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▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】放射線画像における病変の特徴づけ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/48 20060101AFI20241210BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20241210BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01N33/48 Z
G01N33/483 C
A61B5/00 L
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021527189
(86)(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019080775
(87)【国際公開番号】W WO2020104223
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】18206936.9
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィンベルガー‐フリードル レインホールド
(72)【発明者】
【氏名】ファン リューウェン マリヌス バスティアン
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0012356(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0053090(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために、対象者の前記病変の試料の病理画像の高度な画像分析、機械学習、又は人工知能のうちの1つ又は複数を含むコンピュータベースの分析を実施するステップであって、前記分析が、認識された前記組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像を生成する、実施するステップと、
前記病変の放射線画像と前記導出された病理画像とをコレジストレーションするステップと、
1つ又は複数の放射線特徴の数学的定義を含む画像フィルタによって、前記病変の放射線画像から前記1つ又は複数の放射線特徴を演算するステップと、
特定の認識された組織及び/又は細胞特性を表す前記導出された病理画像内で少なくとも1つのエリアを選択し、前記コレジストレーションされた病理画像内の対応するエリアに対する前記演算された1つ又は複数の放射線特徴を分析するステップと、
演算された前記1つ又は複数の放射線特徴と前記導出された病理画像における認識された前記組織及び/又は細胞特性との間の相関を決定するステップと、
少なくとも、演算された前記1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する決定された前記相関とに基づいて、前記放射線画像における前記病変を特徴づけるステップと、を有し、
前記決定するステップが、特定の認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された前記病理画像のエリアに対応した前記コレジストレーションされた放射線画像のエリアにおいて、特定の演算された放射線特徴が強い反応を提供するかどうかを決定し、前記特定の演算された放射線特徴が強い反応を提供する場合、前記特定の演算された放射線特徴が前記特定の認識された組織及び/又は細胞特性と強い相関を示すとみなすステップを含む、
射線画像における病変を特徴づける使用のための方法。
【請求項2】
前記方法が、
(i)少なくとも、前記病変のエリアに対する演算された前記1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、演算された前記1つ又は複数の放射線特徴と前記導出された病理画像における認識された前記組織及び/又は細胞特性との間の決定された前記相関とに基づいて、同じ前記対象者に関連した異なる放射線画像における前記病変のエリアを特徴づけるステップ、及び/又は、
(ii)少なくとも、同じ前記対象者又は異なる対象者の放射線画像からの異なる病変に対して演算された前記1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、演算された前記1つ又は複数の放射線特徴と前記導出された病理画像における認識された前記組織及び/又は細胞特性との間の対応する決定された前記相関とに基づいて、同じ前記対象者又は異なる前記対象者に関連した前記放射線画像における異なる前記病変を特徴づけるステップ、
を更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i)及び/又は(ii)において、前記1つ又は複数の放射線特徴の前記部分集合が、対応する決定された前記相関の強さに基づいて選択される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記導出された病理画像の空間分解能が、前記放射線画像の空間分解能に実質的に一致するように調節される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記コレジストレーションするステップが、自動特徴認識に基づき、及び/又は、前記試料の画像支援式生検により決定された空間情報を使用する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
認識された前記組織及び/又は細胞特性が、(i)1つ又は複数の組織タイプと、(ii)1つ又は複数の細胞タイプの分布と、(iii)石灰化部位とのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記特徴づけるステップが、前記異なる病変に対して利用可能な病理画像を伴わずに実施され、及び/又は、前記対象者の前記異なる放射線画像が、前記病変に対して病理画像が利用可能でない異なる時点において獲得される、
請求項2又は請求項2に従属する請求項3からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記特徴づけるステップが、少なくとも、前記1つ又は複数の放射線特徴の前記部分集合と、対応する前記相関とに基づいて、前記対象者の前記1つ又は複数の放射線画像において複数の病変を特徴づけるステップと、前記複数の病変の特徴づけに基づいて前記対象者の癌の特性を決定するステップとを有する、
請求項2又は請求項2に従属する請求項3からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために、対象者の前記病変の試料の病理画像の高度な画像分析、機械学習、又は人工知能のうちの1つ又は複数を含むコンピュータベースの分析を実施するための分析ユニットであって、前記分析が、認識された前記組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像を生成する、分析ユニットと、
前記病変の放射線画像と前記導出された病理画像とをコレジストレーションするためのコレジストレーションユニットと、
1つ又は複数の放射線特徴の数学的定義を含む画像フィルタによって、前記病変の前記放射線画像から前記1つ又は複数の放射線特徴を演算するための演算ユニットと、
演算された前記1つ又は複数の放射線特徴と前記導出された病理画像における認識された前記組織及び/又は細胞特性との間の相関を決定するための決定ユニットと、
少なくとも、演算された前記1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する決定された前記相関とに基づいて前記放射線画像における前記病変を特徴づけるための特徴づけユニットと、を備え、
前記分析ユニットは、特定の認識された組織及び/又は細胞特性を表す前記導出された病理画像内で少なくとも1つのエリアを選択し、前記コレジストレーションされた病理画像内の対応するエリアに対する前記演算された1つ又は複数の放射線特徴を分析し、
