(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】超低コスト高性能衛星開口
(51)【国際特許分類】
H04B 7/08 20060101AFI20241210BHJP
H01Q 1/28 20060101ALI20241210BHJP
H01Q 21/00 20060101ALI20241210BHJP
H01Q 15/14 20060101ALI20241210BHJP
H04B 7/185 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H04B7/08 480
H01Q1/28
H01Q21/00
H01Q15/14
H04B7/185
(21)【出願番号】P 2021547132
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(86)【国際出願番号】 US2020017847
(87)【国際公開番号】W WO2020167897
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2023-01-11
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン、パーカー エー.
(72)【発明者】
【氏名】トルシェイム、デヴィット ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クレッシュ、マイケル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー、ジョナサン ディー.
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0067311(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0200763(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0050106(US,A1)
【文献】米国特許第05926130(US,A)
【文献】特開2001-211027(JP,A)
【文献】特開平04-241527(JP,A)
【文献】国際公開第2016/063415(WO,A1)
【文献】特開2000-128100(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0099504(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/02 - 7/12
H04B 7/15 - 7/216
H01Q 1/28 - 1/30
H01Q 15/14
H01Q 21/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星(105)のアンテナシステム(101)であって、
アンテナ受信器(240)と、
複数の可撓継手(220)を介して前記アンテナ受信器(240)に連結された複数のアンテナ素子(215)であって、前記複数のアンテナ素子(215)の展開された位置は、それぞれの可撓継手(220)に沿った位置によって制限され、それ以外では1つ以上の空間的次元において制限されない、複数のアンテナ素子(215)と、
訓練プロセッサ(515)であって、第1の送信器(110、170、185)から
送信された1つ以上の訓練信号(310)に関連付けられた1つ以上の第1の信号を、前記アンテナ受信器(240)
を介して受け取り、前記複数のアンテナ素子(215)の各々を、前記1つ以上の訓練信号(310)
のそれぞれの第1の到着時刻に関連付けるように構成された訓練プロセッサと、
前記複数のアンテナ素子(215)と前記それぞれの第1の到着時刻との間の関連性に少なくとも部分的に基づいて決定された複数の係数に従って、第2の送信器(110、170、185)から前記アンテナ受信器(240)を介して受信されたデータ信号(315)に関連付けられた
複数の第2の信号を合成するように構成されたビーム重み付けプロセッサ(520)と、
を備えるアンテナシステム(101)。
【請求項2】
分散焦点領域に電波を反射するように構成された反射器を更に備え、前記複数のアンテナ素子は、少なくとも部分的に前記分散焦点領域内に存在する、請求項1に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項3】
前記複数のアンテナ素子(215)は立体形状を形成する、請求項1又は2に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項4】
前記立体形状の少なくとも1つの寸法は、前記1つ以上の第2の信号の波長の100倍を超える、請求項3に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項5】
前記衛星の軌道位置に対する前記複数のアンテナ素子(215)の前記立体形状の向きは、1つ以上の空間的次元において制限されない、請求項3又は4のいずれか一項に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項6】
前記アンテナ受信器(240)は複数の受信チェーン(235)を備え、前記アンテナ受信器(240)の前記受信チェーン(235)の数は、前記複数のアンテナ素子(215)の数より少ない、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項7】
前記アンテナ受信器(240)は複数の受信チェーン(235)を備え、前記複数のアンテナ素子(215)の各々は、前記複数の受信チェーン(235)のうちの異なる1つに関連付けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項8】
前記第2の送信器(110、170、185)は、前記第1の送信器(110、170、185)と同じである、請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項9】
前記第2の送信器(110、170、185)は前記第1の送信器(110、170、185)とは異なる、請求項1から7のいずれか一項に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項10】
前記訓練プロセッサ(515)は、前記アンテナ受信器(240)から1つ以上の第3の信号を受信し、ここで、前記1つ以上の第3の信号は、第3の送信器(110、170、185)によって送信された第2の訓練信号(310)に関連付けられており、前記複数のアンテナ素子(215)の各々を、前記1つ以上の第3の信号
のそれぞれの第2の到着時刻に関連付けるように更に構成されており、
前記ビーム重み付けプロセッサ(520)は
、前記それぞれの第2の到着時刻
の前記複数の係数を更新するように更に構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項11】
前記ビーム重み付けプロセッサ(520)は、前記複数のアンテナ素子(215)と前記それぞれの第1の到着時刻との間の関連性に少なくとも部分的に基づいて決定された第2の複数の係数に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のアンテナ素子(215)から目標受信器へ送信するための1つ以上の第3の信号を生成するように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項12】
前記訓練プロセッサ(515)は、前記アンテナ受信器(240)から1つ以上の第3の信号を受信し、ここで、前記1つ以上の第3の信号は、第3の送信器(110、170、185)によって送信された第2の訓練信号(310)に関連付けられており、前記複数のアンテナ素子(215)の各々を、前記第2の訓練信号に少なくとも部分的に基づいて、それぞれの第2の到着時刻に関連付け、前記それぞれの第1の到着時刻及び前記それぞれの第2の到着時刻
の前記複数のアンテナ素子(215)の各々についての空間情報を決定するように更に構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項13】
前記訓練プロセッサ(515)は、前記空間情報及び前記第2の送信器(110、170、185)の位置
の前記複数の係数を決定するように更に構成されている、請求項12に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項14】
前記1つ以上の訓練信号(310)は、前記第1の送信器(110、170、185)に関連付けられた位置情報の指標、前記第1の送信器(110、170、185)に対するユーザビームの指標、前記第1の送信器(110、170、185)からの
、あるユーザによって定められる通信に対する優先度
の指標、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項15】
前記訓練プロセッサ(515)は、前記1つ以上の訓練信号(310)を取得するために、前記1つ以上の第1の信号を復号し、前記復号に基づいて、前記1つ以上の訓練信号(310)を検証するように構成されている、請求項1から14のいずれか一項に記載のアンテナシステム(101)。
