジタルプロジェクションを用いたマスクベースの書き込みを含む、SLAに対する異なるアプローチがある。直接/レーザ書き込みにおいて、ポリマー材料が形成されるステージは、ポリマーの形成のための硬化性液体樹脂組成物の容量の表面のすぐ下方に配置されている。単一の光源(たとえば、レーザ)が、所望の層を完全に硬化させるまで、硬化性組成物の表面に沿って行ごとに移動する。次の層を開始するため、硬化性組成物の新たな層が表面を覆い、硬化プロセスが繰り返されるまで、ステージは硬化性液体樹脂組成物の容量内へと低く沈んでいく。層間において、硬化性液体樹脂組成物を載せたブレードが樹脂の表面を平らにして、次のラウンドの露光の前に液体の均一な層を確保する。この手順は、硬化性液体樹脂組成物が印刷されて3D構造を形成するまで繰り返す。
【0018】
デジタルプロジェクションを用いたマスクベースの書き込みにおいて、ステージは、液体硬化性組成物の容量内へ定義された距離だけ沈められる。この容量は、光学的に透明な底を有する浴に配置されている。次に、光源をあるパターンでステージに導いて光源とステージとの間で硬化性組成物を重合する。デジタルプロジェクション法において、デジタルミラーデバイスにより、所与のパターンの層全体を同時に硬化させることが可能になる。次いでステージを定義された距離だけ持ち上げることができ、他の層を硬化させることができる。この手順は、硬化性液体樹脂組成物が印刷されて3D構造を形成するまで繰り返す。
【0019】
SLAによって形成されるポリマー構造は、複数のユニットセルを含む誘電材料の統一体である。各ユニットセルは、そのそれぞれの端部で互いに一体的に接続された複数のトラスを含む。各ユニットセルは、ユニットセルの隣接する1つと一体的に接続されている。誘電材料の統一体の平均誘電率は、統一体の1つの部分から統一体の他の部分へと変化する。たとえば、誘電材料の統一体の平均誘電率は、統一体の内側部分から外側部分へ、または統一体の1つの側から他の側へと変化し得る。
【0020】
特に、ユニットセルは、たとえば、
図1Aおよび
図1Bに示すように、間隙空間を画定するトラスを含む。
図1Aは、間隙空間13を画定するトラス12を含む立方ユニットセル10を示す。
図2Aは、トラスおよびこれらのトラスによって画定された間隙空間を含むオクテットユニットセル20を示す。本明細書で用いられるとき、「トラス」という用語は、部材のフレームワークの構造部材を意味し、各トラス部材は、球14によって示されるように、そのそれぞれの端部14でのみ他の隣接するトラス部材に接続されてトラス端部間の接合部を形成する。各トラス部材を通して分散されるいかなる荷重も、対応する接合部14を通して分散されると想定される。接合部14で示す球は接合部の例示のためだけのものであり、ポリマー格子構造に存在することもしないこともあるということが理解されるべきである。一態様において、接合部を形成する各トラスによって与えられる材料を除き、ポリマー格子構造の接合部に追加の材料は存在しない。
【0021】
各トラス12は、真っ直ぐであっても湾曲していてもよい。一態様において、各トラスは実質的に真っ直ぐである。各トラスは、不規則または実質的に規則的な断面を有することができる。たとえば、
図3B~
図3Fを参照すると、断面は、円形(
図3A)、楕円形(
図3B)、多角形、たとえば、六角形(
図3C)または長方形(3D)、リング(
図3E)、卵形(
図3F)、などとすることができる。一態様において、各トラスは、円形または正方形のような、トラスの長さ全体にわたって同じ断面である。あるいは、各トラスの断面を変化させる、たとえば各端部で実質的に円形であるが、各端部間の部分において実質的に正方形であるトラスを有することが可能である。ユニットセル内の各トラスは、同じ断面径または異なる径をさらに有することができる。たとえば、
図2Aにおける各トラス12は、その長さ全体にわたって実質的に均一な径を有するものとして示されているが、
図4A~
図4Dを参照すると、各トラスは、その長さに沿って変化する径、たとえばその各端部でより大きな円径を有する犬の骨形状(
図4A)、またはその各端部でより大きな径のピラミッド(
図4B)または多角形状(4C)を有することもできる。いくつかの態様において、特に以下でより詳細に説明するように連続勾配が所望される場合、トラスは、一端から他端へ、すなわち、H
1がH
2未満である小さい方から大きい方へ連続的に変化する径(
図4D)を有することができる。
【0022】
各トラスは、0.03から5.0ミリメートル(mm)、好ましくは0.05から4.0mmの範囲の径を有することができる。本明細書で用いられるような「径」は平均最大断面寸法を指す。トラスが実質的に一定の径を有する場合、平均径は0.03から5.0、好ましくは0.05から4.0の範囲とすることができる。トラスが連続的に変化する径を有する場合、トラスはこの範囲内、たとえば0.03から1.0mm、1.0から1.7mm、1.7から2.4mm、などで変化し得る。
【0023】
ユニットセルは、任意の格子構成、たとえば立方体(
図1A)およびその変形、たとえば体心立方体または面心立方体、またはオクテット(
図2A)とすることができる。オクテット格子ユニットセルの使用により、より高い周波数に容易にスケーリングすることができるより薄いトラス径および長さが可能になるため、これが好まれる。オクテット格子ユニットはまた、ユニット内で等方性の誘電率を有することができ、所与の電磁波がその向きに関係なく同じ方法でユニットと相互作用することができるようになるため、有利である。ミリメートルでのトラス径に対して
比誘電率(Dk)を予測するシミュレーションを
図5に示す。
【0024】