前記決定ユニットは、特定の認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された前記病理画像のエリアに対応した前記コレジストレーションされた放射線画像のエリアにおいて、特定の演算された放射線特徴が強い反応を提供するかどうかを決定し、前記特定の演算された放射線特徴が強い反応を提供する場合、前記特定の演算された放射線特徴が前記特定の認識された組織及び/又は細胞特性と強い相関を示すとみなす、
射線画像における病変を特徴づけることにおける使用のための装置。
【請求項10】
放射線画像における病変を特徴づけるにおける使用のためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが装置を制御するコンピュータにおいて実行されたときに、前記装置に請求項1からのいずれか一項に記載の方法のステップを実行させるためのプログラムコード手段を含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像における病変を特徴づける使用のための方法、装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、2015年において世界的に病的状態及び死亡の主な原因のうちの1つであり、癌は世界的に880万人の死の原因となった。癌の診断及び観察では、非侵襲性放射線イメージング、例えば、X線放射線撮影、磁気共鳴(MR)イメージング、コンピュータ断層撮影(CT)、及び陽電子放射断層撮影(PET)が、腫瘍及び解剖学的組織特性を評価するために日常的に使用される。加えて、放射線イメージングは、個々の患者の特性及び個々の患者の腫瘍に基づいて処置技法を調整するために使用されるパーソナライズされた薬に対する有益な情報を提供し得る可能性がある。
【0003】
典型的な癌は、放射線画像において視認可能に現れる強い表現型の違いを示す。ラジオミクスの新興分野では、腫瘍表現型を客観的に、及び定量的に説明するために多数の定量的画像特徴を適用することにより放射線画像が分析される(例えば、Aerts H.J.W.L.、「Decoding tumour phenotype by noninvasive imaging using a quantitative radiomics approach」、Nature Communications、5:4006、2014を参照されたい)。
【0004】
放射線画像は患者の体における病変全体及びすべての病変に関する情報を提供し得る一方で、放射線画像は、空間分解能をもたず、及び、組織のバイオロジーに対する測定された信号の相関の欠如に起因して、画像特徴が疾患のバイオロジーに直接関係付けられることができないという欠点をもつ。この理由により、ラジオミクスは、例えば治療反応に相関させることにより、データドリブン手法により演算された画像特徴を相関させることに基づく。相関する特徴の意味に関するグランドトゥルース情報は存在せず、結果は他の患者コホート又は癌に簡単に解釈される/推定されることができない。
【0005】
他方で、病理画像は、細胞より小さい分解能、及び-免疫染色を介して-腫瘍におけるバイオロジーに関する直接的な情報を提供し得る。しかし、画像は、患者から抽出された試料の位置及びサイズに限られている。例えば高度な画像分析、機械学習、及び人工知能といった技術を使用することで、病理画像の含蓄のある特徴が診断上関連性のある細胞組成及び組織(サブ)タイプの観点から解釈され得る(例えば、Heindl A.ら、「Mapping spatial heterogeneity in the tumor microenvironment:a new era for digital pathology」、Laboratory Investigation、Vol.95、2015、377~384頁を参照されたい)。(デジタル)病理学は、細胞組成及び腫瘍組織のバイオマーカー表現を分析及び説明し得るので、(デジタル)病理学は治療反応に対する知識ベースのリンクを作ることができる。しかし、病理試料は概して、すべての病変から入手可能というわけではなく、腫瘍全体を代表するわけではない生検のみから入手可能であるので、観測される相関は、本来的にあり得るものより明らかにはるかに弱いものとなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、癌の画像ベースの特徴づけのための改善された手法を提供することが望ましい。
【0007】
病変の改善された特徴づけを可能にする放射線画像における病変を特徴づけることにおける使用のための方法を提供することが本発明の目的である。対応する装置及びコンピュータプログラムを提供することが本発明の更なる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によると、放射線画像における病変を特徴づける使用のための方法であって、
- 病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために、対象者の病変の試料の病理画像のコンピュータベースの分析を実施することであって、分析が、認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像を生成する、実施することと、
- 病変の放射線画像から病変に対する1つ又は複数の放射線特徴を演算することと、
- 演算された1つ又は複数の放射線特徴と認識された組織及び/又は細胞特性との間の相関を決定することと、
を有する方法が提示される。
【0009】
ラジオミクスにおけるこれまでの取り組みは、例えば治療反応に相関させることにより、データドリブン手法により演算された画像特徴を相関させることにより放射線画像から導出された様々な定量的画像特徴の予後値を評価することに関するものであった。しかし、これらの特徴の生物学的意味はこのアプローチによれば大部分において知られないままに留まり、他の患者コホート又は癌に対する結果を解釈/推定することが困難になる(例えば、Parmar C.、「Radiomic feature clusters and prognostic signatures specific for lung and head & neck cancer」、Scientific reports、5:11044、2015を参照されたい)。病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために対象者の病変の試料の病理画像のコンピュータベースの分析を実施することであって、分析が、認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像を生成する、実施することと、病変の放射線画像から病変に対する1つ又は複数の放射線特徴を演算することと、演算された1つ又は複数の放射線特徴と認識された組織及び/又は細胞特性との間の相関を決定することとにより、生物学的グランドトゥルース情報が、病変の特定の組織及び/又は細胞特性を示した、及び、ひいては病変を特徴づけることにより適した放射線特徴を識別するために使用され得る。このような放射線特徴は、次に、放射線画像における病変の改善された特徴づけのために対応する相関と一緒に使用され得る。
【0010】
病理画像は、固定及びパラフィン埋め込みにより病変の生検又は切除により取得された病変試料の組織の薄いスライスから生成される。このようなスライスは典型的にはガラススライド上に位置し、細胞及び組織形態を可視化するためにコントラストを高めるために染色するヘマトキシリン及びエオシン(H&E)により染色され、原子核サイズ及び形状などの形態的特徴に基づいて異なる細胞タイプが認識されることを可能にする。更に、特定の染色、例えば、免疫組織化学(IHC)染色、免疫蛍光法(IF)染色、又は蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)が、例えばそれぞれ抗体及びハイブリダイゼーションプローブを使用して組織内のタンパク質及び遺伝子の過剰発現を強調表示するために適用され得る。次に、病理画像が、染色された組織スライドをデジタル的にスキャニングすることにより獲得される。これは、病理画像のコンピュータベースの分析を可能にする。病理画像は典型的には約0.25マイクロメートルの空間分解能で獲得され、すなわち、デジタル画像の1つの正方形ピクセルが、ガラススライド上に位置する試料の0.25×0.25マイクロメートルの領域に対応する。
【0011】