【請求項16】
衛星(105)のアンテナシステム(101)で電波を受信する方法であって、
複数のアンテナ素子(215)を使用して1つ以上の第1の信号を受信するステップであって、前記1つ以上の第1の信号は、第1の送信器によって送信された訓練信号(310)に対応し、前記複数のアンテナ素子(215)は各々、複数の可撓継手(220)のうちの1つに連結されており、前記複数のアンテナ素子(215)の展開された位置は、それぞれの可撓継手(220)に沿った位置によって制限され、それ以外では1つ以上の空間的次元において制限されない、ステップと、
前記複数のアンテナ素子(215)の各々を、前記1つ以上の第1の信号
のそれぞれの第1の到着時刻に関連付けるステップと、
前記複数のアンテナ素子(215)を使用して
複数の第2の信号を受信するステップであって、前記
複数の第2の信号は、第2の送信器によって送信されたデータ信号(315)に対応する、ステップと、
前記複数のアンテナ素子(215)と前記それぞれの第1の到着時刻との間の関連性に少なくとも部分的に基づいて決定された複数の係数に従って、前記
複数の第2の信号を合成するステップと
を含む方法。
【請求項17】
前記複数のアンテナ素子(215)は立体形状を形成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記立体形状の少なくとも1つの寸法は、前記
複数の第2の信号の波長の100倍を超える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記衛星(105)の軌道位置に対する前記複数のアンテナ素子(215)の前記立体形状の向きは、1つ以上の空間的次元において制限されない、請求項17又は18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上の第
1の信号
を受信するステップ及び前記複数の第2の信号を受信するステップは、複数の受信チェーン(235)を介して前記1つ以上の第
1の信号
及び前記複数の第2の信号を受信することを含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記複数の受信チェーン(235)の数は、前記複数のアンテナ素子(215)の数より少ない、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記複数のアンテナ素子(215)の各々は、前記複数の受信チェーン(235)のうちの異なる1つに関連付けられている、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の送信器(110、170、185)は、前記第1の送信器(110、170、185)と同じである、請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の送信器(110、170、185)は、前記第1の送信器(110、170、185)と異なる、請求項16から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のアンテナ素子(215)を使用して1つ以上の第3の信号を受信するステップであって、前記1つ以上の第3の信号は、第3の送信器(110、170、185)からの1つ以上の第2の訓練信号(310)と関連付けられている、ステップと、
前記複数のアンテナ素子(215)の各々を、前記1つ以上の第3の信号
のそれぞれの第2の到着時刻に関連付けるステップと、
前記それぞれの第2の到着時刻
の前記複数の係数を更新するステップと
を更に含む、請求項16から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記複数のアンテナ素子(215)と前記それぞれの第1の到着時刻との間の関連性に少なくとも部分的に基づいて決定された第2の複数の係数に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のアンテナ素子から目標受信器(110、170、185)へ送信するための1つ以上の第3の信号を生成するステップと、
前記複数のアンテナ素子(215)から前記1つ以上の第3の信号を送信するステップと
を更に含む、請求項16から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
アンテナ受信器(240)から1つ以上の第3の信号を受信するステップであって、前記1つ以上の第3の信号は、第3の送信器(110、170、185)によって送信された第2の訓練信号(310)に関連付けられている、ステップと
前記複数のアンテナ素子(215)の各々を、前記第2の訓練信号に少なくとも部分的に基づいて、それぞれの第2の到着時刻に関連付けるステップと、
前記それぞれの第1の到着時刻及び前記それぞれの第2の到着時刻
の前記複数のアンテナ素子(215)の各々についての空間情報を決定するステップと
を更に含む、請求項16から24いずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記空間情報及び前記第2の送信器(110、170、185)の位置
の前記複数の係数を決定するステップ
を更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前
記訓練信号は、前記第1の送信器(110、170、185)に関連付けられた位置情報の指標、前記第1の送信器(110、170、185)に対するユーザビームの指標、前記第1の送信器(110、170、185)からの
、あるユーザによって定められる通信に対する優先度
の指標、又はこれらの組み合わせを含む、請求項16から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前
記訓練信号(310)を取得するために、前記1つ以上の第1の信号を復号するステップと、
前記復号に基づいて、前
記訓練信号(310)を検証するステップと
を更に含む、請求項16から29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2019年2月12日に出願された「ULTRA-LOW COST HIGH PERFORMANCE SATELLITE-aPERTURE」と題するPARKERらによる米国仮特許出願第62/804,476号に対する利益を主張し、2019年2月21日に出願された「ULTRA-LOW COST HIGH PERFORMANCE SATELLITE-aPERTURE」と題するPARKERらによる米国仮特許出願第62/808,554号に対する利益を主張するものであり、それぞれが本特許出願の譲受人に譲渡され、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
以下は、概してアンテナシステムに関し、より具体的には、超低コスト高性能衛星開口に関する。
【背景技術】
【0003】
衛星システムでは、特定の用途に特化した特性を有する多くの異なるアンテナ形式が使用される。例えば、衛星は、信号を受信及び送信するために皿型アンテナを利用し得る。皿型アンテナは、放物線状反射面及び中央フィードホーンから構成してもよい。放物面は入射ビームの収束を容易にし、入射ビームは湾曲の焦点に配置された中央フィードホーンへ反射される。皿型アンテナが信号を受信すると、個々の無線信号のエネルギーが結合されるので、到着信号は格段に強化される。アンテナの別の例は、アクティブ電子走査アレイ(AESA)である。AESAは、アンテナを物理的に移動させることなく、信号ビームを任意の方向に電子的に操縦することができるフェーズドアレイアンテナの一種である。このアンテナは、各々が別個のフィードを有する、規則的に離間された小型アンテナのアレイからなる。ビームは、アンテナ内の複数の放射素子の各々によって送受信される電波の位相を制御することによって電子的に指向される。AESAのこのデジタル制御された走査の性質は、機械的に走査されるレーダと比較して、AESAが任意の方向に迅速に走査することを可能にし、機械的に走査されるレーダの範囲は、AESAが向いている方向及びAESAのモータがAESAを回転させることができる速度によって制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各アンテナ形式は、全ての用途には適することができない特定の欠点を有する。例えば、各アンテナ形式は、サイズ、機械的複雑性、電力、冷却、重量、価格などが異なり、これが、どのアンテナを特定の機能に使用すべきかを決定することがある。場合によっては、機械的に複雑でなく、低コストであるアンテナが望ましいことがある。
【0005】