ユニットセルのそれぞれは、ポリマー構造が動作するように設計されている電磁波の波長の30%未満、または20%未満、または10%未満のサイズを有することができる。電磁波の波長は主に製造能力によって限定され、したがって大きく変化する可能性がある。一態様において動作の周波数範囲は、1から100GHz、すなわち、3から300mmの波長である。最小のセルサイズ(たとえば、1mm)は現在、今の製造能力によって限定される可能性がある。
【0025】
図1Bおよび
図2Bに示すように、ポリマー構造は、各セルが他のセルに隣接している複数のユニットセルを含む統一三次元体である。一態様において各ユニットセルは、ユニットセルの隣接する1つと一体的に接続されている。たとえば、
図1Bにおけるポリマー構造20は8つのユニットセル10を含む。
図1Bおよび
図2Bのポリマー構造は、それぞれ、立方体および不規則な形状として示されているが、任意の形状を用いることができる。ここで
図6A~
図6Jを参照すると、本明細書に開示されるいずれの誘電体構造20も、円柱(
図6A)、多角形ボックス(
図6B)、先細の多角形ボックス(
図6C)、円錐(
図6D)、立方体(
図6E)、円錐台(
図6F)、四角錐(
図6G)、環状体(
図6H)、ドーム(
図6I)、細長いドーム(
図6J)の形状の三次元形態、または本明細書に開示される目的に適した任意の他の三次元形態を有することができる。ここで
図7A~
図7Eを参照すると、このような形状は、円形(
図7A)、多角形(
図7B)、長方形(
図7C)、リング(
図7D)、楕円形(
図7E)の形状、または本明細書に開示される目的に適した任意の他の形状のz軸断面を有することができる。加えて、この形状は、用いられるポリマー、所望の誘電勾配、ユニットセルの選択されたタイプ、および所望の機械的および電気的特性に依存し得る。
【0026】
ポリマー構造における誘電勾配は、各ユニットセルの密度、より一般的には選択されたユニットセルのセットの密度を変化させることによって確立される。密度は、各ユニットセルにより多くの材料を含めることによって変化させることができ、より多くの材料がより高い誘電率を提供し、より少ない材料がより低い誘電率を提供する。たとえば、上で参照したLiangらに開示されているように、層内のユニットセルの各セットは、ユニットセルの接合部で堆積した追加のポリマーを含むことができる。
【0027】
好ましい態様において、ポリマー構造の密度は、選択されたユニットセルのセットにおいて各トラスの径を変化させることによって変化する。
図8を参照すると、ポリマー構造20は、X方向に3セットのユニットセル10a、10b、および10cを含む。ユニットセル10a、10b、および10cのセットのそれぞれの各トラスの直径はX方向に厚さが増加し、ユニットセル10a、10b、および10cのそれぞれにおける間隙13a、13b、13cのサイズをそれぞれ減少させる。これらの間隙が空気で充填されているとき、誘電率が低い方(セット10a)から高い方(セット10c)へのステップ勾配が提供される。
【0028】
他の態様において、ユニットセルの各トラスの径は、セルのセット内で変化して連続的な勾配を提供することができる。たとえば、
図9に示すように、セット10aのX方向に沿ったトラス12a(水平トラス)は、ユニットセルセット10bのトラス12bと接合されるまで、端部14a-1から端部14a-2へと径が増加する。端部14a-2は、トラス12bの端部14b-1と同じ径を有する。トラス12b(これも水平トラス)は、端部14b-1から端部14b-2へと径がさらに増加する。端部14a-1で接合されたYおよびZ方向のトラスは、端部14a-1と同じ径を有する。セット10aおよびセット10bに共通のYおよびZ方向のトラスは、端部14a-2/14b-1と同じ径を有する。端部14b-2で接合されたYおよびZ方向のトラスは、端部14b-2と同じ径を有する。この構成により、ポリマー構造20のXおよびY軸に沿って増加する連続的な誘電勾配が提供される。Z軸に沿った誘電勾配は一定である。
【0029】
誘電勾配の方向はしたがって、
図10A~
図10Fに示すように、適宜にユニットセルにおけるトラスの径を変化させることによってポリマー構造において変化させることができる。たとえば、誘電率は、
図10Aに示すように、共通点から三次元で変化することができ、矢印は、半球の中心点30からこの半球の縁部に向かって三次元で誘電率が連続的に均一に減少することを示している。
【0030】
図10Bは、縦方向に3つのセクション、内側セクション、中間セクション、および外側セクションに分割された円柱の断面図を示す。内側セクションは第1の誘電率を有し、中間セクションは第2の誘電率を有し、外側セクションは第3の誘電率を有し、径方向のステップ勾配誘電率を提供する。一態様において、第1の誘電率は第2の誘電率より低くすることができ、これは第3の誘電率より低くすることができる。あるいは、他の一態様において、第1の誘電率は第2の誘電率より高くすることができ、これは第3の誘電率より高くすることができる。さらに他の一態様において、第1の誘電率は第2の誘電率より高くすることができ、第3の誘電率は第1および第2の誘電率より高くすることができる。
【0031】
図10Cは、セクション32、34、および36に水平に分割された円錐台形状を示し、矢印は、セクション32から34、36への誘電率の減少を示す。
図10Dにおける他の一態様に示すように、セクション42および46は同じ第1の誘電率を有することができ、セクション44および48は同じ第2の誘電率を有することができ、第1および第2の誘電率のいずれかが他方よりも高く、または低く、周期的なステップ勾配を提供する。
【0032】