病理画像のコンピュータベースの分析は、好ましくは、病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために、例えば高度な画像分析、機械学習、及び人工知能、例えば深層ニューラルネットワークといった技術を使用する。このような分析技術は当技術分野において知られており、例えば、Heindl A.ら、「Mapping spatial heterogeneity in the tumor microenvironment:a new era for digital pathology」、Laboratory Investigation、Vol.95、2015、377~384頁に示され得る。コンピュータベースの分析は特定の染色工程の結果としての外観に依存せずに特定の組織及び/又は細胞特性を強調表示し得るので、病変の異なる態様が強調される病変の放射線画像から演算された1つ又は複数の放射線特徴とのより良い相関が実現され得る。
【0012】
病変の放射線画像は、各々がそれら自体の強度及び制限を伴う臨床業務において使用される様々な種類の放射線イメージングモダリティを使用して獲得される。例は、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴イメージング(MRI)、特に、マルチパラメトリックMRI(mpMRI)、陽電子放射断層撮影(PET)、及び単光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)を包含する。任意選択的に、特定の関心エリアにおいて、例えば腫瘍を強調して、特定の分子の存在(分子イメージング)、又は代謝過程(例えばFDG)又は組織特性、例えば、酸素供給又はpH(MRI)の可視化を可能にする造影剤が使用され得る。CT又はPET/CTにおける典型的な空間分解能は4ミリメートル程度である。MRI分解能は(脳が最も制御される)位置に応じてミリメートルまで小さくなり得る。
【0013】
1つ又は複数の放射線特徴は、例えば(i)強度ベースの特徴、(ii)形状ベースの特徴、(iii)テクスチャベースの特徴、及び(iv)ウェーブレットベースの特徴(例えば、Aerts H.J.W.L.、「Decoding tumour phenotype by noninvasive imaging using a quantitative radiomics approach」、Nature Communications、5:4006、2014を参照されたい)といった異なるタイプを含む膨大な数の異なる特徴を含んでもよい。これらの特徴は典型的には画像フィルタとして実現され、特徴の数学的定義は、例えば、Haralick、R.M.ら、「Textural Features for Image Classification」、IEEE Transactions on Systems,Man,and Cybernetics、Vol.3、No.6、1973、610~621頁、及び、Thibault、G.ら、「Advanced Statistical Matrices for Texture Characterization:Application to Cell Classification」、IEEE Transactions on Biomedical Engineering、Vol.61、No.3、2013、630~637頁といった文献において示され得る。ラジオミクスに対するテクスチャ特徴の詳細な説明は、Depeursinge、A.ら(Eds.)、「Biomedical Texture Analysis:Fundamentals、Tools and Challenges」、Elsevier、2017において示され得る。
【0014】
本方法は、
(i)少なくとも、1つ又は複数の演算された放射線特徴の例えば1つ又は2つ以上といった部分集合と、対応する決定された相関とに基づいて、放射線画像における病変を特徴づけること、及び/又は、
(ii)少なくとも、同じ病変の異なるエリアに対して演算された1つ又は複数の放射線特徴の例えば1つ又は2つ以上といった部分集合と、対応する決定された相関とに基づいて、同じ対象者の同じ又は異なる放射線画像における同じ病変の異なるエリアを特徴づけること、及び/又は、
(iii)少なくとも、同じ対象者又は異なる対象者の放射線画像からの異なる病変に対して、及び/又は、対象者の異なる放射線画像からの同じ病変に対して演算された1つ又は複数の放射線特徴の例えば1つ又は2つ以上といった部分集合と、対応する決定された相関とに基づいて、同じ対象者又は異なる対象者の放射線画像における異なる病変、及び/又は、対象者の異なる放射線画像における同じ病変を特徴づけること、
を更に有することが好ましい。そうすることにより、1つ又は複数の放射線特徴が認識された組織及び/又は細胞特性とどのように相関するかに関する知識情報が、(同じ病変の他の部分を含む)病理画像からの生物学的グランドトゥルース情報が利用可能ではない1つ及び/又は2つの病変の特徴づけのために使用され得る。好ましくは、これは、患者の特定のコホートに対する放射線特徴を汎化することを更に可能にする。
【0015】
好ましくは、(i)、(ii)、及び/又は(iii)における1つ又は複数の放射線特徴の部分集合は、対応する決定された相関の強度に基づいて選択される。例えば、部分集合は、認識された組織及び/又は細胞特性との相関が強い、又は大幅なものであると観測される放射線特徴のみを含むように選択されるのに対し、弱い、又はわずかな相関しか伴わない放射線特徴は特徴づけにおいて使用されない。
【0016】
導出された病理画像の空間分解能は、放射線画像の空間分解能に実質的に一致することが好ましい。上述のように、放射線画像は典型的には数ミリメートルの空間分解能で獲得されるのに対し、病理画像は0.25マイクロメートルというはるかに高い空間分解能を伴う。病理画像及び病変の放射線画像の空間分解能におけるこの相違は、画像を直接比較することを困難にする。放射線画像の空間分解能に実質的に一致する空間分解能において、認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像を使用することにより、演算された1つ又は複数の放射線特徴を認識された組織及び/又は細胞特性に相関させる、相関させるステップが簡略化され得る。
【0017】
好ましくは、本方法は、病変の放射線画像と導出された病理画像とをコレジストレーションすることを更に有する。病変の決定の組織及び/又は細胞特性を示す放射線特徴を識別することが目的であるので、病変の放射線画像と導出された病理画像との間の空間的対応を決定することが有益である。したがって、導出された病理画像のエリアにおける決定の認識された組織及び/又は細胞特性が、コレジストレーションされた放射線画像における対応するエリアに対する生物学的グランドトゥルースとして直接使用され得る(以下を参照されたい)。
【0018】
好ましくは、コレジストレーションするステップは自動特徴認識に基づき、及び/又は、試料の画像支援式生検により決定された空間情報を使用する。以前のアプローチは病理画像に対する空間情報の可用性に依存しないという利点を、以前のアプローチは備えている。しかし、以前のアプローチは、病変の放射線画像と導出された病理画像との両方に共通した、例えば特徴点又は他の検出可能構造物といった、検出可能な特徴の存在を必要とする。これは例えば腫瘍切除により取得された組織とともに使用され、その理由は、この場合、認識可能な特性をもつ十分な組織材料が典型的には利用可能であるからである。他方で、後者のアプローチは、試料の画像支援式生検により決定された空間情報を使用する。このような情報が利用可能である場合、それは、コレジストレーションをよりロバストなものにすることに役立つ。例えば、放射線画像が対象者又は対象者の一部三次元(3D)再構成を表す断層撮影画像である場合、断層撮影画像の二次元(2D)スライスが異なる方向において選択され得る。対象者内における試料の生検の位置及び配向に関する情報が利用可能である場合、この情報は、導出された病理画像(及び導出された病理画像の基礎となる病理画像)に一致する放射線画像の部分及び配向をロバストに選択するために使用され得る。
【0019】
決定するステップが特定の認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像における少なくとも1つのエリアを選択することと、コレジストレーションされた放射線画像における対応するエリアに対する演算された1つ又は複数の放射線特徴を分析することとを有することが好ましい。
【0020】