記載された技術は、超低コスト高性能衛星開口のための改良された方法、システム、デバイス、及び装置に関する。衛星のアンテナシステムは、複数の可撓継手に連結されたアンテナ受信器から構成することができる。継手は各々、1つ以上のアンテナ素子に固定してもよい。継手は、制御されないやり方で宇宙に展開してもよい。更に、継手間の間隔、ひいてはアンテナ素子間の間隔は、制御されないやり方で離間してもよい。アンテナ素子は、指向要件を有さなくてもよい。アンテナシステムは、訓練信号を受信し、訓練信号に基づいて、アンテナ素子を到着時刻に関連付けることができる。データ信号を受信すると、アンテナシステムは、アンテナ素子間の所望の信号コヒーレンスを発見するために、アンテナ素子の到着時刻への関連性から決定された係数をデータ信号に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本開示の態様による、超低コスト高性能衛星開口をサポートする無線通信のためのシステムの一例を示す。
【0007】
【
図2】
図2は、本開示の態様による、超低コスト高性能衛星開口をサポートする無線通信のための衛星の一例を示す。
【0008】
【
図3A】
図3Aは、本開示の態様による、超低コスト高性能衛星開口をサポートする無線通信のための衛星の一例を示す。
【
図3B】
図3Bは、本開示の態様による、超低コスト高性能衛星開口をサポートする無線通信のための衛星の一例を示す。
【0009】
【
図4】
図4は、本開示の態様による、超低コスト高性能衛星開口をサポートする無線通信のための衛星アンテナの一例を示す。
【0010】
【
図5】
図5は、本開示の態様による超低コスト高性能衛星開口のための装置505のブロック
図500を示す。
【0011】
【
図6】
図6は、本開示の態様による、超低コスト高性能衛星開口をサポートする方法600のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
説明される特徴は、一般に、アンテナシステムに関連し、このアンテナシステムの各アンテナ素子は、宇宙において不正確な配置を有する。各アンテナ素子は、アンテナ受信器に柔軟に接続することができ、継手は、制御されないやり方で宇宙に展開することができる。送信器からデータ信号を受信すると、アンテナシステムは、線形代数及び多入力多重出力(MIMO)信号処理を適用して、信号エネルギーコヒーレンスを発見し、収集された信号エネルギーの全てをコヒーレントに加算することができる。
【0013】
皿型アンテナシステムなどの他のアンテナシステムとは対照的に、本アンテナシステムは、機械的複雑性が低く、低い相対費用で製造することができる。例えば、皿型アンテナは、信号エネルギーコヒーレンスを維持するために狭い製造公差を有し得る。また、本システムの高い利得は、非常に大きな直径を有する皿型アンテナの利得と同等である。非常に大きな直径を有する皿型アンテナを使用すると、製造コストが増加するだけでなく、その使用は、皿型アンテナを宇宙に輸送し、組み立てる必要があるため、輸送及び組立コストなどの他のコストを増加させる。加えて、本アンテナシステムの指向性は、従来のアンテナシステムとは異なって構成可能であり、アンテナ指向に伴う機械的複雑性を低減する。
【0014】
本説明では、複数の例を提供するが、本明細書に記載された原理の実施形態の範囲、適用可能性、又は構成を限定することを意図するものではない。逆に、後続する説明は、本明細書に記載された原理の実施形態を実施するための可能な説明と共に当業者に提供するものである。様々な変更が、各要素の機能及び配置において、行われ得る。
【0015】
したがって、様々な実施形態は、適宜、様々な手順又は構成要素を省略、置換、又は追加してもよい。例えば、各方法は、記載された順番と異なる順番で実行されてもよく、様々なステップが、追加、省略、又は組み合わされてもよいことを理解されたい。また、特定の実施形態に関して記載された態様及び要素は、様々な他の実施形態において組み合わされてもよい。また、以下のシステム、方法、及びデバイスは、別々に又は集合的に、より大規模なシステムの構成要素であってもよく、他の手順は、それらのアプリケーションを優先するか、ないし修正してもよいことも理解されたい。
【0016】
図1は、本明細書に含まれる原理を説明する衛星通信システム100の簡略図である。衛星通信システム100は、衛星105の位置から可視の地球エリアの少なくとも一部にわたって通信サービスを提供することができる。衛星105は、任意の適切なタイプの衛星、例えば、静止軌道(GEO)衛星、中地球軌道(MEO)衛星、又は低地球軌道(LEO)衛星であってもよい。衛星は、ユーザビーム145を介して通信サービスを提供することができ、各ユーザビームがユーザビームカバレッジエリアに対してサービスエリアを提供することができる。単一のユーザビーム145のみが示されているが、衛星105は、各々が地球の異なる領域に向けられた多数(例えば、典型的には20~500個など)のユーザビーム145を送信するマルチビーム衛星であってもよい。これにより、比較的大きな地理的エリアのカバレッジが可能になり、カバーされるエリア内の周波数再利用が可能になる。マルチビーム衛星システムでの周波数再利用により、所与のシステム帯域幅に対するシステムの能力を増加することができる。
【0017】
衛星105の各衛星ビーム145は、いくつかのユーザ端末185をサポートすることができる。ユーザ端末185は、往路ダウンリンク信号155-bを介して衛星105からデータを受信し、復路アップリンク信号160-bを介してデータを送信することができる。ユーザ端末185は、非常に小さい開口端末(VSAT)などの、任意の双方向衛星固定又は移動地上局であってもよい。各衛星ビーム145は、マルチユーザアクセス端末170などの他の端末をサポートすることができ、これはまた、航空機、船舶、車両、列車などの移動プラットホーム130上に固定又は配置してもよい。
図1に示すように、特定の周波数領域囲及び偏波に割り当てられる衛星ビーム145は、固定端末185及びマルチユーザアクセス端末170の両方のための往路ダウンリンク信号155又は復路アップリンク信号160を搬送することができる。ユーザ端末185及びマルチユーザアクセス端末170の往路ダウンリンク信号155又は復路アップリンク信号160は、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多元接続(FDMA)、マルチ周波数時分割多元接続(MF-TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、直交周波数分割多元接続(OFDMA)などの多重化技術を使用して衛星ビーム145内で多重化してもよい。
【0018】
衛星通信システム100は、1つ以上の有線又は無線リンクを介して互いに接続され得るゲートウェイシステム115及びネットワーク120を含む。ゲートウェイシステム115は、衛星105を介して1つ以上のユーザ端末185又はマルチユーザアクセス端末170と通信するように構成されている。ネットワーク120は、任意の好適な公衆ネットワーク又はプライベートネットワークを含んでもよく、インターネット、電話通信ネットワーク(例えば、公衆交換電話網(PSTN)など)などの他の通信ネットワーク(図示せず)に接続することができる。ネットワーク120は、ゲートウェイシステム115を他のゲートウェイシステムと接続してもよく、また衛星105又は他の衛星と通信してもよい。あるいは、ゲートウェイと他のノードとをリンクする別個のネットワークを使用して、ユーザトラフィックを協働的にサービスすることができる。ゲートウェイシステム115はまた、ネットワーク120又は他の通信ネットワークの宛先に向けられたユーザ端末185又はマルチユーザアクセス端末170から戻り信号を(衛星105を介して)受信するように構成してもよい。
【0019】
ゲートウェイシステム115は、ネットワーク120と衛星105との間のインタフェースを提供する装置又はシステムであってもよい。ゲートウェイシステム115は、アンテナ110を使用して、往路アップリンク信号135及び復路ダウンリンク信号140を介して衛星105との間で信号を送受信することができる。アンテナ110は、双方向通信することができ、衛星105と確実に通信するために適切な送信電力及び受信感度を備えるよう設計することができる。一実施形態では、衛星105は、特定の周波数帯域及び特定の偏波でアンテナ110から信号を受信するように構成される。1つの衛星105を含むものとして示されているが、衛星通信システム100は複数の衛星を含んでもよい。複数の衛星は、少なくとも部分的に互いに重なり合うサービスカバレッジエリアを有することができる。
【0020】
衛星105の各衛星ユーザビーム145は、そのカバレッジエリア内でユーザ端末185又はマルチユーザアクセス端末170をサポートする(例えば、アップリンクリソース及びダウンリンクリソースを提供する)。衛星ユーザビーム145間の周波数再利用は、各衛星ユーザビーム145に1つ以上の周波数領域(チャネルと呼ばれ得る)を割り当てることによって、及び/又は直交偏波の使用によって提供することができる。特定の周波数領域及び/又は偏波は「カラー」と呼ぶことができ、タイル状のスポットビーム衛星システムにおける周波数再利用はカラーに応じて行われる場合がある。
【0021】
異なる衛星ユーザビーム145のカバレッジは、重なり合わなくてもよく、又は100%の重なり合いを含む様々な重なり合い程度を有してもよい。一例では、衛星105の衛星ユーザビーム145は、タイル化され、部分的に重なり合って、完全又はほぼ完全なカバレッジを、比較的大きな地理的エリアに対して提供することができる。この地理的エリアでは、部分的に重なり合う又は隣接するビームが、異なる周波数領域及び/又は偏波(例えば、異なるカラー)を使用する。