図10Dは、セクション42、44、46、および48に分割された立方体ポリマー構造形状を示す。セクション42、46は同じ第1の誘電率を有することができ、セクション44、48は同じ第2の誘電率を有することができる。第1の誘電率は第2の誘電率より大きくても小さくてもよく、これにより周期的な誘電率勾配を確立することができる。勾配に他の変化を持たせることも可能である。たとえば、勾配は、構造の1つの点から他へとランダムまたは疑似ランダムに変化し得る。
【0033】
他の一態様において、
図10Eは、第1の頂点52aおよび第2の頂点52bを有する立方体ポリマー構造形状を示す。誘電率は、第1の頂点52aから第2の頂点52bまで、形状全体にわたって連続的に変化し得る。さらに他の一態様において、
図10Fは、第1の頂点52aおよび第2の頂点52bを有する立方体ポリマー構造形状を示す。円柱の形状で示す第1のセクション53が、第1の頂点52aから第2の頂点52bにまたがって配置されている。第2のセクション54が第1のセクション53を取り囲んでいる。第1のセクション53は第1の誘電率を有することができ、第2のセクション54は第2の誘電率を有することができ、第1および第2の誘電率は異なる。各セクションの誘電率を独立して変化させることも可能である。たとえば、第1のセクション53は、頂点52aから頂点52bへのステップ勾配で増加する誘電率を有することができる一方、セクション54は単一の誘電率を有することができる。
【0034】
いくつかの態様において、各ユニットセルの間隙空間(たとえば、
図8における13cおよび
図9における13b)は空気で充填されている。他の態様において、間隙空間は誘電材料によって充填することができる。このような充填は、製造後にポリマー構造を含浸させることによって行うことができる。誘電材料充填材は、トラスの少なくともいくつかを形成するために用いられる材料より低い誘電率を有することができる。たとえば、いくつかの態様において誘電体充填材は非常に低い誘電率を有し(たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、ポリマー構造のトラスをさらに支持するために存在し得る。これにより、非常に薄いトラスの製造が可能になり、またはより柔軟なトラスに剛性を提供することができる。他の態様において、ポリマー構造は低誘電率材料を用いて形成し、次いでより高い誘電率材料で充填することができる。この技術は、全体的により高い誘電率勾配を有するポリマー構造を提供するのに有用であり得る。
【0035】
上の議論から当業者に明らかであるように、トラスのセットの径を所望の方向に変化させることによって誘電勾配の方向を任意の方向に変化させることができる。異なる形状の勾配、さらには単一のポリマー構造内で異なる形状の勾配を製造することもできる。ステップ勾配と連続勾配の組み合わせ、たとえば連続勾配を有する第2の部分に隣接するステップ勾配を有する第1のセクションが存在し得る。用いられる特定の勾配または勾配の組み合わせは、ポリマー構造の最終目的に基づいて選択することができる。
【0036】
これらの複雑な特徴はSLA法の使用によって容易に得ることができ、これにより、ポリマー構造内の任意の方向および任意の形状で所望の勾配を容易に製造することが可能になる。勾配の大きさ、すなわち、範囲は、ユニットセルのタイプ、トラスの径、および用いられる材料に応じて大きく異なり得る。たとえば、比誘電率の範囲は、それぞれ10GHz、50%の相対湿度、および23℃で測定して、1より大きい(すなわち、空気の比誘電率より大きい)ものから20までとすることができる。この範囲内の比誘電率の任意の勾配、たとえば、それぞれ10GHz、50%の相対湿度、および23℃で測定して、ポリマー構造にわたって1.1から10、1.1から5、または1.1から3を得ることができる。あるいは、比誘電率勾配は、それぞれ10GHz、50%の相対湿度、および23℃で測定して、ポリマー構造にわたって5から20、または5.1から18、または5.1から15、または5.5から11、または6から10とすることができる。
【0037】
たとえば、WO2014/126837に具体的なSLA法が記載されている。SLA法によりさらに、さまざまな放射線硬化性樹脂を用いてポリマー構造を形成することが可能になる。特定の放射線硬化性樹脂組成物は、SLA法で用いるためのその適合性(すなわち、液体形態で提供することができる)に基づいて、そしてポリマー構造に所望の機械的および電気的特性を提供するように選択される。ポリマー構造を形成するための液体樹脂組成物は、放射線硬化性、すなわち、光硬化性および/またはフリーラジカル硬化性モノマー成分および光開始剤成分を含むことができる。本明細書で用いられるような「モノマー」は、光硬化性化合物、オリゴマー、プレポリマー、およびポリマーを含む。「硬化可能」および「硬化性」は、重合可能および架橋可能、および重合性および硬化性を含む。適切なモノマーは、放射線硬化性基、たとえばアクリル(CH2=CHCOO-)、メタクリル(CH2=C(CH3)COO)、アクリルアミド(CH2=CHCONH-、メタクリルアミド(CH2=C(CH3)CONH)、ビニル(CH2=CH-)、アリル(CH2=CH-CH2-)、他のアルケン、たとえば不飽和芳香族化合物(たとえば、スチレン系)、環状アルケン、アルキン、一酸化炭素、またはこれらの組み合わせを含む。便宜上、「放射線硬化性基」は、カチオン性光開始剤のような、光活性化することができる開始剤の存在下で硬化可能な基を含む。このような基は、エポキシ、ビニルエーテル、複素環基、たとえばラクトン、ラクタム、および環状アミン、および他の基を含む。モノマーは線状、分岐、環状、または架橋とすることができ、1つまたは複数の官能基、たとえば1つまたは複数のアクリル基(たとえば、三官能性アクリレートモノマー)または1つまたは複数のビニル基(たとえば、ジビニルエーテル)を有することができる。液体モノマーおよび開始剤の例は、WO2016/153711、米国特許第8232043号、米国特許第8119214号、米国特許第7935476号、米国特許第7767728号、米国特許第7649029号、WO2012/129968、CN102715751、および特開2012-210408号に記載されているものを含むが、これらに限定されない。