これは、病理画像が腫瘍切除により取得された組織に基づいている場合に特に適用可能である。例えば、特定の演算された放射線特徴が概して特定の認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像のエリアに対応したコレジストレーションされた放射線画像のエリアにおいて強い反応を提供することが観測された場合、特定の演算された放射線特徴は、特定の認識された組織及び/又は細胞特性と強い相関を示すと考えられる。対照的に、特定の演算された放射線特徴の反応が、特定の認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像のエリアに対応したコレジストレーションされた放射線画像のエリアにおいて大きく異なる場合、特定の演算された放射線特徴は、特定の認識された組織及び/又は細胞特性と弱い相関しか示さないか、又は更には相関を示さないと考えられる。
【0021】
そうすることにより、演算された1つ又は複数の放射線特徴が導出された病理画像における選択された少なくとも1つのエリアの特定の認識された組織及び/又は細胞特性を実際に示すか否かが評価され得る。
【0022】
決定するステップが、導出された病理画像からの少なくとも1つのエリアに対して1つ又は複数の特徴を演算することと、導出された病理画像からの少なくとも1つのエリアに対して演算された1つ又は複数の特徴、及び、コレジストレーションされた放射線画像における対応するエリアに対する演算された1つ又は複数の放射線特徴を相関させることとを有することが更に好ましい。そうすることにより、導出された病理画像及び放射線画像は、類似性及び/又は同様の特徴に関して分析され得、この手法により、放射線画像における放射線特徴に対する対応を示す導出された病理画像における特徴が識別され得る。このような特徴は、例えば画像フィルタベースの特徴であり、このような特徴は放射線画像の分析のために使用される放射線特徴と同じである。例えば、導出された病理画像における脂肪分布のエントロピー、又は間質組織のガウシアンが計算され、放射線画像において対応するフィルタとの相関が存在するか否かが判定される。このコンテキストにおいて、導出された放射線画像の分解能及び/又はコントラストを調節することが可能である。これは、特定の生物学的根拠に基づいて、導出された放射線画像の分解能及び/又はコントラストを選択すること、及び、どのフィルタベースのパラメータが放射線特徴の出力に応答するか、及び対応するかを見ることについての自由度を提供する。言い換えると、これは、(1)バイオロジー(どのコンピュータベースの分析(ディテクター)が生の病理画像に対して実行されるか)、及び、(2)放射線画像と同様の手法、すなわち例えばフィルタベースの手法により、導出された病理画像を分析するために調節され得る分解能及びコントラスト(形態パラメータ)、という2つの自由度を提供する。
【0023】
代替的に、決定するステップが、導出された病理画像から病変の試料全体に対して特徴的な1つ又は複数の特徴を演算することと、演算された1つ又は複数の放射線特徴及び導出された病理画像から演算された1つ又は複数の特徴を相関させることであって、相関させることが、病変の放射線画像と導出された病理画像とのコレジストレーションに依存しない、相関させることとを有することが好ましい。これは、病理画像が、試料の生検により取得された組織に基づいている場合に特に適用可能であり、その理由は、この場合、小量の組織材料しか利用可能でない場合があるからであり、この組織材料は異なるエリアに対して分析されないが、この組織材料のバイオロジーは、例えば、生検が行われた病変の領域に対する放射線画像から演算された放射線特徴と相関する平均値により表現される。病変のどの異なるエリアもこのアプローチにおいて別々に相関させられないので、実際のコレジストレーションは必要とされないが、相関が病変の対応する部分間において決定されることだけが懸念される。
【0024】
認識された組織及び/又は細胞特性が(i)1つ又は複数の組織タイプ、(ii)1つ又は複数の細胞タイプの分布、及び(iii)石灰化部位のうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの組織及び/又は細胞特性は、癌の診断、反応予測、及び観察において役立つように使用され得る病変のバイオロジーに関する重要な情報を提供する。例えば、病理画像のコンピュータベースの分析は、間質結合組織、脂肪組織、及び背景から(腫瘍)上皮組織が区別される導出された病理画像を生成する。又は、導出された病理画像のみが上皮組織を非上皮組織から区別する。病理画像の代替的なタイプの分析は、腫瘍細胞又は免疫細胞などの特定の細胞タイプを検出し、次に、導出された病理画像における特定の細胞タイプの密度分布を表すことである。更に、分布は、細胞タイプを区別せずにすべての細胞に対して表される。病理画像の更なる代替的な分析は、石灰化部位の部分を検出すること、及び、導出された病理画像においてそれらを表すことである。
【0025】
病理画像のコンピュータベースの染色及び分析は、好ましくは、放射線イメージングモダリティに応じて選択され、及び調整され得る。例えば、MRIにおける形態的特徴が、H&E染色された組織画像から導出された組織タイプ分布と相関するのに対し、FDG-PET代謝活動は、H&E染色された組織画像から導出された細胞密度と相関し、免疫PET画像は、免疫PET造影剤と同じ細胞タイプを標的とする抗体を伴う免疫組織化学(IHC)において染色された細胞の密度と直接相関する。
【0026】
特徴づけをするステップは、異なる病変に対して利用可能な病理画像を伴わずに実施されることが好ましい。したがって、病理画像からの生物学的グランドトゥルース情報は、すべての病変に対して利用可能である必要はない。代替的に、相関に基づいて個々の病理情報を必要とせずに異なる病変を特徴づけるために、認識された組織及び/又は細胞特性に対する演算された1つ又は複数の放射線特徴の相関が決定されていることで十分である。
【0027】
病変に対して病理画像が利用可能でない異なる時点において対象者の異なる放射線画像が獲得されることが更に好ましい。これは、新しい特徴づけの各々に対して病変の現在の試料を提供することを必要とせずに、例えば疾患の進行又は処置反応を追跡するために、経時的な病変の繰り返しによる特徴づけを可能にする。
【0028】
特徴づけをするステップは、少なくとも、1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する相関とに基づいて、対象者の1つ又は複数の放射線画像において複数の病変を特徴づけることと、複数の病変の特徴づけに基づいて対象者の癌の特性を決定することとを有することが更に好ましい。多くの癌が大幅な病変間の不均一性を示すことが知られており、このことは、効果的な処置技法を設計することにおいて重要な課題を提起する。このような癌は、1つの病変のみの特徴づけに基づくのでは、十分に特徴づけをされない場合がある。少なくとも、1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する相関とに基づいて、複数の病変の特徴づけを実施することにより、例えば癌の不均一性といった癌の特性のより正確な状況が取得される。これは、より高い有効性を実現するために、不均一性の知識情報を組み込んだ、より正確な処置技法の生成を可能にする。
【0029】
本発明の更なる態様において、放射線画像における病変を特徴づける方法であって、方法が、
- 病変の放射線画像から病変に対する1つ又は複数の放射線特徴を演算することと、
- 少なくとも、1つ又は複数の演算された放射線特徴と、対応する相関とに基づいて、放射線画像における病変を特徴づけることと、
を有し、
1つ又は複数の放射線特徴及び対応する相関が、1つ又は複数の異なる対象者の1つ又は複数の異なる病変に対して請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のように演算された1つ又は複数の放射線特徴の部分集合、及び、対応する決定された相関として選択されている、
方法が提示される。
【0030】
この態様は、放射線特徴と、対応する決定された相関とが、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の方法を使用して対象者から、又は対象者の適切なコホートから事前に決定されることを見越している。次に、これらの放射線特徴、例えば病理からの生物学的情報に対する有意な相関を示されたものが、他の対象者の放射線画像からのバイオロジーに関する情報を抽出するために一般化される。