【0022】
衛星105は、ユーザ端末185に接続された通信デバイス(例えば、コンピュータ、ラップトップ、タブレット、ハンドセット、スマートアプライアンス)、又は移動プラットホーム130上の乗客180の通信デバイス175にネットワークアクセスサービスを提供することができる。例えば、乗客180は、有線(例えば、イーサネット)又は無線(例えば、WLAN)接続176を介して自分の通信デバイス175を接続することができる。マルチユーザアクセス端末170は、ユーザビーム145を介してネットワークアクセスサービスを取得することができる。
【0023】
マルチユーザアクセス端末170は、往路ダウンリンク信号155-a及び復路アップリンク信号160-aを介して通信するために、移動プラットホーム130に搭載されたアンテナ165を使用することができる。マルチユーザアクセス端末170が移動プラットホームに位置する場合、アンテナ165は、アンテナ165を衛星105に指向する(例えば、能動的にトラッキングする)仰角及び方位ジンバルに取り付けてもよい。衛星通信システム100は、国際電気通信連合(International Telecommunications Union、ITU)Ku、K、又はKaバンド、(例えば、ダウンリンクでは17.7~21.2ギガヘルツ(GHz)、Ka帯域のアップリンク部分では27.5~31GHz)で動作することができる。代替的に、衛星通信システム100は、Cバンド、Xバンド、Sバンド、Lバンド、UHF、VHFなどのような他の周波数帯域で動作してもよい。
【0024】
当業者であれば、本開示の1つ以上の態様を、本明細書に記載されるもの以外の問題を追加的又は代替的に解決するためにシステム100に実装してもよいことを理解されたい。更に、本開示の態様は、本明細書に記載される「従来の」システム又はプロセスに対する技術的改善を提供し得る。しかしながら、説明及び添付の図面は、本開示の態様を実施することによってもたらされる例示的な技術的改善のみを含み、したがって、特許請求の範囲内に提供される技術的改善の全てを表すものではない。
【0025】
一実施例では、衛星105は、複数の可撓継手に連結されたアンテナ送受信器システムを含むアンテナシステム101を含むか、又はこれに接続される。継手は各々、受信器を1つ以上のアンテナ素子に接続することができる。アンテナ送受信器システムは、1つ以上の送受信器を有し得る。アンテナシステム101は、可撓継手及びアンテナ素子のコンパクトな構成で衛星105を展開するためにパッケージ化してもよい。衛星105が目標軌道(例えば、LEO、MEO、GEO)に到達すると、継手は、アンテナシステムの開口のための範囲にわたってアンテナ素子を広げるために宇宙に展開することができる。各アンテナ素子の展開位置は、展開中に予め決定又は制御しなくてもよい。したがって、継手間、ひいてはアンテナ素子間の間隔は、展開前に事前決定しなくてもよく、可撓継手の物理的特性によって制御されないやり方で離間してもよい。衛星105は、開示されたアンテナシステム101に関して本明細書で説明されるような1つ以上の特徴を有することができる。
【0026】
展開後、衛星105のアンテナシステム101は、アンテナ110、ユーザ端末185、又はアンテナ165などの様々な送信デバイスからの訓練信号を受信することができる。アンテナシステム101の1つ以上のアンテナ素子は、これらの訓練信号を受信することができ、アンテナシステム101のプロセッサは、到着時刻(TOA)パラメータなどの位置関連情報を決定し、TOAパラメータをそれぞれのアンテナ素子に関連付けることができる。更にアンテナシステム101は、TOAパラメータに基づいて受信係数を決定することができる。各係数は、到着シグネチャ(例えば、固有モード)の一義的時間(例えば、送受信器ごとに)に基づいてもよい。アンテナシステム101は、アンテナ110、ユーザ端末185、又はアンテナ165から、データ信号などの後続の信号を受信することができ、アンテナシステム101のプロセッサは、係数を利用してデータ信号を処理することができる。データ信号を送信する送信器は、訓練信号を送信した送信器と同じであっても異なっていてもよい。
【0027】
アンテナシステム101はまた、衛星ユーザビーム145間の周波数再利用を、衛星ユーザビーム145のエンドポイント(ユーザビームのエンドポイントは衛星101である)と、端末(例えば、ユーザ端末185又はマルチユーザアクセス端末170のアンテナ)との間の到着時刻の固有の重み付けによって取得することを可能にする。到着時刻の重み付けは一義的であるため、衛星ユーザビーム145によって搬送される信号通信は、他の衛星ユーザビーム(例えば、線形代数を介して)から一義的に分離され得る。例えば、各ユーザビーム145は、異なる係数のセットに関連付けてもよい。したがって、各衛星ユーザビーム145に割り当てられた周波数全体は、システム通信性能を損なうことなく、又は無視できる程度で、他の衛星ユーザビームによって再利用される。衛星ユーザビーム145とエンドポイントとの間の到着時刻の重み付けの一意性は、アンテナシステム101の立体的3次元形状の直径、アンテナシステム101のアンテナ素子の数、ユーザ端末間の分離、又はそれらの組み合わせによって決定することができる。
【0028】
複数の衛星ユーザビーム145と、同じ周波数領域を有するビームに関連する信号とを同時に受信し、重み係数により区別することができる。立体形状のサイズ及び素子の数は、異なる到着角を使用して異なる送信器からの信号を区別するための空間的又は地理的分解能を決定する。この設計は、100m~1kmの範囲(例えば、LEO構成での約1kmの立体的3次元形状及び1,000個の素子)の分解能を達成することができ、したがって、非常に小さい有効ユーザビームをサポートすることができる。
【0029】
図2は、本開示の態様による、超低コスト高性能衛星開口をサポートする無線通信のためのアンテナシステム101-aの一例を示す。アンテナシステム101-aは、アンテナ送受信システム240、ブランチ210、アンテナ素子215、及び継手220を含むことができ、それらは衛星105の一部であるか、又は衛星と接続することができる。アンテナシステム101-aは、
図1のアンテナシステム101の態様の例であり得るか、又は実施態様であり得る。アンテナシステム101-aは、n層MIMOアンテナの一例であり得る。いくつかの例では、アンテナシステム101-aは、2層MIMOアンテナであってもよい。
【0030】
アンテナ送受信システム240は、訓練信号及びデータ信号などの信号を受信することができる。アンテナ送受信システム240は、複数の送受信器235及びプロセッサ245を含むことができる。各送受信器235は、可撓継手220を介して、1つ以上のアンテナ素子215(又はリーフアンテナ)に接続することができる。可撓継手220は、可撓性又は半剛性材料(例えば、ワイヤ、被覆ワイヤ、同軸ケーブル、ツイストペアのワイヤ、シールドワイヤ、導電性機械的旋回体、ばね、回転子、ジンブルなど)から構成することができる。これらは、各次元において1つ以上のアンテナ素子215の展開位置を制限せずに、1つ以上のアンテナ素子に電気的に接続される。すなわち、1つ以上のアンテナ素子215の展開位置は、可撓継手に沿ったそれらアンテナ素子の位置によって制限され得るが、それ以外は1つ以上の空間的次元において制限されなくてもよい。場合によっては、アンテナ素子215の制御されない展開の仕方は、可撓継手220の柔軟性の範囲内にある。いくつかの例では、アンテナ素子215は、カプラを介して可撓継手220に取り付けてもよく、他の例では、アンテナ素子215は、可撓継手220に直接取り付けてもよい。アンテナ素子215の正確な位置決めは制御されないが、アンテナ素子の空間的分離は、相互結合を無意味にし得る。いくつかの例では、アンテナシステム101-aは、100個より大きい、又は1000個より大きい数のアンテナ素子215を含むことができる。
【0031】
アンテナシステム101-aによって受信されるエネルギーは、アンテナ素子215の有効開口の断面積の合計に比例し得る。アンテナシステム101-aのアレイ利得は、各アンテナ素子215の有効開口から集められた信号エネルギーの合計とすることができる。アンテナシステム101-aの利得は、以下のように表すことができる。
(アンテナ素子あたりの利得)+10log(アンテナ素子数)
アンテナ素子215は、ランダムに配向されてもよく(例えば、事前に決定されていない、又は正確に制御されていない空間位置)、大きな衛星開口ベースラインを特徴としてもよい。例えば、アンテナ素子215は、100メートル超、200メートル超、500メートル超、1キロメートル超のベースラインを特徴とし得る。アンテナシステム101-aは、様々なタイプのアンテナ素子215(例えば、ダイポール、バイコニック、モノポール、パッチ)を使用することができ、各アンテナ素子215は同じタイプであってもよく、又はアンテナシステム101-aは、場合によっては異なるタイプの組み合わせを使用してもよい。
【0032】