【0038】
例示的なモノマーおよび多機能モノマーは、放射線硬化性シリコーン、ウレタンアクリレート、ウレタンメタクリレート、(C1-6アルキル)アクリレート、(C1-6アルキル)メタクリレート、たとえばメチルメタクリレート、ウレタンジメタクリレート、1,3-グリセロールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、メチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、メチレングリコールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメチロールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、および1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、メトキシエテン、4-メトキシスチレン、スチレン、2-メチルプロプ-1-エン、1,3-ブタジエン、オキシラン、チエタン、テトラヒドロフラン、オキサゾリン、1,3,-ジオキセパン、およびオキセタン-2-オンを含む。
【0039】
光開始剤成分は1つまたは複数の光開始剤を含む。たとえば、光開始剤成分は、1つまたは複数のフリーラジカル光開始剤または1つまたは複数のカチオン性光開始剤を含むことができる。SLA法のための組成物で用いるための本技術分野において知られている光開始剤を用いることができる。例示的なフリーラジカル光開始剤は、重合反応を開始させるのに十分な量の、紫外線および/または可視光線のような放射線への曝露時にフリーラジカルを生成する化合物を含む。フリーラジカル光開始剤は、単一の化合物、2つ以上の活性化合物の混合物、または2つ以上の異なる化合物の組み合わせ(共開始剤のような)とすることができる。
【0040】
例示的なカチオン性光開始剤は、重合を開始させるのに十分な量の、紫外線および/または可視光線のような放射線への曝露時にアプロチン酸またはブレンステッド酸を形成する化合物を含む。用いられるカチオン性光開始剤は、単一の化合物、2つ以上の活性化合物の混合物、または2つ以上の異なる化合物の組み合わせ(共開始剤のような)とすることができる。カチオン性光開始剤の例は、米国特許第7824839号、米国特許第7550246号、米国特許第7534844号、および「Photoacid Generator Selection Guide for the electronics industry and energy curable coatings」(BASF 2010)に記載されているように、オニウム塩、スルホニウム塩、およびヨードニウム塩、たとえばジフェニルヨージドヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨージドヘキサフルオロヒ酸塩、ジフェニルヨージドヘキサフルオロアンチモナート、ジフェニルp-メトキシフェニルトリフラート、ジフェニルp-トルエニルトリフラート、ジフェニルp-イソブチルフェニルトリフラート、ジフェニルp-tert-ブチルフェニルトリフラート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロヒ酸塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、およびトリフェニルスルホニウムトリフラート、ジブチルナフチルスルホニウムトリフラートを含む。カチオン性光開始剤は、光増感剤、たとえば9,10-ジエトキシアントラセンと併せて用いて、カチオン性光開始剤をより広い波長範囲にわたって活性化させ得ることができる。
【0041】
放射線硬化性樹脂組成物は、製造されているポリマー構造の目的に応じて、熱硬化性樹脂成分、熱硬化開始剤、顔料、染料、難燃剤、酸化防止剤、可塑剤、重合阻害剤などを含む、その中に可溶化される追加の成分を有することができる。
【0042】
いくつかの態様において放射線硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂成分および熱硬化を開始させる熱硬化開始剤成分をさらに含む。熱硬化性樹脂成分を含めることにより、ポリマー構造の多段階硬化が可能になる。熱硬化性樹脂成分および熱硬化開始剤成分を含む放射線硬化性組成物は、たとえば、WO2017/040883に記載されている。熱硬化性樹脂成分として用いることができるモノマーの例は、1,3-ジシアナトベンゼン、1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼン、1,3-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、2,2’-ジシアナトビフェニル、ビス(4-シアナトフェニル)メタン、4-クロロ-1,3-ジシアナトベンゼン、ノボラックをハロゲン化シアンと反応させることによって生成されるシアン化ノボラック、およびビスフェノールポリカーボネートオリゴマーをハロゲン化シアンと反応させることによって生成されるシアン化ビスフェノールポリカーボネートオリゴマーを含む。熱硬化開始剤の例は、本技術分野において知られているように、過酸化物、いくつかの求核性触媒、またはいくつかの金属触媒を含む。
【0043】