【0031】
本発明の更なる態様において、放射線画像における病変を特徴づける使用のための装置であって、
- 病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために、対象者の病変の試料の病理画像のコンピュータベースの分析を実施するための分析ユニットであって、分析が、認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像を生成する、分析ユニットと、
- 病変の放射線画像から病変に対する1つ又は複数の放射線特徴を演算するための演算ユニットと、
- 演算された1つ又は複数の放射線特徴と認識された組織及び/又は細胞特性との間の相関を決定するための決定ユニットと、
を備える、装置が提示される。
【0032】
本発明の更なる態様において、放射線画像における病変を特徴づける使用のためのコンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムが、コンピュータプログラムが装置を制御するコンピュータにおいて実行されたときに、請求項14に記載の装置に請求項1から12のいずれか一項に記載の方法のステップを実行させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラムが提示される。
【0033】
請求項1に記載の方法、請求項14に記載の装置、及び請求項15に記載のコンピュータプログラムが、特に、従属請求項において規定されているような、同様の、及び/又は同一の好ましい実施形態を含むことが理解されなければならない。
【0034】
本発明の好ましい実施形態が、従属請求項又は上述の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであり得ることが理解されなければならない。
【0035】
本発明のこれらの態様及び他の態様が、以下で説明される実施形態から明らかとなり、以下で説明される実施形態を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】放射線画像における病変を特徴づける使用のための方法の実施形態のフローチャートを示す図である。
図2】病理画像と認識された組織特性を表す導出された病理画像とを概略的かつ例示的に示す図である。
図3】導出された病理画像とグレーレベル画像への変換結果とを概略的かつ例示的に示す図である。
図4】導出された病理画像の異なる組織タイプ分類の、エントロピーマップへの変換結果を概略的かつ例示的に示す図である。
図5】放射線画像における病変を特徴づける使用のための装置の実施形態を概略的かつ例示的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、放射線画像における病変を特徴づける使用のための方法の実施形態のフローチャートを示す。本方法は、対象者の病変の試料の病理画像と病変の放射線画像とが以前のステップにおいて獲得されていることを前提とする。代替的に、これらの画像を獲得するステップは本方法自体の一部であってもよい。
【0038】
病理画像は、知られた染色、例えばH&E染色、IHC染色、IF染色、又はFISHを使用して上述のように生成される。病変の放射線画像は、放射線イメージングモダリティ、例えば、CT、MRI、特にmpMRI、PET、又はSPECTを使用して獲得されてもよい。任意選択的に、例えば腫瘍を特定の関心エリアにおいて強調する、及び、特定の分子の存在(分子イメージング)、又は、代謝過程(例えばFDG)、又は組織特性、例えば酸素供給、又はpH(MRI)の可視化を可能にする造影剤が使用され得る。
【0039】
ステップ101において、対象者の病変の試料の病理画像のコンピュータベースの分析が、病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために実施され、分析は、認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像を生成する。導出された画像のコントラスト及び分解能は、放射線画像との相関を分析するために、及び/又は、放射線画像との相関の感度を最適化するために変えられ得る。異なる生物学的特性のための複数のディテクターが、導出された病理画像を生成するために組み合わされ得る。
【0040】
認識された組織及び/又は細胞特性は、(i)1つ又は複数の組織タイプと、(ii)1つ又は複数の細胞タイプの分布と、(iii)石灰化部位とのうちの少なくとも1つを含む。これらの組織及び/又は細胞特性は癌の診断、反応予測、及び観察において役立つように使用され得る病変のバイオロジーに関する重要な情報を提供する。
【0041】
病理画像のコンピュータベースの分析は、好ましくは、病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために、例えば、高度な画像分析、機械学習、及び人工知能、例えば深層ニューラルネットワークといった技術を使用する。このような分析技術は、当技術分野において知られており、例えば、Heindl A.ら、「Mapping spatial heterogeneity in the tumor microenvironment:a new era for digital pathology」、Laboratory Investigation、Vol.95、2015、377~384頁に示され得る。コンピュータベースの分析は、特定の染色工程の結果としての外観に依存せずに特定の組織及び/又は細胞特性を強調表示し得るので、病変の異なる態様が強調される病変の放射線画像から演算された1つ又は複数の放射線特徴とのより良い相関が実現され得る。
【0042】
例を示すために、図2は、病理画像と認識された組織特性を表す導出された病理画像とを概略的かつ例示的に示す。この場合において、対象者の病変の試料は乳房腫瘍の切除により取得され、スライスはH&E染色を使用して染色されている(図2(a)を参照されたい)。次に、病変の組織特性を認識するためにコンピュータベースの分析が病理画像に対して実施されている(図2(b)を参照されたい)。本例では、異なるタイプの組織が誤った色表現により表された-図ではグレーレベルでしか示されていない。例えば、「A」、「B」、「C」、及び「D」により示されたエリアは、異なるタイプの組織、すなわち、腫瘍上皮組織(「D」)、間質結合組織(「A」)、脂肪組織(「B」)、及び腺房(「C」)に対応している。図2から確認され得るように、異なるタイプの組織は導出された病理画像において明確に区別されており、このことが、1つ又は複数の演算された放射線特徴との相関を決定することをより容易にする。
【0043】
図に示されていない代替例において、導出された病理画像は、非上皮組織から上皮組織を区別するのみであってもよい。更に、病理画像の代替的なタイプの分析は、例えば腫瘍細胞又は免疫細胞といった特定の細胞タイプを検出することであり、したがって、導出された病理画像における特定の細胞タイプの密度分布を表す。更に、分布は、細胞タイプを区別せずにすべての細胞に対して表現されてもよい。病理画像の更なる代替的な分析は、石灰化部位の部分を検出すること、及び導出された病理画像において石灰化部位の部分を表すことである。
【0044】
再度図1を参照すると、ステップ102において、病変の放射線画像と導出された病理画像とがコレジストレーションされる。
【0045】
病変の特定の組織及び/又は細胞特性を示す放射線特徴を識別することが目的であるので、病変の放射線画像と導出された病理画像との間の空間的対応を決定することが有益である。したがって、導出された病理画像のエリアにおける特定の認識された組織及び/又は細胞特性は、コレジストレーションされた放射線画像における対応するエリアに対する生物学的グランドトゥルースとして直接使用され得る(以下を参照されたい)。コレジストレーションするステップは自動特徴認識に基づいてもよく、及び/又は、コレジストレーションするステップは試料の画像支援式生検により決定された空間情報を使用してもよい。
【0046】
ステップ103において、1つ又は複数の放射線特徴が病変の放射線画像から病変に対して演算される。
【0047】
上述のように、1つ又は複数の放射線特徴は、例えば(i)強度ベースの特徴、(ii)形状ベースの特徴、(iii)テクスチャベースの特徴、及び(iv)ウェーブレットベースの特徴といった異なるタイプを含む膨大な数の異なる特徴を含んでもよい。