展開されると全体において、アンテナ素子215は、立体形状を形成し得る。いくつかの例では、立体形状の少なくとも一次元は、データ信号の波長距離の100倍より大きくてもよい。別の例では、立体形状の向きは、衛星の軌道位置に対して制御されず、場合によっては、衛星105又はアンテナシステム101-aの向きは、軌道中に制御されない(例えば、衛星105又はアンテナシステム101-aは、アクティブな姿勢制御を使用しなくてもよい)。いくつかの例では、立体形状はほぼ球形であり、任意の角度から送信され、立体形状を横断する信号は、この立体形状の直径250(例えば、少なくとも最小直径)を横断する。
【0033】
アンテナシステム101-aは、アンテナ素子215と同じ数の送受信器235を有することができる。例えば、アンテナ素子215の各々は、それ自身の送受信器235(例えば、各送受信器235は、単一のアンテナ素子215と接続してもよい)にリンクしてもよい。あるいは、アンテナシステム101-aは、アンテナ素子215よりも少ない送受信器235を有してもよい(例えば、各送受信器235は、複数のアンテナ素子215と接続してもよい)。
【0034】
いくつかの例では、アンテナ素子215の各々は、一連のブランチ210及びリーフ220を介して送受信器235に接続してもよく、各ブランチ210は、1つ以上のリーフ220に接続され、各リーフ220は、1つ以上のアンテナ素子215に接続される。いくつかの例では、ブランチ210の数は、送受信器235の数と同じであってもよい。例えば、ブランチ210の少なくともサブセットは、複数のアンテナ素子215を含んでもよく、各送受信器235は、一つのブランチ210と接続してもよい。アンテナ素子215の数は、全てのブランチ210にわたって同一であってもよく、又はアンテナアレイを最適化するために、又は電力管理、干渉耐性、若しくは故障したアンテナ素子のために異なるものであってもよい。各ブランチ210は、熱管理(例えば、加熱要素)、並びに電力又は増幅構成要素を含むことができる。各リーフ220は、1つ以上のアンテナ素子215をブランチ210に直接接続することができ、又はカプラ(例えば、RFカプラ)を介して接続することができる。各ブランチ210は、ブランチ210に接続されたリーフ220からのRF信号を前処理するための構成要素を含むことができる。例えば、各ブランチ210は、フィルタ、低ノイズ増幅器、高出力増幅器、移相器、ミキサ、アナログ-デジタル変換器、又は他の信号処理構成要素などのアナログ又はデジタル処理構成要素を含むことができる。いくつかの例では、各ブランチ210は、ブランチのリーフ220を介して送信又は受信された信号にアナログビームフォーミング重み付けを適用するためのアナログ重み付け回路(例えば、移相器、振幅変調器)を含む。
【0035】
各送受信器235は、RF通信用の構成要素(例えば、フィルタ、低ノイズ増幅器、高出力増幅器、ミキサ、アナログ-デジタル変換器、復調器、又は他の信号処理構成要素)を含むことができる。例えば、各送受信器235は、それが接続されている各ブランチ210、リーフ220、又はアンテナ素子215からの信号を最大比合成(MRC)するなどのMIMO処理のための回路を含むことができる。
【0036】
各ブランチ210は、アンテナシステム101-aの全合成開口の部分開口と考えることができる。所定の距離に制御はされないが、各ブランチ210は、ブランチ距離225だけ互いに分離してもよく、各リーフ220又はアンテナ素子215は、リーフ距離230だけ互いに分離してもよい。したがって、ブランチ距離225及びリーフ距離230は、平均又は最小の分離可能距離として示されるが、異なるブランチ210とリーフ220との間の実際のブランチ距離及びリーフ距離230は変化し得る。ブランチ距離225又はリーフ距離230は、ブランチ又はリーフ間の到着時刻を容易に測定できるように、ブランチ又はリーフ間に十分な分離を提供することができる。例えば、光は3.3ナノ秒で1メートル進む。従来のデジタル論理処理と整合して到着時刻間に100nsの識別力があると仮定すると、ブランチ距離225又はリーフ距離230は約30メートルであり得る。従来のデジタル論理処理と整合して到着時刻間に10nsの識別力があると仮定すると、ブランチ距離225又はリーフ距離230は約3メートルであり得る。リーフ距離230は、放射パターンをベースアンテナ素子放射パターンの別個の独立した集合に単純化するために、十分な距離だけ離間することができる。例えば、各ブランチは、リーフ距離230だけその長さに沿って離間されたリーフ220又はアンテナ素子215を含むことができ、(ブランチ210の比較的低い折り返し又はループバックを想定して)各リーフ220の到着時刻を識別することができる。場合によっては、いくつかのアンテナ素子215は、識別のための最小距離未満のリーフ距離230を有することになりることもある。識別のための最小リーフ距離未満を有するアンテナ素子215が異なる送受信器235(例えば、異なるブランチ210を介して)と接続される場合、信号は異なる送受信器を介して識別され得る。アンテナ素子215が同じ送受信器235と接続されている場合、識別されることなくアンテナ素子215の合成信号の影響を低減するために、係数を組み合わせてもよく、又は信号を抑制してもよい。
【0037】
場合によっては、リーフ距離230又はブランチ距離225は、機械的デバイスを使用して維持してもよい。例えば、半剛性部材(図示せず)は、ブランチ210に沿った位置で接続してもよく、ブランチ210を互いに離して保持する傾向がある分離力を提供してもよい。部材は、衛星105の発射及び軌道投入のためにパッケージングできるよう折り畳み可能又はカプセル化可能であってもよい。他の例では、リーフ220又はブランチ210は、展開時に膨張する膨張可能構造体(例えば、バルーン)に接続してもよい。他の例では、ブランチ210の端部に結合された重量物体をは、衛星105から排出(例えば、ばねを介して)してもよく、ブランチの可撓継手(例えば、ワイヤ)を衛星105から所望の拡張部に広げてもよい。更に他の例では、ブランチ距離225又はリーフ距離230を維持するための機械的力は、展開又は動作中の遠心力から生じることができる。例えば、衛星105は、回転しながら軌道に投入してもよく、又は回転を確立するために姿勢調整機構を使用してもよく、回転による遠心力は、リーフ距離230又はブランチ距離225を維持するのを助けることができる。
【0038】
空気圧(膨張)、ばね、及び遠心力による力に加えて、リーフ220又はブランチ210を展開し、リーフ距離230又はブランチ距離225の分離を形成するための追加の例には、機械的ラチェット又は爪と、リーフ距離230及びブランチ距離225を維持又は誘導するために、展開後に構造を変化させ、硬化し得る化学反応と、リーフ220及びブランチ210を引き付けるか又は反発させる静電力と、又は、リーフ220とブランチ210とを接続する機械的構造の熱膨張とが含まれる。場合によっては、小型反応ジェット、火工式デバイス、又はイオンスラスタを使用して、リーフ距離230及びブランチ距離225を(例えば、厳密に位置を制御することなく、最小距離を維持するために)展開、維持、又は案内することができる。これらの方法の任意の組み合わせ又は個々の選択を使用することができる。
【0039】
これらの方法の組み合わせの一例では、パッチアンテナの大きなアレイは、グランドプレーンとしても機能する膨張可能ボール上の全ての4Piステラジアンを覆うリーフ220として組み立てることができる。これらのパッチアンテナリーフ220は、可撓性コネクタを介してブランチ210に接続することができ、このブランチは、衛星105に(例えば、送受信器235に)個別に戻って接続される。展開時に、ばね力を使用して、膨張していないパッチアンテナを含むブランチ210を外側に排出することができる。展開に達すると、化学反応を使用して、パッチアンテナの膨張可能なボール(展開を完了するために空気圧力を使用して火工的に膨張させることができる)を含むブランチ210及びリーフ220を硬化させることができる。
【0040】
これらの方法を組み合わせることができる方法の第2の例では、双円すいアンテナの大きなアレイを双円すいアンテナリーフ220として組み立てることができ、拘束制限からの解放時に適切な形状をとる機械的ばねを含むことができる。これらの双円すいアンテナリーフ220は、可撓性コネクタを介して、衛星105に個別に戻って接続されるブランチ210に接続することができる。展開時に、空気圧力を使用してブランチ210を膨張させることができ、これによりブランチを外側に延ばし、同時に双円すいアンテナリーフ220をその拘束制限から解放して、ばね力が各リーフ220を強制的に所定の形状にすることができる。展開に達すると、化学反応を使用して膨張したブランチを硬化させて展開を完了することができる。
【0041】
これらの方法を組み合わせることができる方法の第3の例では、ダイポールアンテナの大きなアレイをリーフ220として組み立てることができ、拘束制限から解放されたときに所定の形状をとる機械的ばねを含むことができる。これらのダイポールアンテナリーフ220は、可撓性コネクタを介して、衛星105に個別に戻って接続されるブランチ210に接続することができる。展開時に、ばね力を使用してブランチ210を外側に発射することができ、これによりダイポールアンテナリーフ220をその拘束制限から解放して、ばね力が強制的に各リーフ220を所定の形状にすることができる。静電力は、電荷の類似する各ブランチ210及び各リーフ220に印加され、各リーフ220及びブランチ210を互いに反発させて展開を完了させることができる。