放射線硬化性樹脂組成物の各成分の相対量は、たとえば、それぞれ組成物の総重量に基づいて、放射線硬化性モノマー成分の10から95重量パーセント(wt%)、光開始剤成分の0.11から15wt%、熱硬化性樹脂成分の0から90wt%、および熱硬化開始剤成分の0から10wt%とすることができる。
【0044】
空間的に勾配のある誘電率を有するポリマー構造のSLA製造のための一般的な方法は一般に、一定量の上述の液体放射線硬化性組成物を提供するステップと、液体放射線硬化性組成物の一部をあるパターンで活性化放射線で照射して基板上にポリマー構造の層を形成するステップと、形成された層を液体放射線硬化性組成物と接触させるステップと、液体放射線硬化性組成物の一部をあるパターンで活性化放射線で照射してポリマー構造の次の層を形成するステップと、接触および照射を繰り返してポリマー構造を形成するステップと、を含み、ポリマー構造は複数のユニットセルを含み、各ユニットセルは照射によって形成された複数のトラスによって画定され、各ユニットセルのトラスは空間的に勾配のある誘電率を提供するように寸法が決められている。好ましい態様において、この方法は、たとえば、米国特許第9205601号に記載されているようなステレオリソグラフィ方法である。
【0045】
ポリマー材料が製造された後、3D印刷されたポリマー材料は任意選択で後硬化させて、たとえば、さらに光重合させることができる。熱硬化性樹脂組成物が放射線硬化性組成物に含まれていれば、後硬化は、たとえばオーブンにおける熱への曝露による熱的なものとすることができる。このような二重放射線硬化および熱硬化は、たとえば、WO2017/040に記載されている。放射線および熱後硬化の両方を用いることができる。
【0046】
一態様において、ポリマー材料は導電層と接触している。いくつかの態様において、少なくとも2つの交互のポリマー構造または導電層の少なくとも2つの交互の層が、積層体を形成するために存在する。導電層に有用な導電材料は、たとえば、ステンレス鋼、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛、遷移金属、またはこれらの組み合わせを含む。導電層の厚さに関して特に制限はなく、導電層の表面の形状、サイズ、または質感に関してもいかなる制限もない。導電層は、1から2000マイクロメートル、または10から1000マイクロメートルの厚さを有することができる。2つ以上の導電層が存在するとき、各層の厚さは同じでも異なってもよい。導電層は銅層を含むことができる。適切な導電層は、回路の形成に現在用いられている銅箔、たとえば、電着銅箔のような導電金属の薄層を含む。
【0047】
導電層は、付加製造プロセスに用いられるプラットフォーム上に導電層を配置し、導電層上へ印刷することによって、ポリマー構造と接触させることができる。あるいは、ポリマー材料は、直接レーザ構造化によって、または接着によって導電層と接触させることができる。ポリマー材料の特定の材料および形態によって許可される場合、本技術分野において知られている他の方法、たとえば、電着、化学蒸着などを用いて導電層を適用することができる。
【0048】
たとえば、導電層は、レーザ直接構造化によって適用することができる。ここで、3D印刷されたポリマー材料はレーザ直接構造化添加剤を含むことができ、レーザ直接構造化は、レーザを用いて基板の表面を照射することと、レーザ直接構造化添加剤のトラックを形成することと、トラックに導電金属を適用することと、を含むことができる。レーザ直接構造化添加剤は、金属酸化物粒子(酸化チタンおよび酸化銅クロムのような)を含むことができる。レーザ直接構造化添加剤は、スピネル銅のような、スピネルベースの無機金属酸化物粒子を含むことができる。金属酸化物粒子は、たとえば、スズおよびアンチモンを含む組成物(たとえば、コーティングの総重量に基づいて、50から99wt%のスズおよび1から50wt%のアンチモン)でコーティングすることができる。レーザ直接構造化添加剤は、それぞれの組成物の100の部分に基づいて、添加剤の2から20の部分を含むことができる。照射は、10ワットの出力、80キロヘルツ(kHz)の周波数、毎秒3メートルの速度の下で、1,064ナノメートルの波長を有するYAGレーザで実行することができる。導電金属は、たとえば、銅を含む無電解めっき浴においてめっきプロセスを用いて適用することができる。
【0049】
導電層は接着して接触させることができる。一態様において、ポリマー構造はまず、光重合によって形成することができる。熱硬化剤がポリマー材料組成物に存在するとき、ポリマー構造および導電層は、ポリマー構造におけるポリマー材料の熱硬化によって接触および接着させることができる。この技術により、ポリマー構造の「Bステージング」が可能になる。これは、多層構造が所望される場合に特に有用である。たとえば、ポリマー構造の複数の層を製造することができ(Bステージ)、交互のポリマー層および導電層の積層体を作製することができ、次いで積層体を熱硬化させて層を接着することができる。他の態様において、ポリマー構造を平坦シートの形態で製造することができ(Bステージ)、導電層を平坦シートと接触させることができ、層を圧延して交互のポリマーシートおよび導電層のシリンダを提供することができ、ロールを熱硬化させて層を接着することができる。
【0050】
あるいは、または加えて、1つまたは複数の導電層とポリマー材料との間に接着層を配置することができる。
【0051】
ポリマー構造は、電子デバイスとして、またはこれにおいて、たとえばインピーダンス整合層、誘電体導波路、レンズ、反射アレイ、アンテナ整合構造、スーパーストレート、カプラ、分周器、および誘電体アンテナ(誘電体共振アンテナおよび誘電体ロッドアンテナを含む)として用いることができる。
【0052】
本明細書に開示されるように、そして前述のすべてを参照して、そして特に