【0048】
ステップ104において、演算された1つ又は複数の放射線特徴と認識された組織及び/又は細胞特性との間の相関が決定される。
【0049】
この実施形態において、特定の認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像における少なくとも1つのエリアが選択され、演算された1つ又は複数の放射線特徴が、コレジストレーションされた放射線画像における対応するエリアに対して分析される。
【0050】
例えば、特定の演算された放射線特徴が概して、特定の認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像のエリアに対応したコレジストレーションされた放射線画像のエリアにおいて強い反応を提供することが観測された場合、特定の演算された放射線特徴は、特定の認識された組織及び/又は細胞特性と強い相関を示すと考えられる。対照的に、特定の演算された放射線特徴の反応が、特定の認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像のエリアに対応したコレジストレーションされた放射線画像のエリアにおいて大きく異なる場合、特定の演算された放射線特徴は、特定の認識された組織及び/又は細胞特性と弱い相関しか示さないか、又は更には相関を示さないと考えられる。
【0051】
ここまでに概説されている方法により、生物学的グランドトゥルース情報が、病変の特定の組織及び/又は細胞特性を示した、及び、ひいては病変を特徴づけることにより適した放射線特徴を識別するために使用され得る。次に、このような放射線特徴が、放射線画像における病変の改善された特徴づけのために対応する相関と一緒に使用され得る。
【0052】
任意選択的なステップ105において、(i)放射線画像における病変が、少なくとも、1つ又は複数の演算された放射線特徴の部分集合と、対応する決定された相関とに基づいて、特徴づけされ、及び/又は、(ii)同じ対象者の同じ又は異なる放射線画像における同じ病変の異なるエリアが、少なくとも、同じ病変の異なるエリアに対して演算された1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する決定された相関とに基づいて、特徴づけされ、及び/又は、(iii)同じ対象者又は異なる対象者の放射線画像における異なる病変及び/又は対象者の異なる放射線画像における同じ病変が、少なくとも、同じ対象者又は異なる対象者の放射線画像からの異なる病変に対して、及び/又は対象者の異なる放射線画像からの同じ病変に対して演算された1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する相関とに基づいて、特徴づけされる。
【0053】
そうすることにより、1つ又は複数の放射線特徴が認識された組織及び/又は細胞特性とどのように相関するかに関する知識情報が、病理画像からの生物学的グランドトゥルース情報が利用可能ではない1つ及び/又は2つの病変の特徴づけのために使用され得る。好ましくは、これは、患者の特定のコホートに対する放射線特徴を汎化することを更に可能にする。
【0054】
この実施形態において、1つ又は複数の放射線特徴の部分集合が対応する決定された相関の強さに基づいて選択される。特に、部分集合が、認識された組織及び/又は細胞特性との相関が強い、又は大幅なものであると観測される放射線特徴のみを含むように選択されるのに対し、弱い、又はわずかな相関しか伴わない放射線特徴は特徴づけにおいて使用されない。
【0055】
特徴づけをするステップは、好ましくは、異なる病変に対して利用可能な病理画像を伴わずに実施されることに注意が必要である。したがって、病理画像からの生物学的グランドトゥルース情報はすべての病変に対して利用可能である必要はない。代替的に、相関に基づいて個々の病理情報を必要とせずに異なる病変を特徴づけるために、認識された組織及び/又は細胞特性に対する演算された1つ又は複数の放射線特徴の相関が決定されていることで十分である。
【0056】
同様に、病変に対して病理画像が利用可能でない異なる時点において対象者の異なる放射線画像が獲得されることが好ましい。
【0057】
この実施形態において、特徴づけをするステップは、少なくとも、1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する相関とに基づいて、対象者の1つ又は複数の放射線画像において複数の病変を特徴づけることと、複数の病変の特徴づけに基づいて対象者の癌の特性を決定することとを有する。そうすることにより、例えば癌の不均一性といった癌の特性のより正確な状況が取得される。これは、より高い有効性を実現するために不均一性の知識情報を組み込んだより正確な処置技法の生成を可能にする。
【0058】
ここまでに概説されている、放射線画像における病変を特徴づけることにおける使用のための方法は「位置ベースの」方法であると考えられ、その理由は、本方法は、病変の放射線画像と導出された病理画像とをコレジストレーションするステップ102を有するからであり、及び本方法は、演算された1つ又は複数の放射線特徴と認識された組織及び/又は細胞特性との間の相関を決定するステップ104において位置情報を使用するからである。
【0059】
「コ・ロケーションベースの」方法の変形例では、決定するステップは、導出された病理画像からの少なくとも1つのエリアに対して1つ又は複数の特徴を演算することと、導出された病理画像からの少なくとも1つのエリアに対して演算された1つ又は複数の特徴と、導出された病理画像からのコレジストレーションされた放射線画像における対応するエリアに対する演算された1つ又は複数の放射線特徴とを相関させることとを有する。そうすることにより、導出された病理画像と放射線画像とが、類似性及び/又は同様の特徴に関して分析され得、この手法により、導出された病理画像における特徴が、放射線画像における放射線特徴に対する対応を示すように識別され得る。このような特徴は、例えば画像フィルタベースの特徴であり、このような特徴は放射線画像の分析のために使用される放射線特徴と同じである(Aerts H.J.W.L.、「Decoding tumour phenotype by noninvasive imaging using a quantitative radiomics approach」、Nature Communications、5:4006、2014を参照されたい)。例えば、導出された病理画像における脂肪分布のエントロピー、又は間質組織のガウシアンが計算され、放射線画像において対応するフィルタとの相関が存在するか否かが判定される。このコンテキストにおいて、導出された放射線画像の分解能及び/又はコントラストを調節することが可能である。これは、特定の生物学的根拠に基づいて、導出された放射線画像の分解能及び/又はコントラストを選択すること、及びどのフィルタベースのパラメータが放射線特徴の出力に応答するか、及び対応するかを見ることについての自由度を提供する。言い換えると、これは、(1)バイオロジー(どのコンピュータベースの分析(ディテクター)が生の病理画像に対して実行されるか)、及び、(2)放射線画像と同様の手法、すなわち例えばフィルタベースの手法により、導出された病理画像を分析するために調節され得る分解能及びコントラスト(形態パラメータ)という2つの自由度を提供する。これは、依然として「コ・ロケーションベースの」アプローチと考えられる。
【0060】
放射線画像における病変を特徴づける使用のための方法の別の実施形態において、相関は純粋に「特徴ベースの」アプローチを使用して決定されてもよく、すなわち、病変の放射線画像と導出された病理画像とをコレジストレーションのステップ102は省略され得る。特に、決定するステップは、導出された病理画像から病変の試料全体に対して特徴的な1つ又は複数の特徴を演算することと、及び、演算された1つ又は複数の放射線特徴と導出された病理画像から演算された1つ又は複数の特徴とを相関させることとを有し、相関させることは、病変の放射線画像と導出された病理画像とのコレジストレーションに依存しない。上述のように、これは、病理画像が試料の生検により取得された組織に基づいている場合に特に適用可能であり、その理由は、この場合において、小量の組織材料しか利用可能でない場合があるからであり、この組織材料は、異なるエリアに対して分析されないものであるが、この組織材料のバイオロジーは、例えば、生検が行われた病変の領域に対する放射線画像から演算された放射線特徴と相関する平均値により表現される。病変の異なるエリアがこのアプローチにおいて別々に相関させられないので、実際のコレジストレーションは必要とされないが、相関が病変の対応する部分間において決定されることだけが懸念される。導出された病理画像から演算された1つ又は複数の特徴は、例えばAerts H.J.W.L.、「Decoding tumour phenotype by noninvasive imaging using a quantitative radiomics approach」、Nature Communications、5:4006、2014において説明されている、ラジオミクスにおいても使用されるものの部分集合であってもよい。