【0042】
これらの方法を組み合わせることができる方法の第4の例では、モノポールアンテナ及びパッチアンテナからなるリーフの混合アンテナタイプの大きなアレイをリーフ220として組み立てることができる。リーフ220は、その形状を維持するためにばね張力を使用することができ、グランドプレーンとしても機能することができるボール上の全ての4Piステラジアンをカバーすることができる。これらのモノポール及びパッチアンテナリーフ220は、可撓性コネクタを介して、衛星105に個別に戻って接続されるブランチ210に接続することができる。展開時に、ばね力を使用してブランチ210を外側に発射することができ、これによりモノポール及びパッチアンテナリーフ220をその拘束制限から解放して、ばね力が強制的に各リーフ220を適切な形状にすることができる。ブランチ210を外側に発射するための初期ばね力と併せて、太陽から受け取った熱エネルギーを各ブランチ210に照射し、各ブランチの材料が膨張させ、ラチェット及び爪の機械的ネットワークを強制的に所定の位置にロックさせ、各リーフ220及びブランチ210の展開を強制的に完了させることができる。
【0043】
アンテナシステム101-aの線形ダイナミックレンジ内の干渉耐性は、データ信号のMIMO選択を介して管理される。干渉耐性(ダイナミックレンジ圧縮)は、地上のユーザ端末と衛星105との間のリンクを閉じるために必要なアンテナ素子215の数と、アンテナ素子215の総数との比で管理される。
【0044】
図3Aは、本開示の態様による、超低コスト高性能衛星開口をサポートする無線通信のための信号受信技術300の一例を示す。いくつかの例では、アンテナ素子305は、
図2に記載されたアンテナ素子215の態様を実現することができる。
【0045】
アンテナ110及び/又はユーザ端末185などの送信デバイスは、データ信号315を送信する前に、アンテナ素子305に訓練信号310を送信することができる。訓練信号(例えば、310-a、310-b、...310-n)は、順次又は任意の重複する順序でアンテナ素子305に到達することができる。いくつかの例では、訓練信号310が最小空間分解能又は地理的分解能(例えば、100m~1kmの範囲)で分離された位置から到来する場合、訓練信号310は、アンテナ素子305で(例えば、同じ周波数にわたって)同時に(例えば、時間的に少なくとも部分的に重なって)受信される。訓練信号310は、一般に、衛星105に事前に知られているシーケンスを含む。訓練信号310は、有効なユーザ端末からの訓練信号310が処理されることを認証及び保証するために暗号化してもよい。いくつかの例では、訓練信号310は直交シーケンスである。
【0046】
訓練信号310はまた、追加の情報(例えば、複数の利用可能な配列の使用によって)を伝達することができる。いくつかの例では、訓練信号310は、ユーザ端末の位置情報を含むことができる。例えば、ユーザ端末は、その位置(例えば、GPS又は他の地理的位置信号を介して)を知ることができ、場合によっては、その位置に関連付けられたコードを訓練信号310に示すことができる。一例では、各ユーザビームは異なるコードに関連付けられ、ユーザ端末は、どのビームがユーザ端末にサービスしているかを判定することができる(例えば、位置情報及び格納されたビームカバレッジエリア情報を使用して、又はユーザビームを示す受信信号を使用して)。次いで、ユーザ端末は、ビームに関連付けられたコード、又はビームに関連付けられたコードのグループのうちの1つを選択することができる(例えば、ランダムに)。場合によっては、情報は通信の優先度を含むことができる。例えば、あるユーザが、優先権を有していてもよいし、通信のためのデータのタイプに基づいて複数の優先順位の間で選択してもよい。他の例では、訓練信号310は、ユーザ端末タイプ、ユーザタイプなどの情報を含むことができる。いくつかの例では、同じ送信デバイスが訓練信号310及びデータ信号315を送信することができる。他の例では、訓練信号310を送信する送信デバイスは、データ信号315を送信する送信デバイスとは異なり得る。アンテナ素子305が宇宙でシフトし、又は姿勢が変化する(例えば、軌道中の姿勢制御なし)ことにより、チャネル及び特定のアンテナ素子305から送信デバイスまでの距離が定期的に変化する場合、アンテナシステム101は、適切なチャネルトラッキングのために訓練信号310を継続的又は定期的に受信することができる。
【0047】
送受信器(例えば、送受信器235)は、1つ以上のアンテナ素子305(例えば、アンテナ素子305-a、アンテナ素子305-b、アンテナ素子305-n)から訓練信号310-aを受信することができる。アンテナシステム101の訓練プロセッサ(例えば、プロセッサ245)は、それぞれのアンテナ素子305(例えば、1つ以上の送受信器から)から信号を受信し、受信した訓練信号310-aに基づいてアンテナ素子305の各々の到着時刻を決定することができる。アンテナシステム101のビーム重み付けプロセッサ(例えば、プロセッサ245)は、それぞれ決定された到着時刻ごとに係数を決定することができる。その後、1つ以上の送受信器は、アンテナ素子305で受信されたデータ送信315-aを受信することができる。次いで、ビーム重み付けプロセッサは、各アンテナ素子305からの受信データ信号を、各アンテナ素子305に関連してそれぞれ決定された係数と組み合わせて、データ信号315-aを復号することができる。例えば、ビーム重み付けプロセッサは、最大比合成(MRC)を使用して、決定された係数に従って信号を合成することができる。場合によっては、ビーム重み付けプロセッサは、決定された係数に基づいて、1つ以上のアンテナ素子305から送信するための信号を生成することができる。
【0048】
一例では、送受信器は、各データ信号に関連する訓練信号を受信することができる。例えば、送受信器は、同じ又は異なる送信器から各アンテナ素子305で受信された訓練信号310-bを受信し、受信された訓練信号310-bに基づいて複数のアンテナ素子305の各々の到着時刻を決定することができる。次いで、ビーム重み付けプロセッサは、以前に決定された(訓練信号310-aに関連付けられた)係数を、データ信号315-bを受信するための訓練信号310-bに関連付けられた到着時刻データから新たに決定された係数により更新することができる。各追加のデータ信号(例えば、データ信号315-n)は、訓練信号(例えば、訓練信号310-n)によって先行されてもよい。
【0049】
別の例では、訓練プロセッサは、既知の位置から受信された複数の訓練信号(例えば、訓練信号310-a及び310-b)に基づいて到着時刻情報を決定し、各アンテナ素子305に対して空間情報を決定することができる。空間情報を使用して、ビーム重み付けプロセッサは、既知の位置(これは、訓練信号の既知の位置のうちの1つと同じであってもよいし、異なる位置であってもよい)からのデータ送信315のための各アンテナ素子の到着時刻(例えば、固有モード)を決定することができる。次いで、ビーム重み付けプロセッサは、各アンテナ素子305からの受信データ送信を、各アンテナ素子305に関連するそれぞれの決定された係数と組み合わせて、データ送信315を復号することができる。
【0050】
上述したように、アンテナ素子305はブランチに関連付けてもよく、各ブランチは複数のアンテナ素子305を有してもよく、信号を前処理するための回路を含んでもよい。いくつかの例では、データ信号315に関連付けられた各訓練信号310の係数を決定することは、ブランチベースで実行してもよい。例えば、各ブランチ上のアンテナ素子305は、1つ以上のソース(例えば、少なくとも2つの物理的に分離された送信器)からの訓練信号に基づいて特徴付け又は較正してもよく、ブランチの回路(例えば、アナログ重み付け回路)は、ブランチの素子305によって受信された信号を合成ブランチ信号に合成することができる。次いで、送受信器は、各データ信号に関連付けられた訓練信号を受信し、訓練信号に基づいて各ブランチからの各合成ブランチ信号の到着時刻を決定することができる。次いで、ビーム重み付けプロセッサは、データ信号を受信するための訓練信号に関連付けられて決定された到着時刻に基づいて係数を決定することができる。場合によっては、ブランチに関連する到着時刻を使用して、各ブランチに適用される重み付けを修正することができる。例えば、各リーフの相対位置、及び到着時刻から決定される訓練信号の方向を特徴付け、(例えば、関連付けられたデータ信号について)ブランチのリーフに使用される重み付けを修正することができる。決定された到着時刻に基づいて信号の送信のために各ブランチに係数を適用することができ、各ブランチの回路(例えば、アナログ重み付け回路)は、送信される信号のために各リーフに重み付けを適用することができる。
【0051】
図3Bは、本開示の態様による、超低コスト高性能衛星開口をサポートする無線通信のための信号受信技術350の一例を示す。いくつかの例では、アンテナシステム101-bは、
図1で説明したアンテナシステム101及び
図2で説明したアンテナシステム101-aの態様を実現することができる。
【0052】