図11を参照して、電子構造またはデバイス100、特に電磁(EM)構造またはデバイスは、たとえば、誘電体共振器アンテナ(DRA)の形態の、本明細書に開示される任意の誘電体構造20の第1の誘電体部分(1DP)20.1と、たとえばリューネブルクレンズのような誘電体レンズ、またはたとえば、電磁(EM)遠方場ビームシェイパを形成する任意の他の誘電体要素、またはたとえば、誘電体導波路またはEM近接場放射線導管を形成する任意の他の誘電体要素の形態の、本明細書に開示される任意の誘電体構造20の第2の誘電体部分(2DP)20.2を含むことができる。本明細書に開示されるように、そして当業者によって理解されるように、1DPおよび2DPは、1DPに電磁的に結合された電気信号源のEM周波数と一致するEM共振モードを有するように1DPが構造的に構成および適合されるとともに、2DPが、誘電体EM遠方場ビームシェイパの場合、電気信号源のEM周波数に一致する共振モードをそれ自体有することなく励起されたとき1DPから発生するEM遠方場放射パターンに影響を与えるのに役立つように、または、誘電体EM近接場放射導管の場合、2DPの長さに沿ってEM信号損失がほとんどまたはまったくない状態で励起されたとき1DPから発生するEM近接場放射を伝搬するのに役立つように構造的に構成および適合されるという点で、互いに区別可能である。本明細書に開示されるように、電磁結合という句は、必ずしも2つの場所間の物理的接触を伴わずに、1つの場所から他へのEMエネルギーの意図的な伝達を指す技術用語であり、本明細書に開示される一実施形態に関してより具体的には、関連する1DPおよび/または2DPと組み合わされた1DPのEM共振モードと一致するEM周波数を有する電気信号源間の相互作用を指す。一実施形態において、電磁結合構成は、EMデバイスに関連する選択された動作自由空間波長について、近接場における共振モードEMエネルギーの50%より多くが1DP内に存在するように選択される。いくつかの実施形態において、2DPの高さH2は1DPの高さH1より大きい(たとえば、2DPの高さは1DPの高さの1.5倍より大きい、または2DPの高さは1DPの高さの2倍より大きい、または2DPの高さは1DPの高さの3倍より大きい)。いくつかの実施形態において、2DPの平均誘電率は1DPの平均誘電率より小さい(たとえば、2DPの平均誘電率は1DPの平均誘電率の0.5未満である、または2DPの平均誘電率は1DPの平均誘電率の0.4未満である、または2DPの平均誘電率は1DPの平均誘電率の0.3未満である)。いくつかの実施形態において、2DPは、指定された軸(たとえば
図11に示すz軸)の周りで軸対称性を有する。いくつかの実施形態において、2DPは、1DPが配置されている電気接地面102に垂直な軸の周りで軸対称を有する。
【0053】
上述のように、本明細書に記載の方法により、さまざまな構成およびさまざまな形状において、さまざまな組成物で、事前に選択された誘電率勾配を有する材料の迅速で効率的な製造が可能になる。この方法には、設計からプロトタイピングまで商品化までの時間を劇的に削減することを含む、多くの他の利点がある。工具が必要とされないため、設計変更を迅速に行うことができる。射出成形または他の成形プロセスと比較して、最小限のエネルギーが用いられる。付加製造を用いることにより、廃棄物および原材料の量を削減することもできる。この方法はさらに、幾何学的に複雑な部品の製造を容易にするために用いることができる。この方法は、部品をオンデマンドおよびオンサイトで迅速に作製することができるため、ビジネスのための部品在庫をさらに削減することができる。
【0054】
以下に記載するのは、本開示のさまざまな非限定的な態様である。
【0055】
態様1:空間的に勾配のある誘電率を有するポリマー構造の製造のステレオリソグラフィ方法であって、この方法は、一定量の液体放射線硬化性組成物を提供するステップと、液体放射線硬化性組成物の一部をあるパターンで活性化放射線で照射して、ポリマー構造の層を形成するステップと、層を液体放射線硬化性組成物と接触させるステップと、液体放射線硬化性組成物をあるパターンで活性化放射線で照射して、第1の層上に第2の層を形成するステップと、接触させるステップおよび照射するステップを繰り返して、ポリマー構造を形成するステップと、を含み、ポリマー構造は、複数のユニットセルを含み、各ユニットセルは、隣接するユニットセルと一体的に接続され、各ユニットセルは、照射するステップによって形成される複数のトラスによって画定され、トラスは、それらのそれぞれの端部で互いに一体的に接続され、各ユニットセルのトラスは、空間的に勾配のある誘電率を提供するように寸法が決められている、方法。
【0056】
態様2:ユニットセル構造は、オクテット構造である態様1の方法。
【0057】
態様3a:ユニットセルのそれぞれは、ポリマー構造が動作可能である電磁波の波長の30%未満、または20%未満、または10%未満のサイズを有することができる、先の態様のいずれか1つまたは複数の方法。
【0058】
態様3b:ポリマー構造は、3から300ミリメートルの範囲の電磁波の波長内で動作可能である、先の態様のいずれか1つまたは複数の方法。
【0059】
態様4:各トラスは、0.03から5.0ミリメートル、好ましくは0.05から4.0ミリメートルの範囲の平均径を有する、先の態様のいずれか1つまたは複数の方法。
【0060】
態様5:誘電率勾配は、ステップ勾配である、先の態様のいずれか1つまたは複数の方法。
【0061】
態様6:誘電勾配は、連続勾配である、先の態様のいずれか1つまたは複数の方法。
【0062】
態様7:誘電勾配は、10GHz、23℃、および50%の相対湿度で測定して、20から1より大きい範囲の端点を有する、先の態様のいずれか1つまたは複数の方法。