【0061】
「コ・ロケーションベースの」方法の変形例と「特徴ベースの」アプローチとの両方において、導出された病理画像からグレーレベル画像を生成することが必要である。
【0062】
例を示すために、図3は、導出された病理画像とグレーレベル画像への変換結果とを概略的かつ例示的に示す。この場合において、対象者の病変の試料は乳房腫瘍の切除により取得されており、H&E染色されたスライスの病理画像のコンピュータベースの分析が、リンパ球の密度マップを決定するために実施される。この密度マップは導出された病理画像を生成するために病理画像に重ね合わされている(図3(a)を参照されたい)。本例において、リンパ球の異なる密度が誤った色表現により表された-図ではグレーレベルでしか示されていない。例えば、「E1」、「E2」、「E3」、及び「E4」により示されるエリアは、病変の周囲に位置する傾向を示すリンパ球の蓄積を含むエリアに対応する。次に、導出された病理画像のグレーレベル画像への変換の結果が図3(b)に示されている。この表現は、ビニングされたスケーリングされた密度範囲にグレー値を割り当てることにより簡単な手法により生成され得る。
【0063】
図4は、導出された病理画像の異なる組織タイプ分類の、エントロピーマップへの変換結果を概略的かつ例示的に示す。この場合において、図4(a)は、生のH&E染色された病理画像を示し、図4(c)は異なるタイプの組織、すなわち、腫瘍上皮組織、間質結合組織、脂肪組織、及び背景を表す導出された病理画像を示し、図4(e)は異なるタイプの組織、上皮組織対非上皮組織-各々がグレーレベル画像として表されている-を表す導出された病理画像を示す。次に、図4(b)、図4(d)、及び図4(f)は、それぞれ、エントロピーマップへの変換結果を示す。図から確認され得るように、導出された病理画像のエントロピーマップは、生のH&E染色された病理画像のエントロピーマップよりはるかに含蓄があり有益な情報を与える。
【0064】
病理画像において使用されるコンピュータベースの分析は、特定の染色工程の結果としての外観に依存せずに特定の特徴を強調表示し得、この手法により、非常に異なる特徴を強調する放射線医学から導出された特徴とより良く相関し得る。病理画像に対して使用されるコンピュータベースの分析は、放射線モダリティに応じて選択され、及び調整され得る。導出された病理画像と放射線画像との間における最も強い相関した特徴を分析することにより、それらの特徴が優先順位付けされ得、好適には、例えば不均一性に関連した癌の特性に関連した患者に対する結論に到達するために、他の病変からの放射線画像の分析及び解釈において使用され得る。
【0065】
図5は、放射線画像における病変を特徴づける使用のための装置の実施形態を概略的かつ例示的に示す。装置は、ここまでに概説されているように、放射線画像における病変を特徴づける使用のための方法を実施するように構成され得る。
【0066】
この実施形態において、装置は、病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために対象者の病変の試料の病理画像のコンピュータベースの分析を実施するための分析ユニット10を備え、分析は、認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像を生成する。装置は、病変の放射線画像と導出された病理画像とをコレジストレーションするためのコレジストレーションユニット20を更に備える。更に、装置は病変の放射線画像から病変に対する1つ又は複数の放射線特徴を演算するための演算ユニット30と、演算された1つ又は複数の放射線特徴と認識された組織及び/又は細胞特性との間の相関を決定するための決定ユニット40とを備える。更に、装置は、(i)少なくとも、1つ又は複数の演算された放射線特徴の部分集合と、対応する決定された相関とに基づいて、放射線画像における病変を特徴づけるための、及び/又は、(ii)少なくとも、同じ病変の異なるエリアに対して演算された1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する決定された相関とに基づいて同じ対象者の同じ又は異なる放射線画像における同じ病変の異なるエリアを特徴づけるための、及び/又は、(iii)少なくとも、同じ対象者又は異なる対象者の放射線画像からの異なる病変に対して、及び/又は対象者の異なる放射線画像からの同じ病変に対して演算された1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する決定された相関とに基づいて、同じ対象者又は異なる対象者の放射線画像における異なる病変及び/又は対象者の異なる放射線画像における同じ病変を特徴づけるための、特徴づけユニット50を任意選択的に備える。
【0067】
開示されている実現例に対する他の変形例が、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の考察により、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び実現され得る。
【0068】
特許請求の範囲において、「備える(含む、有する、もつ)」という表現は、他の要素もステップも排除せず、単数形の表現は複数を排除しない。
【0069】
図1に示されている方法の1つ又は複数のステップが、コンピュータにおいて実行されるコンピュータプログラムプロダクトにおいて実施されてもよい。コンピュータプログラムプロダクトは、例えばディスク、ハードドライブなどの、制御プログラムが記録された(記憶された)非一時的コンピュータ可読記憶媒体を包含する。非一時的なコンピュータ可読媒体の一般的形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、又は、任意の他の磁気記憶媒体、CD-ROM、DVD、又は、任意の他の光学媒体、RAM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、又は他のメモリチップ又はカートリッジ、又は、コンピュータが読み取り可能な及び使用可能な任意の他の非一時的媒体を包含する。
【0070】
代替的に、方法の1つ又は複数のステップは、制御プログラムが例えばラジオ波及び赤外線データ通信中に生成されたものなどの、例えば音波又は光波などの伝送媒体を使用したデータ信号として具現化される、例えば送信可能搬送波といった一時的媒体において実現されてもよい。
【0071】
例示的な方法は、1つ又は複数の汎用コンピュータ、専用コンピュータ、プログラムされたマイクロプロセッサ、又はマイクロ制御装置、及び周辺集積回路要素、ASIC、又は他の集積回路、デジタル信号プロセッサ、ハードワイヤード電子回路又は論理回路、例えばディスクリート要素回路、プログラム可能論理デバイス、例えばPLD、PLA、FPGA、グラフィカルカードCPU(GPU)、又はPALなどにおいて実施されてもよい。概して、結果的に図1に示されるフローチャートを実施することが可能な有限状態機械を実現することが可能な任意のデバイスが、図示される放射線画像における病変を特徴づける使用のための方法の1つ又は複数のステップを実施するために使用され得る。理解されるように、方法のステップはコンピュータによりすべて実施されてもよいが、幾つかの実施形態において、ステップのうちの1つ又は複数が少なくとも部分的に手動で実施されてもよい。
【0072】
コンピュータ又は他のプログラム可能装置で実行される命令が本明細書において記載された機能/アクションを実現するための処理を提供するようにコンピュータにより実現される処理をもたらすために、コンピュータ、他のプログラム可能装置、又は他のデバイスにおいて一連の動作ステップが実施されることをもたらすために、コンピュータプログラム命令が更にコンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、又は他のデバイスにロードされてもよい。