無相関エネルギー360は、アンテナシステム101-bの各アンテナ素子305を介して受信された無相関信号に関連するベクトルを示すことができる。ビーム重み付けプロセッサは、1つ以上の訓練信号310から決定された係数に従って無相関エネルギー360の無相関信号を組み合わせて、相関エネルギー355を生成することができる。相関エネルギー355の総振幅及び総電力は、以下のように計算することができる。
【数1】
【0053】
式中、nはブランチの総数であり、kはアンテナシステム101-bのリーフの総数である。無相関エネルギー360の総振幅及び総電力は、以下のように計算することができる。
【数2】
【0054】
式中、nはブランチの総数であり、kはアンテナシステム101-bのリーフの総数である。信号対ノイズ比は、以下のように計算することができる。
【数3】
【0055】
ここで、無相関のノイズ電力は直線的に増加し、相関信号電力は二乗で増加する。
【0056】
図4は、本開示の態様による、超低コスト高性能衛星開口をサポートする無線通信のためのアンテナシステム400の一例を示す。アンテナシステム400は、アンテナシステム101-c、皿405、及びエミッタ410を含むことができる。いくつかの例では、アンテナシステム101-cは、
図1で説明したアンテナシステム101、
図2で説明したアンテナシステム101-a、及び
図3Bで説明したアンテナシステム101-bの態様を実現することができる。アンテナシステム400は、ハイブリッド皿型/MIMOアンテナシステムと称され得る。
【0057】
皿405は、完全に放物線状ではない皿を表すことができる。完全に放物線状ではない皿405の利点は、従来の放物線状皿と比較してより緩い製造要件を有する可能性があり、製造コスト及び実現コストを低減する可能性があることである。また、皿405は、衛星通信で一般的に使用される公差で製造された放物線状皿よりも大きくてもよい。例えば、衛星通信用の典型的な大型放物線状皿は、直径約5メートル~15メートルであり得る。場合によっては、皿405は、30メートル、50メートル、100メートル、又はそれ以上の直径を有するなど、衛星通信用の典型的な大型放物線状皿よりも著しく大きくてもよい。皿は、衛星105の打ち上げのために折り畳んでもよく、様々なやり方で展開形状に拡張してもよい。例えば、皿405は、アンテナシステム400が軌道に展開されるときに拡張されるバルーン上の導電性コーティングによって形成してもよい。あるいは、皿405の展開は、ソーラーセイルの展開と同様であってもよい。更に代替的に、皿405は、複数の剛性要素で構成してもよく、展開時に拡張してもよい。
【0058】
電波415は、送信器からRF波面にある皿405によって受信され、皿405から反射されて分散焦点領域を形成することができる。アンテナシステム101-c及びその関連するアンテナ素子は、形成された皿405の分散焦点領域内に少なくとも部分的に存在してもよい。いくつかの例では、皿405は、アンテナシステム101-cへのRF磁束電力密度を増加させることができ、アンテナシステム101-cのアンテナアレイは、RF磁束のかなりの部分がアンテナシステム101-cによって捕捉されるように実現することができる。皿405の効率は、アンテナシステム101-cに転送された磁束電力を取得し、それをアンテナシステム101-cによって集められた磁束電力により割り算することによって計算することができる。
【0059】
上述したように、送信器からの訓練信号を使用して、アンテナシステム400のアンテナ素子からの信号の受信又は送信のための係数を生成することができる。しかしながら、係数の決定は、皿の欠陥及びアンテナ素子の位置の測定を含むことができる。例えば、アンテナシステム101-cの所与のアンテナ素子で受信された信号は、皿上の複数の位置から非コヒーレントに反射されることがあり、皿の欠陥を測定し、アンテナ素子の到着時刻情報と組み合わせて、信号をコヒーレントに受信するための係数を決定することができる。
【0060】
追加的又は代替的に、アンテナシステム101-cのアンテナ素子の位置を合成するために、1つ以上の補助衛星410が使用することができる。例えば、1つ以上の補助衛星410は、アンテナシステム400に対して既知の位置に配置することができ、アンテナシステム400で測定される(例えば、アンテナシステム101-cの各要素のアンテナベクトルを決定する)信号を送信することができる。送信器の既知の位置を使用して、皿の欠陥を測定し、データ信号の送信器からの訓練信号と組み合わせて、又はデータ信号の送信器からの訓練信号を受信することなく、到着時刻又はアンテナ素子係数を合成することができる。
【0061】
図5は、本開示の態様による超低コスト高性能衛星開口のための装置505のブロック
図500を示す。いくつかの例では、装置505は、
図1、2、3B、及び4のアンテナシステム101の態様の一例であってもよい。装置505は、受信器510、訓練プロセッサ515、ビーム重み付けプロセッサ520、及び送信器525を含むことができる。構成要素は、1つ以上のバスを介して通信することができる。
【0062】
装置505及び/又はその様々な下位構成要素の少なくともいくつかは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装してもよい。プロセッサによって実行されるソフトウェアに実装される場合、装置505の機能及び/又はその様々な下位構成要素の少なくとも一部は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、本開示に記載される機能を実行するように設計されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラム可能な論理デバイス、別個のゲート若しくはトランジスタ論理、別個のハードウェア構成素子、又はそれらの任意の組み合わせによって実行することができる。装置505及び/又はその様々な下位構成要素の少なくともいくつかは、機能の一部が1つ以上の物理デバイスとは異なる物理的位置に実装されるように分散されることを含む、様々な位置に物理的に配置してもよい。いくつかの例では、装置505及び/又はその様々な下位構成要素の少なくともいくつかは、本開示の様々な態様による別個の異なる構成要素であってもよい。他の例では、装置505及び/又はその様々な下位構成要素の少なくともいくつかは、本開示の様々な態様による、I/O部品、送受信器、ネットワークサーバ、別のコンピューティングデバイス、本開示に記載された1つ以上の他の部品、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、1つ以上の他のハードウェア部品と組み合わせることができる。
【0063】
受信器510は、パケットやユーザデータなどの情報を受信することができる。情報は、デバイス505の他の構成要素に引き渡すことができる。受信器510は、複数の受信チェーンを含むことができ、各受信チェーンは、受信RF信号を処理するための回路(例えば、増幅器、ミキサ、アナログ-デジタル変換器、復調器)を含むことができる。受信器510の各受信チェーンは、複数のアンテナ(例えば、MRC回路)からのエネルギーをコヒーレントに結合するための回路を含むことができる。
【0064】
訓練プロセッサ515は、送信器からの1つ以上の訓練信号に関連付けられたアンテナ受信器から信号を受け取ることができる。また、複数のアンテナ素子の各々を、1つ以上の訓練信号に少なくとも部分的に基づいて、それぞれの到着時刻に関連付けることもできる。また、送信器の位置及び到着時刻ベクトルのそれぞれの時間に少なくとも部分的に基づいて、それぞれの到着時刻ベクトルを決定してもよい。1つ以上の訓練信号は、送信器に関連付けられた位置情報の指標、送信器用のユーザビームの指標、送信器からの通信の優先度、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。訓練プロセッサ515は、1つ以上の訓練信号を取得するために1つ以上の第1の信号を復号し、復号に基づいて1つ以上の訓練信号を検証するように構成してもよい。
【0065】
ビーム重み付けプロセッサ520は、複数のアンテナ素子とそれぞれの到着時刻との間の関連性に少なくとも部分的に基づいて決定された複数の係数に従って、送信器から受信器を介して受信されたデータ信号に関連付けられた1つ以上の信号を合成することができる。また、それぞれの第2の到着時刻に少なくとも部分的に基づいて、複数の係数を更新してもよい。また、目標受信器に送信するための1つ以上の信号を生成することもできる。このことは、複数のアンテナ素子とそれぞれの到着時刻との間の関連性に少なくとも部分的に基づいて決定された複数の係数に少なくとも部分的に基づいて行われる。
【0066】
訓練プロセッサ515及びビーム重み付けプロセッサ520は、インテリジェントハードウェアデバイス(例えば、汎用プロセッサ、DSP、中央処理装置(CPU)、マイクロコントローラ、ASIC、FPGA、プログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート若しくはトランジスタロジック部品、ディスクリートハードウェア部品、又はそれらの任意の組み合わせ)を含むことができるプロセッサの例とすることができる。場合によっては、プロセッサは、メモリコントローラを使用してメモリアレイを動作させるように構成してもよい。他の場合には、メモリコントローラがプロセッサに統合されてもよい。プロセッサは、様々な機能を実行するためにメモリに記憶されたコンピュータ可読命令を実行するように構成してもよい。