【0063】
態様8:ポリマー構造に誘電材料を含浸させるステップをさらに含む、先の態様のいずれか1つまたは複数の方法。
【0064】
態様9:液体放射線硬化性組成物は、熱硬化性成分を含み、この方法は、ポリマー構造を熱硬化させるステップをさらに含む、先の態様のいずれか1つまたは複数の方法。
【0065】
態様10:ポリマー構造を導電基板と接触させるステップと、ポリマー構造を熱硬化させるステップと、を含む、態様9の方法。
【0066】
態様11:ポリマー構造の少なくとも2つの交互の層または導電基板の少なくとも2つの層を接触させて積層体を形成するステップと、積層体においてポリマー構造を熱硬化させるステップと、をさらに含む、態様9の方法。
【0067】
態様12:先の態様のいずれかによって形成される空間的に勾配のある誘電率を有する、ポリマー構造。
【0068】
態様13:態様12のポリマー構造を含む電子デバイスであって、このデバイスは、インピーダンス整合層、誘電体導波路、レンズ、反射アレイ、アンテナ整合構造、スーパーストレート、カプラ、分周器、または誘電体アンテナである、電子デバイス。
【0069】
態様14:ポリマー構造を含む電子デバイスであって、ポリマー構造は、複数のユニットセルを含む誘電材料の統一体を含み、各ユニットセルは、それらのそれぞれの端部で互いに一体的に接続された複数のトラスを含み、各ユニットセルは、ユニットセルのうちの隣接する1つと一体的に接続され、誘電材料の統一体の平均誘電率は、統一体の一部から統一体の他の部分へと変化する、電子デバイス。
【0070】
態様15:複数のトラスはそのそれぞれの端部でのみ互いに一体的に接続されている、態様13の電子デバイス。
【0071】
態様16:複数のユニットセルの各ユニットセルは、オクテット格子構造を有する態様14から15のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0072】
態様17:複数のユニットセルの各ユニットセルは、複数のトラス間に間隙空間を含む、態様14から16のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0073】
態様18:間隙空間は、空気を含む、態様17の電子デバイス。
【0074】
態様19:間隙空間は、空気以外の誘電材料を含む、態様18の電子デバイス。
【0075】
態様20:誘電材料の統一体の平均誘電率は、統一体の内側部分から統一体の外側部分への方向に減少する、態様14から19のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0076】
態様21:誘電材料の統一体の平均誘電率は、統一体の第1の部分から統一体の第2の部分へと周期的に変化する、態様14から19のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0077】
態様22:所与のユニットセルの複数のトラスは、一定の断面寸法を有する、態様14から21のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0078】
態様23:所与のユニットセルの複数のトラスは、非一定の断面寸法を有する、態様14から21のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0079】
態様24:断面寸法は、円形断面寸法である、態様14から22のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0080】
態様25:非一定の断面寸法は、統一体の内側部分から統一体の外側部分への方向に減少する、態様22から24の電子デバイス。
【0081】
態様26:複数のトラスのそれぞれのトラスは、0.03から5.0ミリメートルの範囲の全体最大断面寸法を有する、態様14から25のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0082】
態様27:誘電材料の統一体の空間的に勾配のある比誘電率は、10GHz、23℃、および50%の相対湿度で測定して、20から1より大きい、態様14から26のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0083】
態様28:誘電材料の統一体と接触して配置された少なくとも1つの導電体をさらに含む、態様14から27のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0084】
態様29:少なくとも1つの導電体は、接着材料を介して誘電材料の統一体に接着されている態様28の電子デバイス。
【0085】
態様30:誘電材料の統一体は、インピーダンス整合層、誘電体導波路、レンズ、反射アレイ、アンテナ整合構造、スーパーストレート、カプラ、分周器、または誘電体アンテナの少なくとも一部を形成する、態様14から29のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0086】
態様31:誘電材料の統一体は、電子デバイスの第1の誘電体部分1DPであり、第2の誘電体部分2DPをさらに含み、1DPは、近位端および遠位端を有し、2DPは、近位端および遠位端を有し、2DPの近位端は、1DPの遠位端の近くに配置されている、態様30の電子デバイス。
【0087】
態様32:1DPが配置されている電気接地面をさらに含む、態様31の電子デバイス。
【0088】
態様33:2DPの高さH2は1DPの高さH1より大きい、態様31から33のいずれか1つまたは複数の電子デバイス。
【0089】
これらの組成物、方法、および物品はあるいは、本明細書に開示された任意の適切な材料、ステップ、または構成要素を含む、からなる、または本質的にこれらからなることができる。これらの組成物、方法、および物品は加えて、またはあるいは、これらの組成物、方法、および物品の機能または目的の達成に他の点で必要でないいかなる材料(または種)、ステップ、または構成要素も欠く、または実質的に含まないように策定することができる。
【0090】
「a」および「an」という用語は、数量の限定を示すのではなく、参照された項目のうちの少なくとも1つの存在を示す。「または」という用語は、文脈によって明確に別なように示されない限り、「および/または」を意味する。明細書全体を通しての「一態様」、「他の一態様」、および「いくつかの態様」への言及は、その態様に関連して記載した特定の要素(たとえば、特徴、構造、ステップ、または特性)が本明細書に記載の少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様に存在することもしないこともあるということを意味する。加えて、記載の要素は、さまざまな態様において任意の適切な方法で組み合わせることができるということが理解されるべきである。「組み合わせ」という用語は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。また、「のうちの少なくとも1つ」は、リストが個別の各要素、ならびにリストの2つ以上の要素の組み合わせ、およびリストのうちの少なくとも1つの要素と挙げられていない同様の要素の組み合わせも含むことを意味する。同様に、「これらの組み合わせ」はオープンであり、挙げられた要素のうちの少なくとも1つを、任意選択で挙げられていない同様または均等な要素とともに含むことができる。
【0091】
同じ構成要素または特性に向けられたすべての範囲の端点はこれらの端点を含み、独立して組み合わせ可能であり、すべての中間点および範囲を含む。たとえば、「25wt%まで、または5から20wt%」の範囲は、端点および「5から25wt%」の範囲のすべての中間値、たとえば10から23wt%などを含む。
【0092】
層、フィルム、領域、または基板のような要素が他の要素に「接触」または「接して」いるとして言及されるとき、これは他の要素に直接接触または直接接していることができ、または介在する要素も存在することができる。対照的に、要素が他の要素に「直接接触」または「直接接して」いるとして言及されるとき、介在する要素は存在しない。第1、第2、第3などの用語を本明細書で用いてさまざまな要素、構成要素、領域、層、またはセクションを説明することができるが、これらの要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、態様、領域、層、またはセクションを他の要素、構成要素、領域、層、またはセクションから区別するためにのみ用いられる。したがって、以下で議論する第1の要素、構成要素、領域、層、またはセクションは、本態様の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、またはセクションと呼ぶこともできる。
【0093】
概略図である断面図を参照して例示的な態様を本明細書で説明している。したがって、たとえば、製造技術および/または公差の結果として図の形状からの変化が予想されるべきである。したがって、本明細書に記載の態様は、本明細書に示すような特定の形状または領域の相対的なサイズに限定されるとして解釈されるべきではなく、たとえば、製造または設計に起因する形状の逸脱を含むものとする。たとえば、平坦として図示または説明した領域は、典型的には、粗いおよび/または非線形の特徴を有することがある。また、図示されている鋭角は丸みを帯びていることがある。したがって、図に示す領域は本質的に概略的なものであり、その形状は、領域の正確な形状または相対的なサイズを示すように意図されておらず、本特許請求の範囲を限定するように意図されていない。
【0094】
本明細書で反対に指定されていない限り、すべての試験規格は、本出願の出願日、または、優先権が主張されていれば、試験規格が記載されている最先の出願の出願日時点で有効な最新の規格である。
【0095】
別に規定されていない限り、本明細書で用いられる技術および科学用語は、本発明が属する技術における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。すべての引用された特許、特許出願、および他の参考文献は、その全体を参照により本明細書に組み込む。しかしながら、本願における用語が、組み込まれた参考文献における用語と矛盾または相反すれば、本願からの用語が、組み込まれた参考文献からの相反する用語より優先される。
【0096】
特定の実施形態を説明してきたが、現在予測されていない、またはできない代替物、修正案、変形例、改善案、および実質的な均等物が、出願人または他の当業者に生じる可能性がある。したがって、提出されたような、そして補正される可能性のある添付の請求項は、すべてのこのような代替物、修正案、変形例、改善案、および実質的な均等物を包含するように意図されている。
【符号の説明】
【0097】
10 ユニットセル
10a ユニットセル
10b ユニットセル
10c ユニットセル
12 トラス
12a トラス
12b トラス
13 間隙空間
間隙13a
間隙13b
間隙13c
14 端部
14b-1 端部
14b-2 端部
20 オクテットユニットセル、ポリマー構造
30 中心点
32 セクション
34 セクション
36 セクション
42 セクション
44 セクション
46 セクション
48 セクション
52a 第1の頂点
52b 第2の頂点
53 第1のセクション
54 第2のセクション
100 電子構造またはデバイス
102 電気接地面