【0073】
特許請求の範囲における参照符号は、いずれも特許請求の範囲を限定するように解釈されてはならない。
【0074】
本発明は、放射線画像における病変を特徴づける使用のための方法であって、方法が、病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために対象者の病変の試料の病理画像のコンピュータベースの分析を実施することであって、分析が、認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像を生成する、実施することと、病変の放射線画像から病変に対する1つ又は複数の放射線特徴を演算することと、演算された1つ又は複数の放射線特徴と認識された組織及び/又は細胞特性との間の相関を決定することとを有する、方法に関する。この方法によると、生物学的グランドトゥルース情報が、病変の特定の組織及び/又は細胞特性を示した、及び、ひいては病変を特徴づけることに適した放射線特徴を識別するために使用され得る。このような放射線特徴は、次に放射線画像における病変の改善された特徴づけのために、対応する相関と一緒に使用され得る。
【0075】
幾つかの構成体の特徴が以下の番号の付されたパラグラフにおいて提示される。
【0076】
1. - 病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために、対象者の病変の試料の病理画像のコンピュータベースの分析を実施すること(101)であって、分析が、認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像を生成する、実施すること(101)と、
- 病変の放射線画像から病変に対する1つ又は複数の放射線特徴を演算すること(103)と、
- 演算された1つ又は複数の放射線特徴と認識された組織及び/又は細胞特性との間の相関を決定すること(104)と、
を有する、放射線画像における病変を特徴づける使用のための方法。
【0077】
2.方法が、
(i)少なくとも、1つ又は複数の演算された放射線特徴の部分集合と、対応する決定された相関とに基づいて、放射線画像における病変を特徴づけること、及び/又は、
(ii)少なくとも、同じ病変の異なるエリアに対して演算された1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する決定された相関とに基づいて、同じ対象者の同じ又は異なる放射線画像における同じ病変の異なるエリアを特徴づけること、及び/又は、
(iii)少なくとも、同じ対象者又は異なる対象者の放射線画像からの異なる病変に対して、及び/又は対象者の異なる放射線画像からの同じ病変に対して演算された1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する決定された相関とに基づいて、同じ対象者又は異なる対象者の放射線画像における異なる病変及び/又は対象者の異なる放射線画像における同じ病変を特徴づけること、
を更に有する、パラグラフ1に記載の方法。
【0078】
3.(i)、(ii)、及び/又は(iii)において1つ又は複数の放射線特徴の部分集合が、対応する決定された相関の強さに基づいて選択される、パラグラフ2に記載の方法。
【0079】
4.導出された病理画像の空間分解能が、放射線画像の空間分解能に実質的に一致する、パラグラフ1からパラグラフ3のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
5.方法が、病変の放射線画像と導出された病理画像とをコレジストレーションすることを更に有する、パラグラフ1からパラグラフ4のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
6.コレジストレーションするステップが、自動特徴認識に基づき、及び/又は、試料の画像支援式生検により決定された空間情報を使用する、パラグラフ5に記載の方法。
【0082】
7.決定するステップが、特定の認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像における少なくとも1つのエリアを選択することと、コレジストレーションされた放射線画像における対応するエリアに対する演算された1つ又は複数の放射線特徴を分析することとを有する、パラグラフ5又はパラグラフ6に記載の方法。
【0083】
8.決定するステップが、導出された病理画像からの少なくとも1つのエリアに対して1つ又は複数の特徴を演算することと、導出された病理画像からの少なくとも1つのエリアに対して演算された1つ又は複数の特徴と、コレジストレーションされた放射線画像における対応するエリアに対する演算された1つ又は複数の放射線特徴とを相関させることとを有する、パラグラフ1に記載の方法。
【0084】
9.決定するステップが、導出された病理画像から病変の試料全体に対して特徴的な1つ又は複数の特徴を演算することと、演算された1つ又は複数の放射線特徴と導出された病理画像から演算された1つ又は複数の特徴とを相関させることとを有し、相関させることが、病変の放射線画像と導出された病理画像とのコレジストレーションに依存しない、パラグラフ1からパラグラフ4のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
10.認識された組織及び/又は細胞特性が、(i)1つ又は複数の組織タイプと、(ii)1つ又は複数の細胞タイプの分布と、(iii)石灰化部位とのうちの少なくとも1つを含む、パラグラフ1からパラグラフ9のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
11.特徴づけをするステップが、異なる病変に対して利用可能な病理画像を伴わずに実施され、及び/又は、対象者の異なる放射線画像が、病変に対して病理画像が利用可能でない異なる時点において獲得される、パラグラフ2からパラグラフ10のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
12.特徴づけをするステップが、少なくとも、1つ又は複数の放射線特徴の部分集合と、対応する相関とに基づいて、対象者の1つ又は複数の放射線画像において複数の病変を特徴づけることと、複数の病変の特徴づけに基づいて対象者の癌の特性を決定することとを有する、パラグラフ2からパラグラフ11のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
13. - 病変の放射線画像から病変に対する1つ又は複数の放射線特徴を演算することと、
- 少なくとも、1つ又は複数の演算された放射線特徴と、対応する相関とに基づいて、放射線画像における病変を特徴づけることと、
を有し、
1つ又は複数の放射線特徴及び対応する相関が、1つ又は複数の異なる対象者の1つ又は複数の異なる病変に対してパラグラフ1からパラグラフ12のいずれか1つに記載のように演算された1つ又は複数の放射線特徴の部分集合、及び、対応する決定された相関として選択されている、
放射線画像における病変を特徴づける方法。
【0089】
14. - 病変の組織及び/又は細胞特性を認識するために対象者の病変の試料の病理画像のコンピュータベースの分析を実施するための分析ユニット(10)であって、分析が、認識された組織及び/又は細胞特性を表す導出された病理画像を生成する、分析ユニット(10)と、
- 病変の放射線画像から病変に対する1つ又は複数の放射線特徴を演算するための演算ユニット(30)と、
- 演算された1つ又は複数の放射線特徴と認識された組織及び/又は細胞特性との間の相関を決定するための決定ユニット(40)と、
を備える、放射線画像における病変を特徴づけることにおける使用のための装置。
【0090】
15.放射線画像における病変を特徴づけることにおける使用のためのコンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムが装置を制御するコンピュータにおいて実行されたときに、パラグラフ14に記載の装置にパラグラフ1からパラグラフ12のいずれか1つに記載の方法のステップを実施させるためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図5