【0067】
送信器525は、デバイス505の他の構成要素によって生成された信号を送信することができる。送信器525は、複数の送信器チェーンを含むことができ、各送信器チェーンは、送信用のRF信号を生成するためにデジタル信号を処理するための回路(例えば、変調器、デジタル-アナログ変換器、ミキサ、増幅器)を含むことができる。いくつかの例では、送信器525は、送受信器(例えば、複数の受信/送信チェーンを含み得る)内の受信器510と並置されてもよい。
【0068】
図6は、本開示の態様による、超低コスト高性能衛星開口をサポートする方法600のフローチャートを示す。方法600の動作は、本明細書に記載されているように、アンテナシステム又はその構成要素によって実現することができる。例えば、方法600の動作は、
図1~
図5を参照して説明したように、アンテナシステムによって実行することができる。いくつかの実施例では、アンテナシステムは、本明細書に記載される機能を実行するために、通信セッション配信システムの機能素子を制御する命令セットを実行することができる。追加的又は代替的に、通信セッション配信システムは、専用ハードウェアを使用して本明細書で説明される機能の態様を実行することができる。
【0069】
605において、アンテナシステムは、アンテナ受信器を介して第1の送信器から1つ以上の訓練信号を受信してもよい。1つ以上の訓練信号は、第1の送信器に関連付けられた位置情報の指標、第1の送信器用のユーザビームの指標、第1の送信器からの通信に対する優先度、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの例では、1つ以上の訓練信号は(例えば、ユーザ端末、ユーザビーム、ユーザグループ、端末タイプ、ユーザタイプ、又はそれらの組み合わせに関連付けられた公開鍵に従って)暗号化されてもよい。訓練信号を受信することは、訓練信号を復号すること(例えば、公開鍵に対応する秘密鍵に従って)を含むことができる。605の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行することができる。いくつかの例では、605の動作の態様は、
図5を参照して説明したように、訓練プロセッサによって実行してもよい。
【0070】
610では、アンテナシステムは、受信された1つ以上の訓練信号に基づいて、到着時刻を、それぞれのアンテナ素子に関連付け得る。610の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行してもよい。いくつかの例では、610の動作の態様は、
図5を参照して説明したように、訓練プロセッサによって実行してもよい。
【0071】
615において、アンテナシステムは、アンテナ受信器を介して第2の送信器から1つ以上のデータ信号を受信してもよい。いくつかの例では、第2の送信器は、第1の送信器と同じであってもよい。他の実施例では、第2の送信器は、第1の送信器とは異なる場合がある。615の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行することができる。いくつかの例では、615の動作の態様は、
図5を参照して説明したように、ビーム重み付けプロセッサによって実行してもよい。
【0072】
620において、アンテナシステムは、アンテナシステムの複数のアンテナ素子及びそれらのそれぞれの到着時刻によって決定された係数に従って、1つ以上のデータ信号を合成することができる。620の動作は、本明細書に記載された方法に従って実行してもよい。いくつかの例では、620の動作の態様は、
図5を参照して説明したように、ビーム重み付けプロセッサによって実行してもよい。
【0073】
本明細書に記載した方法は、可能である実施態様を説明していること、並びに動作及び工程は、再編成ないし修正され得ること、並びに他の実施態様が可能であることに留意されたい。更に、2つ以上の方法から組み合わされた態様であってもよい。
【0074】
本明細書に説明された情報及び信号は、様々な異なる技術及び技法のいずれかを使用して表してもよい。例えば、説明全体を通じて参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場若しくは磁性粒子、光場若しくは光学粒子、又はこれらの任意の組み合わせによって表すことができる。
【0075】
本明細書の開示に関連して説明される様々な例示的なブロック及びモジュールは、汎用プロセッサ、DSP、ASIC、FPGA若しくは他のプログラマブルロジックデバイス、別個のゲート若しくはトランジスタ論理、別個のハードウェア構成要素、又は本明細書に記載される機能を実行するように設計された、これらのいずれかの組み合わせで実現又は実行することができる。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよいが、代替的に、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであってもよい。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ(例えば、DSP及びマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併せた1つ以上のマイクロプロセッサ、又はそのような任意の他の構成の組み合わせ)として実装されてもよい。
【0076】
本明細書で説明される関数は、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェア、ファームウェア、又はこれらのいずれかの組み合わせで実現することができる。プロセッサによって実行されるソフトウェアで実現される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令又はコードとして格納されるか、又は送信してもよい。他の例及び実施態様は、本開示及び添付の請求項の範囲内にある。例えば、ソフトウェアの性質により、本明細書の機能は、プロセッサによって実行されるソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、ハード配線、又はこれらのいずれかの組み合わせを使用して実現することができる。また、機能を実施する特徴は、様々な位置において物理的に配置されてもよく、機能の一部が物理的に異なる配置において実施されるように分散されることも含む。
【0077】
特許請求の範囲も含めて本明細書で使用されるとき、項目の列挙(例えば、「のうちの少なくとも1つ」又は「のうちの1つ以上」などの熟語によって前置きされる項目の列挙)で使用されるときの「又は」は、包含的な列挙を示し、その結果、例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」とは、A若しくはB若しくはC、又はAB若しくはAC若しくはBC、又はABC(すなわち、AかつBかつC)を意味する。また、本明細書で使用されるように、「に基づく」という語句は、排他的な条件の集合を参照するものとして解釈されるべきではない。例えば、「条件Aに基づく」と記載される例示的な工程は、本開示の範囲から逸脱することなく、条件A及び条件Bの両方に基づき得る。換言すれば、本明細書で使用されるように、「に基づく」という語句は、「少なくとも部分的に基づく」という語句と同じように解釈されるものとする。
【0078】
添付図面において、同様の構成要素又は特徴は、同じ参照ラベルを有し得る。更に、同じタイプの様々な構成要素は、ダッシュ記号による参照ラベル、及びその同様の構成要素の間を区別する第2のラベルを後に続けることによって、区別され得る。第1の参照符号のみが本明細書で使用される場合、説明は、第2の参照符号又は他の後続の参照符号に関係なく、同じ第1の参照符号を有する類似の構成要素のうちのいずれか1つに適用可能である。
【0079】
本明細書に記載の説明は、添付の図面に関連して、例示的な構成を説明しており、実施され得る、又は特許請求の範囲内にある全ての例を表すものではない。本明細書で使用される「例示的」という用語は、「例、事例、又は実例としての役割を果たすこと」を意味し、「好ましい」又は「他の例よりも有利である」ことを意味しない。詳細な説明には、記載された技術の理解を提供する目的のための具体的な詳細内容が含まれる。しかしながら、これらの技法は、これらの具体的な詳細を伴わずに実践してもよい。いくつかの例では、周知の構造体及びデバイスが、ブロック図の形式で示され、記載された実施形態の概念を曖昧にすることを回避している。
【0080】
本明細書の説明は、当業者が本開示を作製又は使用することができるように提供されている。本開示に対する様々な修正が、当業者にとって容易に明らかであり、本明細書に定義された包括的な原理が、本開示の範囲から逸脱することなく他のバリエーションに適用することができる。したがって、本開示は、本明細書に記載される例及び設計に限定されるべきではなく、本明細書に開示される原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるものである。